説明

サーボウェッジ書き込み方法及び記録媒体

【課題】サーボスパイラルを書き込んでいる間ランダム要素によって引き起こされるサーボスパイラル変化の影響を少なくすること。
【解決手段】実施形態によれば、第1と第2のスパイラルセットが書き込まれた記録媒体にサーボウェッジを書き込む方法は、第1と第2のスパイラルセットの差に基づいて補正係数を決定し、記録媒体の第1の半径位置で、第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、サーボウェッジの要素を書き込み、記録媒体の第2の半径位置で、第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、サーボウェッジの要素を書き込む。この書き込みの前に第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値が補正係数で修正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はドライブに関するセルフサーボライトの間サーボスパイラルスイッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクドライブは、データストレージディスクの表面上の同心のトラックにディジタルデータを格納するデータストレージ装置である。データは、ディスクが一定の角速度でディスクの中心の周りをスピンする間、トラックの近くで保持されるリードヘッドとライトヘッドを含むトランスデューサヘッドを使用し所望のトラックに書き込まれ、または所望のトラックから読み出される。読み込み、または書き込み操作の間、所望のトラックにトランスデューサを適切に整列するためには、ディスクドライブが製造される際にディスク表面上に書き込まれたサーボセクタの中に格納されたサーボデータを頼りにする閉ループサーボシステムが一般的に実行される。これらのサーボセクタは、ディスクの外径から内径に“サーボウェッジ”または“サーボスポーク”を形成する。そして、サーボトラックライターのような外部装置によって、これらのサーボセクタはディスク表面上に書き込まれる、または、セルフサーボライティング手順を使用し、ディスクそれ自身によって、これらのサーボセクタはディスク表面上に書き込まれるかどちらかである。
【0003】
外部のサーボトラックライターは、ディスク上の適切な半径位置に、サーボウェッジが書き込まれるということを保証するために、レーザー干渉計または光学コーダーのように極度に正確なヘッド位置決め機械を使用する。外部のサーボトラックライターは高価で、ディスクの汚染を避けるためにクリーンルーム環境内で操作されなければならない。従って、各々のディスクが外部のサーボトラックライター上で費やす時間を最小化することが望ましい。現代のディスクは何十万ものトラックを一般的に含んでいるので、外部のサーボトラックライターの使用は製造プロセスのひどい時間消費になり得る。その結果、外部のサーボライターよりもむしろディスクドライブのサーボシステムと内部の電子回路が、ディスクの上に最終のサーボウェッジを書くために使われている様々なセルフサーボライティング方法が業界の中で開発されていた。
【0004】
ディスクドライブがセルフサーボライトを行うためには、ディスクドライブの適切な操作のために必要な正確さでディスク上に最終のサーボウェッジを書き込むことができるように、位置情報とタイミング情報がディスクドライブサーボシステムに提供されなければならない。そのためには、外部のサーボトラックライターが、ディスクに多くの“サーボスパイラル”またはスパイラルトラックを書き込むために使われるかもしれない。ここで、これらのサーボスパイラルは、セルフサーボライト(SSW)によってディスク上に最終のサーボウェッジを後で書き込むために、ディスクドライブの内部のサーボシステムに関する十分なタイミング情報と位置情報を含んでいる。所望されるサーボスパイラルは比較的速くディスク上に書き込まれることができるので、外部のサーボトラックライター上で、各々のディスクが費やす時間が最小化される。SSWの間、各々のデータストレージトラックに対応するディスク上の半径位置の上に正確にサーボし、それによって同時に、ディスクの1つの半径位置の上に、最終のサーボウェッジを書き込むために、ディスクドライブサーボシステムは、サーボスパイラルの中に含まれるタイミング情報と位置情報を使用する。特に、ディスクドライブのリードヘッドは、サーボスパイラルから位置情報とタイミング情報を読み込むために使用される。そして、最終のサーボウェッジを書き込むために、ライトヘッドが使用される。
【0005】
一般的に、サーボスパイラルセットの2つ以上の完全なセットは、SSWの前にディスク上に典型的に書き込まれる。ここで、各々のサーボスパイラルセットは、SSWの間に書き込まれる各々の最終のサーボウェッジについて少なくとも1つのサーボスパイラルを含む。これはSSWの間、必要とされるような位置情報とタイミング情報を、サーボスパイラルのシングルセットは連続的に提供することができないからである。そして、SSWの間中、1つのサーボスパイラルセットから他のサーボスパイラルセットに、リード・ライトヘッドのサーボ制御が典型的にスイッチされる。サーボスパイラルセット間のスイッチングは2つの理由のために一般的に必要である。第1に、ディスクのODの近くの最終のサーボウェッジの領域をライトヘッドが書き込む際、リードヘッドが典型的にライトヘッドの“後ろ”にあるように、ディスクドライブのリードヘッドとライトヘッドが典型的に配置されている。つまり、ライトヘッドによってそこに書き込まれた最終のサーボウェッジ情報をすでに持っていたサーボスパイラルトラックの領域からタイミング情報と位置情報を、リードヘッドが読み込む。従って、ディスクのODの近くで、SSWの間、リードヘッドとライトヘッドをサーボするためにリードヘッドが使用するサーボスパイラルは、新しく書き込まれた最終のサーボウェッジによって、いくつかの半径位置に上書きされる。結果として、このような半径位置にリードヘッドが近づいた際、その半径位置において、最終のサーボウェッジによって上書きされなかったサーボスパイラルの第2のセットに、サーボ制御に関する情報が変更されなければならない。第2に、リード・ライトヘッドによって、与えられた時刻に、1つだけの操作、例えばリードまたはライトのどちらかが実行されることができる。SSWの間、ディスクの表面を横切るいたるところで、ライトヘッドがサーボウェッジを書き込むと同時に、媒体からのサーボ情報はリードヘッドによって読み込まれることができないと言うことを意味している。だから、前のライト操作の間、最終のサーボウェッジによって上書きされなかったサーボスパイラルの2番目のセットに、サーボ制御、これはリード制御を含む、が周期的に変更されなければならない。従って、サーボスパイラルセットの2つ以上の完全なセットは、SSWの前にディスク上に典型的に書き込まれる。ここで、各々のサーボスパイラルセットはSSWの間に書き込まれる各々の最終のサーボウェッジについて、少なくとも1つのサーボスパイラルを含む。SSWの間、現在のサーボスパイラルセットが最終のサーボウェッジによって上書きされた半径位置に、リードヘッドが近づく際に必要とされるような2つ以上のサーボスパイラルセットの間を、サーボ制御が交互に実行される。このように、ライトヘッドの半径位置、従って最終のサーボウェッジの半径位置のサーボ制御は全ての半径トラック位置に関して維持される。
【0006】
外部のサーボトラックライターによって、比較的高い精度でディスク上に、各々のサーボスパイラルが書き込まれるけれども、各々のサーボスパイラルの軌道においてある量の変化が生じることが公知であると言うことが上で述べられているSSWプロセスに伴う1つの問題である。サーボスパイラルを書き込んでいる間、外部のサーボトラックライターの位置制御、またはディスク媒体のどちらかの中の不完全性のような、ランダム要素によって、このようなサーボスパイラル変化が引き起こされるかもしれない。サーボスパイラル変化は、ディスクの比較的大きな部分の形状を変えるディスクの偏心とクランプのひずみや他の要素のようなディスク表面を横切ってゆっくりと変化し、隣接するトラックに同様に影響を与える要素の結果でもあるかもしれない。このようなスパイラル間(spiral-to-spiral)の変化の累積的な影響は、サーボスパイラルセットのサーボをオフする間に、リード・ライトヘッドによって追従された実際の経路は理想的な円形の経路ではないと言うことである。そして、最終の サーボウェッジはこの非円形の経路に沿って書き込まれるだろう。SSWの間、サーボするために、1つのサーボスパイラルセットが使用されさえすれば、最終のトラックの非理想的な形はディスクドライブの性能にあまり影響を与えないだろう。しかしながら、SSWの間、多くのサーボスパイラルセット間をサーボ制御がスイッチされなければならないので、図1で描かれているように、最終のサーボウェッジを書き込んだSSWでディスクドライブの性能において問題が生じる。
【0007】
図1は、SSWの間に書き込まれた最終のサーボウェッジによって定められた多くの最終のデータトラック70の部分的な概要の概観である。第1のトラックセット80に関して、最終のサーボウェッジを書き込んでいる間、ディスクドライブライトヘッドをサーボするために、第1のサーボスパイラルセットが使用された。第2のトラックセット90に関して、最終のサーボウェッジを書き込んでいる間、ディスクドライブライトヘッドをサーボするために、第2のサーボスパイラルセットが使用された。明快さのために、最終のサーボウェッジとサーボスパイラルは図1から除外されている。そして参考のために、ひとつの理想的な円形の経路95が示されている。第1トラックセット80は非理想であるが、実質的に平行な経路に追随する多くのデータトラックを含む。同様に、第2のトラックセット90は非理想であるが、実質的に平行な経路に追随する多くのデータトラックを含む。図示されるように、第1トラックセット80と第2トラックセット90の間の相対的な半径の最終のトラック位置の不正確さは不十分であり、ディスクドライブの他の通常の操作の間に望ましくない位置誤差信号(PES)スパイクと不十分な信号コヒーレンスを典型的に導く。
【0008】
上の視点から、ディスクドライブに関するセルフサーボライトの間、サーボスパイラルスイッチングの方法に関して業界内でニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例では、外部のサーボトラックライターによって、比較的高い精度でディスク上に、各々のサーボスパイラルが書き込まれるけれども、各々のサーボスパイラルの軌道においてある量の変化が生じることが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、第1のスパイラルセットと第2のスパイラルセットが書き込まれた記録媒体にサーボウェッジを書き込むサーボウェッジ書き込み方法において、前記第2のスパイラルセットの各々のスパイラルが前記第1のスパイラルセットの中の2つのスパイラルの間に書き込まれる。このサーボウェッジ書き込み方法は前記第1のスパイラルセットと第2のスパイラルセットの差に基づいて補正係数を決定し、前記記録媒体の第1の半径位置で、前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、前記記録媒体にサーボウェッジの要素を書き込み、前記記録媒体の第2の半径位置で、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、前記記録媒体上に前記サーボウェッジの要素を書き込む。前記サーボウェッジの要素が前記記録媒体に書き込まれるよりも前に、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記値が前記補正係数で修正される。
【0011】
他の実施形態によれば、第1のスパイラルと第2のスパイラルが書き込まれた記録媒体にサーボウェッジを書き込むサーボウェッジ書き込み方法は前記第1のサーボスパイラルと前記第2のサーボスパイラルから情報を集め、前記第1のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記記録媒体の第1の半径位置にトランスデューサヘッドを配置し、前記第1のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記第1の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの要素を書き込み、前記第2のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記記録媒体の第2の半径位置にトランスデューサヘッドを配置し、前記第2の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの要素を書き込む。前記第2のサーボスパイラルから集められた前記情報は補正係数に基づいて修正され、前記修正された情報は、前記記録媒体の前記第2の半径位置に前記トランスデューサヘッドを配置する際と、前記第2の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの前記要素を書き込む際に使用される。
【0012】
さらに他の実施形態によれば、記録媒体上に書き込まれた複数のサーボウェッジと、実質的に等しい間隔でサーボスパイラルの一部が書き込まれた円周端部分とを具備し、前記サーボウェッジが、前記サーボスパイラルの第1のセットと、前記サーボスパイラルの第2のセットと、前記サーボスパイラルの第1のセットと前記サーボスパイラルの第2のセットとの差のための少なくとも1つの補正係数とを使用し記録媒体に書き込まれる記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、SSWの間、書き込まれた最終のサーボウェッジによって定められる多くの最終のデータトラックの部分的概要的図である。
【図2】図2は、この中で記述されるような実施形態から効果を得ることができるディスクドライブの遠近法による見方である。
【図3】図3は、業界で公知の典型的な方法で編成されたデータを伴った記憶ディスクを描いている。
【図4】図4は、SSWプロセスを経る前の記憶ディスクを描いている。
【図5】図5は、SSWプロセスのサーボウェッジの部分的概要的図である。
【図6】図6は、実施形態によって、アクティブなサーボスパイラルセットから、非アクティブなサーボスパイラルセットにサーボ制御をスイッチするための方法を要約するフローチャートである。
【図7】図7は、実施形態に従って、1つの方法が実行され、そして同心のデータストレージトラックがストレージディスク上に書き込まれた後の記憶ディスクの部分的概要的図である。
【図8A】図8Aは、標準的なSSW手順を使用して製造されたディスクドライブから得られた位置誤差信号サンプルを描いている。
【図8B】図8Bは、実施形態によって修正されたSSW手順を使用している図8Aと同一なディスクドライブから得られた位置誤差信号サンプルを描いている。
【図9A】図9Aは、標準的なSSW手順を使用して製造されたディスクドライブから得られた自動利得制御(AGC)を描いている。
【図9B】図9Bは、実施形態によって修正されたSSW手順を使用している図9Aと同一なディスクドライブから得られた自動利得制御(AGC)を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図2は、この中で記述されている実施形態から効果を得ることができるディスクドライブ110の遠近法による見方である。明快さのために、ディスクドライブ110はトップカバーなしで描かれている。ディスクドライブ110は、スピンドルモータ114によって回転されるストレージディスク112を含んでいる。スピンドルモータ114はベースプレート116の上にマウントされる。アクチュエーターアームアセンブリ118もまたベースプレート116上にマウントされ、その上に構築され、リードヘッドとライトヘッドを含むトランスデューサヘッド121を伴ったフレクスチャアーム122の上にマウントされたスライダ120を持つ。フレクスチャアーム122は、ベアリングアセンブリ126の周りを回転するアクチュエーターアーム124に取り付けられている。ボイスコイルモータ128は、ストレージディスク112に関して、スライダ120を動かし、それによって、ストレージディスク112の表面112A上に配置された所望の同心のデータストレージトラックの上に、トランスデューサヘッド121を配置する。スピンドルモータ114とトランスデューサヘッド121とボイスコイルモータ128は電子回路130と結合されている。この電子回路130は、プリント回路基板132上にマウントされている。電子回路130は、リードチャネルと、マイクロプロセッサーに基づいたコントローラーと、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいる。記述の明快さのために、ディスクドライブ110は、1つのストレージディスク112と、アクチュエーターアームアセンブリ118で描かれている。しかしながら、ディスクドライブ110は、多層のストレージディスク112と多層のアクチュエーターアームアセンブリ118をもまた含むかもしれない。加えて、ディスク112の各々の面はひとつの関連付けられたトランスデューサヘッド121を持つかもしれない。両方のトランスデューサヘッド121が一斉に回転するように、関連づけられたトランスデューサヘッド121の両方ともが回転アクチュエーター130に結合されている。個別のヘッドがアクチュエーターに関して、別々に小さな距離を動くように構成されている装置にここで記述されている実施形態は同様に適用可能である。この技術はデュアルステージアクチュエーションと呼ばれる。
【0016】
図3は、ディスクドライブ110がセルフサーボライト(SSW)を行った後、典型的な方法で組織されたデータを伴ったストレージディスク112を描いている。ストレージディスク112は、データを格納するためにデータセクタ246の中に配置され、SSWの間、サーボウェッジ244の中に書き込まれたサーボ情報によって位置的に定められる同心のデータストレージトラック242を含んでいる。同心のデータストレージトラック242の各々は、中心線として概要的に描かれているが、実際には、対応する中心線の周りに有限の幅を占める。実質的に放射状に配置されたサーボウェッジ244は、同心のデータストレージトラック242のサーボセクタのサーボ情報を含み、同心のデータストレージトラック242と交差する。このようなサーボ情報は、リード操作とライト操作の間、所望のトラック242上にトランスデューサヘッド121を配置するために、トランスデューサヘッドによって読まれる既知の振幅の正弦波のような基準信号を含んでいる。実際には、サーボウェッジ244はいくらかカーブしているかもしれない。例えば、浅い螺旋パターンで構成されているが、このような螺旋パターンが、サーボウェッジ244を発生させるために、SSWの間使われるサーボスパイラルと混同されるべきではない。典型的に、ストレージディスク112に含まれたサーボウェッジ244と同心のデータストレージトラック242の実際の数は、図3で描かれているよりもかなり大きい。
【0017】
操作において、ストレージディスク112の内径(ID)と外径(OD)の間の円弧を、アクチュエーターアームアセンブリ118は動く。電流がボイスコイルモータ128のボイスコイルを通って流れた際、アクチュエーターアームアセンブリ118は1つの角度方向に加速し、その電流が逆になった際、アクチュエーターアームアセンブリ118は反対の方向に加速する。これは、ストレージディスク112に関して、アクチュエーターアームアセンブリ118と、それに取り付けられたトランスデューサヘッド121との位置の制御に備える。ボイスコイルモータ128は、同心のデータストレージトラック242の上でトランスデューサヘッド121の位置を決定するために、ストレージディスク112からトランスデューサヘッド121によって読み出されるデータを配置するために使われる業界内で公知のサーボシステムと結合している。サーボシステムはボイスコイルモータ128のボイスコイルを通って駆動するための適切な電流を決定する。そして、連結された回路と1つの電流ドライバを使用し前述の電流する駆動する。
【0018】
実施形態は、SSWと共に起こることが知られている相対的半径位置と信号コヒーレント問題が、結果として生じるデータストレージトラックの中に存在することを避けるために、SSWの間、第1のサーボスパイラルセットから第2のサーボスパイラルセットへのサーボ制御をスイッチするための方法を意図している。特に、これらの問題は、スパイラルSSW処理の間、スパイラルセットスイッチ点に対応した最終のウェッジによって定められた半径位置で生じる。このような位置で、最終のウェッジ位置情報と信号周波数とコヒーレンスは、スパイラルセットスイッチの直前と直後の2つのSSWライト操作によって定められる。図4は、SSW処理を経るより前のストレージディスク112を描いている。ストレージディスク112は、その上に書き込まれる2つのサーボスパイラルセット410と420を持つ。サーボスパイラルセット410(実線のスパイラル)とサーボスパイラル420(破線のスパイラル)は、少なくともN個のサーボスパイラル402を各々含んでいる。ここで、NはSSWの間、ストレージディスク112に書き込まれるだろう最終のサーボウェッジ、例えばサーボウェッジ244の数と等しい。図示されるように、各々のサーボスパイラル402は、隣接するスパイラルトラックから実質的に等しい間隔だけ円周方向に離間され、1回以上のストレージディスク112の回転を通して書き込まれる。加えて、SSWの間、あるサーボスパイラルセットから他のサーボスパイラルセットへのサーボ制御のスイッチングを容易にするために、サーボスパイラルセット410のN個のサーボスパイラル402とサーボスパイラルセット420のN個のサーボスパイラルはストレージディスク401の円周に関して交互に書き込まれる。従って、サーボスパイラルセット410はサーボスパイラル410−0、410−1、410−2,410−3などを含み、サーボスパイラルセット420はサーボスパイラル420−0、420−1、420−2,420−3などを含む。サーボウェッジ244の数Nは一般的に比較的大きく、従って、ストレージディスク112の上に書き込まれるサーボスパイラル402の実際の数は図4に描かれているよりもかなり大きいと言うことに注目される。サーボスパイラル402の“スティープネス”は、図4に描かれている“スティープネス”よりも大きいまたは小さいかもしれないことにさらに注目される。例えば、サーボスパイラル402は、代わりにとても“浅い”角度で、例えばストレージディスク401の複数回転によって書き込まれるかもしれない。さらに、ストレージディスク112は、1つ以上の追加のサーボスパイラルセットを含むかもしれない。しかし、描写の簡素化のために、ストレージディスク112はサーボスパイラルセット410と420に限られる。
【0019】
業界で公知であるように、各々のサーボスパイラル402は、ディスクドライブのサーボシステムがSSWの間ストレージディスク112上の特定の半径位置の上にサーボすることができるタイミング情報と位置情報を含んでいる。例えば、各々のスパイラルトラックは、同期マークによって周期的に中断される高周波数信号で構成されているかもしれない。そして、SSWの間、トランスデューサヘッド121に関するオフトラック情報、例えば位置誤差信号(PES)は、スパイラルトラックの同期マークに関係のあるスパイラルトラックの高周波信号から検出されたスパイラルパターンの中の振幅のシフトによって決定される。SSWで書き込まれた最終のウェッジ信号の周波数を制御するためのタイミング情報は、スパイラルトラックの同期マークから決定されるかもしれない。
【0020】
図5は、SSWの処理中のN個のサーボウェッジ244の部分的概要の図である。ここで、Nはストレージディスク112に書き込まれているサーボウェッジ244の総計である。この記載の目的のために、図5のSSWの処理は内径(ID)から外径(OD)へと行われる。しかしながら、実施形態は、ストレージディスクの外径(OD)から内径(ID)へ、または両方の方向の組み合わせで行われるSSW処理として、等しく適用できると言うことを理解されるべきだ。図示されるように、サーボウェッジ1、サーボウェッジ0、サーボウェッジN-1は、トランスデューサヘッド121(明確には示されていない)が一度に1つの半径のスパイラルトラック位置で内径(ID)から外径(OD)へストレージディスク112を横切る処理中、部分的に書き込まれる。特に、トランスデューサヘッド121は、1つの半径のトラック位置、例えば501、502、503などの上をサーボし、各サーボウェッジ244の終端で適切なサーボパターン520を書き込み、所望の半径のスパイラルトラック位置の中心に置かれ、その後この処理を繰り返すために次の半径のスパイラルトラック位置に移動する。SSWが完了すると、1つ以上の半径のトラック位置501から504は、図3の同心のデータストレージトラック242の1つと対応しているだろう。
【0021】
SSW処理の一部分として、ディスクドライブ110に関するサーボシステムは、SSWの間所望された半径のスパイラルトラック位置の上でトランスデューサヘッド121をサーボするために、1つのサーボスパイラルセット、例えば“アクティブ”サーボスパイラルセット、からスパイラル402によって提供されるサーボタイミング情報と位置情報を使用する。追加のサーボスパイラルセットは、“非アクティブ”と考えられ、サーボ制御がそこへスイッチされるまでトランスデューサヘッド121のサーボ制御のために使われない。例えば、図5に描かれた実施形態の中で、トランスデューサヘッド121は、サーボスパイラルセット410またはサーボスパイラルセット420の同時に両方ではなくどちらか一方のサーボをオフにする。加えて、トランスデューサヘッド121がストレージディスク112の外径(OD)の近くにある際、ライトヘッドは1つ以上の半径のトラック場所によってリードヘッドを導くかもしれない。これは、リードヘッドは、サーボパターン520によって、いくつかの位置で上書きされたサーボスパイラルからのタイミング情報と位置情報、またはいくつかの位置で利用できないサーボスパイラルからのタイミング情報と位置情報を読み込むと言うことを意味している。従って、トランスデューサヘッド121の正確な半径位置を維持するために、リードヘッドがアクティブサーボスパイラルセットの位置情報及び/またはタイミング情報が使用されることができない半径位置に近づく際、サーボ制御がアクティブサーボスパイラルセットから非アクティブサーボスパイラルセットにスイッチされる。サーボ制御スイッチングが行われている半径位置は、いわゆる“スパイラルセットスイッチポイント”である。
【0022】
実施形態は、さもなければサーボスパイラルスイッチングにより生じる相対半径の位置決め問題と信号コヒーレント問題を避け、アクティブサーボスパイラルセットから非アクティブサーボスパイラルセットへサーボ制御をスイッチするための方法を意図している。特に、スイッチ点でアクティブサーボスパイラルセットから非アクティブサーボスパイラルセットへサーボ制御をスイッチするより前に、位置情報及び/またはタイミング情報が、アクティブサーボスパイラルセットと非アクティブサーボスパイラルセットの両方から集められ、そして復号される。オフセット値は、アクティブサーボスパイラルセットの中の各々のスパイラルと非アクティブサーボスパイラルセットの中の位置的に対応する各々のスパイラルの間で計算される。そして、そのように決定されたオフセット値は、非アクティブサーボスパイラルセットに補正値とし適用される。その後、修正された非アクティブスパイラルセットは、SSW処理の中で次の半径位置に関するトランスデューサヘッド121のサーボ制御を維持するために使用される。そして、アクティブスパイラルセットは、サーボ制御が後のスパイラルセットスイッチポイントでそこに戻ってくるまで非アクティブになる。
【0023】
一つの典型的な実施形態が、図5に関しこれから記述されている。記述の簡素化のために、トランスデューサヘッド121のリードヘッドとライトヘッドの間の半径のオフセットは、図5でほんの4つのSSWステップである。実際には、このようなオフセットは、ディスク112上のいくつかの位置の上で10から20のSSWステップのオーダーであるかもしれない。図5で、ディスクドライブ110のサーボシステムは、サーボスパイラルセット410の中に含まれるN個のサーボスパイラル402によって提供される位置情報とタイミング情報に基づいてトランスデューサヘッド121の半径位置を維持する。トランスデューサヘッド121のリードヘッドは、サーボスパイラルセット410からのタイミング情報と位置情報を読み込むために、半径のトラック位置501の上に配置されている。そして、トランスデューサヘッド121のライトヘッドは、半径トラック位置505で各々のサーボウェッジ244に関する適切なサーボパターン520を書き込むために、半径のトラック位置505の上に配置されている。一度サーボパターン520が半径のトラック位置505で書き込まれると、トランスデューサヘッド121は、ディスク112の外径(OD)により近い1つの半径トラック位置に動かされる。そのため、リードヘッドは半径のトラック位置502の上に置かれ、ライトヘッドは半径のトラック位置506の上に置かれる。図示されるように、サーボスパイラルセット410の1つ以上のサーボスパイラル402、例えばサーボスパイラル410−0,410−1、は半径のトラック位置502で上書きされる。従って、トランスデューサヘッド121の正確なサーボ制御は、もしサーボスパイラルセット410がディスクドライブ110のサーボシステムへ位置情報とタイミング情報を提供するために使用されれば維持されることができない。また、サーボスパイラル410−0、410−1は、前のライトコマンドのために半径のトラック位置502で上書きされるかもしれない。どちらの場合でも、サーボスパイラルセット410からサーボスパイラルセット420へのスイッチングが必要であり、サーボスパイラルセット410とサーボスパイラルセット420の間の相対的な半径の最終のトラックの位置の不正確さは、ディスクドライブ110の通常の操作以外の操作の間に不十分な信号コヒーレンシーと不所望の位置誤差信号スパイクと言う結果になる。その代わり、実施形態によると、サーボスパイラルセット420からの位置情報とタイミング情報は、オフセット値の配列によって修正された後に使用される。
【0024】
図6は、1つの実施形態に従って、アクティブサーボスパイラルセットから非アクティブサーボスパイラルセットへのサーボ制御をスイッチするための方法600を段階的に要約するフローチャートである。方法600は図2のディスクドライブ110に実質的に似ているディスクドライブによって描かれる。しかしながら、他のディスクドライブが、方法600の使用から効果を得るかもしれない。ステップ601からステップ605を実行するためのコマンドは、ディスクドライブの制御アルゴリズム内にあるかもしれないし、及び/またはディスクドライブの電子回路の中または記憶ディスクそれ自身の上に格納された値としてあるかもしれない。図5と関連して上に示されたように、方法600の第1のステップよりも前に、トランスデューサヘッド121はスパイラルセットスイッチポイント、この例では半径のトラック位置501、に到達する。
【0025】
ステップ601で、位置情報及び/またはタイミング情報は、現在の半径位置、例えば半径のトラック位置501、でのアクティブサーボスパイラルセットと非サーボアクティブスパイラルセットの両方でN個のサーボスパイラルから集められる。この例では、サーボスパイラルセット410はアクティブサーボスパイラルセットであり、サーボスパイラルセット420は非アクティブサーボスパイラルセットである。タイミング信号と位置信号は、トランスデューサヘッド121のリードヘッドによって測定され、各々のサーボスパイラル402でトランスデューサヘッド121のためのタイミングの値と位置の値を生成するために、ディスクドライブ110のサーボシステムによって復号される。アクティブサーボスパイラルセットからのデータは”A”で示され、非アクティブサーボスパイラルセットからのデータは“I”で示され、2N個のスパイラル(各々のサーボスパイラルセットの中のN個のスパイラル)を持つ1回転に対するデータセットは
A0, I0, A1, I1… AN-2, IN-2, AN-1, IN-1
である。
【0026】
ディスクドライブ110のサーボシステムは、トランスデューサヘッド121の半径位置をサーボするための基準考として、アクティブサーボスパイラルセット、例えばA0, A1 …AN-2, AN-1、によって提供されたタイミングデータと位置データを使用し続ける。アクティブサーボスパイラルセット、例えばA0, A1 …AN-2, AN-1、とアイドルサーボスパイラルセット、例えばI0, I1 …IN-2, IN-1、から復号化されたサンプルは、方法600の後のステップの中での使用のために格納されている。
【0027】
ステップ601の1つの実施形態で、位置及び/またはタイミング情報は、ストレージディスク112の複数回転、例えば2乃至10回転のオーダーである、を通して集められ、その後復号される。各々のサーボスパイラルに対する復号された位置の値及び/またはタイミングの値は、その後各々のサーボスパイラルで取得された多数の測定値にわたって平均化される。従って、値I0とA0は、各々複数回転を通して取得された0番目のアクティブサーボスパイラルと0番目の非アクティブサーボスパイラルの各々の平均値である。同様に、I1とA1は、各々複数回転を通して取得された第1のアクティブサーボスパイラルと第1の非アクティブサーボスパイラルの各々の平均値であり、I2とA2は各々複数回転を通して取得された第2のアクティブサーボスパイラルと第2の非アクティブサーボスパイラルの各々の平均値などである。これらの実施形態で、測定された位置及び/またはタイミング信号の中の繰り返すことができない変化量は最小化される。理想的なこのような繰り返すことのできない変化量、例えば振動や摂動によるトランスデューサヘッド121の小さくランダムな動き、またはスピンドルモータの速度の中のランダムな変動は複数回転を通して所望の信号の復号された値を平均化することを通して除かれる。
【0028】
ステップ602で、オフセット値は、アクティブサーボスパイラルセットの中の各々のスパイラルと非アクティブサーボスパイラルセットの中の対応するスパイラルの間で計算される。このように、Nの位置及び/またはタイミングの値のオフセットの配列が生成される。例えば、図5を参照すると、サーボスパイラル410−0に関する復号された位置の値はサーボスパイラル420−0に関する復号された位置の値と比較される。ここで、それらの間の差は、位置オフセット行列の中に格納された0番目のオフセット値と等しい。同様に、サーボスパイラル410−1に関する復号された位置の値は、位置オフセット配列の中に格納された第1の値を決定するためにサーボスパイラル420−1に関する復号された位置の値と比較されるなどである。従って、オフセット配列の0番目の位置及び/またはタイミングの値はD0=I0−A0として定められるかもしれない。ここで、D0とI0とA0はタイミングの値、位置の値、またはその両方であるかもしれない。このように、非アクティブサーボスパイラルセットの中のサーボスパイラルのアクティブサーボスパイラルセットの中の対応するサーボスパイラルからのわずかな偏差の量が測定され修正される。それによって、アクティブサーボスパイラルセットによって描かれた実質的に平行な経路に、非アクティブサーボスパイラルによって描かれた経路を作り変えている。
【0029】
ステップ603で、ステップ602で決定されたオフセット値は、非アクティブサーボスパイラルに関する復号された位置情報及び/またはタイミング情報に適用される。適切なオフセット値によって第2のサーボスパイラルの中の各々のサーボスパイラルから集められた情報を修正することによって、アクティブサーボスパイラルセットと非アクティブサーボスパイラルセットは、スパイラルスイッチポイントで本質的に同じ位置を定義する。
【0030】
ステップ604で、サーボ制御は、以前の非アクティブサーボスパイラル、この例の中ではサーボスパイラルセット420、にスイッチされる。1つの実施形態で、ステップ604はスパイラルセットスイッチポイントで行う。例えば、ライトヘッドがまだ半径のトラック位置505にある間である。他の実施形態では、アクティブサーボスパイラル、例えばサーボスパイラルセット410、はトランスデューサヘッド121のライトヘッドが次の半径のトラック位置、例えば半径のトラック位置506、の上に配置されるまでサーボ制御のために使われる。
【0031】
ステップ605で、トランスデューサヘッド121は外径方向に動き続けている。例えば、SSW方向で、一度に1つの半径位置をストレージディスク112の外径方向へ動き続けている。そして、以前の非アクティブサーボスパイラル、例えばサーボスパイラルセット420、はアクティブサーボスパイラルセットとして機能を果たす。その後、サーボパターン520は、他のスパイラルセットスイッチポイントに達するまで通常、サーボウェッジ244に書き込まれる。スパイラルセット420がSSW処理の中でライトヘッドのサーボ制御を続けるために使用される際、スパイラルセット420の中に含まれるN個のサーボスパイラルの各々から位置情報とタイミング情報はステップ602の中で生成されたオフセット配列からの対応するオフセット値で修正されると言うことが強調される。
【0032】
1つの実施形態で、ステップ601と602は、発散のリスク、例えば方法600を使用している際の累積的なエラーによる不安定、を減らすために複数回転を通して反復的に行われる。つまり、ストレージディスク112の第1の回転の中で、ステップ601と602は両方ともに行われる。例えば、位置情報及び/またはタイミング情報は、現在の半径位置でアクティブサーボスパイラルセットと非アクティブサーボスパイラルセットの両方の中のN個のサーボスパイラルから集められ、そして、オフセット値は、アクティブサーボスパイラルセットの中の各々のスパイラルと非アクティブサーボスパイラルセットの中の各々の対応するスパイラルの間で計算される。2番目の回転の間に、ステップ601と602は、第2のオフセットがアクティブサーボスパイラルセットとここまで集められた非アクティブサーボスパイラルセットの間で決定されるように繰り返される。もし、第2のオフセットが1つ以上の期待する成功基準に合えば、その時方法600はステップ603の方に継続する。もし、その基準またはいくつかの基準が合わないと、第1の回転の後計算された各々のサーボスパイラルに関するオフセット値は、各々のスパイラルに関する第2のオフセット値で修正され、ステップ601と602は繰り返される。あるいは、第1の回転の後計算された各々のサーボスパイラルに関するオフセット値は、各々のスパイラルに関する第2のオフセット値から得られる要素によって修正される。成功基準の1つの例は、全てのN個のサーボスパイラルに関するオフセットの和が所定の組み合わせ値を超えなかったことである。他の成功基準は、1つのサーボスパイラルも1つ以上の特定の値または前の値の特定のパーセンテージ以上により修正されないことである。このような反復の実施形態で、ランダムノイズによって引き起こされる非現実的なオフセットがアルゴリズムの中で不安定をつくることを避けるために、オフセット配列の中に含まれる個々の値にも制限が課されるかもしれない。例えば、位置のオフセット値は、トラック幅のパーセンテージのような前に決定した量以下に限られるかもしれない。
【0033】
このような実施形態の1つの利点はサーボシステムの安定が高められると言うことである。例えば、位置またはタイミングの小さなランダムエラーは、発散という結果になりにくい。このような実施形態の他の利点は、修正された非アクティブサーボスパイラルセットの位置の値またはタイミングの値のアクティブサーボスパイラルセットの対応する値への収束が、ステップ601で、上で記述された平均をとっているアプローチよりもより小さな回転数で行われるかもしれないということである。
【0034】
1つの実施形態で、ステップ602の中で発生したN個の位置の値及び/またはタイミングの値のオフセット配列は、ステップ603よりも前に後処理を経る(オフセット値は、非アクティブサーボスパイラルから復号された位置及び/またはタイミングを適用している)。発散のリスクを最小限にし、そしてノイズの影響を抑えるために、N個の位置の値及び/またはタイミングの値のオフセット配列の分解は、ランダムノイズからサーボスパイラル間の変位量の重要なソースを分けるために行われる。このような実施形態で、オフセット配列はAC成分とDC成分に分解される。そのため、オフセットのDC(変位)部分だけが、非アクティブサーボスパイラルに関する復号された位置及び/またはタイミングに適用される。あるいは、分解されたオフセット配列のAC成分の1つ以上が、非アクティブサーボスパイラルから復号された位置及び/またはタイミングにも適用されるかもしれない。このような実施形態で、フーリエ変換がオフセット配列に実施され、そして最も高い振幅、あるいは実験的及び/またはデザイン特性に基づいた所定値を持つ1つ以上の周波数成分は、非アクティブサーボスパイラルを修正するために使用される。1つの実施形態で、ディスク回転の1倍の周波数成分と2倍の周波数成分と3倍の周波数成分が使用される。と言うのは、DC成分に結合したこれらの周波数成分は、サーボスパイラルの理想的な経路からのサーボスパイラルの変化に主に寄与するものであるとして認識されるからである。
【0035】
1つの実施形態で、ステップ601とステップ602は、オフセット配列から分解された個々の調波と1つ以上のDCを使用し複数回転を通して繰り返し行われる。このような実施形態で、オフセット配列の中に含まれる個々の値には制限が課せられるかもしれない。例えば、1倍の周波数成分は、前の回転の中と比べて所定のパーセンテージの差、例えば、5%以下であることに制限されるかもしれない。一方、3倍の周波数成分は異なる制限、例えば、2%を持つかもしれない。このような実施形態は、周波数成分がサーボスパイラルセットの間のオフセット補正を決定するために使用される際に方法600の安定性を増加させることができる。
【0036】
1つの実施形態で、方法600は、トランスデューサヘッド121のリードヘッドがSSWの間スパイラルセットスイッチポイントに到達する毎に行われる。他の実施形態で、方法600は、第1のサーボスパイラルセットが第2のサーボスパイラルセットと一致するためだけに行われる。しかし、逆のためには行われない。例えば、SSWの間、スパイラルセットスイッチポイントに届き、サーボスパイラルセット410がアクティブサーボスパイラルセットである際、方法600の実施形態が、サーボスパイラルセット420の位置データ及び/または時間データがサーボスパイラルセット410の位置データ及び/または時間データと一致するために行われる。その後、サーボスパイラルセット420はアクティブサーボスパイラルセットになる。しかしながら、サーボスパイラルセット420がアクティブスパイラルセットであり、スパイラルセットスイッチポイントに届く際、方法600はサーボスパイラルセット410がサーボスパイラルセット420と一致するためには行われない。その代わりに、1つの半径のトラック位置と近傍の半径のトラック位置でサーボスパイラルセット410によって定められたタイミング情報及び/または位置情報の変化は重要ではないと想定されるので、サーボ制御はサーボスパイラルセット410を修正することなしにサーボスパイラルセット410に戻される。さらに他の実施形態で、ステップ602の中で発生したオフセット配列は、サーボスパイラルセット420がサーボスパイラルセット410と一致する毎に発生されると言うよりも、むしろ多くのスパイラスセットスイッチポイントで使用される。
【0037】
つまり、SSWの従来技術の方法と比べて、方法600の実施形態はSSWに関して起こることが公知であるデータストレージトラックに関する信号コヒーレント問題と相互半径の変位を防ぐ重要な利点を持つ。さらに、当業者は、実施形態が2つより多くの異なる数のサーボスパイラルセットを利用することを評価するだろう。1つの実施形態で、3つ以上のサーボスパイラルセットがスパイラルセットスイッチングのために使用されるかもしれない。さらに他の実施形態で、最終のサーボウェッジの数に関する非整数のサーボスパイラルセットがスパイラルセットスイッチングのために使用されるかもしれない。
【0038】
図7は、方法600が行われ、最終のサーボウェッジ244がストレージディスク112上に書き込まれ、ユーザーデータがディスクドライブ110の通常の使用を通してエリア706の中の同心のデータストレージトラック242の上に書き込まれた後、その有用なデータストレージストロークの端の近くのストレージディスク112の領域の部分的概要の図である。図示されるように、同心のデータストレージトラック242は、お互いにうまく配列され、そして、その同心のデータストレージトラック242の間では、サーボスパイラルセットスイッチングによって引き起こされる重要な区分が全くない。同心のデータストレージトラック242上のユーザーデータは、ストレージディスク112の外径702近傍、ストレージディスク112の内径(示されてはいないが)近傍以外のサーボウェッジ244の間に存在する。SSW処理の所産として、上書きサーボスパイラルのリマインダー部分701は、ユーザーデータエリア706とディスクエッジ702の間のストレージディスク112の表面上にまだ残っていると言うことに注目する。図示されるように、サーボウェッジ244とリマインダー部分701はユーザーデータの無い領域、例えば端の領域705、の中に両方ともに存在する。
【0039】
図8Aと図8Bは、各々、標準的なSSW手順を使用し製造されたディスクドライブと上述の方法600の実施形態によって修正されたSSW手順を使用している同一のディスクドライブから得られた位置誤差信号サンプルのグラフを例示している。位置誤差信号の値は、SSW処理の間、スパイラルセットスイッチポイントに対応している半径位置で最終のウェッジの上をサーボしている間、複数回転を通してディスクの各々のサーボウェッジに関して測定され復号されている。これらの位置で、最終のウェッジ位置情報は、2つのSSWライト操作、スパイラルセットスイッチの直前、直後の2つのSSWライト操作、によって定められる。その後、位置誤差信号の値は、(縦座標によって表わされている)トラック幅と等価なパーセンテージに変換され、(横座標によって表わされている)サーボウェッジの数の関数として提示される。ここで、ディスクは204個のサーボウェッジから成り立っている。図8Aの中の位置誤差信号スパイクはスパイラルスイッチポイントの直前と直後に配置された最終のトラックの形状の間の重大なミスマッチを示している。スパイラススイッチポイントのいくつかはトラック幅の40%と同じくらいの位置誤差の中に書き込みを引き起こしている。強い3x-based位置誤差信号分解が図8Aの中で明白になっている。この中で、大部分のトラック変動はディスクの回転周波数の3倍で変動する。図8Bで、トラック変動はどのサーボウェッジについても約5%よりも大きくなく3x-based分解はない。
【0040】
図9Aと図9Bは、各々標準のSSW手順を使用し製造されたディスクドライブと上述の方法600の実施形態によって修正されたSSW手順を使用し製造された同一のディスクドライブから取られたリードチャネルからの自動利得制御(AGC)サンプルを例示している。AGCの値が高ければ高いほど振幅がより小さいことを示し、最終のサーボウェッジ信号のコヒーレンスがより悪くなることを示している。AGCの値は、SSW処理の間、スパイラルセットスイッチポイントに対応している半径位置で最終のウェッジ上をサーボしている間、複数回転を通してディスクの各々のサーボウェッジのために計測された。このような位置で、最終のウェッジ信号周波数とコヒーレンシーは2つのSSWライト操作によって定められる。2つのSSWライト操作は、スパイラルセットスイッチの直前とスパイラルセットスイッチの直後の操作である。(縦座標で表わされている)AGC値は(横座標で表わされている)サーボウェッジ数の関数として提示されている。ここで、ディスクは204個のサーボウェッジから成り立っている。AGC値の中のスパイクは非コヒーレンシー、例えば、最終のサーボウェッジの多くで、スパイラルスイッチングに伴うシステマティックな問題を示しているサーボ信号タイミング差を示している。170のAGC値が示されている。図9Bで、135以下の大部分のウェッジの値に対してAGCの値の中のスパイクは存在していない。これはこのディスク上のサーボウェッジに伴う重要なコヒーレンシー問題がないことを示している。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0042】
110…ディスクドライブ、112…ストレージディスク、114…スピンドルモータ、116…ベースプレート、118…アクチュエーターアームアセンブリ、120…スライダ、121…トランスデューサヘッド、122…フレクスチャアーム、126…ベアリングアセンブリ、128…ボイスコイルモータ、246…データセクタ、244…サーボウェッジ、242…データストレージトラック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスパイラルセットと第2のスパイラルセットが書き込まれた記録媒体にサーボウェッジを書き込むサーボウェッジ書き込み方法であって、前記第2のスパイラルセットの各々のスパイラルが前記第1のスパイラルセットの中の2つのスパイラルの間に書き込まれ、前記サーボウェッジ書き込み方法は
前記第1のスパイラルセットと第2のスパイラルセットの差に基づいて補正係数を決定し、
前記記録媒体の第1の半径位置で、前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、前記記録媒体にサーボウェッジの要素を書き込み、
前記記録媒体の第2の半径位置で、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された値に基づいて、前記記録媒体上に前記サーボウェッジの要素を書き込み、
前記サーボウェッジの要素が前記記録媒体に書き込まれるよりも前に、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記値が前記補正係数で修正されるサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項2】
前記補正係数は、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記値と、前記第1のスパイラルセットから復号された前記値の差から決定され、前記サーボウェッジの要素が前記記録媒体に書き込まれるよりも前に、前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記値が、どの補正係数でも修正されない請求項1記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項3】
前記補正係数が前記差の平均である請求項2記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項4】
前記差のフーリエ変換を計算することをさらに具備し、
前記補正係数が、フーリエ変換の1x周波数成分に等しい1次の補正係数と、前記フーリエ変換の2x周波数成分に等しい2次の補正係数と、前記フーリエ変換の3x周波数成分に等しい3次の補正係数とを含む請求項2記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項5】
位置の値が前記スパイラルから復号され、前記補正係数が位置補正係数である請求項1記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項6】
位置の値が前記スパイラルから復号され、前記補正係数がタイミング補正係数である請求項1記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項7】
前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから前記第1の半径位置に関する位置の値を復号し、
前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから前記第1の半径位置に関する位置の値を復号し、
前記補正係数が、前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記位置の値と、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記位置の値との差から決定される請求項1記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項8】
前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから前記第1の半径位置に関するタイミングの値を復号し、
前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから前記第1の半径位置に関するタイミングの値を復号し、
前記補正係数が、前記第1のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記タイミングの値と、前記第2のスパイラルセットの中のスパイラルから復号された前記タイミングの値との差から決定される請求項1記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項9】
第1のスパイラルと第2のスパイラルが書き込まれた記録媒体にサーボウェッジを書き込むサーボウェッジ書き込み方法であって、
前記第1のサーボスパイラルと前記第2のサーボスパイラルから情報を集め、
前記第1のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記記録媒体の第1の半径位置にトランスデューサヘッドを配置し、
前記第1のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記第1の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの要素を書き込み、
前記第2のサーボスパイラルから集められた前記情報を使用し、前記記録媒体の第2の半径位置にトランスデューサヘッドを配置し、
前記第2の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの要素を書き込み、 前記第2のサーボスパイラルから集められた前記情報は補正係数に基づいて修正され、前記修正された情報は、前記記録媒体の前記第2の半径位置に前記トランスデューサヘッドを配置する際と、前記第2の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの前記要素を書き込む際に使用されるサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項10】
前記集められた情報が位置情報であり、前記補正係数が位置補正係数である請求項9記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項11】
前記集められた情報がタイミング情報であり、前記補正係数がタイミング補正係数である請求項9記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項12】
前記第1のサーボスパイラルから集められた前記情報が、どの補正係数に基づいても修正されず、前記修正されなかった情報が、前記記録媒体の前記第1の半径位置に前記トランスデューサヘッドを配置する際と前記第1の半径位置で前記記録媒体に前記サーボウェッジの前記要素を書き込む際に使用される請求項9記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項13】
前記第1のサーボスパイラルに関連し、前記記録媒体に書き込まれる追加のスパイラルと、前記第2のサーボスパイラルに関連し、前記記録媒体に書き込まれる追加のスパイラルとから情報を集めることと、
前記第1のサーボスパイラルと前記第1のサーボスパイラルに関連した前記追加のスパイラルとから集められた情報と、前記第2のサーボスパイラルと前記第2のサーボスパイラルに関連した前記追加のスパイラルとから集められた情報との差の平均として前記補正係数を決定することと、
をさらに具備する請求項9記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項14】
前記第1のサーボスパイラルと前記第1のサーボスパイラルに関連した前記追加のスパイラルから集められた前記情報と、前記第2のサーボスパイラルと前記第2のサーボスパイラルに関連した前記追加のスパイラルから集められた前記情報との差のフーリエ変換を計算することをさらに具備し、
前記補正係数が、前記フーリエ変換の前記1X周波数成分に等しい第1次補正係数と、前記フーリエ変換の前記2X周波数成分に等しい第2次補正係数と、前記フーリエ変換の前記3X周波数成分に等しい第3次補正係数とを含む請求項13記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項15】
前記第2のサーボスパイラルと前記第2のサーボスパイラルに関連した前記追加のスパイラルの各々が、前記第1のサーボスパイラルと前記第1のサーボスパイラルに関連した追加のスパイラルの2つの間で前記記録媒体に書き込まれる請求項13記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項16】
前記情報は、複数回転の間第2のサーボスパイラルと前記第1のサーボスパイラルから集められ、平均化される請求項9記載のサーボウェッジ書き込み方法。
【請求項17】
記録媒体上に書き込まれた複数のサーボウェッジと、
実質的に等しい間隔でサーボスパイラルの一部が書き込まれた円周端部分とを具備し、
前記サーボウェッジが、前記サーボスパイラルの第1のセットと、前記サーボスパイラルの第2のセットと、前記サーボスパイラルの第1のセットと前記サーボスパイラルの第2のセットとの差のための少なくとも1つの補正係数とを使用し記録媒体に書き込まれる記録媒体。
【請求項18】
前記差は、前記サーボスパイラルの第1のセットから復号された位置の値と、前記サーボスパイラルの第2のセットから復号された位置の値の差である請求項17記載の記録媒体。
【請求項19】
前記差は、前記サーボスパイラルの第1のセットから復号されたタイミングの値と、前記サーボスパイラルの第2のセットから復号されたタイミングの値の差である請求項17記載の記録媒体。
【請求項20】
トラックの第1のセットを定める前記サーボウェッジの要素が、前記サーボスパイラルの第1のセットを使用して書き込まれ、トラックの第2のセットを定める前記サーボウェッジの要素が、前記補正係数と前記サーボスパイラルの第2のセットを使用して書き込まれる請求項17記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2011−150771(P2011−150771A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134439(P2010−134439)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】