説明

ゴルフクラブシャフト用のフェアリング

グリップ領域(14)、ヘッド(15)、およびグリップ(14)とヘッド(16)とを接続するシャフト(12)を具備してなるゴルフクラブまたは用具。フェアリング(20)はシャフト(12)の後縁に対して取り付け可能である。フェアリングは、クラブまたは用具のスイング動作中のシャフト(12)に関連する抵抗を低減できる。フェアリングは、取り付け状態では、クラブまたは用具のヘッド(16)近傍の位置からシャフト(12)の一部に沿って延在できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つには、通常の使用中に動作させられる、用具、道具あるいはスポーツアイテム、たとえばゴルフクラブに関する。ある実施形態においては、本願は、使用中にそれが動かされるとき、スポーツアイテムの用具、道具の安定性および速度を増大させる潜在力を有する構成を開示する。繰り返すが、たとえば、ゴルフクラブの場合、当該構成は、ゴルフスイング中のゴルフクラブの安定性およびクラブヘッド速度の増大を実現するのに好適であってもよい。本願はまた、ゴルフスイングを訓練するための、そして練習中の使用のための改善手段を付加するための、そしてさらにプレーヤーおよびそのコーチにスイング中のフェードバックを提供するためのデバイスを開示する。
【0002】
本発明は、2007年11月20日に提出されたオーストラリア国仮特許出願第2007906349号の優先権を主張する(その内容はこの引用によって本明細書に組み込まれる)。
【背景技術】
【0003】
単なる実例として、ゴルフのゲームに関する、いくつかのコメントによって、背景がまず提供される。ゴルフは、性別を問わない人気のある娯楽であり、あらゆる年齢および能力の人々によってプレイされている。
【0004】
ゴルフは、さまざまなタイプのゴルフクラブを用いてプレイされる。ゴルフクラブは概して三つの形態(ウッド、アイアンおよびパター)をとるが、これは、クラブの形状およびクラブの意図された用途によって区別される。一般に「ウッド」と呼ばれるが、そうしたクラブは通常は金属あるいは合金から製造される。ウッドおよびアイアンは、概して、スピンおよび/またはロフトと共に空中で所望の距離だけボールを飛ばすのに使用され、一方、パターは、概して、ボールがホール付近のグリーンを横切って移動するときにボールに転がり運動を与えるために使用される。
【0005】
特にウッドおよびアイアンに関して、クラブは、通常、ボールに衝突するために高速で振られ、これによってボールは所望の目標に向かう方向に空中を飛ぶ。これに関しては、ゴルファーが打撃の後のドライバーショットの距離およびボールの方向をより良好にコントロールできるように、ウッドおよびアイアンの開発および製造に重点が置かれていた。概して、ほとんどの進歩はクラブヘッドのサイズの増大および/またはクラブの重量分布の最適化に焦点が合わされていた。ほとんどの既存のクラブは、依然として、ハンドグリップ、筒状シャフトおよびヘッドを有することは明らかである。
【0006】
ウッド、特にドライビングウッドに関して、クラブヘッド速度は、比較的長いドライビング距離を得るために重要であると考えられている。ほとんどの従来型のドライバーは、筒状シャフトの端部に配置された、ボールと衝突するための実質的にフラットな面を備えたクラブヘッドを有するので、クラブの高速でのスイングは、ゴルフスイング中のゴルフヘッドの速度および/または安定性を著しく低下させ得る空力抵抗を発生させる。そうした抵抗は、自身のゲームの最適化を模索しているゴルファーだけでなく、ゲームを学んでおりかつ/または自身のスイング技術を伸ばしているゴルファーにとって特に有害である。
【0007】
ゴルフクラブのデザインおよび製造はまた、非常に規制された分野であり、ゲーム機関によって定められた規則によって管理されている。クラブヘッドの特性はゴルフのルールによって管理されている。ゴルフクラブシャフトのデザインもまた管理されている。たとえば、ゴルフクラブのシャフトは、他のものと比べて、いずれかの面において、高い剛性を有することはできないことに留意されたい。これは、少なくとも部分的には、スイング中の「ホイップ」を可能としながら、前/後面内でクラブシャフト内の安定性が高まるのを阻止するためである。要するに、クラブシャフトは、全ての面において、その剛性に関して均一でなければならない。
【0008】
上記背景はゴルフクラブに注目しているが、ゴルフクラブは、使用中に空気中を移動させる必要がある、用具、スポーツ用品その他の一例に過ぎないことは明らかである。
【0009】
本明細書に記載された、文献、作用、素材、デバイス、用品などに関する説明は、単に、本発明に関するコンテクストを提供することを目的とするものである。これは、本願の優先日前にそれが実在するとき、こうした事柄の一部または全部が従来技術基礎の一部を形成し、あるいは本発明に関連する分野における共通の一般的な知識であるという認識として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明を通じて、「具備してなる」との語あるいはその変化形は、言及された要素、完全体またはステップ、あるいは要素、完全体あるいはステップの群を包含することを意味するが、その他の要素、完全体またはステップ、あるいは要素、完全体あるいはステップの群の排除を意味しないことに留意されたい。
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたはグリップ領域を有すると共に使用時に動作させられるその他の用具用のフェアリングを対象とし、当該フェアリングは、クラブのスイング動作またはデバイスの動作の中に、シャフトに関連する抵抗を低減するためにゴルフクラブまたは用具のシャフトに対して取り付け可能であり、取り付け状態では、フェアリングは、クラブまたはデバイスが通常保持されるグリップ領域から離れたクラブまたは用具の端部近傍位置から、シャフトの一部に沿って延在する。
【0012】
第2の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
グリップ領域をヘッドに対して接続するシャフトと、
クラブまたは用具のスイング動作中のシャフトに関連する抵抗を低減するためにシャフトに対して取り付け可能なフェアリングと、を具備してなり、
取り付け状態で、フェアリングは、クラブまたは用具のヘッド近傍の位置からシャフトの一部に沿って延在するようになっているゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0013】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
グリップ領域をヘッドに対して接続するシャフトと、
クラブまたは用具のスイング動作中のシャフトに関連する抵抗を低減するためにシャフトに対して取り付け可能な抵抗低減手段と、を具備してなり、
取り付け状態で、抵抗低減手段は、クラブまたは用具のヘッド近傍の位置からシャフトの一部に沿って延在するようになっているゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0014】
この態様では、抵抗低減手段は、他の態様に関して本明細書で規定されたフェアリングなどのフェアリングを具備してなることができる。
【0015】
ある実施形態では、フェアリングは、シャフトに、たとえばシャフトの後縁に対して取り外しできないように取り付け可能とすることができる。この実施形態では、フェアリングおよびシャフトは実質的に連続した面を形成してもよい。
【0016】
他の実施形態では、フェアリングは、シャフトに、たとえばシャフトの後縁に対して取り外しできるように取り付け可能とすることができる。
【0017】
さらなる実施形態では、フェアリングはヘッドに隣接してシャフトに取り付け可能とすることができる。それは、シャフトの長さの半分未満、さらに好ましくは三分の一未満の長さにわたってヘッドから離れる方向にシャフトに沿って延在できる。ある実施形態では、フェアリングは、約5cmないし60cmの、たとえば10cmないし50cm、あるいは約10cmないし30cmの長さにわたって、ヘッドからシャフトに沿って、あるいはシャフト、たとえばその後縁に沿って、約20cmにわたって、延在できる。
【0018】
さらに他の実施形態では、フェアリングは、シャフトの直径と実質的に等しいか、あるいはそれよりも僅かに小さな最大厚みを有することができる。この幅は、用具の性質に依存する。たとえば、ゴルフクラブの場合、その最大値において、幅は、約5mmないし20mm、たとえば約15mあるいはそれ未満であってもよい。フェアリングの少なくとも一部はまた、それがシャフトの後縁に一致するように形作られてもよい。その上さらなる実施形態では、フェアリングはシャフトから離間させられてもよい。ある例では、この間隔は、約5mmないし30mm、たとえば約20mmであってもよい。この値を有する間隔は、ヘッドに相対的に最も近接したフェアリングの下端とシャフトとの間であってもよい。
【0019】
ある実施形態では、フェアリングの厚みはシャフトから離れる方向に減少してもよい。この厚みの減少は、フェアリングの幅の一部あるいは全体にわたって均一であっても、非均一であってもよい。
【0020】
ある実施形態では、そしてゴルフクラブの場合には、フェアリングの幅は、フェアリングの下端がクラブのヘッドの幅よりも大きい距離だけシャフトから後方に延在するようなものであってもよい。この下端は、ヘッドの寸法(たとえば幅、長さあるいは高さ)の一つと同じかあるいはそれよりも短い距離にわたって後方に突出できる。
【0021】
フェアリングは、その下端から、ヘッドから離れて位置させられた上端まで、幅が減少してもよい。ある実施形態では、この幅はフェアリングの長さの一部あるいは全体にわたって先細りしていてもよい。その上さらに、この先細りは下端から上端まで実質的に直線状あるいは直線状であってもよい。他の実施形態では、フェアリングはその下端から上端まで幅が増大してもよい。繰り返すが、幅はフェアリングの長さの一部あるいは全体にわたって先細りしていてもよい。上記のとおり、この先細りは下端から上端まで実質的に直線状あるいは直線状であってもよい。
【0022】
その上さらなる実施形態では、フェアリングは、たとえば一つ以上のスイベル機構によって、シャフトに対して取り付け可能とすることができ、この結果、それはシャフトに対して動くことができる。ゴルフクラブの場合、そして、クラブのスイング動作の間、フェアリングはシャフトに対して自由に動くことができる。これに関して、スイング動作の間、動作の方向に対するフェアリングの取り付け角は変化し得る。そうした変化は、スイング動作を通して、最適な抵抗軽減を実現するように機能し得る。
【0023】
フェアリングは、それがさまざまな所望のポジション間で方向付けできるように、シャフトに対して可動であってもよい。いったん所望のポジションとなると、フェアリングはこのポジションで維持されるかまたはロックされると共に、クラブまたは用具の使用中および/またはフェアリングの当該ポジションを調整することが望まれる間は、そこに留まることができる。この実施形態では、フェアリングがシャフトに対して動くことを、そして、その後、適所でロックすることを可能とする一つ以上のスイベル機構が設けられてもよい。他の機構では、シャフトに対するフェアリングの取り付けは、まずシャフトから取り外し、その後、異なる向きで再取り付けすることによって、フェアリングが向きの変化のみを受け得るようなものであってもよい。フェアリングは、シャフトに対して、二つ以上の向きをとることができる。
【0024】
ある実施形態では、フェアリングの取り付けは、それが実施形態にシャフトの剛性を変化させない方法でなされてもよい。フェアリングは、数多くの離間した位置でシャフトに対して取り付けることができる。この位置は、等間隔であっても、あるいは不等間隔であってもよい。取り付け具は、シャフトの取り囲むようにかつ/またはそれを貫通してループをなすと共にフェアリングを貫通するかあるいは他の方法でそれに対して接続された環状部材を備えていてもよい。取り付け具は環状あるいは非環状部材を備えていてもよい。ある実施形態では、取り付け具は、シャフトに埋め込まれるかあるいはさもなければシャフトに対して連結されたペグ部材からなっていてもよく、この場合、フェアリングはシャフトから外側に延在するペグ部材の一部に対して取り付けられる。
【0025】
環状部材、非環状部材あるいはペグ部材などの取り付け具は、こうした部材の特性がクラブシャフトの全体剛性を著しく変えないことを保証するために、フェアリングおよび/またはシャフトの寸法に比べて、相対的に薄いものであってもよい。取り付け具はまた、シャフトが振り動かされ、そしてたとえばボールを打つときにフェアリングが実質的にシャフトの曲げ機能を妨げないことを保証するように形成されかつ/または配置されてもよい。他の実施形態では、フェアリングは、シャフトのスイング中に、シャフトと同程度に、それが少なくとも部分的に撓むことを可能とするよう面取りされてもよい。
【0026】
ある実施形態では、取り付け具はフェアリングおよび/またはシャフトから取り外し可能であってもよい。一組の取り付け具が、異なるフェアリングをシャフトに対して取り付けるために使用できる。たとえば、プレーヤーがトレーニング中あるいはビギナーである場合、当該プレーヤーは、シャフトに対して搭載されるか取り付けられたあるサイズまたはタイプのフェアリングを用いることから、他のサイズまたはタイプのフェアリングへと徐々に移行してもよい。取り付け具は、異なるタイプのフェアリングの取り付けを可能とするために使用できる。
【0027】
さらに他の実施形態では、フェアリングは湾曲本体を有することができる。フェアリングは、水平面および/または垂直面に対して湾曲していてもよい。
【0028】
他の実施形態では、フェアリングは、その一方または両方が湾曲した第1の面および第2の面を有していてもよい。第1および第2の面の湾曲はいずれも凸状であってかつ遠位エッジにおいて終端をなしていてもよく、あるいはフェアリングは先端が切り取られた形状であってもよい。
【0029】
他の実施形態では、第1の面の湾曲は凸状であってもよい。この場合、第2の面は平坦でも、凹状でも、あるいは凸状でもよい。第2の面が凸状である場合、第1の面は平坦でも、凹状でも、あるいは凸状でもよい。この実施形態では、第1および第2の面間の距離は、フェアリングの一部、大部分あるいは全体にわたって一定のままであってもよい。他の実施形態では、第1の凸面と第2の凹面との間の距離は、シャフトから離れたフェアリングのエッジに向かって減少してもよい。
【0030】
湾曲本体、第1の面(湾曲している場合)および/または第2の面(湾曲している場合)の湾曲の一部または全体は、実質的に円形あるいは円形、実質的に楕円形あるいは楕円形、実質的に放物線状あるいは放物線状、あるいは実質的に双曲線状あるいは双曲線状であってもよい。ある実施形態では、湾曲は、断面に関して、実質的に非円形であってもよい。ある形態では、本体は、シャフトはエーロフォイル形態であってもよく、かつ、断面に関して、翼形状あるいはブレード形状であってもよい。他の実施形態では、本体は、断面に関して、略長円形あるいは長円形、略楕円形あるいは楕円形、あるいは涙滴形状であってもよい。その他の適当な断面形状が採用できる。
【0031】
その上さらに、フェアリングの断面形状はフェアリングの高さにわたって変化してもよい。たとえば、フェアリングの概ね上側半分の断面形状は、フェアリングの下側半分におけるそれとは異なっていてもよい。
【0032】
フェアリングの本体の一部あるいは全体は相対的に軽量な物質から形成されてもよい。単なる例として、この本体は、少なくとも部分的に、カーボンファイバー、プラスチック材、あるいは木材、あるいはその組み合わせから形成されてもよい。
【0033】
その上さらなる実施形態では、フェアリングの本体はまた、空気がその中を通過するかあるいはその上を通過する際に音を発生させる、それ自体に設けられた、一つ以上の孔あるいはオリフィスあるいはその他のホイッスル手段を有することができる。音(通常はホイッスルの形態である)は、スイング中のクラブまたは用具の動作に関して、クラブまたは用語の個々のユーザーに対して、あるいはユーザーを教育する人(たとえばトレーナーあるいはコーチ)に対してフィードバックを提供するのに使用できる。フェアリングおよび/またはクラブヘッドに取り付けられた、その他のホイッスルデバイスあるいはホイッスル手段も考えられ、本明細書で説明するのと同じ目的のために使用できる。
【0034】
ホイッスル手段によって提供されるフィードバックは、個人の必要性を満たすためにシャフトに対するフェアリング角度を調整するために個人またはそのトレーナー/コーチによって利用可能である。これに関して、ホイッスル手段(もし使用される場合)は、ストローク中のクラブの動きを示す、さまざまな音を発生させる角度でフェアリングによって形成可能である(異なる音は異常回転のさまざまな角度を意味する)。このシステムに基づいてフェアリングのポジションを最適化するとき、最適な方向であると特定されたものに基づいて、恒久的フェアリングを個人のクラブまたは用具のシャフトに対して取り付けることができる。
【0035】
プレーヤーは、たとえばゴルフ練習場において、ゴルフクラブの場合に、練習中にのみ使用されるクラブまたは用具を使用できるであろうことは明らかである。クラブまたは用具は、本明細書中に開示された特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含むであろうが、クラブまたは用具はおそらく練習に使用されるだけであることは明らかである。なぜなら、それは、おそらく、たとえば関連するスポーツのルール、たとえばゴルフのルールに合致しないであろうからである。代わりに、この練習用クラブあるいは用具は、ユーザーのスイングを強化し、ガイドし、そして発達させるために使用されるであろう。特に練習クラブは、本明細書中で説明した特徴の一つ、いくつかあるいは全てを用いて可能となった設定および調整の変更が、ゴルファースイング、ボール打撃および楽しみを改善することを可能とするよう、コーチあるいはプロゴルファーのガイドおよび手助けと共に使用可能である。
【0036】
本明細書に開示する特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含むゴルフクラブはまた、彼らがゴルフスイングを発達される間にプレーヤーによってなされる進歩に適合するよう改変することが可能である。
【0037】
シャフトは、その残部に対して、より大きな断面幅あるいは直径を有する領域を有することができる。より大きな領域は、サイズが変化してもよい(たとえばテーパー)。たとえば、シャフト領域は円錐台であってもよい。より大きな領域は、その長さにわたって直径が均一に増大しても、あるいはその長さにわたって直径が非均一に増大してもよい。さらにあるいはこれに代えて、当該領域は一連の段状部を備えていてもよく、この場合には、直径は(たとえば円錐台状に)増大し、続いて一定になり、縮小あるいはより大きな直径へと外側に進み、そして上述したようにして直径が再び増大する。当該領域の直径は、グリップ領域から離れる方向にシャフトに沿って移動するときに増大してもよい。あるいは、当該領域の直径は、グリップ領域から離れる方向にシャフトに沿って移動するときに減少してもよい。上記大きな領域のグリップ領域に向かう直径の増大は、グラブまたは用具のスイング中に生じるシャフト速度の変化に実質的に合致するかあるいは意図的に合致しないレートであってもよく、スイング中、グリップ領域に近いシャフトの速度はヘッドに近いそれよりも低いことに留意されたい。
【0038】
より大きな断面幅あるいは直径を有する上記領域は、グリップ領域に近いシャフトの半分に存在しても、クラブヘッドに近いシャフトの半分に存在しても、あるいはグリップ領域とヘッドとの間のハーフウェイマークに少なくとも部分的に広がっていてもよい。
【0039】
クラブまたは用具のシャフトの直径は、そのスイング中のシャフトが、ボールに衝突する前に剥離速度に達するようなものとすることができる。剥離速度、すなわち空気流がシャフトから剥離する速度において、抵抗は少なくとも、ある程度低減させる。
【0040】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
グリップ領域をヘッドに対して接続するシャフトと、を具備してなり、
シャフトは、当該シャフトの残部に対して、より大きな断面幅あるいは直径を有する領域を備えるゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0041】
この態様では、より大きな領域はサイズが変化しても、たとえば先細りしていてもよい。たとえば、より大きな領域は円錐台であってもよい。より大きな領域は、その長さにわたって均一に直径が増大しても、あるいはその長さにわたって非均一に直径が増大してもよい。当該領域は一連の段状部を備えていてもよく、この場合には、直径は(たとえば円錐台状に)増大し、続いて一定になり、縮小あるいはより大きな直径へと外側に進み、そして上述したようにして直径が再び増大する。当該領域の直径は、グリップ領域から離れる方向にシャフトに沿って移動するときに増大してもよい。あるいは、当該領域の直径は、グリップ領域から離れる方向にシャフトに沿って移動するときに減少してもよい。上記大きな領域のグリップ領域に向かう直径の増大は、グラブまたは用具のスイング中に生じるシャフト速度の変化に実質的に合致するかあるいは意図的に合致しないレートであってもよく、スイング中、グリップ領域に近いシャフトの速度はヘッドに近いそれよりも低いことに留意されたい。
【0042】
上記のより大きな領域は、グリップ領域に近いシャフトの半分に存在しても、クラブヘッドに近いシャフトの半分に存在しても、あるいはグリップ領域とヘッドとの間のハーフウェイマークに少なくとも部分的に広がっていてもよい。
【0043】
この態様のゴルフクラブまたは用具はさらに、本明細書に開示されたその他の特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含んでいてもよい。
【0044】
本明細書において規定する態様の全てのさらに他の実施形態では、シャフトの一部、大部分、あるいは全体は、断面に関して、実質的に円形あるいは円形であってもよい。他の実施形態では、シャフトの一部、大部分、または全体は、断面に関して、実質的に非円形であってもよい。ある形態では、シャフトの一部、大部分、または全体は、エーロフォイル形態であってもよく、かつ、断面に関して、翼形状あるいはブレード形状であってもよい。他の実施形態では、シャフトの一部、大部分、または全体は、断面に関して、略長円形あるいは長円形、略楕円形あるいは楕円形、あるいは涙滴形状であってもよい。
【0045】
他の実施形態では、シャフトは、前縁、後縁、ならびにこれら前縁と後縁との間で延在する第1の面および第2の対向面を有することができる。シャフトの第1および/または第2の面の一部または全体は湾曲していてもよい。湾曲している場合、第1および第2の面の湾曲はいずれも凸状であってもよい。
【0046】
他の実施形態では、シャフトの第1の面の湾曲は凸状であってもよい(湾曲している場合)。この場合、シャフトの第2の面は平坦でも、凹状でも、あるいは凸状であってもよい。シャフトの第2の面が凸状である場合、第1の面は平坦でも、凹状でも、あるいは凸状であってもよい。第1の面が凸状でかつ第2の面が凹状である場合(その逆の場合も同じ)、シャフトの第1および第2の面間の距離は、シャフトの幅の一部、大部分あるいは全体にわたって一定のままであってもよい。他の実施形態では、第1の凸状面と第2の凹状面との間の距離(その逆の場合も同じ)は、シャフトの前縁および後縁の一方または両方に向かって減少してもよい。
【0047】
シャフトの第1の面(湾曲している場合)および/または第2の面(湾曲している場合)の湾曲の一部または全体は、実質的に円形あるいは円形、実質的に楕円形あるいは楕円形、実質的に放物線状あるいは放物線状、あるいは実質的に双曲線状あるいは双曲線状であってもよい。ある実施形態では、湾曲は、断面に関して、実質的に非円形であってもよい。
【0048】
シャフトにとって好適なその他の断面形状も考えられる。その断面に関係なく、シャフトは、全ての面に関して、等しいフレキシビリティを有していてもよい。これは、シャフトを形成する際に、素材の異なる組み合わせおよび/またはさまざまな特性を備えた素材を使用することによって実現できる。
【0049】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
グリップ領域をヘッドに対して接続するシャフトと、を具備してなり、
シャフトの一部、大部分あるいは全体は、非円形断面領域を有するゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0050】
この態様では、シャフトはエーロフォイル形態を有することができる。シャフトは実質的に、断面に関して、翼形状あるいはブレード形状であってもよい。
【0051】
この態様の他の実施形態では、シャフトの一部、大部分あるいは全体は、断面に関して、略長円形あるいは長円形、略楕円形あるいは楕円形、あるいは涙滴形状であってもよい。
【0052】
この態様の他の実施形態では、シャフトは、前縁、後縁、および前縁と後縁との間で延在する第1の面および対向する第2の面を有することができる。シャフトの第1および/または第2の面の一部あるいは全体は湾曲していてもよい。湾曲している場合、第1および第2の面の湾曲はいずれも凸状であってもよい。
【0053】
この態様の他の実施形態では、シャフトの第1の面の湾曲(湾曲している場合)は凸状であってもよい。この場合、シャフトの第2の面は、平坦であっても、凹状であっても、凸状であってもよい。シャフトの第2の面の湾曲が凸状である場合、第1の面は平坦であっても、凹状であっても、凸状であってもよい。第1の面が凸状で、かつ、第2の面が凹状である場合、シャフトの第1および第2の面間の距離は、シャフトの幅の一部、大部分、あるいは全体にわたって一定のままであってもよい。他の実施形態では、第1の凸状面と第2の凹状面との間の距離は、シャフトの前縁および後縁の一方あるいは両方に向かって減少してもよい。
【0054】
シャフトの第1の面(湾曲している場合)および/または第2の面(湾曲している場合)の湾曲の一部または全体は、実質的に円形あるいは円形、実質的に楕円形あるいは楕円形、実質的に放物線状あるいは放物線状、あるいは実質的に双曲線状あるいは双曲線状であってもよい。ある実施形態では、湾曲は、断面に関して、実質的に非円形であってもよい。
【0055】
その断面に関係なく、シャフトは、全ての面に関して、等しいフレキシビリティを有していてもよい。これは、シャフトを形成する際に、素材の異なる組み合わせおよび/またはさまざまな特性を備えた素材を使用することによって実現できる。
【0056】
この態様のゴルフクラブまたは用具はさらに、本明細書に開示されたその他の特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含むことができる。
【0057】
本明細書にて規定された態様のその上さらなる実施形態では、シャフトおよび/またはヘッドおよび/またはフェアリングの少なくとも一部、大部分または全体は、表面処理部の領域にわたって空気流を変える表面処理部を有することができる。表面処理部は、上記シャフト、ヘッドあるいはフェアリングの当該部分の表面に形成されたディンプリングを備えていてもよい。グリップ領域に向かってヘッドから後方に延在するシャフトの一部が表面処理部を有していてもよい。これに代えてあるいは加えて、表面処理部は、シャフトの前縁の少なくとも一部または全体に設けられていてもよい。その上さらなる実施形態では、表面処理部、たとえばディンプリングは、上記部分にわたって同一であってもよく、あるいは上記部分にわたって変化していてもよい。さらに他の実施形態においては、一つ以上のタイプの表面処理部(一例がディンプリングである)は、シャフト、ヘッドあるいはフェアリング上の異なる位置に存在し得る、異なるタイプの表面処理部を備えることができる。ディンプリングは、シャフト、ヘッドあるいはフェアリングの上記部分あるいは全体に形成された複数のディンプルを備えていてもよい。ディンプルの一部あるいは全ては、上記部分に列をなして設けられてもよい。あるいは、複数のディンプルの一部または全ては上記部分にランダムに設けられてもよい。ディンプルのそれぞれは同一であっても、あるいはディンプルの少なくとも一部は他のディンプルの一部とは異なっていてもよい。各ディンプルはある深さおよび直径を有することができる。ディンプルの全てが同じ深さおよび/または直径を有していてもよく、あるいはディンプルの少なくとも一部または全てが他のディンプルの少なくとも一つとは異なる深さおよび/または直径を有していてもよい。ディンプルは円形あるいは非円形外周を有していてもよい。ディンプルの直径は約0.5mmないし10mm、好ましくは約1mmないし7mmの範囲にわたっていてもよい。ディンプルの最大深さは、約0.1mmないし10mm、好ましくは約1mmないし4mmの間で変化し得る。
【0058】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
グリップ領域をヘッドに接続するシャフトと、を具備してなり、
シャフトの少なくとも一部は、シャフトの少なくとも当該部分にわたって空気流を変える表面処理部を有するゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0059】
この態様においては、表面処理部は、上記シャフトの上記部分の表面に形成されたディンプリングを備えていてもよい。グリップ領域に向かってヘッドから後方に延在するシャフトの一部が表面処理部を有していてもよい。これに代えてあるいは加えて、表面処理部は、シャフトの前縁の少なくとも一部または全体に設けられていてもよい。その上さらなる実施形態では、表面処理部、たとえばディンプリングは、上記部分に同一であってもよく、あるいは上記部分にわたって変化していてもよい。さらに他の実施形態においては、一つ以上のタイプの表面処理部(一例がディンプリングである)は、シャフト、ヘッドあるいはフェアリング上の異なる位置に存在し得る、異なるタイプの表面処理部を備えることができる。ディンプリングは、シャフトの上記部分あるいは全体に形成された複数のディンプルを備えていてもよい。複数のディンプルの一部あるいは全ては、上記部分に列をなして設けられてもよい。あるいは、複数のディンプルの一部または全ては上記部分にランダムに設けられてもよい。ディンプルのそれぞれは同一であっても、あるいはディンプルの少なくとも一部は他のディンプルの一部とは異なっていてもよい。各ディンプルはある深さおよび直径を有することができる。ディンプルの全てが同じ深さおよび/または直径を有していてもよく、あるいはディンプルの少なくとも一部または全てが他のディンプルの少なくとも一つとは異なる深さおよび/または直径を有していてもよい。ディンプルは円形あるいは非円形外周を有していてもよい。ディンプルの直径は約0.5mmないし10mm、好ましくは約1mmないし7mmの範囲にわたっていてもよい。ディンプルの最大深さは、約0.1mmないし10mm、好ましくは約1mmないし4mmの間で変化し得る。
【0060】
この態様のゴルフクラブまたは用具はさらに、本明細書において開示された他の特徴の一つ、いくつか、あるいは全てを含んでいてもよい。ゴルフクラブまたは用具がフェアリングを含む場合、このフェアリングの少なくとも一部、大部分または全体はまた、本明細書において規定されたような表面処理部を有していてもよい。ゴルフクラブまたは用具のヘッドの少なくとも一部、大部分または全体はまた、明細書において規定されたような表面処理部を有していてもよい。
【0061】
本明細書において規定された態様のそれぞれに関して、クラブまたは用具の特性は、適切な解析によって特定されたプレーヤーのスイングの特徴に適するよう最適化できる。これに関して、異なるクラブまたは用具は、それに対して特定のクラブまたは用具の組み合わせが適した、プレーヤーあるいはプレーヤースイングのタイプを区別する目印、たとえばカラーコードを有していてもよい。
【0062】
本明細書で規定された態様の全てのさらなる実施形態においては、ヘッドは、その上面がその下面よりも短い空気流路を提供するよう形成可能である。ある実施形態では、ヘッドは、実質的に逆転した航空機翼のような水平断面を有していてもよい。ヘッドの形状は、これによって、空気中を移動するとき、ヘッドの上面に正の空気圧を、そしてヘッドの下側により低い圧力を生み出すことができる。こうした構造においては、そしてゴルフクラブの場合には、ヘッドがクラブのスイング中に地面に達するとき、そしてボールに衝突する直前に、クラブヘッドは地面に引き寄せられ、これがスイングの衝突段階の直前およびその段階中にクラブを安定化させる。クラブの地面効果を低減するためのその他の手段を採用できることは明らかである。そうした手段は、スイングストローク中のヘッドの空気流特性を変えるために、ヘッドの表面に、溝、孔、オリフィスを設けること、あるいはその他の表面処理部を用いることを含んでいてもよい。
【0063】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
グリップ領域をヘッドに接続するシャフトと、を具備してなり、
ヘッドの上面は、ヘッドの下面上の少なくとも一つの空気流路よりも相対的に短い、少なくとも一つの空気流路を提供するゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0064】
この態様においては、ヘッドは逆転した航空機翼に類似した側断面を有することができ、これによって、ヘッドのスイング中、ヘッドの上面に正の空気圧を、そしてクラブヘッドの下側により低い圧力が形成される。この構造では、そしてゴルフクラブの場合、クラブのスイング中にヘッドが地面に近づくとき、そしてボールと接触する直前に、クラブヘッドは地面に向かって吸引され、これが、スイングの打撃段階直前およびその段階中にクラブを安定させる。クラブの地面効果を低減するためのその他の手段も採用可能であることは明らかである。そうした手段としては、スイングストローク中のヘッドの空気流特性を変更するために、溝、孔あるいはオリフィスを設けること、あるいはヘッドの表面のその他の表面処理部を使用することが挙げられる。
【0065】
この態様のゴルフクラブはさらに、本明細書に開示されたその他の特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含むことができる。
【0066】
本明細書中で規定する態様のさらなる実施形態では、相対的に重い物質、たとえば相対的に重い金属をクラブヘッド内で使用すること、あるいはそれに搭載可能とすることができる。ある実施形態では、相対的に重い物質はパラジウムであってもよい。この相対的に重い物質の存在は、そのスイング中に、所与のクラブヘッドのモーメントを増大させるのに役立ち得る。この相対的に重い物質はまた、個々のスイングまたはボール打撃のある自然な欠点に抗するために偏心的に配置されてもよい。ある実施形態では、ゴルファーは、ゲームクラブ内の物質に関する最終的な所望のポジションの決定を可能とするために、相対的に重い物質の調整可能な位置決めを実現する練習クラブを使用できる。
【0067】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
グリップ領域をヘッドに接続するシャフトと、を具備してなり、
クラブヘッドは、その上に搭載された、ある量の相対的に重い物質を有するか、あるいはそれを含むゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0068】
ある実施形態においては、相対的に重い物質は、ヘッドの残部を形成する物質よりも大きな質量を有する。相対的に重い物質は金属であってもよい。この金属はパラジウムであってもよい。相対的に重い金属はまた、個々のスイングまたはボール打撃のある自然な欠点に抗するためにヘッド内に偏心的に配置されてもよい。ある実施形態では、ゴルファーは、ゲームクラブ内の物質に関する最終的な所望のポジションの決定を可能とするために、相対的に重い物質の調整可能な位置決めを実現する練習クラブを使用できる。
【0069】
この態様のゴルフクラブはさらに、本明細書に開示されたその他の特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含むことができる。
【0070】
本明細書中で規定された態様のその上さらなる実施形態では、クラブのグリップ領域の一部、大部分または全体は、少なくとも部分的に、作用歪み速度によって、相対的に急速な粘性の増大を生じる、すなわち形態に関して非ニュートン性の流体から形成される。これに関して、グリップ領域は、相対的に遅い把持動作の作用によってゴルファーの手のひらおよび指に対応した形となることができるが、その後、クラブまたは用具の使用の相対的速いスイングおよび打撃段階中には、この対応した形状を維持できる。非ニュートン性流体は、液体あるいはゲルであってもよく、そして一つ以上の外側層内に包含されていてもよい。
【0071】
他の態様によれば、本発明は、ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
グリップ領域をヘッドに接続するシャフトと、を具備してなり、
クラブのグリップ領域の一部、大部分または全体は、少なくとも部分的に、作用歪み速度によって、相対的に急速な粘性の増大を生じる流体から形成されているゴルフクラブまたは用具を対象とする。
【0072】
この態様において、グリップ領域は、非ニュートン性として公知の物質からなることができる。これに関して、グリップ領域は、相対的に遅い把持動作の作用によってゴルファーの手のひらおよび指に対応した形となることができるが、その後、クラブあるいは用具の使用の相対的速いスイングおよび打撃段階中には、この対応した形状を維持できる。非ニュートン性流体は、液体あるいはゲルであってもよく、そして一つ以上の外側層内に包含されていてもよい。
【0073】
この態様のゴルフクラブはさらに、本明細書に開示したその他の特徴の一つ、いくつかあるいは全てを含んでいてもよい。
【0074】
上記実施形態はゴルフクラブまたは用具に対する特定の用途を説明しているが、シャフトを有する用具が、ユーザーによって高速でスイングされるか動かされる、さまざまなスポーツ関係および非スポーツ関係の試みにも、それが同様に適用可能であることは明らかである。これに関して、用具は、それと一緒に使用することに関連する乱流を低減するために、カヌー、カヤックおよびシングルおよびダブルスカルなどのローボートにおいて使用されるパドルあるいはオールであってもよい。用具はまた、野球バット、クリケットバット、テニスラケット、卓球ラケット、あるいは用具の操作および速度がスポーツの効率を最適化するために重要である、その他のそうしたスポーツ関係用具であってもよい。用具はまた、たとえばハンマーなどの工具を含んでいてもよい。
【0075】
実例として、以下、添付図面を用いて、実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1A】従来型ゴルフクラブの側面図である。
【図1B】従来型ゴルフクラブの上面図である。
【図1C】従来型ゴルフクラブの正面図である。
【図2】ゴルフクラブの従来型シャフトなどの円柱体の空気流特性を示す図である。
【図3】ゴルフクラブに対して取り付けたフェアリングの一実施形態を示す図である。
【図4】図3のシャフトに対して取り付けられたフェアリングの断面図である。
【図5】図3のシャフトおよびフェアリング結合体の空気流特性を示す図である。
【図6】他の実施形態に基づくゴルフクラブヘッドおよびシャフト部分の断面図である。
【図7】取り外しできないように、それに対して取り付けられたフェアリングを備えたゴルフクラブの他の実施形態を示す図である。
【図8】ヘッドに向かってグリップ領域から離れる方向に直径が増大するシャフトを有するゴルフクラブの実施形態を示す図である。
【図9】ヘッドから離れる方向にグリップ領域に向かって直径が増大するシャフトを有するゴルフクラブの実施形態を示す図である。
【図10a】カヤックパドルの平面図である。
【図10b】カヤックパドルの側面図である。
【図11】野球バットの側面図である。
【図12a】フェアリング(またはシャフト)の一実施形態の断面図である。
【図12b】フェアリング(またはシャフト)の一実施形態の断面図である。
【図12c】フェアリング(またはシャフト)の一実施形態の断面図である。
【図12d】フェアリング(またはシャフト)の一実施形態の断面図である。
【図12e】フェアリング(またはシャフト)の一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1Aないし図1Cを参照すると、あるタイプの従来型ゴルフクラブ10が示されている。同図および明細書において、クラブ10をウッド、たとえばドライビングウッドに関連付けて説明する。だが、この説明は全てのタイプのゴルフクラブに、そしてまた通常使用中に空気中を移動するその他の用具にも同様に当てはまることに留意されたい。
【0078】
図1Aに示すように、クラブ10は、概して、三つの部分、すなわちシャフト12、グリップ領域14およびヘッド16からなる。ホーゼルがヘッド16をシャフト12に接続している。
【0079】
グリップ領域14は、クラブヘッド16から離れたシャフト12の端部に配置されると共に、通常は、ゴルファーがクラブ10のグリップ領域を保持するためにゴムまたは人工レザーによって覆われる。シャフト12は、通常、金属(たとえばスチール)あるいは炭素繊維、あるいはその組み合わせからなる筒体であり、これは、グリップ領域14付近の直径が約10〜12mmで、長さが89〜115cmである。シャフト12の可撓性(すなわち荷重が作用したときにシャフトが撓む量)は、異なるクラブ間で異なっていてもよく、そして、通常、彼らが望む所望の撓み具合に関する個々のゴルファーの好みに依存する。概して、スイング速度の高いゴルファーは、スイング速度の低いゴルファーよりも硬いシャフトを使用する。概して、シャフト12はクラブヘッド16に動きを伝達し、そしてこれはクラブヘッド速度の発生に関して重要であると考えられている。
【0080】
ヘッド16はシャフト12の端部に配置され、スイングのエネルギーをゴルフボールに対して伝達する。ヘッド16は、スイング中にボールと衝突するための略平坦面15を備え、そして、衝突に続くボールの軌道に対して付与されるロフトの量を通常は表すのが、垂直線から離れる面15のスロープである。
【0081】
ゴルフクラブ10のさまざまな部分の構造および特性は、ゴルフの規則によって規制され、プレーヤーは、自身のスコアを、コンペ、本業その他においてカウントされることを希望する場合には、この規則に従ってクラブを使用する必要がある。
【0082】
実際、クラブは、グリップ領域14において両手を用いてゴルファーによって保持され、そしてヘッド16の面15が、ボールをその軌道に沿って飛ばすためにゴルフボールに衝突するように下向き円弧内でスイングされる。これに関して、クラブ10のヘッド16はスイング中に最高速度を生じ、ボールに対してスイングのエネルギーを伝達するが、シャフト12、特にヘッド16近傍のシャフト12の領域もまた、空中を、かなりの高速で移動する。
【0083】
標準的なゴルフクラブシャフト12は筒状であるので、図2から分かるように、それは相対的に劣った空力特性を固有のものとして有する。シャフト12がスイングストローク中に矢印Aの方向に空中を移動するとき、空気はシャフト12の前面上をスムーズに流れ、この面に張り付く。空気がシャフト表面の最初の半分を通過して流れるとき、それは面の遊離を破壊し、渦と呼ばれる複数の小さな渦流を発生させる。この分離したすなわち乱流の領域は圧力抵抗の形態である。すなわち、低圧および高圧ポケットの形成はストローク中、シャフト12の後方に後流を残す。この抵抗は、シャフト12の前進移動に抗する力であり、これは、スイングストローク中のクラブヘッド速度およびクラブ10の安定性を低下させる。この全ては、打撃に続くボールの制御された軌道を潜在的に損なうように働く。
【0084】
図3および図4において、フェアリングの一実施形態には参照数字20が付されており、そしてゴルフクラブのシャフト12の後縁と見なし得る箇所に取り付けられた状態で示されている。ここで、後縁は、それがボールに衝突するときクラブのスイングのトラベルと対向するシャフトの縁部である。図示するフェアリング20は、抵抗低減手段として機能し、そして抵抗を軽減しかつクラブ10の安定性を改善しかつクラブ10の少なくとも下向きストロークすなわちスイング中のクラブヘッド16の速度を増大させるのに役立つ。図示するフェアリング20は相対的に空力的形態を有する。図4に示す実施形態は非円形断面を有し、かつ、シャフト12から離れたエッジ25においてつながる二つの対向する湾曲面23,24を有する。フェアリング20は、乱流を低減すると共にシャフト12の領域における層流を増強するのに役立つ。
【0085】
フェアリングは、その他の可能な形状を持つことができる。たとえば、フェアリングは湾曲ボディを持つことができる。このボディは、水平面に関する湾曲および/または垂直面に関する湾曲を持つことができる。
【0086】
水平面内でのフェアリングに関する、さまざまな実施可能な断面形状の例を図12aないし12eに示す。こうした実施形態のそれぞれに関して、フェアリングはまた、第1の面(ここでは23a)および第2の面(24a,24bあるいは24c)を有することができる。図示するように、こうした面の一方あるいは両方は湾曲している。たとえば、そして図12aに示すように、第1および第2の面(23a,24a)の湾曲はいずれも凸状であってもよい。二つの面23a,24aは遠位エッジ25においてつながっているが、エッジは(線25aで示すように)これに代えて、先端が切り取られていてもよい。
【0087】
第1の面23aの湾曲は凸状であってもよいのに対して、第2の面は平坦(図12bの面24b参照)あるいは凹状(図12c、図12dおよび図12eの面24c参照)であってもよい。
【0088】
第2の面24cが凹状である場合、第1の面は平坦、凹状あるいは凸状であってもよいことは明らかである。
【0089】
図12cにおいて、第1および第2の面(23a,24c)間の距離は一定のままである。図12dおよび図12eにおいて、第1の凸状面23aと第2の凹状面24cとの間の距離は遠位エッジ25に向かって減少する。
【0090】
湾曲本体、第1の面(湾曲している場合)および/または第2の面(湾曲している場合)の湾曲の一部または全体は、実質的に円形あるいは円形、実質的に楕円形あるいは楕円形、実質的に放物線状あるいは放物線状、あるいは実質的に双曲線状あるいは双曲線状であってもよい。ある実施形態では、湾曲は、断面に関して、実質的に非円形であってもよい。ある形態では、本体は、シャフトはエーロフォイル形態であってもよく、かつ、断面に関して、翼形状あるいはブレード形状であってもよい。他の実施形態では、本体は、断面に関して、略長円形あるいは長円形、略楕円形あるいは楕円形、あるいは涙滴形状であってもよい。その他の適当な断面形状が採用できる。
【0091】
その上さらに、フェアリングの断面形状はその高さにわたって変化してもよい。たとえば、フェアリングのおよそ上側半分の断面形状は、フェアリングの下側半分におけるそれとは異なっていてもよい。
【0092】
図3に示す実施形態では、フェアリング20はヘッド16に隣接してシャフト12に取り付けられており、これによって、それは、シャフト12の長さの半分未満の長さ、より好ましくはその三分の一未満の長さにわたって、シャフトに沿って延在している。ある実施形態では、フェアリングは、シャフト12に沿って、ヘッド16から、約5cmないし60cmの、たとえば約10cmないし50cmのあるいは約10cmないし30cmの、あるいは約20cmの長さにわたって、その後縁に沿って延在していてもよい。本明細書中に示したような他の寸法も使用可能である。
【0093】
図4に示すように、フェアリング20は、シャフト12の直径と実質的に同じかあるいはそれよりも僅かに小さい最大厚みを有するとと共に、それがシャフト12の後縁と実質的に一致するような形状とされてもよい。たとえば、シャフトが15mmの直径を有する場合、最大厚みは約15mm以下であってもよい。図3に示すように、フェアリング20はまたシャフト12から離間させられていてもよい。図示する実施形態では、この間隔は、ヘッドに隣接するその最も下方のポイントにおいて、どこでも、5mmないし30mm、たとえば約20mmであってもよい。
【0094】
図示するように、フェアリング20の幅は、フェアリング20の下端が、クラブ10のヘッドの幅よりも大きな距離だけシャフト12から後方に突出するようなものであってもよい。下端は、ヘッド16の幅と同じかあるいはそれよりも短い距離にわたって後方に突出していてもよいことは明らかである。
【0095】
フェアリング20は、カーボンファイバー、プラスチックあるいは木材、あるいはその組み合わせといった軽量素材から形成可能である。
【0096】
フェアリング20は、シャフト12の剛性を著しく変化させない様式でシャフト12に対して取り付けることができ、これによって、クラブが適当な運営団体によって設定された規制要求を満たすことが保証される。これに関して、図示するフェアリング20は、シャフト12の周面の周りで延在すると共にそれに対して固定された一連の環状部材22によって、その長さに沿って、間隔を置いて、シャフトに対して取り付けられる。フェアリング20は、スイング動作中、フェアリング20がシャフト12の撓み機能を実質的に妨げないことを保証する様式で、部材22のそれぞれに取り付けられる。これに関して、フェアリング20は、部材22間でのフェアリング20のそうした動きを促進するために、スライド部材によって部材22に対して取り付けられてもよい。フェアリング20がシャフト12と共に曲がることができることをさらに保証するために、フェアリング20はまた面取りされてもよい。部材22は環状であるが、非環状部材も使用できる。
【0097】
クラブシャフト12およびヘッド16に対するフェアリング20の方向付けは、各個々のゴルファーのスイング動作に適合するように調整可能であってもよい。これに関して、通常のスイング動作中、動作の方向に対するフェアリングの入射角は変化してもよく、ボールを打撃するのに先立ってスイングの下端においてクラブが回転するとき最適に整列した状態となる。フェアリング20は、スイング動作を通じて、最適な抵抗軽減が連続して実現されるように、スイベルによって取り付けられてもよい。
【0098】
他の実施形態では、フェアリング20は、ゴルフのゲームのコースの間、クラブ10の改変を妨げるゴルフのルールを満たすために、シャフト12に関して固定的に方向付けられてもよい。その上さらなる実施形態では、そして図7に示すように、フェアリング20はクラブに対して非可動的に取り付け可能であってもよく、あるいはシャフト12の一体部分から構成されていてさえよい。
【0099】
フェアリング20がシャフト12に対して取り付けられる様式は変更可能である。ある実施形態では、シャフト12およびフェアリング20の表面が実質的にあるいは完全に連続的であるよう、フェアリング20がシャフト12の一部を形成すると共にシャフト12の直径に輪郭が一致するように、フェアリング20は接着剤などを用いてシャフトに対して固定可能である。
【0100】
図5に示すように、フェアリング20は、空気流がフェアリング20の表面に相対的により付着した状態で留まり、これによって渦の発生が著しく低減されるように、シャフト12にわたって層流(層状の流れ)を相対的に増強するように機能し得る。これは、図2に関して先に説明したような構成とは全く対照的である。
【0101】
上記構成は特に、実習およびトレーニング練習における使用に適用可能である。これに関して、フェアリング20は、少なくともある実施形態では、ゴルフクラブのシャフト12の端部に容易に取り付け可能であってもよく、その角度は個々のゴルファーのスイングに適するように方向付けられる。フェアリング20はまた、空気がその中を通過するかあるいはその上を通過する際に音を発生させる、それ自体に設けられた、一つ以上の孔あるいはオリフィスあるいはその他のホイッスル手段を有することができる。音(通常はホイッスルの形態である)は、ストローク中、クラブ10のモーションに関するフィードバックをユーザーに提供する。これは、個人の必要性を満たし、かつ/または自身のスイングを改善するために変更を必要としているものをそのクラブプロフェショナルのユーザーに知らせるために、シャフトに対するフェアリング20の角度を最適に調整するために個人またはそのクラブプロフェッショナルによって利用可能である。これに関して、孔は、ストローク中のクラブの動きを示す、さまざまな音を発生させる角度でフェアリングを貫通して形成可能である(異なる音は異常回転のさまざまな角度を意味する)。このシステムに基づいてフェアリング20のポジションを最適化するとき、最適な方向に基づいて、恒久的フェアリング20(たとえば図7に示されるようなもの)を個人のクラブのシャフトに対して取り付けることができる。
【0102】
(図1Aないし1Cに示すもののような)既存のクラブヘッド16は、かなりの程度、空力的に有効であることは明らかである。これに関して、ヘッド16に隣接してシャフトに取り付けられたフェアリング20との組み合わせによって、クラブの下端(これは高速移動する)は著しく空力特性が改善され、その一方で、クラブの残りの部分は実質的に変更されない。そうした構造によって、打撃時のクラブヘッド速度を最適化しかつクラブ10のスイング動作を安定化するクラブ10がもたらされ、既存のゴルフクラブによって目下のところ実現可能であるよりも、より優れたボールコントロールおよびより大きなボール飛距離が実現される。
【0103】
上述したように、既存のゴルフヘッド16は比較的対等な空力性能を実現するが、これは潜在的な不利益となることがある。なぜなら、ヘッド16が地面に近づくとき、それはクラブ下方で空気のバッファーを生じるからである。これは、ヘッド16がこの空気バッファーに沿って移動するときに、スイング経路中におけるヘッドの動作を不安定にすることがある。この空気バッファーを低減するために、クラブヘッド16は、図6に示すような断面形状を有することができる。
【0104】
この構造においては、ヘッド16の上面16aは、その表面に沿って空気が容易に流れることを可能とする空気流路を提供し、一方、ヘッド16の下面16bは空気がその上を通過するための相対的に長い面を提供する。ヘッド16の形状は、部分的に、逆転した航空機翼に類似している。この形状は、ヘッド16の上面に正の空気圧を、そしてクラブヘッド16の下側により低い圧力を形成する役割を果たす。この構造では、ヘッド16が地面に近づくとき、ボールとの接触の直前に、クラブヘッド16は地面に向かって引っ張られ、すなわち吸引され、これがスイングの打撃段階直前およびその段階中にクラブを安定させる。クラブの地面効果を低減するためのその他の手段も採用可能であることは明らかである。そうした手段としては、スイングストローク中のヘッド16の空気流特性を変更するために、ヘッド16の面内あるいはその上に、溝、孔あるいは表面処理部を設けることが挙げられる。
【0105】
図8においては、他のクラブ構造の一例が概して30で指し示されている。ここでは、クラブ30はグリップ領域14と、シャフト32と、ヘッド16とを有する。シャフト32は、グリップ領域14から離れる方向に増大する直径を有する。シャフト32は円錐台として示されていることに留意されたい。他の実施形態では、この増大は、その長さにわたって非均一であってもよい。それはまた一連の段状部を備えていてもよく、この場合には、直径は(たとえば円錐台状に)増大し、続いて一定になり、縮小するかあるいはより大きな直径へと外側に進み、そして上述したようにして直径が再び増大する。
【0106】
図9に示すように、クラブ構造の別の例を概して50で指し示す。ここで、クラブはやはり、グリップ領域14およびヘッド16を有するが、シャフトの直径がグリップ領域14から離れる方向にシャフトに沿って移動するときに減少する円錐台シャフト51を備えている。図9は円錐台シャフト51を示しているが、直径の変化は非均一であってもよく、あるいは一連の段状部を備えていてもよく、この場合には、直径はグリップ領域14から離れる方向に(たとえば円錐台状に)減少し、続いて一定になり、縮小するかあるいはより小さな直径へと内側に進み、そして上述したようにして直径が再び減少する。グリップ領域14に向かう直径の増大は、ゴルファーのスイング中に生じるシャフト速度の変化に実質的に合致するかあるいは意図的に合致しないレートであってもよく、スイング中、グリップ領域14に近いシャフトの速度はヘッド16に近いそれよりも低いことに留意されたい。
【0107】
図8および図9に示すように、シャフトの円錐台領域は、グリップ領域14とヘッド16との間でシャフトの全長にわたって広がっていてもよい。他の実施形態では、円錐台領域はグリップ領域14に近いシャフトの半分に、あるいはクラブヘッド16に近いシャフトの半分に設けられていても、あるいはグリップ領域14とヘッド16との間のハーフウェイマークに少なくとも部分的に広がっていてもよいことは明らかである。
【0108】
図4および図5に示す実施形態に戻るが、シャフトの一部、大部分あるいは全ては、断面が実質的に円形あるいは円形であってもよい。他の実施形態では、シャフトの一部、大部分あるいは全ては、断面が実質的に非円形であってもよい。図12aないし図12eは、本明細書中で規定したフェアリングの実施可能な断面形状の例を示しているが、クラブまたは用具の形状はまた、図12aないし図12eに示すような断面形状を有していてもよい。シャフトは、エーロフォイルの形態の断面形状を有しかつ/または断面が翼あるいはブレード形状であってもよい(すなわち、それは、一例として、図12aないし図12eに示す断面形状の一つを有していてもよい)。他の断面形状、たとえば断面に関して、実質的に長円形あるいは長円形、実質的に楕円形あるいは楕円形、あるいは涙滴形状も考えられる。その断面に関係なく、シャフト12は、全ての面において等しい可撓性を有していてもよい。これは、シャフト12を形成する際に、素材の異なる組み合わせおよび/またはさまざまな特性を備えた素材を使用することによって実現できる。
【0109】
シャフト12,32,51の少なくとも一部または全てはまた、表面処理部を有するシャフト12,32,51の一部にわたって空気流を変える表面処理部を有していてもよい。ある実施形態では、表面処理部は、上記シャフト12,32,51の上記部分の表面に形成されたディンプリングを備えていてもよい。ある実施形態では、グリップ領域14に向かってヘッド16から後方に延在するシャフト12,32,51の一部が表面処理部を有していてもよい。この位置の例として、ヘッド16に隣接してシャフト12上に存在する網掛け領域27は、表面のディンプリングの形態の表面処理部を有する。表面処理部は、シャフトの他の領域に、ヘッドの一部、大部分または全体に、かつ/またはフェアリングの一部、大部分あるいは全体に設けることができる。たとえば、表面処理部は、シャフト12,32,51のタイプの前縁の少なくとも一部または全体に設けることができる。他の実施形態では、一つ以上の種類の表面処理部は、シャフト12,32,51、ヘッド16および/またはフェアリング上の異なる位置に存在する異なる種類の表面処理部を備えることができる。
【0110】
ディンプリングは、シャフト、ヘッドおよび/またはフェアリングの一部または全体に形成された複数のディンプルを備えていてもよい。複数のディンプルの一部または全ては、上記部分上の列内に設けることができる。これに代えて、複数のディンプルの一部または全ては、上記部分上にランダムに設けることができる。ディンプルのそれぞれは同一であってもよく、あるいはディンプルの少なくとも一部が、他のディンプルの一部と異なっていてもよい。各ディンプルはある深さおよび直径を有していてもよい。ディンプルの全てが同じ深さおよび/または直径を有していてもよく、あるいはディンプルの少なくとも一部または全てが他のディンプルの少なくとも一つとは異なる深さおよび/または直径を有していてもよい。ディンプルは円形あるいは非円形外周を有していてもよい。ディンプルの直径は約0.5mmないし10mm、好ましくは約1mmないし7mmの範囲にわたっていてもよい。ディンプルの最大深さは、約0.1mmないし10mm、好ましくは約1mmないし4mmの間で変化し得る。
【0111】
公知のクラブヘッドの打撃面には、ボールを打撃するための面のトランポリンスタイルを可能とするために窪みが形成されている。この物質の欠損は、より高い終端速度が、モーメント(これはボールが打撃されたときにボールに伝達される)を維持するために必要とされることを意味する。これはクラブヘッドをより大きなものとすることによって解決できるが、抵抗に関する不利益が生じ、しかもゴルフのルールは、その寸法の比率だけでなく、クラブヘッドの寸法を制限している。
【0112】
さらなる実施形態では、相対的に重い物質、たとえば相対的に重い金属(たとえば、パラジウム)が、クラブヘッド、たとえば図3に示すクラブヘッド内で使用できる。この相対的に重い物質の存在は、所与のクラブヘッドのモーメントを増大させるのに役立つ。この相対的に重い物質はまた、プレーヤーのスイングあるいはボール打撃における自然な欠点に抗するために偏心的に配置されてもよい。たとえば、相対的に重い物質は、クラブヘッド16の後方よりもヘッド16の面15に相対的に近い位置に配置されてもよい。これに代えて、あるいは加えて、相対的に重い物質は、下面よりもヘッド16の上面に近い位置に配置されてもよい。ある実施形態では、ゴルファーは、ゲームクラブ内の物質に関する最終的な所望のポジションの決定を可能とするために、相対的に重い物質の調整可能な位置決めを実現する練習クラブを使用できる。
【0113】
さらなる実施形態では、クラブのグリップ領域(たとえば図8に示すクラブ30のグリップ領域14)の一部、大部分または全体は、少なくとも部分的に、作用歪み速度によって、相対的に急速な粘性の増大を生じる、すなわち非ニュートン性の流体から形成される。これに関して、グリップ領域14は、相対的に遅い把持動作の作用によってゴルファーの手のひらおよび指に対応した形となることができるが、その後、クラブ使用の相対的速いスイングおよび打撃段階中には、この対応した形状を維持できる。非ニュートン性流体は、液体あるいはゲルであってもよく、そして一つ以上の外側層内に包含されていてもよい。
【0114】
本発明について(図1ないし図9では)ゴルフクラブに対する特定の用途を説明したが、器具がユーザーによって高速でスイングされる、スポーツ関係および非スポーツ関係の試みにおいて使用される用具を含む、ゴルフクラブ以外の用具も、本明細書で規定した特徴を持つことができることは明らかである。これに関して、カヌー、カヤックおよびシングルおよびダブルスカルなどのローボートにおいて使用されるパドルあるいはオールなどの用具も、それと一緒に使用することに関連する乱流を低減するという目的のために、本明細書で規定した特徴を有することができる。そうしたデバイスはグリップ領域と、シャフトと、(ブレードの形態の)ヘッドをやはり有する。単なる実例として、図10aおよび図10bは、シャフト41およびブレード42を有するカヤックパドル40を示している。この実施形態では、シャフト41はやはり、ブレード42に隣接して、その上に設けられたフェアリング43を有する。他のブレードに隣接して、パドル40の他端に同様のフェアリングを設けることができることは明らかである。その他の実施可能な用具は(図11に概して50で指し示すような)野球バットである。やはり、バット50は把持領域51と、シャフト52とヘッド53を有し、フェアリングの一例54と共に示されている。たとえばクリケットバット、テニスラケット、あるいは卓球ラケットなどのその他のスポーツ関係用具、および器具の操作および速度がスポーツの効率を最適化するその他のそうしたスポーツ関係器具は、ゴルフクラブに関連して本明細書において説明した特徴の一つ、いくつかあるいは全てを有することができる。それは、(ハンマーを含む)振り動かすことを要する道具に関して利用可能である。図10aないし図11は一体式フェアリングを示しているが、このフェアリングは、ゴルフクラブに関連して図3に示したような様式で取り付け可能であってもよい。こうしたその他のスポーツ関係用具あるいは道具と共に使用されるフェアリングは、ゴルフクラブに関連して本明細書中で説明したような特徴のいかなる組み合わせを有していてもよい。こうしたその他のスポーツ関係用具あるいは道具はまた、適用可能な場合には、ゴルフクラブに関連して本明細書中で説明したような特徴を有するシャフトを有するよう改変可能である。その上さらに、その他のスポーツ関係用具(たとえばそのシャフトおよびヘッド)およびそれに対して取り付けられたフェアリングは、本明細書中で説明したような表面処理部を有することができる。
【0115】
大まかに説明した範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示したものに対して、さまざまな変形および/または変更を施し得ることは当業者にとって明白である。したがって本実施形態は、全ての態様に関して、限定ではなく例証であると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0116】
10 ゴルフクラブ
12 シャフト
14 グリップ領域
15 略平坦面
16 ヘッド
20 フェアリング
22 環状部材
23,24 湾曲面
25 エッジ
30 クラブ
32 シャフト
40 カヤックパドル
41 シャフト
42 ブレード
43 フェアリング
50 バット
51 円錐台シャフト
52 シャフト
53 ヘッド
【図1a−1c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブ、またはグリップ領域を有すると共に使用時に動作させられるその他の用具用のフェアリングであって、前記フェアリングは、前記クラブのスイング動作または前記デバイスの動作中の、前記シャフトに関連する抵抗を低減するために前記ゴルフクラブまたは用具のシャフトに対して取り付け可能であり、取り付け状態では、前記フェアリングは、前記クラブまたはデバイスが通常保持される前記グリップ領域から離れた前記クラブまたは用具の端部近傍位置から、前記シャフトの一部に沿って、延在することを特徴とするフェアリング。
【請求項2】
前記フェアリングは前記シャフトに対して取り外しできないように取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項3】
前記フェアリングは前記シャフトに対して取り外しできるように取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項4】
前記フェアリングは、前記ヘッドに隣接して前記シャフトに取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項5】
前記フェアリングは前記シャフトに対してスイベル機構によって取り付け可能であり、これによって前記フェアリングは前記シャフトに対して可動となっていることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項6】
いったん前記フェアリングが所望のポジションへと動くと、前記フェアリングはこのポジションで維持されるかまたはロックされると共に、前記クラブまたは用具の使用中および/または前記フェアリングの前記ポジションを調整することが望まれる間は、そこに留まることを特徴とする請求項5に記載のフェアリング。
【請求項7】
前記フェアリングは、エーロフォイルの形態である本体を具備してなることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項8】
前記フェアリングは、それ自身に設けられた孔、オリフィスまたは凹凸の一つ以上を有し、これは、空気がその中をまたはその上を通過するときに音を発生させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のフェアリング。
【請求項9】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
前記クラブまたは用具のスイング動作中の前記シャフトに関連する抵抗を低減するために前記シャフトに対して取り付け可能なフェアリングと、
を具備してなり、
取り付け状態で、前記フェアリングは、前記クラブまたは用具の前記ヘッド近傍の位置から前記シャフトの一部に沿って延在するようになっていることを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項10】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
前記クラブまたは用具のスイング動作中の前記シャフトに関連する抵抗を低減するために前記シャフトに対して取り付け可能な抵抗低減手段と、
を具備してなり、
取り付け状態で、前記抵抗低減手段は、前記クラブまたは用具の前記ヘッド近傍の位置から前記シャフトの一部に沿って延在するようになっていることを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項11】
前記抵抗低減手段はフェアリングを具備してなることを特徴とする請求項10に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項12】
前記シャフトは、当該シャフトの残部に対して、より大きな断面幅あるいは直径を有する領域を有することを特徴とする請求項9または11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項13】
前記シャフトの一部、大部分または全体はエーロフォイルの形態であることを特徴とする請求項9または11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項14】
前記シャフト、ヘッドおよび/またはフェアリングの少なくとも一部は、少なくとも当該部分にわたって空気流を変える表面処理部を有することを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項15】
前記表面処理部は、前記部分の表面に形成されたディンプリングを具備してなることを特徴とする請求項14に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項16】
前記ヘッドの上面は、当該ヘッドの下面の上の少なくとも一つの空気流路よりも短い少なくとも一つの空気流路を提供するようになっていることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項17】
前記ヘッドは相対的に重い物質からなる部位を含むことを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項18】
前記相対的に重い物質はパラジウムであることを特徴とする請求項17に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項19】
前記相対的に重い物質は、前記クラブヘッド内に偏心配置されていることを特徴とする請求項17または請求項18に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項20】
前記ゴルフクラブまたは用具のグリップ領域の一部、大部分あるいは全体は、少なくとも部分的に、作用歪み速度によって、相対的に急速な粘性の増大を生じる流体から形成されていることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項21】
非ニュートン流体は液体またはゲルであり、かつ、一つ以上の外側層内に含まれていることを特徴とする請求項20に記載のゴルフクラブまたは用具。
【請求項22】
前記フェアリングは前記シャフトに対して取り外しできないように取り付け可能であることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項23】
前記フェアリングは前記シャフトに対して取り外しできるように取り付け可能であることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項24】
前記フェアリングは前記ヘッドに隣接して前記シャフトに対して取り付け可能であり、かつ、前記シャフトの長さの半分よりも短い長さにわたって前記ヘッドから離れるように前記シャフトに沿って延在していることを特徴とする請求項23に記載のゴルフクラブ。
【請求項25】
前記フェアリングは、前記シャフトの長さの三分の一よりも短い長さにわたって前記ヘッドから前記シャフトに沿って延在していることを特徴とする請求項24に記載のゴルフクラブ。
【請求項26】
前記フェアリングは、前記シャフトの直径と実質的に等しいか、あるいはそれよりも僅かに小さな最大厚みを有することを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項27】
前記フェアリングは前記シャフトから離間させられていることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項28】
前記フェアリングの幅は、それが、前記クラブの前記ヘッドの幅よりも大きな距離だけ、前記シャフトから後方に延在するようなものであることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項29】
前記フェアリングは、その下側端部から、前記ヘッドから離れた上側端部へと、幅が減少することを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項30】
前記フェアリングの幅は、前記クラブヘッドから離れる方向に、前記フェアリングの長さの一部あるいは全体にわたって先細になっていることを特徴とする請求項29に記載のゴルフクラブ。
【請求項31】
前記クラブのスイング動作中に前記フェアリングが前記シャフトに対して自由に動けるように、前記フェアリングが前記シャフトに対して動くように、前記フェアリングは前記シャフトに対して取り付け可能であることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項32】
前記フェアリングは、それが少なくとも二つの所望のポジション間で方向付け可能であるように前記シャフトに対して動くことができることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項33】
前記フェアリングは、断面に関して翼あるいはブレード形状である本体を具備してなることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項34】
前記フェアリングは、それ自身に設けられた一つ以上の孔を有し、これは、空気がその中をまたはその上を通過するときに音を発生させるようになっていることを特徴とする請求項9または請求項11に記載のゴルフクラブ。
【請求項35】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記シャフトは、当該シャフトの残部に対して、より大きな断面幅あるいは直径を有する領域を備えることを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項36】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記シャフトの一部、大部分あるいは全体は、非円形断面領域を有することを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項37】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
ヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記シャフトの少なくとも一部および/またはヘッドは、前記シャフトの少なくとも前記部分にわたって空気流を変える表面処理部を有することを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項38】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記ヘッドの上面は、前記ヘッドの下面上の少なくとも一つの空気流路よりも相対的に短い、少なくとも一つの空気流路を提供するようになっていることを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項39】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記ヘッドまたは用具は、ある量の相対的に重い物質を含むことを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項40】
ゴルフクラブまたは用具であって、
グリップ領域と、
上面および下面を有するヘッドと、
前記グリップ領域を前記ヘッドに対して接続するシャフトと、
を具備してなり、
前記グラブまたは用具の前記グリップ領域の一部、大部分あるいは全体は、少なくとも部分的に、作用歪み速度によって、相対的に急速な粘性の増大を生じる流体から形成されていることを特徴とするゴルフクラブまたは用具。
【請求項41】
前記用具は、
カヌー、カヤック、およびシングルおよびダブルスカルなどのローボートにおいて使用されるパドルあるいはオール、
野球バット、クリケットバット、テニスラケット、あるいは卓球ラケット、あるいは、
ハンマー
であることを特徴とする請求項9ないし請求項27のいずれか1項に記載のゴルフクラブまたは用具。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【公表番号】特表2011−502728(P2011−502728A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534320(P2010−534320)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001720
【国際公開番号】WO2009/065172
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510139058)アドヴァンスド・サージカル・デザイン・アンド・マニュファクチャー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】