説明

ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法及びゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材

【解決手段】 本発明は、ゴルフボール用箱の表面に文字,図柄等の表示部をインクジェットプリンタにより印刷することを特徴とするゴルフボール用箱への印刷方法を提供する。
【効果】 本発明によれば、ゴルフボール用箱の表面に対して需要者が希望する文字,図柄等の表示部を簡単かつ迅速に印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に文字,図柄等の表示部を印刷することに有用なゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法及びゴルフボール用箱又はゴルフボール包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
名前や図柄等を希望するマークを印刷したゴルフボールは、プレイヤー個人が自己のボールを識別するためだけでなく、広告或いは記念品としても広く利用されているが、ゴルフボールを収納する箱等にはそのようなものは存在しなかった。ゴルフボール用箱に所望の表示部を印刷する方法としては、例えば、一の画像を黒,シアン,マゼンダ,イエロー等で色分解して各色の版を作成し、この版を紙等の基材表面にグラビア印刷やスクリーン印刷の各種の印刷方法により印刷し、必要に応じてエンボス加工や箔押しを実施し、保護フィルムを貼り付けた後、打抜きする印刷方法がある。しかしながら、上記の印刷方法では、少数の需要者が希望する文字や図案を印刷する作業に時間を要してしまい、円滑かつ迅速に印刷する方法ではなかった。
【0003】
また、特開2000−219234号公報には、高級感のある外観を与えるために、表面の一部又は全部に金属蒸着薄層を有し、必要に応じて該金属蒸着薄層が接着剤層を介して紙基材に積層されたゴルフボール用箱が提案されているが、金属蒸着薄層を必要とするので製作コストが高くなり、簡便な印刷方法ではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−219234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、少数のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材に需要者が希望する文字や図案などを簡単かつ迅速に印刷することが可能なゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法及びゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、下記のゴルフボール用箱への印刷方法及びゴルフボール用箱を提供する。
〔1〕ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に文字,図柄等の表示部をインクジェットプリンタにより印刷することを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔2〕ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材が立体形状である請求項1記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔3〕上記インクジェットプリンタがオンデマンド方式である請求項1記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔4〕上記インクジェットプリンタに用いられるインクが水性顔料インクである請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔5〕上記ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材にインクの溶媒を吸収する受像層を有し、該受像層の表面に上記表示部を印刷した請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔6〕上記受像層が単層又は複数層の吸水性フィルムからなる請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
〔7〕ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に、インクジェットプリンタにより印刷された文字,図柄等の表示部が形成されることを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材。
〔8〕ゴルフボール用箱の表面に、インクジェットプリンタにより直接印刷された文字,図柄等の表示部が形成されると共に、更に該表示部の表面に、該表示部を覆うようにして保護層を形成することを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に対して需要者が希望する文字,図柄等の表示部を簡単かつ迅速に印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0008】
以下、本発明の実施の形態及び実施例につき、図1〜3を参照して説明する。
本発明のゴルフボール用箱としては、図1に示すようなゴルフボールを1〜3個収容する直方体状の小箱1や図2に示すようなこの小箱を複数個収納する箱本体2及びその上端開放部を覆う蓋体3とからなる大箱4とが典型的なものである。また、ゴルフボール用包装材は、上記のゴルフボール用箱や筒状等の各種形状を有する包装容器を構成する包装材を意味するものである。
【0009】
これらゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の材料としては、紙、表面コート紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸樹脂等のプラスチックが採用されるものであり、一般には紙により形成される。
【0010】
上記ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材においては、小箱1の表面や大箱4の蓋体3の表面或いは包装材の表面に対して、印刷による文字や図柄等の表示部10が形成される。この文字や図柄については、インクジェットプリンターにより印刷されるものであり、通常、多くの需要者に向けて使用される文字や図柄のほか、少数の需要者が希望する特定の図柄等がゴルフボール用箱の表面に表示される。
【0011】
本発明に用いられるインクジェットプリンターとしては、特に制限はないが、インク滴を吐出する観点から、バブルジェット方式やサーマルジェット方式及びピエゾ方式等のドロップオンデマンド方式やヘルツ式,ミード方式及びスウィート方式等の連続噴射方式などのプリンターを使用することができる。具体的には、特開平2000−190467号公報に記載された機能を有するプリンターを用いることが好ましい。具体的には、図3に示されるように、ゴルフボール箱又はゴルフボール用包装材100を媒体搬送トレー30の上に載置させ、インクジェットヘッド41を備えた印刷ユニット40の印刷位置Tを経由させて搬送することにより、当該ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材100の表面に印刷を行なうものである。上記媒体搬送トレー30は、特に図示してはいないが、間隔調整機構によって図中矢印方向に昇降可能に構成されている。これにより、常に、インクジェットヘッド41とゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材100との隙間を一定寸法に保持することができる。
【0012】
上記インクジェットプリンターに使用されるインジェットインクとしては、特に制限はないが、水性染料、水性顔料、油性顔料、水性熱硬化型アクリル顔料、溶剤型顔料、紫外線硬化型顔料などを使用することができるが、通常は、水性インクを使用することができる。また、耐久性の点から、顔料系インク、特に、水性顔料を用いることが好適である。
【0013】
上記インクジエットプリンターは、パーソナルコンピュータに接続して、該コンピュータによる画像処理により所望の表示部を確実に作成することができる。また、作成した画像データは繰り返しインクジエットプリンターを使用して短時間で印刷作業を行うことができる。このため、多種類・小種類のあらゆる種類の図柄の印刷に好適である。
【0014】
本発明では、上記ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材にインクの溶媒を吸収する受像層を有し、該受像層の表面に表示部を印刷するように構成することができる。また、水性インクを使用する場合には、水性インクによる印刷表示を綺麗に仕上げる目的により、吸水性フィルムを用いることが好ましい。上記受像層としては、具体的には、水性アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、変性ウレタン樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂、酢酸ビニル樹脂等の吸水性樹脂基材に、消泡剤、表面調整剤、界面活性剤、密着付与剤、水またはアルコール系溶剤等を混合した混合液を塗布・乾燥させたものが挙げられる。その他、吸水性ポリマーをポリオレフィン樹脂に配合した熱可塑性吸水性樹脂を直接紙などに塗布することもできる。更に、熱可塑性吸水樹脂をフィルム状に形成し、これをゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に熱融着させて受像層とすることもできる。この熱可塑性吸水樹脂としては、ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド及び/又は両者の共重合体などをポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂に配合したもの等を用いることができ、具体的には、商品名「アクアコーク」(住友精化(株)製)等が挙げられる。
【0015】
また、本発明では、上記表示部の表面に、該表示部を保護するための保護層を形成することもできる。上記保護層は、表示部の褪色を防止させ、耐久性を改善させる目的で形成されたものであり、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の各種樹脂を主成分とし、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、架橋剤及び溶剤を混合した混合液を塗布・乾燥させたものである。
【0016】
図4は、本発明における受像層,表示層及び保護層の積層構造を示す。この積層構造を有するゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材は本発明の好適な実施態様である。即ち、この図4には、ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材100の外層101上に、上述した受像層10が積層されており、該受像層10の上には文字,図柄等の表示部(表示層)11が積層されており、更に該表示層の上には、上記表示部を覆うようにして上述した保護層12が積層されている。
【0017】
以上、本発明につき上記実施例を示して説明したが、本発明のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法及びゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材については、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限り、その構成を適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例に係るゴルフボール用箱の斜視図である。
【図2】本発明の他の実施例に係るゴルフボール用箱の斜視図である。
【図3】本発明のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法を説明する説明図である。
【図4】本発明における受像層,表示層及び保護層の積層構造を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ゴルフボール用箱(小箱)
4 ゴルフボール用箱(大箱)
30 媒体搬送トレー
40 印刷ユニット
41 インクジェットヘッド
T 印刷位置
100 ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材
10 受像層
11 表示層(表示部)
12 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に文字,図柄等の表示部をインクジェットプリンタにより印刷することを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項2】
ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材が立体形状である請求項1記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項3】
上記インクジェットプリンタがオンデマンド方式である請求項1記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項4】
上記インクジェットプリンタに用いられるインクが水性顔料インクである請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項5】
上記ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材にインクの溶媒を吸収する受像層を有し、該受像層の表面に上記表示部を印刷した請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項6】
上記受像層が単層又は複数層の吸水性フィルムからなる請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材への印刷方法。
【請求項7】
ゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材の表面に、インクジェットプリンタにより印刷された文字,図柄等の表示部が形成されることを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材。
【請求項8】
ゴルフボール用箱の表面に、インクジェットプリンタにより直接印刷された文字,図柄等の表示部が形成されると共に、更に該表示部の表面に、該表示部を覆うようにして保護層を形成することを特徴とするゴルフボール用箱又はゴルフボール用包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−82481(P2006−82481A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271399(P2004−271399)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】