説明

サンプル収集・分析のための安全化方法

本発明は、情報格納手段及びそれに関係する少なくとも1つの収集容器を有するサンプル格納装置を使うサンプルの収集・分析の安全化方法に関する。前記装置は、前記容器が前記装置に関係する場合に、その使用の前後における容器の完全性を証明し保証する手段(シーリングワックス等)を備えており、前記容器は前記容器の識別情報を含む情報格納手段を有している。本発明の方法において、サンプルの収集及び分析に関係する全情報は収納手段に記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプルを収集・分析するための安全化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの分野において、特に司法分野においては、サンプルの出所(origin)を確実にすることが不可欠である。例えば、犯罪現場から得られた手がかり、それが収集された状況、その後このサンプルを取り扱う間の完全性等である。
【0003】
その理由は、司法分野では、犯罪現場で収集されたサンプルは裁判にかけられる人物の有罪又は無罪のサンプルとなる。従って、誤審を回避するためにサンプルの収集状況とサンプルの完全性を確実にすることは極めて重要なことである。換言すれば、分析対象のサンプルが現場に実在し、サンプルを取り扱う間に変更されておらず、取り替えられておらず、損傷を受けていないことを保証する必要がある。
【0004】
今日、収集状況、サンプルの出所の保証、その分析条件は警察、分析を担当する科学担当官の発言に基づいている。
【0005】
他の分野では、特に医療分野では、明らかに、収集状態の保証と分析対象のサンプルの出所が重要である。何故ならば、サンプルの生存能力(viability)と分析の的確性については、サンプル収集時と分析時との間にどれだけの時間が経過したかを知ることが重要であるからである。この時間はできるだけ短いほうがよい。サンプルの生存期間を超えるべきでない。今日、収集状態は人の発言及び、収集を担当した人物が提供した情報によって保証されている。従って、収集日は疑わしいことがある。
【0006】
人の言葉は、話す人が信頼の置ける人であるか否かに拘らず、常に問題とされる。裁判において、サンプル収集条件の保証と分析は、事件において正義が行われたという確証が無いままに、被告人を有罪又は無罪に導く争点、疑問点となりえる。従って、確かな、信頼の置けるやり方で、人の言葉だけでなく、保証することが必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とし、サンプル収集と分析の安全化方法を提案する。この方法においては、収集・分析に関する全情報はサンプルが収集された改竄できない媒体に格納される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、サンプル格納装置を使った、サンプルの収集・分析の安全化方法に関する。同装置は情報格納手段及び、それに関係する少なくとも1の収集容器を有する。前記装置は、前記容器が前記装置に関係する場合に、前記容器使用の前後における容器の完全性を証明し保証する手段を備えている。前記容器は前記容器の識別情報を予め含む情報格納手段を有している。前記方法は次のステップを有している点に特徴がある。
【0009】
a. 収集を担当する少なくとも1の者を識別し、装置の情報格納手段及び容器の格納手段に前記識別子を格納するステップ;
b.収集場所、日時を装置の格納手段及び容器の格納手段に書き込むステップ;
c.収集容器を識別し、前記装置の格納手段に前記識別子を格納するステップ;
d.それを使用する前に、収集容器の完全性を確認するステップ;
e.容器が前に使用されていなかったことが証明された場合に容器を開け、サンプルを収集するステップ;
f.容器を閉じ、使用後に容器の完全性を保証する手段を適用するステップ;
g.遠隔の格納手段に前記格納手段に格納されたデータを伝送するステップ;
h.サンプルを分析するステップ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
サンプル収集条件及び保存に関する情報は、サンプルと改竄できないように関連付けられた媒体に書き込まれる。こうして、サンプルの出所と真正性に対する保証が得られる。
【0011】
又、実施例によると、収集及び/又は分析の少なくとも1の担当者を識別するステップは少なくとも1の証人を識別することにより、及び、装置の格納手段及び容器の格納手段へこの識別子を格納することにより、補完される。
【0012】
こうして、自然人により実施される必要なステップは、明確に識別されている少なくとも1の証人の監視の下で進行する。これはサンプルを不法操作する可能性を低減させる。
【0013】
サンプルの収集場所、日時が正確であることを保証するためには、収集場所に関する情報が測位装置(例えば人がデータを曲げることが出来ないGPS)により格納手段に供給される。又、収集日時に関連した情報は時計(例えば、人が狂わすことの出来ない原子時計)により格納手段に供給される。
【0014】
サンプルの格納装置及びそれに関係する収集容器は、例えば、本出願人名義の特許FR-2787042及びFR-2865190に記載されている生物分析システムに適合している。
【0015】
このような分析システムを使うとサンプルの識別エラーを回避でき、サンプルの自動的トレーサビリティが可能になる。更に、容器により、完全性が与えられたか否かを見ることができる。
【0016】
このようなシステムにおいて、その内容を遠方から読み取りできるように、容器の情報格納手段は電子ラベルにより形成されている。
【0017】
更に、前記容器が装置に関係しているときに、格納装置はその使用の前後で容器の完全性を証明・保証する手段を備えていることが前提である。容器の完全性についての情報を取得するためには、容器は前記FR-2865190に記載されているチューブに適合することができる。
【0018】
実施例に基づいて、サンプルの分析条件を保証するためには、分析ステップhは、次のステップを含むことができる。
i.少なくとも1の分析担当者を識別し、該識別子を前記格納手段に格納するステップ;
j.遠隔の格納手段に格納されている情報に基づいて分析される容器の識別子と、前記容器の格納手段に格納されている情報に基づいて分析する担当者により操作される容器の識別子とが一致しているかを確認するステップ;
k.収集プロセスにおける、容器を閉めた後の収集容器の完全性を確認するステップ;
l.サンプルを実際に分析するステップ。
【0019】
こうすることにより、分析時と収集時に同一の保証が提供される。
【0020】
装置の格納手段及び容器の格納手段に全情報を保存するために、サンプルの収集及び/又は分析のプロセスにおいて、装置の格納手段及び容器の格納手段への収集に関連するコメントを記録する1または複数のステップを提供することが可能である。こうすることにより収集のコメントが行われた場所と時間を確実にすることができる。
【0021】
サンプルの視覚による識別を行うために、サンプルを識別するときに容器の電子的読み取りを避けるために、処理プロセスは更に、収集装置による識別の後、前記容器と関係付けられる視覚識別手段(容器に印刷される識別用サイン、数、図形等)を印刷するステップを含むことができる。
【0022】
収集した後直後に分析が行われない場合、前記処理プロセスは収集ステップと分析ステップとの間に格納ステップを持つ。装置の格納手段及び容器の格納手段に格納データ(例えば、格納日、格納場所、サンプルの取り出し日等)の書き込みが格納ステップの間に実行される。
【0023】
登録された情報が権限のある者以外の者によって読まれないように、装置の格納手段及び容器の格納手段に登録される情報を暗号化するステップを設けることができる。
【0024】
装置は複数の収集容器を収容し、識別ステップが各容器のために繰返し行われる。こうして、犯罪現場で収集された手がかりは同一装置に関係付けられる。
【0025】
装置とそれに関係付けられる容器は次のように使用される。即ち、収集容器はステップaより前に装置に関係付けられている。その後、ステップeの間に前記装置から取り出され、ステップfの間に装置に再び関係付けられる。使用後の容器の完全性を保証する手段(シーリングワックス等)が装置により付加される。
【0026】
前記装置の格納手段及び前記容器の格納手段に情報を書き込み、これら手段から読取るためのデータ読取り・データ入力装置。この装置は格納手段において識別された人物により操作される。この装置は例えば、携帯コンピュータ又はポケット電子補助装置(例えば、PDA)で、情報を入力し、および情報を伝送することができる。このような読取り・入力装置は市販されている。ポジショニング装置及び計時装置は読取り・入力装置に一体化することができる。
【0027】
読取り・入力装置のユーザの識別はバイオメトリック識別システムを使って実現される。ユーザは例えば指紋を使って識別される。このような識別システムは同様に市販されており、読取り・入力装置に簡単に関係付けることができる。
【0028】
装置と容器の格納手段は更に写真を格納することができる。例えば、犯罪現場の写真を格納することができる。これら格納手段に撮影写真を送信するデジタル装置を使うことができる。
【0029】
従って、本発明による方法によりサンプル収集に関連する格納手段に格納されている全情報を集めることが可能である。前記格納手段は改竄できないように媒体(サンプルを収納する)に関係付けられている。これにより全情報の真正性(authenticite)が保証される。
【0030】
この方法は、サンプル収集、保存、分析の条件の真正性を証明することが極めて重要な全分野で、使うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報格納手段及びそれに関係する少なくとも1つの収集容器を有するサンプル格納装置を使うサンプルの収集・分析の安全化方法であって、
前記装置は、前記容器が前記装置に関係する場合に、前記容器使用の前後における容器の完全性を証明し保証する手段を備えており、前記容器は前記容器の識別情報を予め含む情報格納手段を有しており、
次のステップを有している点に特徴がある前記安全化方法。
a.収集を担当する少なくとも1の者を識別し、装置の情報格納手段及び容器の格納手段に前記識別子を格納するステップ;
b.収集場所、日時を装置の格納手段及び容器の格納手段に書き込むステップ;
c.収集容器を識別し、前記装置の格納手段に前記識別子を格納するステップ;
d.それを使用する前に、収集容器の完全性を確認するステップ;
e.容器が前に使用されていなかったことが証明された場合に容器を開け、サンプルを収集するステップ;
f.容器を閉じ、使用後に容器の完全性を保証する手段を付加するステップ;
g.遠隔の格納手段に前記格納手段に格納されたデータを伝送するステップ;
h.サンプルを分析するステップ。
【請求項2】
次のステップを含む分析ステップを特徴とする請求項1に記載の安全化方法。
i.少なくとも1の分析担当者を識別し、該識別子を前記格納手段に格納するステップ;
j.遠隔の格納手段に格納されている情報に基づいて分析される容器の識別子と、前記容器の格納手段に格納されている情報に基づいて分析する担当者により操作される容器の識別子とが一致しているかを確認するステップ;
k.収集プロセスにおける、容器を閉めた後の収集容器の完全性を確認するステップ;
l.証拠を実際に分析するステップ。
【請求項3】
収集場所に関する情報が測位装置により格納手段に提供されることを特徴とする請求項1または2に記載の安全化方法。
【請求項4】
収集日時に関する情報が時計により格納手段に提供されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項5】
容器情報格納手段が、その内容を遠隔で読取りができる電子ラベルにより形成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項6】
少なくとも1の収集及び/又は分析担当者を識別するステップが、少なくとも1の証人の識別により及び装置格納手段及び容器格納手段への前記識別子の格納により、補完されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項7】
証拠の収集及び/又は分析のプロセスにおいて、装置の格納手段及び容器の格納手段への収集に関連するコメントを記録する1または複数のステップを含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項8】
収集装置による識別の後、容器と関係付けられる視覚識別手段を印刷するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項9】
収集ステップと分析ステップとの間に、装置の格納手段及び容器の格納手段に格納データ(例えば、格納日、格納場所、証拠の取り出し日等)の書き込みが実行される格納ステップを含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項10】
装置の格納手段及び容器の格納手段に登録される情報を暗号化するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項11】
装置は複数の収集容器を収容し、識別ステップが各容器のために繰返し行われることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項12】
収集容器はステップaより前に装置に関係付けられ、その後ステップeの間に前記装置から取り出され、ステップfの間に装置に再び関係付けられ、その使用後、容器の完全性を保証する手段が装置により付加されることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の安全化方法。
【請求項13】
前記装置の格納手段及び前記容器の格納手段に情報を書き込み、これら手段から読取るためのデータ読取り・データ入力装置であって、格納手段において識別された人物により操作される前記データ読取り・データ入力装置を使用することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の安全化方法。

【公表番号】特表2009−517648(P2009−517648A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541791(P2008−541791)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002584
【国際公開番号】WO2007/060333
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508154427)
【出願人】(508155181)
【Fターム(参考)】