説明

サンルームユニット

【課題】簡易な構成で、太陽光による空気の暖め機能を向上させて十分な洗濯物3の乾燥機能を得るとともに、サンルーム2に隣接する居室1dの暖房を行うことを可能とする。
【解決手段】家屋外壁1aから突出する床部2aに外気を取り込む通気部2a2を設けるとともに、床部2aの縁部から立ち上がって家屋外壁1aの窓枠1bを覆うガラス構造体2aの内部に外光を収束させるレンズ手段2b5を設ける一方、家屋外壁1aにはガラス構造体2a内の空気を家屋外壁1aの内部側に取り込む空気搬送手段2b6を設け、その空気搬送手段2b6により床部2aの通気部2a2を通してガラス構造体2aの内部に空気を取り入れつつレンズ手段2b5の収光作用によっり暖めながら居室1d等に送り込むように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の外壁から外方に突出するように取り付けられるサンルームユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているサンルームは、家屋外壁から外方に突出するように床部が設けられているとともに、その床部の外周縁部から立ち上がるルーム壁にガラス構造体が支持されている。そして、そのガラス構造体の内部の空気を太陽光で暖めるとともに、その暖めた空気で洗濯物等を乾燥させる等の機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3769372号公報
【特許文献2】特開2009−74258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のサンルームは、太陽光による空気の暖め機能や、洗濯物の乾燥機能において未だ改善の余地があり、また、そのサンルームに隣接する居室の暖房を行うことはできないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、太陽光による空気の暖め機能を向上させて、十分な洗濯物の乾燥機能を得るとともに、サンルームに隣接する居室の暖房を行うことができるようにしたサンルームユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明では、家屋外壁から外方に突出するように設けられた床部と、その床部の縁部から立ち上がって前記家屋外壁に設けられた窓枠を覆うように延在するガラス構造体とを有し、前記床部には、当該床部を通して外気を取り込む通気部が設けられているとともに、前記家屋外壁には、前記ガラス構造体内の空気を前記外壁の内部側に取り込む空気搬送手段が設けられ、前記ガラス構造体には、当該ガラス構造体の内部に向かって外光を収束させるレンズ手段が設けられた構成を備えている。
【0007】
このような構成を有する本発明によれば、空気搬送手段により発生する負圧吸引力によって床部の通気部を通してガラス構造体の内部に空気が取り入れられ、そのガラス構造体の内部に取り入れられた空気が、レンズ手段により収光された外光によって暖められてから、空気搬送手段によって家屋外壁の内部側の居室等に送り込まれるため、ガラス構造体内で暖められた空気によって洗濯物等の乾燥が良好に行われるとともに、ガラス構造体内の温暖な空気が居室等に取り込まれて冬季の暖房等に利用されるようになっている。
【0008】
また、本発明においては、前記家屋外壁に対して、全体が一体に組み立てられた状態で着脱自在に構成されていることが望ましい。
【0009】
このような構成を有する本発明によれば、家屋の建設と同時に、或いは家屋が建設された後においてもサンルームユニットの取り付けが容易に行われる。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように本発明は、家屋外壁から外方に突出するように設けられた床部に外気を取り込む通気部を設けるとともに、床部の縁部から立ち上がって家屋外壁の窓枠を覆うガラス構造体の内部に外光を収束させるレンズ手段を設ける一方、家屋外壁にはガラス構造体内の空気を家屋外壁の内部側に取り込む空気搬送手段を設け、その空気搬送手段により発生する負圧吸引力により床部の通気部を通してガラス構造体の内部に空気を取り入れるとともに、そのガラス構造体の内部に取り入れられた空気をレンズ手段により収光された外光によって暖められてから家屋外壁の内部側の居室等に送り込むように構成したものであるから、太陽光による空気の暖め機能を向上させて十分な洗濯物の乾燥機能を得るとともに、サンルームに隣接する居室の暖房を行うことができ、サンルームユニットの利便性を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態におけるサンルームユニットを家屋の二階部分に取り付けた状態を表した外観斜視説明図である。
【図2】図1に表されたサンルームユニットの横断面説明図である。
【図3】図1及び図2に表されたサンルームユニット内の一日の温度変化を表した線図である。
【図4】家屋の二階部分にサンルームユニットを取り付けた本発明の他の実施形態における図2相当の横断面説明図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態におけるサンルームユニットを家屋の一階部分に取り付けた状態を表した外観斜視説明図である。
【図6】図5に表されたサンルームユニットの横断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1に示された二階建て構成になされた家屋1の各階部分の家屋外壁1aには、窓枠1b,1cがそれぞれ設けられており、二階部分の居室1dに対応して設けられた二階窓枠1cを覆うようにして本実施形態にかかるサンルームユニット2が取り付けられている。本実施形態にかかるサンルームユニット2は、全体が一体に組み立てられた状態で家屋外壁1aに着脱可能となるように構成されており、家屋1の建設と同時又は家屋1の建設後のいずれでも取付け可能な構成になされている。
【0014】
具体的な構造として本実施形態におけるサンルームユニット2は、前記家屋外壁1aから外方に突出するように設けられた平面略矩形状の床部2aを有している。この床部2aは、上述した家屋外壁1aに対して略水平状態となるように適宜の固定手段2a1により下方側から支持されており、当該床部2aの前端縁部分には、下方の外気を取り入れる通気部として、ルーバー構造のガラリ2a2が設けられている。
【0015】
また、上述した床部2aが前方側に張り出している三方の縁部からは、ガラス構造体2bが略鉛直上方向に立ち上がるように設けられている。このガラス構造体2bは、前記家屋外壁1aに設けられた二階窓枠1cを外方から覆うように延在しており、正面側ガラス2b1の両側に側面ガラス2b2,2b2が配置されている。そのうちの正面側ガラス2b1は、前記床部2aの前端縁部から略平面状をなして所定高さだけ立ち上げられた後、家屋外壁1aに向かって近づく方向に断面略円弧状をなすように湾曲しつつ上方側の屋根側ガラス2b3に連続している。この正面側ガラス2b1には、開放窓2b4が設けられており、当該開放窓2b4の上端縁部を回動軸として下端側部分を前方側に押し出すようにして開放が行われる構成になされている。
【0016】
また、上述した屋根側ガラス2b3も、前記正面側ガラス2b1の湾曲面とほぼ同じ曲率を有する断面略円弧状の湾曲面を有するように形成されており、当該屋根側ガラス2b3の上端縁部が、前述した二階窓枠1cのやや上方位置において前記家屋外壁1aに固定されている。
【0017】
このとき、上述した屋根側ガラス2b3には、当該屋根側ガラス2b3のほぼ全面にわたって延在するレンズ手段2b5が設けられている。このレンズ手段2b5は、上述したガラス構造体2bの内部に向かって外光を収束させる凸レンズ構造を有しており、フレネルレンズ等の種々のレンズを採用することが可能である。
【0018】
さらに、ガラス構造体2bの側面ガラス2b2,2b2は、上述した正面側ガラス2b1及び屋根側ガラス2b3の両側開口部分を平面的に閉塞するように配置されており、それらの正面側ガラス2b1及び屋根側ガラス2b3の両側湾曲縁部に沿って略円弧状に延在する外形形状を有している。
【0019】
一方、上述した家屋外壁1aには、前記ガラス構造体2bにより覆われた内部側の上方位置に空気搬送手段としての吸引ファン2b6が設けられている。この吸引ファン2b6は、前記家屋外壁1aに形成された貫通口の内部に配置されていて、サンルームユニット2に隣接する二階居室1dに開口されていることによって、前記ガラス構造体2bの内部の空気を、家屋外壁1aの内部側の二階居室1dに取り込むの機能を有している。
【0020】
このように本実施形態にかかる空気搬送手段としての吸引ファン2b6により発生する負圧吸引力によってガラス構造体2b内の空気が二階居室1d内に取り込まれるが、それに伴ってガラス構造体2bの内部には、前記床部2aに通気部として設けられたガラリ2a2を通して外気が下方側から取り入れられる。そして、そのガラス構造体2bの内部に取り入れられた外部空気が、上述したレンズ手段2b5により収光された外光によって暖められてから吸引ファン2b6によって家屋外壁1aの内部側の二階居室1d等に取り入れられる。そのため、ガラス構造体2a内に物干しバー3等を介して洗濯物3a等を吊り下げておけば、そのガラス構造体2a内で暖められた空気によって洗濯物3等の乾燥が良好に行われるとともに、ガラス構造体2a内の温暖な空気が二階居室1d等に取り込まれて、特に冬季の暖房等に利用されるようになっている。
【0021】
本実施形態にかかるサンルーム2の内部の空気温度を測定した結果の一例が図3に表されている。すなわち、同図において、ある晴天の日の時刻(横軸)に対して太陽光の高度(右縦軸)が波線(A)で表されているとともに、その太陽光の高度に対応して測定された本実施形態にかかるサンルームユニット2の内部の温度変化(左縦軸)が波線(B)で表され、さらに従来のサンルーム内部の温度変化が実線(C)で表されている。本図からも明らかなように本実施形態にかかるサンルームユニット2によれば、従来よりも内部温度を2度〜3度程度上昇させることが出来ることが判明した。
【0022】
また、本実施形態にかかるサンルームユニット2は、前述したように全体が一体に組み立てられた状態で家屋外壁1aに着脱可能となるように構成されており、家屋1の建設と同時に、或いは家屋1が建設された後のいずれにおいてもサンルームユニット2の取り付けが容易に行われる。
【0023】
一方、上述した実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図4にかかる第2の実施形態においては、正面側ガラス2b7及び屋根側ガラス2b8がいずれも平面状をなすように形成されており、上述した湾曲面状をなすように形成された第1の実施形態よりも安価に製造することを可能としている。
【0024】
さらに、前述した各実施形態にかかる構成部材に対応する部材に対して、十の位の符号に「2」を付加して表した図5及び図6にかかる第3の実施形態は、一階部分の居室21dに対応して設けられた窓枠21cを覆うようにして取り付けられたサンルームユニット22に関するものである。
【0025】
このように一階部分に配置された本実施形態におけるサンルームユニット22が、上述した各実施形態と異なる構成は、ルーバー構造の通気部を構成するガラリ22a2が、床部22aの前端縁部分から上方にやや立ち上がるようにして設けられている点と、正面側ガラス22b1が出窓風に前方側に突出するように形成されている点である。
【0026】
このうな構成を採用すれば、一階部分に配置されたサンルームユニット22においても上述した二階部分に取り付けられた各実施形態にかかるものとほぼ同様な作用・効果を得ることが出来る。
【0027】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上述べた本発明は、通常の個人住宅の他、マンションやビル等のあらゆる建築物に対して適用することができるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 家屋
1a 家屋外壁
1b,1c 窓枠
1d 二階居室
2 サンルームユニット
2a 床部
2a1 固定手段
2a2 ガラリ(通気部)
2b ガラス構造体
2b1 正面側ガラス
2b2 側面ガラス
2b3 屋根側ガラス
2b4 開放窓
2b5 レンズ手段
2b6 吸引ファン(空気搬送手段)
2b7 正面側ガラス
2b8 屋根側ガラス
3 物干しバー
3a 洗濯物
21d 居室
22 サンルームユニット
22a 床部
22a2 ガラリ(通気部)
22b1 正面側ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋外壁から外方に突出するように設けられた床部と、その床部の縁部から立ち上がって前記家屋外壁に設けられた窓枠を覆うように延在するガラス構造体と、を有し、
前記床部には、当該床部を通して外気を取り込む通気部が設けられているとともに、
前記家屋外壁には、前記ガラス構造体内の空気を前記外壁の内部側に取り込む空気搬送手段が設けられ、
前記ガラス構造体には、当該ガラス構造体の内部に向かって外光を収束させるレンズ手段が設けられていることを特徴とするサンルームユニット。
【請求項2】
前記家屋外壁に対して、全体が一体に組み立てられた状態で着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載のサンルームユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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