説明

サラダ

【課題】雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えたサラダであって、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダを提供する。
【解決手段】雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水せしめた後、得られた雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えてあるサラダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えたサラダであって、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダに関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズや半固体状ドレッシング等の酸性水中油型乳化状調味料で野菜等の様々な食材を和えたサラダが、スーパーやコンビニエンスストア等で販売されている。消費者は、好みの食材を用いたサラダを選択して購入するが、その際、野菜等の日々の食生活で不足し易い食材を補う目的で購入する場合も多い。そのため、スーパーやコンビニエンスストア等において販売されるサラダとしては、より栄養価に優れバラエティーに富んだ食材を用いたサラダを提供することが望まれる。
【0003】
一方、あわ、きび、ひえ、アマランサス等の雑穀類には、食物繊維や、カルシウム、マグネシウム等のミネラルが多く含まれていて、近年、消費者の健康志向の中でヘルシーな食材として注目されている。しかしながら、雑穀類は、従来、サラダで和える食材としては、十分に利用されてはいない。
【0004】
【特許文献1】特開平6−70709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、栄養価に優れバラエティーに富んだサラダを製造するため、炊飯した雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えてサラダを製造したところ、得られたサラダは製造後時間が経過すると、サラダ中の雑穀類同士が結着して塊状物が生じサラダ全体の口当たりが悪くなるという問題が生じた。
【0006】
そこで、本発明は、雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えたサラダであって、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の処理を施した雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えるならば、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダが得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水せしめた後、得られた雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えてあるサラダ、(2)雑穀類1部を2〜100部の酢酸水溶液に浸漬して加熱する(1)記載のサラダ、である。
【0009】
なお、酸水溶液で穀類を処理することに関し、例えば、特開平6−70709号公報(特許文献1)には、米を酸水溶液で浸漬した後蒸煮し、再度酸水溶液に浸漬して包装米飯を製造することが提案されている。しかしながら、この公報で開示されているのは、包装米飯において米飯表面のべたつきを防止するために、加熱を伴わずに米を酸水溶液に浸漬する技術であり、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させることや、雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えることについては、一切記載されていない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料で和えたサラダであって、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダを提供するこができる。したがって、本発明によれば、スーパーやコンビニエンスストア等で惣菜として販売するサラダとして、食物繊維や、カルシウム、マグネシウム等のミネラルが多く含まれていて、消費者の健康志向にあったヘルシーなサラダを提供することができ、サラダ市場の更なる需要拡大が期待出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
【0012】
本発明の雑穀類とは、食用に供される雑穀類であれば特に限定されるものではなく、例えば、あわ、きび、ひえ、アマランサス、キヌア等の粒径が1〜4mmの小粒状の雑穀類を挙げることができる。
【0013】
一方、本発明の酸性水中油型乳化状調味料とは、一般的に酸性水中油型乳化状調味料と称されるpH3〜5の半固体状又は液状の乳化状調味料であれば特に制限はなく、このような酸性水中油型乳化状調味料としては、具体的には、マヨネーズやサラダクリーム等の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化状ドレッシング等が挙げられる。
【0014】
本発明のサラダとは、上述の雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えたサラダであって、このような本発明のサラダとしては、使用用途に特に制限は無く、そのまま食べるサラダの他に、例えば、サンドイッチ用のフィリングや各種料理のトッピングとして、各種用途に用いられているものが含まれる。
【0015】
本発明のサラダは、特定の処理を施して得た雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えてある、つまり、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水せしめた後、得られた雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えてあることを特徴とし、これにより、得られたサラダは、製造後時間が経過してもサラダ中の雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するものとなる。
【0016】
ここで、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水せしめるとは、雑穀類を酢酸水溶液に浸漬し、雑穀類に酢酸水溶液を吸水させながら加熱処理を施して喫食可能な状態とすることをいう。このように特定の処理を施して得られた雑穀類を用いることで、酸性水中油型乳化状調味料で和えて得られたサラダは、時間が経過しても雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダが得られる。
【0017】
これに対して、酢酸水溶液を用いず清水に浸漬して清水を吸水させながら加熱処理を施し喫食可能な状態にした雑穀類、あるいは酢酸水溶液を吸水させた後酢酸水溶液ではなく清水中で加熱処理を施し、喫食可能な状態とした雑穀類を用いたサラダは、製造後時間が経過するとサラダ中の雑穀類同士が結着して塊状物が生じサラダ全体の口当たりが悪くなるという問題が生じる。
【0018】
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱して、酢酸水溶液を吸水させる前記加熱処理は、一般的な加熱処理設備である例えば、ニーダー、二重釜等を用いることができる。
【0019】
前記加熱処理に用いる雑穀類としては、サラダとした際の食味に優れる点から精白した穀粒を用いることが好ましい。また、用いる雑穀類は、前記加熱処理前に酢酸水溶液又は水を吸水させても良い。
【0020】
また、用いる酢酸水溶液とは、酢酸を含有した水溶液であればよく、例えば、食酢、醸造酢、ワインビネガー、氷酢酸等の食品及び食品製造の際に一般的に使用される酢酸含有原料を配合した水溶液であればよい。酢酸水溶液の酢酸濃度としては、0.001〜0.4%が好ましく、0.005〜0.4%がより好ましい。酢酸濃度が前記範囲より低いと、製造後時間が経過した時のサラダ中の雑穀類同士の結着を防ぐ効果が十分に得られ難く、前記範囲より高いと、雑穀類の酸味が強くなりすぎてサラダとしての味のバランスが崩れる場合がある。なお、本発明の酢酸水溶液には、本発明の効果を損なわない限り、酢酸を含有した原料の他に、食塩、砂糖、動植物等のエキス類等の各種調味料、香辛料、保存料等を含有していてもよい。
【0021】
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の前記加熱処理条件としては、雑穀類の水分含量が35〜60%と喫食可能な状態とする条件であれば良い。具体的には、加熱温度としては、好ましくは品温が60〜120℃、より好ましくは70〜100℃となるように加熱するのが好ましい。また、加熱時間としては達温または達温後30分以内が好ましく、達温後20分以内がより好ましい。雑穀類を酢酸水溶液に浸漬しながら前記条件で加熱し、多量の酢酸水溶液を吸水させた雑穀類を用いることで、酸性水中油型乳化状調味料と和えて得られたサラダは、製造後時間が経過しても雑穀類同士の結着を防ぐ効果を十分に得ることができる。一方、加熱温度が前記範囲より高すぎたり、加熱時間が前記範囲より長いと雑穀類が割れてしまう場合があり、製造後時間が経過した時のサラダ中の雑穀類同士の結着を防ぐ効果が十分に得られ難く、サラダとして好ましくなかった。また、加熱温度が低すぎると、雑穀類に熱が通り難いため好ましいかたさにはならず、サラダ全体の口当たりが悪くなり好ましくなかった。
【0022】
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の雑穀類と酢酸水溶液の量としては、雑穀類に前記十分な量の酢酸水溶液を吸水させ易いことから、雑穀類1部を、好ましくは2部以上、より好ましくは3部以上の酢酸水溶液に浸漬して加熱処理を施すことが好ましい。一方、酢酸水溶液があまり多すぎても加熱に必要な熱量が多く必要となり効率が悪いことから、雑穀類1部に対して、好ましくは100部以下、より好ましくは50部以下の酢酸水溶液に浸漬して加熱処理を施すことが好ましい。このように本発明においては、雑穀類に十分な量の酢酸水溶液を吸水させるために雑穀類を好ましくは前記特定量の酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させるが、この場合、前記加熱処理後に雑穀類に吸収されなかった酢酸水溶液が余ることになる。前記加熱処理後の雑穀類と酢酸水溶液の分離は、ザル等を用いて行えばよい。
【0023】
本発明のサラダにおける上述した雑穀類の配合量としては、特に制限はなく、サラダを用いる用途等により適宜調節すればよいが、雑穀類の風味と酸性水中油型乳化状調味料の風味バランスを考慮すると、酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させて得た雑穀類を製品に対して好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%配合すればよい。
【0024】
また、本発明のサラダには、上述した雑穀類及び酸性水中油型乳化状調味料の他に、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ジャガイモ、人参、レタス、胡瓜等の野菜類、豆類、ゆで卵等の卵製品、鶏肉、豚肉、牛肉等の畜肉類、魚、エビ、カニ、貝類等の魚介類等の具材、食塩、動植物等のエキス類等の各種調味料、からし粉、胡椒等の香辛料、オリゴ糖、水あめ等の糖類、酢酸ナトリウム等のpH調製材、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料等を適宜配合することができる。
【0025】
次に、本発明のサラダの代表的な製造方法について説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
本発明のサラダは、上述の特定の処理を施して得られた雑穀類を用いる他は、具材を酸性水中油型乳化状調味料で和える従来の一般的なサラダの製造方法に準じて製造することが出来る。例えば、まず、酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた上述の雑穀類及び酸性水中油型乳化状調味料、更に、必要に応じて、豆類、野菜類等の具材、調味料等の原料を用意する。次に、これらを、例えば、ミキサー等の混合機に投入して混合処理することにより本発明のサラダが製造できる。前記混合処理は、雑穀類等の具材が酸性水中油型乳化状調味料中に略均一に分散する程度に行えばよい。
【0027】
以上のようにして得られた本発明のサラダは、必要に応じて、ポリエチレン製のパウチや成形容器等に入れて容器詰めし、チルドあるいは常温で流通させる容器入り製品とすることができ、製造後食するまでの保存期間が、例えば、1時間以上、更には1日以上経過した場合であっても、雑穀類同士が結着し難く良好な口当たりを有するサラダとなる。
【0028】
以下、本発明のついて、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
(1)雑穀類の加熱処理工程
(1−1)あわの加熱処理工程
精白したあわ(粒径2mm、水分含量14%)を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた。つまり、まず、あわ1部と酢酸濃度0.05%の酢酸水溶液(穀物酢を希釈したもの)20部を二重釜に投入し、あわを酢酸水溶液に浸漬した。この際、二重釜内の内容物の品温は20℃であった。続いて、二重釜の加熱を開始し、内容物の品温が95℃に達温後、15分間加熱し、酢酸水溶液を吸水させて、その後ザルで水きりしてあわを取り出した。なお、水分含量が14%のあわを酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させたことにより、得られたあわの水分含量は40%まで増加した。
【0030】
(1−2)きびの加熱処理工程
精白したきび(粒径2mm、水分含量14%)を(1−1)のあわと同様にして酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた。なお、水分含量が14%のひえを酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させたことにより、得られたきびの水分含量は40%まで増加した。
【0031】
(2)サラダを製造する工程
下記配合割合でサラダを製造した。つまり、ミキサーにマヨネーズ(キユーピー(株)製)、食塩、上白糖及び清水を投入し、次いで、(1)において酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた雑穀類、更に、グリンピースを投入した後、5分間混合して雑穀類及びグリンピースを酸性水中油型乳化状調味料中に略均一に分散してサラダを得た。得られたサラダは、1kgずつポリエチレン製のパウチに充填密封して容器入りサラダとした。
【0032】
<サラダの配合割合>
あわ ※(1−1)で調製したもの 20部
きび ※(1−2)で調製したもの 20部
茹でグリンピース 30部
マヨネーズ 22部
食塩 1部
上白糖 2部
清水 5部
合計 100部
【0033】
[比較例1]
実施例1(1)において、あわ及びきびを酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際、酢酸水溶液の代わりに清水を用いた他は、実施例1(1)と同様にして雑穀類を加熱処理した。次いで、これら清水で加熱処理して得られた雑穀類を用いた他は、実施例1(2)と同様にして容器入りサラダを製造した。
【0034】
[比較例2]
(1)雑穀類の処理工程
(1−1)あわの処理工程
精白したあわ(実施例1と同じもの)を酢酸濃度0.05%の酢酸水溶液(実施例1と同じもの)に一晩浸漬後、ザルで水きりしてあわを取り出した。次に、この酢酸水溶液に浸漬したあわを清水中で加熱し、清水を吸水させた。つまり、まず、この酢酸水溶液に浸漬したあわ1部と清水20部を二重釜に投入した。この際、二重釜内の内容物の品温は20℃であった。続いて、二重釜の加熱を開始し、内容物の品温が95℃に達温後、15分間清水中で加熱し、清水を吸水させて、その後ザルで水きりしてあわを取り出し、更に、あわを酢酸濃度0.05%の酢酸水溶液(実施例1と同じもの)に1時間浸漬しザルで水きりした。
【0035】
(1−2)きびの処理工程
精白したきび(実施例1と同じもの)を(1−1)のあわと同様にして、順次、酢酸水溶液浸漬処理、加熱処理及び酢酸水溶液浸漬処理を行った。
【0036】
(2)サラダを製造する工程
(1)で処理した雑穀類を用いた他は実施例1(2)と同様にして容器入りサラダを製造した。
【0037】
[試験例1]
実施例1並びに比較例1及び2で得られた容器入りサラダを10℃で3日間保管した後、サラダの食感を下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
【0038】
<サラダの食感の評価基準>
A:雑穀類がまったく結着していないため、良好な口当たりを有していて大変好ましい
B:雑穀類がほとんど結着していないため、良好な口当たりを有していて好ましい
C:雑穀類がやや結着しているため、口当たりが悪い
D:雑穀類が結着しているため、口当たりが大変悪い
【0039】
【表1】

【0040】
表1より、酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた雑穀類を用いた実施例1のサラダは、雑穀類同士の結着もなく、また、サラダ全体が良好な口当たりを有していて大変好ましいことが理解できる。これに対して、清水を吸水させながら加熱処理を施し喫食可能な状態にした雑穀類を用いた比較例1のサラダ、及び酢酸水溶液を吸水させた後酢酸水溶液ではなく清水中で加熱処理を施し、喫食可能な状態とした雑穀類を用いた比較例2のサラダは、雑穀類同士が結着して塊状物が生じ口当たりが悪い食感であり好ましくなかった。
【0041】
[試験例2]
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の酢酸水溶液の濃度が、雑穀類を用いたサラダに与える影響を調べるために以下の試験を行った。つまり、実施例1において、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の酢酸水溶液の濃度を表2に示す濃度に変えた他は、実施例1と同様の方法で6種類の容器入りサラダを製した。得られた6種類の容器入りサラダを10℃で3日間保管した後、サラダの食感及びサラダの酸味のバランスを評価した。サラダの食感については試験例1と同様に評価した。サラダの酸味のバランスについては、下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
<サラダの酸味のバランス評価基準>
A:酸性水中油型乳化状調味料の適度な酸味があり大変好ましい。
B:酸性水中油型乳化状調味料とは異なる酸味を感じるが問題のない程度である。
C:酸性水中油型乳化状調味料とは異なる酸味を感じ酸味のバランスがやや悪い。
D:酸性水中油型乳化状調味料とは異なる強い酸味を感じ酸味のバランスが悪い。
【0044】
表2より、穀類の結着を防止してサラダ全体の食感を良好な口当たりにする点からは、酢酸水溶液の濃度は好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005以上であることが理解でき、一方、サラダの酸味のバランスの点からは、酢酸水溶液の濃度は好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.1%以下であることが理解できる。
【0045】
[試験例3]
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の加熱温度が、雑穀類を用いたサラダに与える影響を調べるために以下の試験を行った。つまり、実施例1において、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の加熱温度を表3に示す温度に変えた他は、実施例1と同様の方法で5種類の容器入りサラダを製した。得られた5種類の容器入りサラダを10℃で3日間保管した後、サラダ中の雑穀類の食感を下記評価基準により評価した。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
<雑穀類の食感の評価基準>
A:雑穀類として適度なかたさである。
B:雑穀類としてややかたい食感であるが、問題のない程度である。
C:雑穀類としてややかたい。
D:雑穀類としてかたい。
【0048】
表3より、サラダに用いる雑穀類の食感として、雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させる際の加熱温度においては、好ましくは70℃以上であることが理解できる。
【0049】
[実施例2]
(1)あわの加熱処理工程
精白したあわ(粒径2mm、水分含量14%)を1時間清水に浸漬後、ザルで水きりしてあわを取り出した。水浸漬後のあわの水分含量は25%であった。次に、水浸漬したあわを酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させた。つまり、まず、水浸漬したあわ1部と酢酸濃度0.05%の酢酸水溶液(穀物酢を希釈したもの)5部を二重釜に投入し、あわを酢酸水溶液に浸漬した。この際、二重釜内の内容物の品温は20℃であった。続いて、二重釜の加熱を開始し、内容物の品温が95℃に達温後、15分間加熱し、酢酸水溶液を吸水させて、その後ザルで水きりしてあわを取り出した。なお、水分含量が25%のあわを酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させたことにより、得られたあわの水分含量は50%まで増加した。
【0050】
(2)サラダを製造する工程
下記配合割合でサラダを製造した。つまり、ミキサーにマヨネーズ(キユーピー(株)製)、食塩、上白糖及び清水を投入し、次いで、(1)において酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水させたあわ、更に、小豆を投入した後、5分間混合してあわ及び小豆を酸性水中油型乳化状調味料中に略均一に分散してサラダを得た。得られたサラダは、1kgずつポリエチレン製のパウチに充填密封して容器入りサラダとした。
【0051】
<サラダの配合割合>
あわ ※(1)で調製したもの 30部
小豆(茹で小豆) 30部
マヨネーズ 32部
食塩 1部
上白糖 2部
清水 5部
合計 100部
【0052】
得られた容器入りサラダを10℃で3日間保管した後に食したところ、雑穀類同士の結着もなく、また、サラダ全体が良好な口当たりを有していて大変よい食感であり酸味のバランスもよく好ましいものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑穀類を酢酸水溶液中で加熱し、酢酸水溶液を吸水せしめた後、得られた雑穀類を酸性水中油型乳化状調味料と和えてあることを特徴とするサラダ。
【請求項2】
雑穀類1部を2〜100部の酢酸水溶液に浸漬して加熱する請求項1記載のサラダ。

【公開番号】特開2010−220538(P2010−220538A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71163(P2009−71163)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】