説明

サブマージアーク溶接用溶融型フラックス

【課題】本発明ではフラックスの組成と溶融スラグ粘度を適正化し、溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性を両立可能なサブマージアーク溶接用溶融型フラックスを提供する。
【解決手段】重量%で、SiO:5〜20%、MnO:1〜5%、CaO:5〜40%、CaF:40%以下、MgO:1〜10%、AlO:30〜45%、TiO:1〜4.5%、BaO:1〜10%を含有し、残部は不純物からなる化学組成を有することで、スラグ流動性を確保しつつフラックス組成を低酸素ポテンシャル成分系とし、さらに1500℃の溶融スラグ粘度を0.1Poise以上1.00Poise未満とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブマージアーク溶接時に使用される溶融型フラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
サブマージアーク溶接用フラックスは、溶接に際して溶融スラグを形成することにより溶融金属を大気から遮断し溶接金属の窒化、酸化を防ぐとともに、スラグ/メタル反応を介して溶融金属と冶金反応を行い短時間で清浄な溶接金属を作り、良好なビードを形成する等の重要な働きを持っている。
【0003】
溶接金属に求められる特性として強度と靭性が挙げられるが、一般に強度と靱性とは相反する特性であるため、強度が増加するほど靱性の確保が困難になる。この課題に対応するためには溶接金属酸素量の低減が有効であることが知られており、種々の成分を有する溶融型フラックスが、例えば特許文献1〜11等に開示されている。いずれの文献においても、フラックス中の塩基性成分および酸性成分の調整による酸素量の低減(あるいは溶接金属靱性の改善)、および配合比の調整による溶接性確保の観点から提案がなされている。
【0004】
溶接金属酸素量を低減するには、SiO量を少なくすると共にフラックス中の塩基性成分量を高くする方法が一般に知られている。例えば、特許文献5には低SiO−高CaF系フラックスとすることにより、溶接金属酸素量を低減する技術が開示されている。
【0005】
一方、溶接欠陥のない良好な溶接を行うためには、一般に、溶融池の形状を一定に保ちながら溶接を行う必要がある。サブマージアーク溶接の場合、溶融池は溶融スラグに常に覆われた状態であるため、溶融池形状の安定化には溶融スラグの高温物性、特に溶融スラグ粘度が重要な因子となる。サブマージアーク溶接のような大電流溶接ではアーク圧力により溶融池形状が乱されるため、この乱れを抑止するには溶融池を覆う溶融スラグの粘度が高い方が良い。この点に関し、特許文献12にはスラグ粘度に着目した高速溶接性に優れたフラックスが開示されている。
【特許文献1】特開平6−31481号公報
【特許文献2】特開平6−285679号公報
【特許文献3】特開平7−256488号公報
【特許文献4】特開平7−303990号公報
【特許文献5】特開平8−187593号公報
【特許文献6】特開平9−85488号公報
【特許文献7】特開平9−262692号公報
【特許文献8】特開平11−277294号公報
【特許文献9】特開2004−154840号公報
【特許文献10】特開2005−125345号公報
【特許文献11】特開2005−329462号公報
【特許文献12】特開平11−19795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献12では溶接金属酸素量についてはなんら検討されていない。これは、次の理由による。 前述したように、溶接金属酸素量を低減するには塩基性成分量を高くすることが必要となるが、高塩基性スラグは粘度が低いため、溶融池の乱れが大きくなりアンダーカットやスラグ巻き込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。つまり、溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性とは相反の関係にある。このため、特許文献12では、双方のバランスを図るのではなく、相反する因子のうちの一方のみの改善に特化したものと考えられる。
【0007】
このように、従来のフラックス塩基度に基づく成分調整では、溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性とのバランスを取ることは容易でない。低酸素化と耐溶接欠陥性向上とを両立するためには、フラックス成分および溶融スラグ粘度を厳密に制御することが求められ、例えば、特許文献5では、複数の成分の相互関係を厳密に規定している。こうした対応が生産性の低下につながることはいうまでもない。
【0008】
そこで、本発明では、従来のフラックス塩基度に基づく成分調整とは異なる視点での検討を行い、溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性を両立可能なサブマージアーク溶接用溶融型フラックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、まず、サブマージアーク溶接金属の酸素量を低減するべく、フラックス組成の溶接金属酸素量への影響に関する考察を行った。具体的には、フラックスが同一成分の溶融スラグを形成すると仮定して、溶融スラグと溶融金属との間の酸素の分配平衡を熱力学的に推定し、その影響を考察した。一般的な溶接反応は急速昇温、急速冷却の非平衡反応であるが、サブマージアーク溶接においては高温かつアーク圧力による強攪拌状態にある。そこで、溶融スラグ/メタル間に平衡が成り立つと仮定して熱力学平衡計算によりメタル中溶存酸素量を計算し、溶接金属の酸素量実測値と比較した。その結果、メタル中溶存酸素量計算値と溶接金属酸素量の実測値とが相関していることを見出し、溶接金属の酸素量を低減するためにはフラックス組成を低酸素ポテンシャル成分系にする、つまりスラグメタル熱力学平衡計算により得られるメタル中溶存酸素量が低くなる成分系にすることが重要であることを見出した。
【0010】
また、耐溶接欠陥性を向上するべく溶融スラグ粘度についても考察した。前述したように、耐溶接欠陥性向上には高スラグ粘度化することが有効であるが、種々の実験、研究を行った結果、低酸素ポテンシャル成分系フラックスにおいても、溶融スラグ粘度が高すぎると酸素量を低減できないことを見出し、酸素量低減可能な溶融スラグ粘度上限値(1500℃)は1.00Poise未満であることを見出した。また、耐溶接欠陥性確保に必要な溶融スラグ粘度下限値は0.1Poise以上であることも合わせて見出した。低酸素ポテンシャル成分系フラックスの高スラグ粘度化により低酸素化が困難となる原因は明らかではないが、スラグ粘度が高すぎると溶接中の溶融スラグ・溶融金属間の攪拌力が弱くなり、溶融スラグ・溶融金属間の酸素分配時における物質移動速度が遅くなるためであると推定される。
【0011】
以上の知見に基づき、フラックス組成を低酸素ポテンシャル成分系とし、そのうえ1500℃スラグ粘度を0.1Poise以上1.00Poise未満とすることで溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性向上との両立が可能となる。
【0012】
具体的には、耐溶接欠陥性向上に必要であるが溶接金属酸素量を増加させるSiO(高粘度・高酸素ポテンシャル成分)を低くし、代わりに酸素量増加効果の小さくスラグ粘度向上効果を持つAl(高粘度・低酸素ポテンシャル成分)を多量添加する。Al多量添加によるフラックス融点上昇を適正な量のCaF添加により抑制してスラグ流動性を確保しつつ、好ましくはさらにCaO−CaF成分バランスを適正に調整することで低酸素ポテンシャル成分系とし、1500℃スラグ粘度も0.1Poise以上1.00Poise未満とすることで上記課題を解決し、溶接金属酸素量を300ppm未満、好適な態様では250ppm以下、特に好適な態様では200ppm以下にしつつ、ビード外観の劣化、アンダーカット、ポッツマークの発生などに由来する溶接欠陥の発生を抑制することが実現される。
【0013】
こうして得られた本発明は、次のとおりである。
(1)質量%で、SiO:5〜20%、MnO:1〜5%、CaO:5〜40%、CaF:40%以下、MgO:1〜10%、Al:30〜45%、TiO:1〜4.5%、BaO:1〜10%を含有し、残部は不純物からなる化学組成を有し、1500℃の溶融スラグ粘度が0.1Poise以上1.00Poise未満であることを特徴とするサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、溶接金属酸素量低減と耐溶接欠陥性向上という、これまで相反していた問題が同時に解決され、溶接欠陥を防止しつつ溶接金属酸素量を低減することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの実施の形態について説明する。なお、本明細書において特段のことわりのない「%」は「質量%」を意味する。
【0016】
1.化学組成
以下に、本実施の形態に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの化学組成について説明する。
【0017】
(1)SiO:5〜20%
SiOはスラグを構成する重要な成分である。SiOはスラグをガラス化させ、ビード外観を改善する。またSiOの配合量が少ないとアンダーカットやスラグ巻き込み等の溶接欠陥を生じやすくなる。このため5%以上のSiO配合が必要である。一方でSiOは溶融スラグの酸素ポテンシャルを高くする成分でありSiO量の増加は溶接金属酸素量を増加させるため、上限を20%とする。溶接欠陥の抑制と溶接金属酸素量の低減とを安定して両立させる観点からは、SiOの配合量を7〜15%とすることが好ましい。
【0018】
(2)MnO:1〜5%
MnOはスラグの流動性を向上させビード外観を滑らかにする効果を有する。また、溶接金属へのMnの歩留まりを改善する効果も期待される。これらの効果を得るには1%以上の配合が必要である。一方でMnOの多量の配合は溶融スラグの酸素ポテンシャルを高くして溶接金属酸素量を増加させ、ビード外観を損なうため上限を5%とする。特に溶接金属へのMn歩留まり改善と良好なビード外観とを安定して両立させる観点からは、MnOの配合量を3.5〜4.5%とすることが好ましい。
【0019】
(3)CaO:5〜40%
CaOは溶融スラグの酸素ポテンシャルを低くする成分であり、溶接金属酸素量を低減する効果を有する。この効果を得るには5%以上の配合が必要である。酸素量低減には添加量が多いほど好ましいが、多量の添加はスラグ剥離性劣化、フラックスの耐吸湿性劣化によるポックマークの形成などが生じ溶接性を損なう。よってその上限を40%とする。溶接金属酸素量の低減と良好な溶接性とを安定して両立させる観点からは、CaOの配合量を3〜30%とすることが好ましい。
【0020】
(4)CaF:40%以下
CaFはスラグ流動性向上、溶接金属酸素量を低減する効果を有する。しかし、多量に配合するとスラグ粘度の低下による耐溶接欠陥性劣化を生じるため、その配合範囲を40%以下とする。好ましい配合範囲は20〜35%である。なお、CaOに対する比率(CaF/CaO)を1.0〜5.0の範囲にすれば、フラックス融点上昇によるスラグ流動性劣化防止の観点から特に好ましい。
【0021】
(5)MgO:1〜10%
MgOは溶融スラグの酸素ポテンシャルを低くする成分であり溶接金属酸素量を低減する効果を有する。この効果を得るためには1%以上の配合が必要である。一方で10%を超えて配合するとフラックスの融点が上がり、スラグの流動性が悪くなり溶接性を損なうため、その上限を10%とする。好ましい配合範囲は1〜5%である。
【0022】
(6)Al:30〜45%
AlはSiOと比べて溶融スラグの酸素ポテンシャルを高くしない成分であるため、溶接金属酸素量をあまり増加させることなく粘度を向上させる効果を有する。30%未満の添加ではスラグ粘度低下により耐溶接欠陥性を損なう。一方で、多量の添加は溶接金属酸素量を増加させるため、上限を45%とする。溶接金属酸素量の低減と溶接欠陥の抑制とを安定して両立させる観点からは、Alの配合量を30〜40%とすることが好ましい。
【0023】
(7)TiO:1〜4.5%
TiOは少量の添加でスラグ剥離性を改善するとともに溶接金属へのTiの歩留まりを改善する。この効果を得るためには1%以上の添加が必要である。一方で多量の添加は溶融スラグの酸素ポテンシャルを高くして溶接金属酸素量を増加させるため、上限を4.5%とする。好ましい配合範囲は2〜4%である。
【0024】
(8)BaO:1〜10%
BaOはフラックスの融点を調整するとともに、溶融スラグの酸素ポテンシャルを低くして溶接金属酸素量を低減する効果を有する。この効果を得るために1%以上の添加を行う。一方で過剰の添加はビード形状を悪化させるため、その上限を10%とする。好ましい配合範囲は1〜5%である。
【0025】
上記の必須成分の他に、溶融型フラックス作製時に不可避的に不純物としてFeO、B等が混入している。これらの成分の混入については、FeOで2.0%以下、Bで1.0%以下であれば、溶接金属酸素量および耐溶接欠陥性に影響しない。
【0026】
2.1500℃におけるスラグ粘度
本実施の形態に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスは、1500℃におけるスラグ粘度が、0.1Poise〜1.00Poiseの範囲にある。
【0027】
スラグ粘度は溶接金属酸素量および耐溶接欠陥性の双方に影響する物性である。スラグ粘度が低すぎると溶接中アーク圧力により溶融池が乱れ、溶接欠陥を生じる。一方でスラグ粘度が高すぎると、スラグ流動性が低下して溶融スラグ・溶融金属間の攪拌力が弱くなる。このため、スラグメタル間の酸素分配平衡における酸素の物質移動速度が低下し溶接金属酸素量は増加する。よって粘度範囲を0.1Poise〜1.00Poiseとする。溶接金属酸素量の低減と良好な溶接性とを安定して両立させる観点からは、好ましい粘度範囲は0.3Poise〜0.8Poiseであり、0.45Poise〜0.65Poiseとすればさらに好ましい。このように、粘度範囲はスラグメタル間の酸素の移動速度を維持する観点で設定されているため、従来のようにフラックス、例えば特許文献5に開示されるフラックスのように溶接欠陥防止の観点で設定される粘度範囲に比べると低めである。
【0028】
なお、この粘度の制御はフラックス成分の調整によって行えばよく、このために調整される成分は特に制限されない。ただし、上記のように本発明に係るフラックスは高温粘度が比較的低く、その一方で粘度を高めるAlを比較的多く含有するため、粘度を低下させる成分の含有量を上記範囲内にて優先的に配合することが好ましい。
【実施例】
【0029】
原材料の配合比率を変えることにより、表1に示す化学成分を有するフラックスを試作した。
【0030】
【表1】

溶接における母材としては、表2の化学成分を示す市販材SM400Bを用いた。母材の板厚は16mmであり、ビードオンプレート溶接で溶接長0.6mの1層溶接を行った。溶接には表3の化学成分を示す直径4mmのソリッドワイヤを用いて、表4に示す条件で単電極サブマージアーク溶接(使用装置:大阪電気製 形式(型式):G1-B3-CG)を実施した。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
1500℃スラグ粘度、溶接金属酸素量分析結果、耐溶接欠陥性の結果を表5に示す。また、フラックスと同一組成の溶融スラグを仮定し、スラグメタル熱力学平衡計算により得られたメタル中溶存酸素量計算値も表5に示す。なお、スラグメタル熱力学平衡の計算は汎用の熱力学計算ソフト(例えばFactStage)を用いて行った。
【0035】
ここで、溶接金属酸素量は、作製した溶接ビードを分析することにより求め、300ppm以上の酸素濃度が測定された場合には不適と判断した。また、耐溶接欠陥性については、作製した溶接ビードの健全性を目視検査で確認し、アンダーカットの有無やビード外観状態などを総合的に判断して○(良好)または×(不芳)で示した。
【0036】
スラグ粘度は振動片式粘度計を用いてスラグ温度1500℃で測定した。測定装置の概略図を図1に示す。装置は、振動発生器、振動片、レーザー変位計、電気炉および制御用パソコンで構成されている。測定は大気圧雰囲気で行い、振動片とるつぼの材質は白金である。振動発生器は工業用の加振器を用い、正弦発生器と増幅器によって電気的に駆動させる。振動片を加熱により液体状態となった試料内に浸け、振動発生器下方の板バネを中心に振動片を懸垂させ振動片を正弦波振動させる。一定の駆動力で振動させた薄い平板状の振動片を液体中に浸漬させると、液体の粘性抵抗によって振幅が減衰する。振幅の変化は振動片支持棒に固定した鏡の動きをレーザー変位計によって測定する。本測定に用いた粘度計算式は下記式(1)を適用して算出している。
【0037】
【数1】

【0038】
K≡Rm2 / π・fa・A2
ここで、
ρ:試料密度(kg/m3)
μ:液体粘度(Pa・s)
Ea:空気中での振幅(m)
E:試料中の振幅(m
Rm:機械的インピーダンスの抵抗分(kg・m/s)
fa:空気中の共振周波数(Hz)
A:振動片の面積(m2)
【0039】
【表5】

【0040】
比較例1では、MnO、Al量が本発明範囲から逸脱しているため、ビード外観の劣化による溶接性の低下を生じた。また、フラックス組成は、メタル中溶存酸素量計算値が低く低酸素ポテンシャル成分系であるが、スラグ粘度が本発明範囲を超えているため、溶接金属酸素量を低減できなかった。
【0041】
比較例2では、Al量、スラグ粘度が本発明範囲の下限を満たさず、スラグ粘度不足によりアンダーカットが生じて溶接性が低下した。
【0042】
比較例3では、SiO量が本発明範囲の上限を超えているため、溶接金属酸素量低減できなかった。
【0043】
比較例4では、MnO量が本発明範囲を超えているため、溶接金属酸素量低減できなかった。
【0044】
比較例5では、溶接金属酸素量を低減できたものの、CaO量が本発明範囲を超えているため、ビード表面にポックマークが生じビードの健全性を損ない、溶接性の低下を生じた。
【0045】
比較例6では、TiO量が本発明範囲の上限を満たしていないためスラグ流動性が悪くなり、ポックマークが生じビードの健全性を損ない、溶接性の低下を生じた。
【0046】
比較例7では、MnO、TiO、BaO量が本発明範囲から逸脱しているため、ビード外観の劣化による溶接性低下を生じた。
【0047】
比較例8では、Al量が本発明範囲を超えているため、溶接金属酸素量を十分に低減できなかった。
【0048】
比較例9では、CaF量が本発明範囲の上限を超えているため、スラグ粘度が本発明範囲の下限を満たすことができなかった。このため、スラグ粘度不足によりアンダーカットが生じて溶接性が低下した。
【0049】
比較例10では、フラックス組成はメタル中溶存酸素量計算値が低く低酸素ポテンシャル成分系であり、フラックス組成も本発明範囲であるが、1500℃スラグ粘度が本発明範囲を超えているため、溶接金属酸素量を低減できなかった。
【0050】
上記比較例に対して、本発明例11から15に示したように本発明範囲に配合比、スラグ粘度を制御した溶融型フラックスでは溶接金属酸素量を低減すると同時に耐溶接欠陥性向上も実現した。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】スラグ粘度の測定に用いた振動片式粘度計の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、SiO:5〜20%、MnO:1〜5%、CaO:5〜40%、CaF:40%以下、MgO:1〜10%、Al:30〜45%、TiO:1〜4.5%、BaO:1〜10%を含有し、残部は不純物からなる化学組成を有し、1500℃の溶融スラグ粘度が0.1Poise以上1.00Poise未満であることを特徴とするサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。

【図1】
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【公開番号】特開2009−136898(P2009−136898A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316223(P2007−316223)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】