説明

ゴースト信号生成装置

【課題】簡易な構成で様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができるゴースト信号生成装置を提供する。
【解決手段】それぞれ線路長の異なる少なくとも三つの同軸ケーブルC1〜Cnと、単一の高周波信号S1を分配して同軸ケーブルC1〜Cnそれぞれに伝送する分配器1と、同軸ケーブルC1〜Cnの各出力を加算する加算器2と、同軸ケーブルC1〜Cnと分配器1又は加算器2との間の接続/非接続を各ケーブル毎に独立して切り替える切替手段(スイッチSW1〜SWnからなる切替手段)とを備えるゴースト信号生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴースト信号を生成するゴースト信号生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴースト信号を生成するゴースト信号生成装置は、例えばゴースト除去装置のゴースト除去状態をテストするため等に用いられる。
【0003】
従来のゴースト信号生成装置の構成例を図3に示す。図3に示すゴースト信号生成装置は、分配器101によって高周波信号(RF信号)を二分配し、一方を直接加算器102に供給するとともに、もう一方を所定長の同軸ケーブル103と増幅器104とを介して加算器102に供給し、加算器102で二つの高周波信号を加算し、その加算された高周波信号を出力端子105に供給する。このような構成によると、出力端子105には同軸ケーブル103の線路長に応じた期間遅延された高周波信号が元の高周波信号に重畳された状態の信号が到達することになり、疑似的にゴースト信号が生成される。
【0004】
このようなゴースト信号生成装置は、例えば特許文献1の第4図に開示されている。このようなゴースト信号生成装置は、ゴーストの発生状態を変えるときには同軸ケーブルの長さを変える必要があり、ゴーストの発生状態を容易に変えることができないという問題点を有していた。
【特許文献1】特開平3−88496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる問題点を解決することができる従来のゴースト信号生成装置の構成例を図4に示す。図4に示すゴースト信号生成装置は、映像信号源201から出力されるベースバンドの映像信号を分配し、分配された映像信号の一方を遅延回路202で所定時間だけ遅延させ、その後発振器203により同一の搬送周波数信号が注入された変調器204、205によって双方の映像信号を変調し、変調器204の出力を可変減衰器206と位相調整器208を介して加算器210に供給し、変調器205の出力を可変減衰器207と位相調整器209を介して加算器210に供給する。加算器210で二つの高周波信号を加算し、その加算された高周波信号を混合器211と発振器212によって周波数変換した後、出力端子213に供給する。このような構成によると、搬送周波数に変調する前に遅延回路202で遅延信号を作成するため、線路長の長い同軸ケーブル等が必要ないとともにこの遅延回路202の設定値を変えることで様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができる。
【0006】
このようなゴースト信号生成装置は、例えば特許文献1の第1図に開示されている。このようなゴースト信号生成装置は、構成が複雑であるため高コストになるという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、簡易な構成で様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができるゴースト信号生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係るゴースト信号生成装置は、それぞれ線路長の異なる少なくとも三つの高周波信号伝送線路(例えば、同軸ケーブル)と、単一の高周波信号を分配して前記高周波信号伝送線路それぞれに伝送する分配器と、前記高周波信号伝送線路の各出力を加算する加算器と、前記高周波信号伝送線路と前記分配器又は前記加算器との間の接続/非接続を各線路毎に独立して切り替える切替手段とを備える構成とする。
【0009】
このような構成によると、前記切替手段が前記高周波信号伝送線路と前記分配器又は前記加算器との間を少なくとも二つの線路で接続状態にすると、前記加算器からゴースト信号が出力される。そして、前記高周波信号伝送線路と前記分配器又は前記加算器との間を接続状態にする複数の線路の組み合わせを変化させることで、様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができる。また、上記構成のゴースト信号生成装置は、遅延回路等を必要としないので、簡易な構成にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るゴースト信号生成装置によると、簡易な構成で様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係るゴースト信号生成装置の構成例を図1に示す。図1に示すゴースト信号生成装置は、分配器1と、n(nは3以上の自然数)個のスイッチSW1〜SWnと、それぞれ線路長の異なるn本の同軸ケーブルC1〜Cnと、加算器2とを備えている。なお、スイッチSW1〜SWnはそれぞれ独立してオン/オフの切り替えが可能なスイッチである。
【0012】
受信アンテナや高周波信号発生器等から分配器1に単一の高周波信号S1が供給される。分配器1は単一の高周波信号S1をn個に分配し、各経路(スイッチSW1と同軸ケーブルC1から成る第1の経路、スイッチSW2と同軸ケーブルC2から成る第2の経路、…、スイッチSWnと同軸ケーブルCnから成る第nの経路)に供給する。各経路の出力端が加算器2に接続されており、スイッチSW1〜SWnのうち少なくとも2個をオン状態にすると、スイッチがオン状態である経路から出力される高周波信号が加算器2で加算されることによりゴースト信号S2が生成される。
【0013】
上記構成の図1に示すゴースト信号生成装置は、オン状態にするスイッチの組み合わせを変化させることで、様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができる。また、図1に示すゴースト信号生成装置は、遅延回路等を必要としないので、簡易な構成にすることができる。
【0014】
本発明に係るゴースト信号生成装置の他の構成例を図2に示す。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0015】
図2に示すゴースト信号生成装置と図1に示すゴースト信号生成装置との相違点は、図1に示すゴースト信号生成装置では各経路において入力側にスイッチが設けられ出力側に同軸ケーブルが設けられているのに対して、図2に示すゴースト信号生成装置では各経路において入力側に同軸ケーブルが設けられ出力側にスイッチが設けられている点である。
【0016】
図2に示すゴースト信号生成装置は、図1に示すゴースト信号生成装置と同様に、オン状態にするスイッチの組み合わせを変化させることで、様々なゴーストの発生状態に対応するゴースト信号を生成することができる。また、図2に示すゴースト信号生成装置は、図1に示すゴースト信号生成装置と同様に、遅延回路等を必要としないので、簡易な構成にすることができる。
【0017】
なお、上述した実施形態では、同軸ケーブルを備えるゴースト信号生成装置について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明に係るゴースト信号生成装置は同軸ケーブル以外の高周波信号伝送線路(例えば、基板に形成されるマイクロストリップ線路など)を備える形態であってもよい。
【0018】
また、図1の構成において、分配器1及びスイッチSW1〜SWnの代わりに、各出力端毎に独立して出力/非出力の設定が行える分配器を設けてもよい。また、図2の構成において、加算器2及びスイッチSW1〜SWnの代わりに、各入力端毎に独立して入力/非入力の設定が行える加算器を設けてもよい。
【0019】
また、上述した実施形態では、全てのスイッチが経路の入力側又は出力側の一方に設けられているが、本発明はこれに限定されることはなく、一部のスイッチが経路の入力側に設けられ、残りのスイッチが出力側に設けられる形態であっても構わない。かかる形態において、分配器及び経路の入力側に設けられるスイッチの代わりに各出力端毎に独立して出力/非出力の設定が行える分配器を設け、加算器及び出力側に設けられるスイッチの代わりに、各入力端毎に独立して入力/非入力の設定が行える加算器を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、本発明に係るゴースト信号生成装置の構成例を示す図である。
【図2】は、本発明に係るゴースト信号生成装置の他の構成例を示す図である。
【図3】は、従来のゴースト信号生成装置の構成例を示す図である。
【図4】は、従来のゴースト信号生成装置の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 分配器
2 加算器
C1〜Cn 同軸ケーブル
SW1〜SWn スイッチ
S1 高周波信号
S2 ゴースト信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ線路長の異なる少なくとも三つの同軸ケーブルと、単一の高周波信号を分配して前記同軸ケーブルそれぞれに伝送する分配器と、前記同軸ケーブルの各出力を加算する加算器と、前記同軸ケーブルと前記分配器又は前記加算器との間の接続/非接続を各ケーブル毎に独立して切り替える切替手段とを備えることを特徴とするゴースト信号生成装置。
【請求項2】
それぞれ線路長の異なる少なくとも三つの高周波信号伝送線路と、単一の高周波信号を分配して前記高周波信号伝送線路それぞれに伝送する分配器と、前記高周波信号伝送線路の各出力を加算する加算器と、前記高周波信号伝送線路と前記分配器又は前記加算器との間の接続/非接続を各線路毎に独立して切り替える切替手段とを備えることを特徴とするゴースト信号生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−201656(P2007−201656A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15819(P2006−15819)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】