説明

サッシ体

【課題】取付時やメンテナンス時の作業性および清掃性の向上を図ることができるサッシ体を提供する。
【解決手段】建物開口部に沿って具備された既設枠体の内側に配置されるサッシ体であって、各辺を構成する4つの枠部材を組み合わせて形成される矩形状の枠本体を備えており、前記4つの枠部材のうち、少なくとも一つの枠部材は、他の二つの枠部材と連結するベース枠と、該ベース枠と略同一の長さを有し、前記既設枠体の内周面に向けて移動可能であり、前記既設枠体の内周面に対向する面が、該内周面に当接して押圧固定される押圧枠とを備えるサッシ体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ体に関する。特に、建物開口部に沿って具備された既設枠体の内側に配置されるサッシ体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すように、建物の壁101等に形成される開口部に沿って具備された既設枠体102の内側に配置されるサッシ体103が知られている。既設枠体102には、例えば、建物内から外に向かって押し出すように開放する押し出し窓(図示せず)が設けられており、既設枠体102の内側に配置されるサッシ体103には、例えば、ロール式網戸やロール式カーテンなど有するロール式スクリーン装置104が枠本体の内側に設置されている。
【0003】
ここで、建物開口部に既設枠体102を設置する場合、押し出し窓等を有する既設枠体102を建物開口部に嵌め込み、ビス等の係着部材を用いて、既設枠体102の枠部材と建物開口部とを固定することにより行われる。
【0004】
また、既設枠体102へのサッシ体103の取り付けは、建物開口部に既設枠体102を設置する段階では行われず、建物の建築工事や改修工事等が完了した後に行われる。これは、建築や改修等の工事中にサッシ体103を取り付けると、建築機材や工具がサッシ体103に当たってサッシ体103に損傷を与えるおそれがあり、更に、建築や改修等の工事中に発生する砂塵や木屑等がロール式スクリーン装置104内に侵入して該装置104が損傷するおそれがあるからである。なお、建物開口部への既設枠体102の設置は、建物の建築や改修等の工事に含まれることから建築施工業者により行われ、サッシ体103の設置は、内装工事に含まれることから内装施工業者により行われるという理由から、サッシ体103の既設枠体102への設置は、建物の建築や改修等の工事が完了した後に行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサッシ体を既設枠体に設置する場合、建物開口部と既設枠体とを接続固定している複数のビス等の係着部材を全て一端取り外した後、サッシ体を既設枠体の内側に嵌め込み、再度、取り外した係着部材を用いて、サッシ体、既設枠体及び建物開口部を接続固定するという工程が必要となり、サッシ体を既設枠体に設置することに多大な労力が必要でその作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、このように建物開口部と既設枠体とを接続固定しているビス等の係着部材を利用してサッシ体を既設枠体に接続固定することから、サッシ体の枠体には、予め、既設枠体に形成されているビス穴に相当する位置にビス取付用の貫通孔を形成しているが、この貫通孔及び既設枠体のビス穴の径は小さいものであることから、サッシ体に形成される貫通孔の位置と、既設枠体に形成されているビス穴の位置とが僅かでもずれていると、サッシ体を既設枠体に設置することができないという問題があった。
【0007】
更に、サッシ体のメンテナンスや清掃を行う場合に、その作業内容によっては、サッシ体を取り外さなければならない場合もあるが、この場合、サッシ体、既設枠体及び建物開口部を係着しているビス等の係着部材を全て取り外さなければならず、メンテナンスや清掃を行うのにも多大な労力が必要となり、その作業性が悪いという問題もあった。
【0008】
また、既設枠体及び建物開口部を接続固定しているビス等の係着部材を取り外す際に、建物開口部における係着部材取付箇所が損傷したり、係着部材が損傷したりして、サッシ体を確実に設置することが困難になるおそれもあった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、取付時やメンテナンス時の作業性および清掃性の向上を図ることができるサッシ体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前記目的は、建物開口部に沿って具備された既設枠体の内側に配置されるサッシ体であって、各辺を構成する4つの枠部材を組み合わせて形成される矩形状の枠本体を備えており、前記4つの枠部材のうち、少なくとも一つの枠部材は、他の二つの枠部材と連結するベース枠と、該ベース枠と略同一の長さを有し、前記既設枠体の内周面に向けて移動可能であり、前記既設枠体の内周面に対向する面が、該内周面に当接して押圧固定される押圧枠とを備えるサッシ体により達成される。
【0011】
このような構成を備えることにより、従来のサッシ体のように、建物開口部と既設枠体とを接続固定している複数のビス等の係着部材を全て一端取り外した後、サッシ体を既設枠体の内側に嵌め込み、再度、取り外した係着部材を用いて、サッシ体、既設枠体及び建物開口部を接続固定するという作業を必要とせず、単に、押圧枠を既設枠体の内周面に向けて移動させて、この内周面に押圧枠を当接させて押圧するだけで、サッシ体を既設枠体に設置することができ、
簡単に、既設枠体にサッシ体を取り付けることができる。また、押圧枠をベース枠側に移動させることにより、押圧枠と既設枠体の内周面との間の押圧固定が解除されるため、サッシ体を極めて簡便に取り外すことができ、サッシ体のメンテナンスの作業性や清掃性を向上させることができる。
【0012】
また、上記サッシ体において、前記ベース枠に空回り可能に取り付けられると共に、先端部が前記押圧枠とネジ結合する調整ネジを備えており、前記調整ネジを回転させることにより、前記押圧枠を前記既設枠体の内周面に向けて移動させて該内周面に押圧固定されることが好ましい。
【0013】
このような構成を備えることにより、調整ネジを回転させるという簡便な方法により、押圧枠を既設枠体の内周面に向けて移動(或いは、ベース部材側に向けて移動)させることができ、サッシ体の既設枠体への取り付け作業や、メンテナンス作業、清掃作業の作業効率を向上させることができる。
【0014】
また、前記ベース枠は、互いに対向する一対の対向片およびこれら対向片を連結する連結片を有する断面略コ字状に形成されており、前記押圧枠は、前記既設枠体の内周面に当接された状態で、前記一対の対向片及び前記連結片により囲まれるポケット部内に位置し、前記一対の対向片のいずれか一方に当接する側壁を備えることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、既設枠体の内周面を押圧固定することが可能な枠部材をコンパクトに形成することができると共に、サッシ体を既設枠体に固定した場合に、押圧枠の側壁とベース枠との間に隙間が形成されないため、屋外の雨や空気、埃等が室内に侵入することを効果的に防止することができる。
【0016】
また、前記押圧枠は、互いに対向する一対の側壁およびこれら側壁を連結する連結壁を有する断面略コ字状に形成されており、前記押圧枠の連結壁と、前記ベース枠の連結片とが互いに対向するようにして、前記押圧枠が、前記ベース枠の前記ポケット部に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、既設枠体の内周面を押圧固定することが可能な枠部材の軽量化・コンパクト化を図ることが可能となる。
【0017】
また、前記ベース枠及び前記押圧枠を備える枠部材に対して対向配置される他の枠部材は、前記枠本体内全面に張られるスクリーン体と、スクリーン体を巻取って収納する収納部と、スクリーン体の先端部を保持しスクリーン体を収納部から引き出し入れしてスクリーン体の開閉を行う可動框とを有するロール式スクリーン装置を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、取付時やメンテナンス時の作業性および清掃性の向上を図ることができるサッシ体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るサッシ体を既設枠体に設置した状態を示す説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るサッシ体を示す平面図である。
【図5】図1に示すサッシ体を既設枠体に設置する方法を説明するための説明図である。
【図6】図1に示すサッシ体を既設枠体に設置する方法を説明するための説明図である。
【図7】図1に示すサッシ体の変形例を示す断面図(図1のA−A線に相当する位置での断面図)である。
【図8】図1に示すサッシ体のその他の変形例を示す断面図(図1のA−A線に相当する位置での断面図)である。
【図9】従来のサッシ体を既設枠体に設置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるサッシ体1を既設枠体102に設置した状態を示す説明図である。図2は、そのA−A断面図であり、図3は、図2のB−B断面図である。
【0021】
サッシ体1は、建物の壁等に形成される開口部に沿って具備された既設枠体102の内側に配置されて設置されるものである。既設枠体102には、例えば、建物内から外に向かって押し出すように開放する押し出し窓(図示せず)が設けられており、この押し出し窓に対して屋内側となる既設枠体102内側の所定個所にサッシ体1は設置固定される。
【0022】
サッシ体1は、既設枠体102の内面と当接する枠本体2を備えている。この枠本体2は、矩形状に形成されており、各辺を構成する4つの長尺状の枠部材21を組み合わせて形成されている。4つの枠部材21のそれぞれは、左縦枠21a、上横枠21b、右縦枠21c及び下横枠21dを構成している。なお、各枠部材21は、例えばアルミ押出形材により形成されている。
【0023】
4つの枠部材21のうちの少なくとも一つは、ベース枠22と押圧枠23とを備えている。図1に示すサッシ体1においては、右縦枠21cが、ベース枠22と押圧枠23とを備えるように構成している。ベース枠22は、その各端部において、他の二つの枠部材21(上横枠21b及び下横枠21d)と連結するように構成されている。このベース枠22は、図2の断面図に示すように、互いに対向する一対の対向片25およびこれら対向片25を連結する連結片26を有する断面略コ字状に形成されている。一対の対向片25及び前記連結片26により囲まれる領域は、押圧枠23の一部を内部に収納するポケット部27を構成している。
【0024】
押圧枠23は、ベース枠22と略同一の長さを有し、図2の断面図に示すように、互いに対向する一対の側壁28およびこれら側壁28を連結する連結壁29を有する断面略コ字状に形成されている。この押圧枠23は、その連結壁29と、ベース枠22の連結片26とが互いに対向するようにして、一対の側壁28がベース枠22におけるポケット部27内に配置されているように構成されている。また、本実施形態においては、ベース枠22における各対向片25の幅(図2における左右方向の寸法)と、押圧枠23における各側壁28の幅(図2における左右方向の寸法)とが略同寸法となるように構成されている。また、ベース枠22における連結片26の幅(図2における上下方向の寸法)と、押圧枠23における連結壁29の幅(図2における上下方向の寸法)とが略同寸法となるように構成されている。ここで、ベース枠22におけるポケット部27内に配置される押圧枠23の一対の側壁28のうち少なくともいずれか一方は、押圧枠23が既設枠体102の内周面に当接された状態で、一対の対向片25及び連結片26により囲まれるベース枠22のポケット部27内に位置すると共に、当該ポケット部27内において対向配置される対向片25と当接するように構成されている。
【0025】
また、押圧枠23は、既設枠体102の内周面に向けて移動可能であり、既設枠体102の内周面に対向する面(連結壁29の外側面)が、該内周面に当接して押圧固定されるように構成されている。
【0026】
具体的に説明すると、図2及び図3の断面図に示すように、ベース枠22がその連結片26に設置される保持部材31を備え、押圧枠23がその連結壁29に設置される係合部材32を備えるように構成すると共に、保持部材31と係合部材32とを調整ネジ33にて連結するように構成されている。なお、保持部材31と係合部材32とは、それぞれ連結片26及び連結壁29の対向面上に設置されている。また、調整ネジ33は、工具ドライバー等の先端部が係合する頭部33aと、ネジ部が形成される軸部33bとを備えている。
【0027】
保持部材31は、略コ字形の基部31aと、この基部31aから外方へ折り曲げられ、ベース枠22の連結片26に接続される一対の接続部31bとを備えており、全体としては弓型となるように形成されている。係合部材32も保持部材31と同様な構造を有しており、略コ字形の基部32aと、この基部32aから外方へ折り曲げられ、押圧枠23の連結壁29に接続される一対の接続部32bとを備えており、全体としては弓型となるように形成されている。
【0028】
保持部材31における基部31aの略中央部には、調整ネジ33の軸部33bが挿通可能でかつ空回り可能な貫通孔31cが形成されている。この貫通孔31cの直径は、調整ネジ33の頭部33aの径よりも小さくなるように形成されている。また、係合部材32における基部32aの略中央部には、調整ネジ33の軸部33bが螺合されるネジ孔32cが形成されている。調整ネジ33は、図3に示すように、その頭部33aが、ベース枠22における連結片26と保持部材31における基部31aとの間に形成される空間内に設置されるようにして配置される。この調整ネジ33の頭部33aが配置される位置に対応するベース枠22の連結片26の所定個所には、調整ネジ33を操作するための貫通孔26a(調整ネジ操作窓26a)が形成されている。このような構成を備えることにより、調整ネジ33を回転(右回転或いは左回転)させることによって、押圧枠23をベース枠22に対して進退自在に移動させることができる。
【0029】
また、サッシ体1は、図4に示すように、ロール式スクリーン装置4を備えている。ロール式スクリーン装置4は、枠本体2の内側全面に張られるスクリーン体41と、スクリーン体41を巻取って収納する収納部42と、スクリーン体41の先端部を保持しスクリーン体41を収納部42から引き出し入れしてスクリーン体41の開閉を行う可動框43とを備えている。ロール式スクリーン装置4は、ベース枠22及び押圧枠23を備える枠部材21(右縦枠21c)に対して対向配置される他の枠部材21(左縦枠21a)に取り付けられている。なお、ロール式スクリーン装置4自体を左縦枠21aとしてサッシ体1を構成してもよい。
【0030】
ここで、スクリーン体41としては、種々のものを採用することができる。例えば、ロール式スクリーン装置4を蚊や蠅等の虫が屋内に侵入することを防止する網戸として用いる場合には、網体をスクリーン体41として使用することができ、直射日光が屋内にあたることを防止するカーテンとして用いる場合には、例えば遮光性の布体をスクリーン体41として使用することができる。或いは、障子や襖に使用されるようなシート状の紙体をスクリーン体41として使用してもよい。また、ロール式スクリーン装置4が有する収納部42の内部には、スクリーン体41を巻取る巻取軸が回転自在に設けられると共に、スクリーン体41を巻取る方向に巻取軸を付勢するバネ等の付勢手段が設けられている。また、ロール式スクリーン装置4が設置される枠部材21(左縦枠21a)に連結する二つの枠部材21(上横枠21b及び下横枠21d)の対向面には、可動框43の両端部を摺動自在に案内する案内溝(図示せず)が形成されている。この案内溝に沿って可動框43を収納部42側から引き出すことによりスムーズにサッシ体1の枠本体2内側をスクリーン体41で覆うことができる。なお、可動框43及びベース枠22には、互いに係着する係着部材が設置されており、かかる係着部材によって可動框43をベース枠22に固定することができ、サッシ体1の枠本体の内側全面にスクリーン体41を張られた状態に維持することができる。
【0031】
以上の構成を備えたサッシ体1を既設枠体102に取り付ける方法について以下に説明する。まず、調整ネジ33を回転させて、ベース枠22と押圧枠23とが最も近接する状態となるようにした後(図5に示す状態)、既設枠体102の内側の所定位置にサッシ体1を仮置きする。このとき、ベース枠22及び押圧枠23を有する枠部材21に対向配置される枠部材21を既設枠体102の内周面に当接させるようにし、ベース枠22及び押圧枠23を有する枠部材21とこの枠部材21に対向配置される既設枠体102の内周面との間に隙間が形成されるようにサッシ体1を仮置きすることが好ましい。
【0032】
その後、ベース枠22に形成される調整ネジ33操作窓を介して、枠本体2の内側から工具ドライバーZの先端を調整ネジ33の頭部33aに係合させて、当該工具ドライバーZを回動操作して調整ネジ33を回転させる。調整ネジ33として通常のネジを採用する場合には、調整ネジ33を左回転させることにより、押圧枠23は、ベース枠22から離れる方向(既設枠体102の内周面に向かう方向)に向けて移動することとなる。この調整ネジ33の回転を進めることにより、押圧枠23は、既設枠体102の内周面に当接することとなるが、更に調整ネジ33の回転を進めることにより、押圧枠23は、既設枠体102の内周面を押圧することとなり、サッシ体1は、既設枠体102の内側に固定される(図6に示す状態)。ここで、必要以上に調整ネジ33を回転させた場合、多大な負荷が押圧枠23及びベース枠22に発生し、ベース枠22や押圧枠23が変形してしまうことが懸念されるが、調整ネジ33は、弓型の保持部材31や係合部材32に連結しているため、これら保持部材31や係合部材32が撓むことにより過度の負荷を吸収することとなるため、ベース枠22や押圧枠23の変形を防止することが可能となる。
【0033】
また、サッシ体1を既設枠体102から取り外す場合には、調整ネジ33を右回転させることにより、押圧枠23をベース枠22側に移動させる。これにより、既設枠体102の内周面に対する押圧枠23の押圧状態が解除されることとなり、サッシ体1を既設枠体102から容易に取り外すことが可能となる。
【0034】
本実施形態に係るサッシ体1は、枠本体2を構成する枠部材21が、既設枠体102の内周面に向けて移動可能な押圧枠23を備えるように構成し、当該押圧枠23を、既設枠体102の内周面に当接させて押圧固定することにより、サッシ体1を既設枠体102に設置できるように構成されているため、従来のサッシ体1のように、建物開口部と既設枠体102とを接続固定している複数のビス等の係着部材を全て一端取り外した後、サッシ体1を既設枠体102の内側に嵌め込み、再度、取り外した係着部材を用いて、サッシ体1、既設枠体102及び建物開口部を接続固定するという作業を必要とせず、極めて簡便にサッシ体1を既設枠体102に設置することができる。また、押圧枠23をベース枠22側に移動させることにより、押圧枠23と既設枠体102の内周面との間の押圧固定を解除できるため、サッシ体1を極めて簡便に取り外すことができ、サッシ体1のメンテナンスの作業性や清掃性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係るサッシ体1は、ベース枠22に空回り可能に取り付けられると共に、先端部が押圧枠23とネジ結合する調整ネジ33を備えており、調整ネジ33を回転させることにより、押圧枠23を既設枠体102の内周面に向けて移動させて該内周面に押圧固定できるように構成されているため、調整ネジ33を回転させるという簡便な方法により、押圧枠23を既設枠体102の内周面に向けて移動(或いは、ベース部材側に向けて移動)させることができ、サッシ体1の既設枠体102への取り付け作業や、メンテナンス作業、清掃作業の作業効率を向上させることができる。
【0036】
また、ベース枠22は、互いに対向する一対の対向片25およびこれら対向片25を連結する連結片26を有する断面略コ字状に形成されており、押圧枠23は、既設枠体102の内周面に当接された状態で、一対の対向片25及び連結片26により囲まれるポケット部27内に位置し、一対の対向片25のいずれか一方に当接する側壁28を備えるように構成しているため、既設枠体102の内周面を押圧固定することが可能な枠部材21をコンパクトに形成することができると共に、サッシ体1を既設枠体102に固定した場合に、押圧枠23の側壁28とベース枠22との間に隙間が形成されないため、サッシ体1の気密性が確保され、屋外の雨や空気、無視、埃等が室内に侵入することを効果的に防止することができる。
【0037】
特に、本実施形態においては、押圧枠23は、互いに対向する一対の側壁28およびこれら側壁28を連結する連結壁29を有する断面略コ字状に形成されており、押圧枠23の連結壁29と、ベース枠22の連結片26とが互いに対向するようにして、押圧枠23が、ベース枠22のポケット部27に配置される構造を有しているため、既設枠体102の内周面を押圧固定することが可能な枠部材21の軽量化・コンパクト化を図ることも可能となる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態に係るサッシ体1について説明したが、サッシ体1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、図2の断面図に示すように、互いに対向する一対の側壁28およびこれら側壁28を連結する連結壁29を有する断面略コ字状に形成されているが、このような構成に特に限定されず、図7に示すように、断面視矩形状となるように構成してもよい。
【0039】
また、調整ネジ33の具体的構成として、頭部33aが、工具ドライバーの先端部と係合するようなネジについて説明したが、特にこのような構成に限定されず、例えば、六角レンチと係合する頭部33aを有するネジにより調整ネジ33を構成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、右縦枠21cのみがベース枠22と押圧枠23とを備えるようにサッシ体1を構成しているが、例えば、右縦枠21cの他に上横枠21bもベース枠22と押圧枠23とを備えるように構成し、右縦枠21c及び上横枠21bの双方をそれぞれ既設枠体102の内周面に向けて移動させて、該内周面に押圧固定できるように構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、押圧枠23が、その連結壁29に設置される係合部材32を備えるように構成し、この係合部材32におけるネジ孔と調整ネジ33の軸部33bとが螺号するように構成しているが、調整ネジ33の回転により押圧枠23がベース枠22に対して進退可能に構成される限りにおいては、このような構成に特に限定されない。例えば、図8に示すように、断面視略矩形状の中空部材により押圧枠23を構成すると共に、調整ネジ33と螺号するネジ孔をこの押圧枠23の所定個所に形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 サッシ体
2 枠本体
21 枠部材
21a 左縦枠
21b 上横枠
21c 右縦枠
21d 下横枠
22 ベース枠
23 押圧枠
25 対向片
26 連結片
26a 調整ネジ操作窓(貫通孔)
27 ポケット部
28 側壁
29 連結壁
31 保持部材
31a 基部
31b 接続部
31c 貫通孔
32 係合部材
32a 基部
32b 接続部
32c ボルト孔
33 調整ネジ
33a 頭部
33b 軸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に沿って具備された既設枠体の内側に配置されるサッシ体であって、
各辺を構成する4つの枠部材を組み合わせて形成される矩形状の枠本体を備えており、
前記4つの枠部材のうち、少なくとも一つの枠部材は、他の二つの枠部材と連結するベース枠と、該ベース枠と略同一の長さを有し、前記既設枠体の内周面に向けて移動可能であり、前記既設枠体の内周面に対向する面が、該内周面に当接して押圧固定される押圧枠とを備えるサッシ体。
【請求項2】
前記ベース枠に空回り可能に取り付けられると共に、先端部が前記押圧枠とネジ結合する調整ネジを備えており、前記調整ネジを回転させることにより、前記押圧枠を前記既設枠体の内周面に向けて移動させて該内周面に押圧固定される請求項1に記載のサッシ体。
【請求項3】
前記ベース枠は、互いに対向する一対の対向片およびこれら対向片を連結する連結片を有する断面略コ字状に形成されており、
前記押圧枠は、前記既設枠体の内周面に当接された状態で、前記一対の対向片及び前記連結片により囲まれるポケット部内に位置し、前記一対の対向片のいずれか一方に当接する側壁を備える請求項1又は2に記載のサッシ体。
【請求項4】
前記押圧枠は、互いに対向する一対の側壁およびこれら側壁を連結する連結壁を有する断面略コ字状に形成されており、
前記押圧枠の連結壁と、前記ベース枠の連結片とが互いに対向するようにして、前記押圧枠が、前記ベース枠の前記ポケット部に配置されている請求項3に記載のサッシ体。
【請求項5】
前記ベース枠及び前記押圧枠を備える枠部材に対して対向配置される他の枠部材は、前記枠本体内全面に張られるスクリーン体と、スクリーン体を巻取って収納する収納部と、スクリーン体の先端部を保持しスクリーン体を収納部から引き出し入れしてスクリーン体の開閉を行う可動框とを有するロール式スクリーン装置を備えている請求項1から4のいずれかに記載のサッシ体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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