説明

ゴルフパッティング練習用具

【課題】アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行う。
【解決手段】一対の側壁部材2L,2Rを含み、側壁部材2L,2Rは、一対の糸3,4を装着するための装着孔h1〜h4を有し、ゴルフクラブの移動方向を案内するために基準面から離間して設置される案内バー5と、案内バー5と基準面との距離を調整する調整機構6L,6Rとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の場所でパッティングの練習を行うことができるゴルフパッティング練習用具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのパッティングにおいてアドレス時に要求される重要な観点としては、
(1)鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置が、ゴルフボール(以下、単に「ボール」という)の真上から見たときの中心の位置と一致するようにプレイヤーの目の位置を固定すること。ここで、プレイヤーの視点の位置とはプレイヤーの視線がそそがれる所の位置、と定義し、以下同様とする。
(2)上記(1)とともに両肩が目標の打球方向に対してほぼ平行になるように安定した姿勢を保つこと。
(3)アドレス時におけるゴルフパター(以下、単に「パター」という)のヘッドのフェイス面(以下、単に「フェイス面」という)の向きが打球方向と直角になっていることなどを挙示することができる。
【0003】
一方、打球時に要求される重要な観点としては、
(4)上記(1)および(2)とともにフェイス面の向きを変えることなく打球方向にスイングすることなどを挙示することができる。
【0004】
すなわち、ゴルフのパッティングでは、上記のプレイヤーの目の位置、姿勢、フェイス面の向き、および、スイング方向などようなアドレス時および打球時に要求される重要な観点について総合的に矯正してパッティングフォームを固める練習が不可欠である。
【0005】
特許文献1に開示されたパットスイング練習器具では、2本の支柱を起立させた状態で離隔配置し、支柱間に一対の糸もしくは紐を張っている。
【0006】
また、特許文献2に開示されたパッティングストローク矯正用練習具では、両端に安定台座を組合せて形成されたガイドスタンド間の一対のガイドレールにより直線状のガイドスリットを確保し、パターのフェイス面の向きを矯正する矯正部材を遊嵌させた状態でストロークさせるようになっている。
【0007】
また、特許文献3に開示されたパッティング練習用具では、左右一対の支持体間に、パターのシャフトを案内する案内部材(棒またはひも等)を架設し、シャフトを案内部材に接触させた状態でストロークさせるようになっている。
【0008】
なお、パットスイング練習用具に関するものではないが特許文献4〜6には、様々なライ角(シャフトとヘッドのなす角)を有するパターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3083867号明細書(2001年11月21日登録)
【特許文献2】特開平6−205863号公報(1994年7月26日公開)
【特許文献3】特開平10−248984号公報(1998年9月22日公開)
【特許文献4】特開2009−106400号公報(2009年5月21日公開)
【特許文献5】特開2009−136638号公報(2009年6月25日公開)
【特許文献6】特開2009−273582号公報(2009年11月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたパットスイング練習器具では、支柱間に張った一対の糸もしくは紐が、プレイヤーの目の位置を固定する際の客観点な基準となるため、静的なプレイヤーの目の位置、姿勢およびフェイス面の向きについては矯正できるかもしれないが、動的な打球時(パッティング時)の姿勢およびスイング方向を精度良く矯正することができないという問題点がある。
【0011】
例えば、特許文献1に開示されたパットスイング練習器具では、パッティングスイングを強制的に矯正できる案内部材のようなものがないため、反復練習をする際、パッティングスイング毎にパターのヘッドの動き(軌道)のばらつきを生じ、精度良くスイング方向を目標の打球方向に一致させることが困難である。
【0012】
一方、特許文献2に開示されたパッティングストローク矯正用練習具ではフェイス面の向きとスイング方向の矯正ができ、特許文献3に開示されたパッティング練習用具では、スイング方向のみを矯正できるかもしれないが、いずれも鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置が、ボールの真上から見たときの中心の位置と一致するようにプレイヤーの目の位置を固定する際の客観的な基準がなく、プレイヤーの目の位置を固定することが難しい。
【0013】
したがって、反復練習をする際、パッティングスイング毎にプレイヤーの目の位置のばらつきを生じ、その結果、頭からつま先まで体全体の姿勢を固め難いという問題点がある。
【0014】
すなわち、上記の各文献に開示された技術の各々では、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができないという問題点がある。
【0015】
言い換えれば、上記の各文献に開示された技術では、静的なアドレス時から動的なパッティング時までの一連の動作全体を通して(終始一貫して)理想的なパッティングフォームを習得することは困難である。
【0016】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、パターのシャフトとヘッドとの間の角度<ライ角>の差異などのゴルフクラブの構造上の違いに関わらず、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができるゴルフパッティング練習用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のゴルフパッティング練習用具は、上記の課題を解決するために、互いに離間して設置される一対の支持部材を少なくとも含むゴルフパッティング練習用具であって、上記一対の支持部材は、上記ゴルフパッティング練習用具が設置される設置面に対して垂直に起立する所定の基準面に含まれるように張られる一対の線状部材を装着するための一対の装着孔を有し、上記一対の支持部材によって支持され、ゴルフクラブの移動方向を案内するために上記基準面から離間して設置される案内部材と、上記案内部材と上記基準面との距離を調整する調整機構とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、一対の線状部材を対応する一対の装着孔に装着し、支持部材間に一対の線状部材が張られた状態において、アドレス時に鉛直真下を見たときに一対の線状部材が互いに重るようにプレイヤーの目の位置を移動させれば、プレイヤーの視点の位置を、ボールの真上から見たときの中心の位置に一致させることができる。
【0019】
すなわち、一対の線状部材が、鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置を、ボールの真上から見たときの中心の位置に一致させる際の客観的な基準となり、一対の線状部材が互いに重なるようにプレイヤーの目の位置を移動させれば視点の位置が定まり、その視点の位置とボールの真上から見たときの中心の位置が一致する正しい位置にボールを置くことができる。
【0020】
併せて、設置面に対して垂直に起立し、かつ、ボールの中心を通る所定の基準面上(同一鉛直平面上)にプレイヤーの目が固定されるので、頭からつま先まで体全体の姿勢を固め易くなる。
【0021】
すなわち、一対の線状部材が、鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置を、ボールの真上から見たときの中心の位置に一致させる際の客観的な基準となり、一対の線状部材が互いに重なるようにプレイヤーの目の位置を移動させれば視点の位置が定まり、正しい位置にボールを置くことができる。
【0022】
次に、一対の線状部材の延在する方向と、ゴルフパター(以下、単に「パター」という)のヘッドのフェイス面(以下、単に「フェイス面」という)の向きとを直角にすることで、アドレス時にフェイス面の向きが目的の打球方向と直角になっていることを確認することができる。
【0023】
また、一対の線状部材の延在する方向、または案内部材が延在する方向と、両肩が延在する方向とをほぼ一致させることにより、アドレス時および打球時において、両肩が目標の打球方向に対してほぼ平行になるように姿勢を安定して保つことができる。
【0024】
また、案内部材にパターのシャフトを接触させた状態でストロークすることにより、スイング方向を精度良くほぼ打球方向に一致させることができる。
【0025】
さらに、ボールの上方からみて線状部材の延在する方向に沿って視線を移動させればプレイヤーは容易に転がるボールに視線を追従させることができる。
【0026】
また、アドレス時にプレイヤーの視点の位置を、ボールの真上から見たときの中心の位置に置くことで、ボールの中心と、案内部材により案内されるパターのヘッドのフェイス面の中心(スイートスポット)とを一致させた状態からの打撃を行い、打撃されたボールのころがりの経路(軌道)と一対の線状部材の延在する方向とのずれを矯正していく練習を行うことにより、安定したパッティングフォームを固めることができる。
【0027】
ここで、特に上記特許文献1と他の文献とを組合せて本発明のゴルフパッティング練習用具を為すことが容易でない点について説明する。
【0028】
特許文献1の技術の解決課題は、案内部材に頼ることなく練習することである。よって、案内部材を構成に含めることは意識的(積極的)に除外されており、案内部材に頼る技術との組合せを大きく阻害している。
【0029】
したがって、案内部材に頼らないことを技術思想とする特許文献1と、案内部材(すなわち矯正部材)に頼ることを技術思想とする特許文献2や特許文献3とを組合せるための「課題の共通性」、「作用・機能の共通性」、「記載内容中の示唆」などの動機付けは何ら存在しないため、それらを組合せて本発明のゴルフパッティング練習用具を為すことは困難である。
【0030】
すなわち、上述したように、アドレス時および打球時における重要な観点について、総合的にパッティングフォームの矯正を行う、言い換えれば、静的なアドレス時から動的なパッティング時までの一連の動作全体を通して(終始一貫して)理想的なパッティングフォームを習得するという、従来にない新たな課題に着目し、それを解決するため、本発明のゴルフパッティング練習用具では、上記の構成としている。
【0031】
一方で、上記の特許文献4〜6に示すように、様々なライ角(シャフトとヘッドのなす角)を有するパターが存在する。
【0032】
このため、単に案内部材と基準面との間の距離を単純に固定しただけの構成では様々なライ角を有するパターに適応させることができないという新たな問題点が生じる。この問題点は、言うまでもなく上記各文献のいずれにも記載ないし示唆のない新規な問題点であると考えられる。
【0033】
このようなさらなる新規な問題点を克服するため、改良を重ね本発明のゴルフパッティング練習用具では、さらには、案内部材と基準面との距離を調整する調整機構を備える構成としている。これにより、案内部材と基準面との距離を適宜調整することができる。つまり、初期の案内部材の位置調整時において一対の糸状部材が重なって見える位置に視点の位置を固定した状態で観察し、使用するゴルフパターのシャフトを案内部材に当接させながら一対の糸状部材とゴルフパターヘッドのスイートスポットが一直線上に合致するように案内部材の位置を可変調整できるので、容易かつ正確に案内部材と基準面との距離を調整することができる。これにより、一対の糸状部材が案内部材の位置を調整する際の基準となり、現物合わせが容易となる。また、上記の特許文献4〜6に示すゴルフクラブの構造上の違い(例えば、パターのシャフトとヘッドとの角度<ライ角>の差異)にも対応が容易である。
【0034】
以上により、パターのシャフトとヘッドとの間の角度<ライ角>の差異などのゴルフクラブの構造上の違いに関わらず、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができる。
【0035】
言い換えれば、ゴルフクラブの構造上の違いに関わらず、静的なアドレス時から動的なパッティング時までの一連の動作全体を通して(終始一貫して)理想的なパッティングフォームを習得することができる。
【0036】
なお、本発明のゴルフパッティング練習用具によれば、使用の際は、一対の支持部材間に一対の線状部材を張り、案内部材を設置すれば良いので、分解、組立ておよび設置が容易で、実際にプレーするグリーン上でも簡単に練習ができるという副次的効果も期待できる。
【0037】
そして、実際にプレーするグリーン上で離間して設置すれば、パッティングラインが実際にプレーするグリーン上と同じ状況となり、気候や天候などで左右されるグリーンコンディションを十分反映させることができるため、より実戦的な練習用具として活用できる。
【0038】
また、本発明のゴルフパッティング練習用具は、上記の構成に加えて、さらに、上記一対の線状部材を含み、上記一対の装着孔に対応して上記一対の線状部材が装着され、上記案内部材が、上記基準面から所定の距離だけ離間して設置されていることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、実際に本発明のゴルフパッティング練習用具を使用してアドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができる。
【0040】
また、本発明のゴルフパッティング練習用具は、上記の構成に加えて、上記一対の支持部材の少なくとも一方は、透明部材から構成されており、通常の使用状態における下方側の端にボールを通過させるための第1の通過口が形成されていても良い。
【0041】
上記の構成によれば、グリーン上のホール際でゴルフパッティング練習用具を用いてカップインまでの打撃練習を行う場合には、支持部材自体がカップまでのパッティングラインを視覚的に遮断することがないため、プレイヤーがパッティングする前にカップまでの距離感を明確にイメージできる。
【0042】
また、支持部材を介してボールのころがりの経路(軌道)を視認できるので、例えば、ホール際で本発明のゴルフパッティング練習用具を用いた場合には支持部材の通過口の通過位置からホールの間における軌道の確認をしながら行うパッティングフォームの矯正も容易となる。
【0043】
また、本発明のゴルフパッティング練習用具は、上記の構成に加えて、上記第1の通過口の開口面積よりも小さな開口面積の第2の通過口を有する交換部材を含み、上記一対の支持部材の少なくとも一方に対して、上記第2の通過口が上記第1の通過口の内側に位置するように、上記交換部材が設置されていても良い。
【0044】
上記の構成によれば、容易に開口面積の異なる交換部材に交換できるため、使用者のレベルに応じてパッティングの難易度を可変できる。つまり、上級者は、初級者に比べより開口面積の小さい第2の通過口を有する交換部材に交換することにより、レベルに応じた練習が可能となる。
【0045】
また、本発明のゴルフパッティング練習用具は、上記の構成に加えて、上記一対の装着孔のそれぞれに装着された上記一対の線状部材のそれぞれの一端に錘が設けられており、上記一対の線状部材のそれぞれの他端から上記一端までの長さが可変となっていても良い。
【0046】
上記の構成によれば、一対の支持部材の間の距離が変化しても、一定の張力(線状部材に作用する張力)が得られるため、支持部材の傾きや風の影響による一対の線状部材の位置の変動(揺動)が生じにくい。
【0047】
また、一対の支持部材が設置されるときの設置間隔を変え、練習するパッティング距離を可変としても、それに応じて一対の錘のそれぞれの位置を変更するだけで所定の張りが得られるので任意のパッティング距離に応じたバックストローク幅の習得が容易となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明のゴルフパッティング練習用具は、以上のように、上記一対の支持部材は、上記ゴルフパッティング練習用具が設置される設置面に対して垂直に起立する所定の基準面に含まれるように張られる一対の線状部材を装着するための一対の装着孔を有し、上記一対の支持部材によって支持され、ゴルフクラブの移動方向を案内するために上記基準面から離間して設置される案内部材と、上記案内部材と上記基準面との距離を調整する調整機構とを備える構成である。
【0049】
それゆえ、パターのシャフトとヘッドとの間の角度<ライ角>の差異などのゴルフクラブの構造上の違いに関わらず、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の一形態であるゴルフパッティング練習用具1の全体構成を示す斜視図である。
【図2】ゴルフパッティング練習用具1の使用方法について説明するための説明図である。
【図3】図1に示す側壁部材2L側から見たときのゴルフパッティング練習用具1の各側面の様子を示す図であり、(a)は、側壁部材2Lに向かって左側の側面の様子を示し、(b)は、上側の側面の様子を示し、(c)は、右側の側面の様子を示す。
【図4】ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態の一例を示す図である。
【図5】ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態の他の一例を示す図である。
【図6】ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態のさらに他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の一実施形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、次の通りである。以下の特定の項目で説明する構成以外の構成については、必要に応じて説明を省略する場合があるが、他の項目で説明されている場合は、その構成と同じである。また、説明の便宜上、各項目に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0052】
(ゴルフパッティング練習用具)
図1は、本発明の実施の一形態であるゴルフパッティング練習用具1の全体構成を示す斜視図である。図2は、ゴルフパッティング練習用具1の使用方法について説明するための説明図である。
【0053】
図3は、図1に示す側壁部材2L側から見たときのゴルフパッティング練習用具1の各側面の様子を示す図である。なお、図3(a)は、側壁部材2Lに向かって左側の側面の様子を示し、図3(b)は、上側の側面の様子を示し、図3(c)は、右側の側面の様子を示している。
【0054】
図4は、ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態の一例を示す図である。図5は、ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態の他の一例を示す図である。図6は、ゴルフパッティング練習用具1の使用時の状態のさらに他の一例を示す図である。
【0055】
図1、図3および図4(または図5)に示すように、ゴルフパッティング練習用具1は、一対の側壁部材(支持部材)2L,2R、一対の糸(線状部材)3,4、一対の糸巻き器(錘)3b,4b、案内バー(案内部材)5、調整機構6L,6R、梁部材7、梁部材8、ボール挿通プレート(交換部材)9a、設置面固定用部材d1‐L、設置面固定用部材d1‐R、設置面固定用部材d2‐L、および設置面固定用部材d2‐Rを少なくとも含む。
【0056】
なお、図1および図3は、側壁部材2Lのみに後述するボール挿通プレート9aが挿入され、側壁部材2Rの側には、ボール挿通プレートが挿入されていない状態を示している。また、図4および5は、側壁部材2Lにボール挿通プレート9aが挿入されている状態を示している。一方、図6は、側壁部材2Lにボール挿通プレート9aに替えて、後述するボール挿通プレート(交換部材)9dが挿入されている状態を示している。
【0057】
(側壁部材)
図1に示すように一対の支持部材を構成する側壁部材2L,2Rは、それぞれ、通常の使用状態において、設置面SUF1(図2参照)に対して、最大面積を有する側面を鉛直に起立させた状態で互いに離間〔離間距離W;図3(a)参照〕して設置される。離間距離Wは、本実施形態では、側壁部材2Lの側壁部材2Rに対向する面と、側壁部材2Rの側壁部材2Lに対向する面との間の距離を示している。また、本実施形態では、離間距離Wは、約1126mmであるが、離間距離Wはこのような距離に限定されない。
【0058】
また、以上のように、例えば実際にプレーするグリーン上で離間して設置すれば、パッティングラインが実際にプレーするグリーン上と同じ状況となり、気候や天候などで左右されるグリーンコンディションを十分反映させることができるため、より実戦的な練習用具として活用できる。
【0059】
次に、側壁部材2L,2Rはそれぞれ、透明アクリル板(透明部材)を加工したものであり、通常の使用状態における下方側の端にボールを通過させるための通過口(第2の通過口)h7、および通過口(第1の通過口)h8が形成されている(図1参照)。
【0060】
なお、通過口h7は、ボール挿通プレート9aが挿入されている状態での通過口を示しており、通過口h8は、ボール挿通プレートが挿入されていない状態での通過口を示している。また、本実施形態では、上記のように、側壁部材2L,2Rは、透明アクリル板を下向きのコの字形状に加工したものであるが、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。また、透明アクリル板のように透明な材料でなくても良いが、側壁部材2L,2Rを介してボールのころがりの経路(軌道)を視認できるようにするためには透明な材料を使用することが好ましい。
【0061】
次に、本実施形態の図1に示す通過口h8の孔径は、図4に示す孔径d2と同じであり、約100mmであるが、孔径d2は、このような長さに限定されない。また、本実施形態の図4に示す距離X,Yは、それぞれ、約190mm、約150mmであるが、距離X,Yは、このような長さに限定されない。側壁部材2Rについても同様である。
【0062】
次に、図3(a)に示す側壁部材2R,2Lの厚さd3は、ともに約10mmであるが、厚さd3はこのような厚さに限定されない。
【0063】
以上の構成により、グリーン上のホール際でゴルフパッティング練習用具1を用いてカップインまでの打撃練習を行う場合には、側壁部材2L,2R自体がカップまでのパッティングラインを視覚的に遮断することがないため、プレイヤーがパッティングする前にカップまでの距離感を明確にイメージできる。
【0064】
また、側壁部材2L,2Rを介してボールのころがりの経路(軌道)を視認できるので、例えば、ホール際でゴルフパッティング練習用具1を用いた場合には側壁部材2L,2Rの通過口h7またはh8の通過位置からホールの間における軌道の確認をしながら行うパッティングフォームの矯正も容易となる。
【0065】
上記の特許文献1の技術では、支柱が障害となり、打球の転がる軌跡の確認ができないという問題点があるが、上記のように側壁部材2L,2Rを透明部材で構成すれば、このような問題点を克服することができる。
【0066】
(梁部材)
梁部材7,8は、側壁部材2L,2Rのそれぞれが起立した状態で離間距離Wが変化することがないように側壁部材2L,2R間に掛け渡す固定梁である。
【0067】
また、側壁部材2L,2Rには、それぞれ、梁部材7を挿通させるための挿通口が設けられており、梁部材7を側壁部材2L,2Rの対応する挿通口に挿通させ、側壁部材2L,2R間に梁部材7を掛け渡した状態で、梁部材7の両端からノブ7L,7Rでネジ止め固定される。梁部材8も同様に側壁部材2L,2R間に梁部材8を掛け渡した状態で梁部材8の両端からにぎり玉8L,8Rでネジ止め固定される。
【0068】
本実施形態の梁部材7,8は、断面形状が円環形状の直径約8mmのステンレスパイプ(ミスミ社製PSWT8‐560‐M)を用いて構成しているが、梁部材7,8はこのような材料に限られず、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。また、梁部材7,8の断面形状は、円環形状に限定されず、例えば、多角環形状であっても良い。また、梁部材7,8は、パイプ状の部材でなく、棒状の部材であっても良いが、軽量化を図る観点では、パイプ状の部材が好ましい。
【0069】
次に、本実施形態では、ジョイント用ネジ(不図示;ミスミ社製MSSU5‐5,MSSU5‐20)を用いて2本のステンレスパイプを連結させて梁部材7,8を構成している。このように複数のステンレスパイプを連結させることにより、側壁部材2L,2Rの離間距離W〔図3(a)参照〕を調整することが可能となる。
【0070】
次に、本実施形態のノブ7L,7Rはそれぞれ、ローレットノブ(ミスミ社製MOMSC8‐17)を用いて構成しているが、ノブ7L,7Rはこのような材料に限られず、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良く、その外観形状も任意である。
【0071】
また、本実施形態のにぎり玉8L,8Rはそれぞれ、にぎり玉(ミスミ社製PCA8‐20‐B)を用いて構成しているが、にぎり玉8L,8Rはこのような材料に限られず、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良く、その外観形状も任意である。例えば、ノブ7L,7Rをそれぞれにぎり玉に替えても良く、逆ににぎり玉8L,8Rをローレットノブに替えても良い。
【0072】
上記の特許文献1の技術では、支柱をくい打ち固定しているだけなので、支柱が傾倒し易く、支柱が傾倒してしまうと、糸がたるんでしまうという問題点がある。
【0073】
しかしながら、本実施形態のゴルフパッティング練習用具1では、側壁部材2L,2Rのそれぞれが、一定の距離だけ離間された状態で上記のように梁部材7,8の両端からネジ止め固定されているので、一端、側壁部材2L,2R間に糸3,4を張っておけば、その後は、糸3,4がたるんでしまうことはない。
【0074】
(設置面固定用部材)
設置面固定用部材d1‐L,d2−Lは、L字状の固定部材であり、側壁部材2Lに取り付けた状態で、側壁部材2Lを設置面SUF1に固定するために使用されるものである。設置面固定用部材d1‐R,d2‐Rも同様に側壁部材2Rに取り付けた状態で、側壁部材2Rを設置面SUF1に固定するために使用されるものである。
【0075】
次に、設置面固定用部材d1‐L,d2−Lには、それぞれ、ボルトS1〜S4に対応するネジ穴が設けられており、設置面固定用部材d1‐L,d2−Lのそれぞれは、図1に示すようにボルトS1〜S4で側壁部材2Lにネジ止め固定される。
【0076】
また、設置面固定用部材d2‐L,d2−Lには、設置用ピンn1,n2(図5参照)を挿通させるための挿通口が設けられており、側壁部材2Lは、設置用ピンn1,n2に対応する挿通口に設置用ピンn1,n2を挿通させて、設置面SUF1に対してくい打ち固定される。なお、側壁部材2Rの設置面SUF1に対する固定方法は、側壁部材2Lと同じなのでここでは説明を省略する。本実施形態の設置面固定用部材d1‐L,d2−Lおよび設置面固定用部材d1‐R,d2‐Rは、ステンレス製であるが、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。また、本実施形態では、ボルトS1〜S4は、ステンレスボルト(ミスミ社製SCB5‐15)を使用しているが、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。
【0077】
(装着孔)
次に、側壁部材2L,2Rは、それぞれ、装着孔h1〜h4が設けられており、装着孔h1〜h4のそれぞれに対応する糸3,4が装着される。なお、装着孔h1〜h4の大きさについては後述する。
【0078】
(糸)
図1に示すように、側壁部材2L,2R間には、糸3,4が張られている。図2に示すように糸3,4は、通常の使用状態において、設置面SUF1に対して垂直に起立する所定の基準面SUF2に含まれるように張られる。
【0079】
このように側壁部材2L,2R間に一対の糸3,4が張られた状態において、図2に示すように、一対の糸3,4が互いに重なるようにプレイヤーの目の位置を移動させれば、アドレス時に鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置を、ゴルフボール300の真上から見たときの中心の位置に置くことができる。また、ゴルフボール300の上方からみて張られた一対の糸3,4の延在する方向に沿って視線を移動させればプレイヤーは転がるゴルフボール300に、容易に視線を追従させることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、糸3,4は、それぞれ、スミ出し用白糸巻き(タジマ社製PS‐SIJM)の白糸を使用しているが、どのような糸を用いても良い。また、線状部材は、糸ではなく紐でも良く、ゴム材料や金属素材などで構成されていても良い。
【0081】
糸3,4のそれぞれの一方の端には、ワッシャ3a,4aが設けられており、他方の端には糸巻き器3b,4bが設けられている。
【0082】
(糸巻き器)
本実施形態の糸巻き器3b,4bは、スミ出し用白糸巻き(タジマ社製PS‐SIJM)で構成されており、糸3,4を引っ張り出したり、延長したり、糸3,4を巻き取ったりする機能を有しており、糸巻き器3b,4bから引っ張り出された糸3,4の長さは可変となっている。このため、糸巻き器3b,4bからワッシャ3a,4aまでの距離は可変となっている。また、糸巻き器3b,4bは、ある程度の重さを有しており、本実施形態では、錘としての役割を有している。
【0083】
これにより、仮に側壁部材2L,2R間の距離が変化しても、一定の張力(糸3,4のそれぞれに作用する張力)が得られるため、側壁部材2L,2Rの傾きや風の影響による糸3,4の位置の変動(揺動)が生じにくい。
【0084】
また、側壁部材2L,2Rが設置されるときの離間距離Wを変えても、それに応じて糸巻き器3b,4bからワッシャ3a,4aまでの距離を調整するだけで所定の張りが得られるので任意のパッティング距離に応じたバックストローク幅の習得が容易となる。
【0085】
(ワッシャ)
次に、糸巻き器3b,4bから引っ張り出した糸3,4のそれぞれの一端にはワッシャ3a,4a(ミスミ社製WSSH16‐8‐2)が結び付られている。
【0086】
また、側壁部材2L,2Rの装着孔h1〜h4は、ワッシャ通し用の孔であり、それぞれ、縦方向(鉛直方向)に沿ってワッシャ3a,4aの最大径よりも大きく、横方向(水平方向)に沿ってワッシャ3a,4aの厚みよりも大きい孔(本実施形態では約3mm)となっている。
【0087】
このため、図1に示すように、ワッシャ3a,4aを側壁部材2Rの装着孔h3,h4の側から挿通させて引き伸ばし、さらに装着孔h3,h4に挿通させた後、ワッシャ3a,4aの最大面積を有する面を水平方向に向けてひねることにより、ワッシャ3a,4aが、装着孔h1、h2から離れないようにすることができる。
【0088】
なお、本実施形態では糸3,4の一端にワッシャ3a,4aを結び付ているが、同様の機能を有するものであれば、どのようなものでも良く、ワッシャ3a,4a以外の装着部材を設けても良い。
【0089】
(案内バー)
次に、案内バー5は、ゴルフクラブの移動方向を案内するために基準面SUF2から離間して設置される案内部材である。また、本実施形態の案内部材は、断面形状が円環形状の直径約8mmのステンレスパイプ(ミスミ社製PSWT8‐560‐M)を用いて構成しているが、案内バー5はこのような材料に限られず、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。案内バー5の断面形状は、円環形状に限定されず、例えば、多角環形状であっても良い。また、案内バー5は、パイプ状の部材でなく、棒状の部材であっても良いが、軽量化を図る観点では、パイプ状の部材が好ましい。
【0090】
また、本実施形態では、ジョイント用ネジ(ミスミ社製MSSU5‐5,MSSU5‐20)を用いて2本のステンレスパイプを連結させて案内バー5を構成している。このように複数のステンレスパイプを連結させることにより、側壁部材2L,2Rの離間距離Wを調整することが可能となる。
【0091】
次に、ノブ5L,5Rはそれぞれ、ローレットノブ(ミスミ社製MOMSC8‐17)を用いて構成しているが、ノブ5L,5Rはこのような材料に限られず、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。また、ノブ5L,5Rを上述したにぎり玉に替えても良い。
【0092】
以上の説明によれば、ゴルフパッティング練習用具1は、図2に示すように、一対の糸3,4を対応する装着孔h1〜h4に装着し、側壁部材2L,2R間に糸3,4が張られた状態において、糸3,4が互いに重なるようにプレイヤーの目の位置を移動させれば、アドレス時に鉛直真下を見たときのプレイヤーの視点の位置を、ゴルフボール300の真上から見たときの中心の位置に置くことができる。また、ゴルフボール300の上方からみて一対の糸3,4の延在する方向に沿って視線を移動させればプレイヤーは容易に転がるボールに視線を追従させることができる。
【0093】
また、側壁部材2L,2R間にしっかりと張られた一対の糸3,4の延在する方向と、ゴルフパター100のヘッド100hのフェイス面(以下、単に「フェイス面」という)の向きとを直角にすることで、アドレス時にフェイス面の向きが目的の打球方向と直角になっていることを確認することができる。
【0094】
また、しっかりと張られた一対の糸3,4の延在する方向、または案内バー5が延在する方向と、両肩が延在する方向とをほぼ一致させることにより、アドレス時および打球時において、両肩が目標の打球方向に対してほぼ平行になるように姿勢を安定して保つことができる。
【0095】
さらに、図2に示すように、案内バー5にゴルフパター100のシャフト100Sを接触させた状態でストロークすることにより、スイング方向をほぼ打球方向に一致させることができる。
【0096】
また、上述したようにアドレス時にプレイヤーの視点の位置を、ゴルフボール300の真上から見たときの中心の位置に置くことで、ゴルフボール300の中心と、案内バー5により案内されるゴルフパター100のヘッド100hのフェイス面の中心(スイートスポット)とを一致させた状態からの打撃を行い、打撃されたゴルフボール300のころがりの経路(軌道)と一対の糸3,4の延在する方向とのずれを矯正していく練習を行うことにより、安定したパッティングフォームを固めることができる。
【0097】
(調整機構)
次に、上記の特許文献4〜6に示すように、様々なライ角(シャフトとヘッドのなす角)を有するパターが存在する。
【0098】
このため、単に案内バー5と基準面SUF2との間の距離Zを単純に固定しただけの構成では様々なライ角を有するパターに適応させることができないという新たな問題点が生じる。この問題点は、言うまでもなく上記各文献のいずれにも記載ないし示唆のない新規な問題点であると考えられる。
【0099】
このようなさらなる新規な問題点を克服するため、改良を重ねゴルフパッティング練習用具1では、案内バー5と基準面SUF2との距離を調整する調整機構6L,6Rを備える構成としている。
【0100】
図4および図5に示すように、調整機構6Lには、それぞれ、案内バー5を挿通させるための調節孔h5が設置面SUF1と略平行に設けられており、案内バー5を調節孔h5に挿通させ、側壁部材2L,2R間に案内バー5を掛け渡した状態で、案内バー5の両端からノブ5L,5Rでネジ止め固定される(図1参照)。なお、調節孔h5の延在する方向は、設置面SUF1と略平行でなくても良い。
【0101】
図4に示す調節孔h5は長孔形状であって、その孔長径wは約65mm、孔短径dは約8mmであり、案内バー5を挿通することが可能となっている。また、同図に示すように調節孔h5には、案内バー5と基準面SUF2との距離Z(図2参照)を調整することが可能なスペース(開口)が設置面SUF1と略平行の方向へ延びるように存在している。また、調整機構6Lには、それぞれ、距離Zを調整しやすいように目盛りを付している。これにより、案内バー5と基準面SUF2との距離Z(図2参照)を適宜変更した後であっても、記録した(記憶した)元の目盛りに合わせればよくその分再現性を高めることができる。
【0102】
例えば、図4に示すゴルフパター100のライ角(シャフト100Sとヘッド100hとの為す角度)は、図5に示すゴルフパター200のライ角(シャフト200Sとヘッド200hとの為す角度)よりも大きい。
【0103】
このため、図4に示す例では、図5に示す例よりも距離Zが大きくなるように調節孔h5における案内バー5の位置が調整され、図5に示す例では、図4に示す例よりも距離Zが小さくなるように調節孔h5における案内バー5の位置が調整されている。
【0104】
つまり、初期の案内バー5の位置調整時において糸3,4が重なって見える位置に視点の位置を固定した状態で観察し、使用するゴルフパター100のシャフト100Sを図2に示すように案内バー5に当接させながら一対の糸3,4とヘッド100hのスイートスポットが一直線上に合致するように案内バー5の位置を可変調整できるので、容易かつ正確に案内バー5と基準面SUF2との距離を調整ができる。これにより、一対の糸3,4が案内バー5の位置を調整する際の基準となり、現物合わせが容易となる。また、ゴルフクラブの構造上の違い(例えば、上述したゴルフパター100のシャフト100Sとヘッド100hの角度<ゴルフパター100のライ角>の違いと、ゴルフパター200におけるシャフト200Sとヘッド200hの角度<ゴルフパター200のライ角>との差異)にも対応が容易である。
【0105】
なお、上記の孔長径wおよび孔短径dは、上記の長さに限定されず、必要に応じて適切な長さに設定すれば良い。また、調整機構6Rおよび調節孔h6についても同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0106】
また、調整機構6L、6Rは、それに対応する調節孔h5、h6が設置面SUF1と略平行の方向へ延びる長孔形状であるため、案内バー5の高さが一定の状態での調整が可能となっているが、他に設置面SUF1からの高さの変更を伴うような、例えば設置面SUF1に対して傾斜角度を有する調節孔であったり、案内バーが延設方向側から見て円弧状に回動又は回転するような機構であったりしても構わない。
【0107】
以上により、パターのシャフトとヘッドとの間の角度<ライ角>の差異などのゴルフクラブの構造上の違いに関わらず、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができる。
【0108】
なお、ゴルフパッティング練習用具1によれば、使用の際は、側壁部材2L,2R間に一対の糸3,4を張り、案内バー5を設置すれば良いので、分解、組立ておよび設置が容易で、実際にプレーするグリーン上でも簡単に練習ができるという副次的効果も期待できる。
【0109】
(ボール挿通プレート)
次に、図1、図4、図5および図6に基づき、ボール挿通プレート(交換部材)9aおよびボール挿通プレート(交換部材)9dについて説明する。
【0110】
ボール挿通プレート9aは、図1に示す通過口(第1の通過口)h8の開口面積(または孔径d2)よりも小さな図1、図4および図5に示す開口面積(または孔径d1)の通過口(第2の通過口)h7を有するものである。
【0111】
同様に、ボール挿通プレート9dは、下向きのコの字形状をなし、図1に示す通過口(第1の通過口)h8の開口面積(または孔径d2)よりも小さな図6に示す開口面積(または孔径d4)の通過口(第2の通過口)h9を有するものである。
【0112】
また、ボール挿通プレート9aの通過口h7の開口面積(孔径d1)は、ゴルフボール300の断面積(外径)の最大値〔例えば、ゴルフボール300の中心を通る最大面積の仮想円の断面積(直径)〕よりも大きく、後述するボール挿通プレート9dの通過口(第2の通過口)h9の開口面積(孔径d4)よりも小さい。
【0113】
また、本実施形態では、図4に示すボール挿通プレート9aの通過口h7の孔径d1は、約55mmであるが、孔径d1はこのような長さに限定されず、ゴルフボール300の外径の最大値よりも大きく、孔径d2よりも小さければ良い。
【0114】
さらに、図6に示すボール挿通プレート9dの孔径d4は、約80mmであるが、孔径d4はこのような長さに限定されず、ゴルフボール300の外径の最大値および孔径d1よりも大きく、孔径d2よりも小さければ良い。
【0115】
本実施形態のボール挿通プレート9a,9dは、それぞれ透明アクリル板を加工したものであるが、ある程度の強度を有する材料であれば、どのような材料を用いても良い。また、透明アクリル板のように透明な材料でなくても良いが、ボール挿通プレート9a,9dを介してボールのころがりの経路(軌道)を視認できるようにするためには透明な材料を使用することが好ましい。
【0116】
上記の各図に示すように、側壁部材2L(または側壁部材2R)に対して、通過口h7(またはh9)が通過口h8の内側に位置するように、ボール挿通プレート9a,9dが設置(挿入)されていても良い。また、ボール挿通プレート9a,9dは、それぞれ、孔径d1、d4と異なる孔径を有する任意のボール挿通プレート(交換部材)と交換可能となっていても良い。
【0117】
本実施形態では、側壁部材2L(または側壁部材2R)は、ボール挿通プレートを挿入していない状態とするか、または、必要に応じてボール挿通プレート9a,9dのいずれかを挿入することによって、それぞれ、ゴルフボール300が通過する通過口の孔径を約100mm、約80mmおよび約55mmの3種類の孔径の中から選択できるようになっている。
【0118】
上記の構成によれば、容易に開口面積の異なるボール挿通プレートに交換できるため、使用者のレベルに応じてパッティングの難易度を可変できる。つまり、上級者は、初級者に比べより開口面積の小さい通過口を有する交換部材に交換することにより、レベルに応じた練習が可能となる。
【0119】
例えば、ボール挿通プレート9aをボール挿通プレート9dに交換することにより、使用者のレベルに応じてパッティングの難易度を可変できる。
【0120】
なお、図5に示すように、側壁部材2Lに挿入されたボール挿通プレート9aの水平方向の両端の側には、プレート固定部材9b,9cが設けられており、プレート固定部材9bのプレート固定部材9cに対向する面の側には、プレート固定部材9b,9c間にボール挿通プレート9aを挿入し、嵌合させるための嵌合溝が設けられている。一方、プレート固定部材9cのプレート固定部材9bに対向する面の側には、プレート固定部材9b,9c間にボール挿通プレート9aを挿入し、嵌合させるための嵌合溝が設けられている。
【0121】
ボール挿通プレート9aは、設置面SUF1側からプレート固定部材9b,9c間に挿入し、嵌合溝に嵌合された後は、固定用ピンS9,S10で挿入位置が規制される。なお、固定用ピンは、図1の側壁部材2Rのように固定用ピンS17を1つ設ける構成としても良く、3個以上設ける構成としても良い。
【0122】
〔付記事項〕
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のゴルフパッティング練習用具は、アドレス時および打球時における重要な観点について総合的にパッティングフォームの矯正を行うことができるので、ゴルフパッティング練習用具として有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 ゴルフパッティング練習用具
2L,2R 側壁部材(支持部材)
3,4 糸(線状部材)
3a,4a ワッシャ
3b,4b 糸巻き器(錘)
5 案内バー(案内部材)
5L,5R ノブ
6L,6R 調整機構
7,8 梁部材
7L,7R ノブ
8L,8R にぎり玉
9a,9d ボール挿通プレート(交換部材)
9b,9c プレート固定部材
100 ゴルフパター
200 ゴルフパター
100S シャフト
200S シャフト
100h ヘッド
200h ヘッド
d 孔短径
d1 孔径
d2 孔径
d3 厚さ
d4 孔径
d1‐L,d2‐L 設置面固定用部材
d1‐R,d2‐R 設置面固定用部材
h1〜h4 装着孔
h5,h6 調節孔
h7,h9 通過口(第2の通過口)
h8 通過口(第1の通過口)
n1,n2 設置用ピン
S1〜S8 ボルト
S9,S10 固定用ピン
S17 固定用ピン
S11〜S16 ボルト
SUF1 設置面
SUF2 基準面
W 離間距離
w 孔長径
X 長さ
Y 長さ
Z 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して設置される一対の支持部材を少なくとも含むゴルフパッティング練習用具であって、
上記一対の支持部材は、上記ゴルフパッティング練習用具が設置される設置面に対して垂直に起立する所定の基準面に含まれるように張られる一対の線状部材を装着するための一対の装着孔を有し、
上記一対の支持部材によって支持され、ゴルフクラブの移動方向を案内するために上記基準面から離間して設置される案内部材と、
上記案内部材と上記基準面との距離を調整する調整機構とを備えることを特徴とするゴルフパッティング練習用具。
【請求項2】
さらに、上記一対の線状部材を含み、
上記一対の装着孔に対応して上記一対の線状部材が装着され、
上記案内部材が、上記基準面から所定の距離だけ離間して設置されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフパッティング練習用具。
【請求項3】
上記一対の支持部材の少なくとも一方は、
透明部材から構成されており、通常の使用状態における下方側の端にボールを通過させるための第1の通過口が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフパッティング練習用具。
【請求項4】
上記第1の通過口の開口面積よりも小さな開口面積の第2の通過口を有する交換部材を含み、
上記一対の支持部材の少なくとも一方に対して、上記第2の通過口が上記第1の通過口の内側に位置するように、上記交換部材が設置されていることを特徴とする請求項3に記載のゴルフパッティング練習用具。
【請求項5】
上記一対の装着孔のそれぞれに装着された上記一対の線状部材のそれぞれの一端に錘が設けられており、
上記一対の線状部材のそれぞれの他端から上記一端までの長さが可変となっていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のゴルフパッティング練習用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94550(P2013−94550A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242411(P2011−242411)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【特許番号】特許第5068882号(P5068882)
【特許公報発行日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(390001166)株式会社エム・システム技研 (25)