説明

サーバ装置およびプログラム

【課題】変化するゲーム環境をプレイヤにフィードバックしつつ、その頻度を低減させることによって、ゲームサーバの負担を低減させ、通信回線が扱う通信量を低減させることができる。
【解決手段】通信手段を備え、ゲームを実行可能な端末装置にネットワークを介して接続されるよう構成されたサーバ装置であって、前記ゲームを前記端末装置上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する記憶手段と、前記端末装置から前記ゲームに関連するデータを受信し、前記データに基づいて前記データベースを更新し、前記更新されたデータベースの少なくとも一部を前記端末装置へ送信するデータ処理手段とを備え、前記データ処理手段は、前記送信のあと、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信セッションをいったん終了し、前記端末装置から接続の要求があるまで前記通信セッションの終了状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークを介してプレイヤが参加するゲームを実行するサーバ装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して多数のプレイヤがゲームを楽しめるネットワークゲームが普及している。ネットワークゲームでは、それぞれプレイヤの行動がネットワークゲームの仮想的な環境(ゲーム環境)に影響を及ぼす。プレイヤは、時間に依存して変化するこのゲーム環境を知ることによって、次の行動を決定する。このような従来技術によるネットワークゲームシステムは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−66055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のネットワークゲームの場合、ゲームサーバは、リアルタイムでプレイヤの行動を表すデータを受け取る。ゲームサーバは、受け取ったデータをゲーム環境に反映させ、リアルタイムでプレイヤに送っていた。これによりプレイヤは、自分の行動をすぐにゲーム環境に反映させ、次の行動を決めることができる。しかしその一方で、このように時々刻々変化するゲーム環境をリアルタイムでプレイヤに送り続けることはゲームサーバの負担が大きく、大きな通信量を扱える回線が必要になるという欠点がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、変化するゲーム環境をプレイヤにフィードバックしつつ、その頻度を低減させることによって、ゲームサーバの負担を低減させ、通信回線が扱う通信量を低減させることができるサーバ装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態において、通信手段を備え、ゲームを実行可能な端末装置にネットワークを介して接続されるよう構成されたサーバ装置であって、前記ゲームを前記端末装置上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する記憶手段と、前記端末装置から前記ゲームに関連するデータを受信し、前記データに基づいて前記データベースを更新し、前記更新されたデータベースの少なくとも一部を前記端末装置へ送信するデータ処理手段とを備え、前記データ処理手段は、前記送信のあと、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信セッションをいったん終了し、前記端末装置から接続の要求があるまで前記通信セッションの終了状態を維持する。
【0007】
ある実施形態において、前記データ処理手段は、直前の期間において前記端末装置から受信したデータに基づいて前記データベースを更新し、前記更新された前記データベースを現在の期間において保持することによって、同一の内容である前記データベースの前記少なくとも一部を前記端末装置へ送信する。
【0008】
ある実施形態において、前記直前の期間の長さは、前記現在の期間の長さと実質的に等しい。
【0009】
ある実施形態において、通信手段を備え、ゲームを実行可能な端末装置にネットワークを介して接続されるよう構成されたサーバ装置に、前記ゲームを前記端末装置上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する記憶機能と、前記端末装置から前記ゲームに関連するデータを受信し、前記データに基づいて前記データベースを更新し、前記更新されたデータベースの少なくとも一部を前記端末装置へ送信するデータ処理機能とを実現させるプログラムであって、前記データ処理機能は、前記送信のあと、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信セッションをいったん終了し、前記端末装置から接続の要求があるまで前記通信セッションの終了状態を維持する。
【0010】
ある実施形態において、前記データ処理機能は、直前の期間において前記端末装置から受信したデータに基づいて前記データベースを更新し、前記更新された前記データベースを現在の期間において保持することによって、同一の内容である前記データベースの前記少なくとも一部を前記端末装置へ送信する。
【0011】
ある実施形態において、前記直前の期間の長さは、前記現在の期間の長さと実質的に等しい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、変化するゲーム環境をプレイヤにフィードバックしつつ、その頻度を低減させることによって、ゲームサーバの負担を低減させ、通信回線が扱う通信量を低減させることができるサーバ装置およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のある実施形態によるサーバ装置を用いるゲームシステムを示す図である。
【図2】サーバ装置と端末機器とのデータのやりとりを示すタイミングチャートである。
【図3】サーバ装置が行う処理のフローを示す図である。
【図4】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】端末機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるサーバ装置およびプログラムの例示的実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図面において同一又は同様の構成要素は、同じ参照符号によって表される。
【0015】
(ゲームシステムの概要)
図1は、本発明のある実施形態によるサーバ装置を用いるゲームシステム100を示す図である。ゲームシステム100によって、プレイヤ(ユーザ、利用者などとも呼ばれる)がネットワークゲームを行うことができる。ネットワークゲームは、コンピュータネットワークを介して、専用のゲームサーバと接続することによって、同じゲーム環境を複数のプレイヤが共有できる遊びである。典型的にはプレイヤは、ゲーム環境である仮想的な世界の中で、キャラクタを動かすことで、ゲームを楽しむ。そのようなキャラクタの例としては、ルーレットゲームにおけるチップや、カードゲームにおけるカードがある。
【0016】
ゲームシステム100は、サーバ装置110、端末機器150,160を含む。サーバ装置110は、端末機器150,160と通信することによって、インタラクティブなネットワークゲームをプレイヤに提供する。プレイヤは端末機器150,160を操作することによってネットワークゲームに参加する。
【0017】
端末機器150,160は、それぞれ基地局152,162を介して、インターネット190に結合される。典型的には端末機器150,160は、それぞれ基地局152,162と無線で結合される。端末機器150,160は、典型的には、携帯電話であるが、これには限定されず、携帯情報端末や無線通信機能を備えたパーソナルコンピュータであってもよい。端末機器150,160は、基地局152,162を介さずに、インターネット190に結合されてもよい。この場合、端末機器150,160は、例えばモデムなどの通信機能を備えた家庭用ゲーム機やパーソナルコンピュータである。端末機器150,160と、インターネット190との間には任意の有線通信機器または無線通信機器が介在し得る。そのような通信機器の例には、有線LAN機器や無線LAN機器がある。
【0018】
端末機器150,160は、典型的には離れた場所に居る別のプレイヤによって操作される。端末機器150,160の個数は図1に示される2個には限定されず、1以上の任意の個数であり得る。
【0019】
サーバ装置110および端末機器150,160は、例えばソケットを用いた通信を利用することができる。ソケットは、TCP/IPで通信を行なうコンピュータが持つネットワーク内での住所にあたるIPアドレスと、IPアドレスのサブ(補助)アドレスであるポート番号とを組み合わせたネットワークアドレスのことである。このソケットを用いてサーバおよび端末機器は通信できる。通信手段としてはこれに限定されず、任意の適切な通信手段を用いることができる。
【0020】
(プレイヤデータ)
プレイヤは端末機器150,160を操作することで、ネットワークゲームのゲーム環境にプレイヤの意図を反映させる。具体的には、プレイヤは、端末機器150,160の入力デバイスを操作する。入力デバイスの例には、ボタン、タッチパネルなどがある。入力デバイスによって入力されたデータは、少なくともその一部がサーバ装置110にアップロードされる。このようにプレイヤの意図を反映する、サーバ装置110にアップロードされるデータをプレイヤデータという。ゲームの進行に従って、プレイヤは、キャラクタ、マップ、アイテムなどに関連するプレイヤデータをサーバにアップロードする。このプレイヤデータのアップロードによって、プレイヤはゲーム環境になんらかの影響を与えることができる。
【0021】
プレイヤデータは、1ビット単位で記述されてもよく、数バイトまたはそれ以上であってもよい。プレイヤデータは、任意の適切なフォーマットでやりとりされる。例えばルーレットゲームの場合は、プレイヤデータの例としては、そのプレイヤが置いたチップの種類および枚数、チップの置かれた場所などを示すデータが挙げられる。カードゲームの場合は、プレイヤデータの例としては、そのプレイヤが捨てるカードの種類などを示すデータが挙げられる。しかしプレイヤデータはこれらには限定されず、プレイヤによって変えることができるゲーム環境を示す任意の適切なデータであり得る。
【0022】
サーバ装置110は、記憶装置112をその内部に有する。典型的には記憶装置112は、ネットワークゲームを端末機器で実現するのに必要なソフトウェア、およびそのようなソフトウェアに関連するデータを記憶する。サーバ装置110は、典型的には有線でインターネット190に結合される。サーバ装置110は、端末機器150,160とデータをやりとりする。端末機器150,160も記憶装置をその内部に有する。端末機器150,160が備える記憶装置は、ネットワークゲームを実行するソフトウェア、およびそのようなソフトウェアに関連するデータを記憶する。
【0023】
典型的にはサーバ装置110は、プレイヤデータを端末機器150,160から受け取り、ゲームデータに反映させる。換言すれば、プレイヤは、端末機器150,160を用いてプレイヤデータをサーバ装置110にアップロードする。
【0024】
(ゲームデータ)
逆にプレイヤは、ネットワークゲームのゲーム環境を記述するデータの一部をサーバから端末機器にダウンロードすることによって、ゲーム環境を自分の端末機器で再現し、認識できる。記憶装置112は、ネットワークゲームのゲーム環境を記述するさまざまなデータを記憶する。このようなデータをゲームデータという。典型的にはゲームデータは、ネットワークゲームにおけるそれぞれのプレイヤのステータスなどを記述するデータである。ゲームデータは、例えばデータベースのかたちで記憶装置112に記憶される。ゲームデータは、任意の適切なフォーマットでやりとりされたり、記憶されたりし得る。
【0025】
例えばルーレットゲームの場合は、ゲームデータは、ホイールが止まったときにボールが落ちたポケットの数字、それぞれのプレイヤが置いたチップの種類および枚数、チップの置かれた場所などを示すデータを含む。カードゲームの場合は、ゲームデータは、それぞれのプレイヤが持っているカードの種類、カードの山にあるカードの種類などを示すデータを含む。しかしゲームデータは、上述の例には限定されず、ゲームを実行するのに必要な任意のデータを含み得る。
【0026】
(サーバ装置の動作)
図2は、サーバ装置110と端末機器150,160とのデータのやりとりを示すタイミングチャート200である。図2において、鉛直方向の直線PyA(プレイヤA)は、図1の端末機器150に対応する。図2において、鉛直方向の直線PyB(プレイヤB)は、図1の端末機器160に対応する。図2において、鉛直方向の直線Sv(サーバ)は、図1のサーバ装置110に対応する。図2の縦軸は時刻を表し、縦軸を下に行くにしたがって時間軸上では遅い時刻を表す。図2において横方向は、システムの構成要素を示す。
【0027】
図2において、期間P01,P12,P23は、それぞれ時刻t0〜t1,t1〜t2,t2〜t3の期間を示す。アップロード用データベースULDBは、データベースDB1〜DB6を総称する。ダウンロード用データベースDLDBは、データベースDBt0〜DBt2を総称する。典型的には、データベースDB1〜DB6は、物理的に同じ記憶装置112に記憶された異なるバージョンのゲームデータであり、それぞれのプレイヤから受け取られたプレイヤデータを反映する。
【0028】
典型的には、データベースDBt0〜DBt2は、物理的に同じ記憶装置112に記憶された異なるバージョンのゲームデータである。データベースDBt0,t1,t2は、それぞれ時刻t0,t1,t2におけるゲームデータを反映する。データベースDBt0,DBt1,DBt2のうち少なくとも一部は、それぞれ期間P01,P12,P23の間にアクセスしたプレイヤに送られる。
【0029】
図3は、サーバ装置110が行う処理のフロー300を示す図である。以下、図2,3を参照してサーバ装置の動作を説明する。
【0030】
302において、サーバ装置110は、記憶装置112に記憶されたゲーム用のデータベースを初期化する。典型的にはゲーム用のデータベースは、アップロード用データベースULDBおよびダウンロード用データベースDLDBを含む。 304において、サーバ装置110は、プレイヤA,Bのいずれかからアクセスがあったかを判断する。もしNOであるなら、処理は304に戻る。もしYESであるなら、処理は306に進む。
【0031】
図2の時刻A1において、プレイヤAの端末機器150は、サーバ装置110にアクセスする。するとサーバ装置110は306において、プレイヤAの端末機器150と通信セッションを確立し、308において端末機器150からプレイヤデータを受信する(202)。
【0032】
310においてサーバ装置110は、受信されたプレイヤデータによってアップロード用データベースULDBを更新する(204)。更新の結果、アップロード用データベースULDBは、DB1になる。
【0033】
312においてサーバ装置110は、ダウンロード用データベースDLDBからゲームデータの少なくとも一部を取り出し(206)、端末機器150にダウンロードする(208)。このときのダウンロード用データベースDLDBの内容は、直前の期間に更新されたデータベースDBt0である。データベースDBt0は、例えば時刻t0におけるダウンロード用データベースDLDBの内容である。あるいは、もし時刻t0にデータベースが初期化されているなら、データベースDBt0は、302において初期化されたダウンロード用データベースDLDBの内容である。
【0034】
ダウンロードが終了すると、314においてサーバ装置110は、時刻A2に通信セッションを終了する。
【0035】
サーバ装置110は、316において現在の期間(ここでは期間P01)が終了したかを判断する。NOなら処理は304に戻る。YESなら処理は318に進む。ここではまだ期間P01が終了していないと仮定するので、処理は304に戻る。期間P01が終わるまでには、プレイヤBの端末機器160もサーバ装置110にアクセスすると仮定する。
【0036】
304において、サーバ装置110は、プレイヤA,Bのいずれかからアクセスがあったかを判断する。図2の時刻B1において、プレイヤBの端末機器160は、サーバ装置110にアクセスする。したがって304における判断がYESとなるので、処理は306に進む。サーバ装置110は306において、プレイヤBの端末機器160と通信セッションを確立し、308において端末機器160からプレイヤデータを受信する(210)。
【0037】
310においてサーバ装置110は、受信されたプレイヤデータによってアップロード用データベースULDBを更新する(212)。更新の結果、アップロード用データベースULDBは、DB2になる。
【0038】
312においてサーバ装置110は、ダウンロード用データベースDLDBからゲームデータの少なくとも一部を取り出し(214)、端末機器160にダウンロードする(216)。このときのダウンロード用データベースDLDBの内容は、直前の期間に更新されたデータベースDBt0である。
【0039】
ダウンロードが終了すると、314においてサーバ装置110は、時刻B2に通信セッションを終了する。
【0040】
時間が経過し、時刻t1に達すると、316の判断はYESになり、処理は318に進む。サーバ装置110は、ダウンロード用データベースDLDBが、時刻t1におけるアップロード用データベースULDBと同じ内容を有するように更新する。その後、処理は304に戻る。
【0041】
サーバ装置110および端末機器150,160は、期間P12においても、期間P01と同様に動作する。
【0042】
サーバ装置110は、時刻A3〜A4のあいだにプレイヤAの端末機器150と通信セッションを確立している。この通信セッションにおいて、端末機器150は、プレイヤデータをサーバ装置110にアップロードする。アップロード用データベースULDBは、アップロードされたプレイヤデータによってDB3に更新される。サーバ装置110は、ダウンロード用データベースDLDBからゲームデータの少なくとも一部を取り出し、端末機器150にダウンロードする。このときのダウンロード用データベースDLDBの内容は、時刻t1において更新されたデータベースDBt1である。
【0043】
サーバ装置110は、時刻B3〜B4のあいだにプレイヤBの端末機器160と通信セッションを確立している。この通信セッションにおいて、端末機器160は、プレイヤデータをサーバ装置110にアップロードする。アップロード用データベースULDBは、アップロードされたプレイヤデータによってDB4に更新される。サーバ装置110は、ダウンロード用データベースDLDBからゲームデータの少なくとも一部を取り出し、端末機器160にダウンロードする。このときのダウンロード用データベースDLDBの内容は、時刻t1において更新されたデータベースDBt1である。
【0044】
サーバ装置110および端末機器150,160は、期間P23においても、期間P01と同様に動作する。サーバ装置110は、時刻B5〜B6のあいだにプレイヤBの端末機器160と通信セッションを確立し、時刻A5〜A6のあいだにプレイヤAの端末機器150と通信セッションを確立する。サーバ装置110は、これら通信セッションにおいて端末機器160,150からアップロードされたプレイヤデータによって、アップロード用データベースULDBをそれぞれDB5,DB6に更新する。一方で、2つの通信セッションにおいて端末機器150,160へダウンロードされるゲームデータは同一である。すなわちダウンロードされるゲームデータは、時刻t2において更新されたデータベースDBt2である。
【0045】
期間P01,P12,P23の長さは、好ましくは実質的に等しい。しかしこれには限定されず、可変長であってもよい。典型的には、期間P01,P12,P23の長さは、ネットワークゲームの種類に依存して変えることができる。例えば、ルーレットの場合、ディーラーがホイールを回転させてから、ルーレットの回転が止まるまでの時間にふさわしい時間が用いられる。この場合、期間P01,P12,P23の長さは、例えば数分のオーダーであり得るが、これには限定されず任意の長さであり得る。
【0046】
他の例としてオークションの場合、オークションを開始してから、終了するまでの時間にふさわしい時間が用いられる。この場合、期間P01,P12,P23の長さは、例えば数時間〜数日のオーダーであり得るが、これには限定されず任意の長さであり得る。
【0047】
典型的には期間P01,P12,P23のそれぞれにおいて、端末機器150,160は、1回の通信セッションを確立するが、これには限定されず、複数回の通信セッションを確立してもよい。同じ期間のあいだに端末機器150,160が複数回の通信セッションを確立すると、アップロードされるプレイヤデータによってアップロード用データベースULDBはその都度、更新される。一方、複数回の通信セッションを確立しても、ダウンロードされるゲームデータは同一である。それぞれの通信セッションの持続期間は、期間P01,P12,P23に比べて非常に短い。
【0048】
(効果)
要約すれば、サーバ装置110は、アップロードされたプレイヤデータによって、アップロード用データベースULDBをリアルタイムで更新する。例えば、アップロード用データベースULDBは、プレイヤのアクセスのたびに、データベースDB1〜DB6へと更新される。例えば期間P01内でプレイヤAがプレイヤデータをアップロードする(202,204)と、アップロード用データベースULDBはそれ以前の状態からデータベースDB1に更新される。同じ期間P01内に別のプレイヤBがプレイヤデータをアップロードする(210,212)と、アップロード用データベースULDBはデータベースDB1からデータベースDB2に更新される。
【0049】
これに対して、サーバ装置110は、直前の期間の終わり(例えば時刻t0)において更新されたゲームデータ(ダウンロード用データベースDLDB)の少なくとも一部を、現在の期間(例えば期間P01)にわたって、プレイヤのアクセスのたびに更新することなく、継続的にプレイヤに送る。例えば、同じ期間P01内では、プレイヤAおよびBの両方に対して、同じデータベースDBt0のうちの少なくとも一部を送る(208,216)。サーバ装置110のこのような動作は、その後の他の期間P12,P23についても同様に繰り返される。
【0050】
本発明のさまざまな実施形態によれば、ダウンロード用データベースDLDBからそれぞれのプレイヤの端末機器150,160へダウンロードされるデータは、同じ期間の間では同一である。これによりサーバ装置110は、単位時間当たりに、より少ないデータ処理量しか要求されないので、サーバ装置110の低コスト化が図れる。
【0051】
加えてサーバ装置110は、端末機器150,160がサーバ装置110に接続されているあいだに(すなわち前述の通信セッションのあいだに)、プレイヤデータを端末機器150,160から受け取り(アップロード)、ゲームデータの少なくとも一部を端末機器150,160に送る(ダウンロード)。換言すれば、サーバ装置110は、ゲームデータのダウンロードのあと、通信セッションをいったん終了し、端末機器150,160から接続の要求があるまで通信セッションの終了状態を維持する。
【0052】
このアップロードおよびダウンロードは、比較的、短い通信セッションのあいだに実行可能である。したがって、プレイヤは、その端末機器150,160をインターネット190に常時接続する必要はない。換言すればプレイヤの都合のよいときに、短時間、接続しさえすればゲームに参加し続けることが可能である。このような参加形態によって、プレイヤは、常時、インターネットに接続できない環境の下であっても、ネットワークゲームを継続できる。
【0053】
サーバ装置110は、ゲームデータのうちの少なくとも一部を端末機器150,160に送ればよく、ゲームデータの全部を送る必要はない。これによりサーバ装置110からダウンロードされるデータの量を減らすことができる。
【0054】
(サーバ装置の構成)
図4は、サーバ装置110の構成を示すブロック図である。サーバ装置110は、おおまかには、データ処理手段400および記憶装置112を有する。データ処理手段400は、CPU(中央処理装置)402、ROM(リードオンリーメモリ)404、RAM(ランダムアクセスメモリ)406、通信部410、およびこれらを結合するバス412を含む。CPU402は、ROM404に記憶されているデータまたはプログラムと、RAM406に記憶されているデータまたはプログラムとに従って、ネットワークゲームを実行する。記憶装置112は、上述の、アップロード用データベースULDBおよびダウンロード用データベースDLDBのさまざまなバージョンを記憶する。記憶装置112は、古いバージョンのデータベースを逐次消去してもよく、一定時間のあいだ保持してもよい。通信部410は、サーバ装置110とインターネット190とを結合し、これらの間でデータのやりとりを可能にする。
【0055】
CPU402は、汎用のCPUでもよく、専用のIC(集積回路)であってもよい。記憶装置112は、典型的にはハードディスクドライブであるが、これには限定されず任意の適切な記憶装置であり得る。
【0056】
データ処理手段400は、端末装置150,160からゲームに関連するデータを受信し、データに基づいてデータベースを更新し、更新されたデータベースの少なくとも一部を端末装置150,160へ送信する。記憶装置112は、ネットワークゲームを端末装置150,160上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する。
【0057】
(端末機器の構成)
図5は、端末機器150,160の構成を示すブロック図である。端末機器150,160は、それぞれ、CPU502、ROM504、RAM506、記憶装置512、A/D(アナログ/デジタル),D/A(デジタル/アナログ)変換器514、スピーカ516、マイク518、通信部520、およびこれらを結合するバス522を含む。CPU502は、ROM504に記憶されているデータまたはプログラムと、RAM506に記憶されているデータまたはプログラムとに従って、端末機器上でネットワークゲームを実行する。記憶装置512は、サーバ装置110にアップロードするデータおよびサーバ装置110からダウンロードしたデータを記憶する。A/D,D/A変換器514は、バス522からの音声データを音声信号に変換し、スピーカ516に出力し、逆にマイク518からの音声信号を変換し、音声データとしてバス522に出力する。通信部520は、端末機器150,160と、インターネット190とを無線で結合し、これらの間でデータのやりとりを可能にする。通信部520は、データを表す高周波信号をアンテナ524に出力する。基地局152,162は、アンテナ524によって放射された電波を受信し、端末機器150,160と、インターネット190とのあいだでデータをやりとりする。
【0058】
上述のようにサーバ装置110と、端末機器150,160とは、ネットワークを介して結合されることによって、ネットワークゲームを実行する。具体的には、端末機器150,160上では、プレイヤがゲーム環境を認識できるようにする、表示機能を実現するプログラムを実行する。サーバ装置110上では、端末機器150,160からプレイヤデータを受け取る機能、受け取られたプレイヤデータをゲームデータに反映させて更新する機能、更新されたゲームデータの少なくとも一部を端末機器150,160に送る機能などを実現するプログラムを実行する。
【0059】
当業者には理解されるように、上述のさまざまな要素(ハードウェアの要素、ソフトウェアのステップなど)は、その一部が省略されてもよい。逆に、付加的な要素を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、変化するゲーム環境をプレイヤにフィードバックしつつ、その頻度を低減させることによって、ゲームサーバの負担を低減させ、通信回線が扱う通信量を低減させることができる点で有用である。
【符号の説明】
【0061】
200 タイミングチャート
P01,P12,P23 期間
t0〜t3,A1〜A6,B1〜B6 時刻
DB1〜DB6 アップロード用データベースULDB
DBt0,DBt1,DBt2 ダウンロード用データベースDLDB
PyA プレイヤA
PyB プレイヤB
SV サーバ
202,204,210,212 アップロードされるデータの流れ
206,208,214,216 ダウンロードされるデータの流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を備え、ゲームを実行可能な端末装置にネットワークを介して接続されるよう構成されたサーバ装置であって、
前記ゲームを前記端末装置上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する記憶手段と、
前記端末装置から前記ゲームに関連するデータを受信し、前記データに基づいて前記データベースを更新し、前記更新されたデータベースの少なくとも一部を前記端末装置へ送信するデータ処理手段と
を備え、
前記データ処理手段は、前記送信のあと、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信セッションをいったん終了し、前記端末装置から接続の要求があるまで前記通信セッションの終了状態を維持する、サーバ装置。
【請求項2】
前記データ処理手段は、
直前の期間において前記端末装置から受信したデータに基づいて前記データベースを更新し、前記更新された前記データベースを現在の期間において保持することによって、同一の内容である前記データベースの前記少なくとも一部を前記端末装置へ送信する
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記直前の期間の長さは、前記現在の期間の長さと実質的に等しい
請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
通信手段を備え、ゲームを実行可能な端末装置にネットワークを介して接続されるよう構成されたサーバ装置に、
前記ゲームを前記端末装置上で実行するための情報を含むデータベースを記憶する記憶機能と、
前記端末装置から前記ゲームに関連するデータを受信し、前記データに基づいて前記データベースを更新し、前記更新されたデータベースの少なくとも一部を前記端末装置へ送信するデータ処理機能と
を実現させ、
前記データ処理機能は、前記送信のあと、前記端末装置との前記ネットワークを介した通信セッションをいったん終了し、前記端末装置から接続の要求があるまで前記通信セッションの終了状態を維持する、プログラム。
【請求項5】
前記データ処理機能は、
直前の期間において前記端末装置から受信したデータに基づいて前記データベースを更新し、前記更新された前記データベースを現在の期間において保持することによって、同一の内容である前記データベースの前記少なくとも一部を前記端末装置へ送信する
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記直前の期間の長さは、前記現在の期間の長さと実質的に等しい
請求項5に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−5588(P2012−5588A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142728(P2010−142728)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(510175562)
【出願人】(510175573)ヴァニラウェア有限会社 (1)
【Fターム(参考)】