説明

サンシェード装置

【課題】シェードの組み付け作業や復帰作業を容易に行うことができるサンシェード装置を提供する。
【解決手段】サンシェード装置1であって、一対のシェードガイドレール2と、両側縁がシェードガイドレール2にガイドされて室内開口R2を開閉するシェード3と、シェード3を巻き取る巻取りシャフト5と、を有し、シェード3の両側縁は、巻取りシャフト5から引き出されるときには、シェード3の先端側に向かうにつれて徐々に折り返し幅が大きくなる折返しストローク34を経て、折り返された状態でシェードガイドレール2にガイドされ、シェード3の先端の両側縁には、シェード3の側縁部3aを折り返してシェード3の本体部3bに接合して形成された折返し導入部31が予め設けられており、この折返し導入部31は、シェード3の先端からシェード3の開閉方向に沿って所定の長さで形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の固定ルーフに設けられるサンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内開口から光を取り入れたり遮蔽したりするサンシェード装置が知られている。例えば、特許文献1には、光を遮蔽するシェードを巻取りシャフトでロール状に巻き取るサンシェード装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のサンシェード装置は、車両の室内開口の幅方向両側に設けられた一対のシェードガイドレールと、両側縁がシェードガイドレールにガイドされるシェードと、シェードを巻き取る巻取りシャフトとで主に構成されている。特許文献1には、シェードを巻取りシャフトから引き出したときに、シェードの両側縁部を折り返してシェードガイドレールにガイドさせる技術が記載されている。
【0004】
この技術によれば、折り返されたことによってシェードの側縁には元に戻ろうとする復元力が折り返し部全体に亘って連続的に働くので、例えば外的負荷に起因してシェードの側縁が部分的にシェードガイドレールから外れようとしても、その前後の側縁に働く前記復元力に起因してシェードガイドレールに引き戻されるように作用し、シェードの側縁がシェードガイドレールから外れにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−36898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のシェード装置では、シェードガイドレールにシェードを組み付ける場合は、シェードの先端の両側縁部を折り返し、折り返した状態を保持しつつ一対のシェードガイドレールに同時に挿入しなければならないため、組み付け作業が煩雑になるという問題があった。また、仮に、外的負荷に起因してシェードの側縁が部分的にシェードガイドレールから外れた場合、その復帰作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、シェードの組み付け作業や復帰作業を容易に行うことができるサンシェード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、車両の固定ルーフに設けられたサンシェード装置であって、前記固定ルーフの室内開口を挟んで両側に設けられた一対のシェードガイドレールと、両側縁が前記シェードガイドレールにガイドされ前記室内開口を開閉するシェードと、前記シェードを巻き取る巻取りシャフトと、を有し、前記シェードの両側縁は、前記巻取りシャフトから引き出されるときには、前記シェードの先端側に向かうにつれて徐々に折り返し幅が大きくなる折返しストロークを経て、折り返された状態で前記シェードガイドレールにガイドされ、前記シェードの両側縁には、前記シェードの側縁部を折り返して前記シェードの本体部に接合して形成された折返し導入部が予め設けられており、この折返し導入部は、前記シェードの先端から前記シェードの開閉方向に沿って所定の長さで形成されていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、シェードの先端の両側縁に形成された折返し導入部が、シェードの開閉方向に沿って所定の長さで予め設けられているため、シェードの先端をシェードガイドレールに挿入する際に、シェードの側縁部を折り返す手間を省くことができる。これにより、シェードガイドレールへのシェードの組み付け作業や復帰作業を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記シェードの本体部の両側には、前記側縁部を折り返すための折れ線が形成されており、前記折れ線は、前記シェードの開閉方向に沿って形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、折れ線を入れることで、折り返しのきっかけができ、所望の位置でシェードを折り返すことができる。
【0011】
また、前記折返し導入部は、前記シェードの前記側縁部と前記本体部とを縫い合わせて形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、側縁部と本体部とを強固に接合することができるため、折返し導入部の耐久性を高めることができる。
【0012】
また、前記シェードガイドレールは、前記シェードが折り返されて形成された折返し部を収容する溝部を備えており、前記溝部は、前記折返し部よりも車両内側において、鉛直方向に延設されたリブ部を備えていることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、前記溝部の車両内側の高さが小さくなるので、シェードの折返し部が車両内側に抜けるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るサンシェード装置によれば、シェードの組み付け作業や復帰作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】サンシェード装置を示した概略平面図である。
【図2】図1の側断面図である。
【図3】図1のI-I断面図である。
【図4】シェードの先端部周りを示す平面図であって、(a)折返し後、(b)は折り返し前を示す。
【図5】多機能ストッパーの取り付け状態を示した斜視図である。
【図6】多機能ストッパーを示した斜視図であって、(a)は車両後方側から見た図、(b)は車両前方側から見た図である。
【図7】多機能ストッパーを示した図であって、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図8】(a)は多機能ストッパーの取り付け状況を示す斜視図であり、(b)は多機能ストッパーの取り付け後を示す断面図である。
【図9】サンシェード装置の作用を示した概略平面図であって(a)は全閉時、(b)は全開時を示す。
【図10】サンシェード装置の作用を示す側断面図である。
【図11】サンシェード装置の作用を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について適宜図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るサンシェード装置1は、車両Rの固定ルーフR1に設置され、室内開口R2から光を取り入れたり遮蔽したりする装置である。
【0017】
本実施形態に係る車両Rには、車両後方側に設置されたサンシェード装置1Aと、車両前方側に設置されたサンシェード装置1Bとを備えている。サンシェード装置1A,1Bはシェードガイドレール2を共有して、車両前後方向に略対称に配置されており、観音開きの要領で室内開口R2の開閉を行うようになっている。
【0018】
図2に示すように、サンシェード装置1A,1Bの上方には搭乗者の操作に応じて開閉するサンルーフパネルNが設置されている。サンルーフパネルNは、チルトアップ又はチルトダウンして車両の前後方向に移動するようになっている。符号T1は、フロントガーニッシュを示し、符号T2は固定パネルを示している。また、符号U1,U2はルーフライニングを示している。
【0019】
サンシェード装置1A,1Bは、配置方向を除いては略同等の構成であるため、ここでは車両後方側に設置されたサンシェード装置1Aを例示して説明する。
【0020】
サンシェード装置1(1A)は、図1に示すように、室内開口R2の幅方向両側に設置された一対のシェードガイドレール2と、室内開口R2の上方を覆うシェード3と、シェード3の先端側に設けられた把手4と、シェード3の繰り出し又は巻き取りを行う巻取りシャフト5と、シェードガイドレール2の端部に取り付けられた多機能ストッパー6とを有する。
【0021】
シェードガイドレール2は、アルミニウム合金製の押出形材であって、シェード3を前後方向にガイドする部材である。シェードガイドレール2は、室内開口R2の前後方向の開口長よりも長く形成されている。対向するシェードガイドレール2,2は、平行に配置されている。
【0022】
シェードガイドレール2は、図3に示すように、底板部11と、外壁部12と、中板部13と、内壁部14と、上板部15とで構成されている。底板部11は、第一底板部16と、第二底板部17と、第三底板部18とを備えている。第三底板部18は、第一底板部16と第二底板部17との間に配置され、第一底板部16及び第二底板部17よりも一段上に形成されている。第一底板部16の車両内側端にはリブ部16aが形成されている。
【0023】
外壁部12は、第二底板部17に垂直に立設されている。中板部13は、外壁部12から車両内側に向けて張り出しており、外壁部12に対して垂直になっている。中板部13の内側端には、車両の前後方向に亘って下方に向けて延設されたリブ部13aが形成されている。
【0024】
内壁部14は、中板部13の車両内側から垂直に立設されている。内壁部14と外壁部12の上端の高さ位置は略同等になっている。上板部15は、内壁部14の上端から車両内側に張り出しており、内壁部14に対して垂直になっている。
【0025】
第三底板部18と外壁部12と中板部13とで溝部21が構成されている。溝部21は、シェード3の側縁を折り返して形成された折返し部32が挿通する部位である。一方、第一底板部16と上板部15と内壁部14とで摺動部22が構成されている。摺動部22は、後記するスライドシュー41がスライドする部位である。また、中板部13と外壁部12と内壁部14とで係合溝23が構成されている。係合溝23は、後記する第三係合部62cが係合する部位である。
【0026】
リブ部13aは、図3に示すように、シェード3の折返し部32よりも車両内側において、鉛直方向下方に向けて延設されている。これにより、溝部21の車両内側の高さが小さくなるため、シェード3が車両内側に外れるのを防止することができる。なお、側縁部3aが下側に折り返される場合は、リブ部は、底板部11から上方に向けて延設される構成であってもよい。
【0027】
シェード3は、薄手のスクリーンであって、光を遮る素材で構成されている。シェード3は、図1に示すように、室内開口R2よりも大きな幅で形成されている。シェード3の先端には把手4が取り付けられている。シェード3の基端は、巻取りシャフト5に固定されており、巻取りシャフト5にロール状に巻き取られる。
【0028】
シェード3は、図4の(a)に示すように、その両側縁に側縁部3aを折り返して形成された折返し導入部31を備えている。図4の(b)に示すように、折返し導入部31は、シェード3の側縁部3aを、例えば5mm〜2cm程度の幅で折返し、本体部3bに縫い付けて形成されている。側縁部3aと本体部3bとを縫い付けることで、両者を強固に接合することができるため、折返し導入部31の耐久性を高めることができる。
【0029】
符号Stで示す点線部分は、ステッチである。折返し導入部31は、シェード3の先端からシェード3の開閉方向(本実施形態では前後方向)に亘って前後方向軸と平行に形成されている。縫い代の長さは、特に制限されないが3cm〜15cmの間で適宜設定すればよい。なお、図4の(a)及び(b)では、説明の便宜上、支持ブラケット42を二点鎖線で示している。
【0030】
本体部3bの側部には、側縁部3aと平行に折れ線3cが形成されている。折れ線3cは、側縁部3aを折り込むことで形成された折れ跡である。予め折れ線3cを設けておくことで、シェード3がシェードガイドレール2内に挿入された際に、折り曲げ幅を一定にすることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、シェード3の側縁部3aと本体部3bとを縫製したが、これに限定されるものではない。例えば、ステープラー、接着剤あるいは両面テープ等で側縁部3aと本体部3bを接合(接着)してもよい。
【0032】
把手4は、シェード3の先端側に取り付けられる樹脂製の部材であって、シェード3の開閉時の取っ手となる部位である。把手4は、幅方向軸に対して平行に延設されている。図2に示すように、サンシェード装置1Aの把手4Aと、サンシェード装置1Bの把手4Bとは全閉時において両者が当接するようになっている。図2において破線で示した部分は、把手4A,4Bの全開時における位置を示している。
【0033】
把手4は、図1及び図3に示すように、幅方向に亘って延設された基部40と、基部40の両側端に設けられたスライドシュー41と、基部40の両側端においてスライドシュー41に隣接する支持ブラケット42とを有する。
【0034】
スライドシュー41は把手4への入力によって、摺動部22内を車両前後方向(開閉方向)に摺動する。スライドシュー41は、摺動部22内を安定して摺動する形状であれば、どのような形状であってもよい。なお、本実施形態ではスライドシュー41を摺動部22摺動させているが、スライドシュー41を溝部21に摺動させる構成であってもよい。
【0035】
支持ブラケット42は、図1及び図3に示すように、スライドシュー41よりも車両後方(シェードの開方向側)において、基部40から車両外側に張り出している。支持ブラケット42は、本実施形態では、シェード3の全開位置で多機能ストッパー6と当接する「当接部」として機能する(図11参照)。支持ブラケット42は、基部40と一体でシェードガイドレール2の上方を移動する。支持ブラケット42は、例えば、シェード3を任意の開度位置で保持する保持機構の一部であるドラムを支持する部材である。なお、シェード3を任意の開度位置で保持する保持機構についての説明は本発明の趣旨から外れるため省略する。
【0036】
巻取りシャフト5は、図1及び図2に示すように、シェード3をロール状に巻き取る部材であって、幅方向軸と平行に設置されている。巻取りシャフト5の幅方向の両端は、ホルダー51を介して固定ルーフR1に回動可能に支持されている。
【0037】
多機能ストッパー6は、全開位置におけるシェード3の移動を規制するとともに、シェード3の側縁に係る折返しの案内をする部材である。多機能ストッパー6は、例えば樹脂成形品からなる。多機能ストッパー6は、図5に示すように、シェードガイドレール2の後端(シェードの開方向側の端部)に取り付けられている。より詳しくは、図1に示すように、サンシェード装置1Aに係る多機能ストッパー6A,6Aは、シェードガイドレール2の後端(シェード3Aの開方向側の端部)にそれぞれ取り付けられており、サンシェード装置1Bに係る多機能ストッパー6B,6Bは、シェードガイドレール2の前端(シェード3Bの開方向側の端部)にそれぞれ取り付けられている。
【0038】
多機能ストッパー6は、図6の(a)及び(b)に示すように、断面視略コの字状を呈する基体部61と、基体部61から張り出す3つの係合部62と、基体部61の上に形成された規制部63とで主に構成されている。
【0039】
基体部61は、底部65と、底部65の車両外側に垂直に立設する立壁部66と、立壁部66から車両内側に延設された中央部67とを有する。
【0040】
底部65は、図6の(a)及び図7の(a)に示すように、車両内側に形成された一対の第一案内壁部68と、車両外側に形成された一対の第二案内壁部69とを有する。第一案内壁部68及び第二案内壁部69は、底部65に対して垂直に立設しており、間隔をあけて幅方向に並設されている。図7の(a)に示すように、第一案内壁部68の上方は開放されており、第二案内壁部69の上方は中央部67で覆われている。第一案内壁部68は、第二案内壁部69よりもわずかに高くなっている。
【0041】
第一案内壁部68及び第二案内壁部69は、車両前後方向(シェードの開閉方向)に延設されており、車両後方に向かうにつれて徐々に高さが低くなるようになっている。つまり、第一案内壁部68及び第二案内壁部69の上端は上方に凸状となる曲面(傾斜面)で形成されている。これにより、図7の(b)に示すように、第二案内壁部69の後端(シェードの開方向側の端部)における第二案内壁部69から中央部67までの高さH1は、第二案内壁部69の前端(シェードの閉方向側の端部)における第二案内壁部69から中央部67までの高さH2より大きくなっている。なお、高さH2は、シェードガイドレール2の溝部21の高さH3より小さくなっている。
【0042】
立壁部66は、図6の(a)に示すように、底部65の車両外側の端部に立設する部位である。中央部67は、立壁部66に対して垂直であって、立壁部66の内面から車両内側に延設されている。これにより、基体部61は断面視略コの字状を呈し、この中空部がシェード3の側縁を折り返す折返し案内路70として機能する。
【0043】
係合部62は、図6の(a)及び(b)に示すように、本実施形態では第一係合部62a、第二係合部62b及び第三係合部62cを備えている。係合部62は、シェードガイドレール2の後端(シェードの開方向側の端部)に係合する部位である。
【0044】
第一係合部62aは、底部65の車両内側から車両前方に張り出す板状部である。第一係合部62aは、先端に向けて幅狭になっている。
【0045】
第二係合部62bは、立壁部66の外側面から車両外側及び車両前方に張り出す板状部である。第三係合部62cは、中央部67から車両前方に張り出す板状部である。第三係合部62cは、先端に向けて幅狭になっている。第三係合部62cの先端の下面には、下方に向けて突出する係合突起72(図7の(a)参照)が形成されている。
【0046】
規制部63は、図6に示すように、シェード3を全開位置で規制するための部位である。規制部63は、中央部67に立設する一対の側壁部63a,63bと、側壁部63a,63bの前端側を連結する正面部63cと、側壁部63bと中央部67を連結する横リブ63dとを有する。
【0047】
なお、本実施形態では、正面部63cに丸穴が形成されており、この丸穴に緩衝部材71が嵌合されている。緩衝部材71は、シェード3の全開位置で支持ブラケット(当接部)42と当接する際の衝撃を緩衝する部材であって、例えばゴムで形成されている。緩衝部材71は、必要に応じて設ければよい。
【0048】
次に、サンシェード装置1の組み付け方法について説明する。
図4に示すように、シェード3に折返し導入部31を形成したら、固定ルーフR1に設置されたシェードガイドレール2,2の後端(シェードの開方向側の端部)から摺動部22にスライドシュー41を挿入するとともに、溝部21に折返し導入部31のみを挿入する。この状態で、図8の(a)及び(b)に示すように、シェードガイドレール2の後端に多機能ストッパー6を係合させる。なお、図8ではシェード3の描画は省略している。
【0049】
具体的には、図8の(a)及び(b)に示すように、第一係合部62aをシェードガイドレール2の第一底板部16の下面に当接させ、第二係合部62bをシェードガイドレール2の第二底板部17の上面及び外壁部12の側面に当接させ、第三係合部62cを中板部13に当接させる。第三係合部62cは、中板部13を底面とする係合溝23に嵌合されるとともに、先端に形成された係合突起72(図7の(a)参照)が係合溝23に形成された凹溝23aと係合する。これにより、多機能ストッパー6が位置決めされる。また、規制部63の下面は、上板部15の上面に当接する。これにより、シェードガイドレール2に多機能ストッパー6が組み付けられる。
【0050】
図7の(b)に示すように、シェードガイドレール2に多機能ストッパー6が係合すると、折返し案内路70とシェードガイドレール2の溝部21とが連通する。第二案内壁部69の上端は、溝部21の上面よりも上に位置し、中央部67の下面は、中板部13の下面と面一になる。第二案内壁部69の上端は、溝部21の上面と面一か、それよりも上に位置することが好ましい。また、中央部67の下面は、中板部13と面一かそれよりも下に位置することが好ましい。つまり、多機能ストッパー6を係合させた際に、シェードガイドレール2の端部が露出しない形態であると、シェードガイドレール2の端部とシェード3との引っ掛かりを回避できる。
【0051】
なお、係合突起72を係合溝23の凹溝23aから外しつつ、多機能ストッパー6を車両後方に引き抜くことで、シェードガイドレール2から多機能ストッパー6を簡単に取り外すことができる。
【0052】
次に、サンシェード装置1の作用について説明する。
図9は、サンシェード装置の作用を示した概略平面図であって(a)は全閉時、(b)は全開時を示す。図9の(a)に示すように、搭乗者が把手4を車両前方に移動させると、シェード3が巻取りシャフト5から引き出され、室内開口R2がシェード3で覆われる。この際、シェード3の側縁は、巻取りシャフト5から引き出されてシェードガイドレール2内に挿入されるまでの間に折り返され、折り返された状態でシェードガイドレール2内を移動する。
【0053】
図9の(a)に示すように、シェード3が引き出されている場合、シェード3の側縁は4つの部分に分けられる。符号31で示す部分は前記した「折返し導入部」である。折返し導入部31は、側縁部3aが縫製されているため常に折り返されている。符号32で示す部分は「折返し部」である。折返し部32は、シェードガイドレール2内に挿入されることによって折り返される部分である。
【0054】
符号33で示す部分は、巻取りシャフト5から引き出された直後において側縁部3aが折り返されていない「非折返し部」である。符号34で示す部分は「折返しストローク」である。折返しストローク34は、非折返し部33と折返し部32との間に形成される部分であって、シェード3の先端側(車両前方)に向かうにつれて徐々に折り返し幅が大きくなる部分である。
【0055】
本実施形態のように、巻取りシャフト5から引き出されたシェード3は、その両側縁が折返しストローク34を経て折り返された状態でシェードガイドレール2にガイドされ、室内開口R2を車両前後方向に開閉する。
【0056】
図3に示すように、上方側に折り返された折返し部32の形成により、シェード3の側縁には元に戻ろうとする復元力が折返し部32の全体に亘って連続的に働くので、例えば車両の室内側からシェード3に外的要因が加わり、シェード3の側縁が部分的にシェードガイドレール2から外れようとしても、その前後に働く前記復元力に起因してシェード3の側縁がシェードガイドレール2に引き戻されるように作用する。これにより、シェード3の側縁がシェードガイドレール2から外れにくい構造となる。
【0057】
一方、図9の(b)に示すように、搭乗者が把手4を車両後方に移動させると、シェード3が巻取りシャフト5に巻き取られ、室内開口R2が開放される。把手4の支持ブラケット(当接部)42が多機能ストッパー6の緩衝部材71に当接する位置が全開位置となる。
【0058】
ここで、図9において、符号Sで示す部分は「傾斜変位スペース」である。図10に示すように、シェード3が巻取りシャフト5にロール状に巻き取られる構造においては、巻取りシャフト5からの引き出し直後の経路に側面視傾斜状の傾斜変位スペースSが形成される。図10では、巻取りシャフト5でシェード3が多く巻かれた状態でのシェードの引き出し経路を実線にて示し、シェード3が少なく巻かれた状態でのシェードの引き出し経路を仮想線で示している。
【0059】
このように巻取りシャフト5とシェードガイドレール2との間には必ず傾斜変位スペースSが形成されることになるが、仮に傾斜変位スペースSの車両前後方向の寸法を縮めると、つまり巻取りシャフト5とシェードガイドレール2との間隔を詰めると、シェード3の傾斜角度θが大きくなる。傾斜角度θが大きくなると、鉛直方向の成分が大きくなることから、把手4(図9参照)による水平方向の操作荷重のロスが大きくなり、把手4に大きな手動操作力を要することになる。このことから、傾斜変位スペースSの車両前後方向の寸法にはある程度余裕のある寸法が必要である。本実施形態のように、折返しストローク34が形成される場合には、傾斜変位スペースSの車両前後方向の寸法として折返しストローク34以上の寸法が必要になる。
【0060】
以上説明した本実施形態に係るサンシェード装置1よれば、折返し導入部31がシェード3の両側縁に予め形成されているため、シェード3の先端をシェードガイドレール2に挿入する際に、シェード3の先端の側縁部3aを折り返す手間を省くことができる。これにより、シェードガイドレール2へのシェード3の組み付け作業や復帰作業を容易に行うことができる。
【0061】
また、シェード3の本体部3bの両側に、折れ線3cが形成されているため、折り返しのきっかけができ、所望の位置でシェード3を折り返すことができる。
【0062】
また、本実施形態では多機能ストッパー6の緩衝部材71(規制部63)に支持ブラケット42が当接することで、シェード3の移動を全開位置で規制することができる。また、図10に示すように、折返し案内路70は、シェードガイドレール2の溝部21に連通するとともに、折返し案内路70において、シェード3の後端側(シェードの開方向側)の端部の開口高さH1が、溝部21の高さH3よりも大きくなっている。これにより、側縁が折り返されたシェード3が、折返し案内路70に案内されてシェードガイドレール2にスムーズに挿入される。よって、シェード3の折返し部32の折れ幅を一定にすることができる。
【0063】
また、折返し案内路70において、シェード3の前端側(シェードの閉方向側)の端部の開口高さH2は、溝部21の高さH3よりも小さく形成されるとともに、シェードガイドレール2の端部が露出しない態様になっている。これにより、シェード3がシェードガイドレール2の端部に接触しないため、シェード3とシェードガイドレール2の端部との接触によるシェード3の破損を防止することができる。
【0064】
また、多機能ストッパー6の第一案内壁部68及び第二案内壁部69は、図10に示すように、車両後方側(シェードの開方向側)に向けて徐々に低くなるように形成されているため、シェード3を案内しやすくなっている。つまり、シェード3は巻取りシャフト5への巻き取り量によって側面視した場合の傾斜角度が変化するが、第一案内壁部68及び第二案内壁部69の上面が車両後方側(シェードの開方向側)に向けて低くなる曲面で形成されているため、シェード3をよりスムーズに案内することができる。また、これにより、傾斜角度の変化に起因するシェード3と第一案内壁部68及び第二案内壁部69の摩擦抵抗を軽減することができる。
【0065】
また、多機能ストッパー6の第一案内壁部68及び第二案内壁部69は、幅方向に間隔をあけて複数個立設されることにより、シェード3との摩擦をより少なくすることができるため、シェード3の磨耗をより防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態では、仮に、室内側からの外的要因によって、シェード3の一部がシェードガイドレール2から外れた場合は、図11に示すように、把手4を全開位置、つまり、支持ブラケット42が多機能ストッパー6の緩衝部材71(規制部63)に当接する位置まで一旦移動させた後、再度シェード3を引き出すだけで復帰する。全開位置ではシェード3の大部分は巻取りシャフト5に巻き取られるため、シェード3の縒れた部分を解消することができる。さらに、全開位置では、折返し導入部31が折返し案内路70内に位置しているため、全開位置から把手4を引き出すだけで、シェード3がシェードガイドレール2に再度ガイドされる。
【0067】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において、適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では多機能ストッパー6を設けたが、設けなくてもよい。また、多機能ストッパー6は、この構造に限定されるものではなく、シェード3の全開位置で移動を規制することができるとともにシェード3を挿通させることができれば、他の構造であってもよい。
【0068】
また、本実施形態では、車両の前後方向に一対のサンシェード装置1A,1Bを設置したが、いずれか一方のみ設置して室内開口R2の全部を覆うようにしてもよい。また、本実施形態では、車両の前後方向にシェード3が開閉する形態であったが、車両の幅方向に開閉する形態であってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、規制部63をシェードガイドレール2の上に配置し、把手4に形成された支持ブラケット42と当接させたが、これに限定されるものではない。具体的な図示はしないが、例えば、多機能ストッパー6の摺動部22に臨む部位にスライドシュー41の移動を規制する部位(規制部)を設け、この規制部とスライドシュー41を当接させる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 サンシェード装置
2 シェードガイドレール
3 シェード
3a 側縁部
3b 本体部
3c 折れ線
4 把手
5 巻取りシャフト
6 多機能ストッパー
21 溝部
22 摺動部
31 折返し導入部
32 折返し部
33 非折返し部
34 折返しストローク
40 基部
41 スライドシュー
42 支持ブラケット(当接部)
51 ホルダー
61 基体部
62 係合部
63 規制部
65 底部
66 立壁部
67 中央部
68 第一案内壁部
69 第二案内壁部
70 折返し案内路
71 緩衝部材
72 係合突起
R 車両
R1 固定ルーフ
R2 室内開口
St ステッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の固定ルーフに設けられたサンシェード装置であって、
前記固定ルーフの室内開口を挟んで両側に設けられた一対のシェードガイドレールと、
両側縁が前記シェードガイドレールにガイドされ前記室内開口を開閉するシェードと、
前記シェードを巻き取る巻取りシャフトと、を有し、
前記シェードの両側縁は、前記巻取りシャフトから引き出されるときには、前記シェードの先端側に向かうにつれて徐々に折り返し幅が大きくなる折返しストロークを経て、折り返された状態で前記シェードガイドレールにガイドされ、
前記シェードの両側縁には、前記シェードの側縁部を折り返して前記シェードの本体部に接合して形成された折返し導入部が予め設けられており、この折返し導入部は、前記シェードの先端から前記シェードの開閉方向に沿って所定の長さで形成されていることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項2】
前記シェードの本体部の両側には、前記側縁部を折り返すための折れ線が形成されており、前記折れ線は、前記シェードの開閉方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサンシェード装置。
【請求項3】
前記折返し導入部は、前記シェードの前記側縁部と前記本体部とを縫い合わせて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサンシェード装置。
【請求項4】
前記シェードガイドレールは、前記シェードが折り返されて形成された折返し部を収容する溝部を備えており、
前記溝部は、前記折返し部よりも車両内側において、鉛直方向に延設されたリブ部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のサンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−91648(P2012−91648A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239809(P2010−239809)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)