説明

サンプリング装置およびサンプリング方法

【課題】高い帯域の信号をサンプリングする。
【解決手段】被測定信号をサンプリングするサンプリング装置であって、被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力するサンプル処理部と、サンプルデータを記憶する記憶部と、記憶部から読み出したサンプルデータに基づいて、被測定信号の波形を生成する波形生成部と、を備え、サンプル処理部は、基準クロックに同期して被測定信号をサンプリングするサンプラと、サンプラが出力するサンプルデータを間引きして、不等間隔のサンプルタイミングにおけるサンプルデータとして出力するデータ間引部とを有するサンプリング装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング装置およびサンプリング方法に関する。特に本発明は、被測定信号をサンプリングするサンプリング装置およびサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一のサンプリング周波数で位相差を有する2つのサンプリングタイミングを用いたサンプリング方法(2nd order sampling)が提案されている(非特許文献1参照。)。更に、サンプリング周期毎にN個の標本点でサンプリングする場合について検討されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Arthur Kohlenberg,"Exact Interpolation of Band-Limited Functions",JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,Vol. 24,No. 12,1953年12月
【非特許文献2】木田拓郎,黒田徹,「バンドバス型帯域制限波形の内挿による再生可能性と標本点配置との関係」,電気通信学会論文誌,Vol. J67-A,No. 7,pp. 717-724,1984年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法においては、不等間隔のN個のサンプリングタイミングを1周期分とし、被測定信号を複数周期にわたって繰り返しサンプリングを行ったサンプリングデータと、各サンプリングタイミングの位相に基づき導出したサンプリング関数との間で畳み込み演算を行って被測定信号の連続時間関数を得る。そして、連続時間関数に対して目的の時間間隔を有する離散時間を順次代入していくことにより、離散時間の波形データを得る。
【0005】
このように、従来の方法においては、サンプリング関数を導出しなければならず、またサンプリング関数に対して時間を代入して波形データの値を順次求めなおす必要があったので、信号処理が複雑となっていた。
【0006】
また、高い信号帯域の信号を取得する方法として、複数のAD変換器のサンプリングタイミングを交互に等間隔ずらして動作させるインターリーブ手法も知られている。しかし、このような手法では、AD変換器の数に比例して単位時間に取得するデータ量が増加し、この結果、後段のメモリ回路等の回路規模が増大する。
【0007】
また、高い信号帯域の信号を取得する方法として、ミキサでダウンコンバートした信号を取得する方法が知られている。しかし、このような手法では、ローカル発振器およびフィルタ等の回路を備えなければならなく、回路規模が増大する。
【0008】
また、高い信号帯域の信号を取得する方法として、アンダーサンプリング手法が知られている。しかし、アンダーサンプリング手法では、取得できる帯域に制限が生じてしまう。例えば、AD変換器が1個の場合には、信号の帯域幅が、fs/2より狭く、且つ、(fs/2)の倍数をまたがないことが、取得できる信号の条件となってしまう(fsは、サンプリング周波数を表わす。)。また、2個のAD変換器をインターリーブしてアンダーサンプリングしたとしても、(fs/2)の倍数をまたぐ信号を取得することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態によると、被測定信号をサンプリングするサンプリング装置であって、前記被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力するサンプル処理部と、前記サンプルデータを記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した前記サンプルデータに基づいて、前記被測定信号の波形を生成する波形生成部と、を備えるサンプリング装置およびサンプリング方法を提供する。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るサンプリング装置10の構成を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るサンプリング装置10の動作を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る帯域制限部110の通過帯域を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係るサンプル処理部115の動作タイミングを示す。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るAD変換器125がサンプリングする被測定信号に生ずるレプリカを示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係るサンプル処理部115によりレプリカが打ち消される周波数帯域を示す。
【図7】図7(a)は、本発明の実施形態に係るサンプル処理部115に入力される被測定信号を示す。図7(b)は、サンプル処理部115が出力する信号を示す。図7(c)は、合成レプリカ720eに基づいて被測定信号の周波数成分730を再現することを示す。
【図8】図8(a)は、本発明の実施形態に係るサンプル処理部115に入力される被測定信号の他の例を示す。図8(b)は、本発明の実施形態に係るサンプル処理部115が出力する信号の他の例を示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態の第1変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態の第2変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態の第3変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態の第4変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るサンプリング装置10の構成を示す。本実施形態に係るサンプリング装置10は、被測定信号をサンプリングして被測定信号の波形データを生成する。より具体的には、サンプリング装置10は、被測定信号を、不等間隔の複数のサンプリング位相でサンプリング動作繰り返し周期毎に繰り返しサンプリングする。ここで、サンプリング装置10は、被測定信号の周波数帯域に応じて適切な各サンプリング位相を選択し、及び/又はサンプリングしたデータの符号を適切に変更することにより、サンプリングにより生じる被測定信号のレプリカおよび被測定信号の負の周波数成分のレプリカのうち、観測対象でないレプリカ同士を打ち消し合わせる。この結果、サンプリング装置10は、サンプリングしたデータ列中に観測対象のレプリカを残すことができ、当該レプリカに基づいて被測定信号の波形データを生成することができる。
【0014】
サンプリング装置10は、入力部100と、設定部105と、帯域制限部110と、サンプル処理部115と、記憶部140と、波形生成部150とを備える。入力部100は、被測定信号の観測帯域を入力する。設定部105は、入力された観測帯域に基づいて、通過させる周波数帯域を帯域制限部110に設定し、複数のサンプリング位相をサンプル処理部115内のクロック制御部120に対して設定し、サンプリングしたデータのマルチプレクス方法をサンプル処理部115内のマルチプレクサ130に対して設定し、複数のサンプリング位相のうちいずれのサンプリング位相においてサンプリングした被測定信号の値の正負を反転するかをサンプル処理部115内の反転部135に対して設定する。
【0015】
帯域制限部110は、アナログ信号である被測定信号を入力し、設定部105から指定された通過周波数帯域の周波数成分をサンプル処理部115へと通過させ、当該通過周波数帯域以外の周波数成分を減衰または制限する。なお、被測定信号の周波数帯域が予め規定されている場合等においては、サンプリング装置10は、帯域制限部110を省いて構成されてもよい。
【0016】
サンプル処理部115は、帯域制限部110から観測帯域内に制限された被測定信号を受け取って、当該被測定信号を不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力する。これにより、サンプル処理部115は、サンプリングにより生じる被測定信号の不要なレプリカ同士を打ち消し合うようにして、観測対象のレプリカを残したサンプルデータを出力する。サンプル処理部115は、クロック制御部120と、AD変換器125−1〜2と、マルチプレクサ130と、反転部135とを有する。
【0017】
クロック制御部120は、設定部105からの設定を受けて、サンプリング動作繰り返し周期毎に、不等間隔の複数のサンプリング位相で、複数のサンプリングクロックを発生する。複数のAD変換器125(AD変換器125−1〜2)は、サンプリング部の一例であり、被測定信号を複数のサンプリングクロックのそれぞれによりサンプリングする。個々のAD変換器125は、サンプラの一例として機能し、それぞれが複数のサンプリングクロックのそれぞれに対応して設けられ、サンプリングクロック毎に対応するサンプリングクロックによりアナログの被測定信号をサンプリングしてデジタルのサンプルデータとして出力する。本実施形態において、サンプル処理部115は、一例として2個のAD変換器125を有するが、AD変換器125の数は3以上であってもよい。
【0018】
マルチプレクサ130は、複数のAD変換器125からのサンプルデータおよび例えば0である定数を切り替えながら選択することにより、これらのデータをマルチプレクスして、マルチプレクスしたサンプルデータとして出力する。反転部135は、設定部105からの設定を受けて、必要に応じて複数のサンプリング位相のうち少なくとも1つのサンプリング位相でサンプリングした被測定信号の値(サンプルデータの値)の正負を反転する。設定によっては、反転部135は、いずれのデータ値の符号も反転しなくてもよい。なお、サンプリング装置10は、反転部135を省いて構成され、データ値の符号の反転せずサンプリング位相の選択によって不要なレプリカ同士を打ち消すようにしてもよい。
【0019】
記憶部140は、サンプル処理部115が出力するサンプルデータを記憶する。一例として記憶部140は、サンプル処理部115が順次出力するサンプルデータのデータ列を、連続するアドレスに順次格納していくメモリを有してもよい。以上に代えて、または、以上に加えて、記憶部140は、各AD変換器125に対応して分散して設けられ、各AD変換器125が出力するサンプルデータをそれぞれ一時的に格納してもよい。また、サンプリング装置10は、記憶部140を省いて構成されてもよい。
【0020】
波形生成部150は、記憶部140から読み出したサンプルデータに基づいて、被測定信号の波形データを生成する。すなわち、波形生成部150は、サンプル処理部115から受け取った観測対象のレプリカから、被測定信号の波形データを生成する。波形生成部150は、フーリエ変換部155と、抽出部160と、周波数変換部162と、逆フーリエ変換部165とを有する。
【0021】
フーリエ変換部155は、反転部135が出力する出力信号であるサンプルデータを記憶部140から読み出して、周波数領域にフーリエ変換する。抽出部160は、周波数領域における観測対象のレプリカを抽出する。周波数変換部162は、周波数領域における観測対象のレプリカに基づいて、周波数領域における被測定信号を生成する。逆フーリエ変換部165は、生成された周波数領域における被測定信号を逆フーリエ変換して、時間領域における被測定信号の波形データを生成する。
【0022】
図2は、本実施形態に係るサンプリング装置10の動作を示す。
まず、入力部100は、被測定信号の観測帯域を入力する(S200)。ここで、入力部100は、被測定信号の観測帯域の指定をユーザから入力してもよい。これに代えて、サンプリング装置10が、観測帯域をずらしながら被測定信号をサンプリングしていくことにより、広帯域でのサンプリングを可能とする方式(すなわちスイープ方式)をとる場合には、サンプリング装置10内の制御部から、1回の測定において複数回の観測帯域の指定を入力してもよい。
【0023】
次に、設定部105は、入力部100から観測帯域を受け取り、観測帯域に応じて帯域制限部110、クロック制御部120、マルチプレクサ130、および反転部135の設定処理を行う(S205)。設定部105は、帯域制限部110の通過帯域として、当該観測帯域を設定する。
【0024】
また、設定部105は、サンプリング帯域内において、当該サンプリング帯域の帯域幅未満の帯域幅を有する観測帯域内の被測定信号のレプリカおよび負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消すように定めた不等間隔の複数のサンプリング位相を、クロック制御部120に対して設定する。ここで、サンプリング帯域とは、被測定信号の波形データを生成することを目的として、他のレプリカと干渉しない被測定信号(正の周波数成分または被測定信号の負の周波数成分)のレプリカを抽出する周波数帯域である。このサンプリング帯域は、観測帯域以下または観測帯域より低い周波数位置の帯域であってよく、観測帯域によらず周波数位置が固定であっても観測帯域に応じて周波数位置が可変であってもよい。本実施形態において、サンプリング帯域は、4つのサンプリング位相を用いた場合の一例として0からサンプリング動作繰り返し周波数の2倍未満またはサンプリング動作繰り返し周波数からサンプリング動作繰り返し周波数の3倍未満までの周波数帯域である。
【0025】
また、設定部105は、AD変換器125−1〜2がそれぞれ出力するサンプルデータと、定数0とを選択する順序をマルチプレクサ130に指定する。また、設定部105は、サンプリング帯域内において、観測対象でないレプリカが打ち消されるように、観測帯域に基づいて、複数のサンプリング位相のそれぞれについて、当該サンプリング位相においてサンプリングした被測定信号の値の正負を反転するか否か、あるいは、複数のサンプリング位相のうちいずれのサンプリング位相においてサンプリングした被測定信号の値の正負を反転するかを反転部135に対して設定する。なお、設定部105は、サンプリング位相の選択および反転有無の組み合わせによって、サンプリング帯域内において観測対象でない全てのレプリカが打ち消されるようにしてよい。
【0026】
次に、サンプリング装置10は、測定を開始し、被測定信号を入力する(S210)。
【0027】
次に、帯域制限部110は、被測定信号における観測帯域の周波数成分を通過させ、観測帯域以外の周波数成分を減衰または制限する。図3は、サンプリングクロックの周波数であるfsの1.5倍から2.5倍の周波数帯域を通過帯域320として設定された帯域制限部110が、fsの2倍を中心として分布する被測定信号を通過させる例を示す。被測定信号300を通過させることにより、後段のサンプリングによって、周波数0の軸を中心として負の周波数側に被測定信号300と対称な負の周波数成分310が生じる。
【0028】
次に、クロック制御部120およびAD変換器125−1〜2は、サンプリング動作繰り返し周期毎に、被測定信号を、不等間隔の複数のサンプリング位相でサンプリングする(S220)。すなわち、クロック制御部120は、サンプリング動作繰り返し周期毎に、サンプリング帯域内において被測定信号のレプリカおよび被測定信号の負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消すように定めた不等間隔の複数のサンプリング位相で、複数のサンプリングクロックを発生する。複数のAD変換器125は、被測定信号を複数のサンプリングクロックのそれぞれによりサンプリングする。
【0029】
次に、マルチプレクサ130は、各AD変換器125が出力するサンプルデータ、および、定数0を、設定部105により設定された順序でマルチプレクスして出力する(S225)。次に、反転部135は、設定部105の設定に応じて、マルチプレクサ130から受け取ったサンプルデータのデータ列中の指定されたデータの符号を反転する(S230)。次に、記憶部140は、サンプル処理部115が出力するサンプルデータのデータ列を記憶する(S235)。
【0030】
次に、フーリエ変換部155は、サンプルデータを周波数領域にフーリエ変換する(S240)。次に、抽出部160は、周波数領域における観測対象のレプリカを抽出し、周波数変換部162は、周波数領域における観測対象のレプリカに基づいて、周波数領域における被測定信号を生成する(S245)。ここで、抽出部160は、サンプルデータをフーリエ変換した結果得られる周波数毎の成分のうち、サンプリング帯域以外の周波数成分を除去することで、観測対象のレプリカを抽出する。そして、周波数変換部162は、観測対象のレプリカを観測帯域に周波数シフトして、被測定信号の周波数成分を再現する。
【0031】
次に、逆フーリエ変換部165は、周波数変換部162が生成した被測定信号の周波数成分を逆フーリエ変換して、被測定信号のデジタル波形データを得る(S250)。そして、逆フーリエ変換部165は、被測定信号の波形データを出力する(S255)。
【0032】
図4は、本実施形態に係るサンプル処理部115の動作タイミングを示す。
クロック制御部120は、周波数fs(周期1/fs)のサンプリングクロックCLK1と、周波数fsかつCLK1から1/(3fs)だけ遅れたサンプリングクロックCLK2とを出力する。AD変換器125−1は、CLK1の立上りタイミングで、帯域制限部110を介して入力される被測定信号をAD変換(アナログ−デジタル変換)することによりサンプリングする。AD変換器125−2は、CLK2の立上りタイミングで、帯域制限部110を介して入力される被測定信号をAD変換することによりサンプリングする。
【0033】
マルチプレクサ130は、サンプリングクロックの周期毎に、1/3周期の間AD変換器125−1が出力するサンプルデータD1(k)(kは整数)を出力し、次の1/3周期の間AD変換器125−2が出力するサンプルデータD2(k)を出力し、残りの1/3周期の間定数0を出力する。反転部135は、AD変換器125−1およびAD変換器125−2が出力したサンプルデータを、1回おきに負に反転する。すなわち、反転部135は、AD変換器125−1およびAD変換器125−2が出力したサンプルデータを、サンプリングクロックのある周期において正負を反転せずに出力し、次の周期において正負を反転して出力する。
【0034】
以上の処理により、サンプル処理部115は、図3に示した被測定信号300を、周期1/fs内に、AD変換器125−1の出力データD1(k)、AD変換器125−2の出力データD2(k)、定数0を順に含み、次の周期1/fsにおいてはD1(k+1)およびD2(k+1)の正負が反転されたサンプルデータとして出力する。
【0035】
図5は、本実施形態に係るAD変換器125がサンプリングする被測定信号に生ずるレプリカを示す。上述したように、反転部135は、サンプリングクロックのある周期において正負反転しないサンプルデータを出力し、次の周期において正負反転したサンプルデータを出力する。したがって、反転部135は、サンプリングクロックの2周期分に対応するサンプリング動作繰り返し周期(すなわち、周期2/(fs))毎に、D1(k)、D2(k)、0、−D1(k+1)、−D2(k+1)、0を出力していると見なすことができる。
【0036】
これは、AD変換器125−1〜2が、サンプリング動作繰り返し周期2/(fs)毎に、被測定信号を、サンプリング動作繰り返し周期に対して0°、60°、180°、240°の4つのサンプリング位相(以下、順に第1、第2、第3、第4のサンプリング位相と示す。)でサンプリングし、反転部135が、これらの4つのサンプリング位相のうち180°および240°のサンプリング位相でサンプリングした被測定信号の値の正負を反転していることを意味する。ここで、これら4つのサンプリング位相のうちの1つ、例えば0°のサンプリング位相に着目すると、サンプリング動作繰り返し周期2/(fs)(すなわち、サンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fs)で等間隔のアンダーサンプリングをしている。
【0037】
この場合、1.5fsから2.5fsまでの観測帯域内に存在する被測定信号300、すなわち被測定信号300の正の周波数成分がサンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsの整数倍だけ周波数シフトした位置に、被測定信号300と同様の周波数スペクトルを有するレプリカ510a、c〜f(エイリアスとも表される)が生じる。また、−1.5fsから−2.5fsまでの周波数帯域内に存在する被測定信号300の負の周波数成分310がサンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsの整数倍シフトした位置に、負の周波数成分310と同様の周波数スペクトルを有するレプリカ520a〜fが生じる。このように、(1/2)fsの整数倍をまたぐような被測定信号300を、AD変換器125によりサンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsでサンプリングした場合には、被測定信号300のレプリカ510と、被測定信号300の負の周波数成分310のレプリカ520とが周波数軸上で重なってしまい、一方のみのレプリカを抽出するのが困難となってしまう。
【0038】
図6は、本実施形態に係るサンプル処理部115によりレプリカが打ち消される周波数帯域を示す。上述したように、本実施形態に係るサンプル処理部115は、サンプリング動作繰り返し周期2/(fs)毎に、第1から第4のサンプリング位相で被測定信号をサンプリングする。ここで、位相差を有する複数のサンプリング位相で被測定信号をサンプリングした場合において、各サンプリング位相に対応する、被測定信号を基準としてサンプリング動作繰り返し周波数のk倍(kは整数)分周波数シフトした位置に生じるレプリカ同士の位相差は、サンプリング動作繰り返し周波数における位相差のk倍の位相差を有することとなる。例えば、サンプリング動作繰り返し周波数において60°の位相差を有する2つのサンプリング位相で被測定信号をサンプリングした場合、被測定信号をサンプリング動作繰り返し周波数分高周波数側にシフトしたレプリカ同士は60°の位相差を有し、サンプリング動作繰り返し周波数の2倍分高周波数側にシフトしたレプリカ同士は120°の位相差を有し、サンプリング動作繰り返し周波数の3倍分高周波数側にシフトしたレプリカ同士は180°の位相差を有することとなる。また、被測定信号をサンプリング動作繰り返し周波数分低周波数側にシフトしたレプリカ同士は−60°の位相差を有し、サンプリング動作繰り返し周波数の2倍分低周波数側にシフトしたレプリカ同士は−120°の位相差を有し、サンプリング動作繰り返し周波数の3倍分低周波数側にシフトしたレプリカ同士は−180°の位相差を有することとなる。
【0039】
したがって、第1のサンプリング位相(すなわち、サンプリング動作繰り返し周期に対して0°のサンプリング位相)によりサンプリングされた被測定信号300のレプリカ510を基準とすると、第2のサンプリング位相によりサンプリングされた被測定信号300のレプリカ510は、中心周波数が2fsの被測定信号300を基準として、(1/2)fsずつ高周波数側にシフトする毎に60°ずつ位相差が増加し、(1/2)fsずつ低周波数側にシフトする毎に60°ずつ位相差が減少する。同様に、第3のサンプリング位相によりサンプリングされた被測定信号300のレプリカ510は、被測定信号300を基準としてサンプリング動作繰り返し周波数ずつ周波数シフトする毎に±180°ずつ位相差が変化し、第4のサンプリング位相によりサンプリングされた被測定信号300のレプリカ510は、被測定信号300を基準としてサンプリング動作繰り返し周波数ずつ周波数シフトする毎に±240°ずつ位相差が変化する。
【0040】
そして、位相差が正反対(すなわち位相差が180°)のレプリカ同士を加算するとレプリカ同士で打ち消しあうこと、および、第3のサンプリング位相および第4のサンプリング位相によりサンプリングしたサンプルデータは正負が反転されていることから、例えば、0.5fsを中心とする4つのレプリカ、すなわち0°、180°、180°、0°等は打ち消されて消滅する。同様に、図6中の各周波数を中心とする4つの被測定信号300またはレプリカ510のうち、「消滅」と示したものについては打ち消されて消滅する。
【0041】
図7の(a)は、本実施形態に係るサンプル処理部115に入力される被測定信号を示す。図7の(b)は、サンプル処理部115が出力する信号を示す。図7の(c)は、合成レプリカ720eに基づいて被測定信号の周波数成分730を再現することを示す。
【0042】
図6に示したように、被測定信号300を基準として、サンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsの偶数倍シフトしたレプリカ510同士、およびサンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsの±3倍周波数シフトしたレプリカ510同士は打ち消される。これにより、図7(b)に示したように、0、0.5fs、fs、2fs、3fs等を中心とする被測定信号300またはレプリカ510同士は打ち消されて消滅する。一方、1.5fsおよび2.5fs等を中心とするレプリカ510同士は打ち消されずに足し合わされて、合成レプリカ710cおよび合成レプリカ710a等として残る。
【0043】
同様に、0、fs、2fs、2.5fs、3fs等を中心とする被測定信号300の負の周波数成分310のレプリカ520同士は打ち消されて消滅し、0.5fs、1.5fs等を中心とするレプリカ520同士は打ち消されずに足し合わされて、合成レプリカ720cおよび合成レプリカ720e等として残る。したがって、本実施形態におけるサンプリング帯域である0から周波数fs未満までの周波数帯域内においては、合成レプリカ720eのみが残ることになる。
【0044】
このように、設定部105は、0から周波数fs未満までのサンプリング帯域内において、当該サンプリング帯域の帯域幅未満の帯域幅を有する観測帯域内の被測定信号のレプリカおよび負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消すように、不等間隔の複数のサンプリング位相をクロック制御部120に設定し、及び/又は、複数のサンプリング位相のうち少なくとも1つのサンプリング位相でサンプリングした被測定信号の値の正負を反転するように反転部135に対して設定することができる。これに応じて、クロック制御部120および複数のAD変換器125は、サンプリング帯域内において、当該サンプリング帯域の帯域幅未満の帯域幅を有する観測帯域内の被測定信号のレプリカおよび負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消す複数のサンプリング位相で被測定信号をサンプリングすることができる。また、反転部135は、複数のサンプリング位相のうち少なくとも1つのサンプリング位相でサンプリングした被測定信号の値の正負を反転することにより、サンプリング帯域内において被測定信号のレプリカおよび被測定信号の負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消すことができる。
【0045】
より具体的には、設定部105は、被測定信号または負の周波数成分がサンプリング動作繰り返し周波数の整数倍(例えば−3倍)シフトして生じたレプリカを打ち消す場合には、位相差の当該整数倍に相当する時間がサンプリング動作繰り返し周期の倍数(0倍も含む。)に1/2周期を加えた値となる第1のサンプリング位相および第1のサンプリング位相とは異なる第2のサンプリング位相(例えば0°および60°のサンプリング位相)を含む複数のサンプリング位相をクロック制御部120に対して設定すればよい。また、設定部105は、被測定信号または負の周波数成分がサンプリング動作繰り返し周波数の整数倍(例えば−3倍)シフトして生じたレプリカを打ち消す場合に、位相差の当該整数倍がサンプリング動作繰り返し周期の倍数となる第1および第2のサンプリング位相(例えば0°および120°のサンプリング位相)を含む複数のサンプリング位相をクロック制御部120に対して設定し、第2のサンプリング位相(120°)においてサンプリングした被測定信号の値の正負を反転し、かつ、第1のサンプリング位相(0°)においてサンプリングした被測定信号の正負を反転しないように反転部135に対して設定すればよい。
【0046】
フーリエ変換部155は、以上に示した周波数スペクトルを有する時間領域のサンプルデータを記憶部140から読み出して、周波数領域にフーリエ変換する。これにより、フーリエ変換部155は、図7(b)に示した周波数領域のサンプルデータを得る。
【0047】
次に、抽出部160は、帯域制限(バンドパス)フィルタまたは低域通過(ローパス)フィルタ処理を実行して、周波数領域のサンプルデータから、観測対象とするサンプリング帯域内の合成レプリカ720eを抽出する。次に、周波数変換部162は、合成レプリカ720eを観測帯域である1.5fsから2.5fsまでの周波数帯域に周波数シフトする。ここで、本実施形態のように、被測定信号300の負の周波数成分310のレプリカを観測対象とする場合には、図7(c)中の合成レプリカ720eに示したように、元の被測定信号300に対して周波数方向に反転している。このような場合には、抽出部160または周波数変換部162は、合成レプリカ720eを周波数方向に反転させて、被測定信号300の周波数スペクトルを再現してもよい。
【0048】
また、合成レプリカ720eは、周波数シフトにより元の負の周波数成分310に対して位相が変化した複数のレプリカ510eが重なり合っているので、元の負の周波数成分310とは異なる大きさおよび位相を有する場合がある。例えば、本実施例において、第1から第4のサンプリング位相に応じた負の周波数成分310の4つのレプリカ520eは、負の周波数成分310からサンプリング動作繰り返し周波数(1/2)fsの5倍分周波数シフトしたものとなるから、0°、300°、180°、120°の位相を有する(図6参照。)。1番目および2番目のレプリカ520eを加え、3番目および4番目のレプリカ520eを減じると、大きさが負の周波数成分310の2√3倍、位相が元の負の周波数成分310に対し330°(=−30°)ずれた合成レプリカ720eとなる。したがって、抽出部160または周波数変換部162は、被測定信号300を再現することを目的として、合成レプリカ720eの周波数シフトおよび周波数方向での反転に加え、大きさおよび位相を補正してよい。
【0049】
そして、逆フーリエ変換部165は、再現された周波数領域の被測定信号300を逆フーリエ変換することにより、時間領域における被測定信号の波形データを得る。なお、抽出部160または周波数変換部162が合成レプリカ710eの大きさおよび位相を補正するのに代えて、逆フーリエ変換部165が、時間領域における被測定信号の波形データの大きさおよび位相を補正してもよい。
【0050】
以上に示したように、本実施形態に係るサンプリング装置10は、不等間隔の複数のサンプリング位相で被測定信号をサンプリングし、必要に応じて複数のサンプリング位相のうち少なくとも1つのサンプリング位相でサンプリングした被測定信号の値の正負を反転することにより、サンプリング帯域内において、当該サンプリング帯域の帯域幅未満の帯域幅を有する観測帯域内の被測定信号のレプリカおよび負の周波数成分のレプリカのうち観測対象でないレプリカを打ち消すことができる。そして、サンプリング装置10は、残した観測対象のレプリカに基づいて、被測定信号の波形データを再現することができる。
【0051】
図8の(a)は、本実施形態に係るサンプル処理部115に入力される被測定信号の他の例を示す。図8の(b)は、本実施形態に係るサンプル処理部115が出力する信号の他の例を示す。本例においては、被測定信号800は、周波数a・fs(aは自然数)を中心とし1・fsの帯域幅を有する観測帯域内に位置する。そして、複数のAD変換器125が、サンプリング動作繰り返し周期をサンプリング位相の数(本例においては2)より大きな数nに等分割した各位相の中から選択した複数のサンプリング位相で被測定信号をサンプリングする場合について示す。
【0052】
この場合、設定部105は、サンプリング動作繰り返し周期をサンプリング位相の数より大きな数nに等分割した各位相の中から選択した複数のサンプリング位相をクロック制御部120に対して設定する。具体的には、設定部105は、サンプリング動作繰り返し周期T(=1/fs)毎に、第1のサンプリング位相、および、第1のサンプリング位相に対して(m/n)T遅れた第2のサンプリング位相のサンプリングクロックCLKおよびCLKを発生するようにクロック制御部120を設定する。ここで、m,nは互いに素な自然数(正の整数)であるとする。なお、m,nが互いに素でない場合には、m,nを約分した結果をm,nと置き直せば、互いに素な場合に帰着できる。
【0053】
この場合、被測定信号f(t)を、第1のサンプリング位相でAD変換器125−1がサンプリングしたサンプルデータg(t)、および第2のサンプリング位相でAD変換器125−2がサンプリングしたサンプルデータg(t)は、デルタ関数δ(t)を用いて、以下の数1で表すことができる。ただし、kは整数である。
【数1】

【0054】
数1のg(t)およびg(t)をフーリエ変換すると、以下の数2に示すように、周波数帯域におけるサンプルデータG(ω)およびG(ω)が得られる。
【数2】

【0055】
ここで、本例においては単純化して、マルチプレクサ130および反転部135は、g(t)およびg(t)を加えた波形を記憶部140へと出力することを前提とする。すなわち、マルチプレクサ130は、第1のサンプリング位相でAD変換器125−1からのサンプルデータを反転部135へと出力し、第2のサンプリング位相でAD変換器125−2からのサンプルデータを反転部135へと出力し、他の位相では0を反転部135へと出力する。そして、反転部135は、各サンプルデータの正負を反転せずに、そのままの値を出力するものとする。
【0056】
この場合、サンプル処理部115が出力するサンプルデータをフーリエ変換部155によりフーリエ変換して得られる周波数帯域のサンプルデータは、G(ω)およびG(ω)を加算したものとなる。すなわち、フーリエ変換部155は、数3に示す周波数帯域のサンプルデータを出力する。
【数3】

【0057】
数3から、cos(mπk/n)が0の場合に、G(ω)およびG(ω)が打ち消しあって、G(ω)およびG(ω)を加算した周波数スペクトラムが0となることがわかる。ここで、周波数fsを中心とし1・fsの帯域幅を有するサンプリング帯域において被測定信号800の負の周波数成分810のレプリカを打ち消すためには、負の周波数成分810のa+1番目のレプリカが打ち消されるようにすればよい。そこで、k=a+1とし、cos(mπ(a+1)/n)=0となるm,nの組を用いればよい。
【0058】
ここで、n=2(a+1)と定めると、mπ(a+1)/n=mπ(a+1)/{2(a+1)}=mπ/2となる。ここで、m、nは互いに素であり、かつnは偶数となるから、mは奇数であるから、cos(mπ/2)=0となる。したがって、mを奇数(例えば1)とし、nを2(a+1)とすれば、周波数fsを中心とするサンプリング帯域内において負の周波数成分810のレプリカ830が消滅するので、波形生成部150は、被測定信号800のレプリカ820cを抽出して被測定信号の波形データを生成することができる。
【0059】
以上のように、サンプリング動作繰り返し周波数のa倍の周波数を中心とする被測定信号をサンプリング動作繰り返し周波数の(a−1)倍だけ低周波数側に周波数シフトして、サンプリング動作繰り返し周波数の1倍の周波数を中心とするサンプリング帯域内のレプリカを観測対象とする場合には、サンプリング動作繰り返し周期をn=2(a+1)で分割した各位相のうち奇数mだけ離れた2つのサンプリング位相、すなわちm/2(a+1)Tの位相差を有する2つのサンプリング位相を用いればよいことが分かる。同様にして、サンプリング動作繰り返し周波数のa倍の周波数を中心とする被測定信号の負の周波数成分をサンプリング動作繰り返し周波数の(a+1)倍だけ高周波数側に周波数シフトして、サンプリング動作繰り返し周波数の1倍の周波数を中心とするサンプリング帯域内の負の周波数成分に基づくレプリカを観測対象とする場合には、サンプリング動作繰り返し周期をn=2(a−1)で分割した各位相のうち奇数mだけ離れた2つのサンプリング位相、すなわちm/2(a−1)Tの位相差を有する2つのサンプリング位相を用いればよい。
【0060】
更に、設定部105は、観測帯域の被測定信号をサンプリング動作繰り返し周波数の任意の整数倍だけ周波数シフトしたサンプリング帯域において観測対象でないレプリカを打ち消して、観測対象のレプリカを残すようにm、nを設定することもできる。具体的には、被測定信号またはその負の周波数成分をサンプリング動作繰り返し周波数のx倍周波数シフトしたレプリカを打ち消したい場合には、一例としてn=2xとし、mを奇数とすればよい。ただし、不等間隔サンプリングをするためには、xは2以上となる。
【0061】
また、設定部105は、被測定信号800または負の周波数成分810がサンプリング動作繰り返し周波数の整数倍シフトして生じたサンプリング帯域内のレプリカを打ち消す場合に、必要に応じて少なくとも1つのサンプリング位相においてサンプリングした被測定信号の値の正負を反転してもよい。被測定信号の値の正負を反転することにより、設定部105は、サンプリング帯域内におけるレプリカの位相を180°回転させることができる。
【0062】
また、設定部105は、3以上のサンプリング位相を用いる場合においても、上記と同様にしてサンプリング帯域内における不要なレプリカを打ち消して、観測対象のレプリカを残すように適切な3以上のサンプリング位相を設定し、必要に応じて少なくとも1つのサンプリング位相に応じたサンプルデータの正負を反転するように設定することができる。
【0063】
なお、mを偶数とした場合、mと互いに素であるnは必然的に奇数となる。この場合、cos(mπk/n)は、0にならない。したがって、nが奇数の場合には、レプリカ同士を打ち消すことができなくなる。しかしながら、nが奇数の場合であっても、cos(mπk/n)をほぼ0とみなせる程度に大きな値を用いるのであれば、本実施形態に係るサンプリング装置10をほぼ実現することができる。
【0064】
以上に示したように、本実施形態に係るサンプリング装置10によれば、観測帯域に応じて不等間隔の複数のサンプリング位相を設定し、必要に応じて少なくとも1つのサンプリング位相に応じたサンプルデータの正負を反転することにより、サンプリング帯域内において観測対象でないレプリカを消滅させることができ、観測対象のレプリカを抽出して被測定信号の波形データを再現することができる。
【0065】
図9は、本実施形態の第1変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたサンプル処理部115と略同一の構成および機能を採るので、図1に示されたサンプル処理部115が有する部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0066】
本変形例に係るサンプル処理部115は、図1においてマルチプレクサ130の後段に設けられた1個の反転部135に代えて、複数のAD変換器125−1〜Nに対応して設けられた複数の反転部135−1〜Nを有する。複数の反転部135−1〜Nのそれぞれは、対応するAD変換器125−1〜Nとマルチプレクサ130との間に備えられる。複数の反転部135−1〜Nのそれぞれは、設定部105からの設定を受けて、必要に応じて対応するAD変換器125によりサンプリングされた被測定信号の値(サンプルデータの値)の正負を反転する。
【0067】
複数の反転部135−1〜Nのそれぞれは、一例として、対応するAD変換器125が出力したサンプルデータを、1サンプルおきに負に反転してよい。すなわち、複数の反転部135−1〜Nのそれぞれは、一例として、対応するAD変換器125が出力したサンプルデータを、サンプリングクロックのある周期において正負を反転せずに出力し、次の周期において正負を反転して出力してよい。
【0068】
本変形例において、マルチプレクサ130は、複数の反転部135−1〜Nからのサンプルデータおよび0である定数を切り替えながら選択することにより、これらのデータをマルチプレクスして、マルチプレクスしたサンプルデータとして、記憶部140に出力する。このような本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたサンプル処理部115と同様に、サンプリング帯域内において観測対象でないレプリカが打ち消されたサンプルデータを出力することができる。
【0069】
図10は、本実施形態の第2変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたサンプル処理部115と略同一の構成および機能を採るので、図1に示されたサンプル処理部115が有する部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0070】
本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたクロック制御部120に代えて、複数の遅延回路1000−1〜Nと、遅延制御部1010と、クロック制御部1020とを有する。複数の遅延回路1000−1〜Nのそれぞれは、複数のAD変換器125−1〜Nのそれぞれに対応して設けられる。複数の遅延回路1000−1〜Nは、遅延制御部1010からの制御に応じて、被測定信号を、複数のサンプリング位相のそれぞれに応じた遅延量遅延させる。そして、複数の遅延回路1000−1〜Nのそれぞれは、遅延させた被測定信号を対応する複数のAD変換器125−1〜Nに与える。
【0071】
遅延制御部1010は、設定部105からの設定を受けて、サンプリング動作繰り返し周期に対する不等間隔の複数のサンプリング位相のそれぞれに応じた遅延時間で、被測定信号を遅延させるように、複数の遅延回路1000−1〜Nの遅延量を設定する。すなわち、遅延制御部1010は、対応するAD変換器125における、サンプリング動作繰り返し周期に対するサンプリング位相に応じた遅延時間分、被測定信号を遅延させるように、複数の遅延回路1000−1〜Nの遅延量を設定する。
【0072】
また、遅延制御部1010は、一例として、サンプリング動作繰り返し周期に対する基準位相から、対応するAD変換器125におけるサンプリング動作繰り返し周期に対するサンプリング位相までの位相差に応じた遅延時間分、被測定信号を遅延させるように、複数の遅延回路1000−1〜Nの遅延量を設定してもよい。この場合において、サンプリング動作繰り返し周期に対する基準位相を、複数のサンプリング位相のうち最も早いサンプリング位相とすることにより、サンプル処理部115は、最も早いサンプリング位相のAD変換器125に対応する遅延回路1000−1〜Nを省いた構成とすることができる。
【0073】
クロック制御部1020は、複数のAD変換器125−1〜Nに対して、位相が一致した基準クロックを与える。クロック制御部1020は、一例として、複数のAD変換器125−1〜Nに対して、位相が一致したサンプリング動作繰り返し周期の基準クロックを与えてよい。
【0074】
複数のAD変換器125−1〜Nは、複数の遅延回路1000−1〜Nのそれぞれにより遅延された被測定信号を、それぞれ基準クロックに応じてサンプリングする。複数のAD変換器125−1〜Nは、一例として、対応する遅延回路1000−1〜Nにより遅延された被測定信号を、互いに位相が一致したサンプリング動作繰り返し周期の基準クロックによりサンプリングしてよい。このような本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたサンプル処理部115と同様に、サンプリング帯域内において観測対象でないレプリカが打ち消されたサンプルデータを出力することができる。
【0075】
図11は、本実施形態の第3変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。本変形例に係るサンプル処理部115は、図1に示されたサンプル処理部115と略同一の構成および機能を採るので、図1に示されたサンプル処理部115が有する部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0076】
本変形例に係るサンプル処理部115は、被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力する。本変形例に係るサンプル処理部115は、AD変換器125と、データ間引部1100と、反転部135とを有する。
【0077】
AD変換器125は、基準クロックに同期して被測定信号をサンプリングする。データ間引部1100は、設定部105の設定に応じて、AD変換器125が出力するサンプルデータを間引きして、不等間隔のサンプルタイミングにおけるサンプルデータとして出力する。データ間引部1100は、間引きしたサンプルデータを反転部135に与える。
【0078】
本変形例において、設定部105は、被測定信号を観測する観測帯域に基づいて、基準クロックのクロック周期を整数倍したサンプリング動作繰り返し周期内における、サンプルタイミングをサンプル処理部115内のデータ間引部1100に設定する。設定部105は、一例として、サンプリング動作繰り返し周期内における、サンプルデータに残存させるサンプルタイミングをサンプル処理部115内のデータ間引部1100に設定してよい。
【0079】
ここで、設定部105は、サンプリング動作繰り返し周期と指定された基準クロックとの位置関係が、図1に示されたサンプル処理部115のサンプリング動作繰り返し周期とサンプリング位相との関係と同様となるように、サンプリング動作繰り返し周期内におけるサンプルタイミングをサンプル処理部115内のデータ間引部1100に設定する。より具体的には、設定部105は、サンプリング帯域内において、観測帯域内の被測定信号のレプリカおよび観測帯域内の被測定信号の負の周波数成分のレプリカのうちの1つを残して他のレプリカを打ち消すように決定した不等間隔のサンプルタイミングをサンプル処理部115内のデータ間引部1100に設定する。
【0080】
設定部105は、一例として、サンプリング動作繰り返し周期を基準クロックの位相の数より大きな数nに等分割した各位相の中から選択した複数の基準クロックの位相を、サンプル処理部115内のデータ間引部1100に対して設定してよい。より具体的には、設定部105は、一例として、サンプリング動作繰り返し周期T(=1/fs)毎に、第1の基準クロックの位相、および、第1の基準クロックの位相に対して(m/n)T遅れた第2の基準クロックの位相のサンプリングデータを残存させるようにデータ間引部1100を設定してよい。ここで、m,nは互いに素な自然数(正の整数)であるとする。なお、m,nが互いに素でない場合には、m,nを約分した結果をm,nと置き直せば、互いに素な場合に帰着できる。更に、この場合、設定部105は、一例として、各サンプルデータの正負を反転せずにそのままの値を出力するように反転部135を設定してよい。
【0081】
このような本変形例に係るサンプル処理部115は、サンプリング帯域内において観測対象でないレプリカが打ち消されたサンプルデータを出力することができる。また、本変形例に係るサンプル処理部115は、AD変換器125が出力したサンプルデータを観測帯域内の被測定信号を再現するために必要なデータレートに間引くので、後段のデータ処理におけるデータ転送量および記憶容量を少なくすることができる。これにより、本変形例に係るサンプル処理部115によれば、後段に接続される回路の規模を小さくすることができる。
【0082】
図12は、本実施形態の第4変形例に係るサンプル処理部115の構成を示す。本変形例に係るサンプル処理部115は、図11に示されたサンプル処理部115と略同一の構成および機能を採るので、図11に示されたサンプル処理部115が有する部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0083】
本変形例に係るサンプル処理部115は、図11に示されたサンプル処理部115内のデータ間引部1100に代えて、クロック間引部1200を有する。本変形例に係るサンプル処理部115は、図11に示されたサンプル処理部115と同様に、被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力する。
【0084】
クロック間引部1200は、設定部105の設定に応じて、基準クロックを間引いて不等間隔のサンプリングクロックを出力する。AD変換器125は、クロック間引部1200から与えられるサンプリングクロックに同期して被測定信号をサンプリングして、サンプルデータを出力する。AD変換器125は、サンプルデータを反転部135に与える。
【0085】
ここで、本変形例において、設定部105は、図11に示されたデータ間引部1100に対する設定と同様に、クロック間引部1200に対して設定を行う。すなわち、設定部105は、被測定信号を観測する観測帯域に基づいて、基準クロックのクロック周期を整数倍したサンプリング動作繰り返し周期内における、サンプルタイミングをサンプル処理部115内のクロック間引部1200に設定する。
【0086】
このような本形例に係るサンプル処理部115は、図11に示されたサンプル処理部115と同様に、サンプリング帯域内において観測対象でないレプリカが打ち消さるサンプルデータを出力することができる。また、本変形例に係るサンプル処理部115によれば、後段のデータ処理におけるデータ転送量および記憶容量を少なくして、後段に接続される回路の規模を小さくすることができる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
例えば、波形生成部150は、フーリエ変換部155、抽出部160、周波数変換部162、および逆フーリエ変換部165に代えて、記憶部140から読み出したサンプルデータのうち予め設定された周波数以下の周波数成分を通過させるローパスフィルタを有してもよい。これにより、波形生成部150は、観測帯域内の被測定信号をサンプリング帯域内に周波数変換した波形データを出力することができる。更に、波形生成部150は、ローパスフィルタが出力する波形データに、(観測帯域の周波数−サンプリング帯域の周波数)もしくは(観測帯域の周波数+サンプリング帯域の周波数)の周波数を有するサイン波データを乗じる乗算器を有してもよい。これにより、波形生成部150は、ローパスフィルタが出力するサンプリング帯域内の波形データを、観測帯域内の波形データへと周波数変換して、被測定信号を再現することができる。
【0089】
また、サンプル処理部115は、複数のサンプル処理部115のそれぞれの前段に、サンプル/ホールド回路またはトラック/ホールド回路を備える構成であってもよい。これにより、サンプル処理部115は、被測定信号をより精度良くサンプリングすることができる。
【0090】
図13は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、計測用インターフェイス2032、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0091】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0092】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。
【0093】
計測用インターフェイス2032は、本実施形態に係るサンプル処理部115と通信する。そして、計測用インターフェイス2032は、サンプル処理部115に対して設定データおよび制御データを与え、更に、サンプル処理部115によりサンプリングされたサンプルデータを取得する。また、計測用インターフェイス2032は、本実施形態に係る帯域制限部110と通信して、帯域制限部110に対して通過周波数帯域を設定してもよい。
【0094】
ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0095】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0096】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0097】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900をサンプリング装置10の一部として機能させるプログラムは、入力モジュールと、設定モジュールと、記憶モジュールと、波形生成モジュールとを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、入力部100、設定部105、記憶部140および波形生成部150としてそれぞれ機能させる。
【0098】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である入力部100、設定部105、記憶部140および波形生成部150として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、帯域制限部110およびサンプル処理部115とともに機能して、使用目的に応じた特有のサンプリング装置10が構築される。
【0099】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、又はCD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0100】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060(CD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0101】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0102】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0103】
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVD又はCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0104】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 サンプリング装置、100 入力部、105 設定部、110 帯域制限部、115 サンプル処理部、120 クロック制御部、125 AD変換器、130 マルチプレクサ、135 反転部、140 記憶部、150 波形生成部、155 フーリエ変換部、160 抽出部、162 周波数変換部、165 逆フーリエ変換部、300 被測定信号、310 周波数成分、320 通過帯域、510 レプリカ、520 レプリカ、710 合成レプリカ、720 合成レプリカ、730 周波数成分、800 被測定信号、810 周波数成分、820 レプリカ、830 レプリカ、1010 遅延制御部、1020 クロック制御部、1100 データ間引部、1200 クロック間引部、1900 コンピュータ、2000 CPU、2010 ROM、2020 RAM、2030 通信インターフェイス、2032 計測用インターフェイス、2040 ハードディスクドライブ、2050 フレキシブルディスク・ドライブ、2060 CD−ROMドライブ、2070 入出力チップ、2075 グラフィック・コントローラ、2080 表示装置、2082 ホスト・コントローラ、2084 入出力コントローラ、2090 フレキシブルディスク、2095 CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号をサンプリングするサンプリング装置であって、
前記被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力するサンプル処理部と、
前記サンプルデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した前記サンプルデータに基づいて、前記被測定信号の波形を生成する波形生成部と、
を備えるサンプリング装置。
【請求項2】
前記サンプル処理部は、
前記基準クロックに同期して前記被測定信号をサンプリングするサンプラと、
前記サンプラが出力するサンプルデータを間引きして、前記不等間隔のサンプルタイミングにおけるサンプルデータとして出力するデータ間引部と、
を有する請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記サンプル処理部は、
前記基準クロックを間引いて不等間隔のサンプリングクロックを出力するクロック間引部と、
前記サンプリングクロックに同期して前記被測定信号をサンプリングして、サンプルデータを出力するサンプラと、
を有する請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記基準クロックのクロック周期を整数倍したサンプリング動作繰り返し周期内における、前記サンプルタイミングを前記サンプル処理部に設定する設定部を更に備える請求項1から3のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記被測定信号を観測する観測帯域に基づいて、前記サンプリング動作繰り返し周期内における、前記サンプルタイミングを前記サンプル処理部に設定する請求項4に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
前記設定部は、サンプリング帯域内において、前記観測帯域内の前記被測定信号のレプリカおよび前記観測帯域内の前記被測定信号の負の周波数成分のレプリカのうちの1つを残して他のレプリカを打ち消すように決定した不等間隔の前記サンプルタイミングを前記サンプル処理部に設定する請求項5に記載のサンプリング装置。
【請求項7】
前記波形生成部は、
前記記憶部から読み出した前記サンプルデータを周波数領域にフーリエ変換するフーリエ変換部と、
周波数領域における観測対象のレプリカを抽出する抽出部と、
前記周波数領域における観測対象のレプリカに基づいて、周波数領域における前記被測定信号を生成する周波数変換部と、
生成された周波数領域における前記被測定信号を逆フーリエ変換して、時間領域における前記被測定信号の波形データを生成する逆フーリエ変換部と、
を有する請求項6に記載のサンプリング装置。
【請求項8】
被測定信号をサンプリングするサンプリング方法であって、
前記被測定信号を、基準クロックを間引きした不等間隔のサンプルタイミングにおいてサンプリングしたサンプルデータを出力し、
前記サンプルデータを記憶し、
記憶した前記サンプルデータに基づいて、前記被測定信号の波形を生成する
サンプリング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−300436(P2009−300436A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129598(P2009−129598)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)