説明

サービス閉塞方法、処理装置、処理プログラム、負荷分散装置および負荷分散プログラム

【課題】処理装置で実行されるサービスを閉塞する。
【解決手段】振替元処理装置3が閉塞状態に移行する際、振替元処理装置3は、利用者端末8と振替元処理装置3のセッションに対応するワンタイムIDを払い出すとともに、負荷分散装置2に、ワンタイムIDを送信する。負荷分散装置2は、移行後にセッションを処理する振替先処理装置4のIDを、振替元処理装置3に送信する。振替元処理装置3は、振替先処理装置4にワンタイムIDと、セッションの処理履歴情報とを送信する。振替元処理装置3が、セッションIDを含む要求メッセージを受信すると、ワンタイムIDを含むリダイレクトメッセージを送信する。負荷分散装置2が、利用者端末8が送信したワンタイムIDを含む要求メッセージを受信すると、振替先処理装置4に、ワンタイムIDを含む要求メッセージを送信する。振替元処理装置3は、セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムにおけるサービス閉塞方法、処理装置、処理プログラム、負荷分散装置および負荷分散プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウェブブラウザが動作する利用者端末は、インターネット(登録商標)などのネットワークを介して、HTTPのメッセージに従ってウェブサーバと通信する。ここでHTTPとは、Hypertext Transfer Protocolの略であって、ウェブサービスを利用するために使われるプロトコルである。
【0003】
大量のHTTPメッセージを処理するため、ウェブサービスシステムでは、複数のウェブサーバを運用する場合がある。このようなウェブサービスシステムは、負荷分散装置を備える。負荷分散装置は、各ウェブサーバにHTTPメッセージの処理を割り当て、各ウェブサーバの処理負荷を分散する。ウェブサーバへの利用開始の要求メッセージは、負荷分散装置によって、予め定められた論理に従っていずれかのウェブサーバが割り当てられる。負荷分散装置によって割り当てられたウェブサーバは、セッションとして扱うために必要なセッション情報を生成し保持し、利用者端末への応答メッセージに当該セッションの識別子を設定する。以降、一連の要求および応答処理は一つのセッションとして管理される。
【0004】
ウェブサーバをメンテナンスする際、ウェブサーバは、メンテナンス対象のサーバを閉塞してサービス提供状態からサービス停止状態に移行する。この際ウェブサーバは、サービスを中断しないように、現行セッションを保持したまま、当該ウェブサーバを閉塞する必要がある。
【0005】
現行セッションを保持したまま、ウェブサーバを閉塞させる方法として、(1)一つのセッション情報の複製を、複数のウェブサーバが分散保持する方法、(2)共通データベースサーバが、セッション情報を集中保持する方法がある。さらに、上記(1)および(2)の課題を回避するために、(3)セッション情報を一つのウェブサーバのみで保持する方法がある。
【0006】
上記(1)の方法について詳述する。上記(1)の方法では、最初に割り振られたウェブサーバにおいて生成および保持されたセッション情報について、セッション情報の複製が、他の全てのウェブサーバに送信される(非特許文献1の第10章 10.2.4.3「セッションのレプリケーション」参照)。このようなシステムにおいて、全てのウェブサーバが、常に最新の同一セッション情報を保持する。これにより、最初に割り振られたウェブサーバがメンテナンスするために閉塞した場合にも、負荷分散装置は、一定の論理で、例えばランダムに、別のウェブサーバへ当該セッション上の要求を振り分ける。新たに割り当てられたウェブサーバは、自身が保持するセッション情報を使うことにより、サービスを中断なく継続できる。
【0007】
しかしこのような(1)の方法において、同一セッション情報を全てのウェブサーバで保持するため、処理オーバーヘッドと保持情報容量が大きくなる問題がある。これに伴い、各ウェブサーバは、より高いサーバ能力が必要となり、あるいは、並列動作可能なウェブサーバ台数に制限が生じるという課題がある。その結果、上記(1)の方法では、サービス提供費用も高くなる問題がある。
【0008】
上記(2)の方法について詳述する。上記(2)の方法では、最初に割り振られたウェブサーバにおいて生成および保持されたセッション情報が、共通のデータベースサーバに送信され、この共通のデータベースサーバが全てのセッション情報を保持する(非特許文献1の第2章 2.3.1「セッションの永続性」参照)。これにより、最初に割り振られたウェブサーバがメンテナンスするために閉塞した場合にも、負荷分散装置は、一定の論理で、例えばランダムに、別のウェブサーバへ当該セッション上の要求を振り分ける。新たに割り当てられたウェブサーバは、共通データベースの当該セッション情報を使うことにより、サービスを中断なく継続できる。
【0009】
しかしこのような(2)の方法において、セッション集中管理用の共通データベースサーバが必要であり、さらにセッション情報を常に最新に保持するために、ウェブサーバの処理オーバーヘッドが生じるという課題がある。その結果、上記(2)の方法でも、サービス提供費用も高くなる問題がある。
【0010】
上記(3)の方法について詳述する。上記(3)の方法は、上記(1)および(2)の従来方法の課題を回避するために、一般的に適用されている方法である。上記(3)の方法では、最初に割り振られたウェブサーバのみでセッション情報を生成および保持する。さらに、当該ウェブサーバで払い出したセッション識別子を用いて、負荷分散装置が、引き続く一連の要求を同一ウェブサーバへ振り分ける。この方法ではセッション情報を他のウェブサーバへ複製したり共通データベースサーバで集中管理したりする必要がない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ジェイソン・ブリテン、イアン・F・ダーウィン著、「Tomcatハンドブック」、第1版、株式会社オーム社、2003年12月18日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記(3)の方法においても問題がある。具体的には上記(3)の方法において、ウェブサーバを閉塞しようとすると、閉塞へ移行する前に、予め新規セッションの要求を受け付けないようにした後、全ての現行セッションが終了するまで待つか、強制終了させた上で、閉塞完了にする必要がある。従って、上記(3)の方法は、現行セッションが終了する時間はシステム側で決定できないので、メンテナンスの効率性が悪化する課題がある。一方、セッションを強制終了すると、利用者の利便性が低下する課題がある。
【0013】
従って、メンテナンスのためにウェブサーバを閉塞する際、利用者の利便性を損なうことがないように、現行セッションを中断せず当該ウェブサーバを閉塞する技術の開発が期待されている。上記(1)および(2)のいずれの従来方法においてもセッションの中断なくウェブサーバを閉塞できるものの、その実現のための処理オーバーヘッドや必要設備量が大きくなる課題があり、その結果、サービス提供費用も高くなる。また、上記(3)の方法は、上記(1)および(2)の課題を回避可能である。しかし、当該ウェブサーバの全てのセッションを一定時間内に確実に終了できる保証がないため、上記(3)の方法は、一定時間内に確実に終了させて閉塞状態にするために、現行セッションを強制的に終了させる必要があり、サービスの中断が生じてしまう課題があった。
【0014】
そこで本発明は、現行セッションを中断することなく、ウェブサーバの処理の負担が少ないサービス閉塞方法、処理装置、処理プログラム、負荷分散装置および負荷分散プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられるサービス閉塞方法に関する。本発明の第1の特徴に係るサービス閉塞方法は、第1の処理装置が閉塞状態に移行する際、利用者端末と当該第1の処理装置のセッションの識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、負荷分散装置に、当該ワンタイム識別子を送信するステップと、負荷分散装置が、移行後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、第1の処理装置に送信するステップと、第1の処理装置が、第2の処理装置に当該ワンタイム識別子と、当該セッションの処理履歴情報とを送信するステップと、第1の処理装置が、利用者端末が送信したセッション識別子を含む要求メッセージを受信すると、ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信するステップと、負荷分散装置が、利用者端末が送信したワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、ワンタイム識別子に対応する第2の処理装置に、ワンタイム識別子を含む要求メッセージを送信するステップと、第1の処理装置が、当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行するステップを備える。
【0016】
本発明の第2の特徴は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられるサービス閉塞方法に関する。すなわち本発明の第2の特徴に係るサービス閉塞方法は、負荷分散装置が、第1の処理装置の識別子と、利用者端末と第1の処理装置のセッションについて第1の処理装置によって払い出されたセッション識別子とを対応づけたセッション管理データを読み出し、セッション識別子を含む第1の要求メッセージを、第1の処理装置に送信するステップと、第1の処理装置が閉塞状態に移行する際、セッション識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、負荷分散装置に、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、当該ワンタイム識別子とともに送信するステップと、負荷分散装置が、第1の処理装置の閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、第1の処理装置に送信するとともに、ワンタイム識別子と第2の処理装置の識別子とを対応づけてワンタイムデータに記憶するステップと、第1の処理装置が、第2の処理装置の識別子を受信すると、第2の処理装置に、ワンタイム識別子および当該ワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を送信するステップと、第1の処理装置が、利用者端末が送信したセッション識別子を含む第2の要求メッセージを受信すると、ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信するステップと、負荷分散装置が、利用者端末が送信したワンタイム識別子を含む第3の要求メッセージを受信すると、ワンタイムデータを読み出し、当該ワンタイム識別子に対応して記憶された第2の処理装置に、第3の要求メッセージを送信するステップと、第1の処理装置が、当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行するステップを備える。
【0017】
ここで、第2の処理装置が、ワンタイム識別子および処理履歴情報を受信すると、ワンタイム識別子および処理履歴情報を対応づけて移行管理データに記憶するステップと、第2の処理装置が、第3の要求メッセージを受信すると、新たなセッション識別子を払い出し、移行管理データを読み出して、第3の要求メッセージに含まれるワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を参照して、第3の要求メッセージを処理するステップをさらに備えても良い。
【0018】
本発明の第3の特徴は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる処理装置に関する。すなわち本発明の第3の特徴に係る処理装置は、利用者端末が送信したセッション識別子を含む第1の要求メッセージを受信すると、第1の要求メッセージを処理するとともに、当該セッション識別子と処理履歴情報とを対応づけてリソースデータに記憶するリソース処理手段と、閉塞状態に移行する際、セッション識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、負荷分散装置に、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、当該ワンタイム識別子とともに送信し、負荷分散装置から、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した振替先処理装置の識別子を受信すると、振替先処理装置に、ワンタイム識別子および当該ワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を送信し、利用者端末が送信したセッション識別子を含む第2の要求メッセージを受信すると、ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信し、当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行する閉塞制御手段を備える。
【0019】
本発明の第4の特徴は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる処理装置に関する。すなわち本発明の第4の特徴に係る処理装置は、閉塞状態に移行する振替元処理装置から、ワンタイム識別子および処理履歴情報を取得すると、ワンタイム識別子と処理履歴情報とを対応づけて振替管理データに記憶し、利用者端末が送信したワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、セッション識別子を払い出し、振替管理データにおいてワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を参照して、要求メッセージを処理する振替制御手段を備える。
【0020】
本発明の第5の特徴は、コンピュータを、本発明の第3の特徴または第4の特徴に記載の手段として機能させる処理プログラムに関する。
【0021】
本発明の第6の特徴は、利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる負荷分散装置に関する。すなわち本発明の第6の特徴は、第1の処理装置の識別子と、利用者端末と第1の処理装置のセッションについて第1の処理装置によって払い出されたセッション識別子とを対応づけたセッション管理データが記憶された記憶装置と、セッション管理データを読み出して、セッション識別子を含む要求メッセージを、第1の処理装置に送信する分散処理手段と、第1の処理装置から、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、ワンタイム識別子とともに受信すると、第1の処理装置の閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、第1の処理装置に送信するとともに、ワンタイム識別子と第2の処理装置の識別子とを対応づけてワンタイムデータに記憶し、利用者端末が送信したワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、ワンタイムデータを読み出して、ワンタイム識別子に対応して記憶された第2の処理装置に、当該要求メッセージを送信する移行支援手段を備える。
【0022】
本発明の第7の特徴は、コンピュータを、本発明の第5の特徴に記載の手段として機能させる負荷分散プログラムに関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、現行セッションを中断することなく、ウェブサーバの処理の負担が少ないサービス閉塞方法、処理装置、処理プログラム、負荷分散装置および負荷分散プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムのシステム構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る負荷分散装置の機能ブロックを説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るセッション管理データのデータ構造の一例を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るワンタイムデータのデータ構造の一例を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る振替元処理装置の機能ブロックを説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る振替元処理装置のリソースデータのデータ構造の一例を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る振替元処理装置の閉塞管理のデータ構造の一例を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る振替先処理装置の機能ブロックを説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る振替元処理装置のリソースデータのデータ構造の一例を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る振替元処理装置の移行管理のデータ構造の一例を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るサービス閉塞方法の処理を説明するシーケンス図である。(その1)
【図12】本発明の実施の形態に係るサービス閉塞方法の処理を説明するシーケンス図である。(その2)
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0026】
(実施の形態)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る情報処理システム10を説明する。情報処理システム10は、複数の利用者端末8a、8b、…と、ウェブサービス提供システム1と、を備える。複数の利用者端末8a、8b、…と、ウェブサービス提供システム1は、インターネットなどのネットワーク9によって相互に通信可能に接続されている。ここで、利用者端末8a、8b、…を特に区別しない場合、単に利用者端末8と記載する場合がある。
【0027】
利用者端末8とウェブサービス提供システム1とは、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol)メッセージやHTTPS(Hypertext Transfer Protocol over Secure Socket Layer)メッセージが送受信される。
【0028】
利用者端末8は、一般的なコンピュータで、利用者がウェブサービス提供システム1のサービスを享受するために利用する。利用者端末8には、例えば、ウェブブラウザがインストールされている。利用者は、利用者端末8の入力装置を操作して、ウェブサービス提供システム1が提供するサービスの要求メッセージを送信する。要求メッセージに対応する応答メッセージを受信すると、利用者端末8は、表示装置(図示せず)などにその応答メッセージを表示する。利用者は、利用者端末8の表示画面などを閲覧し、ウェブサービス提供システム1から送信されたサービス内容を確認する。
【0029】
ウェブサービス提供システム1は、利用者端末8を介して利用者にサービスを提供する。ウェブサービス提供システム1が提供するサービスは、オンラインショッピング、動画の閲覧などである。本発明の実施の形態においてウェブサービス提供システム1が提供するサービスの内容は問わない。ウェブサービス提供システム1は、負荷分散装置2と、複数の処理装置3、4、5、…と、保守端末6と、を備える。負荷分散装置2、処理装置3、4…、保守端末6は、一般的なコンピュータに所定の処理を実行するプログラムがインストールされ実行されることによって実現される。負荷分散装置2、複数の処理装置3、4、5、…、および保守端末6は、LAN(Local Area Network)などのシステム内ネットワーク7によって相互に通信可能に接続されている。また、複数の処理装置3、4、5、…はさらに、システム内ネットワーク7とは異なる別のネットワークによって、相互に通信可能に接続されても良い。
【0030】
負荷分散装置2は、利用者端末8からウェブサービス提供システム1に送信された要求メッセージ受け付け、要求メッセージを、複数の処理装置3、4…のいずれかに振り分ける。ここで負荷分散装置2は、複数の処理装置3、4…の負荷などを考慮して、いずれかの処理装置に要求メッセージを処理する処理装置を特定する。本発明の実施の形態において、負荷分散装置2が要求メッセージを処理する処理装置を特定する方法については、問わない。負荷分散装置2は、例えば、負荷が偏らないように余裕のある処理装置を特定しても良いし、要求メッセージの内容に応じて特定しても良い。負荷分散装置2が、利用者端末8が送信した要求メッセージを送信する処理装置を特定すると、その処理装置によって払い出されたセッションIDをキーに、共通のセッションIDを有するセッションの一連の処理を、同一の処理装置に処理させる。セッションとは、利用者端末8と、その利用者端末8から送信された要求メッセージを処理する処理装置との間での、利用開始から終了までの一連の処理である。セッションは、利用者端末8から明示的に終了される場合もあるし、一定時間利用者端末8から処理装置に要求メッセージが送信されない場合、タイムアウトで終了する場合もある。
【0031】
処理装置3、4、5、…は、利用者端末8から送信される要求メッセージを、連携して動作して、利用者端末8にサービスを提供する。本発明の実施の形態に係る処理装置3、4、5、…は特に、サービスの閉塞時に、他の処理装置と連携して、現行のセッションを他の処理装置に引き継ぐ。
【0032】
保守端末6は、保守担当者が操作する端末である。保守担当者は、保守端末6およびシステム内ネットワークを介して、負荷分散装置2、処理装置3、4、5、…に指示を入力する。本発明の実施の形態においては特に、保守担当者は、メンテナンスのためにサービス提供を閉塞しなければならない処理装置を特定し、特定した処理装置の識別しを保守端末6に入力する。保守端末6は、特定した処理装置に、サービスの閉塞状態への移行指示を送信する。その後、保守端末6は、処理装置から、サービスが閉塞した旨の通知を待機する。サービスが閉塞した旨の通知を受信すると、保守端末6は、処理装置が閉塞状態へ移行した結果を表示装置に表示する。これにより、保守担当者は、サービス提供を閉塞しなければならない処理装置がサービスを閉塞したことを確認することができる。
【0033】
本発明の実施の形態においては、保守担当者からの指示によってサービスを提供する処理装置を、振替元処理装置(第1の処理装置)3と称して説明する。また、振替元処理装置3で実行されていたセッションの引き継ぐ処理装置を、振替先処理装置(第2の処理装置)4と称して説明する。振替元処理装置3は、現行セッションを中断することなく、振替先処理装置4にセッションを移行した上で、一定時間内に確実に振替元処理装置3のサービスを閉塞する。
【0034】
なお、本発明の実施の形態においては、説明の便宜上、振替元処理装置3は、サービスを閉塞するため、セッションを移行するなどの所定の処理を担う構成を備え、振替先処理装置4は、移行されたセッションの処理を担う構成を備える場合を説明する。本来、いずれの処理装置も、サービスを閉塞する場合もあれば、サービスを閉塞する処理装置からセッションの移行を受ける場合もある。従って、いずれの処理装置も、サービスを閉塞するため、セッションを移行するなどの所定の処理を担う構成と、移行されたセッションの処理を担う構成の両方を備える。
【0035】
図2ないし図12を参照して、負荷分散装置2および振替元処理装置3および振替先処理装置4を、説明する。
【0036】
(負荷分散装置)
まず図2を参照して、本発明の実施の形態に係る負荷分散装置2を説明する。負荷分散装置2は、記憶装置210、中央処理制御装置220、通信制御装置(図示せず)などを備える一般的なコンピュータである。負荷分散装置2は、利用者端末8からの要求メッセージを処理する処理装置を特定して、その処理装置に送信するとともに、処理装置からの応答メッセージを利用者端末8に送信する。本発明の実施の形態において負荷分散装置2は特に、振替元処理装置3が閉塞状態に移行し、セッションを振替先処理装置4に移行するための処理を支援する。
【0037】
記憶装置210には、負荷分散プログラムが記憶されるとともに、セッション管理データ211およびワンタイムデータ211が記憶される。
【0038】
セッション管理データ211は、図3に示すように、セッションID(セッション識別子)と処理装置ID(処理装置の識別子)と、を対応づけたデータである。このセッションIDは、後述するように、セッションを処理する処理装置によって払い出され、このセッションを識別する。処理装置IDは、このセッションを処理する処理装置を識別する。
【0039】
ワンタイムデータ211は、図4に示すように、ワンタイムID(ワンタイム識別子)と処理装置ID(処理装置の識別子)と、を対応づけたデータである。このワンタイムIDは、ワンタイムIDに対応するセッションの振替元となる処理装置によって払い出され、このセッションを識別する。この振替元となる処理装置は、メンテナンスなどによりサービスを閉塞する際、現行のセッションを他の処理装置に振り返るために、ワンタイムIDを払い出す。ワンタイムIDは、再利用不可能で、セッションを移行する間のみ使用されるIDである。ワンタイムIDは、サービスを閉塞する処理装置から、他の処理装置に移行されるセッションを識別する。
【0040】
中央処理制御装置220は、第1のHTTP送受信手段221、分散処理手段222、移行支援手段223および第2のHTTP送受信手段224を備える。第1のHTTP送受信手段221、分散処理手段222、移行支援手段223および第2のHTTP送受信手段224は、負荷分散プログラムが、一般的なコンピュータにインストールされ、実行されることによって、中央処理制御装置220に実装される。
【0041】
第1のHTTP送受信手段221は、利用者端末8と、要求メッセージ、応答メッセージなどのHTTPメッセージを送受信する。第1のHTTP送受信手段221は、利用者端末8が送信した要求メッセージを受信して、受信した要求メッセージを、分散処理手段222に入力する。さらに第1のHTTP送受信手段221は、分散処理手段222から入力された応答メッセージを、利用者端末8に送信する。
【0042】
第2のHTTP送受信手段224は、処理装置3、4、5、…と、要求メッセージ、応答メッセージなどのHTTPメッセージを送受信する。第2のHTTP送受信手段224は、分散処理手段222から入力された要求メッセージを、処理装置3、4、5、…に送信する。さらに第2のHTTP送受信手段224は、処理装置3、4、5、…が送信した応答メッセージを受信して、受信した応答メッセージを、分散処理手段222に入力する。
【0043】
分散処理手段222は、利用者端末8から要求メッセージを受信すると、その要求メッセージを処理する処理装置を決定する。さらに分散処理手段222は、第2のHTTP送受信手段224を介して、その処理装置に要求メッセージを送信する。要求メッセージに対する応答として、分散処理手段222は、その特定した処理装置から、その処理装置が払い出したセッションIDを含む応答メッセージを受信する。このとき分散処理手段222は、処理装置から受信した応答メッセージに基づいて、その処理装置の識別子と、セッションIDとを対応づけたレコードを生成し、セッション管理データ211に挿入する。その後分散処理手段222は、利用者端末8から要求メッセージを受信すると、要求メッセージに含まれるセッションIDに基づいて、このセッションを処理する処理装置に要求メッセージを転送する。具体的には分散処理手段222は、セッションIDを含む要求メッセージを受信すると、セッション管理データ211を読み出して、第2のHTTP送受信手段224を介して、セッションIDを含む要求メッセージを、そのセッションIDに対応する処理装置に送信する。
【0044】
分散処理手段222は、振替元処理装置3からリダイレクトメッセージを受信すると、そのリダイレクトメッセージにおいて、削除指示されたセッションIDを取得する。さらに分散処理手段222は、セッション管理データ211から、取得したセッションIDを含むレコードを削除する。
【0045】
本発明の実施の形態において分散処理手段222は、移行支援手段223を備える。移行支援手段223は、振替元処理装置3がサービスを閉塞する処理を支援する。分散処理手段222は、振替元処理装置3から振替先処理装置4にセッションの移行が完了するまで、ワンタイムIDを利用して、その移行を支援する。ワンタイムIDは、移行対象のセッションを識別するために振替元処理装置3によって払い出される。
【0046】
具体的には移行支援手段223は、振替元処理装置3から第2のHTTP送受信手段224を介して、閉塞後にセッションを処理する処理装置の問い合わせを、ワンタイムIDとともに受信すると、振替元処理装置3の閉塞後に当該セッションを処理する振替先処理装置4を特定する。ここで移行支援手段223は、所定のロジックに従って、振替先となる処理装置を特定する。移行支援手段223は、第2のHTTP送受信手段224を介して、振替先処理装置4の識別子を、振替元処理装置3に送信する。さらに移行支援手段223は、ワンタイムIDと振替先処理装置4のIDとを対応づけたレコードを生成し、ワンタイムデータ211に記憶する。
【0047】
移行支援手段223は、第1のHTTP送受信手段221を介して、利用者端末8が送信したワンタイムIDを含む要求メッセージを受信すると、ワンタイムデータ211を読み出して、ワンタイムIDに対応して記憶された振替先処理装置4に、第2のHTTP送受信手段224を介してこの要求メッセージを送信する。ここで、ワンタイムIDは、利用者端末8が送信した要求メッセージに含まれる要求URLの所定位置に設定される。移行支援手段223は、要求メッセージの所定位置に、ワンタイムIDが設定されている場合、ワンタイムデータ211を読み出して、設定されたワンタイムIDに対応づけられた振替先処理装置4に、要求メッセージを送信する。
【0048】
また移行支援手段223は、振替先処理装置4によって新たなセッション識別子が払い出されると、セッションの移行が完了したと判断する。この場合移行支援手段223は、ワンタイムデータ211から、ワンタイムIDを含むレコードを削除する。
【0049】
(振替元処理装置)
まず図5を参照して、本発明の実施の形態に係る振替元処理装置3を説明する。振替元処理装置3は、記憶装置310、中央処理制御装置320、通信制御装置(図示せず)などを備える一般的なコンピュータである。振替元処理装置3は、負荷分散装置2によって割り当てられた要求メッセージを送信し、その要求メッセージに対応する応答メッセージを、負荷分散装置2に送信する。本発明の実施の形態において振替元処理装置3は特に、サービスを閉塞するために、セッションを振替先処理装置4に移行する。ここで図5に示す振替元処理装置3は、処理装置が備える構成のうち、サービスを閉塞する処理に関する構成を示している。
【0050】
記憶装置310には、処理プログラムが記憶されるとともに、リソースデータ311および閉塞管理データ312が記憶される。
【0051】
リソースデータ311は、図6に示すように、セッションID(セッション識別子)と処理履歴情報と、を対応づけたデータである。リソースデータ311に含まれるセッションIDは、振替元処理装置3が現在処理するセッションを識別する。処理履歴情報は、振替先処理装置4が現在処理する各セッションにおける処理履歴のデータである。この処理履歴情報は、利用者端末8が送信した要求メッセージに含まれる要求URLと、その処理結果などを含む。
【0052】
閉塞管理データ312は、図7に示すように、セッションID、ワンタイムIDおよび振替先処理装置IDを対応づけたデータである。閉塞管理データ312は、振替元処理装置3がサービスを閉塞する際、現在継続しているセッションIDについてワンタイムIDを払い出し、他の処理装置へのセッションの移行するために記録される。セッションの振替先処理装置は、負荷分散装置2によって特定され、振替先処理装置IDは、負荷分散装置2から送信される。
【0053】
中央処理制御装置320は、HTTP送受信手段321、メッセージ処理手段322、リソース処理手段323、タイムアウト制御手段324、閉塞制御手段325および装置間信号送受信手段326を備える。HTTP送受信手段321、メッセージ処理手段322、リソース処理手段323、タイムアウト制御手段324、閉塞制御手段325および装置間信号送受信手段326は、処理プログラムが、一般的なコンピュータにインストールされ、実行されることによって、中央処理制御装置320に実装される。
【0054】
HTTP送受信手段321は、負荷分散装置2と、要求メッセージ、応答メッセージなどのHTTPメッセージを送受信する。HTTP送受信手段321は、負荷分散装置2が送信した要求メッセージを受信して、受信した要求メッセージを、メッセージ処理手段322に入力する。さらにHTTP送受信手段321は、メッセージ処理手段322から入力された応答メッセージを、負荷分散装置2に送信する。
【0055】
装置間信号送受信手段326は、負荷分散装置2および振替先処理装置4と、データを送受信する。装置間信号送受信手段326は、この振替元処理装置3がサービスを閉塞する際、現行のセッションの移行先を問い合わせるメッセージを、負荷分散装置2に送信し、振替先となる振替先処理装置4の情報を負荷分散装置2から受信する。さらに装置間信号送受信手段326は、移行対象のセッションのワンタイムIDとそのセッションの処理履歴情報を、振替先処理装置4に送信する。この通信手順は、HTTPに限らず、負荷分散装置2、振替先処理装置4などと予め決定された手順で良い。
【0056】
メッセージ処理手段322は、利用者端末8が送信した要求メッセージを処理して、要求メッセージに対応する応答メッセージを作成し、利用者端末8に向けて送信するとともに、保守端末6からサービスの閉塞を指示されると、サービスの閉塞に伴う一連の処理を実行する。メッセージ処理手段322は、リソース処理手段323、閉塞制御手段325およびタイムアウト制御手段324を備える。
【0057】
リソース処理手段323は、利用者端末8が送信した新規の要求メッセージを受信すると、セッションIDを払い出し、要求メッセージを処理するとともに、当該セッションIDと処理履歴情報とを対応づけてリソースデータ311に記憶する。さらにリソース処理手段323は、利用者端末8が送信したセッション識別子を含む要求メッセージを受信すると、この要求メッセージを処理するとともに、セッション識別子と処理履歴情報とを対応づけてリソースデータ311に記憶する。
【0058】
リソース処理手段323は、セッションIDを含む要求メッセージを受信すると、記憶装置310からリソースデータ311を読み出し、要求メッセージに含まれたセッションIDに対応づけられた処理履歴情報を取得する。さらにリソース処理手段323は、取得した処理履歴情報と、受信した要求メッセージに含まれる要求URLの所定位置で示されたリソースに基づいて、要求を処理し、処理内容をセッションIDに対応づけてリソースデータ311に記憶する。リソース処理手段323は、要求メッセージに対応する応答メッセージを作成し、HTTP送受信手段321を介して負荷分散装置2に送信する。
【0059】
タイムアウト制御手段324は、振替元処理装置3が処理する各セッションのタイムアウトを管理する。タイムアウト制御手段324は、各セッションについて、利用者端末8から送信された最新の要求メッセージについて、利用者端末8の送信時間からの時間が、一定時間を超えたか否かを判定する。一定時間を超えた場合、タイムアウト制御手段324は、そのセッションを終了する。タイムアウト制御手段324は、同一のセッションIDを含む要求メッセージを受信しても、タイムアウトエラーを返信し、その要求メッセージを処理しない。本発明の実施の形態においてタイムアウト制御手段324は特に、保守端末6からサービスの閉塞を指示された後、振替元処理装置3の全てのセッションがタイムアウトしたことを検知すると、その旨を閉塞制御手段325に通知する。その後振替元処理装置3のサービスが閉塞される。
【0060】
閉塞制御手段325は、保守端末6からサービスの閉塞を指示されると、新規の利用開始の要求メッセージを受け付けない状態にする。さらに閉塞制御手段325は、サービスの閉塞に伴う一連の処理を制御するとともに、全てのセッションがタイムアウトすると、閉塞状態に移行する制御をする。具体的には閉塞制御手段325は、閉塞状態に移行する際、セッションIDに対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、装置間信号送受信手段326を介して負荷分散装置2に、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、当該ワンタイムIDとともに送信する。閉塞制御手段325は、装置間信号送受信手段326を介して負荷分散装置2から、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した振替先処理装置4の識別子を受信すると、装置間信号送受信手段326を介して振替先処理装置4に、ワンタイムIDおよび当該ワンタイムIDに対応する処理履歴情報を送信する。
【0061】
その後利用者端末8が送信したセッション識別子を含む要求メッセージを受信すると、閉塞制御手段325は、ワンタイムIDを含むリダイレクトメッセージを送信する。セッションがタイムアウトしたことがタイムアウト制御手段324によって通知されると、後、閉塞制御手段325は、サービスの閉塞状態に移行する。
【0062】
閉塞制御手段325は、保守端末6から閉塞移行指示を受信すると、新規の利用開始の要求メッセージを受け付けない状態にする。次に、閉塞制御手段325は、振替元処理装置3が閉塞へ移行中に、一時的に使用するワンタイムIDを払い出す。閉塞制御手段325は、現時点で有効な各セッションについて、ワンタイムIDを払い出し、セッションIDとワンタイムIDを対応づける。
【0063】
閉塞制御手段325は、各セッションの移行先を取得するため、ワンタイムIDを負荷分散装置2に通知するとともに振替先となる処理装置の選定を依頼する。負荷分散装置2から振替先処理装置4のIDを受信すると、ワンタイムIDと振替先処理装置4のIDと、を関連づけて保持する。本発明の実施の形態において、閉塞制御手段325は、図7に示すように、セッションIDと、ワンタイムIDと、振替先処理装置4のIDとを対応づけた閉塞管理データ312を作成する。さらに閉塞制御手段325は、振替先処理装置4に、セッションの継続処理に必要なセッション処理履歴情報とワンタイムIDとを対応づけて送信する。
【0064】
セッションのセッションタイムアウト時間内に、振替対象となるセッションのセッションIDが設定された要求メッセージを受信すると、閉塞制御手段325は、リダイレクト応答メッセージを送信する。リダイレクト応答メッセージは、要求されたリソースが別のURLへ移動したことを利用者端末へ示すために使われる。このリダイレクト応答メッセージには、セッションIDの削除要求が設定されるとともに、このセッションに関連づけられたワンタイムIDが、リダイレクト先のURL中の所定の位置に設定される。
【0065】
閉塞制御手段325は、有効な全てのセッションについてこの一連の処理を実行すると、これらのセッションがタイムアウトするのを待機する。全てのセッションがタイムアウトすると、閉塞制御手段325は、この振替元処理装置3のサービスを閉塞状態に移行することができる。振替元処理装置3のサービスが閉塞されると、振替元処理装置3は、保守端末6にその旨を通知する。
【0066】
(振替先処理装置)
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る振替先処理装置4を説明する。振替先処理装置4は、記憶装置310、中央処理制御装置320、通信制御装置(図示せず)などを備える一般的なコンピュータである。振替先処理装置4は、負荷分散装置2によって割り当てられた要求メッセージを送信し、その要求メッセージに対応する応答メッセージを、負荷分散装置2に送信する。本発明の実施の形態において振替先処理装置4は特に、振替元処理装置3で処理されるセッションを引き継いで処理する。ここで図8に示す振替先処理装置4は、処理装置が備える構成のうち、セッションを引き継ぐ処理に関する構成を示している。
【0067】
記憶装置310には、処理プログラムが記憶されるとともに、リソースデータ311および振替管理データ313が記憶される。
【0068】
リソースデータ311は、図9に示すように、セッションID(セッション識別子)と処理履歴情報と、を対応づけたデータである。リソースデータ311に含まれるセッションIDは、振替先処理装置4が現在処理するセッションを識別する。処理履歴情報は、振替先処理装置4が現在処理する各セッションにおける処理履歴のデータである。この処理履歴情報は、利用者端末8が送信した要求メッセージに含まれる要求URLと、その処理結果などを含む。
【0069】
振替先処理装置4のリソースデータ311は、図6に示す振替元処理装置3のリソースデータ311と同様の構成を備える。またリソースデータ311は、振替元処理装置3から引き継いだセッションの処理履歴情報と、振替先処理装置4が払い出したセッションIDとが対応づけられたレコードを含む。
【0070】
振替管理データ313は、図10に示すように、ワンタイムIDおよび処理履歴情報を対応づけたデータである。振替管理データ313は、振替元処理装置3から送信されたワンタイムIDおよび処理履歴情報を一時保存する。振替先処理装置4は、このワンタイムIDをURLに含む要求メッセージを受信すると、セッションIDを払い出し、このワンタイムIDに対応づけられた処理履歴情報と関連づけたレコードを、リソースデータ311に挿入する。
【0071】
中央処理制御装置320は、HTTP送受信手段321、メッセージ処理手段322、リソース処理手段323、タイムアウト制御手段324、振替制御手段327および装置間信号送受信手段326を備える。HTTP送受信手段321、メッセージ処理手段322、リソース処理手段323、タイムアウト制御手段324、振替制御手段327および装置間信号送受信手段326は、処理プログラムが、一般的なコンピュータにインストールされ、実行されることによって、中央処理制御装置320に実装される。
【0072】
HTTP送受信手段321、リソース処理手段323、タイムアウト制御手段324および装置間信号送受信手段326は、図5を参照して説明した通りである。なお、振替先処理装置4の装置間信号送受信手段326は、振替元処理装置3とのみ通信し、負荷分散装置2とは通信しない。
【0073】
振替制御手段327は、振替元処理装置3からセッションを振り返る処理を制御する。具体的には振替制御手段327は、閉塞状態に移行する振替元処理装置3から、ワンタイムIDおよび処理履歴情報を取得すると、ワンタイムIDと処理履歴情報とを対応づけて振替管理データ313に記憶する。その後、利用者端末8が送信したワンタイムIDを含む要求メッセージを受信すると、振替制御手段327は、セッション識別子を払い出し、振替管理データにおいてワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を参照して、要求メッセージを処理する。
【0074】
このとき振替制御手段327は、払い出したセッションIDとこのセッションに関する処理履歴情報とを対応づけて、リソースデータ311に記憶する。従ってリソースデータ311において、振替元処理装置3から引き継いだセッションの処理履歴情報は、振替元処理装置3での処理履歴情報と、振替先処理装置4での処理履歴情報とを含む。
【0075】
その後、当該セッションについて、振替先処理装置4が払い出したセッションIDが含まれた要求メッセージが送信されるので、負荷分散装置2は、この要求メッセージを振替先処理装置4に入力する。振替先処理装置4に要求メッセージが入力されると、振替先処理装置4のリソース処理手段323がこの要求メッセージを処理する。
【0076】
(サービス閉塞方法)
次に図11および図12を参照して、本発明の実施の形態に係る情報処理システム10におけるサービス閉塞方法を説明する。ここで、振替元処理装置3は、サービスを閉鎖する処理装置で、振替先処理装置4は、振替元処理装置3のセッションを引き継ぐ処理装置である。
【0077】
まず、利用者端末8が第1の要求メッセージを負荷分散装置2に送信する。この第1の要求メッセージは、要求URLとして”H1”を含むHTTPメッセージである。この第1の要求メッセージは利用者端末8が送信する新規の要求メッセージであるので、セッションIDは含まれない。
【0078】
第1の要求メッセージを受信すると、ステップS102において負荷分散装置2は、受信した第1の要求メッセージの振り分け先を決定する。ここでは、第1の要求メッセージを振替元処理装置3に処理させるため、ステップS103において負荷分散装置2は、第1の要求メッセージを振替元処理装置3に送信する。
【0079】
ステップS104において振替元処理装置3は、第1の要求メッセージを受信すると、セッションIDとして”A”を払い出す。さらに振替元処理装置3は、第1の要求メッセージに含まれる要求URL”H1”に従って要求を処理し、第1の要求メッセージに対応する第1の応答メッセージを作成する。この第1の応答メッセージは、セッションIDとして”A”を含む。ステップS105において振替元処理装置3は、第1の応答メッセージを負荷分散装置2に送信する。
【0080】
振替元処理装置3から第1の応答メッセージを受信すると、ステップS106において負荷分散装置2は、第1の応答メッセージに含まれるセッションID”A”を取得する。負荷分散装置2は、取得したセッションID”A”と、このセッションを処理する振替元処理装置3の識別子とを対応づけて、セッション管理データ211に記憶する。負荷分散装置2は、ステップS107において第1の応答メッセージを利用者端末8に送信する。
【0081】
ステップS108において利用者端末8が、第2の要求メッセージを送信する。この第2の要求メッセージは、要求URLとして”H2”を、セッションIDとして”A”を含む。負荷分散装置2は、第2の要求メッセージを利用者端末8から受信すると、第2の要求メッセージからセッションID”A”を取り出す。負荷分散装置2は、セッション管理データ211を読み出し、セッションID”A”に対応づけられた処理装置の識別子を取得する。ステップS106において振替元処理装置3の識別子が対応づけられている。従ってステップS109において負荷分散装置2は、第2の要求メッセージを振替元処理装置3に送信する。
【0082】
第2の要求メッセージを受信すると、振替元処理装置3は、第2の要求メッセージに含まれる要求URL”H2”に従って要求を処理し、第2の要求メッセージに対応する第2の応答メッセージを作成する。この第2の応答メッセージは、セッションIDとして”A”を含む。ステップS110において振替元処理装置3は、第2の応答メッセージを負荷分散装置2に送信する。第2の応答メッセージを受信すると、ステップS111において負荷分散装置2は、利用者端末8に送信する。
【0083】
ここで、ステップS112において保守端末6が振替元処理装置3に、サービスの閉塞状態へ移行するよう指示を入力するとする。振替元処理装置3は、サービスを閉塞するために、現行のセッションを他の処理装置に移行するための処理を進める。
【0084】
まずステップS113において振替元処理装置3は、新規要求を受け付けない状態にする。さらにステップS114において振替元処理装置3は、現行の各セッションについて、ワンタイムIDを払い出す。例えば、振替元処理装置3は、セッションID”A”について、ワンタイムIDとして”X”を払い出し、これを対応づけて記憶する。ステップS115において振替元処理装置3は、負荷分散装置2に、振替先となる処理装置の選択依頼メッセージを送信する。選択依頼メッセージは、振替先となる処理装置を選択する要求とともに、ワンタイムID”X”を含む。この選択依頼メッセージは、HTTP形式でなくても良い。
【0085】
振替元処理装置3から処理装置の選択依頼メッセージを受信すると、ステップS116において負荷分散装置2は、セッションの振替先の処理装置を選択する。ここで負荷分散装置は、振替先処理装置4を選択したとする。負荷分散装置2は、ワンタイムID”X”と、振替先処理装置4のIDを対応づけてワンタイムデータ212として記憶する。さらに、ステップS117において負荷分散装置2は、ステップS115で送信された処理装置の選択依頼メッセージに対して、処理装置の選択応答メッセージを振替元処理装置3に送信する。この選択応答メッセージは、振替先処理装置4のIDと、ワンタイムID”X”を含む。この選択応答メッセージは、HTTP形式でなくても良い。
【0086】
負荷分散装置2から選択応答メッセージを受信すると、ステップS118において振替元処理装置3は、選択応答メッセージに含まれるワンタイムID”X”と、振替先処理装置4のIDと、ワンタイムID”X”に対応するセッションID”A”とを対応づけて、閉塞管理データ312に記憶する。ステップS119において振替元処理装置3は、振替先処理装置4に、振替依頼メッセージを送信する。この振替依頼メッセージは、ワンタイムID”X”と、このワンタイムIDに対応するセッションの処理履歴情報とを含む。この振替依頼メッセージにセッションID”A”を含んでも良い。この振替依頼メッセージは、HTTP形式でなくても良い。
【0087】
振替依頼メッセージを受信すると、ステップS120において振替先処理装置4は、振替依頼メッセージに含まれるワンタイムID”X”とセッションの処理履歴情報とを、振替管理データ313に記憶する。
【0088】
ここで、ステップS151において利用者端末8が、第3の要求メッセージを負荷分散装置2に送信するとする。利用者端末8は、振替元処理装置3がサービスの閉塞準備を進めていることを知らないので、通常のルーチンに従って要求メッセージを送信する。従って、この要求メッセージは、要求URLとして”H3”を、セッションIDとして”A”を含む。
【0089】
第3の要求メッセージを受信すると、ステップS152において負荷分散装置2は、通常のルーチンに従ってセッション管理データ211を参照し、セッションID”A”に対応づけられた振替元処理装置3に、第3の要求メッセージを送信する。
【0090】
第3の要求メッセージを受信すると、ステップS153において振替元処理装置3は、第3の要求メッセージにセッションID”A”が含まれていることを確認する。ここで、このセッションID”A”について、ステップS114においてワンタイムID”X”が払い出され、ステップS119においてこのセッションの処理履歴情報が振替先処理装置4に既に送信されている。従って、このセッションを振替先処理装置4に移行する準備が整っているので、振替元処理装置3は、閉塞管理データ312からセッションID”A”に対応するワンタイムID”X”を取得する。さらにステップS154において振替元処理装置3は、負荷分散装置2にリダイレクトメッセージを送信する。このリダイレクトメッセージには、セッションID”A”の情報を削除する旨と、リダイレクト先のURLとして”H4”が含まれる。このURL”H4”の所定位置には、ワンタイムID”X”が設定されている。
【0091】
リダイレクトメッセージを受信すると、ステップS155において負荷分散装置2は、リダイレクト処理する。具体的には、セッション管理データ211からセッションID”A”の情報を削除する。さらにステップS156において負荷分散装置2は、利用者端末8にリダイレクトメッセージを送信する。
【0092】
リダイレクトメッセージを受信すると、ステップS157において利用者端末8は、リダイレクト処理し、ステップS158において第4の要求メッセージを送信する。この第4の要求メッセージは、要求URLとして”H4”を含む。この”H4”の所定位置には、ワンタイムID”X”が設定される。
【0093】
第4の要求メッセージを受信すると、ステップS159において負荷分散装置2は、要求メッセージに含まれるURL”H4”の所定位置に、ワンタイムID”X”が含まれていると判定する。負荷分散装置2は、ワンタイムデータ211を読み出して、ワンタイムID”X”に対応づけられた振替先処理装置4を特定する。従って負荷分散装置2は、第4の要求メッセージを振替先処理装置4に送信する。
【0094】
第4の要求メッセージを受信すると、ステップS161において振替先処理装置4は、第4の要求メッセージに含まれるワンタイムID”X”から、振替元処理装置3から移行されるセッションであることを認識し、セッションID”B”を払い出す。振替先処理装置4は、第4の要求メッセージに対応する第4の応答メッセージを作成する。この第4の応答メッセージは、振替先処理装置4が払い出したセッションID”B”を含む。ステップS162において振替先処理装置4は、第4の応答メッセージを負荷分散装置2に送信する。
【0095】
振替先処理装置4から第4の応答メッセージを受信すると、ステップS163において負荷分散装置2は、第4の応答メッセージに含まれるセッションID”B”を取得する。負荷分散装置2は、取得したセッションID”B”と、このセッションを処理する振替先処理装置4の識別子とを対応づけて、セッション管理データ211に記憶する。負荷分散装置2は、セッション管理データ211からセッションID”A”に関するセッション情報を削除するとともに、ワンタイムデータ211から、ワンタイムID”X”に関するデータを削除しても良い。負荷分散装置2は、ステップS164において第4の応答メッセージを利用者端末8に送信する。
【0096】
ステップS165において利用者端末8が、第5の要求メッセージを送信する。この第5の要求メッセージは、要求URLとして”H5”を、セッションIDとして”B”を含む。負荷分散装置2は、第5の要求メッセージを利用者端末8から受信すると、第5の要求メッセージからセッションID”B”を取り出す。負荷分散装置2は、セッション管理データ211を読み出し、セッションID”B”に対応づけられた処理装置の識別子を取得する。ステップS163において振替先処理装置4の識別子が対応づけられている。従ってステップS166において負荷分散装置2は、第5の要求メッセージを振替先処理装置4に送信する。
【0097】
第5の要求メッセージを受信すると、振替先処理装置4は、第5の要求メッセージに含まれる要求URL”H5”に従って要求を処理し、第5の要求メッセージに対応する第5の応答メッセージを作成する。この第5の応答メッセージは、セッションIDとして”B”を含む。ステップS167において振替先処理装置4は、第5の応答メッセージを負荷分散装置2に送信する。第5の応答メッセージを受信すると、ステップS168において負荷分散装置2は、利用者端末8に送信する。
【0098】
一方ステップS169において振替元処理装置3は、処理していたセッションが全てタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトしたことを確認すると振替元処理装置3は、サービスの閉塞状態へ移行する。サービスの閉塞状態への移行が完了すると、振替元処理装置3は、その旨を保守端末6に通知する。
【0099】
このように本発明の実施の形態に係る情報処理システム10では、要求メッセージを処理する複数の処理装置の一つが、メンテナンスなどによるウェブサービスを閉塞に関する処理を、円滑に進めることができる。具体的には、サービスを閉塞する振替元処理装置3は、自信が処理する現行のセッションについてのみ、振替先処理装置4に転送する。これにより、従来のように、全ての処理装置がセッション情報を共有する場合や、全てのセッション情報を共通データベースに一括して保持する場合に比べて、システム全体として、処理に要するオーバーヘッドとリソースを低減することができる。さらに、現行セッションを中段することもない。
【0100】
また本発明の実施の形態に係る振替元処理装置3は、セッションを振替先処理装置4に移行する際、ワンタイムIDを導入するとともに、HTTPの機能の一つであるリダイレクション機能を利用する。これにより、各処理サーバや負荷分散装置に新たに実装する機能を押さえることができるので、容易に導入しやすい。
【0101】
さらに、また本発明の実施の形態においては、リダイレクトメッセージによりリダイレクト先のURLを利用者に通知し、このURLの所定位置にワンタイムIDを含める。従って、再利用不可能な一時的なワンタイムIDを利用することにより、セッションの乗っ取りやなりすましを防御することができる。
【0102】
このように本発明の実施の形態に係る情報処理システム10によれば、現行セッションを中断することなく、ウェブサーバの処理の負担を押さえて、処理装置で実行されるサービスを閉塞することができる。
【0103】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0104】
例えば、本発明の最良の実施の形態に記載した負荷分散装置は、図2に示すように一つのハードウェア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウェア上に構成されても良い。
【0105】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0106】
1 ウェブサービス提供システム
2 負荷分散装置
3 振替元処理装置
4 振替先処理装置
5 処理装置
6 保守端末
7 システム内ネットワーク
8 利用者端末
9 ネットワーク
10 情報処理システム
210、310 記憶装置
211 セッション管理データ
212 ワンタイムデータ
220、320 中央処理制御装置
221、224、211 HTTP送受信手段
222 分散処理手段
223 移行支援手段
311 リソースデータ
312 閉塞管理データ
313 振替管理データ
322 メッセージ処理手段
323 リソース処理手段
324 タイムアウト制御手段
325 閉塞制御手段
326 装置間信号送受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、前記利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられるサービス閉塞方法において、
第1の処理装置が閉塞状態に移行する際、利用者端末と当該第1の処理装置のセッションの識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、負荷分散装置に、当該ワンタイム識別子を送信するステップと、
前記負荷分散装置が、移行後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、前記第1の処理装置に送信するステップと、
前記第1の処理装置が、前記第2の処理装置に当該ワンタイム識別子と、当該セッションの処理履歴情報とを送信するステップと、
前記第1の処理装置が、前記利用者端末が送信した前記セッション識別子を含む要求メッセージを受信すると、前記ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信するステップと、
前記負荷分散装置が、前記利用者端末が送信した前記ワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、前記ワンタイム識別子に対応する第2の処理装置に、前記ワンタイム識別子を含む要求メッセージを送信するステップと、
前記第1の処理装置が、当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行するステップ
を備えることを特徴とするサービス閉塞方法。
【請求項2】
利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、前記利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられるサービス閉塞方法において、
負荷分散装置が、第1の処理装置の識別子と、利用者端末と前記第1の処理装置のセッションについて前記第1の処理装置によって払い出されたセッション識別子とを対応づけたセッション管理データを読み出し、前記セッション識別子を含む第1の要求メッセージを、前記第1の処理装置に送信するステップと、
前記第1の処理装置が閉塞状態に移行する際、前記セッション識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、前記負荷分散装置に、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、当該ワンタイム識別子とともに送信するステップと、
前記負荷分散装置が、前記第1の処理装置の閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、前記第1の処理装置に送信するとともに、前記ワンタイム識別子と前記第2の処理装置の識別子とを対応づけてワンタイムデータに記憶するステップと、
前記第1の処理装置が、前記第2の処理装置の識別子を受信すると、前記第2の処理装置に、前記ワンタイム識別子および当該ワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を送信するステップと、
前記第1の処理装置が、前記利用者端末が送信した前記セッション識別子を含む第2の要求メッセージを受信すると、前記ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信するステップと、
前記負荷分散装置が、前記利用者端末が送信した前記ワンタイム識別子を含む第3の要求メッセージを受信すると、前記ワンタイムデータを読み出し、当該ワンタイム識別子に対応して記憶された前記第2の処理装置に、前記第3の要求メッセージを送信するステップと、
前記第1の処理装置が、当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行するステップ
を備えることを特徴とするサービス閉塞方法。
【請求項3】
前記第2の処理装置が、前記ワンタイム識別子および前記処理履歴情報を受信すると、前記ワンタイム識別子および前記処理履歴情報を対応づけて移行管理データに記憶するステップと、
前記第2の処理装置が、前記第3の要求メッセージを受信すると、前記新たなセッション識別子を払い出し、前記移行管理データを読み出して、前記第3の要求メッセージに含まれるワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を参照して、前記第3の要求メッセージを処理するステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のサービス閉塞方法。
【請求項4】
利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、前記利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる処理装置において、
利用者端末が送信したセッション識別子を含む第1の要求メッセージを受信すると、前記第1の要求メッセージを処理するとともに、当該セッション識別子と処理履歴情報とを対応づけてリソースデータに記憶するリソース処理手段と、
閉塞状態に移行する際、前記セッション識別子に対応するワンタイム識別子を払い出すとともに、負荷分散装置に、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、当該ワンタイム識別子とともに送信し、前記負荷分散装置から、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した振替先処理装置の識別子を受信すると、前記振替先処理装置に、前記ワンタイム識別子および当該ワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を送信し、
前記利用者端末が送信した前記セッション識別子を含む第2の要求メッセージを受信すると、前記ワンタイム識別子を含むリダイレクトメッセージを送信し、
当該セッションがタイムアウトした後、閉塞状態に移行する閉塞制御手段
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、前記利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる処理装置において、
閉塞状態に移行する振替元処理装置から、ワンタイム識別子および処理履歴情報を取得すると、前記ワンタイム識別子と処理履歴情報とを対応づけて振替管理データに記憶し、
前記利用者端末が送信した前記ワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、セッション識別子を払い出し、前記振替管理データにおいて前記ワンタイム識別子に対応する処理履歴情報を参照して、前記要求メッセージを処理する振替制御手段
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項4および請求項5のいずれか1項に記載の手段として機能させるための処理プログラム。
【請求項7】
利用者端末の要求を処理する複数の処理装置と、前記利用者端末からの要求を受け付け、いずれかの処理装置に要求を割り当てる負荷分散装置と、を備えるサービス提供システムに用いられる負荷分散装置において、
第1の処理装置の識別子と、前記利用者端末と前記第1の処理装置のセッションについて前記第1の処理装置によって払い出されたセッション識別子とを対応づけたセッション管理データが記憶された記憶装置と、
前記セッション管理データを読み出して、前記セッション識別子を含む要求メッセージを、前記第1の処理装置に送信する分散処理手段と、
前記第1の処理装置から、閉塞後に当該セッションを処理する処理装置の問い合わせを、ワンタイム識別子とともに受信すると、前記第1の処理装置の閉塞後に当該セッションを処理する処理装置として特定した第2の処理装置の識別子を、前記第1の処理装置に送信するとともに、前記ワンタイム識別子と前記第2の処理装置の識別子とを対応づけてワンタイムデータに記憶し、
前記利用者端末が送信した前記ワンタイム識別子を含む要求メッセージを受信すると、前記ワンタイムデータを読み出して、前記ワンタイム識別子に対応して記憶された前記第2の処理装置に、当該要求メッセージを送信する移行支援手段
を備えることを特徴とする負荷分散装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項7に記載の手段として機能させるための負荷分散プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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