説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】タイヤとした場合に耐摩耗性及びウエット性能を向上させつつ、転がり抵抗を低減することが可能なゴム組成物、さらには、かかるゴム組成物を用いた、耐摩耗性、ウエット性能及び転がり抵抗が高度にバランスされたタイヤの提供である。
【解決手段】(A)ゴム成分と、(B)燃焼ガス生成帯域、反応帯域及び反応停止帯域が連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックと、(C)分子内に、窒素原子及びケイ素原子を含む環状構造及び一つ以上の硫黄原子を有し、かつ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、(D)無機充填剤とを含み、前記ゴム配合用カーボンブラックが、一定の関係式を満たすゴム組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。更に詳しくは、本発明は、特に耐摩耗性及びウエット性能を向上させつつ、転がり抵抗を低減することが可能なゴム組成物、及びそれを含むタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー、省資源の社会的要請の下、自動車の燃料消費量を節約するため、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。このような要求に対し、タイヤの転がり抵抗を減少させる手法としては、カーボンブラックの使用量を低減したり、低級カーボンブラックを使用する等して、ヒステリシスロスの低下した、すなわち発熱性の低いゴム組成物をタイヤ部材、特にトレッドゴムに用いる方法が知られている。
しかしながら、使用するカーボンブラックの単純な減量は、ゴム組成物の耐摩耗性を低下させることがある。また、ゴム成分中に占めるポリブタジエンゴムの割合を増大させたり、ゴム組成物を高弾性化することによって、転がり抵抗を改善することもできるが、この場合、ゴム組成物の耐引裂き性が低下する問題があった。
【0003】
カーボンブラックは、厳密に制御された条件下において、ファーネス炉内で発生させた、あるいは、外部で発生されて炉内に導入された高温燃焼ガス中へ原料炭化水素を噴霧させ、この原料炭化水素の熱分解又は不完全燃焼により生産される産業上有用な原材料である。カーボンブラックは、ゴム配合時の組成物に対して機械的性質、特に引張り強さ、耐摩耗性などの特性を、飛躍的に向上させることができるという特異な性質を有することから、タイヤをはじめとする各種ゴム製品の充填補強材として広く用いられている。
ゴム配合用カーボンブラックは、その物理化学的特性、即ち、カーボンブラックを構成する単位粒子径、単位質量当たりの表面積(比表面積)、粒子のつながり具合(ストラクチャー)、表面性状などにより配合ゴム組成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム性能、使用される環境等によって各種特性の異なるカーボンブラックが選択的に使用されている。
【0004】
タイヤトレッド配合用カーボンブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段、例えば、より大きい比表面積、あるいはストラクチャーを有するカーボンブラックを採用した場合、上述したように、耐摩耗性と低発熱性は互いに相反する特性であり、この課題を解決するために種々の特性を有するカーボンブラックが提案されているが、カーボンブラック特性として、耐摩耗性の向上と転がり抵抗低減を同時に達成することは困難であった。
【0005】
そこで、優れた耐摩耗性と優れたヒステリシス特性(低発熱性)を同時に満たすカーボンブラックとして、例えば(1)DBP吸収量(DBP)が40〜250ml/100g、(2)圧縮操作後のDBP吸収量(24M4DBP)が35〜220ml/100g、(3)CTAB吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/g、(4)水素放出率(%)>0.260−0.000625×(CTAB)、(5)トルエン着色透過度が90%以上の特性を有するタイヤトレッドゴム配合用カーボンブラック(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
また、特定のプロセスにより得られた特定の性状を有するカーボンブラックを、所定の割合で含有することにより、これを配合したゴム組成物に優れた耐摩耗性と低発熱性の両方が付与されることも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
一方、近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が更に強まりつつあることに加え、自動車の運転時の安全性を更に向上させるために、タイヤの転がり抵抗を大幅に低減しつつ、制動性を大幅に向上させる技術が必要となっている。これに対して、ゴム組成物に使用される多数の充填剤の中でも、シリカは、タイヤの転がり抵抗を低くでき、且つタイヤの湿潤路面での制動性を改善できることが知られている。
【0007】
しかしながら、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物は、タイヤの転がり抵抗を低減し、湿潤路面における制動性(ウエット性能)を向上させ、操縦安定性を向上させるものの、未加硫粘度が高く、多段練り等を要するため、作業性に問題がある。そのため、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物においては、耐摩耗性が大幅に低下し、また加硫遅延や充填剤の分散不良等の問題を生じる。
【0008】
そこで、トレッド用ゴム組成物にシリカ等の無機充填剤を配合した場合、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、モジュラスや耐摩耗性を確保し、また、ヒステリシスロスを更に低下させるためには、シランカップリング剤を添加することが必須となっている。(例えば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−272734号公報
【特許文献2】国際公開2010/038768号パンフレット
【特許文献3】米国特許第3,842,111号
【特許文献4】米国特許第3,873,489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記シランカップリング剤は高価であるため、シランカップリング剤の配合によって、配合コストが上昇してしまう。また、分散改良剤の添加によっても、ゴム組成物の未加硫粘度が低下し、作業性が向上するが、耐摩耗性が低下してしまう。更に、分散改良剤がイオン性の高い化合物の場合には、ロール密着等の加工性の低下も見られる。また更に、充填剤としてシリカ等の無機充填剤を配合しつつ、従来のシランカップリング剤を添加しても、ゴム組成物のヒステリシスロスの低減と耐摩耗性の向上とを十分満足できるレベルにすることができず、依然として改良の余地が有ることが分かった。
また、前記特定のプロセスにより得られる特定の性状を有するカーボンブラックを配合した場合、充填剤としてシリカを用いていても、耐摩耗性、転がり抵抗の改善に比して、ウエット性能については十分な改善効果が得られていなかった。
【0011】
本発明は、このような状況下になされたもので、タイヤとした場合に耐摩耗性及びウエット性能を向上させつつ、転がり抵抗を低減することが可能なゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、かかるゴム組成物を用いた、耐摩耗性、ウエット性能及び転がり抵抗が高度にバランスされたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、分子内に窒素原子(N)とケイ素原子(Si)を含む環状構造を有し、かつ、一つ以上の硫黄原子(S)を有し、かつ、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤との反応速度が高いため、該有機ケイ素化合物を無機充填剤と共にゴム成分に配合することで、カップリング反応の効率が向上して、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させられる上、前記有機ケイ素化合物を前述の特定のプロセスにより得られた特定の性状を有するカーボンブラックと組み合わせて用いることで、タイヤにおけるウエット性能も向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(A)ゴム成分と、
(B)燃焼ガス生成帯域、反応帯域及び反応停止帯域が連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックと、
(C)分子内に、窒素原子及びケイ素原子を含む環状構造及び一つ以上の硫黄原子を有し、かつ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、(D)無機充填剤とを含み、
前記ゴム配合用カーボンブラックが、下記の関係式(1)及び(2)を満たすゴム組成物、
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
(ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。)
及び上記ゴム組成物を用いたタイヤを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タイヤとした場合に耐摩耗性及びウエット性能を向上させつつ、転がり抵抗を低減することが可能なゴム組成物、さらには、かかるゴム組成物を用いた、耐摩耗性、ウエット性能及び転がり抵抗が高度にバランスされたタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ゴム配合用カーボンブラックを製造するためのカーボンブラック製造炉の一例の部分縦断正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施形態により説明する。
<ゴム組成物>
まず、本実施形態のゴム組成物について説明する。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分と、燃焼ガス生成帯域、反応帯域及び反応停止帯域が連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックと、分子内に、窒素原子及びケイ素原子を含む環状構造及び一つ以上の硫黄原子を有し、かつ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、無機充填剤とを含み、前記ゴム配合用カーボンブラックが、下記の関係式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
(ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。)
【0017】
一般に、ゴム成分にカーボンブラックが配合されたゴム組成物においては、ゴム成分に対するカーボンブラックの分散性を向上させることにより、ゴム成分のヒステリシスロスが低減されるため、耐摩耗性及び転がり抵抗を向上させることができる。しかしながら、天然ゴムがブレンドされたゴム成分を用いる場合には、ヒステリシスロスの低減効果を更に向上させることが必要となる。なぜなら、通常の製造方法によって得られる天然ゴムは、天然ゴムラテックス中に含まれる非ゴム成分が残存することにより、その損失正接(tanδ)は高く、発熱性の低減効果が低い場合があるからである。
【0018】
これに対し、本実施形態のゴム組成物に用いるカーボンブラックは、トルエン着色透過度が特定の範囲を満たすため、表面に存在するタール分が充分少なく、カーボンブラックとゴム分子との複合化が効率的に起こる結果、ゴム組成物の耐摩耗性及び低発熱性を向上させることができる。
一方、分子内に窒素原子(N)とケイ素原子(Si)を含む環状構造を有し、かつ、一つ以上の硫黄原子(S)を有し、かつ、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤との反応速度が高いため、該有機ケイ素化合物を無機充填剤と共にゴム成分に配合することで、カップリング反応の効率が向上して、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させられる。
【0019】
本実施形態では、ゴム成分に特定のカーボンブラック及びシリカ等の無機充填剤を配合した場合でも、前記有機ケイ素化合物の作用により、タイヤの耐摩耗性、ウエット性能及び転がり抵抗を十分に向上させるゴム組成物を得ることができることが見出された。すなわち、本実施形態のゴム組成物では、カーボンブラックや無機充填剤の分散性が高いため、これらを所定量配合しても、ヒステリシスロスの低減効果等を確保することができ、これによって、ゴム組成物の耐摩耗性、ウエット性能を容易に向上させることができる。
【0020】
((A)ゴム成分)
本実施形態のゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、天然ゴム(NR)及び種々の合成ジエン系ゴムから選択される少なくとも1種が挙げられる。上記合成ジエン系ゴムの具体例としては、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、架橋ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム及びニトリルゴム等が挙げられる。これらのゴム成分は、変性されていてもよい。またこれらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
また上記のうちでは、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムを用いることが、より低発熱性、耐摩耗性などの特性が得られる点で好ましい。
【0021】
((B)ゴム配合用カーボンブラック)
本実施形態におけるゴム配合用カーボンブラックは、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させたのち、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られ、下記の関係式(1)及び(2)を満たすものである。
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。
【0022】
まず、本実施形態のゴム組成物に用いられるゴム配合用カーボンブラックの製造方法について説明する。
カーボンブラック製造炉内部は、燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを連接した構造であり、その全体は耐火物で覆われている。カーボンブラック製造炉は、燃焼帯域として、可燃性流体導入室と、炉頭部外周から酸素含有ガス導入管によって導入された酸素含有ガスを、整流板を用いて整流して可燃性流体導入室へ導入する酸素含有ガス導入用円筒と、酸素含有ガス導入用円筒の中心軸に設置され、可燃性流体導入室へ燃料用炭化水素を導入する燃料油噴霧装置導入管とを備える。燃焼帯域内では、燃料用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する。
【0023】
カーボンブラック製造炉は、反応帯域として、円筒が次第に収れんする収れん室と、収れん室の下流側に例えば4つの原料油噴霧口を含む原料油導入室と、原料油導入室の下流側に反応室とを備える。原料油噴霧口は、燃焼帯域からの高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入する。反応帯域内では、高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、原料炭化水素をカーボンブラックに転化する。
【0024】
図1は、当該ゴム配合用カーボンブラックを製造するためのカーボンブラック製造炉の一例の部分縦断正面説明図であって、カーボンブラックの原料(原料炭化水素)を含んだ高温ガスが導入される反応室10及び反応継続兼冷却室11を示す。図1に示すように、カーボンブラック製造炉1は、反応停止帯域として、多段急冷媒体導入手段12を有する反応継続兼冷却室11を備える。多段急冷媒体導入手段12は、反応帯域からの高温燃焼ガス流に対して、水などの急冷媒体を噴霧する。反応停止帯域内では、高温燃焼ガス流を急冷媒体により急冷して反応を終結する。
また、カーボンブラック製造炉1は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する装置を更に備えてもよい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。
このようにして、カーボンブラック製造において、反応ガス流が反応停止帯域に入るまでの各帯域における平均反応温度と滞留時間を制御して、トルエン着色透過度X、Y及びZを所望の値にすることにより、本実施形態のゴム組成物に用いられるゴム配合用カーボンブラックが得られる。
【0025】
ここで、本実施形態における各帯域について説明する。
燃焼帯域とは、燃料と空気との反応により高温ガス流が生成される領域であり、この下流端は原料油が反応装置内に導入される点(複数位置で導入される場合は最も上流側)、例えば原料油が導入される点よりも上流側(図1では左側)を指す。
また、反応帯域とは、原料炭化水素が導入された点(複数位置の場合は最も上流側)から反応継続兼冷却室11内の多段急冷水噴霧手段12(これらの手段は反応継続兼冷却室11内で抜き差し自在であり、生産する品種、特性により使用位置は選択される)の作動(水等の冷媒体を導入する)点までを指す。すなわち、例えば第3番目の原料油噴霧口で原料油を導入し、多段急冷媒体導入手段12で水を導入した場合、この間の領域が反応帯域となる。反応停止帯域とは、急冷水圧入噴霧手段を作動させた点よりも下側(図1では右側)の帯域を指す。
図1において、反応継続兼冷却室11という名称を用いたのは、原料導入時点から前記反応停止用急冷水圧入噴霧手段の作動時点までが反応帯域、それ以降が反応停止帯域であり、この急冷水導入位置が要求されるカーボンブラック性能により移動することがあるためである。
【0026】
本実施形態においては、前記のようにして得られたゴム配合用カーボンブラックは、下記の関係式(1)及び(2)
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
を満たすことが必要である。
前記Xは、原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−X)より急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、前記Zは、最後の急冷媒体導入手段(図1において、12−Z)により急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。すなわち、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックは、トルエン着色透過度が10%より高く、40%未満であって、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラック(ゴム配合用カーボンブラック)は、トルエン着色透過度が90%より高く、100%未満の範囲にあることが必要である。当該ゴム配合用カーボンブラックのトルエン着色透過度Zが90%以下であれば、該カーボンブラックは、その中に含有される重質タール成分が多く存在し、ゴムに対して十分な補強性を与えることができず、耐摩耗性が低下する。
また、前記Xが40以上であると、カーボンブラックの補強性が下がり、耐摩耗性が低下する。
【0027】
このような性状を有するゴム配合用カーボンブラックは、下記のように反応温度及び滞留時間を制御することにより、得ることができる。
すなわち、反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt1(秒)、この帯域での平均反応温度をT1(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−Y)により急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt2(秒)、この帯域での平均反応温度をT2(℃)とし、更に、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間(即ち、反応停止帯域通過までの帯域における滞留時間)をt3(秒)、この帯域内での平均反応温度をT3(℃)とした場合、下記の関係式(3)、(4)及び(5)
2.00≦α1≦5.00 ・・・(3)
5.00≦α2≦9.00 ・・・(4)
−2.5×(α1+α2)+85.0≦β≦90.0 ・・・(5)
(ただし、α1=t1×T1、α2=t2×T2、β=t3×T3である。)
を満たすように制御することにより、当該ゴム配合用カーボンブラックを得ることができる。
【0028】
カーボンブラック製造炉1は、炉内の温度をモニターするため、任意の数箇所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える。平均反応温度T1、T2、T3を算出するために、各工程(各帯域)で、少なくとも2箇所、望ましくは3〜4箇所の温度を測定することが好ましい。
更に、滞留時間t1、t2、t3の算出は、公知の熱力学的計算方法によって導入反応ガス流体の体積を算出し、次式により算出するものとする。尚、原料油の分解反応および急冷媒体による体積増加は無視するものとする。
・滞留時間t1(sec)={原料炭化水素導入位置から第1番目の急冷媒体導入位置までの反応炉内通過容積(m3)/ 反応ガス流体の体積(m3/sec)}
・滞留時間t2(sec)={第1番目の急冷媒体導入位置から第2番目の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m3)/ 反応ガス流体の体積(m3/sec)}
・滞留時間t3(sec)=第2番目の急冷媒体導入位置から最後の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m3)/ 反応ガス流体の体積(m3/sec)
【0029】
更に、当該ゴム配合用カーボンブラックとして、下記の関係式(6)、(7)及び(8)
20<X<40 ・・・(6)
50<Y<60 ・・・(7)
90<Z<95 ・・・(8)
(式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同じである。)
を満たすように制御して得られたものを好適に用いることができる。
なお、上記トルエン着色透過度は、JIS K 6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
【0030】
当該ゴム配合用カーボンブラックは、水素放出率が、0.3質量%を超えることが好ましい。この水素放出率が0.3質量%を超えると、本実施形態のゴム組成物は耐摩耗性が高く、かつ発熱性も小さくなる。該水素放出率は0.35質量%以上が好ましい。その上限は、通常0.4質量%程度である。
なお、上記水素放出率は、(1)カーボンブラック試料を105℃の恒温乾燥機中で1時間乾燥し、デシケータ中で室温まで冷却し、(2)スズ製のチューブ状サンプル容器に約10mgを精秤し、圧着・密栓し、(3)水素分析装置(堀場製作所EMGA621W)でアルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量分率で表示される。
【0031】
更に、当該ゴム配合用カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸収量(DBP)が95mL/100g以上220mL/100g以下であり、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90mL/100g以上200mL/100g以下であり、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70m2/g以上200m2/g以下であるものが好ましい。DBP、24M4DBP及びCTABが上記範囲にあることにより、ゴム組成物を十分に補強することができ、ゴム組成物の耐摩耗性を向上させることができる。
【0032】
上記DBPは100mL/100g以上200mL/100g以下であること、24M4DBPは100mL/100g以上180mL/100g以下であること、さらにCTABは80m2/g以上180m2/g以下であることが各々より好ましい。
なお、ジブチルフタレート吸収量(DBP)及び圧縮DBP吸収量(24M4DBP)は、ASTM D2414−88(JIS K6217−4:2001)に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の体積mLで表示される。また、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に記載の方法により測定され、カーボンブラック単位質量当たりの比表面積m2/gで表示される。
【0033】
本実施形態のゴム組成物は、前述したゴム成分100質量部に対して、前記ゴム配合用カーボンブラックを、10質量部以上250質量部以下の割合で含むことが好ましい。
前記カーボンブラックの含有量が10質量部未満では、ゴム組成物の補強効果が十分に発揮されず、所望の耐摩耗性が得られない場合がある。一方250質量部を超えると、低転がり抵抗などの所望の物性を有するゴム組成物が得られない場合がある。前記カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下であることが好ましく、30質量部以上120質量部以下であることがより好ましい。
なお、前記ゴム配合用カーボンブラックは、前述の方法で製造され、かつ前述した物性を有するものが用いられるが、該カーボンブラックの形態としては、例えばFEF、SRF、HAF、ISAF、ISAF−LS、SAF−LSなどが挙げられる。
【0034】
((C)有機ケイ素化合物)
本実施形態における有機ケイ素化合物は、分子内に、窒素原子(N)及びケイ素原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有し、かつ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有するものである。本実施形態における有機ケイ素化合物は、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造を有し、該環状構造は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を含む場合であっても、安定である。そのため、ケイ素−酸素結合(Si−O)が加水分解してアルコール成分が発生することがなく、使用中の揮発性有機化合物(VOC)ガスを低減することができる。
【0035】
また、本実施形態における有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤の表面との親和性が高いアミノ基、イミノ基、置換アミノ基、置換イミノ基等の含窒素官能基を含むため、窒素原子の非共有電子対が、有機ケイ素化合物と無機充填剤との反応に関与でき、カップリング反応の速度を速められる。但し、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造が二環性の構造の場合、ケイ素原子(Si)周辺の立体障害が大きいため、無機充填剤との反応性が低く、カップリング効率が大幅に低下してしまう。これに対して、本実施形態における有機ケイ素化合物は、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有するため、シリカ等の無機充填剤との反応性が高い。そのため、従来のシランカップリング剤に代えて、本実施形態における有機ケイ素化合物を無機充填剤配合ゴム組成物に添加することで、カップリング効率が向上し、その結果として、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能となる。また、本実施形態における有機ケイ素化合物は、添加効率が高いため、少量でも高い効果が得られ、配合コストの低減にも寄与する。さらに、本実施形態では、前述の特定の製造方法により得られるカーボンブラックと上記有機ケイ素化合物とを組み合わせることにより、カーボンブラックの分散が改良され、ゴム組成物をタイヤとしたときのウエット性能をも向上させることが可能となる。
【0036】
前記有機ケイ素化合物における立体障害の小さな基としては、水素原子(−H)、メチル基(−CH3)及びヒドロキシル基(−OH)から選択される少なくとも一種が好ましい。水素原子、メチル基又はヒドロキシル基がケイ素原子(Si)に結合している場合、有機ケイ素化合物と無機充填剤との反応性が特に高く、カップリング効率を大幅に向上させることができる。また、本実施形態における有機ケイ素化合物は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有することが好ましい。有機ケイ素化合物がケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有する場合、シリカ等の無機充填剤との反応性が高く、カップリング効率が更に向上する。
【0037】
本実施形態における有機ケイ素化合物として、より具体的には、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。また、該有機ケイ素化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
【化1】

【0039】
上記式中、Aは硫黄原子を含み且つゴム成分と反応する基であり、Wは−NR4−、−O−又は−CR45−(ここで、R5は−R6又は−Cm2m−R7であり、但し、R7は−NR46、−NR4−NR46又は−N=NR4であり、R4は−Cn2n+1、R6は−Cq2q+1であり、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10の整数である)で表される。また、R1及びR2はそれぞれ独立して−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、lは0〜10の整数である)で表わされ、但し、R1及びR2の一つ以上は、Mが−O−であり、R3は水素原子、メチル基及びヒドロキシル基のいずれかである。
【0040】
上記一般式(I)において、Aは、硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基である。一般式(I)で表される有機ケイ素化合物は、環状構造部分がシリカ等の無機充填剤と反応するため、分子内に更にゴム成分と反応する基を有することで、ゴム成分と無機充填剤とのカップリング能力を有することとなる。ここで、硫黄原子(S)を含み、かつゴム成分と反応する基は、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH2−O部分、S−CO−CO部分(チオジケトン基)、及びS−CH2−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
【0041】
上記一般式(I)において、Wは、−NR4−、−O−又は−CR45−で表わされ、ここで、R5は−R6又は−Cm2m−R7であり、但し、R7は−NR46、−NR4−NR46又は−N=NR4であり、R4は−Cn2n+1で、R6は−Cq2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10の整数である。なお、−Cm2m−は、mが0〜10の整数であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−Cn2n+1及び−Cq2q+1は、n及びqが0〜10の整数であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
【0042】
また前記一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれ独立して−M−Cl2l−で表され、ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、lは0〜10の整数である。但し、R1及びR2の一つ以上は、Mが−O−である。なお、−Cl2l−は、lが0〜10の整数であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0043】
上記一般式(I)において、R3は、水素原子、メチル基又はヒドロキシル基である。該R3は、立体障害が小さいため、ゴム成分と無機充填剤とのカップリング反応の向上に大きく寄与する。
【0044】
上記一般式(I)中のAは、下記一般式(II)又は一般式(III)で表されことが好ましい。
【0045】
【化2】

【0046】
ここで、一般式(II)中のW、R1、R2及びR3は前記一般式(I)の場合と同義であり、一般式(II)及び一般式(III)中のR8は、下記一般式(IV)又は一般式(V)或いは−M−Cl2l−で表わされ、一般式(III)中のR9は、下記一般式(VI)又は一般式(VII)或いは−Cl2l−R12で表わされ、一般式(II)及び一般式(III)中のxは1〜10の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、lは0〜10の整数である。なお、−Cl2l−については、上述の通りである。
【0047】
【化3】

【0048】
【化4】

【0049】
上記一般式(IV)及び一般式(V)において、Mは−O−又は−CH2−であり、l及びmは0〜10の整数である。また、上記一般式(IV)において、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR4−又は−CH2−であり、R10は−OR4、−NR46又は−R4であり、ここで、R4は−Cn2n+1で、R6は−Cq2q+1である。更に、上記一般式(V)において、R11は、−NR4−、−NR4−NR4−又は−N=N−であり、ここで、R4は−Cn2n+1である。なお、−Cn2n+1及び−Cq2q+1については、上述の通りである。
【0050】
また、上記一般式(III)中のR9は、上記一般式(VI)又は一般式(VII)、或いは−Cl2l−R12で表され、特には−Cl2l+1で表されることが好ましい。但し、M、X、Y、R10、R7、l及びmは前記と同義である。ここで、R12は、−NR46、−NR4−NR46、−N=NR4又は−M−Cm2m+1或いは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。但し、R4、R6、M、l及びmは前記と同義である。なお、−Cl2l−については、上述の通りであり、また、−Cm2m+1は、mが0〜10の整数であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチレン基、トリレン基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0051】
前記一般式(I)の化合物において、Mは−O−(酸素)であることが好ましい。この場合、Mが−CH2−である化合物と比べてシリカ等の無機充填剤との反応性が高い。
【0052】
また、前記Wが−NR4−で表される場合、前記R1及びR2はそれぞれ独立して−O−Cl2l−で表されることが好ましく、前記R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であり、前記R8は−Cl2l−で表されることが好ましく、前記R9は−Cl2l+1で表される直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0053】
一方、前記Wが−O−又は−CR46−で表される場合、前記R1及びR2はそれぞれ独立して−O−Cl2l−で表されることが好ましく、前記R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であり、前記R8は−Cl2l−で表されることが好ましく、前記R9は−Cl2l+1で表されることが好ましい。
【0054】
以上説明した本実施形態における有機ケイ素化合物は、例えば、(Cl2l+1O)23Si−A[式中、l、R3及びAは前記と同義である]で表される化合物に対し、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のアミン化合物を加え、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸や、チタンテトラn−ブトキシド等チタンアルコキシドを添加し、加熱して、2つのCl2l+1O−を−R1−W−R2−で表される二価の基で置換することで合成できる。
【0055】
本実施形態における有機ケイ素化合物として、具体的には、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(ヒドロキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(ヒドロキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(ヒドロ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(ヒドロ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−ブチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−ブチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0056】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)に対して、後述の無機充填剤(D)と上述の有機ケイ素化合物(C)とを配合してなるが、前記有機ケイ素化合物の含有量は、無機充填剤(D)の配合量に対し、1質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
有機ケイ素化合物(C)の含有量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させる効果、並びに耐摩耗性を向上させる効果を飽和させることなく十分に得ることができる。有機ケイ素化合物(C)の含有量は1質量%以上20質量%以下とすることがより好ましい。
【0057】
((D)無機充填剤)
本実施形態における無機充填剤(D)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらの中でも、補強性の観点から、シリカ及び水酸化アルミニウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填剤(D)がシリカの場合は、有機ケイ素化合物(C)は、シリカ表面のシラノール基との親和力の高い官能基及び/又はケイ素原子(Si)との親和性が高い官能基を有するため、カップリング効率が大幅に向上して、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させ、耐摩耗性を向上させる効果が一層顕著になる。
なお、前記シリカとしては、特に制限はなく、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等を使用することができ、一方、水酸化アルミニウムとしては、ハイジライト(登録商標、昭和電工製)を用いることが好ましい。
【0058】
上記シリカは、BET表面積が40〜350m2/gの範囲であることが好ましい。シリカのBET表面積が40m2/gに満たないと、該シリカの粒子径が大きすぎるために耐摩耗性が大きく低下する場合があり、また、シリカのBET表面積が350m2/gを超えると、該シリカの粒子径が小さすぎるためにヒステリシスロスが大きく増加してしまう場合がある。
【0059】
上記無機充填剤(B)の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5質量部以上140質量以下が好ましい。無機充填剤(B)の配合量を上記範囲とすることにより、作業性を悪化させることなく、ヒステリシスを低下させる効果を十分に得ることができる。無機充填剤(B)の配合量は1質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。
【0060】
(ゴム組成物の調製)
本実施形態のゴム組成物には、前記ゴム成分(A)、前記ゴム配合用カーボンブラック(B)、有機ケイ素化合物(C)及び無機充填剤(D)以外に、その他成分、例えば、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物は、ゴム成分と、配合ゴム用カーボンブラックと、適宜選択した各種配合剤とを配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー、インテンシブミキサー等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
【0061】
<タイヤ>
本実施形態のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに適用したことを特徴とする。ここで、本実施形態のタイヤにおいては、本実施形態のゴム組成物をトレッドに用いることが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐摩耗性、ウエット性能に優れると共に、転がり抵抗が低く低燃費性にも優れる。なお、本実施形態のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本実施形態におけるゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。また、本実施形態のタイヤが空気入りタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
<カーボンブラック及び有機ケイ素化合物の製造>
(カーボンブラックA)
図1に示すカーボンブラック製造炉を用いて、カーボンブラックAを製造した。ただし、図1において多段急冷媒体導入手段12として、第1番目の急冷媒体導入手段12−X、第2番目の急冷媒体導入手段12−Y及び最後の急冷媒体導入手段12−Zからなる3段急冷媒体導入手段を用いた。
また、製造炉内の温度をモニターするため、任意の数ヶ所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える上記製造炉を用いた。カーボンブラック製造炉において、燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。また、カーボンブラック製造炉の操作条件及びカーボンブラックの特性を表2に示す。なお、カーボンブラックのトルエン着色透過度、水素放出率、DBP吸収量、24M4DBP吸収量及びCTAB吸着比表面積は、明細書本文記載の方法に従って測定した。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
(有機ケイ素化合物A)
500mLの4つ口フラスコに、3−オクタノイルチオ−プロピルジエトキシメチルシラン60g、N−メチルジエタノールアミン20g(1.02eq)、チタンテトラ−n−ブトキシド0.8g、トルエン220mLを計量した。メカニカルスターラーで攪拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、20hPa /40℃にてロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、続いて、ロータリーポンプ(10Pa)とコールドトラップ(ドライアイス/エタノール)にて残存する揮発分を除去し、70gの黄色透明の液体[有機ケイ素化合物A]を得た。
【0067】
ガスクロマトグラフィー(GC)による分析結果で得られた液体は、10%の原料と90%の目的物からなることを確認した。また、得られた液体を1H−NMRで分析したところ、1H−NMR(CDCl3,700MHz,δ;ppm)=3.8(m;4H), 2.8(t;2H),2.5(m;6H),2.4(m;3H),1.6(m;4H), 1.3(m;8H),0.8(t;3H),0.7(t;2H),0.1(s;3H)であり、一般式(I)で表され、Aが一般式(III)であり、Wが−N(CH3)−で、R1が−O−CH2CH2−で(但し、O側がSiに連結)、R2が−O−CH2CH2−で(但し、O側がSiに連結)、R3が−CH3で、R8が−CH2CH2CH2−で、R9が−C715であり、xが1である化合物[即ち、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン]であることがわかった。
【0068】
(有機ケイ素化合物B)
500mLの4つ口フラスコに、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド40g、N−メチルジエタノールアミン20g(1.02eq)、チタンテトラ−n−ブトキシド0.8g、トルエン220mLを計量した。メカニカルスターラーで攪拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)フラスコをオイルバスで加熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、20hPa/40℃にてロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、続いて、ロータリーポンプ(10Pa)とコールドトラップ(ドライアイス/エタノール)にて残存する揮発分を除去し、50gの黄色透明の液体[有機ケイ素化合物B]を得た。ガスクロマトグラフィー(GC)による分析結果で得られた液体は10%の原料と90%の目的物からなることを確認した。
【0069】
また、得られた液体を1H−NMRで分析したところ、1H−NMR(CDCl3,700MHz,δ;ppm)=3.8(m;8H),2.7(t;4H),2.5(m;8H),2.4(m;6H),1.8(m;4H),0.7(t;4H),0.1(s;6H)であり、一般式(I)で表わされ、Aが一般式(II)であり、Wが−N(CH3)−で、R1が−O−CH2CH2−で(但し、O側がSiに連結)、R2が−O−CH2CH2−で(但し、O側がSiに連結)、R3が−CH3で、R8が−CH2CH2CH2−で、xが2である化合物[即ち、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド]であることがわかった。
【0070】
<実施例1〜4及び比較例1〜3>
下記第3表に示す配合処方とした各混合物を、バンバリーミキサーを使用して混練りし、未加硫のゴム組成物を得た。
また、得られた上記7種のゴム組成物を夫々乗用車用空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ195/60R15)のトレッド(トレッドキャップ部)に配設して、7種類の乗用車用空気入りラジアルタイヤを常法に従って製造し、それら7種類のタイヤを用い、下記の方法に従い、耐摩耗性、湿潤路面の制動性能(ウエット性能)及び転がり抵抗を評価した。評価結果を第3表に示す。
【0071】
(1)耐摩耗性
供試タイヤを車輌に装着し、4万km走行した時点での溝の減量を測定し、比較例2のタイヤの減量値の逆数を100として指数表示した。この値が大きいほど、耐摩耗性に優れる。
(2)ウエット性能
前記試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を、排気量2000ccの乗用車に4本装着し、テストコースの湿潤アスファルト路面にて、初速度70km/hrからの制動距離を測定した。比較例2の測定値を100とし、他例の値については、比較例2の制動距離÷供試タイヤの制動距離×100にて指数を求め指数表示した。従って、数値が大なる程良好である。
(3)転がり抵抗
ドラム上でフリー回転させた際の走行抵抗を測定した。これにより得た転がり抵抗値により、次式に従って転がり抵抗指数を求めた。数値が小さいほど、転がり抵抗は良好である。
転がり抵抗指数=(供試タイヤの転がり抵抗値×100)/(比較例2のタイヤの転がり抵抗値)
【0072】
【表3】

【0073】
[注]
1)天然ゴム:RSS#1
2)乳化重合SBR:JSR製、#1500
3)カーボンブラック(N220):旭カーボン製、#80
4)カーボンブラックA:カーボンブラックの製造で得たカーボンブラックA
5)シリカ:日本シリカ工業(株)製、ニップシールAQ(BET表面積:220m2/g)
6)シラン化合物:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
7)有機ケイ素化合物:有機ケイ素化合物の製造で得た有機ケイ素化合物A、B
8)老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
9)加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
【0074】
表3に示す結果から、本発明における特定のカーボンブラック、有機ケイ素化合物を配合していない比較例1に比べて、シラン化合物を有機ケイ素化合物として比較例2では耐摩耗性、ウエット性能及び転がり抵抗のいずれも向上するが、さらにカーボンブラックを本発明における特定のカーボンブラックとした実施例1では、前記3つの性能が格段に向上することがわかる。この両者を用いた向上効果は、カーボンブラックのみを特定のカーボンブラックとした比較例3と比較すると、特にウエット性能において特に大きいことがわかる。
【符号の説明】
【0075】
1 カーボンブラック製造炉
10 反応室
11 反応継続兼冷却室
12 多段急冷媒体導入手段
12−X 第1番目の急冷媒体導入手段
12−Y 第2番目の急冷媒体導入手段
12−Z 最後の急冷媒体導入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゴム成分と、
(B)燃焼ガス生成帯域、反応帯域及び反応停止帯域が連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックと、
(C)分子内に、窒素原子及びケイ素原子を含む環状構造及び一つ以上の硫黄原子を有し、かつ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、(D)無機充填剤とを含み、
前記ゴム配合用カーボンブラックが、下記の関係式(1)及び(2)を満たすゴム組成物。
10<X<40 ・・・(1)
90<Z<100 ・・・(2)
(ただし、Xは原料導入位置から、第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示し、Zは、最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)を示す。)
【請求項2】
前記有機ケイ素化合物における立体障害の小さな基が、水素原子、メチル基及びヒドロキシル基からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)で表される請求項1に記載のゴム組成物。
【化1】

[上記式中、Aは硫黄原子を含み且つゴム成分と反応する基であり、Wは−NR4−、−O−又は−CR45−(ここで、R5は−R6又は−Cm2m−R7であり、但し、R7は−NR46、−NR4−NR46又は−N=NR4であり、R4は−Cn2n+1、R6は−Cq2q+1であり、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10の整数である)で表される。また、R1及びR2はそれぞれ独立して−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、lは0〜10の整数である)で表わされ、但し、R1及びR2の一つ以上は、Mが−O−であり、R3は水素原子、メチル基及びヒドロキシル基のいずれかである。]
【請求項4】
前記一般式(I)におけるAが、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH2−O部分、S−CO−CO部分、及びS−CH2−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種である請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記一般式(I)におけるAが、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含む請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記一般式(I)におけるAが、下記一般式(II)または一般式(III):
【化2】

[一般式(II)中のW、R1、R2及びR3は前記一般式(I)の場合と同義であり、一般式(II)及び一般式(III)中のR8は、下記一般式(IV)または一般式(V):
【化3】

(一般式(IV)及び一般式(V)中、M、l及びmは一般式(I)の場合と同義であり、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR4−及び−CH2−のいずれか、R10は−OR4、−NR46及び−R4のいずれか、R11は−NR4−、−NR4−NR4−及び−N=N−のいずれか(但し、これらのR4及びR6は一般式(I)の場合と同義である))或いは−M−Cl2l−(ここで、M及びlは一般式(I)の場合と同義である)で表され、
一般式(III)中のR9は、下記一般式(VI)又は一般式(VII):
【化4】

(一般式(VI)及び一般式(VII)中、M、X、Y、R10、R7、l及びmは前記と同義である)或いは−Cl2l−R12(ここで、R12は−NR46、−NR4−NR46、−N=NR4及び−M−Cm2m+1のいずれか、或いは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、但し、R4、R6、M、l及びmは前記と同義である)で表され、一般式(II)及び一般式(III)中のxは1〜10の整数である]で表される請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記Mが−O−である請求項3または6に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記Wが−NR4−(ここで、R4は一般式(I)の場合と同義である)で表され、前記R1及びR2がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表され、前記R3が水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
前記R8が−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表され、前記R9が−Cl2l+1(ここで、lは一般式(I)の場合と同義である)で表される直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である請求項6または7に記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記Wが−O−または−CR46−(ここで、R4及びR6は上記と同義である)で表され、 前記R1及びR2がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表され、前記R3が水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
前記R8が−Cl2l−(ここで、lは一般式(I)の場合と同義である)で表され、前記R9が−Cl2l+1(ここで、lは一般式(I)の場合と同義である)で表される請求項6または7に記載のゴム組成物。
【請求項10】
天然ゴム及びジエン系合成ゴムの少なくともいずれかからなるゴム成分(A)100質量部に対して、無機充填剤(B)5質量部以上140質量部以下と、有機ケイ素化合物(C)を前記無機充填剤(B)の配合量の1質量%以上20質量%以下含む請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項11】
前記無機充填剤(B)が、シリカまたは水酸化アルミニウムである請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt1(秒)、この帯域での平均反応温度をT1(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt2(秒)、この帯域での平均反応温度をT2(℃)とし、更に、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt3(秒)、この帯域内での平均反応温度をT3(℃)とした場合、前記ゴム配合用カーボンブラックが、下記の関係式(3)、(4)及び(5)
2.00≦α1≦5.00 ・・・(3)
5.00≦α2≦9.00 ・・・(4)
−2.5×(α1+α2)+85.0≦β≦90.0 ・・・(5)
(ただし、α1=t1×T1、α2=t2×T2、β=t3×T3である。)
を満たすように制御して得られたものである請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項13】
前記ゴム配合用カーボンブラックが、下記の関係式(6)、(7)及び(8)
20<X<40 ・・・(6)
50<Y<60 ・・・(7)
90<Z<95 ・・・(8)
(式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同じである。)
を満たすように制御して得られたものである請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項14】
前記ゴム配合用カーボンブラックの水素放出率が、0.3質量%よりも高い請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項15】
前記ゴム配合用カーボンブラックにおけるジブチルフタレート吸収量(DBP)が95mL/100g以上220mL/100g以下であり、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90mL/100g以上200mL/100g以下であり、かつセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70m2/g以上200m2/g以下である請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなるタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−87173(P2012−87173A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232836(P2010−232836)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】