説明

ゴルフクラブ

【課題】本件発明は、通常のゴルフクラブのように、ゴルフバッグに収納が可能で、スウィング時に邪魔にならず(プレイヤー腹部にヘッドが引っ掛からない)、アプローチからパットまでを、一本のクラブで行なうことができるゴルフクラブを提供するものである。
【解決手段】ヘッド1のトゥ10側にアイアン部2が形成され、ヘッド1のヒール側12にパター部3が形成されており、前記アイアン部2にはアイアンフェース20が設けられ、前記パター部3にはパターフェース30が設けられていることを特徴とするゴルフクラブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフボールを打ち出す為のゴルフクラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブはゴルフ競技およびそれに準ずる競技には不可欠な用具であり、ウッド、フェアウェイウッド、ユーティリティー、アイアン、ウェッジ、パターなどの種類のゴルフクラブが用いられている。
【0003】
このようなゴルフ競技においては、グリーン近くになると、アイアンやウェッジを用いてグリーン上にゴルフボールを移動させた後(いわゆるアプローチの後)、パターを用いてグリーン上のボールをカップに入れる。
【0004】
この時、ゴルフプレイヤーは、アプローチからパットがスムーズに進むように、アイアン又はウェッジの1〜2本、パター1本、をクラブバッグから取り出し移動することが多い。
【0005】
このような競技内容を鑑みて、クラブヘッドをシャフトの両端に設けたゴルフクラブが開示されている。(特許文献1)
アプローチからパットが、一本のクラブで行なうことができると、一組のゴルフクラブセットに要するゴルフクラブの本数を削減することができ、且つ、経済的にも有利に製作できるゴルフクラブを得ることができる。また、ゴルフコースにおける持ち運びも容易になり、紛失しにくくなり、他のプレイヤーに迷惑をかけるおそれも軽減される。
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1のようなゴルフクラブは、スウィングの際に手前にあるヘッドが邪魔(プレイヤー腹部にグリップ側のヘッドが引っ掛かる)であると共に、ゴルフバッグに収納することが困難であるという問題があった。
【0007】
また、クラブヘッドが取外し可能であったとしても、そのような作業はプレイヤーにとって煩雑なものであった。
【特許文献1】実開平07−013367
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件発明は、上述のような課題にもとづき、通常のゴルフクラブのように、ゴルフバッグに収納が可能で、スウィング時に邪魔にならず(プレイヤー腹部にヘッドが引っ掛からない)、アプローチからパットまでを、一本のクラブで行なうことができるゴルフクラブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1記載の発明)
請求項1記載のゴルフクラブは、ヘッドのトゥ側にアイアン部が形成され、ヘッドのヒール側にパター部が形成されており、前記アイアン部にはアイアンフェースが設けられ、前記パター部にはパターフェースが設けられていることを特徴とする。
(請求項2記載の発明)
請求項2記載のゴルフクラブは、請求項1記載のゴルフクラブにおいて、ヘッドのアイアンフェースとパターフェースは連続して設けられており、パター部にシャフトが取り付けられていることを特徴とする。
(請求項3記載の発明)
請求項3記載のゴルフクラブは、請求項1又は2記載のゴルフクラブにおいて、アイアンフェースの傾斜を50°〜60°に設定したことを特徴とする。
(請求項4記載の発明)
請求項4記載のゴルフクラブは、請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブにおいて、パターフェースの領域は、シャフトからトゥに向かって0mm〜10mm、シャフトからヒールに向かって10mm〜20mmであることを特徴とする。
(ゴルフクラブの使用例)
ゴルフクラブは、請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブにおいて、アプローチからパットまでを、打数ではなく、ポイント制で勝敗を決めるゴルフに使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このゴルフクラブは、アプローチからパットを一本のクラブで行なうことができ、従来どおりゴルフバッグに収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、この発明のゴルフクラブの実施形態を、実施例として示す各図と共に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、このゴルフクラブのヘッド部の正面図である。
【0013】
図2は、このゴルフクラブのヘッド部の側面図である。
(1.ゴルフクラブについて)
通常、ゴルフクラブは、スチールやカーボンなどのシャフト4の一端にプレイヤーが握るグリップ部を設け、もう一端にゴルフボールを打つ為のヘッド部(以下、ゴルフクラブヘッド1)が設けられている。
【0014】
シャフト4は、図1に示すように、ゴルフクラブヘッド1のシャフト受部11に挿入されている。
【0015】
シャフト受部11は後述のパター部3に設けるのが好ましい。
(2.ゴルフクラブヘッド1の呼称について)
プレイヤーがグリップを握りゴルフボール手前にゴルフクラブヘッド1を地面に置いた態様となると、図1及び図2に示すように、プレイヤーのつま先方向が前方を向くことから、プレイヤーから見てクラブヘッドの先端をトゥ10、手前側の端をヒール12と称される。また、ゴルフクラブヘッド1が地面に接触する面をソール13、と称されるのが一般的である。
(3.ゴルフクラブヘッド1の基本構成について)
そして、この発明のゴルフクラブヘッド1には、図1及び図2に示すように、トゥ側10にアイアン部2が設けられ、ヒール12側にパター部3が形成されている。
【0016】
アイアン部2は、ゴルフクラブのアイアンを模倣しており、アイアンフェース20が設けられている。
【0017】
パター部3は、ゴルフクラブのパターを模倣しており、パターフェース30が設けられている。
【0018】
アイアンフェース20とパターフェース30の双方を有するゴルフクラブヘッド1であることから、アプローチとパットの両方を一本のクラブで行なうことができる。
【0019】
そして、グリップ側にゴルフクラブヘッド1が設けられていないことから、ゴルフバッグへの収納が容易なものとなる。
【0020】
また、ゴルフの競技規則では、「一人14本」という規定があるが、このクラブを用いると、一本二役であることから、新たなクラブを追加することもできる。
(4.ゴルフクラブヘッド1の詳細な構成について)
ゴルフクラブヘッド1の素材としては、軟鉄、ステンレス鋼、ベリリウム銅合金、チタン合金、その他合金、エンジニアリングプラスチックなどを使用することが出来る。軟鉄を用いるのが好ましい。前記軟鉄を鍛造しても良い。アイアン部2とパター部3に異なる材料を用いても良いし、同一の材料であってもよい。
【0021】
ゴルフクラブヘッド1は、トゥ10からヒール12までの長さを、12cm〜25cmとするのが好ましい。
【0022】
アイアンフェース20とパターフェース30の領域の割合は、トゥ11〜ヒール12の長さの割合において
アイアンフェース20:パターフェース30 = 7:4〜4:6
とするのが好ましい。
【0023】
前述の境界5を、図1及び図2に示すように、始点終点を曲面とすることで、アイアンフェース20とパターフェース30が連続して設けられていることが好ましい。
(4−1.アイアンフェース20について)
アイアンフェース20には、ウェッジ類フェースを用いることができる。アイアンフェース20の表面には、フェース溝が設けられている。アイアンフェース20の傾斜(ロフト角)は、50°〜60°とするのが好ましい。
(4−2.パターフェース30について)
パターフェース30には、パターのフェースを用いることができる。パターフェース30の表面には、平滑にするのが好ましい。パターフェースの傾斜(ロフト角)は、0°〜5°で設けることができる。前記ロフト角は0°〜1°とするのが好ましい。
【0024】
また、図1に示すように、パターフェースのパットスポット31と、シャフト4のシャフト中心41の延長線が重なる態様となるようにパターフェース30を設けるのが好ましい。
【0025】
そして、パターフェース30の領域は、シャフト中心41からトゥに向かって0mm〜10mm、シャフト中心41からヒール12に向かって10mm〜20mmとするのが好ましい。
(5.このゴルフクラブの効果について)
このゴルフクラブは、アプローチからパットを一本のクラブで行なうことができ、従来どおりゴルフバッグに収納することができる。
【0026】
また、特許文献1のように、使用者の腹部に引っ掛かることもない。
【0027】
さらに、パター部3によって、ゴルフクラブヘッド1のソール13が広くなったことから、芝生上をソール13がすべり、ダフりショット(地面を掘るミスショット)が減少するという当業者が容易に想到し得ない効果が得られた。
(6.このゴルフクラブを用いた、新しい遊びについて)
また、本発明の発明者は、狭い敷地面積でプレーができるこのゴルフクラブを用いた新しい遊びを幾つか提案している。
【0028】
図3は、このゴルフクラブのヘッド部を用いたinゴルフのコース図である。
(6−1.「inゴルフ」)
発明者は、本件のゴルフクラブを用いて、屋内で遊ぶことができる遊びも提案している。
【0029】
inゴルフは、室内にグリーンとその周囲を設け、アプローチからパットまでを、打数ではなく、ポイント制で勝敗を決めるゴルフである。
【0030】
そして、inゴルフは、通常のゴルフを室内で行なう遊戯としたことから、図3に示すような、全幅6〜10全長8〜30mのinゴルフコース6で行なわれる。
【0031】
前記、inゴルフコース6には、スタートゾーン60、障害物7、グリーン8、カップ80などが設けられており、前記カップ80にフラグを設けることもできる。inゴルフコース6内に、ショットが行いやすいフェアウェイゾーンや、ショットが行いにくいラフゾーン・バンカーゾーンや、ペナルティーゾーンを設けることもできる。
【0032】
前述の障害物7は、大障害物70、中障害物71、小障害物72とすることができる。前記障害物7の材質はプラスチック、エラストマー、金属などを使用することができる。怪我やゴルフクラブの破損を未然に防ぐ為、障害物7にはエラストマーを用いるのが好ましい。
【0033】
グリーン8は、ゲーム性を高める為に、フェアウェイよりも10〜15cm高く設定するのが好ましい。
【0034】
カップ80の直径は、通常のゴルフカップと同様の直径10.8cmとするのが好ましい。
【0035】
発明者は、前述の「inゴルフ」に関し、標準的なルールについて、以下のようなものを提案している。
・3roundの合計を二人以上の複数のプレイヤーで競いあう
・第1打目で、ボールがグリーン8に乗ったらワンオンの1ポイント(以下1P)
・複数のプレイヤーにおいて、グリーン8に乗ったボールが最もカップ80に近い者にニアピンの1P
・第1打目で、ボールがカップに入ったら、ホールインワンの5P
・第2打目で、ボールがカップに入ったら、バーディーの3P
・第3打目で、ボールがカップに入ったら、パーの2P
・第4打目で、ボールがカップに入ったら、ボギーの−1P
・第5打以上で、ボールがカップに入ったら、ダブルボギー以上として−2P
そして、このようなルールに基づき、表1に示すようなスコアカードを記載することができる。
(ゲーム名:スタンダード戦)
【0036】
【表1】

【0037】
表1のようなスコアカードを作成しておけば、プレイヤーA〜Dは、丸をつけるだけで、楽しむことができる。
【0038】
また、inゴルフコース6内に各センサを設け、コンピューター処理によって、表1に自動的にポイント計算がなされる態様としても良い。
【0039】
また、以下の表2に示すように、プレイヤーAとBをチームαとし、プレイヤーCとDをチームβとすることで、ポイント合計を競うチーム戦を行なうこともできる。(ゲーム名:スタンダード・team戦)
【0040】
【表2】

【0041】
また、表1、表2に示すような、3roundのみではなく表3に示すように10ラウンド行なってもよい。(ゲーム名:ポイントフィフス)
プレーラウンド数は、プレイヤーや経営者が適宜決めることができる。
【0042】
表3記載のカタカナは、表1・表2と同義であるが、以下の通りである。
「 ホ :ホールインワンの5P」
「 バ :バーディーの3P」
「 パ :パーの2P」
「1オン:ワンオンの1P」
「 ボ :ボギーの−1P」
「 ダ :ダブルボギー以上の−2P」
【0043】
【表3】

【0044】
また、表4などを用いて、前述の「ホ:ホールインワン」「バ:バーディー」「パ:パー」「1オン:ワンオン」「ボ:ボギー」のいずれかのみの回数を競うこともできる。
【0045】
例えば、10ラウンドを遊んだ後、「バ:バーディー」のみの回数をカウントし、その回数の多かったものが勝者となるゲームが提案できる。(ゲーム名:バーディー10)
【0046】
【表4】

【0047】
また、このinゴルフは、打数ではなくポイント制であることから、ポイントのプラス、マイナスをカウントすることが可能である。
【0048】
このことから、たとえば、表5などのスコアシートを用いて、「一番早く、7Pになった人が勝ち。カップに決めた時点で、7Pになったらゲーム終了」というルールも提案できる。(ゲーム名:ポイント7)
この場合、規定のラウンド(例えば3ラウンド)で決着がつかなければ、ドローである。
【0049】
【表5】

【0050】
(6−2.「ダーツゴルフ」)
発明者は、本件のゴルフクラブを用いて、屋内で遊ぶことができる遊びも提案している。
【0051】
ダーツゴルフは、室内にグリーンとその周囲を設け、グリーンをダーツボードのようにシングル、ダブル、トリプル、ブル、等のエリア分けし、予め点数を決めておき、アプローチショットをしたボールが、止まった位置の点数を競う競技である。
(6−3.本件発明の更なる効果について)
この発明のゴルフクラブは、一本の利用で事足りる為、前述の“inゴルフ”や“ダーツゴルフ”など遊戯として遊ぶゴルフにおいて、好適に使用できるゴルフクラブを提供することをも目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】このゴルフクラブのヘッド部の正面図である。
【図2】このゴルフクラブのヘッド部の側面図である。
【図3】このゴルフクラブのヘッド部を用いたinゴルフのコース図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ゴルフクラブヘッド
10 トゥ
11 シャフト受部
12 ヒール
13 ソール
2 アイアン部
20 アイアンフェース
3 パター部
30 パターフェース
31 パットスポット
4 シャフト
40 シャフト中心
5 境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドのトゥ側にアイアン部が形成され、ヘッドのヒール側にパター部が形成されており、前記アイアン部にはアイアンフェースが設けられ、前記パター部にはパターフェースが設けられていることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
ヘッドのアイアンフェースとパターフェースは連続して設けられており、パター部にシャフトが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
アイアンフェースの傾斜を50°〜60°に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフクラブ
【請求項4】
パターフェースの領域は、シャフトからトゥに向かって0mm〜10mm、シャフトからヒールに向かって10mm〜20mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−45439(P2012−45439A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269626(P2011−269626)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3150223号
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(308035449)
【Fターム(参考)】