説明

サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム

【課題】 公共サービスは、誰もが等しく必要とするものであるため、公共料金の支払方法は多様であることが望ましい。また、公共サービスは生活のインフラであることから、サービスの供給が停止したような場合であっても、速やかに回復できる仕組みが求められる。
【解決手段】 電子決済機能により公共料金の支払方法を多様化させるとともに、決済機能と連動したサービス供給管理機能を備えることで、公共サービスの利便性を向上させる公共料金電子決済システムを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子決済機能により公共料金の支払方法を多様化させるとともに、決済機能と連動したサービス供給管理機能を備えることで、公共サービスの利便性を向上させる公共料金電子決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、公共事業者が定める公共料金の支払方法は、一般的に次の方法が知られている。
(1)公共事業者の集金人が、契約者の自宅を直接訪問したうえで、各月の公共料金を現金で集金する集金支払。
(2)契約者が、公共事業者の発行した専用振込用紙を、金融機関の窓口、コンビニエンスストア等に持参して、各月の公共料金を現金で支払う振込支払。
(3)契約者が、事前に指定した銀行、郵便局等の金融機関の口座から、毎月の公共料金を自動的に引き落とす口座振替支払。
(4)金融機関がクレジットカード会社である場合には、契約者が事前に指定したクレジットカードのクレジット決済機能により、クレジットカード会社が契約者に代わって毎月の公共料金を公共事業者に支払い、後日に契約者が公共料金に該当する額を、所定の銀行、郵便局等の金融機関の口座からクレジットカード会社に支払うクレジットカード支払。
(5)契約者が、公共事業者を訪問のうえ、各月の公共料金を現金で支払う公共事業者窓口持参支払。
【0003】
しかし、(1)の方法では、公共事業者にとって多くの人員の配置が必要であり、すべての契約者に対応することはできない。また、(3)(4)の方法は、毎月の公共料金支払に対して利用される方法であり、例えば1回限りの支払に対しては利用することができない。さらに、(2)(5)の方法では、契約者が現金および専用振込用紙を持参して実際に金融機関の窓口やコンビニエンスストア等まで出向かなければならない。
【0004】
そのため、さらに利便性の高い公共料金の支払方法を実現するため、インターネットによる公共料金・納税支払システムおよび支払方法(例えば、特許文献1を参照)や、電子決済サービス方法および電子決済システム(例えば、特許文献2を参照)等が提案されている。
【特許文献1】特開2001−350930号公報
【特許文献2】特開2003−108893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
契約者が公共料金を支払う方法として、従来からいくつかの方法が用意されているが、契約者が長期的な契約を望む場合には、銀行や郵便局等の金融機関による口座振替で毎月の公共料金を支払うことが一般的である。
【0006】
しかし、従来の金融機関による口座振替では、毎月の公共料金を継続的に自動引落するものであって、各月の単発的な支払については利用することができない。
【0007】
一方で、契約者が公共事業者のサービス供給地域に短期的に居住するような場合には、金融機関による口座振替は利用せず、各月の公共料金を現金により、金融機関の窓口やコンビニエンスストア等で支払うことが多い。さらに、ライフスタイルの多様化により若年層を中心にコンビニエンスストアでの支払を選択する契約者も存在する。
【0008】
他にも、公共事業者との取引を開始するため、新たに金融機関と口座振替の手続を行う場合や、金融機関の口座を変更するような場合には、口座振替が開始するまでに一定の期間が必要となる。それまでの期間は、金融機関の窓口やコンビニエンスストア等で、各月の公共料金を現金により支払わなければならず不便である。
【0009】
一方で、近年におけるインターネットや携帯電話等の普及により、各種の支払が電子決済により行われているが、公共料金については、これまで十分な対応が図られていないという問題があった。
【0010】
次の課題として、一般に公共料金の支払が一定期間に行われない場合、サービスの供給を停止する期限を記載した支払督促通知が送付され、その後も支払が行われず期限が到来すれば、サービスの供給が停止される。
【0011】
しかし、金融機関の窓口やコンビニエンスストア等で、各月の公共料金を現金で支払うためには、各月に公共事業者から送付等される専用振込用紙を持参する必要がある。そのため、専用振込用紙を紛失してしまった場合や、長期の出張や療養等により専用振込用紙を受け取ることができない場合にも、サービスの供給が停止される事態が考えられる。
【0012】
また、金融機関による自動振替を利用する契約者であっても、一時的な残高不足等により滞納となり、サービスの供給が停止された場合には、その後の金融機関による振替支払はできず、金融機関の窓口やコンビニエンスストア等で現金により支払う必要がある。
【0013】
公共事業者が提供するサービスは、生活のインフラとなるものであり、サービスの供給が停止することがないように、安全で利便性の高い支払システムであることが望ましい。また、サービスの供給が停止した場合であっても、速やかに回復できるような仕組みも求められる。
【0014】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、支払手続ができる方法を多様化することで利便性を高めるとともに、サービスの提供が停止したような場合であっても、早急な回復を可能とすることで、生活の安全を担保するサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムは、公共事業者のサーバ装置を用いて、通信ネットワーク上で契約者の公共料金の決済およびサービス供給の管理を行う公共料金電子決済システムであって、通信ネットワークを介して、契約者のサービス利用状況と請求金額を、ユーザ端末に契約者ごとに表示する取引表示手段と、前記取引表示手段により表示された請求金額を、契約者のユーザ端末の取引表示画面で選択した金融機関から、公共事業者が指定する金融機関の口座に、通信ネットワークを介して振込手続を行う公共料金振込手段と、前記公共料金振込手段により契約者のユーザ端末から取引表示画面で行った振込手続の内容を、通信ネットワークを介して取得する振込情報取得手段と、契約者が振込手続をした金融機関から、公共事業者が指定する金融機関の口座に入金があった場合に、公共事業者の指定口座がある金融機関サーバから送信される入金情報と、前記振込情報取得手段により取得した振込情報との比較を行い、契約者の特定の請求に対する支払であることを判定して、売掛金の入金処理を行う契約者支払判定手段と、前記取引表示手段において、契約者のユーザ端末の取引表示画面に、住所の移転、契約の解除等の工事が必要な変更情報が入力された場合に、変更内容に基づいて、必要な工事の内容および工事が可能な日程の情報を、契約者のユーザ端末の取引表示画面に表示する工事情報表示手段と、前記工事情報表示手段により表示した工事が可能な日程の情報において、契約者のユーザ端末から入力された、契約者が希望する工事日程を取得して、工事希望日および契約者の住所、氏名等の工事の実施に必要な情報を、工事担当部門のサーバに送信する工事日程調整手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
ここで、公共事業者とは、電気、ガス、水道等の供給を行う事業者に限らず、通信、放送等の事業者を含むものである。また、ユーザ端末とは、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話等の携帯端末や、コンビニエンスストアに設置された情報端末、金融機関のATM端末等も含まれる。さらに、ユーザ端末が通信ネットワークを介して表示する取引表示画面は、オンラインで表示するものに限らず、電子メール等により送信されたものも含むものである。
【0017】
また、本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムは、前記契約者支払判定手段において、所定の期限までに契約者の支払が判定できない場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介して、サービス停止期限を予告した支払の督促を通知する支払督促通知手段と、前記契約者支払判定手段において、サービス停止期限までに契約者の支払が判定できない場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介して、サービスの停止を通知するサービス停止通知手段と、工事担当部門のサーバに、サービス停止工事の日時および契約者の住所、氏名等の工事の実施に必要な情報を送信するサービス停止実行手段と、前記サービス停止工事実行手段によるサービス停止の後に、前記契約者支払判定手段において、契約者の支払が判定できた場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介して、サービス再開工事の日時および工事の内容を通知するサービス再開通知手段と、工事担当部門のサーバに、サービス再開工事の日時および契約者の住所、氏名等の工事の実施に必要な情報を送信するサービス再開実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記公共料金振込手段は、クレジットカードにより行われることで、金融機関サーバからの契約者の入金情報が、リアルタイムに送信されることを特徴とする。
【0019】
クレジットカードでのクレジット決済によれば、与信情報の確認のみで入金がなされるため、銀行、郵便局等の金融機関やデビットカード等に比べて、迅速に手続を行うことができる。そのため、特にサービスの供給が停止された場合には、迅速にサービス供給の再開を受けることができる。
【0020】
また、契約者が、前月以前の分の支払が未払いの状態で、当月分の振込手続を行う場合に、前記取引表示手段において、前月以前の分が未払いであることを通知し、前記公共料金振込手段において、手続に係る当月分の支払を未払いである前月以前の分の支払に充当させることを通知する、飛び入金防止手段を備えることを特徴とする。
【0021】
ここで飛び入金とは、前月の支払が完了していないにもかかわらず、当月の支払を行ってしまったような場合を意味する。これまでの専用振込用紙による現金支払では、発見が困難であり、サービス供給の停止となるような場合があったが、本発明により防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
従前の公共料金の支払方法では、毎月の利用料金の口座振替支払が一般的であり、各月の支払については、専用振込用紙と現金を持参して行わなければならなかった。しかし、本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムでは、インターネットや携帯電話等を用いて電子決済を行うことで、自宅や外出先でも支払が可能となる。
【0023】
また、公共料金の滞納によりサービスの供給が停止した場合にも、パーソナルコンピュータや携帯電話等から、いつでも振込手続が可能であるため、生活インフラである公共サービスの供給を、早急に回復することができる。本発明では、サービス供給管理機能を備えることで、公共料金の振込手続とサービス供給を再開する工事の手続を同時に行うことが可能であり、さらに迅速に回復を図ることができる。
【0024】
以上の通り、本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムによれば、支払手続ができる方法を多様化することで利便性を高めるとともに、サービスの提供が停止したような場合であっても、早急な回復を可能とすることで、生活の安全を担保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に関し、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムと、通信ネットワークを介して接続する工事担当部門サーバ、契約者のユーザ端末および携帯電話端末、コンビニエンスストアの情報端末および金融機関のATM端末、金融機関サーバの機能ブロック図である。
【0026】
サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1は、通信ネットワーク2と通信を行う送受信部11、電子決済やサービス供給管理に関する演算処理等を行う中央演算処理部12、電子決済やサービス供給管理に関するデータ等を保持する記憶部13、データを入力するキーボード等の入力部14およびデータを出力する表示装置あるいはプリンタ等の出力部15から構成されている。
【0027】
サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1の送受信部11は、通信ネットワーク2を介して、公共事業者の工事担当部門サーバ3、公共事業者のサービスを受ける契約者のユーザ端末4、契約者の携帯電話端末5、コンビニエンスストアの情報端末6、金融機関のATM端末7、公共事業者が指定口座を有する金融機関サーバ8等に繋がる。
【0028】
記憶部13は、契約者の住所、氏名、連絡先等に関する情報を保持する契約者DB131、契約者ごとの契約内容、請求、支払等の取引状況に関する情報を保持する請求管理DB132、契約者へのサービス供給に関する契約サービスの状況や、サービスの利用量、設備工事に関する情報を保持するサービス供給DB133等により構成されている(図2)。
【0029】
中央演算処理部12は、契約者ごとの請求金額等を表示する取引表示手段503、契約者が請求金額の振込手続を行う公共料金振込手段504、振込手続で入力された情報を取得する振込情報取得手段505、振込情報と金融機関からの入金情報を比較して契約者の請求支払を判定する契約者支払判定手段506、契約者から工事が必要な契約申込があった場合に工事の情報を表示する工事情報表示手段507、契約者が希望する工事日程を工事担当部門に連絡する工事日程調整手段508、所定の期限までに支払が確認できない契約者に支払を督促する支払督促通知手段509、支払督促後も支払が確認できない契約者にサービス停止を通知するサービス停止通知手段510、工事担当部門にサービス停止工事を指示するサービス停止実行手段511、サービス停止後に支払が確認できた場合にサービス再開を通知するサービス再開通知手段512、工事担当部門にサービス再開工事を指示するサービス再開実行手段513、飛び入金があった場合に該当する未払い月の支払を促す飛び入金防止手段514を備える。
【0030】
図3は、本実施形態における通常の取引の流れについてのフロー図である。はじめにサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1は、契約者ごとにインターネットのブラウザ等に取引表示画面を作成して、当月において契約しているサービスの内容、契約に基づいて実際に利用したサービスの利用量、利用した量に応じた利用料金(請求金額)を表示する(取引表示手段503)。本実施形態では、契約者のユーザ端末4の取引表示画面への表示に加えて、電子メール等により、サービス利用量および利用料金を記載した請求書を契約者のユーザ端末4に送付する。なお、ここで取引表示画面とは、インターネットのブラウザ以外に、携帯電話の表示部、コンビニエンスストアの情報端末や金融機関のATM端末の操作画面等にも表示することができる。
【0031】
契約者のユーザ端末4に表示された取引表示画面において、契約者が取引を有する金融機関を選択して、公共事業者が指定する金融機関の口座に対し当月分の公共料金の振込手続を行うことができる(公共料金振込手段504)。
【0032】
また、取引表示画面の表示および公共料金の振込手続では、飛び入金防止手段514を備える。いわゆる飛び入金とは、前月の支払が完了していないにもかかわらず、当月の支払を行ってしまったような場合を意味する。後述する未収入金の所定期間経過によるサービス供給停止では、支払が完了していない前月分の請求日から換算される(図4)。そのため、契約者は正常な取引状態にあると考えているにもかかわらず、サービス供給の停止に至るケースが見られる。
【0033】
契約者のユーザ端末4における取引表示画面の表示では、前月分の支払が完了していないことを通知する。また、契約者のユーザ端末4が、当月分の支払として手続を行う場合には、支払が完了していない前月分の支払に充当させることへの同意を選択するボタンを表示し、契約者のユーザ端末4が同意するボタンを選択した場合には、前月分の支払として振込処理を行う。これにより、飛び入金を早期に解消し、サービス供給の停止に至るケースを防止することができる。
【0034】
サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1は、契約者のユーザ端末4で行った振込手続の内容を、通信ネットワークを介して取得して、請求管理DB132に保存する(振込情報取得手段505)。ここで振込手続の内容とは、契約者ID、請求ID、振込日、取扱金融機関、振込金額、口座名義等の情報である。
【0035】
契約者のユーザ端末4から、振込手続の依頼を受けた金融機関は、公共事業者が指定する金融機関8の口座に所定の金額を振り込む。ただし、銀行・郵便局等の金融機関およびデビットカード決済では、残高が所定の金額を充足している場合に限られる。残高が不足しているような場合には、契約者のユーザ端末4の取引表示画面において、振込手続を完了することができず、残高不足のメッセージを表示して振込手続を終了する。また、振込手続の完了後に残高照会がなされた場合には、残高照会の後に契約者のユーザ端末4に対して電子メール等で結果が通知される。一方、クレジットカード会社が発行するクレジットカードを用いて決済を行う場合には、契約者の与信情報によって所定の金額が支払われる。そのため、銀行・郵便局等の金融機関やデビットカード決済に比べて、迅速な決済を行うことができる。
【0036】
公共事業者が指定する金融機関サーバ8が、契約者の入金を確認した場合に、通信ネットワーク3を介して、サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1の送受信部11に入金情報が送信される。ここで入金情報とは、振込日、取扱金融機関、振込金額、口座名義等の情報であり、振込情報取得手段505により取得した振込情報の一部のデータと符合する。契約者支払判定手段506は、入金情報のデータと振込情報のデータを比較し、同一の判定である場合に請求IDを特定し、契約者の売掛金入金として処理を行う。具体的には、売掛金入金として処理された請求管理DB132が保持する請求IDに入金完了フラグが設定される。
【0037】
本実施形態では、契約者の特定の請求IDについて入金が確認できた場合には、契約者のユーザ端末4の取引表示画面に、領収明細の表示を行うとともに、電子メール等で契約者のユーザ端末4に領収書を送付する。
【0038】
次に、契約者からの入金が確認できない場合には、所定の要件のもと、サービス供給が停止される。図5は、そのフローを表した図である。
【0039】
支払督促通知手段509は、請求管理DB132が保持する請求データから、契約者支払判定手段506による入金完了フラグを有さず、かつ、請求日から所定の期間を経過した請求IDを検出する(S101・S102)。支払督促通知手段509は、検出した請求IDの契約者のユーザ端末4に対し、支払の督促を取引表示画面に表示、または、電子メール等で通知する(S103)。なお、支払督促通知には支払の方法、請求金額および支払がない場合にサービス供給を停止する期限を記載する。
【0040】
支払督促通知手段509による支払督促通知の後、サービス停止通知手段510はサービス提供停止期限の到来を待って作動し、期限までに契約者支払判定手段506において入金を確認できない場合には、サービス供給の停止を契約者のユーザ端末4の取引表示画面への表示、または、電子メール等により通知する。通知にはサービス供給の停止を行う日時、滞納分の支払によるサービス供給の再開の方法等が記載される(S105)。同時にサービス停止実行手段511は、工事担当部門サーバ3にサービス供給停止工事の日時および契約者の住所、氏名等の、工事の実施に必要な情報を送信する(S107)。工事担当部門は、送信された情報に基づいてサービス供給停止の工事を実施する。
【0041】
他方、記載したサービス供給停止期限までに、契約者支払判定手段506により入金が確認できた場合には、請求IDの入金完了フラグを検知して、サービス停止通知手段510およびサービス停止実行手段511は作動しないため、サービスの供給が継続される(S106)。
【0042】
サービス停止実行手段511により、契約者のサービスの供給が停止した後において、契約者支払判定手段506が、滞納した公共料金の入金を確認した場合には、サービスの供給が再開される(S108)。具体的には、サービス再開通知手段512が、契約者支払判定手段506による入金完了フラグと、サービス停止フラグをともに検知することにより作動する。具体的には、契約者のユーザ端末4の取引表示画面において、サービス供給再開工事の日時、工事の内容等が表示される(S109)。契約者が表示された内容に対応が可能であれば、取引表示画面の了承ボタンをクリックすることで、サービス供給再開工事の手配が完了する(S111)。
【0043】
例えば、公共事業者が電力供給会社である場合には、サービス供給再開工事の際に火災発生のおそれがあるため、電気機器の電源をすべてオフにしておく必要がある。従前は、公共料金の入金確認後に、電話等により日程の調整を行っていたが、本発明に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システムでは、契約者は、取引表示画面に表示された注意点への対応を確認して、了承ボタンをクリックすることで手続が終了する。
【0044】
これにより、契約者は滞納した公共料金の振込手続の後、一度ですべての手続を完了することができ、早期にインフラの回復を図ることができる。
【0045】
サービス再開実行手段513は、契約者がサービス再開通知手段512により通知したサービス供給再開工事の日時、工事の内容等に了承したときは、工事担当部門サーバ3にサービス供給再開工事の日時および契約者の住所、氏名等の工事の実施に必要な情報を送信する(S112)。工事担当部門は、送信された情報に基づいてサービス供給再開の工事を実施する(S113)。
【0046】
なお、その後も契約者による支払がなされずに、契約者支払判定手段506が入金を確認しないときは、サービス供給の停止が維持される(S110)。
【0047】
また、本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1は、取引表示画面で、契約内容に関する手続を行うことができる。この手続には住所の移転、契約の解除、契約内容の変更等の、サービスの供給のために工事が必要な手続も含まれ、取引表示画面において工事の申込ができることを特徴とする。図6は取引表示画面において住所移転の手続を行う場合のフローを示す。
【0048】
具体的には、契約者のユーザ端末4において、取引表示画面のチェックボックスから、工事が必要な住所移転手続が選択された場合に、工事情報表示手段507は、サービス供給DB133から住所移転に必要な工事の情報や、工事が可能な日程を取得する。次に、契約者のユーザ端末4の取引表示画面に、住所移転に必要な工事の情報とともに、工事が可能な日程が選択可能に表示される。契約者のユーザ端末4は、その情報をもとに住所移転工事の希望日を選択する。工事日程調整手段508は、選択された工事希望日に加えて、契約者の氏名、住所、新しい住所等の工事に必要な情報を、工事担当部門に送信する。工事担当部門は、工事日程調整手段508により送信された情報に基づいて住所移転工事を実施する。
【0049】
従前の公共料金の支払方法では、毎月の利用料金の口座振替支払が一般的であり、各月の支払については、専用振込用紙と現金を持参して行わなければならなかった。しかし、本発明のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1では、インターネットや携帯電話等を用いた電子決済を行うことで、自宅や外出先でも簡単に各月の振込手続を行うことができる。また、クレジットカード、キャッシュカード等を利用することにより、コンビニエンスストアの情報端末や金融機関のATM端末等を利用することが可能となる。その結果、現金を持参する必要がなく、操作画面で支払対象を特定できるため、専用振込用紙を紛失したような場合であっても、振込手続を行うことができる。
【0050】
また、公共料金の滞納によりサービスの供給が停止した場合では、パーソナルコンピュータおよび携帯電話から、いつでも振込手続が可能であるため、インフラである公共サービスの供給を、早急に回復することができる。本発明では、サービス供給管理機能を備えることから、公共料金の振込手続と、サービス供給を再開する工事の手続を同時に行うことができ、さらに迅速に回復を図ることができる。また、クレジットカード決済機能を利用すれば、与信情報の確認により振込が可能となるため、より迅速な手続を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1、および、工事担当部門サーバ3、契約者ユーザ端末4等の機能ブロック図である。
【図2】図1の記憶部13にあるデータベースの構成例である。
【図3】本発明の実施の形態に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1の、通常の取引における契約者ユーザ端末、公共事業者サーバ、金融機関サーバのフロー図である。
【図4】飛び入金防止手段514において、飛び入金が発生する場合の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1において、支払を滞納した場合のフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム1の、取引表示画面における住所移転の手続を行う場合のフロー図である。
【符号の説明】
【0052】
1 サービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム
2 通信ネットワーク
3 工事担当部門サーバ
4 契約者(ユーザ端末)
5 契約者(携帯電話端末)
6 コンビニエンスストア(情報端末)
7 金融機関(ATM端末)
8 金融機関サーバ
11、31、41、81 送受信部
12、32、42、82 中央演算処理部
13、33、43、83 記憶部
14、34、44、84 入力部
15、35、45、85 出力部
131 契約者DB
132 請求管理DB
133 サービス供給DB
501 送受信処理手段
502 入出力手段
503 取引表示手段
504 公共料金振込手段
505 振込情報取得手段
506 契約者支払判定手段
507 工事情報表示手段
508 工事日程調整手段
509 支払督促通知手段
510 サービス停止通知手段
511 サービス停止実行手段
512 サービス再開通知手段
513 サービス再開実行手段
514 飛び入金防止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共事業者のサーバ装置を用いて、通信ネットワーク上で契約者の公共料金の決済およびサービス供給の管理を行う公共料金電子決済システムであって、
通信ネットワークを介して、契約者のサービス利用状況と請求金額を、契約者のユーザ端末に、契約者ごとに表示する取引表示手段と、
前記取引表示手段により表示された請求金額を、契約者のユーザ端末の取引表示画面で選択した金融機関から、公共事業者が指定する金融機関の口座に、通信ネットワークを介して振込手続を行う公共料金振込手段と、
前記公共料金振込手段により契約者のユーザ端末の取引表示画面で行った振込手続の内容を、通信ネットワークを介して取得する振込情報取得手段と、
契約者が振込手続をした金融機関から、公共事業者が指定する金融機関の口座に入金があった場合に、公共事業者の指定口座がある金融機関サーバから送信される入金情報と、前記振込情報取得手段により取得した振込情報との比較を行い、契約者の特定の請求に対する支払であることを判定して、売掛金の入金処理を行う契約者支払判定手段と、
前記取引表示手段において、契約者のユーザ端末の取引表示画面に、住所の移転、契約の解除等の工事が必要な変更情報が入力された場合に、変更内容に基づいて、必要な工事の内容および工事が可能な日程の情報を、契約者のユーザ端末の取引表示画面に表示する工事情報表示手段と、
前記工事情報表示手段により表示した工事が可能な日程の情報において、契約者のユーザ端末が入力した契約者が希望する工事日程を取得して、工事担当部門のサーバに、工事希望日および契約者の住所、氏名等の工事実施に必要な情報を送信する工事日程調整手段と、
を有することを特徴とするサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム。
【請求項2】
前記契約者支払判定手段により所定の期限までに契約者の支払が判定できない場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介してサービス停止期限を予告した支払の督促を通知する支払督促通知手段と、
前記契約者支払判定手段によりサービス停止期限までに契約者の支払が判定できない場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介してサービスの停止を通知するサービス停止通知手段と、工事担当部門のサーバに、サービス停止工事の日時および契約者の住所、氏名等の工事実施に必要な情報を送信するサービス停止実行手段と、
前記サービス停止実行手段によるサービス停止の後に、前記契約者支払判定手段により契約者の支払が判定できた場合に、契約者のユーザ端末に対し、通信ネットワークを介してサービス再開工事の日時および工事の内容を通知するサービス再開通知手段と、
工事担当部門のサーバに、サービス再開工事の日時および契約者の住所、氏名等の工事の実施に必要な情報を送信するサービス再開実行手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム。
【請求項3】
前記公共料金振込手段は、クレジットカードにより行われることで、金融機関サーバからの契約者の入金情報がリアルタイムに送信されることを特徴とする請求項1または2記載のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム。
【請求項4】
契約者が、前月以前の分の支払が未払いの状態で、当月分の振込手続を行う場合に、前記取引表示手段において、前月以前の分が未払いであることを通知し、前記公共料金振込手段において、手続に係る当月分の支払を未払いである前月以前の分の支払に充当させることを通知する、飛び入金防止手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1記載のサービス供給管理機能を備えた公共料金電子決済システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−107928(P2008−107928A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288121(P2006−288121)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(504279212)株式会社エネルギア・ライフ&アクセス (15)