説明

ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ

【課題】ゴルフクラブ用シャフトの周方向の物性のバラツキを解消することができるゴルフクラブ用シャフトを提供すること。
【解決手段】中空のゴルフクラブ用シャフト12は、強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシート22,24,26,28,30をマンドレル40を用いて巻回して積層して形成する。そして、強化繊維を前記シャフトの軸方向に対して同一方向に引き揃えた一方向プリプレグシート26,28,30を3枚備え、各一方向プリプレグシートの巻き始め位置26a,28a,30aを、前記シャフトの基準位置から周方向に360度/(3枚)ずつずらした位置とし、それぞれの一方向プリプレグシートごとの巻き終わり位置26b,28b,30bをそれぞれのプリプレグシートの巻き始め位置に近接させて重ね合わせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維強化複合材料を用いて形成されたゴルフクラブ用シャフト及びそれを用いたゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1のゴルフクラブ用シャフトでは、軽量化のために厚みの薄いプリプレグシートを用い、厚みを薄くした分だけ多層化することにより強度を十分確保している。
プリプレグシートの巻き始めと巻き終わりが重なったり、プリプレグシートの端部間に隙間が形成されても、プリプレグシートが薄肉であれば段差や隙間を小さくすることができる。そして、段差を小さくすることができるので、巻き乱れを減少させ、円周に対して均一化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−93568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴルフクラブのインパクト時のヘッドのフェースの向きは、ボールの飛距離、方向に大きな影響を与える。また、ヘッドの向きは、スイング時のシャフトの撓みに影響を受ける。スイング時のシャフトの撓みには、スイング方向、その垂直方向(トウダウン方向)等の曲がり、フェースの開閉方向等の捩れがある。シャフトの周方向に剛性の差が生じると、シャフトの周方向に異方性が生じる。その剛性の差が大きくなると、シャフトの撓りがスイングのブレにより大きく変化し、安定したヘッドの向きとすることができない。
また、ゴルフ用具の現在の規則として、(1)シャフトをその縦軸周りでどのように回転させるかに関係なく、撓みが同じとなるように曲がること、(2)両方向とも同量にねじれること、が求められている。すなわち、ゴルフクラブ用シャフトには、周方向の異方性の存在を極力なくすことが求められている。
上記特許文献1の技術では、各プリプレグシートの巻き始め、巻き終わり位置は重ね合わせられるので、他の部分よりも厚くなる。この厚くなった部分は径方向に対向しているため、その対向位置と、その対向からズレた位置との間の剛性差が大きくなり、シャフトに対するヘッドの取り付け位置によっては安定したヘッドの向きとすることができない。さらに、厚くなった部分が対向しているとたわみ易い方向とたわみ難い方向が生じてしまう。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ゴルフクラブ用シャフトの周方向に異方性が生じるのを極力防止し、周方向のいずれの位置であってもたわみ量や剛性等を同じようにするなど、周方向の物性のバラツキを解消することができるゴルフクラブ用シャフトおよびそのようなシャフトを有するゴルフクラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシートをマンドレルを用いて巻回して積層して形成した中空のゴルフクラブ用シャフトは、強化繊維を前記シャフトの軸方向に対して同一方向に引き揃えた一方向プリプレグシートをn枚(n=2m+1:mは自然数)備え、各一方向プリプレグシートの巻き始め位置を、前記シャフトの基準位置から周方向に360度/nずつずらした位置とし、それぞれの一方向プリプレグシートごとの巻き終わり位置をそれぞれのプリプレグシートの巻き始め位置に当接または近接させたことを特徴とする。
前記マンドレルの各軸方向位置の円周長さyと、前記マンドレルの軸方向位置における、巻回した後の一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置との距離xとの関係が|x|≦y/(2n)を満たすようにしたことが好ましい。
0<x≦y/2nとしたことが好ましい。
前記一方向プリプレグシートは、前記シャフトの軸方向に対して±20度の範囲に引き揃えられた軸長方向プリプレグシートであることが好適である。
【発明の効果】
【0007】
この発明による中空のゴルフクラブ用シャフトは、3枚以上の奇数枚のプリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置とを近接または当接させ、かつ、その近接または当接させた位置をシャフトの周方向に等間隔(略等間隔)に配置することによって、周方向の物性(例えば剛性)のバラツキを解消することができる。
マンドレルの各軸方向位置の円周長さyと、マンドレルの軸方向位置における、巻回した後の一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置との距離xとの関係が|x|≦y/(2n)を満たすようにしたことによって、プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置とが重なり合った重なり代や、巻き始め位置と巻き終わり位置との間の隙間が径方向に対向することがない。このため、シャフトの周方向の物性のバラツキを防止できる。
0<x≦y/2nとしたことによって、巻き始め位置と巻き終わり位置との間に隙間ができることがなく、シャフトの強度低下を防止できる。
一方向プリプレグシートは、シャフトの軸方向に対して±20度の範囲に引き揃えられた軸長方向プリプレグシートであることによって、シャフトの曲げ剛性に周方向の差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1及び第2実施形態に係るゴルフクラブを示す概略図。
【図2】第1及び第2実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトを示す概略図。
【図3】第1実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトの図2中のIII−III線に沿う模式的な横断面図。
【図4A】第1実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトを製造するためのマンドレル及びマンドレルに巻回する各プリプレグシートを展開した状態を示す概略図。
【図4B】第1実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトを製造するためのマンドレルを図4A中の矢印IVB方向から見た状態を示す概略図。
【図5A】第1及び第2実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトの横断面図との比較例1を示すゴルフクラブ用シャフトを示す概略的な横断面図。
【図5B】第1及び第2実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトの横断面図との比較例2を示すゴルフクラブ用シャフトを示す概略的な横断面図。
【図6】第1実施形態の第1変形例に係るゴルフクラブ用シャフトの模式的な横断面図。
【図7】第1実施形態の第2変形例に係るゴルフクラブ用シャフトの模式的な横断面図。
【図8】第2実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトの模式的な横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
第1の実施の形態について図1から図5Bを用いて説明する。
【0010】
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、繊維強化プリプレグシートの積層体からなる中空のシャフト(繊維強化複合材料製の管状体)12と、このシャフト12の一端13aの細径部分(TIP端)にヘッド14が取り付けられ、シャフト12の他端13bの太径部分(BUTT端)にグリップ16が取り付けられている。
図2に示すように、シャフト12の一端13aは他端13bよりも細く、例えばテーパ状に形成されている。例えばシャフト12の一端(細経側)13aは外径が例えば8mmから15mm程度で、他端(太径側)13bは外径が例えば13mmから16mm程度である。シャフト12の長さは、ウッド、アイアン、パター等により異なるが、規則の範囲内で適宜に設定される。
【0011】
この実施形態に係るシャフト12は、主に5つの層(内側から外側に向かって第1層(最内層)21、第2層23、第3層25、第4層27、第5層(最外層)29)で形成されている。すなわち、第1から第5層21,23,25,27,29はシャフト12のほぼ全長にわたって配設されている。
5つの層21,23,25,27,29を形成するプリプレグシート22,24,26,28,30は、強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたものが用いられる。プリプレグシート22,24,26,28,30の強化繊維には、主に炭素繊維が用いられるが、金属繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等、種々の繊維を用いても良い。強化繊維に含浸させるマトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれを用いても良い。熱硬化性樹脂であれば、例えばエポキシ、ピスマレイミド、ポリイミド、フェノール等が用いられる。熱可塑性樹脂であれば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)等が用いられる。
後述する内側補強層31のプリプレグシート32、外側補強層33のプリプレグシート34も同様の強化繊維やマトリクス樹脂が用いられることが好ましい。
【0012】
図3及び図4Aに示すシャフト12の第1層(最内層)21は、軸長方向に対して例えば45度傾斜した傾斜方向繊維層で、捩れ剛性の調整用に用いられる。第1層21には、強化繊維が軸長方向に対して±45度傾斜したクロスタイプのプリプレグシート22が用いられる。このプリプレグシート22は、例えば厚さ:0.12〜0.30mm、樹脂量(繊維含有率):24〜40wt%、引張弾性率:235〜588GPaである。その他、第1層21には+45度、−45度の一方向に揃えられた強化繊維プリプレグシートが積層されたものが用いられても良い。
【0013】
第2層23は、軸長方向に対して例えば90度傾斜した周方向繊維層で、潰れ剛性の調整に用いられる。第2層23には、強化繊維が軸長方向に対して90度傾斜したプリプレグシート24が用いられる。このプリプレグシート24は、例えば厚さ:0.02〜0.04mm、樹脂量(繊維含有率):24〜30wt%、引張弾性率:235〜392GPaである。なお、第2層(周方向繊維層)23を最内層としても良いし、周方向繊維層自体が無くても良い。
【0014】
第3層25、第4層27、第5層(最外層)29は軸長方向繊維層で、曲げ剛性の調整に用いられる。第3層25、第4層27、第5層29には、強化繊維が軸長方向に延びたプリプレグシート26,28,30が用いられる。第3層25、第4層27、第5層29に用いられるプリプレグシート26,28,30には例えば同じものが用いられ、例えば厚さ:0.06〜0.15mm、樹脂量(繊維含有率):24〜40wt%、引張弾性率:235〜588GPaである。なお、第3層25、第4層27、第5層29に用いられるプリプレグシート26,28,30の特性が異なっていても良いことはもちろんである。また、第3層25、第4層27、第5層29はそれぞれ複数枚のプリプレグシートが重ね合わせられていても良いが、この実施形態ではそれぞれ1枚のプリプレグシートで1つの層を形成している。
【0015】
図1に示すように、シャフト12の一端13aにはヘッド14が装着されるため、図4に示すように、第1層21の内側に内側補強層31が配設され、第5層29の外側に外側補強層33が配設されている。これら内側補強層31、外側補強層33は軸長方向繊維層であり、曲げ剛性の調整に用いられる。これら補強層31,33には、繊維が軸長方向に延びたプリプレグシート32,34が用いられる。内側補強層31に用いられるプリプレグシート32、および、外側補強層33に用いられるプリプレグシート34は、例えば厚さ:0.06〜0.15mm、樹脂量(繊維含有率):24〜40wt%、引張弾性率:235〜294GPaである。
【0016】
なお、図4にはマンドレル40の外周に対して内側から外側に向かって順次巻回される前のプリプレグシート22,24,26,28,30を示す。これらプリプレグシート22,24,26,28,30の図4中の右上端は直角であることが好ましい。プリプレグシート22,24,26,28,30の右上端を含む端部(端面)22a,24a,26a,28a,30aと、これに対向する端部(端面)22b,24b,26b,28b,30bとは、角度が異なる。これは、マンドレル40が後述するように先端(TIP端)40aが細径で基端(BUTT端)40bが太径のテーパ状に形成されていることによるものである。
【0017】
以下、図4Aを参照しながら、マンドレル40にプリプレグシート22,24,26,28,30,32,34を巻回してシャフト12を形成する方法について簡単に説明する。
ここで、マンドレル40のTIP端40aとBUTT端40bとの間の外周は中心軸Cに対して例えば約1000分の8の傾きを有するテーパ面として形成されている。この実施形態のマンドレル40のBUTT端40bには、外周を3等分した印42,44,46(図4B参照)が形成されている。すなわち、この実施形態のマンドレル40のBUTT端40bには、印42,44,46が120度(=360度/(プリプレグシート26,28,30の枚数(3枚)))おきに付されている。そして、図4Aに示すように、印42,44,46はマンドレル40の軸長方向に例えば線分として付されている(ここでは印46のみ図示)。印42,44,46は第3層25、第4層27及び第5層29のプリプレグシート26,28,30の巻き始め位置をそれぞれ認識させるものである。印42,44,46の長さはプリプレグシート26,28,30の巻き始め端部26a,28a,30aをできるだけ曲がらないように印42,44,46に沿わせるのに十分な長さであることが好ましい。印42,44,46は例えば、BUTT端40bからTIP端40aまで延びていても良い。
【0018】
そして、この実施形態に係るシャフト12を製造する場合、マンドレル40のTIP端40aに内側補強層31のプリプレグシート32の強化繊維の繊維方向を、マンドレル40の軸長方向(シャフト12の軸方向に略沿った方向)に合わせて巻回する。
マンドレル40の軸長方向に対して±45度傾斜したクロスタイプのプリプレグシート22を巻回し、シャフト12の第1層21を形成する。第1層21のプリプレグシート22は図3中の例えば左上に端部22a,22bが近接して重なり合った部分(以下、重なり代という)52が形成される。
マンドレル40の軸長方向に対して90度傾斜した方向に強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート24を巻回し、シャフト12の第2層23を形成する。第2層23のプリプレグシート24は図3中の例えば左上に端部24a,24bが近接して重なり合った重なり代54が形成される。なお、第1層21の重なり代52及び第2層23の重なり代54は、ともに、図3中の左上にあると説明したが、図3に示すように、これら重なり代52,54がシャフト12の中心軸Cに対して互いにずれた位置に配置されるように巻回することが好ましい。また、重なり代や隙間の対向位置に同様な重なり代や隙間が形成されないことが好ましい。
【0019】
マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート26を巻回し、シャフト12の第3層25を形成する。このとき、マンドレル40の印42にプリプレグシート26の端部26aを合わせた状態で巻回する。第3層25のプリプレグシート26は図3中の上側に端部26a,26bが近接して重なり合った重なり代56が形成され、すなわち、プリプレグシート26の端部26a,26bは近接した状態にある。
マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート28を巻回し、シャフト12の第4層27を形成する。このとき、マンドレル40の印44にプリプレグシート28の端部28aを合わせた状態で巻回する。第4層27のプリプレグシート28は図3中の右下に端部28a,28bが近接して重なり合った重なり代58が形成され、すなわち、プリプレグシート28の端部28a,28bは近接した状態にある。
マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート30を巻回し、シャフト12の第5層29を形成する。このとき、マンドレル40の印46にプリプレグシート30の端部30aを合わせた状態で巻回する。第5層29のプリプレグシート30は図3中の左下に端部30a,30bが近接して重なり合った重なり代60が形成され、すなわち、プリプレグシート30の端部30a,30bは近接した状態にある。
【0020】
なお、第3層25、第4層27、第5層29の重なり代56,58,60の幅x(後述)はそれぞれ例えば2mmから4mm程度であることが好ましい。重なり代56,58,60がこの程度であれば、隣接する重なり代56,58,60に影響を与えず、シャフト12の周方向の剛性を均一化した状態を維持できる。
また、内側の第3層25の重なり代56に対して外側の第4層27の重なり代58の幅xの方が小さく、内側の第4層27の重なり代58に対して外側の第5層29の重なり代60の幅xの方が小さく、すなわち、内層から外層に向かって徐々に重なり代56,58,60の幅xを小さくすることが好ましい。この場合、外径効果が内層よりも大きい外層側の段差等を小さくできるので、異方性を小さくできる。
【0021】
そして、マンドレル40のTIP端40aに外側補強層33のプリプレグシート34の強化繊維の繊維方向を、マンドレル40の軸長方向に合わせて巻回する。
【0022】
このとき、シャフト12の断面は図3に示す状態にある(マンドレル40の図示は省略する)。
【0023】
そして、通常の成形と同様に、第5層29の外側からテーピングにより締め付け成型、マンドレル40及びシャフト12の加熱硬化、マンドレル40の除去、テーピングのテープの除去、研磨等により、シャフト12を形成する。
図3に示すシャフト12の外観上の段差、隙間等は焼成時のテーピングのテープ圧やシートの流動等によりマンドレル40の外径に沿った形状になり、隙間も埋まる。すなわち、シャフト12の最終的な外形は、テーピングやシートの流動等により、図3のように模式的に示した形状ではなく、横断面が円形リング状のように、内周及び外周が滑らかに形成される。
【0024】
図3に示すように、シャフト12の同一方向に引き揃えられた第3層25、第4層27、第5層29のうち、重なり代56,58,60は、中心軸Cに対して略3等分された周方向位置にある。すなわち、重なり代56,58,60は、中心軸Cに対して略120度おきに形成されている。このため、重なり代56,58,60は、中心軸Cに対して対向した位置には形成されていない。
【0025】
以下に、この実施形態に係るシャフト12の構造と比較するための比較例1(図5A参照)、比較例2(図5B参照)について説明する。
図5Aに示す比較例1は、この実施形態に係るシャフト12と同様に5つの層で形成されたシャフト212の横断面を示し、図5Bに示す比較例2は6つの層で形成されたシャフト312の横断面を示す。なお、図5Aに示す比較例1のシャフト212、図5Bに示す比較例2のシャフト312は、傾斜方向繊維層及び周方向繊維層の図示を省略している。
【0026】
図5Aに示す比較例1では、軸長方向の3つの強化繊維層225,227,229の重なり代256,258,260を図5A中の上側、右側、下側に略90度おきに配置している。このため、重なり代256,260を対向させている。
一方、図5Bに示す比較例2では、軸長方向の4つの強化繊維層325,327,329,331の重なり代356,358,360,362を図5B中の上側、右側、下側、左側に略90度おきに配置している。このため、重なり代356,360が対向し、かつ、重なり代358,362がシャフト312の中心軸Cに対して対向している。
【表1】

【0027】
表1には、この実施形態、後述する第2実施形態、比較例1、比較例2のシャフト12,112,212,312の周方向位置ごとに測定した固有振動数を示す。固有振動数は非接触式固有振動測定装置を用いて測定した。ここでは、長さ955mm(6番アイアン相当長さ)のシャフト12の一端13aにヘッド14に相当する重りを取り付け、シャフト12の他端13bから180mmの位置を固定して、シャフト12の固有振動数を測定した。
【0028】
表1によると、この実施形態および後述する第2実施形態のシャフト12,112の基準位置に対する周方向の各角度の位置における固有振動数の差は最大1cpm程度に抑制されている。
一方、比較例1、2の固有振動数の差は、この実施形態および第2実施形態のシャフト12,112の固有振動数の差に比べて大幅に大きいことが容易に把握できる。
【0029】
比較例1のシャフト212の固有振動数は、基準位置(0度)が348.0cmpであるのに対し、90度の位置では345.5cpmである。そして、重なり代256,258の間の45度の位置では342.5cmpで、重なり代258,260の間の135度の位置では341.0cpmである。
すなわち、2つの重なり代256,260が対向している基準位置での固有振動数が最も大きく、次に、1つの重なり代258がある90度の位置の固有振動数が大きく、2つの重なり代256,258に挟まれた45度、135度の位置の固有振動数が上記2つに比べて小さい。したがって、シャフト212の固有振動数には、重なり代256,258,260が寄与していることが認識できる。そして、特に、2つの重なり代256,260が対向した位置が1つの重なり代258しかない位置に比べて固有振動数が大きいことが認識できる。このため、中心軸Cに対して対向した位置に重なり代がない場合(例えば45度、135度の位置等)の固有振動数に対して、2つの対向した重なり代256,260がある場合(基準位置)が、90度の位置の対向しない1つの重なり代258がある場合に比べて固有振動数に大きく寄与していることが認識される。
したがって、図5Aに示す比較例1のシャフト212は、周方向の特性が異なり、周方向に異方性があることを認識できる。
【0030】
比較例2のシャフト312の固有振動数は、基準位置(0度)が370.2cmpで、同様に90度の位置では370.0cpmである。そして、重なり代356,358の間の45度の位置では366.5cpmで、重なり代358,360の間の135度の位置では365.6cpmである。
すなわち、2つの重なり代356,360が中心軸Cに対して対向している基準位置、同様に2つの重なり代358,362が対向している90度の位置の固有振動数が最も大きく、それに比べて、2つの重なり代356,358に挟まれ、別の2つの重なり代358,360に挟まれた45度、135度の位置の固有振動数が上記2つに比べて小さい。したがって、比較例1だけでなく、比較例2からも、シャフト312の固有振動数には、重なり代356,358,360,362が寄与していることが認識できる。
したがって、図5Bに示す比較例2のシャフト312は、周方向の特性が異なり、周方向に異方性があることを認識できる。
【0031】
一方、表1に記載されているように、この実施形態に係るシャフト12の固有振動数の最大値と最小値の差は0.8cpmであり、周方向による差が小さい。このため、シャフト12の周方向に配置した3つの軸長方向繊維層25,27,29の重なり代56,58,60を中心軸Cに対して対向しないようにしていることが、固有振動数の差を小さくして平均化することに大きく寄与していることを認識できる。
したがって、この実施形態に係るシャフト12のように、軸長方向に強化繊維が配設された第3層25、第4層27、及び第5層29の重なり代56,58,60の位置をシャフト12の中心軸Cに対して周方向にそれぞれ等分(又は略等分)に離してシャフト12の中心軸Cに対して対向させないようにすることによって、シャフト12に異方性が生じるのを効果的に抑制できる。また、これは、現在のゴルフクラブのシャフトに求められる規則とも合致する。
さらに、このように異方性が生じるのを抑制できる結果、シャフト12に対してヘッド14を取り付けるときに、シャフト12の周方向の向きを殆ど考慮することなく取り付けることができる。このため、ゴルフクラブ10の製造に熟練を要することなく、ゴルフクラブ10の製造時間を短縮することができるとともに、シャフト12にヘッド14を取り付ける際の取付ミスを防止することができる。そして、シャフト12をその周方向位置によらず撓りを安定的にすることができるので、ゴルフクラブ10のスイング時のブレを防止でき、ヘッド14のフェースの向きを安定させることができる。
また、重なり代56,58,60がシャフト12の中心軸Cに対して対向しないので、シャフト12を成形する際にシャフト12の中心軸Cに対向する部分だけ繊維量が多くなって厚くなるのを防止し、シャフト12の径の調整(厚さの調整)も容易に行うことができる。
【0032】
この実施形態で説明したように、シャフト12の重なり代56,58,60の位置は中心軸Cに対して略等分した径方向位置に配置されている。このように中心軸Cに対して略等分した位置であって、かつ、重なり代56,58,60を中心軸Cに対して対向しない位置に配置する場合、軸長方向繊維層は3層以上の奇数層(n=2m+1層(mは自然数))であることが必要である。このような条件を満たすことができれば、シャフト12に異方性が生じるのを効果的に抑制できる。
【0033】
ここで、図4Aに示すマンドレル40の各軸方向位置の円周長さをyとする。このとき、マンドレル40のある軸方向位置での半径をrとすると、円周長さy=2πrとして算出できる。
そして、マンドレル40のある軸方向位置における、巻回した後の一方向プリプレグシートの巻き始め位置(端部26a)と巻き終わり位置(端部26b)との距離(同一プリプレグシートの重なり幅)をxとする。すなわち、距離xは重なり代56,58,60の幅である。距離xはこの実施形態では0よりも大きい。
このとき、x≦y/(2n)であることが好ましい。
【0034】
第3層25から第5層29にはそれぞれ重なり代56,58,60がありxは0よりも大きいことから、このような条件を維持できれば、例えばプリプレグシート26の巻き始め端部26aと巻き終わり端部26bとの間に隙間ができることがなく、シャフト12の強度の低下を防止できる。
そして、この実施形態のシャフト12は、表1に示したように固有振動数の周方向の変化が小さく、周方向の物性が大きく相違するのを防止できるので、周方向の剛性のバラツキを少なくすることができる。このため、シャフト12の周方向に異方性が生じるのを効果的に抑制できる。
【0035】
なお、第3層25、第4層27、第5層29のプリプレグシート26,28,30の幅は、第1層21および第2層23の巻き上がり径に対して調整しても良い。すなわち、第3層25、第4層27、第5層29のプリプレグシート26,28,30の巻回数は第1層21および第2層23の巻き上がり径に対して調整される。
また、この実施形態に係るシャフト12の軸長方向繊維層の強化繊維の方向は、シャフト12の中心軸Cに対して例えば±20度程度であれば、十分に軸長方向繊維層としての役割を果たすことができる。そして、この実施形態のように、同一方向に引き揃えた3層(第3層25、第4層27、第5層29)の強化繊維の繊維方向をシャフト12の軸長方向に同一方向としているので、シャフト12の周方向の曲げ剛性の差を小さくすることができる。
同様に、第1層21の傾斜方向繊維層は中心軸Cに対して±45度に対して±20度程度であれば良く、第2層23の周方向繊維層は中心軸Cに直交する方向に対して±20度程度であれば良い。
【0036】
次に、第1実施形態の第1変形例について図6を用いて説明する。
図6は、図3に示す5つの層21,23,25,27,29と同様に、5つの層71,73,75,77,79を有するシャフト12aを示す。ここでは、第3層75、第4層77、第5層79のプリプレグシート76,78,80の端部同士は近接して重なり合っている。そして、各重なり代82,84,86はシャフト12の中心軸Cに対してそれぞれ略120度の範囲にわたっている。すなわち、各重なり代82,84,86の範囲はそれぞれ層の数(ここでは3つ)に応じて等分又は略等分された状態である。
このように、第3層75、第4層77、第5層79のプリプレグシート76,78,80がともに120度の範囲にわたって二重となっているので、シャフト12aの曲げ剛性を図3に示す第1実施形態のシャフト12よりも高剛性化することができる。
【0037】
第3層75のプリプレグシート76の端部のうち、巻き終わり端部76bは、第4層77のプリプレグシート78の巻き始め端部78aに当接している。第4層77のプリプレグシート78の巻き終わり端部78bは、第5層79のプリプレグシート80の巻き始め端部80aに当接している。このため、シャフト12の一部だけ厚さが増すのを防止することができるとともに、プリプレグシートが重なりあって異方性が生じる原因となるのを防止できる。
【0038】
このような構造であっても、軸長方向に強化繊維が配設された層75,77,79の重なり代82,84,86はシャフト12の中心軸Cに対して対向していない。したがって、第1実施形態で説明したのと同様な効果を得ることができる。
【0039】
次に、第1実施形態の第2変形例について図7を用いて説明する。
図7は、図3に示す5つの層21,23,25,27,29と同様に、5つの層91,93,95,97,99を有する。ここでは、第3層95、第4層97、第5層99のプリプレグシート96,98,100の端部同士は近接しているが、重なり代はなく、代わりにプリプレグシート96,98,100の端部同士が近接した状態で離れた隙間102,104,106が形成されている。
【0040】
なお、隙間102,104,106の幅は、0mmから2mm程度であれば良い。第3層95の隙間102が0mmである場合とは、例えばプリプレグシート96の巻き始め端部96aと巻き終わり端部96bとが当接した状態である。第4層97、第5層99についても同様である。この変形例でいう隙間102,104,106が形成されている場合には、実際には隙間が存在しないプリプレグシートの端部(巻き始め端部及び巻き終わり端部)同士が当接した状態を含む。
【0041】
そして、マンドレル40のある軸方向位置における、巻回した後の一方向プリプレグシート96の巻き始め位置(巻き始め端部96a)と巻き終わり位置(巻き終わり端部96b)との距離をxとする。
ここで、図3に示す第1実施形態で説明した距離xは例えばプリプレグシート26の端部26a,26b同士等、プリプレグシートの端部同士が重なり合った部分の幅を示す。このため、図7に示すこの変形例に係る同一プリプレグシート96,98,100内では重なり合った部分がなく、反対に隙間102,104,106が形成されているので、距離xは0又は0よりも小さい。
このとき、|x|≦y/(2n)であることが好ましい。
【0042】
このような関係を維持できれば、隙間102,104,106がシャフト12bの強度に影響を与えることはなく、また、周方向の剛性にも影響を与えない。すなわち、この変形例に係るシャフト12bの周方向の剛性のバラツキが少なく、異方性の発生を抑制することができる。
なお、隙間102,104,106は、実際には、焼成時のテーピングのテープ圧やシートの流動等によりマンドレル40の外径に沿った形状になり、隙間も埋まる。
【0043】
そして、図7に示すような隙間102,104,106が形成されている場合、上述したように、重なり代は存在しない。また、各隙間102,104,106はシャフト12の強度に影響しないほど小さく抑えられている。したがって、第1実施形態で説明したのと同様な効果を得ることができる。
【0044】
次に、第2実施形態について図8を用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例である。
この実施形態に係るシャフト112は、主に7つの層(内側から外側に向かって順に第1層(最内層)121、第2層123、第3層125、第4層127、第5層129、第6層131、第7層(最外層)133)で形成されている。
第1層121および第2層123は、例えば第1実施形態のシャフト12の第1層21および第2層23と同様に形成されている。すなわち、第1層121が傾斜方向繊維層で、第2層123が周方向繊維層である。
【0045】
第3層125、第4層127、第5層129、第6層131および第7層(最外層)133は軸長方向繊維層である。
そして、図8中の上側に第3層125のプリプレグシート126の端部126a,126bが近接して重なり合って重なり代152が形成されている。左下に第4層127のプリプレグシート128の端部128a,128bが近接して重なり合って重なり代154が形成されている。右上に第5層129のプリプレグシート130の端部130a,130bが近接して重なり合って重なり代156が形成されている。左上に第6層131のプリプレグシート132の端部132a,132bが近接して重なり合って重なり代158が形成されている。右下に第7層133のプリプレグシート134の端部134a,134bが近接して重なり合って重なり代160が形成されている。
また、重なり代152,154,156,158,160の幅xは、内側から外側、すなわち、第3層125の重なり代152から第7層133の重なり代160に向かうにつれて小さくなることが好ましい。この場合、外径効果が内層よりも大きい外層側の段差等を小さくできるので、異方性を小さくできる。
【0046】
5層の軸長方向繊維層である第3層から第7層125,127,129,131,133の5つの重なり代152,154,156,158,160は、シャフト112の中心に対してそれぞれ略72度(=360度/(プリプレグシート126,128,130,132,134の枚数(5枚)))ずつずれた位置にある。すなわち、シャフト112の重なり代152,154,156,158,160はシャフト112の中心に対して対向していない。
【0047】
上記の表1に示すように、第2実施形態に係るシャフト112の基準位置(0度)に対する72度、144度、216度、288度の位置における固有振動数だけでなく、基準位置と72度との間の45度の位置、72度と144度との間の90度、135度の位置であっても、比較例1や比較例2に比べて固有振動数の差が十分に小さい。したがって、この実施形態によるシャフト112は周方向の異方性の発生が効果的に抑制できることを示している。
【0048】
この実施形態では、第3層125から第7層133が軸長方向繊維層である。そして、第3層125の重なり代152は図8中の上側に、第4層127の重なり代154は図8中の左下に、第5層129の重なり代156は図8中の右上に、第6層131の重なり代158は図8中の左上に、第7層133の重なり代160は図8中の右下にある。このため、第3層125の重なり代152から第4層127の重なり代154、第4層127の重なり代154から第5層129の重なり代156、第5層129の重なり代156から第6層131の重なり代158、第6層131の重なり代158から第7層133の重なり代160、第7層133の重なり代160から第3層125の重なり代152を結ぶと、略星型になる。このように、製造時に重なり代152,154,156,158,160の位置を径方向にバランスさせておくと、周方向の異方性を効果的に抑制することができる。
このため、第2実施形態で用いるマンドレル(図示せず)の基端のプリプレグシートの巻き始め位置を示す印(マンドレルの周方向に72度ごとに形成)には、5層のプリプレグシート126,128,130,132,134のそれぞれの巻き始め位置126a,128a,130a,132a,134aを例えば1から5の数字等で明記しておくことが好ましい。
【0049】
そして、第2実施形態のシャフト112のように軸長方向繊維層が5層の場合も第1実施形態の第1変形例、第2変形例を適用することができる。例えば第1実施形態の第1変形例を適用する場合、各重なり代(同一プリプレグシートが二重に重ねられた部分)の範囲は略72度(=360度/(プリプレグシートの枚数(5枚)))である。
【0050】
また、第1実施形態では軸長方向繊維層を3層(3枚のプリプレグシート)で形成し、第2実施形態では軸長方向繊維層を5層(5枚のプリプレグシート)で形成したが、軸長方向繊維層は7層(7枚のプリプレグシート)や9層(9枚のプリプレグシート)等、奇数であれば良い。
また、上述した実施形態のゴルフクラブ用シャフト12,12a,12b,112は、ウッド、アイアン、パター等、全ての種類のゴルフクラブに使用することができる。
また、詳細な説明は省略するが、上述した実施形態のゴルフクラブ用シャフト12,12a,12b,112は、魚釣用釣竿等においても同様の構造を採用することができる。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【符号の説明】
【0051】
12…シャフト、21…第1層、23…第2層、25…第3層、27…第4層、29…第5層、22,24,26,28,30…プリプレグシート、22a,24a,26a,28a,30a…巻き始め端部、22b,24b,26b,28b,30b…巻き終わり端部、31…内側補強層、32…プリプレグシート、33…外側補強層、34…プリプレグシート、40…マンドレル、40a…先端(TIP端)、40b…基端(BUTT端)、42,46,48…印、52,54,56,58,60…重なり代、C…中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシートをマンドレルを用いて巻回して積層して形成した中空のゴルフクラブ用シャフトであって、
強化繊維を前記シャフトの軸方向に対して同一方向に引き揃えた一方向プリプレグシートをn枚(n=2m+1:mは自然数)備え、
各一方向プリプレグシートの巻き始め位置を、前記シャフトの基準位置から周方向に360度/nずつずらした位置とし、
それぞれの一方向プリプレグシートごとの巻き終わり位置をそれぞれのプリプレグシートの巻き始め位置に当接または近接させたことを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。
【請求項2】
前記マンドレルの各軸方向位置の円周長さyと、
前記マンドレルの軸方向位置における、巻回した後の一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置との距離xとの関係が
|x|≦y/(2n)
を満たすようにしたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項3】
0<x≦y/2nとしたことを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項4】
前記一方向プリプレグシートは、前記シャフトの軸方向に対して±20度の範囲に引き揃えられた軸長方向プリプレグシートであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載のゴルフクラブ用シャフトと、
前記ゴルフクラブ用シャフトの端部に取り付けられたヘッドと
を具備することを特徴とするゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−245139(P2011−245139A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123357(P2010−123357)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】