説明

ゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラム

【課題】スイングとスイングの合間に一見して評価結果を認識することができ、実力が異なる個々のユーザに応じた評価が可能であり、地道なスイング練習にゲーム性を与えて面白くすることができるゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブのスイングに関する測定を行うためのゴルフ支援システムであって、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離を測定し、これらの測定結果をあらかじめ設定されたヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の基準データと比較して良否判定する制御手段21と、制御手段21からの信号に基づいて、これら測定結果の良否を色で知らせる報知手段23とを含む構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのスイングに関する測定を行うためのゴルフ支援システム、このシステムを実施するためのゴルフ支援装置及びプログラムに関し、特に、ゴルフクラブのスイングに関する測定結果と、基準データと比較して良否判定を行い、測定結果の良否を色で知らせることが可能なゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
実登3041592号公報(特許文献1)には、青、黄、赤の3つのボタンを備え、ゴルフの打球の良否を、ユーザ自らが満足度を基準に3段階評価し、この評価に応じた青、黄、赤のいずれかのボタンを押してコンピュータに入力するゴルフ早上達練習機が提案されている。このゴルフ早上達練習機は、ユーザのヘッドアップ癖を矯正するための赤ランプを備え、ボールをショットする瞬間に赤ランプの光が見えたか否かに基づいて、ヘッドアップしたか否かをユーザ自らが評価できるようになっていた。
【0003】
また、特開2000−225270号公報(特許文献2)には、ゴルフのクラブを模して形成された玩具本体をスイングさせながら操作ボタンを押し、操作ボタンが押されたタイミングに基づいて、ショットタイミングか否かを判断し、仮想のボールの飛距離と方向とを決定する携帯ゴルフゲーム玩具が提案されている。この携帯ゴルフゲーム玩具は、LEDからなる表示手段を備え、最適なショットタイミングをLEDに点灯表示させる構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3041592号公報
【特許文献2】特開2000−225270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1及び2に記載された装置のほか、従来からゴルフクラブのスイングに関する測定を行い、測定結果を液晶ディスプレイ等に表示するゴルフ支援装置が普及している。しかし、従来のゴルフ支援装置は、ゴルフクラブのヘッドスピード、クラブヘッドに打ち出されたボールスピード、ボールのミート率、推定飛距離等の数値を表示するのみで、測定結果の評価をユーザに分かりやすく表示するものはなかった。特に、ドップラーセンサを用いてスイングに関する測定を行うゴルフ支援装置は、ユーザから離れた位置に置いて測定を行うので、離れた位置からユーザに視認可能なものでなければならない。また、一般的に、スイング練習は繰り返し行われるので、スイングとスイングの合間に、一見して評価結果を認識することが可能な態様でなければならない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、スイングとスイングの合間に一見して評価結果を認識することができ、実力が異なる個々のユーザに応じた評価が可能であり、地道なスイング練習にゲーム性を与えて面白くすることができるゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明のゴルフ支援システムは、ゴルフクラブのスイングに関する測定を行うためのゴルフ支援システムであって、ヘッドスピードを測定し、この測定結果をあらかじめ設定されたヘッドスピードの基準データと比較して良否判定する制御手段と、前記制御手段からの信号に基づいて前記測定結果の良否を色で知らせる報知手段とを含む構成としてある。
【0008】
ヘッドスピードは、ボールの飛距離に影響する重要な要素の一つであり、上記構成によれば、予め定められた基準データに基づいて、ヘッドスピードの測定結果の良否判定を行い、評価結果をユーザに色で知らせることが可能となる。ユーザは、スイングとスイングの合間に、報知手段の色を見て瞬時に評価結果を認識することができる。
【0009】
ここで、本発明における「基準データ」として、例えば、一又は複数の閾値、若しくは所定の数値範囲などを設定することができる。この基準データは、例えば、ハードヒッターであるプロゴルファの平均ヘッドスピード、ハードヒッターでないプロゴルファの平均ヘッドスピード、一般的なアマチュアゴルファの平均ヘッドスピード、シニアゴルファの平均ヘッドスピード、女性ゴルファの平均ヘッドスピードなどに基づいて定めることができる。好ましくは、基準データとして複数の閾値又は所定の数値範囲を定め、良否判定の評価結果を、例えば、上、中、下のようにランク付けすることで、スイング練習にゲーム性をもたせることが可能となる(後述するボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果の良否判定を行う場合も同じ)。
【0010】
一方、ユーザが任意の基準データを設定することができるようにし、例えば、ユーザ自らが目標とするヘッドスピードの値、又はユーザ自身の過去最高のヘッドスピードの値などを基準データとして設定するとよい。この場合は、個々のユーザの実力に応じたヘッドスピードの評価が可能となり、評価結果を楽しみながら段階的に実力アップを図ることができる(後述するボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果の良否判定を行う場合も同じ)。
【0011】
また、本発明における「色で知らせる」の態様として、例えば、ヘッドスピードの測定結果が、基準データを超える良い結果のときは「青」の報知し、基準データに満たない悪い結果のときは何も報知しない態様としてもよい。この場合、基準データに満たない悪い結果のときは「青」以外の色を報知する態様としてもよい。より好ましくは、良否判定の結果を上、中、下のようにランク付けし、測定結果が、基準データの最も高い第1の閾値を超えた場合は「青」、第1の閾値には満たないが、その次の第2の閾値を超えた場合は「黄」、第2の閾値には満たないが、最も低い第3の閾値を超えた場合は「赤」、第3の閾値に満たない場合は何も報知しない、といった態様にするとよい。
【0012】
さらに、「報知手段」には、一又は複数の色を報知することが可能な発光体が広く含まれる。例えば、報知手段として、単色発光のLED、多色発光のLED、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの発光体を用いることが可能である。
【0013】
(2)好ましくは、前記制御手段が、前記クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードを測定し、この測定結果をあらかじめ設定されたボールスピードの基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記測定結果の良否を色で知らせる構成にするとよい。
【0014】
ボールスピードも、ボールの飛距離に影響する重要な要素の一つであり、上記構成によれば、予め定められた基準データに基づいて、ボールスピードの測定結果の良否判定を行い、評価結果をユーザに色で知らせることが可能となる。ユーザは、スイングとスイングの合間に、報知手段の色を見て瞬時に評価結果を認識することができる。なお、ボールスピードの測定は、少なくともクラブヘッドに打ち出されたボールの初速を測定するものであればよい。
【0015】
(3)好ましくは、前記制御手段が、前記ヘッドスピード及び前記ボールスピードの測定結果に基づいてミート率を算出し、この算出結果をあらかじめ設定されたミート率の基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記算出結果の良否を色で知らせる構成にするとよい。
【0016】
上記構成によれば、予め定められた基準データに基づいて、ボールのミート率の測定結果の良否判定を行い、評価結果をユーザに色で知らせることが可能となる。ユーザは、スイングとスイングの合間に、報知手段の色を見て瞬時に評価結果を認識することができる。この「ミート率」は、ゴルフクラブのスイングを如何に効率よくボールへ伝達できたかを表す一つの指標である。ミート率が高いほど、スイングが安定していることになる。
【0017】
このミート率は、ボールスピード(初速)/ヘッドスピードにより算出される。一般に、ミート率1.40以上で、クラブヘッドのスイートスポットで効率的にボールを捉えられたと考えられているので、ミート率の基準データの上限を1.40とすることができる。また、プロゴルファのミート率が1.40〜1.50であるから、ミート率の基準データの上限を1.50としてもよい。さらに、ミート率1.50以上を出すことが可能な高反発ヘッドを備えたゴルフクラブを考慮して、ミート率の基準データの上限を1.50以上としてもよい。ミート率の基準データの下限は、特に限定されない。
【0018】
(4)好ましくは、前記制御手段が、前記ヘッドスピード又は前記ボールスピードの測定結果に基づいて前記ボールの推定飛距離を算出し、この算出結果をあらかじめ設定されたボールの飛距離の基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記算出結果の良否を色で知らせる構成にするとよい。
【0019】
ゴルフのスコアアップを図るために、ボールの飛距離を延ばすことは極めて重要であり、上記構成によれば、予め定められた基準データに基づいて、ボールの推定飛距離の測定結果の良否判定を行い、評価結果をユーザに色で知らせることが可能となる。ユーザは、スイングとスイングの合間に、報知手段の色を見て瞬時に評価結果を認識することができる。この「ボールの推定飛距離」は、上述したヘッドスピード又はボールスピード(初速)に基づいて算出することができる。
【0020】
(5)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、段階的に増減する複数の基準データを設定するとともに、前記報知手段を、単色又は多色で発光する一又は複数の発光体とし、前記測定結果及び/又は前記算出結果の良否の程度を、前記基準データに応じた異なる色で知らせる構成にするとよい。
【0021】
上述したように、測定結果等を良否判定するための基準データを、例えば、男性プロゴルファの平均値、女性プロゴルファの平均値、男性アマチュアゴルファの平均値、女性アマチュアゴルファの平均値などに基づいて、段階的に増減する複数の閾値(又は数値範囲)を設定することで、良否判定の評価結果に、例えば、上、中、下のような程度の差を設けることができる。また、評価結果の程度の差は、発光体の異なる発光色で報知されるので、ユーザは、スイングとスイングの合間に、発光色を見て瞬時に評価結果を認識することができる。このような本発明のゴルフ支援システムによれば、地道なスイング練習にゲーム性を与えて面白くすることができる。
【0022】
(6)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザのスコアに対応して複数の基準データを設定した構成にするとよい。
【0023】
上述した本発明のゴルフ支援システムにおいて、基準データを高い値に設定すれば、ゴルフを始めたばかりの初心者ユーザが、高評価を得にくくなってしまう。一方、基準データを低い値に設定すれば、ある程度の実力を有するユーザが、高評価を頻発するようになってしまう。そこで、上記構成のように、ユーザのスコアに対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの実力に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0024】
例えば、平均スコア100未満のユーザ用の第1基準データと、平均スコア100以上のユーザ用の第2基準データとを設ける。第1基準データには、プロゴルファ及び上級アマチュアゴルファの平均値に基づく、比較的高い閾値を設定する。一方、第2基準データには、一般アマチュアゴルファの平均値に基づく、比較的低い閾値を設定する。ユーザは、自分のスコアに応じて第1又は第2基準データのいずれかを選択することで、自分の実力に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。好ましくは、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及びボールの推定飛距離のそれぞれについて第1及び第2基準データを設け、ユーザが「ノーマルモード」又は「イージーモード」のいずれかを選択することで、これらの測定結果が、それぞれ第1又は第2基準データに基づいて良否判定される構成にするとよい。
【0025】
なお、本発明における「複数の基準データ」とは、スコアに対応して異なる基準データを設けてもよいし、単一の基準データをスコアに対応して補正するものであってもよい。上記例示において、互いに異なる閾値が設定された第1及び第2基準データを個別に設けてもよいし、平均スコア100以上のユーザが測定を行った場合には、第1基準データの閾値をマイナス補正して良否判定を行うようにしてもよい(下記(7)〜(11)の本発明においても同様)。
【0026】
(7)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザのハンデキャップに対応して複数の基準データを設定した構成にするとよい。
【0027】
上述したスコアと同様に、ハンデキャップもユーザの実力を示す指標であり、ユーザのハンデキャップに対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの実力に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0028】
ハンデキャップは、平均スコアから「72」を減算した値である。例えば、ハンデキャップ0〜9の上級ユーザ用の第1基準データと、ハンデキャップ10〜28の中級ユーザ用の第2基準データと、ハンデキャップ29以上の初級ユーザ用の第3基準データとを設ける。第1基準データには、プロゴルファの平均値に基づく高い閾値を設定する。第2基準データには、プロゴルファ及び上級アマチュアゴルファの平均値に基づく、中間の閾値を設定する。第3基準データには、一般アマチュアゴルファの平均値に基づく、低い閾値を設定する。上記と同様に、ユーザは、自分のハンデキャップに応じて第1、第2又は第3基準データのいずれかを選択することで、自分の実力に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。好ましくは、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及びボールの推定飛距離のそれぞれについて第1、第2及び第3基準データを設け、ユーザが「ハードモード」、「ノーマルモード」又は「イージーモード」のいずれかを選択することで、これらの測定結果が、それぞれ第1、第2又は第3基準データに基づいて良否判定される構成にするとよい。
【0029】
(8)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの年齢に対応して複数の基準データを設定した構成にするとよい。
【0030】
子供と大人、若年者と高齢者では、体力に大きな差が生じる。このため、本発明のゴルフ支援システムにおいて、基準データを高い値に設定すれば、子供や高齢者のユーザが、高評価を得にくくなってしまう。そこで、上記構成のように、ユーザの年齢に対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの年齢に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0031】
例えば、12歳以下のユーザ用の第1基準データと、13〜20歳未満のユーザ用の第2基準データと、20〜49歳のユーザ用の第3基準データと、50歳以上のユーザ用の第4基準データとを設け、第3基準データ、第4基準データ、第2基準データ、第1基準データの順に、難易度の高い閾値を設定する。なお、第4基準データの難易度を、第2基準データの難易度よりも高くしたのは、50歳以上のユーザはゴルフのベテランである可能性が高く、一方、13〜20歳未満のユーザはゴルフの初心者である可能性が高いからである。ユーザは、自分の年齢に応じて第1、第2、第3又は第4基準データのいずれかを選択することで、自分の年齢に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0032】
(9)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの性別に対応して複数の基準データを設定した構成にするとよい。
【0033】
男性と女性では、体力に大きな差が生じる。このため、本発明のゴルフ支援システムにおいて、男性ゴルファの平均値に基づいて基準データを高い値に設定すれば、女性のユーザが、高評価を得にくくなってしまう。そこで、上記構成のように、ユーザの性別に対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの性別に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0034】
例えば、男性ユーザ用の第1基準データと、女性ユーザ用の第2基準データとを設ける。第1基準データには、男性プロゴルファ及び男性アマチュアゴルファの平均値に基づく高い閾値を設定する。第2基準データには、女性プロゴルファ及び女性アマチュアゴルファの平均値に基づいて、第1基準データよりも低い閾値を設定する。ユーザは、自分の性別に応じて第1又は第2基準データの一方を選択することで、自分の性別に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0035】
(10)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの身長に対応して複数の基準データを設定した構成にするとよい。
【0036】
ゴルフのスイングにおいては、身長が高いほど、スイングアークが大きくなり、クラブヘッドを振り下ろしたときの加速度も増すのでボールの飛距離が出やすい。このため、身長の低いユーザ(例えば160cm未満)は、身長の高いユーザ(例えば180cm以上)と比較して、高評価を得にくくなってしまう。そこで、上記構成のように、ユーザの身長に対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの身長に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0037】
例えば、身長160cm以上のユーザ用の第1基準データと、身長160cm未満のユーザ用の第2基準データとを設け、第2基準データの閾値を、第1基準データの閾値よりも低く設定する。身長の低いユーザは、第2基準データを選択することで、自分の上達に応じた評価が得られるようになる。
【0038】
(11)好ましくは、前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの体重に対応して複数の基準データを設定した請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【0039】
ゴルフのスイングにおいては、トップスイングからインパクトまでの間の体重移動がボールの飛距離に影響する。ゴルフクラブの振り下ろしと体重移動を上手くシンクロさせることでボールの飛距離を延ばすことができる。このため、同等の技量を有するユーザならば、体重の重い方が有利であり、比較的体重の軽いユーザは、高評価を得にくくなってしまう。そこで、上記構成のように、ユーザの体重に対応した複数の基準データを設定すれば、ユーザの体重に応じた基準で測定結果の良否判定を行うことができる。
【0040】
例えば、体重60kg以上のユーザ用の第1基準データと、体重60kg未満のユーザ用の第2基準データとを設け、第2基準データの閾値を、第1基準データの閾値よりも低く設定する。比較的体重が軽いユーザは、第2基準データを選択することで、自分の上達に応じた評価が得られるようになる。
【0041】
(12)上記目的を達成するために、本発明のゴルフ支援装置は、上述した本発明のゴルフ支援システムを実施するための装置であって、ドップラーセンサと、前記制御手段として機能するコンピュータと、前記報知手段とを備え、前記ドップラーセンサから出射したマイクロ波を前記クラブヘッド又は前記ボールに反射させ、反射波の周波数に基づいてヘッドスピード又はボールスピードを測定する構成としてある。
【0042】
上記構成によれば、ドップラー効果を利用してヘッドスピード及びボールスピードを高精度に測定することができ、ミート率及び推定飛距離を正確に算出することが可能となる。このように、評価対象となる測定結果等の精度が高くなるので、基準データに基づいて良否判定した評価結果の信頼性も高くなる。
【0043】
(13)上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、上述した本発明のゴルフ支援システムを、前記ドップラーセンサ及び前記報知手段を有するゴルフ支援装置で実施するためのプログラムであって、前記ゴルフ支援装置に搭載されたコンピュータを、前記制御手段として機能させる制御処理を行う。
【0044】
上記制御処理を行う本発明のプログラムによっても、上記(1)〜(11)のゴルフ支援システム、上記(12)のゴルフ支援装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明のゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムによれば、スイングとスイングの合間に一見して評価結果を認識することができ、実力が異なる個々のユーザに応じた評価が可能であり、地道なスイング練習にゲーム性を与えて面白くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフ支援装置の外観を示すものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は底面図である。
【図2】本ゴルフ支援装置を示す斜視図である。
【図3】本ゴルフ支援装置に付属するワイヤレスイヤホンを示す斜視図である。
【図4】本ゴルフ支援装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本ゴルフ支援装置の使用方法を示す説明図である。
【図6】本ゴルフ支援装置で測定を行うときの配置関係を示す説明図である。
【図7】同図(a)〜(c)は本ゴルフ支援装置のメトロノーム機能を実行する際に出力されるスイング支援報知の内容を示す説明図である。
【図8】本ゴルフ支援装置のメトロノーム機能を実行する際の各種画面を示すものであり、同図(a)はメニュー画面、同図(b)は上記スイング支援報知の設定情報を含むメトロノーム機能の実行画面、同図(c)は上記スイング支援報知のテンポ設定画面、同図(d)は上記スイング支援報知の拍子設定画面、同図(d)は上記スイング支援報知の音量設定画面を示す正面図である。
【図9】本ゴルフ支援装置で実施したスイングに関する測定結果と、スイングのテンポ、拍子の相関関係を示す表示であり、同図(a)は相関関係を数値で示した履歴表示、同図(b)は相関関係を示すグラフである。
【図10】本ゴルフ支援装置により実行されるスイングのテンポずれ判定制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】本ゴルフ支援装置の良否判定機能を実行する際の設定画面を示すものであり、同図(a)は良否判定機能の各種設定画面、同図(b)は良否判定に用いられる基準データ設定画面、同図(c)〜(f)は各測定項目の上記基準データの閾値入力画面を示す正面図である。
【図12】上記基準データの具体例を示す表である。
【図13】段階的に難易度の異なる複数の上記基準データの具体例を示す表である。
【図14】本ゴルフ支援装置により実行される良否判定制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の一実施形態に係るゴルフ支援装置(ゴルフ支援システム及びプログラムを含む)について、図面を参照しつつ説明する。
【0048】
[ゴルフ支援装置の外観構成]
図1(a)〜(c)において、本実施形態に係るゴルフ支援装置1は、スイング練習におけるクラブヘッドのヘッドスピード、ボールスピード、ボールのミート率、推定飛距離を測定し、測定結果を表示及び管理するためのものである。以下、本ゴルフ支援装置1の外観構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0049】
<タッチスクリーン・ディスプレイ部>
図1(a)及び図2に示すように、筐体10の正面には、例えば、LCD又は有機ELD等のディスプレイ部12が設けてあり、このディスプレイ部12の表面には、タッチした位置の座標を検出する透明のタッチスクリーン11が積層してある。このようなディスプレイ部12には、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果、測定に使用したゴルフクラブの種類等の情報が表示される。また、本実施形態では、タッチスクリーン11の面積をディスプレイ部12よりも大きくし、ディスプレイ部12の画面外にタッチ操作可能なメニューボタン14を設けた構成としてある。メニューボタン14は、ディスプレイ部12の画面下方に位置し、略正方形状に縁取られたボタンの描画である。このメニューボタン14をタッチ操作することで、ディスプレイ部12の表示を図8(a)に示すメニュー画面に切り替えることができる。このように、本ゴルフ支援装置10の各種の操作(電源のON/OFFを除く)は、ほとんどがディスプレイ部12の画面上に表示した各種アイコンや、メニューボタン14をタッチ操作することで行うようになっている。
【0050】
<LED表示部>
ディスプレイ部12の上方には、例えば、青、黄、赤の三色に発光するLED表示部13が形成してある。LED表示部13は、筐体11表面の合成樹脂製の化粧板の一部を、例えば、乳白色又はスモークなどの半透過性としたものである。このLED表示部13の内部には、図4に示す三色LED23が内蔵してあり、LED表示部13は、この三色LED23からの光を透過させて青、黄、赤の三色に発光する。好ましくは、LED表示部13の裏面を粗面とし、三色LED23からの光を乱反射して、LED表示部13全体が均一に発光するようにするとよい。
【0051】
<メモリカードスロット・電源スイッチ>
図1(b)及び図2に示すように、筐体10の側面には、蓋付きのメモリカードスロット15が設けてある。モリカードスロット15の内部には、図4に示すメモリカードリーダ25が内蔵してあり、本ゴルフ支援装置1は、メモリカードスロット15にセットされたメモリカード26からの情報の読み出し、又は情報の書き込みを行うことが可能となっている。また、メモリカードスロット15の隣には、本ゴルフ支援装置1の電源をON/OFF操作するための電源スイッチ16が設けてある。
【0052】
<ドップラーセンサ>
図1(c)及び図2に示すように、筐体10の底面には、図4に示すドップラーセンサ17のアンテナ開口面が配設してある。ドップラーセンサ17は、出力周波数24.15GHzのマイクロ波を出射し、反射波の周波数に応じた信号を出力する。本ゴルフ支援装置1は、例えば、図5に示すように、ゴルフクラブCをスイングするユーザUの後方所定位置に設置し、ドップラーセンサ17から出射されたマイクロ波が、クラブヘッドCH又はボールBに反射されるようにする。
【0053】
<スタンド>
このような本ゴルフ支援装置1には、図2に示す専用スタンド40と、図3に示すワイヤレスイヤホン(報知手段)30が付属する。専用スタンド40は、本ゴルフ支援装置1を設置する面の傾斜に応じて、本ゴルフ支援装置1が水平になるように角度調整を行うためものである。専用スタンド40は、図示しないボールジョイントを備えており、上下方向及び左右方向に角度調整が可能となっている。
【0054】
<ワイヤレスイヤホン>
図3において、ワイヤレスイヤホン30は、後述する本ゴルフ支援装置1のメトロノーム機能を実現するためのものであり、ユーザのスイングテンポを矯正するためのスイング支援報知を出力する。本実施形態のワイヤレスイヤホン30の外観構成は、主として筐体31、イヤピース32及びクリップ33からなり、イヤピース32を耳介に引っ掛けるインナーイヤー型となっている。イヤピース32の内部には、図4に示すスピーカ36が内蔵してあり、イヤピース32に穿設した透孔32aから音を出力する。また、クリップ33は、ワイヤレスイヤホン30を耳に保持するためのものであり、イヤピース32を耳介に引っ掛けた状態で耳朶を挟持する。
【0055】
[ゴルフ支援装置の内部構成]
次に、本ゴルフ支援装置1の内部構成について、図4を参照しつつ説明する。本ゴルフ支援装置1は、制御手段及びメトロノーム手段としてのマイクロコントローラ21を備えている。本ゴルフ支援装置1の各種機能は、マイクロコントローラ21に接続したEEPROM28上にプログラムとして格納してあり、このプログラムをマイクロコントローラ21のCPUが実行することにより実現される。また、マイクロコントローラ21は、後述する本発明のメトロノーム機能、測定結果等の良否判定機能の制御処理を実行する。以下、マイクロコントローラ21に接続した各構成要素と、マイクロコントローラ21が実行する制御処理とを含めて説明する。
【0056】
<ドップラーセンサ・アンプ>
マイクロコントローラ21には、アンプ22を介して、上述したドップラーセンサ17が接続してある。ドップラーセンサ17は、上述したように、出力周波数24.15GHzのマイクロ波を出射し、反射波の周波数に応じた信号を出力する。ドップラーセンサ17の出力信号は、アンプ22によって増幅され、ドップラーパルス信号又はドップラーリニア信号としてマイクロコントローラ21に出力される。マイクロコントローラ21は、受信したドップラーパルス信号に基づいてヘッドスピードを測定するとともに、受信したドップラーリニア信号に基づいてボールスピードを測定する。また、マイクロコントローラ21は、これらヘッドスピード、ボールスピードの測定結果からミート率及び推定飛距離を算出する。上述したように、ミート率は、ボールスピード/ヘッドスピードにより導き出すことができる。また、推定飛距離は、ヘッドスピード又はボールスピードのいずれか一方から導き出すことができる。
【0057】
<タッチスクリーン・ディプレイ部>
マイクロコントローラ21には、上述したタッチスクリーン11及びディスプレイ部12が接続してある。タッチスクリーン11は、ディスプレイ部12に表示されたアイコンやボタン、メニューボタン14のタッチ操作を検出し、その位置座標をマイクロコントローラ21に送信する。マイクロコントローラ21は、受信した位置座標に基づいて所定の制御処理を実行する。また、マイクロコントローラ21は、電源スイッチ16又はタッチスクリーン11の操作に基づいて、オープニング画面、メニュー画面、各種モード画面、待受け画面、各種設定画面などをディスプレイ部12に表示させる。また、マイクロコントローラ21は、上述したヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果、測定に使用したゴルフクラブの種類等の情報等をディスプレイ部12に表示させる(図1(a)中の「1W(1番ウッド)」を参照)。
【0058】
<三色LED>
マイクロコントローラ21には、上述した三色LED23が接続してある。この三色LED23は、測定結果の良否判定機能を実行する際の報知手段であり、良否判定の評価結果を異なる発光色で報知する。マイクロコントローラ21は、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果を、例えば、図12に示す基準データと比較して良否判定する。
【0059】
本実施形態では、ヘッドスピード等の各測定結果に対応して、それぞれ高、中、低の3つの閾値を基準データとして設定し、各測定結果の良否の程度を上、中、下の三段階で評価するようにしている。測定結果が高い閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「青」に発光させる。また、測定結果が中間の閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「黄」に発光させる。さらに、測定結果が低い閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「赤」に発光させる。なお、測定結果が低い閾値を超えなかった場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を発光させない。
【0060】
<赤外線LED・ワイヤレスイヤホン>
マイクロコントローラ21には、ワイヤレスイヤホン30への送信手段としての赤外線LED24が接続してある。ワイヤレスイヤホン30は、メトロノーム機能を実行する際の報知手段である。マイクロコントローラ21は、後述するスイング支援報知のテンポ、拍子、音量の設定に関する情報を、赤外線LED24を介してワイヤレスイヤホン30に送信する。
【0061】
ワイヤレスイヤホン30は、赤外線受光部34、CPU35及びスピーカ36を備えている。赤外線受光部34は、マイクロコントローラ21からの設定に関する信号を受信し、この信号に基づいて、CPU35が、設定に従ったテンポ、拍子、音量のスイング支援報知をスピーカ36に出力させる。
【0062】
なお、本実施形態では、ワイヤレスイヤホン30との通信手段として、赤外線通信を採用したが、有線以外の通信方式ならば、例えば、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)などの電波を用いた無線通信手段であってもよい。
【0063】
<メモリカードリーダー・メモリカード>
マイクロコントローラ21には、上述したメモリカードリーダ25が接続してある。このメモリカードリーダ25には、例えば、SDカード、ミニDカード、マイクロSDカード等のメモリカード26が挿入される。このメモリカード26には、各種設定情報、ヘッドスピード等の各測定結果の履歴等が記憶される。また、メモリカード26を図示しないパソコンに接続して、インターネット上から更新プログラムをダウンロードし、EEPROM28に格納されたソフトウェアのバージョンアップなどを行なうことが可能である。
【0064】
<電源スイッチ・電源>
マイクロコントローラ21には、上述した電源スイッチ16及び電源27が接続してある。電源スイッチ16をONにすると、マイクロコントローラ21がプログラムの起動を開始し、ディスプレイ部12にオープニング画面を表示させる。その後、プログラムの起動が完了すると、マイクロコントローラ21は、各種機能を実行するための複数のアイコンが並んだメニュー画面(図8(a)を参照)をディスプレイ部12に表示させる。ユーザがいずれかのアイコンにタッチすることで、いずれかの機能が実行される。また、本ゴルフ支援装置1に用いる電源としては、例えば、世界各国で入手が容易な単三型のアルカリ乾電池、ニッケル水素蓄電池が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0065】
[ゴルフ支援装置の使用方法]
次に、上記構成からなる本ゴルフ支援装置1の使用方法の具体例について、図5及び図6を参照しつつ説明する。
【0066】
図5及び図6は、ゴルフクラブCをスイングするユーザUの後方所定位置に、本ゴルフ支援装置1を設置した場合を例示している。なお、本ゴルフ支援装置1は、ユーザUの前方所定位置に設置してもヘッドスピード、ボールスピードの測定を行うことができる。以下、本ゴルフ支援装置1を、ユーザUの後方所定位置に設置するものとして説明する。
【0067】
本ゴルフ支援装置1は、上述したドップラーセンサ17の検知範囲が、スイング中のクラブヘッドCHが最大速度で移動する地点を含む位置に設置する。図5に示すように、クラブヘッドCHの移動軌跡Kの最下点付近が、ボールBに対するインパクト位置となり、通常はインパクト位置の付近でクラブヘッドCHの移動速度が最大速度になる。したがって、本ゴルフ支援装置1は、クラブヘッドCHの移動軌跡Kの最下点の接線L上で、かつユーザUの後方所定位置に設置する。
【0068】
上記インパクト位置におけるクラブヘッドCH及びボールBに対する本ゴルフ支援装置1の距離は、バックスイング時にクラブヘッドCHが本ゴルフ支援装置1に当たらない位置とする。例えば、図6に示すように、本ゴルフ支援装置1をボールBの約1m後方に設置するとよい。本ゴルフ支援装置1を設置する際には、ドップラーセンサ17のアンテナ開口面が、ボールBに正対する(接線L上を向く)ようにする。またこのとき、本ゴルフ支援装置1が水平になるように、図2に示す専用スタンド40を使用して本ゴルフ支援装置1の角度調整を行うとよい。
【0069】
ここで、本ゴルフ支援装置1でヘッドスピード等を測定する際に使用するクラブの種類は、ウッド、ユーティリテイ、アイアン、ウエッジ又はパター等のいずれでもよい。なお、使用するクラブがパターの場合、本ゴルフ支援装置1は、ヘッドスピードの測定を行わず、ボールスピードのみを測定する。そして、測定の際に「使用クラブ種」を、タッチバネル11を介して本ゴルフ支援装置1に入力する。すると、マイクロコントローラ21が「使用クラブ種」に応じた係数で推定飛距離を算出する。また、「使用クラブ種」は、そのときの測定結果等とともにクラブの種類をディスプレイ部12に表示され、この測定結果等とともに履歴としてメモリカード26に記憶される。
【0070】
[ゴルフ支援装置の各種機能]
本ゴルフ支援装置1では、図4に示すマイクロコントローラ21が、EEPROM28に格納されたプログラムを実行することで、「スイングモード」、「練習モード」、「メトロノーム機能」、「良否判定機能」等の各種機能を実現する。
【0071】
<スイングモード>
「スイングモード」は、本ゴルフ支援装置1のメイン機能であり、ゴルフクラブをスイングしたときのクラブヘッドのヘッドスピードと、クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードとを同時に測定する。これら測定結果に基づいてミート率及び推定飛距離を算出し、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等をディスプレイ部12に表示する(図1(a)を参照)。また、「スイングモード」の測定結果等は、履歴としてメモリカード26に蓄積される。
【0072】
<練習モード>
「練習モード」は、上述した「スイングモード」にゲーム要素を付加したものであり、例えば、アプローチ練習に最適な50〜150yardの目標飛距離を設定し、ユーザは目標飛距離にできるだけ近づけるようにスイングする。このときのヘッドスピード又はボールスピードに基づいて算出した推定飛距離が合格範囲内の場合は、ディスプレイ部12に「ナイスオン表示」を報知する。目標飛距離は、マイクロコントローラ21がランダムに選択するか、ユーザが任意の値を設定する。また、推定飛距離の合格範囲は、ユーザが任意の数値範囲を設定できる。
【0073】
<メトロノーム機能>
「メトロノーム機能」は、上述した「スイングモード」とともに実行される機能であり、ヘッドスピード等の測定を行う際に、図3及び図4に示すワイヤレスイヤホン30からスイング支援報知(本実施形態ではビープ音)を行い、ユーザがスイングのタイミングを取ることを支援する。以下、本ゴルフ支援装置1により実行される「メトロノーム機能」について、図7〜10を参照しつつ詳細に説明する。
【0074】
<<スイング支援報知>>
図7は、本ゴルフ支援装置1が行うスイング支援報知の内容を示す説明図である。同図(a)は3拍子、同図(b)は4拍子、同図(c)は拍子なしのスイング支援報知Pをそれぞれ示す。
【0075】
図7(a)〜(c)に示すように、スイング支援報知Pは、あらかじめ設定された所定のテンポで単位報知(図中の符号P1、P2を参照)を繰り返す一連の報知である。本実施形態では、ワイヤレスイヤホン30のスピーカ36から出力されるビープ音を、単位報知としている。テンポとは、拍(beat)を打つ速さであり、拍に相当する単位報知P1、P2の1分間における数(Beat Per Minute=BPM)によって特定される。本実施形態のスイング支援報知Pは、少なくとも単位報知を一定の間隔で繰り返すテンポを有している。本ゴルフ支援装置1では、例えば、20〜120BPMの範囲で、ユーザが任意のテンポを設定することが可能となっている(図8(c)を参照)。
【0076】
また、本実施形態では、スイング支援報知Pに所定の拍子を付けることができるようになっている。拍子とは、強拍と弱拍との組み合わせからなる一定数の拍の集まりをいい、リズムを形成する一単位である。リズムとは、アクセントのある拍の周期的な繰り返しをいう。図7(a)及び(b)に示すように、スイング支援報知Pを形成する単位報知のうち、所定の単位報知P1にアクセントを付け、アクセントのある単位報知P1と、アクセントのない単位報知P2とからなるからなる所定の拍子が周期的に繰り返されるリズムを形成することができる。本ゴルフ支援装置1では、例えば、2〜6拍子の範囲で、ユーザが任意の拍子を設定することが可能となっている(図8(d)を参照)。
【0077】
例えば、図7(a)に示すように、スイング支援報知Pを3拍子に設定した場合は、アクセントのある1つの単位報知P1と、アクセントのない2つの単位報知P2、P2とが3拍子を形成し、例えば、「ピ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音を所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pになる。ユーザは、この3拍子のスイング支援報知Pにタイミングを合わせてスイングを行う。例えば、1拍目の単位報知P1でアドレス、2拍目の単位報知P2でトップスイング、3拍目の単位報知P2でインパクトからフォロースルーまでを行う。
【0078】
また、図7(b)に示すように、スイング支援報知Pを4拍子に設定した場合は、アクセントのある1つの単位報知P1と、アクセントのない3つの単位報知P2、P2、P2、P2とが4拍子を形成し、例えば、「ピ!」、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音を所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pになる。ユーザは、この4拍子のスイング支援報知Pにタイミングを合わせてスイングを行う。例えば、1拍目の単位報知P1でショット方向確認、2拍目の単位報知P2でアドレス、3拍目の単位報知P2でトップスイング、4拍目の単位報知P2でインパクトからフォロースルーまでを行う。
【0079】
一方、スイング支援報知Pに拍子を付けるか否かは、ユーザの好みに応じて選択することができ、図7(c)に示すように、アクセントのない単位報知P2、P2、P2…のみを所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pを行うこともできる。この場合は、アクセントのない複数の単位報知P2、P2、P2…が所定のテンポで繰り返され、例えば、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音が連続する拍子のないスイング支援報知Pになる。拍子のないスイング支援報知Pは、スイングのタイミングが何拍子であっても合わせることができ、また、連続する単位報知P2、P2、P2…のどこからでもスイング動作を開始することができるメリットがある。
【0080】
<<スイング支援報知の各種設定>>
次に、本ゴルフ支援装置1の「メトロノーム機能」を実行する場合の各種設定画面及び操作手順について、図8(a)〜(e)を参照しつつ説明する。
【0081】
図8(a)は、本ゴルフ支援装置1において各種機能を選択するためのメニュー画面を示すものである。ディスプレイ部12に表示されるメニュー画面には、「スイングアイコン」、「練習アイコン」、「バットアイコン」、「ボールアイコン」、「メトロノームアイコン」、「設定アイコン」、「戻るボタン」が含まれており、いずれのアイコン及びボタンも、タッチパネル11のタッチ操作で選択が可能となっている。なお、「スイングアイコン」及び「練習アイコン」は、上述した「スイングモード」及び「練習モード」を選択するためのものである。また、「バットアイコン」、「ボールアイコン」は、後述する「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」を選択するためのものである。「設定アイコン」は、本ゴルフ支援装置1の各種設定を行うための「設定画面」に移行するためのものである。「戻るボタン」は、現在のメニュー画面に移行する前の画面に戻すためのものである。
【0082】
図8(a)に示すメニュー画面上で「メトロノームアイコン」をタッチすると、上述したマイクロコントローラ21が、ディスプレイ部12の表示を図8(b)に示す「メトロノーム機能」の実行画面に切り替える。この実行画面には、いずれもタッチ操作で選択可能な「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」「送信ボタン」、「戻るボタン」が含まれている。これらのうち、「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」には、それぞれ「テンポ:80」、「拍子:3」、「音量:大」というように、現在の設定内容が表示されている。この状態で「送信ボタン」をタッチ操作で選択すると、マイクロコントローラ21が、現在の設定に関する情報をワイヤレスイヤホン30に送信し、ワイヤレスイヤホン30のスピーカ36からテンポ=80BPM、3拍子のスイング支援報知Pが出力される。
【0083】
スイング支援報知Pの設定を変更する場合は、図8(b)に示す「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」をそれぞれタッチ操作すればよい。「テンポアイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(c)に示すテンポ設定画面に切り替わる。このテンポ設定画面では、20〜120BPMの範囲で、スイング支援報知Pのテンポを設定することができる。設定値の入力は、「0」〜「9」のキーボードを使用して行う。20〜120BPMの範囲内の数値を入力して「OKボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(b)の実行画面に戻る。一方、20〜120BPMの範囲外の数値を入力すると、テンポ設定画面上に「範囲外です」とのメッセージが表示され、数秒後に図8(b)の実行画面に戻る。
【0084】
「拍子アイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(d)に示す拍子設定画面に切り替わる。この拍子設定画面では、2〜6拍子の範囲で、スイング支援報知Pのテンポを設定することができる。設定値の入力は、「2」〜「6」のキーボードを使用して行う。2〜6拍子の範囲内の数値を入力して「OKボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(b)の実行画面に戻る。一方、2〜6拍子の範囲外の数値を入力すると、拍子設定画面上に「範囲外です」とのメッセージが表示され、数秒後に図8(b)の実行画面に戻る。
【0085】
「音量アイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(e)に示す音量設定画面に切り替わる。この音量設定画面では、スイング支援報知Pの音量を「大」、「中」、「小」のいずれかに設定することができる。設定後、「戻るボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、図8(b)の実行画面に戻る。
【0086】
<<測定結果とテンポ、拍子との相関関係>>
上述した「メトロノーム機能」を実行しつつ、「スイングモード」でヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定及び算出を行った場合、マイクロコントローラ21は、これらの測定結果及び算出結果と、測定の際に出力したスイング支援報知Pのテンポ及び拍子の設定値とを対応付けて、メモリカード26に記憶させる。そして、マイクロコントローラ21は、各測定結果等と、スイングのテンポ及び拍子との相関関係を、図9(a)及び(b)に示す態様でディスプレイ部12に表示させる。
【0087】
図9(a)は、各測定結果等と、スイングのテンポ及び拍子との相関関係を数値で示す履歴表示である。この履歴表示では、左欄から順番に、測定の「回数」、「ヘッドスピード(m/s)」の測定結果、「ボールスピード(m/s)」の測定結果、「ミート率」の算出結果、「推定飛距離(yard)」の算出結果、測定時の「テンポ(BPM)」の設定値、測定時の「拍子」の設定値が、互いに対応付けられて表示される。ユーザは、この履歴表示を参照して、自分に最も適したテンポを見つけることができる。
【0088】
また、各測定結果等と、スイングのテンポとの相関関係は、ヘッドスピード等の測定項目ごとにグラフで表示される。例えば、図9(b)は、推定飛距離の算出結果と、スイングのテンポとの相関関係を示すグラフである。図9(b)のグラフは、テンポ50〜80BPMにかけて推定飛距離が延び、80BPMを超えたあたりから推定飛距離が220yard前後で変わらなくなったことを視覚的に示している。ユーザは、このようなグラフを参照して、自分に最も適したテンポが80BPM付近であると目星を付けることができる。
【0089】
<<スイングのテンポずれ判定機能>>
上述した本ゴルフ支援装置1に、スイング支援報知Pのテンポと、実際のスイングのテンポとのずれの有無を判定する機能を追加することができる。以下、マイクロコントローラ21により実行されるスイングのテンポずれ判定制御の流れを、図10に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0090】
なお、以下に説明するスイングのテンポずれ判定機能を追加するためには、マイクロコントローラ21がスイング支援報知Pのテンポ、拍子、音量の各設定情報をワイヤレスイヤホン30に送信するだけでは足りず、スイング支援報知Pを形成する各単位報知P1、P2の出力タイミングを監視可能な構成としなければならない。例えば、マイクロコントローラ21が、スイング支援報知Pの元となる音声信号を生成してワイヤレスイヤホン30に送信する構成、又はワイヤレスイヤホン30のCPU35が、スイング支援報知Pの元となる音声信号を生成し、この音声信号の出力タイミングをマイクロコントローラ21に送信する構成が考えられる。
【0091】
図10のステップS1において、まず、マイクロコントローラ21は、「スイングモード」が選択されたか否かを判断する。「スイングモード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。本テンポずれ判定機能は「メトロノーム機能」に付随するものであり、「スイングモード」が選択されなければ、「メトロノーム機能」が実行されないからである。
【0092】
一方、ステップS1において、「スイングモード」が選択されたと判別した場合(YES)は、ステップS2に進み、マイクロコントローラ21は、「メトロノーム機能」が選択されたか否かを判断する。「メトロノーム機能」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。「メトロノーム機能」が選択されなければ、テンポずれの判断基準となるスイング支援報知Pが出力されず、ずれの有無を判定できないからである。
【0093】
一方、ステップS2において、「メトロノーム機能」が選択されたと判別した場合(YES)は、ステップS3に進み、2〜6拍子の範囲内の拍子Xが設定されたか否かを判断する。拍子Xが設定されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。2〜6拍子の範囲外、すなわち、ユーザが拍子なしを設定した場合は、拍子を構成する最後の1拍に相当する単位報知の出力タイミングを特定できないので、テンポずれの有無を判定できないからである。
【0094】
一方、ステップS3において、2〜6拍子の範囲内の拍子Xが設定されたと判別した場合(YES)は、ステップS4に進み、スイング支援報知が開始されたか否かを判断する。スイング支援報知が開始されていないと判別した場合(NO)は、ステップS4の判断を繰り返す。一方、スイング支援報知が開始されたと判別した場合(YES)は、ステップS5に進み、マイクロコントローラ21は、単位報知の出力タイミングを監視する。
【0095】
次いで、ステップS6に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値を測定したか否か判断する。ヘッドスピードの最大値を測定していないと判別した場合(NO)は、このステップS6の判断を繰り返す。一方、ヘッドスピードの最大値を測定したと判別した場合(YES)は、ステップS7に進み、ヘッドスピードの最大値の測定タイミングt1を検出する。その後、ステップS8に進み、マイクロコントローラ21は、測定タイミングt1に最も近い、拍子Xの最後のX拍目(ex.3拍子ならば3拍目)の単位報知の出力タイミングt2を検出する。そして、マイクロコントローラ21は、測定タイミングt1と、X拍目の単位報知の出力タイミングt2とのタイミングずれtnを算出する(ステップS9)。
【0096】
次いで、ステップS10に進み、マイクロコントローラ21は、タイミングずれがtn≒0であるか否かを判断する。ここで、厳密に「tn=0」でずれの有無を判断すると、ほとんどの場合がずれ有りと判別されてしまうので、ステップS10では、許容範囲内の誤差を含めた「tn≒0」でタイミングすれtnの有無を判断している。タイミングずれがtn≒0であると判別した場合(YES)は、ステップS11に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「青」に発光させて、「スイングのテンポが合っている」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0097】
一方、ステップS10において、タイミングずれがtn≒0でないと判別した場合(NO)は、ステップS12に進み、タイミングずれがtn<0であるか否かを判断する。タイミングずれがtn<0であると判別した場合(YES)は、ステップS13に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「黄」に発光させて、「スイングのテンポが速い」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS12において、タイミングずれがtn<0でないと判別した場合(NO)は、ステップS14に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「赤」に発光させて、「スイングのテンポが遅い」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0099】
上記構成によれば、ユーザが選択したスイング支援報知Pの拍子Xと、ユーザが行ったスイングの拍子とのずれを検出することができ、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを三色LED23の発光色で報知することができる。これにより、ユーザは、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを把握したうえで、スイングのテンポ矯正を効率よく行うことができる。
【0100】
すなわち、従来のメトロノーム装置では、ユーザが行ったスイングのテンポがずれているか否かを判別していなかった。このため、ユーザは、自分のスイングのテンポがずれているか否かを把握しないで、メトロノーム装置から提供されるテンポを体で覚える練習を行っていた。これに対し、本実施形態におけるスイングのテンポずれ判定機能によれば、三色LED23が「青」に発光したときのテンポを体で覚える練習をする。この練習において、三色LED23が「黄」に発光したならば、スイングのテンポを若干遅くするように矯正し、三色LED23が「赤」に発光したならば、スイングのテンポを若干速くするよう矯正する。これにより、ユーザは、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを把握したうえで、スイングのテンポ矯正を効率よく行うことができる。
【0101】
<良否判定機能>
「良否判定機能」は、上述した「スイングモード」及び「練習モード」とともに実行される機能であり、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等の良否判定を行い、三段階の評価結果を三色LED23の発光色で報知するものである。以下、本ゴルフ支援装置1により実行される「良否判定機能」について、図11〜14を参照しつつ詳細に説明する。
【0102】
<<良否判定機能の各種設定>>
まず、本ゴルフ支援装置1の「良否判定機能」を実行する場合の各種設定画面及び操作手順について、図11(a)及び(b)を参照しつつ説明する。
【0103】
図8(a)に示すディスプレイ部12のメニュー画面において、「設定アイコン」をタッチ操作すると、図示しない設定画面が表示される。この設定画面の設定項目の中から「良否判定機能」を選択すると、ディスプレイ部12の表示が、図11(a)に示す「良否判定機能」の設定画面に切り替わる。この「良否判定機能」の設定画面には、「良否判定機能」、「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の5つの設定項目と、設定を終了するための「OKボタン」が含まれている。
【0104】
この「良否判定機能」の設定画面は、常時、図11(a)に示す状態で表示されているのではなく、一番上に位置する「良否判定機能」の「ON/OFFアイコン」をONに設定すると、その下のスペースに「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の設定項目が表示され、これら設定項目が設定可能となる。これと逆に、「良否判定機能」の「ON/OFFアイコン」をOFFに設定すると、「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の設定項目が非表示となり、図11(a)に示す設定画面上には、「良否判定機能」の設定項目、「ON/OFFアイコン」及び「OKボタン」だけが表示されるようになる。
【0105】
図11(a)において、「良否判定機能」の設定項目には、上述した「ON/OFFアイコン」が設けてあり、この「ON/OFFアイコン」をスライド操作することで、「良否判定機能」のON/OFFを切り替えることが可能となっている。「ON/OFFアイコン」をOFFにした場合、「良否判定機能」は実行されない。
【0106】
「適用モード」の設定項目には、「スイングモードアイコン」及び「練習モードアイコン」が設けてあり、これらアイコンのうちから選択した機能モードについて「良否判定機能」が実行される。これらアイコンの選択/解除はいずれもタッチ操作で行うことができ、選択されたアイコンは明るく点灯した描画になり、解除されたアイコンは暗く消灯した描画になる。また、これらアイコンの選択を両方とも解除することはできず、少なくとも一方のアイコンは選択された状態になる。
【0107】
「適用項目」の設定項目には、「ヘッドスピードアイコン」、「ボールスピードアイコン」、「ミート率アイコン」及び「推定飛距離アイコン」が設けてあり、これらアイコンのうちから選択した測定項目について「良否判定機能」が実行される。上記と同様に、アイコンの選択/解除はいずれもタッチ操作で行うことができ、選択されたアイコンは明るく点灯した描画になり、解除されたアイコンは暗く消灯した描画になる。また、全てのアイコンの選択を解除することはできず、少なくとも1つのアイコンは選択された状態になる。
【0108】
<<基準データの選択>>
図11(a)に示す「基準データ選択」の設定項目には、「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」、「EASYアイコン」及び「OPTIONアイコン」が設けてある。この「基準データ選択」の設定項目では、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等の良否判定を行うための基準データを選択する。
【0109】
ここで、本実施形態では、所定の閾値が予め設定された難易度の異なる第1〜第3基準データ(図13を参照)を用意し、これら第1〜第3基準データをそれぞれ「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」及び「EASYアイコン」に割り当てている。「HARDアイコン」を選択した場合には、難易度の高い第1基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。また、「NORMALアイコン」を選択した場合には、中間の難易度の第2基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。さらに、「EASYアイコン」を選択した場合には、難易度の低い第3基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。ユーザは、自分のゴルフの実力に応じて「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」又は「EASYアイコン」を選択すればよい。
【0110】
<<基準データの閾値設定>>
一方、この「基準データ選択」の設定項目において「OPTIONアイコン」を選択した場合、ユーザは、基準データの閾値を任意に設定することができる。図11(a)に示す「OPTIONアイコン」をタッチ操作で選択すると、ディスプレイ部12の画面表示が、図11(b)に示すような基準データ設定画面に切り替わる。この基準データ設定画面には、「ヘッドスピード」、「ボールスピード」、「ミート率」及び「推定飛距離」の各設定項目が含まれており、これら設定項目ごとに「第1閾値アイコン」、「第2閾値アイコン」及び「第3閾値アイコン」が設けてある。このように、本実施形態では、ボールスピード等の設定項目ごとに、第1〜第3の3つの閾値を設定することが可能となっている。
【0111】
図11(b)に示す各設定項目の「第1閾値アイコン」、「第2閾値アイコン」及び「第3閾値アイコン」のいずれかをタッチ操作すると、ディスプレイ部12の画面表示が、図11(c)〜(f)に示すような基準データの閾値入力画面に切り替わる。同図(c)はヘッドスピード、同図(d)はボールスピード、同図(e)はミート率、同図(f)は推定飛距離の閾値入力画面である。
【0112】
このような閾値入力画面では、予め定められた数値範囲内の閾値を「0」〜「9」のキーボードをタッチ操作して入力を行う。入力する閾値は、「単位ボタン」をタッチ操作することでメートル法又はポンドヤード法に単位換算することができる。例えば、図11(c)及び(d)に示すヘッドスピードの閾値「49.0」、ボールスピードの閾値「72.7」は、いずれもメートル法の速度単位[m/s]における数値であるが、「単位ボタン」をタッチ操作して、ポンドヤード法の速度単位[mph]における数値に換算することができる。また、同図(f)に示す推定飛距離の閾値「260.0」は、ポンドヤード法の距離単位[yard]における数値であるが、「単位ボタン」をタッチ操作して、メートル法の距離単位[m]における数値に換算することができる。なお、同図(e)に示すミート率に単位はない。
【0113】
<<基準データの具体例>>
次に、「良否判定機能」に用いる基準データの具体例について、図12及び図13を参照しつつ説明する。
【0114】
図12は、一の基準データの具体例を示す表である。同表は、左側から順に「測定項目」、「LED発光色」、「設定可能範囲」、「基準データ(初期値)」の欄となっている。「良否判定機能」により良否判定を行う測定項目は、「ヘッドスピード」、「ボールスピード」、「推定飛距離」及び「ミート率」であり、各測定項目についての良否判定の評価結果は、三色LED23の「青」、「黄」、「赤」いずれかの発光色で報知される。
【0115】
本実施形態では、ヘッドスピード等の各測定項目について、それぞれ「基準データ(初期値)」の欄に示す基準データが設けてあり、各測定項目の基準データは、三色LED23の「青」、「黄」、「赤」の発光色にそれぞれ対応する3つの閾値(上記単位換算を含めると6つの閾値)からなっている。図12の「基準データ(初期値)」の欄に示す各測定項目の閾値は一例であり、各測定項目において、「青」の発光色に対応する閾値が最も高く設定してあり、次に「黄」の発光色に対応する閾値が高く、「赤」の発光色に対応する閾値が最も低く設定してある。すなわち、「青」、「黄」、「赤」の順番に良否判定の評価結果が高いことを意味する。
【0116】
なお、実際にユーザに提供する閾値の初期値は、例えば、プロゴルファやアマチュアゴルファの平均値を参考にした値に設定することができる。但し、閾値をあまり高く設定すると、「青」や「黄」の評価結果が得にくくなり、「良否判定機能」の面白さが低減してしまう。逆に、閾値をあまり低く設定すると、「青」の評価結果が頻発するようになり、「良否判定機能」の面白さが低減してしまう。したがって、実際にユーザに提供する閾値の初期値は、高すぎず低すぎず、適度な難易度となるような値とすることが好ましい。このため、本実施形態では、図12の「設定可能範囲」の欄に示す数値範囲内で、ユーザの好みに応じた任意の閾値を設定することができるようにしている。
【0117】
図13は、段階的に難易度の異なる複数の基準データの具体例を示す表である。同図に示すように、所定の閾値が予め設定された難易度の異なる第1〜第3基準データを設けてもよい。同図において、「第1基準データ(HARD)」の欄に示す閾値が最も高く設定してあり、次に「第2基準データ(NORMAL)」の欄に示す閾値が高く、「第3基準データ(EASY)」の欄に示す閾値が最も低く設定してある。ユーザは、自分のゴルフの実力に応じて、「第1基準データ(HARD)」、「第2基準データ(NORMAL)」又は「第3基準データ(EASY)」のいずれかを選択すればよい。
【0118】
<<良否判定制御>>
以下、マイクロコントローラ21により実行される「良否判定機能」における良否判定制御の流れについて、図14を参照しつつ説明する。図14は、一例としてヘッドスピードの測定結果の良否判定制御の流れを示すフローチャートである。
【0119】
図14のステップS21において、まず、マイクロコントローラ21は、「スイングモード」が選択されたか否かを判断する。「スイングモード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、ステップS22に進み、マイクロコントローラ21は、「練習モード」が選択されたか否かを判断する。「練習モード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。「良否判定機能」は、「スイングモード」又は「練習モード」における測定結果等の良否判定を行うものだからである。
【0120】
一方、ステップS21において、「スイングモード」が選択されたと判別した場合(YES)、又はステップS22において、「練習モード」が選択されたと判別した場合(YES)は、いずれもステップS23に進み、マイクロコントローラ21は、「良否判定機能」が選択されたか否かを判断する。「良否判定機能」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0121】
一方、ステップS23において、「良否判定機能」が選択されていると判別した場合(YES)は、ステップS24に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが測定されたか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが測定されていないと判別した場合(NO)は、このステップS24の判断を繰り返す。
【0122】
一方、ステップS24において、ヘッドスピードの最大値HSが測定されたと判別した場合(YES)は、ステップS25に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、図12に示す第1の閾値「50m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「50m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS26に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「青」に発光させて、ヘッドスピードの測定結果が良好あったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS25において、ヘッドスピードの最大値HSが「50m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、ステップS27に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、図12に示す第2の閾値「40m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「40m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS28に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「黄」に発光させ、ヘッドスピードの測定結果が平均的あったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0124】
一方、ステップS27において、ヘッドスピードの最大値HSが「40m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、ステップS29に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、図12に示す第3の閾値「30m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「30m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS30に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「赤」に発光させ、ヘッドスピードの測定結果があまり良くなかったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0125】
一方、ステップS29において、ヘッドスピードの最大値HSが「30m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、マイクロコントローラ21は、三色LED23を発光させないで、本フローチャートの制御処理を終了する。この場合は、ヘッドスピードの測定結果が悪かったことを意味する。
【0126】
以上、ヘッドスピードの測定結果の良否判定制御を一例として説明したが、マイクロコントローラ21は、ボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果等についても、上記とほぼ同様の制御処理を実行し、良否判定の評価結果を三色LED23の発光色で報知する。
【0127】
<その他の機能>
本ゴルフ支援装置1は、上述したゴルフ支援機能の他に、「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」の野球支援機能を備えている。これら「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」は、本ゴルフ支援装置1のドップラーセンサ17を利用して、野球ボールのボールスピード又は野球バットのスイングスピードを測定するものである。各測定結果は、ディスプレイ部12に表示されるとともに、図示しない本ゴルフ支援装置1内のRAMに一時的に記憶される。
【符号の説明】
【0128】
1 ゴルフ支援装置
10 筐体
11 タッチスクリーン
12 ディスプレイ部
12A ステータス領域
12B コンテンツ領域
13 LED表示部
14 メニューボタン
15 メモリカードスロット
16 電源スイッチ
17 ドップラーセンサ
21 マイクロコントローラ(制御手段・メトロノーム手段)
22 アンプ
23 三色LED(報知手段)
24 赤外線LED
25 メモリカードリーダ
26 メモリカード
27 電源
28 EEPROM
30 ワイヤレスイヤホン(報知手段)
31 筐体
32 イヤピース
32a 透孔
33 クリップ
34 赤外線受光部
35 CPU
36 スピーカ
U ユーザ
C ゴルフクラブ
CH クラブヘッド
B ボール
K 移動軌跡
L 最下点の接線
P スイング支援報知
P1 単位報知(アクセントなし)
P2 単位報知(アクセントあり)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのスイングに関する測定を行うためのゴルフ支援システムであって、
ヘッドスピードを測定し、この測定結果をあらかじめ設定されたヘッドスピードの基準データと比較して良否判定する制御手段と、前記制御手段からの信号に基づいて前記測定結果の良否を色で知らせる報知手段とを含むことを特徴とするゴルフ支援システム。
【請求項2】
前記制御手段が、前記クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードを測定し、この測定結果をあらかじめ設定されたボールスピードの基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記測定結果の良否を色で知らせる請求項1記載のゴルフ支援システム。
【請求項3】
前記制御手段が、前記ヘッドスピード及び前記ボールスピードの測定結果に基づいてミート率を算出し、この算出結果をあらかじめ設定されたミート率の基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記算出結果の良否を色で知らせる請求項2記載のゴルフ支援システム。
【請求項4】
前記制御手段が、前記ヘッドスピード又は前記ボールスピードの測定結果に基づいて前記ボールの推定飛距離を算出し、この算出結果をあらかじめ設定されたボールの飛距離の基準データと比較して良否判定するとともに、前記報知手段が、前記制御手段からの信号に基づいて前記算出結果の良否を色で知らせる請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項5】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、段階的に増減する複数の基準データを設定するとともに、
前記報知手段を、単色又は多色で発光する一又は複数の発光体とし、前記測定結果及び/又は前記算出結果の良否の程度を、前記基準データに応じた異なる色で知らせる請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項6】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザのスコアに対応して複数の基準データを設定した請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項7】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザのハンデキャップに対応して複数の基準データを設定した請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項8】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの年齢に対応して複数の基準データを設定した請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項9】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの性別に対応して複数の基準データを設定した請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項10】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの身長に対応して複数の基準データを設定した請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項11】
前記ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又はボールの推定飛距離のうちの少なくとも一つについて、ユーザの体重に対応して複数の基準データを設定した請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載したゴルフ支援システムを実施するためのゴルフ支援装置であって、
ドップラーセンサと、前記制御手段として機能するコンピュータと、前記報知手段とを備え、前記ドップラーセンサから出射したマイクロ波を前記クラブヘッド又は前記ボールに反射させ、反射波の周波数に基づいてヘッドスピード又はボールスピードを測定することを特徴とするゴルフ支援装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載したゴルフ支援システムを、前記ドップラーセンサ及び前記報知手段を有するゴルフ支援装置で実施するためのプログラムであって、前記ゴルフ支援装置に搭載されたコンピュータを、前記制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−165811(P2012−165811A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27356(P2011−27356)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)