説明

サムネイル抽出プログラム及びサムネイル抽出方法

【課題】3次元映像に適したサムネイルを抽出できるサムネイル抽出プログラム及びサムネイル抽出方法を提供することを課題とする。
【解決手段】3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとしてフレーム画像ペアから抽出し、特徴点ペアの奥行き量を特徴点ペアの点間距離、レンズ間距離・焦点距離を基に算出して、奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、予め定められたクラスタリングの結果情報に基づくフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上のフレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、立体的な見え易さの評価結果に基づき、評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する処理をコンピュータに実行させるサムネイル抽出プログラムにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像からサムネイルを抽出するサムネイル抽出プログラム及びサムネイル抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やビデオカメラ等には映像が大量に蓄積されるようになった。このように映像が大量に蓄積された携帯電話やビデオカメラ等では必要な映像を検索したいという要望がある。
【0003】
従来、映像を検索する場合は、例えば映像に付加されたメタデータ等で検索する方法が利用されている。しかし、映像に付加されたメタデータ等で検索する方法では映像を絞り込むことができない場合も多かった。結局、映像を検索する場合は一つ一つ再生しながら確認する場合が多い。
【0004】
また、従来、映像を検索する場合は、映像から抽出したサムネイルを表示することで映像の内容を把握させる方法も利用されている。サムネイルとは利用者に映像の内容を把握させるための画像である。映像の検索にサムネイルを利用する場合は映像一つ当たりのサムネイルの数を増やすことができないため、より良いサムネイル抽出手法が必要とされていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
その他のサムネイル抽出手法としては、映像の先頭フレームや映像の先頭からあらかじめ決められた秒数後のフレームからサムネイルを抽出する方法や、CM検出手法と組み合わせて、CM以外の部分からサムネイルを抽出する方法、映像の切り替わりであるカットを検出して、そのカット画像をサムネイルとして抽出する方法、顔検出手法と組み合わせて顔のアップ画像をサムネイルとして抽出する手法などが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−294904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、携帯電話やビデオカメラ等には3次元(3D)映像を扱える製品が出現し始めている。したがって、将来的に、携帯電話やビデオカメラ等には3D映像が大量に蓄積されること考えられる。このように3D映像が大量に蓄積された携帯電話やビデオカメラ等では必要な3D映像を検索したいという要望が増加すると考えられる。
【0008】
しかし、上記したような2次元(2D)映像を検索する場合の問題は、3D映像を検索する場合にも発生すると考えられる。つまり、3D映像を検索する場合も、3D映像から抽出したサムネイルを表示することで映像の内容を把握させる方法が利用されると考えられる。
【0009】
しかし、従来の2D映像を対象としたサムネイル抽出手法は、3D映像に適したサムネイルを抽出できるものではないという問題があった。
【0010】
本実施形態は3次元映像に適したサムネイルを抽出できるサムネイル抽出プログラム及びサムネイル抽出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本実施形態は、3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出し、前記特徴点ペアの奥行き量を前記特徴点ペアの点間距離、所定のレンズ間距離・焦点距離を基に算出して、前記奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、予め定められたクラスタリングの結果情報に基づく前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上の前記フレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価結果に基づき、前記評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する処理をコンピュータに実行させるサムネイル抽出プログラムである。
【0012】
なお、本実施形態の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本実施形態によれば3次元映像に適したサムネイルを抽出できるサムネイル抽出プログラム及びサムネイル抽出方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PCの一例のハードウェア構成図である。
【図2】本実施例のサムネイル抽出装置の一例の機能ブロック図である。
【図3】本実施例のサムネイル抽出装置の一例のフローチャートである。
【図4】映像情報テーブルの一例の構成図である。
【図5】フレーム情報テーブルの一例の構成図である。
【図6】3D映像の一フレームを構成する2枚の画像の一例のイメージ図である。
【図7】局所特徴量テーブルの一例の構成図である。
【図8】抽出した特徴点を視覚的に表したフレーム画像の一例のイメージ図である。
【図9】対応点テーブルの一例の構成図である。
【図10】対応点テーブルの他の例の構成図である。
【図11】Z値ヒストグラムテーブルの一例の構成図である。
【図12】対応点ヒストグラムテーブルの一例の構成図である。
【図13】Z値クラスタテーブルの一例の構成図である。
【図14】対応点クラスタテーブルの一例の構成図である。
【図15】フレーム評価テーブルの一例の構成図である。
【図16】3Dカメラを上から見た場合の一例の模式図である。
【図17】視差によるZ値の算出方法の一例のイメージ図である。
【図18】ステップS3の処理の一例のフローチャートである。
【図19】計算した各ビンの値を表す一例のヒストグラムである。
【図20】各クラスタに含まれる対応点を視覚的に表したフレーム画像の一例のイメージ図である。
【図21】ステップS4の処理の一例のフローチャートである。
【図22】ステップS5の処理の一例のフローチャートである。
【図23】ステップS28の処理の一例のフローチャートである。
【図24】本実施例のサムネイル抽出装置の他の例の機能ブロック図である。
【図25】ステップS5の処理の他の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。本実施例のサムネイル抽出プログラムはパーソナルコンピュータ(PC)で実行される他、携帯電話やビデオカメラ等、3D映像を扱う様々な機器で実行される。本実施例ではPCでサムネイル抽出プログラムを実行する例を説明する。PCは例えば図1に示すハードウェアにより構成される。図1はPCの一例のハードウェア構成図である。
【0016】
図1のPC10は入力装置21、表示装置22、PC本体23を有している。PC本体23はバス37で相互に接続された主記憶装置31、演算処理装置32、インタフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35を有している。また、バス37には入力装置21及び表示装置22が接続されている。
【0017】
バス37で相互に接続されている入力装置21、表示装置22、主記憶装置31、演算処理装置32、インタフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35は演算処理装置32による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。演算処理装置32は、PC10全体の動作制御を司る中央処理装置である。
【0018】
インタフェース装置33はネットワーク等からのデータを受信し、データの内容を演算処理装置32に渡す。インタフェース装置33は演算処理装置32からの指示に応じてネットワーク等にデータを送信する。
【0019】
補助記憶装置35にはサムネイル抽出装置と同様の機能をPC10に発揮させるプログラムの一部として、少なくともサムネイル抽出装置における処理をPC10に実行させるサムネイル抽出プログラムが記憶されている。そして、演算処理装置32がサムネイル抽出プログラムを補助記憶装置35から読み出して実行することで、PC10はサムネイル抽出装置として機能するようになる。サムネイル抽出プログラムは演算処理装置32とアクセス可能な主記憶装置31に格納されていても良い。入力装置21は演算処理装置32の管理下でデータの入力を受付ける。サムネイル抽出プログラムはPC10が読み取り可能な記録媒体36に記録しておくことができる。
【0020】
記録媒体36には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。
【0021】
サムネイル抽出プログラムを流通させる場合は、サムネイル抽出プログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型の記録媒体36を販売することが考えられる。サムネイル抽出プログラムを実行するPC10は例えば記録媒体読取装置34がサムネイル抽出プログラムを記録した記録媒体36からサムネイル抽出プログラムを読み出す。演算処理装置32は、読み出されたサムネイル抽出プログラムを主記憶装置31若しくは補助記憶装置35に格納する。
【0022】
PC10は自己の記憶装置である主記憶装置31若しくは補助記憶装置35からサムネイル抽出プログラムを読み取り、サムネイル抽出プログラムに従った処理を実行する。演算処理装置32はサムネイル抽出プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【実施例1】
【0023】
以下では、少なくともPC10にサムネイル抽出プログラムがインストールされているサムネイル抽出装置40を例に説明していく。
【0024】
図2は本実施例のサムネイル抽出装置の一例の機能ブロック図である。図2のサムネイル抽出装置40は、フレーム画像取得部41、特徴点抽出部42、局所特徴抽出部43、特徴点ペア抽出部44、奥行きクラスタリング部45、サムネイル評価部46、サムネイル抽出部47、映像情報テーブル51、フレーム情報テーブル52、局所特徴量テーブル53、対応点テーブル54、Z値ヒストグラムテーブル55、対応点ヒストグラムテーブル56、Z値クラスタテーブル57、対応点クラスタテーブル58、フレーム評価テーブル59を有する。
【0025】
ここでは図2の機能ブロックの概要について説明する。フレーム画像取得部41は3D映像の一フレームを構成する2枚の画像を取得する。特徴点抽出部42は画像から特徴点を抽出する。局所特徴抽出部43は画像から特徴点の局所特徴量を抽出する。特徴点ペア抽出部44は3D映像の一フレームを構成する2枚の画像の特徴点のペアを抽出する。
【0026】
奥行きクラスタリング部45は特徴点ペアから算出される奥行き距離で特徴点をクラスタリングする。サムネイル評価部46はクラスタリングの結果を元に、フレームの立体らしさの値(評価値)を算出する。サムネイル抽出部47はフレームの立体らしさの値が一番高いフレームをサムネイル用のフレームとして抽出する。
【0027】
映像情報テーブル51は3D映像の情報を保存する。フレーム情報テーブル52は3D映像の一フレームを構成する2枚の画像を関連付けて保存する。局所特徴量テーブル53は3D映像の一フレームを構成する2枚の画像から抽出された特徴点の局所特徴量を保存する。
【0028】
対応点テーブル54は、3D映像の一フレームを構成する2枚の画像から抽出された特徴点のペアを対応点として保存すると共に、その対応点の距離値を保存する。距離値とは3D映像の一フレームを構成する2枚の画像を重畳したときの特徴点のペアの間の距離をいう。なお、対応点テーブル54は対応点、その対応点の距離値に加えて対応点の奥行き距離(Z値)を保存するようにしてもよい。
【0029】
Z値ヒストグラムテーブル55は複数定められたZ値の範囲にある対応点の個数を保存する。対応点ヒストグラムテーブル56は対応点と、その対応点が格納されたZ値の範囲とを関連付けて保存する。
【0030】
Z値クラスタテーブル57はZ値のヒストグラムのピークと、そのピークの前後のZ値の範囲とを併せたクラスタを保存する。対応点クラスタテーブル58は対応点と、その対応点が格納されたクラスタとを関連付けて保存する。また、フレーム評価テーブル59は各フレームの立体らしさの値(評価値)を保存する。
【0031】
図3は本実施例のサムネイル抽出装置の一例のフローチャートである。ステップS1において、フレーム画像取得部41は3D映像の画像(フレーム画像)を取得する。3D映像の各フレームは、位置が少しずれた地点から見た2枚の画像(フレーム画像)で構成される。3D映像におけるフレーム画像の位置のずれは、あまり大きくないことがほとんどである。3D映像におけるフレーム画像は、かなり似通った画像となる。
【0032】
取得元の3D映像に関して特に制約はない。3D映像はテレビ映像や、3Dカメラでライブ撮影された映像でもかまわないし、Blu−ray3Dのようなファイルに保存された映像でもかまわない。また、3D映像の格納方式についても特に制約はない。3D映像の格納方式は、Side−by−Side(左右の画像を横に並べて一つの画像として保存)やFrame alternative(右と左画像を交互に保存)などを利用することができる。
【0033】
3D映像に関しては、映像の幅や高さ、フレーム数などの映像情報を利用できるようにする。これらの映像情報は映像情報テーブル51のような形で保存できる。図4は映像情報テーブルの一例の構成図である。図4の映像情報テーブル51はデータ項目として映像番号、幅、高さ、フレーム数を有する。
【0034】
映像番号は3D映像の識別子である。幅は3D映像の幅である。高さは3D映像の高さである。フレーム数は3D映像のフレーム数である。なお、フレーム数に関してはライブ映像などで取得できない場合もある。その場合はフレーム数を利用しないようにすることもできる。例えばフレーム数が取得できない場合は先頭から指定フレーム以内のフレームからサムネイルを抽出するようにすれば、問題なく処理を行うことができる。
【0035】
なお、以降の処理は3D映像ごとに独立であるため、一つの3D映像に対する処理を記述する。フレーム画像取得部41は必ずしも3D映像の全てのフレームを抽出する必要はなく、3D映像の一部のフレームを抽出すればよい。フレーム画像取得部41は、カット検出手法と組み合わせて画像を抽出する方法や、一定間隔の画像を抽出する方法、CM検出手法、顔検出手法などの他の解析手法と組み合わせて画像を抽出する方法などが考えられる。
【0036】
フレーム画像取得部41は、取得したフレーム画像をフレーム情報テーブル52に保存する。図5はフレーム情報テーブルの一例の構成図である。図5のフレーム情報テーブル52はデータ項目としてフレーム番号、左画像、右画像を有する。
【0037】
フレーム番号は、フレームの識別子である。左画像は、フレームを構成する左画像(左フレーム画像)の識別子である。また、右画像はフレームを構成する右画像(右フレーム画像)の識別子である。
【0038】
図6は3D映像の一フレームを構成する2枚の画像の一例のイメージ図である。図6に示すように、左フレーム画像100及び右フレーム画像101は、かなり似通った画像となる。
【0039】
図3のステップS2において、特徴点抽出部42はステップS1で取得したフレーム情報テーブル52内の一つのフレームの左フレーム画像100、右フレーム画像101に対して、それぞれ、特徴点を抽出する。また、局所特徴抽出部43は抽出された特徴点の特徴量を局所特徴量として抽出する。
【0040】
特徴点抽出方法について、特に限定は行わない。単純な特徴点抽出方法としては、Sobelエッジ抽出手法、Cannyエッジ抽出手法などの各種エッジ検出手法やHarrisコーナー手法などのコーナー検出手法などがある。Sobelエッジ抽出手法は例えば「高木幹雄,下田陽久:新編画像解析ハンドブック,東京大学出版会,2004.」などに記載されている。Cannyエッジ抽出手法は例えば「CANNY J.,"A Computational Approach to Edge Detection," IEEE Trans. on Pattern Analysis and Machine Intelligence, 8(6), pp. 679-698, 1986」などに記載されている。Harrisコーナー手法は例えば「C.Harris, M.Stephens, "A COMBINED CORNER AND EDGE DETECTOR," Proc. of 4th Alvey vision Conference, pp.147-151, 1988」などに記載されている。
【0041】
また、局所特徴量抽出手法についても、特に限定は行わない。局所特徴量は特徴点付近の画像から抽出することが考えられる。局所特徴量抽出手法としては、色ヒストグラムなどの手法が使用できる。色ヒストグラムの手法は例えば「高木幹雄,下田陽久:新編画像解析ハンドブック,東京大学出版会,2004.」などに記載されている。
【0042】
また、特徴点抽出方法、局所特徴量抽出手法としては、SIFT(US Patent 6,711,293)などを使用した方法も考えられる。SIFTは例えば「D.G.Lowe, "Object recognition from local scale-invariant features," Proc. of IEEE Int. Conf. on. Computer Vision (ICCV) pp.1150-1157, 1999.」などに記載されている。
【0043】
SIFTでは、画像にガウスぼかしをかけた場合の差分(Difference of Gaussian)を算出し、その極大点を特徴点とし、そこから、勾配の方向を元にした、局所特徴量を抽出する。同様の局所特徴抽出手法としてはSURFなども利用できる。SURFは、例えば「BAY H., "SURF : Speeded up robust features," Proc. 9th ECCV, May 2006, Graz, Austria 1, 404-417, 2006」などに記載されている。なお、抽出された特徴量(局所特徴量)は、実数値の配列(ベクトル)形式になる。
【0044】
特徴点抽出部42及び局所特徴抽出部43は、抽出した特徴点及び局所特徴量を局所特徴量テーブル53に保存する。図7は局所特徴量テーブルの一例の構成図である。図7の局所特徴量テーブル53はデータ項目としてフレーム番号、画像番号、特徴量番号、X座標、Y座標、特徴量を有する。
【0045】
フレーム番号は、フレームの識別子である。画像番号は、右フレーム画像と左フレーム画像との識別子である。特徴量番号は特徴点の識別子である。X座標は特徴点のX座標である。Y座標は特徴点のY座標である。特徴量は、特徴点の特徴量である。
【0046】
図8は抽出した特徴点を視覚的に表したフレーム画像の一例のイメージ図である。図8では特徴点を「○」で表している。図8に示すように、左フレーム画像100及び右フレーム画像101は複数の特徴点が抽出されている。なお、左フレーム画像100及び右フレーム画像101上に表された特徴点は図7の局所特徴量テーブル53に応じたものとなる。
【0047】
図3のステップS3において、特徴点ペア抽出部44は局所特徴量テーブル53を参照して、後述のように同一フレームの右フレーム画像及び左フレーム画像から特徴点のペアを抽出する。特徴点ペア抽出部44は抽出した特徴点のペアを対応点として対応点テーブル54に保存する。
【0048】
図9は対応点テーブルの一例の構成図である。図9の対応点テーブル54はデータ項目としてフレーム番号、対応点番号、右フレーム画像101の特徴点番号、左フレーム画像100の特徴点番号、距離値を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。対応点番号は、対応点の識別子である。右フレーム画像101の特徴点番号は、右フレーム画像101の特徴点の識別子である。左フレーム画像100の特徴点番号は、左フレーム画像100の特徴点の識別子である。距離値は、左フレーム画像100と右フレーム画像101とを重畳したときの、右フレーム画像101の特徴点番号により識別される特徴点と左フレーム画像100の特徴点番号により識別される特徴点との間の距離である。
【0049】
図10は対応点テーブルの他の例の構成図である。図10の対応点テーブル54は図9の対応点テーブル54のデータ項目にZ値が追加されている。Z値は局所特徴量テーブル53に保存されているX座標、対応点テーブル54に保存されている距離値から後述のように算出される。Z値は対応点の奥行き距離を表している。
【0050】
図3のステップS4において、奥行きクラスタリング部45は図9の対応点テーブル54に保存されている距離値又は図10の対応点テーブル54に保存されているZ値を元に後述のクラスタリング処理を行い、近い奥行き距離の対応点のグループを作成する。奥行きクラスタリング部45はクラスタリング処理の結果を、図11に示すZ値ヒストグラムテーブル55、図12に示す対応点ヒストグラムテーブル56、図13に示すZ値クラスタテーブル57、図14に示す対応点クラスタテーブル58に保存する。
【0051】
図11はZ値ヒストグラムテーブルの一例の構成図である。図11のZ値ヒストグラムテーブル55はデータ項目としてフレーム番号、ビン番号、開始のZ値、終了のZ値、個数を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。ビン番号は、Z値の範囲(ヒストグラムのビン)の識別子である。開始のZ値は、ビンの開始のZ値である。終了のZ値は、ビンの終了のZ値である。個数はビンにある対応点の個数である。
【0052】
図12は対応点ヒストグラムテーブルの一例の構成図である。図12の対応点ヒストグラムテーブル56はデータ項目としてフレーム番号、対応点番号、ビン番号を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。対応点番号は、対応点の識別子である。ビン番号はビンの識別子である。
【0053】
図13はZ値クラスタテーブルの一例の構成図である。図13のZ値クラスタテーブル57はデータ項目としてフレーム番号、クラスタ番号、開始のZ値、終了のZ値、個数を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。クラスタ番号は、クラスタの識別子である。開始のZ値は、クラスタの開始のZ値である。終了のZ値は、クラスタの終了のZ値である。個数はクラスタにある対応点の個数である。
【0054】
また、図14は対応点クラスタテーブルの一例の構成図である。図14の対応点クラスタテーブル58はデータ項目としてフレーム番号、対応点番号、クラスタ番号を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。対応点番号は、対応点の識別子である。クラスタ番号はクラスタの識別子である。
【0055】
図3のステップS5において、サムネイル評価部46は後述するように、クラスタリングの結果を元に、フレームの立体らしさの値(評価値)を算出する。つまり、サムネイル評価部46は現在のフレームがサムネイルとして適しているかの評価値を算出する。
【0056】
また、ステップS6において、サムネイル評価部46は算出したフレームの立体らしさの値(評価値)を図15に示すフレーム評価テーブル59に保存する。図15はフレーム評価テーブルの一例の構成図である。図15のフレーム評価テーブル59はデータ項目としてフレーム番号、評価値を有する。フレーム番号は、フレームの識別子である。評価値はフレームの立体らしさの値である。
【0057】
また、ステップS7において、サムネイル評価部46は他に解析すべき(立体らしさの値を算出すべき)フレームがあるか否かを判定する。他に解析すべきフレームがあると判定すれば、サムネイル評価部46はフレーム画像取得部41にフレーム画像の取得を要求する。ステップS1〜S6の処理は解析すべきフレームの数だけ繰り返される。
【0058】
他に解析すべきフレームがないと判定すれば、サムネイル評価部46はサムネイル抽出部47にサムネイル用のフレームの抽出を要求する。ステップS8において、サムネイル抽出部47はフレーム評価テーブル59のフレームの立体らしさの値(評価値)が一番高いフレームをサムネイル用のフレームとして抽出する。なお、サムネイル抽出部47はサムネイルの抽出位置(3D映像の最初、最後など)を元にした重み付けを、例えば3D映像の種類によって行うようにしてもよい。
【0059】
図3のステップS3の処理の詳細は以下の通りである。特徴点ペア抽出部44は、局所特徴量テーブル53における、同一フレームの右フレーム画像及び左フレーム画像でそれぞれ抽出された特徴量間で関連付けを行う。
【0060】
右フレーム画像の特徴量番号集合をR、左フレーム画像の特徴量番号集合をLとした場合は以下の式(1)を満たす、i,jを見つける問題となる。ここで、f(i)は右フレーム画像のi番目の特徴量とする。f(j)は、左フレーム画像のj番目の特徴量とする。distは二つの特徴量間の距離関数とする。
【0061】
【数1】

【0062】
つまり、特徴点ペア抽出部44は右フレーム画像の特徴量と左フレーム画像の特徴量との間の全てのペアに対して特徴量間の距離を算出し、最小の距離のペア(i,j)を求めている。特徴点ペア抽出部44は、同時に、最小となるペアの特徴量間の距離(dist関数の戻り値)も保持する。特徴量間の距離が予め与えられた距離の閾値以下の場合は対応点として対応点テーブル54に保存する。
【0063】
また、式(1)では左フレーム画像と右フレーム画像の特徴量間の全てのマッチングを行っているが、高速化のため、ある一定距離のペアまでしか求めないようにしてもかまわない。
【0064】
例えば右フレーム画像のi番目の特徴点のX座標をx(i)とし、左フレーム画像のj番目の特徴点のX座標をx(j)とし、右フレーム画像のi番目の特徴点のY座標をy(i)とし、左フレーム画像のj番目の特徴点のY座標をy(j)とし、閾値としてT及びTを設定した場合は、以下の式(2)を満たすものだけを対象とする。
【0065】
【数2】

【0066】
一般的に、3D画像のカメラのレンズは左右に並んでいる。したがって、3D画像ではX座標における差分の方が大きいため、Tの方にTより大きな値を指定する。距離関数としては、一般的なユークリッド距離などの手法を用いることができる。また、局所特徴量ごとに適した距離関数を用いてもかまわない。
【0067】
ユークリッド距離を用いる場合は以下の式(3)のようになる。式(3)は、2つのベクトルv及びvにおいて、次元数iの場合の値がそれぞれv(i)、v(j)であり、かつ、次元数がnの場合の例である。特徴点ペア抽出部44は、抽出した対応点の左右フレーム画像の特徴量番号(i,j)と、抽出した対応点の距離値とを対応点テーブル54に保存する。
【0068】
【数3】

【0069】
図10に示す対応点テーブルを用いる場合、特徴点ペア抽出部44は局所特徴量テーブル53に保存しているX座標及び対応点テーブル54に保存している距離値から、対応点として保存されている特徴点のZ値(奥行き距離)を算出する。なお、Z値の算出は以下の式(4)を用いて行うことができる。
【0070】
【数4】

【0071】
ここで、fは3D画像の撮影時のカメラのパラメータである焦点距離である。Xは3D画像を撮影したカメラの二つのレンズ間の距離である。xは対応点の右フレーム画像でのX座標である。xは対応点の左フレーム画像でのX座標である。なお、焦点距離は2つのレンズで同じ値を持つものとする。なお、式(4)における各パラメータを図示すると、例えば図16に示すようになる。図16は3Dカメラを上から見た場合の一例の模式図である。
【0072】
また、図17は視差によるZ値の算出方法の一例のイメージ図である。図17(A)は二つのレンズ間の視差のイメージを表している。図17(B)は同一フレームにおける右フレーム画像及び左フレーム画像から抽出された対応点(特徴点のペア)のイメージを表している。図17(B)では特徴点を「○」で表し、ペアとなる特徴点を線で結んで視覚的に表している。図17(B)ではZ値の小さい特徴点のペアを細線で繋ぎ、Z値の大きい特徴点のペアを太線で繋いで表している。
【0073】
図17に示すように、位置がレンズに近いものほど、左右フレーム画像間での特徴点の左右位置は、ずれる。したがって、奥行き距離の算出は左右フレーム画像間での特徴点の左右位置のずれを利用して行うことができる。
【0074】
図3のステップS3以降の処理ではZ値の絶対値を使用せず、相対値を使用する。したがって、焦点距離と二つのレンズ間の距離とは正の固定値を設定すればよい。また、上記の式(4)から分かるように、Z値と対応点の距離値とは反比例の関係にある。ステップS4の処理において対応点の距離値を使用するようにすれば、ステップS3の処理ではZ値の算出まで行う必要はなくなる。特徴点ペア抽出部44は算出したZ値を対応点テーブル54に保存する。
【0075】
図3のステップS3の処理は例えば図18に示すフローチャートの手順で行うことができる。図18はステップS3の処理の一例のフローチャートである。
【0076】
ステップS11において、特徴点ペア抽出部44は局所特徴量テーブル53に保存されている左フレーム画像の特徴点を一つ選択し、その特徴点の特徴量を取得する。ステップS12において、特徴点ペア抽出部44はステップS11で選択した左フレーム画像の特徴点と座標値が近い特徴点を選択し、その特徴点の特徴量を取得する。
【0077】
ステップS13において、特徴点ペア抽出部44はステップS11、S12で選択した二つの特徴点の特徴量の距離値を算出する。ステップS14において、特徴点ペア抽出部44は算出した距離値が最小値の場合、ステップS11、S12で選択した二つの特徴点及びステップS13で算出した二つの特徴点の特徴量の距離値を保存する。
【0078】
ステップS15に進み、特徴点ペア抽出部44は他に右フレーム画像の特徴点があるかを判定する。他に右フレーム画像の特徴点があれば、特徴点ペア抽出部44は右フレーム画像の他の特徴点に対してステップS12〜S14の処理を繰り返す。他に右フレーム画像の特徴点が無くなれば、特徴点ペア抽出部44はステップS16において、特徴量の距離値が最小値の二つの特徴点のX座標の差分とZ値とを算出する。
【0079】
ステップS17において、特徴点ペア抽出部44は特徴量の距離値が閾値以下である場合に、特徴量の距離値が最小値の二つの特徴点を対応点として対応点テーブル54へ保存する。ステップS18において、特徴点ペア抽出部44は他に左フレーム画像の特徴点があるかを判定する。
【0080】
他に左フレーム画像の特徴点があれば、特徴点ペア抽出部44は左フレーム画像の他の特徴点に対してステップS11〜S17の処理を繰り返す。他に左フレーム画像の特徴点が無くなれば、特徴点ペア抽出部44は図18に示す処理を終了する。
【0081】
図3のステップS4の処理の詳細は以下の通りである。奥行きクラスタリング部45はステップS3の処理で求めたZ値又は距離値を元に、クラスタリング処理を行い、近い奥行き距離のグループを作成する。
【0082】
クラスタリング手法としては、ヒストグラムを用いた方法が利用できる。奥行きクラスタリング部45は特定の間隔でZ値の範囲(ヒストグラムのビン)を定める。奥行きクラスタリング部45は各ビンの値を最初に0に初期化する。奥行きクラスタリング部45は対応点テーブル54を参照して、各ビンのZ値の範囲にある対応点の個数を各ビンの値として計算する。奥行きクラスタリング部45は、計算した各ビンの値をZ値ヒストグラムテーブル55に保存する。
【0083】
図19は計算した各ビンの値を表す一例のヒストグラムである。図19のヒストグラムは図17に示したイメージ図に対応するものである。なお、Z値の範囲は、固定間隔でもかまわないし、Z値の絶対値で変更してもかまわない。上記の式(4)により、Z値は対応点の距離値が0に近くなると急激に大きくなる。そこで、ビンはZ値が大きい部分の範囲を広めに設定してもよい。奥行きクラスタリング部45は必要に応じて、各ヒストグラムにどの対応点が格納されたのかを対応点ヒストグラムテーブル55に保存する。
【0084】
奥行きクラスタリング部45はZ値ヒストグラムテーブル55に保存されているヒストグラムのピーク(局所的に値が大きくなっているビン)を見つけ、その前後のビンの個数と併せて一つのクラスタとする。
【0085】
ヒストグラムのビン番号iの個数をh(i)とした場合、奥行きクラスタリング部45はh(i)>h(i−1)かつh(i)>h(i+1)であるビン番号iのビンをピークとする。奥行きクラスタリング部45はビン番号iのビンと、その前後のビン番号i−1及びi+1のビンとを併せて一つのクラスタとする。奥行きクラスタリング部45はクラスタにある対応点の個数をc=h(i−1)+h(i)+h(i+1)とする。奥行きクラスタリング部45は、クラスタにある対応点の個数をZ値クラスタテーブル57に保存する。奥行きクラスタリング部45は必要に応じて、対応点ヒストグラムテーブル56を元に、各クラスタにどの対応点が含まれているのかを対応点クラスタテーブル58に保存する。
【0086】
図20は各クラスタに含まれる対応点を視覚的に表したフレーム画像の一例のイメージ図である。図20では同一のクラスタに含まれる対応点を線で囲って表している。図20のイメージ図は図19に示したヒストグラムに対応するものである。
【0087】
なお、ヒストグラムを求めるにあたり精度を向上させるためには、近接の特徴点のZ値と比較し、近似したZ値を持たない特徴点を除去する方法が考えられる。例えば奥行きクラスタリング部45は対応点クラスタテーブル58、対応点テーブル54及び局所特徴量テーブル53から、特徴点のX座標値、Y座標値を取得する。
【0088】
なお、右フレーム画像、左フレーム画像のどちらの座標でもかまわないが、すべての特徴点にたいして同じフレーム画像の座標値を指定する。奥行きクラスタリング部45は特徴点同士でX座標値、Y座標値の差分を抽出して、その差分による距離が予め決められた閾値以下になる特徴点が他にない場合、その特徴点をクラスタから除外する。
【0089】
また、クラスタを構成する特徴点の個数が少ない場合、奥行きクラスタリング部45はクラスタそのものを削除するようにする。例えば奥行きクラスタリング部45は予め閾値を与えて、クラスタ内の特徴点の個数が閾値以下の場合、クラスタを削除する。
【0090】
図3のステップS4の処理は例えば図21に示すフローチャートの手順で行うことができる。図21はステップS4の処理の一例のフローチャートである。
【0091】
ステップS21において、奥行きクラスタリング部45はZ値ヒストグラムテーブル55の各ビンの値を0で初期化する。ステップS22において、奥行きクラスタリング部45は対応点テーブル54を参照して、対応点とそのZ値とを取得する。ステップS23において、奥行きクラスタリング部45はZ値に合致するZ値ヒストグラムテーブル55のビンの値に1を加える。
【0092】
ステップS24において、奥行きクラスタリング部45は対応点テーブル54を参照して、他に対応点があるか否かを判定する。他に対応点があれば、奥行きクラスタリング部45はステップS22〜S23の処理を繰り返す。他に対応点が無ければ、奥行きクラスタリング部45はステップS25において、Z値ヒストグラムテーブル55を参照してヒストグラムのピークを求める。
【0093】
ステップS26において、奥行きクラスタリング部45はピーク近傍の対応点をまとめてクラスタを作成し、対応点クラスタテーブル58に保存する。奥行きクラスタリング部45はステップS27において、他にヒストグラムのピークがあるか否かを判定する。他にヒストグラムのピークがあれば、奥行きクラスタリング部45はステップS25〜S26の処理を繰り返す。他にヒストグラムのピークが無ければ、奥行きクラスタリング部45はステップS28において、後述するように、クラスタ内に近似の特徴点のない特徴点を除去する。
【0094】
ステップS29において、奥行きクラスタリング部45はクラスタ内の特徴点の個数が閾値以下の場合、クラスタを削除する。ステップS30において、奥行きクラスタリング部45は他に、クラスタがあるか否かを判定する。他にクラスタがあれば、奥行きクラスタリング部45はステップS28〜S29の処理を繰り返す。奥行きクラスタリング部45は、他にクラスタが無ければ図21に示す処理を終了する。
【0095】
図3のステップS5の処理の詳細は以下の通りである。サムネイル評価部46はクラスタリング結果を元に、現在のフレームがサムネイルとして適しているかどうかを評価値として算出する。
【0096】
フレームの評価値としては、以下の指標を用いる。一つ目の指標は、フレームに含まれるクラスタの数が複数あるか否かである。フレームに含まれるクラスタが一つの場合は当然ながら立体的に見えない。フレームはクラスタが三つ程度含まれると、より立体的に見える。逆に、フレームはクラスタの数が多すぎると、全体的に雑然としてしまい立体的に見えにくくなる。
【0097】
二つ目の指標は、各クラスタ内の対応点がまとまっているか否かである。クラスタ内の対応点が画像内に点在する場合、フレームは立体的に見えにくくなる。三つ目の指標はクラスタ間のZ値の距離が大きいか否かである。フレームはクラスタ間のZ値の距離が大きい場合、より立体的に見える。
【0098】
四つ目の指標は、クラスタのうち一番奥に存在するクラスタが背景であり、背景に含まれる特徴点の数が多いか否かである。フレームは背景に含まれる特徴点の数が多いほど立体的に見える。さらに、フレームは構図的に画面上部に背景の特徴点が集まっているほど立体的に見えやすい。
【0099】
サムネイル評価部46は、上記の指標を元にスコアリングして、立体らしさの値を抽出する。クラスタの数に関しては、重みwと、クラスタ数を引数にする評価関数fを用いる。重みwはあらかじめ決められた定数とする。評価関数fについては、以下のような式(5)が利用できる。
【0100】
【数5】

【0101】
各クラスタ内の対応点のまとまりは、クラスタ間平均距離などの手法を用いることができる。画像サイズをw、h、クラスタ集合をC、クラスタ内の対応点の個数をn、対応点iのX座標をx(i)、y座標をy(i)とした場合、対応点のまとまりの評価関数fsは以下のような式(6)で表現できる。
【0102】
【数6】

【0103】
クラスタ間のZ値の距離の大きさは、クラスタの一番奥のZ値をz、一番前のクラスタのZ値をzとした場合、クラスタ間のZ値の距離の大きさの評価関数fは以下のような式(7)で表現できる。
【0104】
【数7】

【0105】
背景の評価については、一番奥のクラスタ集合をC、クラスタ内の対応点の個数をn、画像の高さをh、対応点iのy座標をy(i)とした場合、背景の評価の評価関数fは以下のような式(8)で表現できる。
【0106】
【数8】

【0107】
フレームの評価関数fは、式(9)に表現するように、上記4つの評価関数を重みで結合した形式で求める。
【0108】
【数9】

【0109】
図3のステップS5の処理は例えば図22に示すフローチャートの手順で行うことができる。図22はステップS5の処理の一例のフローチャートである。
【0110】
ステップS41において、サムネイル評価部46はクラスタの個数に関する評価値を算出する。ステップS42において、サムネイル評価部46はクラスタのまとまりに関する評価値を算出する。ステップS43において、サムネイル評価部46はクラスタのZ値差分に関する評価値を算出する。ステップS44において、サムネイル評価部46はクラスタの背景に関する評価値を算出する。ステップS45において、そして、サムネイル評価部46はステップS41〜S44で算出した全ての評価値の重み付きで結合し、評価値を算出する。
【0111】
なお、図22に示したステップS5の処理は一例であって、ステップS41〜S44の少なくとも一つ以上の組み合わせを利用して評価値を算出するものであればよい。
【0112】
図21のステップS28の処理の詳細は以下の通りである。図23はステップS28の処理の一例のフローチャートである。奥行きクラスタリング部45はステップS51において、対応点テーブル54及び対応点クラスタテーブル58を参照し、クラスタ内の特徴点の一つを選択し、位置を取得する。
【0113】
ステップS52において、奥行きクラスタリング部45はクラスタ内の他の特徴点の一つを選択し、位置を取得する。ステップS53において、奥行きクラスタリング部45はステップS51及びS52で選択した特徴点の位置の差(距離)を算出する。
【0114】
ステップS54に進み、奥行きクラスタリング部45はステップS53で算出した距離が閾値以下か否かを判定する。閾値以下でなければ、ステップS55において、奥行きクラスタリング部45はクラスタ内に他の特徴点があるか否かを判定する。クラスタ内に他の特徴点があれば、奥行きクラスタリング部45はステップS52〜S54の処理を繰り返す。クラスタ内に他の特徴点がなければ、奥行きクラスタリング部45はステップS56において、ステップS51で選択した特徴点をクラスタから削除する。
【0115】
また、ステップS54において閾値以下であるか、ステップS56の処理の後、奥行きクラスタリング部45はステップS57においてクラスタ内に他の特徴点があるか否かを判定する。クラスタ内に他の特徴点があれば、奥行きクラスタリング部45はステップS51〜S56の処理を繰り返す。クラスタ内に他の特徴点がなければ、奥行きクラスタリング部45は図23に示す処理を終了する。
【実施例2】
【0116】
図24は本実施例のサムネイル抽出装置の他の例の機能ブロック図である。図24のサムネイル抽出装置40Aは、図2のサムネイル抽出装置40に、もう一つの評価軸である背景の評価の追加を行っている。具体的には図24のサムネイル抽出装置40Aは図2のサムネイル抽出装置40の構成に背景評価部48が追加されている。特にホームビデオなどの場合、旅行先で撮影した映像など、背景が特徴的である部分をサムネイルとして抽出することは有効である。
【0117】
図24のサムネイル抽出装置40Aについては、図2のサムネイル抽出装置40との差異を中心に説明する。サムネイル抽出装置40Aのフローチャートは図3に示したサムネイル抽出装置40とステップS5の処理が異なる。
【0118】
サムネイル抽出装置40AのステップS5の処理は例えば図25に示すフローチャートの手順で行うことができる。図25は、ステップS5の処理の他の例のフローチャートである。
【0119】
ステップS61〜S64までの処理は図22のステップS41〜S44と同様であるため説明を省略する。ステップS65において、背景評価部48はフレーム間で共通する背景を評価する。
【0120】
背景は一番奥のクラスタであるため、一番奥のクラスタのみを利用する。フレーム数をFとし、フレームiにおける背景クラスタをCb(i)とし、個数をn(i)とし、対応点jの特徴量をf(i、j)とし、予め与えられた距離の閾値をTとすると、フレーム間で共通する背景の評価の評価関数fは以下のような式(10)で表現できる。
【0121】
【数10】

【0122】
ステップS66において、サムネイル評価部46はステップS61〜S65で算出した全ての評価値の重み付きで結合し、評価値を算出する。サムネイル評価部46はフレームの評価関数fを、式(11)に表現するように、上記5つの評価関数を重み付きで結合した形式で求める。
【0123】
【数11】

【0124】
なお、図25に示したステップS5の処理は一例であって、ステップS61〜S65の少なくとも一つ以上の組み合わせを利用して評価値を算出するものであればよい。
【0125】
(まとめ)
実施例1及び2に示したサムネイル抽出装置40及び40Aは、3D映像を対象とした場合、より立体的に見えるサムネイルを抽出する必要がある。3D映像中には、あまり立体的に見えないシーンが多い。実施例1及び2に示したサムネイル抽出装置40及び40Aは立体的に見えるシーンからサムネイルを抽出することにより、より印象的で見栄えのするサムネイルを選択することができる。
【0126】
実施例1及び2に示したサムネイル抽出装置40及び40Aによれば、3D映像の特徴を用いて画像の奥行きを求め、その構図を元に、立体的に表示できるサムネイルを選択できる。
【0127】
本実施例における推薦プログラムはパッケージソフトの他、WEBサービス等によっても提供可能である。
【0128】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出し、
前記特徴点ペアの奥行き量を前記特徴点ペアの点間距離、所定のレンズ間距離・焦点距離を基に算出して、前記奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、
予め定められたクラスタリングの結果情報に基づく前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上の前記フレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価結果に基づき、前記評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する
処理をコンピュータに実行させるサムネイル抽出プログラム。
(付記2)
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタの個数を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
付記1記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記3)
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタ内の特徴点の位置的な集合度を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
付記1又は2記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記4)
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタ間の奥行き量の差を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
付記1乃至3何れかに記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記5)
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、一番奥のクラスタの個数及び配置を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
付記1乃至3何れかに記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記6)
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、複数フレーム間における共通の背景を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
付記1乃至5何れかに記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記7)
前記特徴点を前記特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出する処理は、
前記3D映像の一フレームを構成する前記フレーム画像ペアを抽出し、
前記抽出した前記フレーム画像ペアから前記特徴点を抽出し、
前記抽出した前記特徴点の局所特徴量を抽出し、
前記抽出した前記局所特徴量を用いて、前記フレーム画像ペア間で対応する前記特徴点を前記特徴点ペアとして抽出する
付記1乃至6何れかに記載のサムネイル抽出プログラム。
(付記8)
コンピュータによって実行されるサムネイル抽出方法であって、
3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出し、
前記特徴点ペアの奥行き量を前記特徴点ペアの点間距離、所定のレンズ間距離・焦点距離を基に算出して、前記奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、
予め定められたクラスタリングの結果情報に基づく前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上の前記フレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価結果に基づき、前記評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する
ことを特徴とするサムネイル抽出方法。
【符号の説明】
【0129】
10 PC
21 入力装置
22 表示装置
23 PC本体
31 主記憶装置
32 演算処理装置
33 インタフェース装置
34 記録媒体読取装置
35 補助記憶装置
36 記録媒体
37 バス
40、40A サムネイル抽出装置
41 フレーム画像取得部
42 特徴点抽出部
43 局所特徴抽出部
44 特徴点ペア抽出部
45 奥行きクラスタリング部
46 サムネイル評価部
47 サムネイル抽出部
48 背景評価部
51 映像情報テーブル
52 フレーム情報テーブル
53 局所特徴量テーブル
54 対応点テーブル
55 Z値ヒストグラムテーブル
56 対応点ヒストグラムテーブル
57 Z値クラスタテーブル
58 対応点クラスタテーブル
59 フレーム評価テーブル
100 左フレーム画像
101 右フレーム画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出し、
前記特徴点ペアの奥行き量を前記特徴点ペアの点間距離、所定のレンズ間距離・焦点距離を基に算出して、前記奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、
予め定められたクラスタリングの結果情報に基づく前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上の前記フレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価結果に基づき、前記評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する
処理をコンピュータに実行させるサムネイル抽出プログラム。
【請求項2】
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタの個数を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
請求項1記載のサムネイル抽出プログラム。
【請求項3】
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタ内の特徴点の位置的な集合度を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
請求項1又は2記載のサムネイル抽出プログラム。
【請求項4】
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する処理は、クラスタ間の奥行き量の差を元に、前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価する
請求項1乃至3何れかに記載のサムネイル抽出プログラム。
【請求項5】
コンピュータによって実行されるサムネイル抽出方法であって、
3D映像の一フレームを構成するフレーム画像ペア間で対応する特徴点を特徴点ペアとして前記フレーム画像ペアから抽出し、
前記特徴点ペアの奥行き量を前記特徴点ペアの点間距離、所定のレンズ間距離・焦点距離を基に算出して、前記奥行き量で前記特徴点ペアをクラスタリングし、
予め定められたクラスタリングの結果情報に基づく前記フレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価条件を基に、1以上の前記フレーム画像ペアのクラスタリングの結果情報から前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さを評価し、
前記1以上のフレーム画像ペアの立体的な見え易さの評価結果に基づき、前記評価結果の最も良い前記フレーム画像ペアを、サムネイル用の前記フレーム画像ペアとして抽出する
ことを特徴とするサムネイル抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−160011(P2012−160011A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19158(P2011−19158)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】