説明

サッシ

【課題】パネル体を嵌め殺し状とした場合において、パネル体の固定強度を確保しつつブリッジ材を露出させずに意匠性を向上させ、また断熱性も向上させることのできるサッシを提供する。
【解決手段】室外枠部材20は、内周面の室外端部に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室外保持部16と、内周面の室内外中間位置に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室内保持部17とを有し、室内保持部17と室外保持部16によりパネル体2の周縁部が保持され、室内枠部材21は室内保持部17と対向する室内面部24を備え、室内面部24と室内保持部17及びブリッジ材22による連結部分を含む枠体1の内周面とで凹部14を形成し、凹部14には室内面部24から室内保持部17に渡るように樹脂ブロック材13が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設置されるサッシに関し、特に金属製の室外枠部材と室内枠部材とを樹脂製のブリッジ材で連結してなるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設けられるサッシの断熱性を高めるため、金属製の室外枠部材と室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結することが知られている。金属製の部材を樹脂製のブリッジ材で室内外に連結することにより、室外側に露出する室外枠部材と室内側に露出する室内枠部材とを熱的に絶縁することができ、断熱性を高くすることができる。このようなブリッジ構造により断熱性を高くしたサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−293300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブリッジ構造を有するサッシにおいて、ブリッジ材を枠体の室内外どの位置に配置するかは、枠体の強度や断熱性に影響する。枠体内にパネル体を納めてなる嵌め殺しサッシにおいては、枠体の内周面にパネル体の周縁部を挟持する室内外の保持部が形成されるので、室内外の保持部を一方の枠部材に形成した方が、枠体の強度を大きくすることができる。断熱性確保のためには、ブリッジ材はパネル体よりも室内側に配置される必要があるので、保持部は室外枠部材に形成されることとなる。
【0005】
この場合、ブリッジ材が室内側寄りに配置されるので、ブリッジ材が室内側に露出し、サッシの意匠性を損ねるという問題があった。また、室外側に露出する室外枠部材が、室外側寄りまで配設されるので、枠体の断熱性も低下しやすいという問題があった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、パネル体を嵌め殺し状とした場合において、パネル体の固定強度を確保しつつブリッジ材を露出させずに意匠性を向上させ、また断熱性も向上させることのできるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、上枠と下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みしてなる枠体内にパネル体を納め、前記枠体は、前記パネル体を納める金属製の室外枠部材と、前記枠体の室内側面を構成する金属製の室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結してなるサッシにおいて、
前記室外枠部材は、内周面の室外端部に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室外保持部と、内周面の室内外中間位置に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室内保持部とを有し、該室内保持部と室外保持部により前記パネル体の周縁部が保持され、
前記室内枠部材は前記室内保持部と対向する室内面部を備え、該室内面部と室内保持部及び前記ブリッジ材による連結部分を含む枠体の内周面とで凹部を形成し、該凹部には前記室内面部から室内保持部に渡るように樹脂ブロック材が設けられることを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシは、前記室内面部と室内保持部は、見付方向内側端部位置が略同じとされ、前記樹脂ブロック材は前記室内面部と室内保持部の見付方向内側端部を繋ぐ平面状の内周部を有してなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシは、前記樹脂ブロック材の内周部は前記枠体の室内側に配置される額縁材の内周面と略面一状となることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記室内面部には見付方向内側端部から室内側に伸びるアングル部が設けられ、該アングル部と前記樹脂ブロック材の内周部及び前記額縁材の内周面が略面一状とされることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサッシによれば、室内枠部材の室内面部と室内保持部及びブリッジ材による連結部分を含む枠体の内周面とで凹部を形成し、凹部には室内面部から室内保持部に渡るように樹脂ブロック材が設けられることにより、パネル体を室外枠部材のみで保持して、固定強度を十分に確保しつつ、ブリッジ材を室内側に露出させずに意匠性を向上させ、また室外枠部材と室内枠部材間の室内側に露出する部分を樹脂材で繋ぐので、断熱性も向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係るサッシによれば、室内面部と室内保持部は、見付方向内側端部位置が略同じとされ、樹脂ブロック材は前記室内面部と室内保持部の見付方向内側端部を繋ぐ平面状の内周部を有してなることにより、パネル体の室内面側から室内面部までの内周面を面一状に構成でき、意匠性の更なる向上を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明に係るサッシによれば、樹脂ブロック材の内周部は枠体の室内側に配置される額縁材の内周面と略面一状となることにより、パネル体の室内面側から額縁材に渡って内周面を略面一状とでき、意匠性の更なる向上を図ることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、室内面部には見付方向内側端部から室内側に伸びるアングル部が設けられ、アングル部と樹脂ブロック材の内周部及び額縁材の内周面が略面一状とされることにより、パネル体の室内面側からアングル部及び額縁材に渡って、内周面を略面一状とでき、意匠性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態におけるサッシの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2には本実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態のサッシは、方形状に枠組みしてなる枠体1内にガラス体からなるパネル体2を納めてなる嵌め殺しサッシである。
【0017】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12からなり、これらの部材で上下左右の辺を構成している。また、枠体1を構成する上枠10と下枠11及び縦枠12は、それぞれいずれも金属製の室内枠部材21と室外枠部材20とを、樹脂製のブリッジ材22で連結して構成されている。これにより、室外側に露出する室外枠部材20と室内側に露出する室内枠部材21との間を断熱し、サッシの断熱性能を高くすることができる。
【0018】
枠体1は、パネル体2と対向する内周面に、室外保持部16と室内保持部17を備え、これらによってパネル体2の周縁部を四周に渡って室内外から挟持し、保持する。室外保持部16と室内保持部17は、枠体1を構成する室外枠部材20に形成されており、室外枠部材20はパネル体2が保持される位置より室内側で、室内枠部材21とブリッジ材22を介して連結される。
【0019】
室内枠部材21は、枠体1において室内面部24となる面を有している。室内面部24は、見付方向内側端部位置が、室外枠部材20の室外保持部16や室内保持部17の見付方向内周端部位置と略同じ位置となるように形成されている。
【0020】
室内枠部材21の室内面部24には、見付方向内側端部から室内側に向かって伸びるアングル部25が固定される。アングル部25は、枠体1の室内側に四周に渡って設けられる額縁材3の表面に当接しネジ止め固定される。アングル部25の室内側に延出される面及び額縁材3の内周面は、室内面部24や室外保持部16及び室内保持部17の見付方向内側端部と略同位置に配置されることとなり、サッシのパネル体5を通した内周面が面一状となって、意匠性を良好にすることができる。
【0021】
室内枠部材21と室外枠部材20を連結するブリッジ材22は、枠体1の四周各辺の長手方向に沿ってそれぞれ見付方向内外に2本ずつが離隔して配設されており、それぞれの室内端部が室内枠部材21に、室外端部が室外枠部材20に、嵌入されて、両者を連結した状態としている。
【0022】
室内枠部材21と室外枠部材20をブリッジ材22で連結した枠体1は、パネル体2よりも室内側に、室内保持部17と室内面部24及びブリッジ材22による連結部分を含む枠体1の内周面とで、四周に渡って凹部14が形成される。この凹部14には、樹脂ブロック材13が取付けられる。
【0023】
樹脂ブロック材13は、樹脂製の断面中空状の部材からなり、枠体1の各辺において長手方向略全長に渡って設けられる。樹脂ブロック材13のうち、室内側に露出する内周部13aは、平面状となるように形成されており、この内周部13aにより枠体の室内保持部17と室内面部24の見付方向内側端部間を渡している。これにより、枠体1の内周面は、額縁材3からパネル体2の室内面までが、略面一状となって、意匠性を良好にすることができる。
【0024】
樹脂ブロック材13は、室内外の側面にそれぞれ係合部13bを有し、一方で凹部14を構成する室外枠部材20の室内保持部17と室内枠部材21の室内面部24には、それぞれ突片15が形成されており、両者が係合することにより、樹脂ブロック材13が枠体1に対して固定される。
【0025】
ブリッジ材22は、前述のように枠体1の凹部14内の位置に配置されるので、樹脂ブロック材13を凹部14に取付けることにより、室内側に露出しないようにすることができる。これにより、サッシの内観意匠性の更なる向上を図ることができる。
【0026】
また、室内枠部材21はブリッジ材22を介して室外枠部材20に連結されていることにより、室外側に露出する室外枠部材20から断熱されているが、パネル体2を強固に固定するため、室外枠部材20は室内保持部17と室外保持部16の両方を一体的に有すると共に、パネル体2の室内側まで伸びている。室外枠部材20が室内側に直接露出すると、サッシの断熱性低下を招くこととなるが、樹脂ブロック材13は、室外枠部材20の室内露出面も被覆し、室外枠部材20と室内枠部材21の間を樹脂材で渡すように取付けられるので、サッシの断熱性低下を防ぐことができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 枠体
2 パネル体
3 額縁材
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 樹脂ブロック材
13a 内周部
14 凹部
15 突片
16 室外保持部
17 室内保持部
20 室外枠部材
21 室内枠部材
22 ブリッジ材
23 固定面部
24 室内面部
25 アングル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みしてなる枠体内にパネル体を納め、前記枠体は、前記パネル体を納める金属製の室外枠部材と、前記枠体の室内側面を構成する金属製の室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結してなるサッシにおいて、
前記室外枠部材は、内周面の室外端部に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室外保持部と、内周面の室内外中間位置に見付方向内側に向かって伸びるように形成される室内保持部とを有し、該室内保持部と室外保持部により前記パネル体の周縁部が保持され、
前記室内枠部材は前記室内保持部と対向する室内面部を備え、該室内面部と室内保持部及び前記ブリッジ材による連結部分を含む枠体の内周面とで凹部を形成し、該凹部には前記室内面部から室内保持部に渡るように樹脂ブロック材が設けられることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記室内面部と室内保持部は、見付方向内側端部位置が略同じとされ、前記樹脂ブロック材は前記室内面部と室内保持部の見付方向内側端部を繋ぐ平面状の内周部を有してなることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記樹脂ブロック材の内周部は前記枠体の室内側に配置される額縁材の内周面と略面一状となることを特徴とする請求項2記載のサッシ。
【請求項4】
前記室内面部には見付方向内側端部から室内側に伸びるアングル部が設けられ、該アングル部と前記樹脂ブロック材の内周部及び前記額縁材の内周面が略面一状とされることを特徴とする請求項3記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−87454(P2012−87454A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232134(P2010−232134)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】