説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】ゴム組成物の熱分解によって回収されたカーボンブラックを含み、従来に比べて優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有するゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分と、ゴム組成物の熱分解によって回収された亜鉛化合物の含有量が13質量%以下であるカーボンブラックを含有することを特徴とするゴム組成物である。該カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が80〜200m2/gであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関し、より詳しくは、ゴム組成物の熱分解によって回収されたゴム配合用微細炭化物(以後、回収カーボンブラックまたは単にカーボンブラックと称する)を含み、従来に比べて優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有するゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、廃タイヤ等のゴム製品由来の廃材の再利用が行われ始めている。そして、廃タイヤの再利用方法としては、タイヤ全体を熱分解した後、熱分解で得られた粒子を粉砕することでカーボンブラックを取り出し、該カーボンブラックを充填剤としてゴム組成物に配合して使用すること等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、このようにして回収されたカーボンブラックを充填剤として配合したゴム組成物は、不純物を含み、該不純物の存在は、ゴムの物性を低下させることが知られている。そのため、回収されたカーボンブラックを配合したゴム組成物は、不純物の影響により、様々な物性、特には、破壊特性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
これに対して、カーボンブラック等の充填剤を工夫して、ゴムの破壊特性を改良する場合は、一般に、カーボンブラックの比表面積を大きくしたり、カーボンブラックのストラクチャーを増加させる手法が有効であることが知られている。
【0005】
しかしながら、廃タイヤ全体からカーボンブラックを回収する場合、タイヤには多種のカーボンブラックが配合されているため、回収されたカーボンブラックには比表面積の小さいものや大きいものが多種含まれることとなり、また、ストラクチャーも少ないものや多いものが多種含まれることとなる。そのため、回収されたカーボンブラックを配合したゴム組成物においては、破壊特性の低下が起こってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52−100394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ゴム製品から得られるゴム組成物の熱分解によって回収されたカーボンブラックを含み、従来に比べて優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有するゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるゴム組成物を用いた、高い破壊特性を有するタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、亜鉛化合物の含有量が特定値以下の回収カーボンブラックが配合されたゴム組成物が優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のゴム組成物は、
・ゴム成分と、
・ゴム組成物の熱分解によって回収された亜鉛化合物の含有量が13質量%以下であるカーボンブラック
を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの配合量が0.1〜150質量部である。この場合、ゴム製品の再利用を行いつつ、ゴム組成物の破壊特性及び加工性を十分に良好にできる。
【0011】
本発明のゴム組成物において、前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が80〜200m2/gであることが好ましい。この場合、ゴム組成物の耐摩耗性が十分に高く、また、ゴム組成物の未加硫粘度が十分に低く、加工性も良好である。なお、本発明において、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は、JIS K6217−3法に準拠して測定できる。
【0012】
本発明のゴム組成物において、前記カーボンブラックは、前記亜鉛化合物の含有量が10質量%以下であることも好ましい。この場合、回収カーボンブラックを配合したゴム組成物の耐摩耗性、加工性が特に良好となる。
【0013】
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分がジエン系ゴムである。
【0014】
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゴム成分に対し、亜鉛化合物の含有量が特定値以下の回収カーボンブラックを配合することで、優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有するゴム組成物を提供することができる。また、かかるゴム組成物をタイヤに用いることで、高い破壊特性を有するタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ゴム組成物の熱分解により得られた回収カーボンブラックの微粉砕品の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、ゴム組成物の熱分解によって回収された亜鉛化合物の含有量が13質量%以下、好ましくは10質量%以下であるカーボンブラックを含有することを特徴とし、その他、ゴム組成物に一般に使用される各種配合剤を含有することができる。
【0018】
本発明者が廃タイヤ等のゴム製品の熱分解によって回収されたカーボンブラックを配合しつつ、従来に比べて優れたゴム特性、特には、高い破壊特性を有するゴム組成物の提供を目的として検討を行ったところ、廃タイヤ等のゴム製品からの回収部位を選択し、灰分が可能な限り少ない回収カーボンブラック、より具体的には、亜鉛化合物含有量が可能な限り少ない回収カーボンブラックをゴム組成物に配合した場合、ゴム組成物のゴム特性、特には、破壊特性が向上することを見出した。また、本発明者は、同時に、亜鉛化合物含有量が可能な限り少ない回収カーボンブラックをゴム組成物に配合した場合、ゴム組成物の加工性や耐摩耗性も向上することを見出した。
【0019】
ここで、ゴム組成物の熱分解によって回収されたカーボンブラックの亜鉛化合物の含有量は、13質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましい。回収カーボンブラックの亜鉛化合物含有量が13質量%を超えると、該回収カーボンブラックを配合したゴム組成物の耐破壊性や耐摩耗性が大幅に低下してしまい、特に、ゴム組成物の未加硫時の粘度が大幅に上昇して、加工性が大幅に悪化しまう。なお、回収カーボンブラックの亜鉛化合物含有量が10質量%以下の場合、回収カーボンブラックを配合したゴム組成物の耐摩耗性、加工性が特に良好となる。
【0020】
また、本発明者が、更に検討を進めたところ、廃タイヤ等のゴム製品からの回収部位を選択し、比表面積が大きな回収カーボンブラックを得、該比表面積が大きな回収カーボンブラックをゴム組成物に配合することで、ゴム組成物のゴム特性、特には、破壊特性が更に向上することを見出した。
【0021】
ここで、ゴム組成物の熱分解によって回収されたカーボンブラックのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は、80〜200m2/gの範囲であることが好ましく、100〜150m2/gであることが更に好ましい。回収カーボンブラックのCTAB比表面積が80m2/g未満の場合、回収カーボンブラックを配合したゴム組成物を適用したタイヤの耐摩耗性と低転がり抵抗性とのバランスを改良することは可能であるが、耐摩耗性が不十分であるため好ましくない。一方、回収カーボンブラックのCTAB比表面積が200m2/gを超える場合、回収カーボンブラックを配合したゴム組成物を適用したタイヤの耐摩耗性と低転がり抵抗性とのバランスを改良することは可能であるが、ゴム組成物の未加硫時の粘度が大幅に上昇して、加工性が悪化してしまうため好ましくない。なお、回収カーボンブラックのCTAB比表面積が100m2/g以上の場合、破壊特性及び耐摩耗性が特に良好となる。また、回収カーボンブラックのCTAB比表面積が150m2/g以下の場合、ゴム組成物の加工性が特に良好となる。
【0022】
本発明のゴム組成物に配合する回収カーボンブラックは、ゴム組成物の熱分解によって回収されたカーボンブラックである。ここで、原料のゴム組成物は、廃タイヤ等のゴム製品から適宜採取できる。そして、ゴム製品からの回収部位を適宜選択することで、上述のように、所望の亜鉛化合物の含有量、CTAB比表面積を有するカーボンブラックを得ることができる。なお、ゴム組成物の熱分解に先立って、原料とするゴム製品を裁断等してもよく、また、使用するゴム製品がスチールコード等を含む場合は、熱分解の前に取り除いておいてもよい。また、熱分解の温度は、300〜600℃の範囲が好ましく、更に、無酸素ガス中で行うことが望ましい。無酸素ガスは、酸素や酸化物以外のガス体であり、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、水素、メタン、プロパン等の可燃性ガスが挙げられる。
【0023】
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、特に限定されず、天然ゴム、合成ゴムを使用することができる。なお、該ゴム成分としては、ジエン系ゴムが好ましい。ここで、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)の他、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。これらゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
【0024】
上記回収カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜150質量部の範囲が好ましく、0.1〜100質量部の範囲が更に好ましい。回収カーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上の場合、廃タイヤ等のゴム製品の再利用を行いつつ、ゴム組成物の破壊特性を十分に向上させることができる。一方、回収カーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して150質量部以下の場合、ゴム組成物の加工性を低下させることなく良好に作業することができる。また、回収カーボンブラックの配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下の場合、ゴム組成物の加工性が特に良好となる。
【0025】
本発明のゴム組成物には、上述したゴム成分、回収カーボンブラックの他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、新品のカーボンブラックやシリカなどの充填剤、プロセスオイル等の軟化剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を本発明の効果が損なわれない範囲で含有させることができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のゴム組成物は、ゴム成分に、回収カーボンブラックと共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0026】
本発明のゴム組成物において、前述したゴム成分の加硫に硫黄を用いる場合、該硫黄としては特に制限はなく、従来、主鎖に二重結合を有するゴム成分の硫黄架橋に使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。該硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。本発明の組成物において、該硫黄の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.3〜10質量部の範囲が好ましい。硫黄の配合量が0.3質量部以上であればゴム成分が良好に加硫され、また、10質量部以下であれば加硫ゴムの耐老化性能が低下し難くなるので好ましい。
【0027】
また、本発明のゴム組成物に加硫促進剤を配合する場合、該加硫促進剤の配合量は、前記ゴム成分100質量に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましい。加硫促進剤の配合量が0.1質量部以上であれば加硫が良好に進行し、また、10質量部以下であれば加硫ゴムの耐老化性能が低下し難くなるので好ましい。
【0028】
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。上記のゴム組成物をトレッドに用いることでタイヤの耐摩耗性を向上させることができる。また、上記のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いることでタイヤの転がり抵抗を低減することができる。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造体に適用することができ、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤが空気入りタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
(回収カーボンブラックA、B、C、Dの製法)
熱分解炉内に廃タイヤの裁断品を投入し、熱分解炉内を窒素ガスで置換した後、炉内のガスを加熱し約500℃まで上昇させて、この温度を保持した。約4時間の加熱後、約12時間放置冷却して、熱分解炉内より炭化物を取り出した。該炭化物中には、タイヤ材料であるスチールコード等が含まれるため、余分なタイヤ材料をマグネットセパレーターで除去した。余分なタイヤ材料が除去された炭化物をハンマー式の粉砕機で粒径が50μm以下の微粉に粉砕し、ゴム配合用微細炭化物(回収カーボンブラック)を得た。なお、
回収カーボンブラックAはTBR用タイヤより得られたものであり、
回収カーボンブラックBは回収カーボンブラックAを更にミクロセパレータで粒径10μm以下にしたものであり、
回収カーボンブラックCはPSR用タイヤより得られたものであり、
回収カーボンブラックDは回収カーボンブラックCを更にミクロセパレータで粒径10μm以下にしたものである。
また、ここで言う「粒径」とは、図1に示す回収カーボンブラック1の最大径yをさす。
【0031】
(回収カーボンブラックE、Fの製法)
熱分解炉内にタイヤのバフ工程で発生したバフ粉を投入し、熱分解炉内を窒素ガスで置換した後、炉内のガスを加熱し約500℃まで上昇させて、この温度を保持した。約4時間の加熱後、約12時間放置冷却して、熱分解炉内より炭化物を取り出した。得られた炭化物をハンマー式の粉砕機で粒径が50μm以下の微粉に粉砕し、ゴム配合用微細炭化物(回収カーボンブラック)を得た。なお、
回収カーボンブラックEはTBR用タイヤのバフ粉より得られたものであり、
回収カーボンブラックFは回収カーボンブラックEを更にミクロセパレータで粒径10μm以下にしたものである。
【0032】
(回収カーボンブラックG、Hの製法)
熱分解炉内にタイヤのピーリング工程で発生したピーリングゴムを投入し、熱分解炉内を窒素ガスで置換した後、炉内のガスを加熱し約500℃まで上昇させて、この温度を保持した。約4時間の加熱後、約12時間放置冷却して、熱分解炉内より炭化物を取り出した。得られた炭化物をハンマー式の粉砕機で粒径が50μm以下の微粉に粉砕し、ゴム配合用微細炭化物(回収カーボンブラック)を得た。なお、
回収カーボンブラックGはTBR用タイヤのピーリングゴムより得られたものであり、
回収カーボンブラックHは回収カーボンブラックGを更にミクロセパレータで粒径10μm以下にしたものである。
【0033】
<カーボンブラックの特性測定>
上記のようにして得られた回収カーボンブラックのCTAB比表面積、亜鉛化合物含有量を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
【0034】
(1)CTAB比表面積
JIS K6217−3法に準拠して、各回収カーボンブラックのCTAB比表面積(m2/g)を測定した。
【0035】
(2)亜鉛化合物含有量
磁性丸型皿を予め750℃に設定された電気炉中で約1時間灼熱した後、デシケーター中で室温まで放冷し、重量を秤量する。この磁性皿の中に、105℃、1時間乾燥し、デシケーター中で室温まで放冷した回収カーボンブラックを入れる。それを電気炉中750℃で炭素分が認められなくなるまで灰化する。灰化後、デシケーター中で室温まで冷却する。この重量を直示天秤で秤量する。次式により、回収カーボンブラック中の灰分含有量を算出した。
灰分(%)=(灰化残分の質量/試料の質量)×100
次に、TEM(透過型電子顕微鏡)により灰分の元素分析を行い、灰分中のZnの割合(質量%)を求める。ここで、灰分中のZnはZnOで存在していると仮定し、次式で計算して、回収カーボンブラックの亜鉛化合物量とした。
亜鉛化合物量(質量%)=灰分中のZnの割合(%)×灰分(%)×(ZnOの分子量/Znの分子量)/100
【0036】
【表1】

【0037】
*1 廃タイヤ全体より回収されたカーボンブラック
*2 バフ粉より回収されたカーボンブラック
*3 ピーリングゴムより回収されたカーボンブラック
【0038】
<ゴム組成物の調製及び評価>
表2に従う配合処方のゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて混練して調製し、得られたゴム組成物のムーニー粘度、破壊強度、耐摩耗性を下記の方法で測定し、結果を表2に示す。
【0039】
(3)ムーニー粘度
JIS K6300−1994に準拠して、各ゴム組成物の125℃におけるムーニー粘度を測定し、N330級カーボンブラック(旭カーボン株式会社製)を配合した対照ゴム組成物の比較例1のムーニー粘度の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、ムーニー粘度が高く、加工性が悪いことを示す。
【0040】
(4)破壊強度
JIS K6301に準拠して、各ゴム組成物に対して、引張試験を行い、各ゴム組成物の引張り強さ(Tb)を測定し、比較例1の引張り強さの値を100として指数表示した。指数値が大きい程、引張り強さの値が大きく、破壊強度が高いことを示す。
【0041】
(5)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、スリップ率25%の条件で試験を行い、比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0042】
【表2】

【0043】
*4 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、JSR(株)製「SBR#1500」
*5 旭カーボン(株)製「#70」
*6 大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
*7 大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
*8 大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」
【0044】
表2から明らかなように、亜鉛化合物含有量が13質量%を超える回収カーボンブラックA及びBを配合した比較例2及び3のゴム組成物は、ムーニー粘度が大幅に上昇しており、加工性が悪いことに加え、破壊強度及び耐摩耗性も大幅に低下していた。
【0045】
これに対して、亜鉛化合物含有量が13質量%以下の回収カーボンブラックを配合した実施例1〜6のゴム組成物は、比較例3よりもムーニー粘度が低く、また、比較例2及び3よりも破壊強度及び耐摩耗性が向上していた。
【0046】
また、比較例2と比較例3の比較から、回収カーボンブラックのCTAB比表面積が80m2/g以上の場合、破壊強度及び耐摩耗性が向上するため、回収カーボンブラックのCTAB比表面積は80m2/g以上が好ましいことが分かるが、比較例3の結果から、回収カーボンブラックの亜鉛化合物含有量が13質量%を超えると、実施例1〜6に比べて破壊強度及び耐摩耗性が低下してしまうことが分かる。
【符号の説明】
【0047】
1 回収カーボンブラック
y 回収カーボンブラックの最大径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、
ゴム組成物の熱分解によって回収された亜鉛化合物の含有量が13質量%以下であるカーボンブラック
を含有することを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの配合量が0.1〜150質量部であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が80〜200m2/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックは、前記亜鉛化合物の含有量が10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム成分がジエン系ゴムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤ。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−1682(P2012−1682A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140345(P2010−140345)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】