説明

サーボフレーム記録方法,サーボフレーム記録装置,記録ディスク,サーボフレーム情報取得方法およびサーボフレーム情報取得装置

【課題】 磁気ディスクの信頼性を低下させることなく、グレー情報とセクター情報との記録に要するデータ長を短くする。
【解決手段】バイナリ値として表わされたセクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替え部21と、このセクター情報並び替え部21によって並び替えられたセクター情報と、トラック情報とを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する第1合成部23と、この第1合成部23によって生成された合成データをサーボフレームに書き込む書込部51とをそなえるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクのサーボフレーム領域にグレー情報およびセクター情報を記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図15(a),(b)はそれぞれ従来の磁気ディスクの構成を説明するための図であって、図15(a)は磁気ディスクの構成を模式的に示す図、図15(b)はそのサーボフレームの構成を模式的に示す図である。
磁気ディスク110は、図15(a)に示すように、その片面もしくは両面に磁性体からなる記録層が形成された円盤(プラッタ)であって、磁気ヘッド(図示省略)によって、その表面(記憶領域)に記録された情報が読み取られたり、又、書き込まれたりするようになっている。
【0003】
また、磁気ディスク110には、その中心部から円周に向かう複数のサーボフレーム111が、所定間隔で放射線状に形成されており、このサーボフレーム111に磁気ヘッドを特定するための情報が記録されている。
従来の磁気ディスク110のサーボフレーム111には、図15(b)に示すように、例えば、プリアンブル,サーボマーク,グレー・セクター情報(ヘッド情報),ポジション(Position)バースト,ポスト(Post)コード等の情報が記録されている。
【0004】
グレー・セクター情報は、例えば、16ビットのグレー情報と8ビットのセクター情報とからなる24ビットの情報であって、サーボフレーム111には、これらのグレー情報とセクター情報とを格納するための領域が形成されている。
ここで、グレー情報は、シリンダ番号を表わすバイナリ値を論理変換することにより生成されるグレーコードであり、セクター情報は、セクター番号を表わすバイナリ値である。
【0005】
そして、磁気ディスク装置においては、サーボフレーム111に記録されたグレー情報およびセクター情報によって、磁気ディスク110からのデータの読み取り時に、サーボフレームずれやトラックずれの発生を防止し、これらのサーボフレームずれやトラックずれによるユーザデータの破壊等を抑止している。
さて、磁気ディスク110の記録密度は年々向上しており、それに伴って、サーボサンプルレート(サーボサンプル周波数)も高くなっている。そして、磁気ディスク110においては、サーボサンプルレートを上げるためには、サーボフレーム111の数を増やす必要があるが、これにより磁気ディスク110のフォーマット効率が低下するという問題がある。
【0006】
このように、サーボフレーム111を増やしても磁気ディスク110のフォーマット効率を低下させないためには、磁気ヘッドの性能を向上させることによりサーボフレーム111の記録密度(ビット密度)を向上させる他、各サーボフレーム111に記録する情報量を減らすことが有効である。
例えば、下記特許文献1においては、サーボアドレスを符号化することにより、ディスクにおいて、少ないビット数でサーボアドレスを格納して、ディスク記憶空間を節約する手法が開示されている。
【特許文献1】特開平8−221892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、磁気ディスク110においては、サーボフレーム111にグレー情報とセクター情報との両方を記録しなければ、サーボフレームずれやトラックずれの発生を回避できないが、従来の磁気ディスク110においては、これらのグレー情報とセクター情報とを記録するための領域に要するビット数が長くなり、これにより、サーボフレーム111のデータ長が長くなりフォーマット効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、サーボフレームに記録するグレーコードとセクター情報の記録方式を工夫することにより、磁気ディスクの信頼性を低下させることなく、グレー情報とセクター情報との記録に要するデータ長を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明のサーボフレーム記録方法(請求項1)は、記録ディスクにおけるサーボフレームにセクター情報とトラック情報とを記録するサーボフレーム記録方法であって、バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並べ替えステップと、該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報とを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する合成ステップと、該合成ステップにおいて生成された該合成データを該サーボフレームに書き込む書込ステップとをそなえることを特徴としている。
【0010】
なお、バイナリ値として表わされた該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報並び替えステップをそなえ、該合成ステップにおいて、該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報並び替えステップにおいて並び替えられた該トラック情報とを排他的論理和で合成することにより該合成データを生成してもよい(請求項2)。
【0011】
また、本発明のサーボフレーム記録装置(請求項3)は、記録ディスクにおけるサーボフレームにセクター情報とトラック情報とを記録するサーボフレーム記録装置であって、バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替え部と、 該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報とを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する合成部と、該合成部によって生成された該合成データを該サーボフレームに書き込む書込部とをそなえることを特徴としている。
【0012】
なお、バイナリ値として表わされた該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報並び替え部をそなえ、該合成部が、該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報並び替え部によって並び替えられた該トラック情報とを排他的論理和で合成してもよい(請求項4)。
また、本発明の記録ディスク(請求項5)は、セクター情報とトラック情報とをそのサーボフレームに記録される記録ディスクであって、該サーボフレームに、バイナリ値として表わされた該セクター情報が、並び替えられ該トラック情報と排他的論理和で合成することにより生成された合成データが記録されていることを特徴としている。
【0013】
なお、該サーボフレームに、バイナリ値として表わされた該トラック情報が、並び替えられ前記セクター情報と排他的論理和で合成された状態で記録されてもよい(請求項6)。
また、本発明のサーボフレーム情報取得方法(請求項7)は、セクター情報とトラック情報とを合成して生成された合成データをサーボフレームに記録された記録ディスクから、該セクター情報および該トラック情報をサーボフレーム情報として取得するサーボフレーム情報取得方法であって、該サーボフレームから該合成データを取得する合成データ取得ステップと、バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替えステップと、該合成データ取得ステップにおいて取得された該合成データと該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報とを排他的論理和で合成することによって該トラック情報を生成する合成ステップとをそなえることを特徴としている。
【0014】
なお、該合成ステップにおいて取得された該トラック情報について、バイナリ値として表わされた当該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報復元ステップをそなえてもよい(請求項8)。
また、本発明サーボフレーム情報取得装置(請求項9)は、セクター情報とトラック情報とを合成して生成された合成データをサーボフレームに記録された記録ディスクから、該セクター情報および該トラック情報をサーボフレーム情報として取得するサーボフレーム情報取得装置であって、該サーボフレームから該合成データを取得する合成データ取得部と、バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替え部と、該合成データ取得部によって取得された該合成データと該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報とを排他的論理和で合成することによって該トラック情報を生成する合成部とをそなえることを特徴としている。
【0015】
なお、該合成部によって取得された該トラック情報について、バイナリ値として表わされた当該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報復元部をそなえてもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の少なくともいずれか1つの効果ないし利点が得られる。
(1)セクター情報とトラック情報とを排他的論理和で合成して生成する合成データをサーボフレームに記録することにより、サーボフレームにおけるセクター情報およびトラック情報の記録領域を小さくすることができ、サーボフレームのデータ長を短くすることができるので、磁気ディスクのフォーマット効率および利用効率を向上させることができる。
【0017】
(2)セクター情報並び替え部が、セクター情報のビット列を並び替えることにより、何らかの不具合によりサーボフレーム番号がずれた場合に、シークエラーとして容易に検出することができ、信頼性を向上させることができる。
(3)トラック情報をスクランブルすることにより、シーク時の読取エラーの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置(サーボフレーム記録装置)の構成を模式的に示す図である。又、図2(a),(b)は本磁気ディスク製造装置によって製造される磁気ディスクの構成を説明するための図であって、図2(a)は磁気ディスクの構成を模式的に示す図、図2(b)はそのサーボフレームの構成を模式的に示す図であり、図3は図2(a),(b)に示す磁気ディスクをそなえる磁気ディスク装置の構成を模式的に示す図である。
【0019】
本実施形態においては、磁気ディスク製造装置100aは、図3に示すような磁気ディスク装置1aにそなえられる磁気ディスクユニット105を製造するものであり、この磁気ディスクユニット105は、3つの磁気ディスク10−1,10−2,10−3(図2参照)をそなえて構成されるものである。
(A―1)磁気ディスクの説明
磁気ディスクユニット105は、図1に示すように、磁気ディスク10−1,10−2,10−3をそなえて構成されている。
【0020】
これらの磁気ディスク10−1,10−2,10−3は、それぞれ各中心部(回転中心)において、スピンドルモータ(図示省略)のスピンドルに所定間隔で固定されており、このスピンドルモータを回転駆動することにより、各磁気ディスク10−1,10−2,10−3がスピンドルを中心として回転するようになっている。又、各磁気ディスク10−1〜10−3はほぼ同様の構成をそなえている。
【0021】
なお、以下、磁気ディスクを示す符号としては、複数の磁気ディスクのうち1つを特定する必要があるときには符号10−1〜10−3を用いるが、任意の磁気ディスクを指すときには符号10を用いる。
磁気ディスク10は、その両面に磁性体からなる記録層が形成された円盤(プラッタ)として形成されており、以下、磁気ディスク10の表面(円形面)を記憶領域15と称する。なお、本実施形態においては、磁気ディスク10−1は記憶領域15a,15bをそなえており、磁気ディスク10−2は記憶領域15c,15dをそなえている。又、磁気ディスク10−3は記憶領域15e,15fをそなえている。
【0022】
また、以下、磁気ディスク10の記憶領域を示す符号としては、複数の記憶領域のうち1つを特定する必要があるときには符号15a,15b,15c,15d,15e,15fを用いるが、任意の記憶領域を指すときには符号15を用いる。
そして、磁気ディスク10の表面(記憶領域15)に記録された情報は、後述する磁気ディスク装置1aの磁気ヘッド31によって、読み取られたり、又、記憶領域15に書き込まれたりするようになっている。
【0023】
磁気ディスク(記憶媒体)10には、図2(a)に示すように、円周方向において所定間隔で複数のサーボフレーム11が離散的に形成されている。サーボフレーム11には、図2(b)に示すように、プリアンブル,サーボマーク,グレー・セクター・ヘッド情報,ポジション(Position)バースト,ポスト(Post)コード等の情報がそれぞれ記録されている。
【0024】
そして、本実施形態においては、サーボフレーム11のグレー・セクター・ヘッド情報には、図2(b)に示すように、インデクスビット,セクタービットおよび合成データが格納されている。
インデクスビットは、記憶領域を特定するためのインデクスパターンの一部(図2(a)に示す例では1ビット)であり、セクタービットはセクターパターンの一部(図2(a)に示す例では1ビット)をセクタービットとして格納するものである。インデクスパターンは、記憶領域を特定するための情報であって、本磁気ディスク装置1aにおいては、記憶領域15毎に異なるインデクスパターンが予め設定されている。
【0025】
そして、これらのインデクスビットとセクタービットとにより、そのサーボフレームを特定するためのサーボフレーム番号を特定することができるようになっている。なお、このような、インデクスビットおよびセクタービットを用いた記憶領域の特定手法は、例えば、特開2004―335007号公報に開示されている。
合成データは、後述の如く、バイナリ値として表わされたサーボフレーム番号(セクター番号;セクター情報)のビット列を所定の手法で並び替えた(スクランブルした)ものと、バイナリ値として表わしたシリンダ番号(トラック情報)をグレーコードに変換して得られるバイナリ値のビット列とを排他的論理和で合成することにより生成されたものであり、後述する磁気ディスク製造装置100aの第1合成部23によって生成されるものである。
【0026】
また、サーボフレーム11は、磁気ディスク製造装置100aによって磁気ディスク10に形成されるようになっている。
(A−2)磁気ディスク製造装置の説明
磁気ディスク製造装置100aは、図1に示すように、位置決め部25,制御部20,アクチュエータ50および磁気ヘッド51(51a,51b,51c,51d,51e,51f)をそなえて構成されている。
【0027】
位置決め部25は、磁気ディスク10の記憶領域15においてサーボフレーム11を形成する位置を決定するものであって、例えばレーザ等を用いてサーボフレーム11の形成位置を決定するようになっている。
磁気ヘッド51(51a,51b,51c,51d,51e,51f)は、磁気ディスク10にサーボフレーム11を書き込むものであり、後述する書込制御部24による制御に従って、磁気ディスク10の記憶領域15上において位置決め部25によって位置決めされた位置に、サーボフレーム11を構成する種々の情報(図2(b)参照)を書き込むようになっている。又、磁気ヘッド51(51a,51b,51c,51d,51e,51f)は、アクチュエータ50によって磁気ディスク10の半径方向に移動可能に構成されている。
【0028】
本実施形態においては、磁気ヘッド51aが記憶領域15aにサーボフレーム11を書き込むようになっており、同様に、磁気ヘッド51bが記憶領域15bに、磁気ヘッド51cが記憶領域15cに、磁気ヘッド51dが記憶領域15dに、磁気ヘッド51eが記憶領域15eに、磁気ヘッド51fが記憶領域15fに、それぞれ、サーボフレーム11を書き込むようになっている。なお、以下、磁気ヘッドを示す符号としては、複数の磁気ヘッドのうち1つを特定する必要があるときには符号51a〜51fを用いるが、任意の磁気ヘッドを指すときには符号51を用いる。
【0029】
そして、本実施形態においては、磁気ヘッド51が、第1合成部23によって生成された合成データ(詳細は後述)を磁気ディスク10のサーボフレーム11に書き込む書込部として機能するようになっている。
アクチュエータ50は、磁気ヘッド51を磁気ディスク10の半径方向に移動させるものであり、例えば、磁気ヘッド51の位置決めに用いるVCM(Voice Coil Motor)(図示省略)等をそなえて構成されている。
【0030】
制御部20は、本磁気ディスク製造装置100aにおける種々の処理を制御するものであって、磁気ヘッド51の切り換え制御や、磁気ディスク10に対する磁気ヘッド51の位置決め制御、磁気ヘッド51によるサーボフレーム11を形成する種々のデータ(サーボフレームデータ)の書き込み制御等を行なうようになっている。
また、制御部20は、図1に示すように、セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)21,グレーコード変換部22,第1合成部(合成部)23および書込制御部24として機能するようになっている。
【0031】
そして、例えば、磁気ディスク製造装置100aにおいて種々の処理を制御するプロセッサ等が予めROM等に記録されたプログラムを実行することにより、上述した、制御部20として機能するようになっている。
図4は本磁気ディスク製造装置100aのグレーコード変換部22によるバイナリ値とグレーコードとの論理変換を説明するための図である。
【0032】
グレーコード変換部22は、バイナリ値をグレーコードに変換するものであって、本磁気ディスク製造装置100aにおいては、図4に示すように、シリンダ番号の排他的論理和(ExOR;Exclusive OR)によりグレーコードの生成・変換(論理変換)を行なうようになっている。
例えば、シリンダ番号“15527 (3CA7h)”をバイナリ値で表わすと、“0011 1100 1010 0111”となるが、グレーコード変換部22は、このバイナリ値を論理変換によって
0011 1100 1010 0111 → 0010 0010 1111 0100
と変換する。
【0033】
セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)21は、STWセクター番号(セクター情報,サーボフレーム番号)のビット列を並び替える(スクランブルする)ものである。ここで、STW(Servo Track Writer)セクター番号は、サーボフレーム11毎にインクリメントされるカウンタによって管理され、このカウンタは、最大サーボ番号と等しくなった時に0に戻る(リセットされる)ようになっている。
【0034】
そして、例えば、セクター番号および排他的論理和をそれぞれ8ビットとする場合には、セクタースクランブラ21は、8入力8出力の並べ替えを行なう。
セクタースクランブラの例として、以下に示す式(1)のような行列式を実現する回路が考えられる。
【0035】
【数1】

【0036】
この式(1)において、乗算の部分を論理積(AND) 加算の部分を論理和(OR)として計算することで、入力ビット列を並び替えて、出力ビット列に変換することができる。
また、以下に示す式(2)は本磁気ディスク製造装置100aのセクタースクランブラ21を実現する行列式の例である。この式(2)に示す例は、入力されるセクター番号のビット列を逆転させる行列式を示している。
【0037】
【数2】

【0038】
このように、セクター番号をスクランブルすることにより、何らかの不具合によりサーボフレーム願望がずれた場合に、得られるグレーコードが不規則になることで、シークエラーとして検出することができる。
なお、セクタースクランブラ21は、上述したビット列の並び替えを行なう電子回路として構成してもよく、又、同機能をプロセッサによりプログラム演算を行なうことにより実現してもよい。
【0039】
第1合成部(合成部)23は、セクタースクランブラ21によって並び替えられたセクター番号と、グレーコード変換部22によって変換・生成されたグレーコードとを排他的論理和で合成することによって合成データを生成するものである。
例えば、セクタースクランブラ21による並び替え後のセクター番号が“10000000”であり、グレーコード変換部22によって生成されたグレーコードが“00000001”である例においては、第1合成部23は、これらのセクター番号“10000000”とグレーコード“00000001”とを排他的論理和で合成することにより合成データ“10000001”を生成する。
【0040】
書込制御部24は、第1合成部23によって生成された合成データを磁気ディスク10のサーボフレーム11に書き込むように、磁気ヘッド51に対する制御を行なうものである。
上述の如く構成された本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置100aにおけるサーボフレーム11へのセクター番号およびシリンダ番号の書込手法を、図5に示すフローチャート(ステップA10〜A60)に従って説明する。
【0041】
磁気ディスク製造装置100aは、先ず、シリンダ番号を取得し(ステップA10)、グレーコード変換部22が、そのシリンダ番号のバイナリ値をグレーコードに変換する(ステップA20)。又、STWセクター番号が取得され(ステップA30)、このセクター番号のビット列がセクタースクランブラ21によって並び替えられる(ステップA40;セクター情報並べ替えステップ)。
【0042】
そして、これらのグレーコードと並び替えられたセクター番号とは第1合成部23によって、排他的論理和により合成され(ステップA50;第1合成ステップ)、サーボフレーム11に書き込む書き込みデータ(合成データ)が生成され(ステップA60)、この合成データが、磁気ディスク10上における位置決め部25によって決定されるサーボフレーム11の位置に、磁気ヘッド51によって書き込まれる(書込みステップ)。
【0043】
(A―3)磁気ディスク装置の説明
磁気ディスク装置1aは、磁気ディスク製造装置100aによって製造された磁気ディスク10を複数(図3に示す例においては、磁気ディスク10−1,10−2,10−3の3つ)そなえた磁気ディスクユニット105をそなえ、これらの複数の磁気ディスク10−1,10−2,10−3の中から任意の磁気ディスク10−1,10−2,10−3を選択して、種々の情報を記録したり、又、記録された情報を読み取ったりするものである。
【0044】
この磁気ディスク装置1aは、例えばコンピュータシステム等における記憶装置として用いられ、磁気ディスク10から読み出したデータをコンピュータに送信したり、又、コンピュータから送信されたデータを磁気ディスク10に記録したりするようになっている。
磁気ディスク装置1aは、図3に示すように、磁気ディスク10(10−1,10−2,10−3),磁気ヘッド(合成データ取得部)31(31a,31b,31c,31d,31e,31f),アクチュエータ30および制御部40をそなえて構成されている。
【0045】
磁気ヘッド(合成データ取得部)31(31a,31b,31c,31d,31e,31f)は、磁気ディスク10に記録された種々のデータを読み取ったり、磁気ディスク10に種々の情報を書き込んだりするものであり、アクチュエータ30によって磁気ディスク10の半径方向に移動可能に構成されている。
本実施形態においては、磁気ヘッド31aが記憶領域15aに対してデータの書き込みおよび読み出しを行なうようになっており、同様に、磁気ヘッド31bが記憶領域15bに対して、磁気ヘッド31cが記憶領域15cに対して、磁気ヘッド31dが記憶領域15dに対して、磁気ヘッド31eが記憶領域15eに対して、磁気ヘッド31fが記憶領域15fに対して、それぞれ、データの書き込みおよび読み出しを行なうようになっている。なお、以下、磁気ヘッドを示す符号としては、複数の磁気ヘッドのうち1つを特定する必要があるときには符号31a〜31fを用いるが、任意の磁気ヘッドを指すときには符号31を用いる。
【0046】
そして、磁気ディスク装置1aにおいては、磁気ヘッド31が、磁気ディスク10のサーボフレーム11から合成データを取得する合成データ取得部として機能するようになっている。
アクチュエータ30は、磁気ヘッド31を磁気ディスク10の半径方向に移動させるものであり、例えば、磁気ヘッド31の位置決めに用いるVCM(Voice Coil Motor)(図示省略)等をそなえて構成されている。
【0047】
制御部40は、磁気ディスク装置1aにおける種々の処理を制御するものであって、磁気ヘッド31の切り換え制御や、磁気ディスク10に対する磁気ヘッド31の位置決め制御、磁気ヘッド31によるデータの書き込み/読み取りの制御等を行なうようになっている。
具体的には、制御部40は、VCMを制御することにより磁気ヘッド31の位置決め制御を行なっており、スピンドルモータ(図示省略)を制御することにより、磁気ディスク10の回転を制御している。又、制御部20は、HDIC(Head IC;図示省略)を制御することによって、磁気ヘッド31によるデータの書き込み/読み出しを制御するようになっており、制御部20は、これらの制御により、所定の磁気ヘッド31によって所定の磁気ディスク10の面(記憶領域15)に対してアクセスし、データの書き込みや読み出しを行なうようになっている。
【0048】
また、制御部40は、図3に示すように、セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)41,バイナリコード変換部43および第2合成部(合成部)42として機能するようになっている。
セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)41は、上述した磁気ディスク製造装置100aのセクタースクランブラ21と同様に、セクター番号のビット列を並び変える(スクランブルする)ものであり、例えば、前述した式(1)のような行列式により、セクター番号のビット列を排他的論理和により並べ替えるようになっている。
【0049】
なお、セクタースクランブラ41は前述した磁気ディスク製造装置100aのセクタースクランブラ21と同一もしくはほぼ同一の機能・構成をそなえているので、その詳細な説明は省略する。
バイナリコード変換部43は、グレーコードをバイナリ値に変換するものであって、本磁気ディスク装置1aにおいては、図4に示すように、グレーコードとシリンダ番号との排他的論理和(ExOR;Exclusive OR)により、グレーコードをバイナリ値に変換するようになっている。
【0050】
第2合成部(合成部)42は、磁気ヘッド31によって取得された合成データとセクタースクランブラ41によって並び替えられたセクター情報とを排他的論理和で合成することによってシリンダ番号(トラック情報)を取得(生成・復元)するものである。
そして、例えば、磁気ディスク装置1aにおいて種々の処理を制御するプロセッサ等が予めROM等に記録されたプログラムを実行することにより、上述した、制御部40として機能するようになっている。
【0051】
上述の如く構成された本発明の第1実施形態としての磁気ディスク装置1aにおけるサーボフレーム11の読み出し時における状態遷移を、図6に示すフローチャート(ステップC10〜C30)に従って説明する。
磁気ディスク製造装置においては、先ず、磁気ディスク10における位置決めを行なうために、アクチュエータ30により磁気ヘッド51を磁気ディスク10上に移動させる(打ち出す;ステップC10)。この時点では、サーボフレーム11がどこにあるか分からないし、当然サーボマークもロックしていない。またサーボフレーム番号も未知であり、グレーコードも未知である。
【0052】
次に、サーボフレーム11からインデクスビットとセクタービットとを読み取り、サーボフレーム番号の検出を行なう(ステップC20)。磁気ヘッド51の打ち出し後、サーボゲートと磁気ディスク10とが同期した時点で、サーボフレーム11の位置が確定し、サーボフレーム11内の情報の読み出しが可能になるのである。
その後、読み取ったセクター番号に基づいてグレーコードの検出やサーボフレーム番号の確認を行なう(ステップC30)。
【0053】
次に、本発明の第1実施形態としての磁気ディスク装置1aにおけるサーボフレーム11からのシリンダ番号の読み込み手法を、図7に示すフローチャート(ステップB10〜B60)に従って説明する。
先ず、サーボフレーム11から合成データの読み込みを行なうとともに(ステップB10;合成データ取得ステップ)、STWセクター番号を取得し(ステップB20)、このセクター番号のビット列がセクタースクランブラ41によって並び替えられる(ステップB30;セクター情報並べ替えステップ)。そして、これらの合成データと並び替えられたセクター番号とは第2合成部42によって、排他的論理和により合成されグレーコードが生成(復元)される(ステップB40;第2合成ステップ)。
【0054】
その後、バイナリコード変換部43が、グレーコードをバイナリ値に変換し(ステップB50)、シリンダ番号が生成される(ステップB60)。
このように、本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置100aおよび磁気ディスク装置1aによれば、セクター番号と、グレーコード変換部22によって変換・生成されたグレーコードとを排他的論理和で合成して生成する合成データを、サーボフレーム11に格納することにより、サーボフレーム11におけるグレーコードおよびセクター番号の記録領域を小さくすることができるので、サーボフレーム11のデータ長を短くすることができ、磁気ディスク10のフォーマット効率および利用効率を向上させることができる。
【0055】
また、セクタースクランブラ21が、セクター番号のビット列を並び替える(スクランブルする)ことにより、何らかの不具合によりサーボフレーム番号がずれた場合に、得られるグレーコードが不規則になることで、シークエラーとして容易に検出することができ、信頼性を向上させることができる。
図8(a),(b)はセクター番号の並び替えを行なわない場合に生成される合成データと、セクター番号の並び替えを行なう場合に生成される合成データとを比較して示す図であり、図8(a)はセクター番号の並び替えを行なわない場合に生成される合成データを示す図、図8(b)はセクター番号の並び替えを行なう場合に生成される合成データを示す図である。
【0056】
なお、これらの図8(a),(b)においては、セクター番号0,1,シリンダ番号0,1をそれぞれ8ビットのバイナリ値として合成データを生成している。又、図8(b)においては、セクター番号のビット列が逆順となるように並び替えが行なわれている。
これらの図8(a),(b)に示すように、セクター番号の並び替えを行なうことにより、セクター番号やシリンダ番号が1つずれるだけで合成データの値が大きく異なるので、エラーの検出が容易になり、信頼性を向上させることができる。
【0057】
図9は図5および図7に示すフローチャートにおける各ステップにおいて生成される数値例を示す図であり、図9中における符号(a),(b),(d),(e),(f),(g),(h),(k)は、図5および図7中において符号(a),(b),(d),(e),(f),(g),(h),(k)が示されている各ステップにおいて生成される数値を16進数でそれぞれ表わしている。
【0058】
(B)第2実施形態の説明
図10は本発明の第2実施形態としての磁気ディスク製造装置(サーボフレーム記録装置)の構成を模式的に示す図、図11は本発明の第2実施形態としての磁気ディスク装置の構成を模式的に示す図である。
本第2実施形態の磁気ディスク製造装置100bも、図11に示すような磁気ディスク装置1bにそなえられる磁気ディスクユニット105を製造するものであり、この磁気ディスクユニット105は、3つの磁気ディスク10−1,10−2,10−3(図2参照)をそなえて構成されるものである。
【0059】
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
(B―1)磁気ディスク製造装置の説明
本第2実施形態の磁気ディスク製造装置100bは、図10に示すように、第1実施形態の磁気ディスク製造装置100aの制御部20に、グレーコードスクランブラ(トラック情報並び替え部)26としての機能をそなえるものであり、その他の部分は第1実施形態の磁気ディスク製造装置100aと同様に構成されている。なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0060】
グレーコードスクランブラ(トラック情報並び替え部)26は、グレーコード変換部22によって変換されたグレーコードのビット列を並び替える(スクランブルする)ものである。
そして、例えば、グレーコードおよび排他的論理和をそれぞれ8ビットとする場合には、グレーコードスクランブラ26は、8入力8出力の並べ替えを行なう。
【0061】
グレーコードスクランブラ26の例として、以下に示す式(3)のような行列式を実現する回路が考えられる。
【0062】
【数3】

【0063】
この式(3)において、乗算の部分を論理積(AND) 加算の部分を論理和(OR)として計算することで、入力ビット列を並び替えて、出力ビット列に変換することができる。
また、以下に示す式(4)は本第2実施形態の磁気ディスク製造装置100bのグレーコードスクランブラ26を実現する行列式の例である。
【0064】
【数4】

【0065】
この式(4)に示す例は、8ビットのグレーコードにおいて、G7,G6,G5,・・・,G0をG7,G5,G3,G1,G0,G2,G4,G6の順に並び替える(スクランブルをかける)ものである。
一般に、グレーコードは、G7,G6,G5,G4,G3,G2,G1,G0のように、ビットの重みが重い(変化が少ない)方から記録されるが、このような順場による記録方式はシーク動作時の読み誤りが発生しやすい。そこで、式(4)に示すようなスクランブルをかけることにより、シーク動作時の読み誤りを軽減する。
【0066】
式(4)を用いた場合には、例えば、グレーコード“5AH(01011010二進)”は、グレーコードスクランブラ26により、
01011010 → 00110011 (33H 十六進)
と変換される。
なお、グレーコードスクランブラ26も、セクタースクランブラ21と同様に、上述したビット列の並び替えを行なう電子回路として構成してもよく、又、同機能をプロセッサによりプログラム演算を行なうことにより実現してもよい。
【0067】
そして、第1合成部23は、セクタースクランブラ21によって並び替えられたセクター番号と、グレーコードスクランブラ26によって並び替えられたグレーコードとを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する。
そして、例えば、磁気ディスク製造装置100bにおいて種々の処理を制御するプロセッサ等が予めROM等に記録されたプログラムを実行することにより、上述した、制御部20として機能するようになっている。
【0068】
上述の如く構成された本発明の第2実施形態としての磁気ディスク製造装置100bにおけるサーボフレーム11へのセクター番号およびシリンダ番号の書込手法を、図12に示すフローチャート(ステップA10,A20,A21,A30〜A60)に従って説明する。
磁気ディスク製造装置100aは、先ず、シリンダ番号を取得し(ステップA10)、グレーコード変換部22が、そのシリンダ番号のバイナリ値をグレーコードに変換する(ステップA20)。そして、グレーコードスクランブラ26が、このグレーコードの並び替えを行なう(ステップA21;トラック情報並び替えステップ)。又、STWセクター番号が取得され(ステップA30)、このセクター番号のビット列がセクタースクランブラ21によって並び替えられる(ステップA40;セクター情報並べ替えステップ)。
【0069】
そして、これらの並び替えられたグレーコードおよびセクター番号が第1合成部23によって、排他的論理和により合成され(ステップA50;第1合成ステップ)、サーボフレーム11に書き込む書き込みデータ(合成データ)が生成され(ステップA60)、この合成データが、磁気ディスク10上における位置決め部25によって決定されるサーボフレーム11の位置に、磁気ヘッド51によって書き込まれる(書込みステップ)。
【0070】
(B―2)磁気ディスク装置の説明
磁気ディスク装置1bも、第1実施形態における磁気ディスク装置1aと同様に、磁気ディスク製造装置100bによって製造された磁気ディスク10を複数(図11に示す例においては、磁気ディスク10−1,10−2,10−3の3つ)そなえた磁気ディスクユニット105をそなえ、これらの複数の磁気ディスク10−1,10−2,10−3の中から任意の磁気ディスク10−1,10−2,10−3を選択して、種々の情報を記録したり、又、記録された情報を読み取ったりするものである。
【0071】
この磁気ディスク装置1bも、例えばコンピュータシステム等における記憶装置として用いられ、磁気ディスク10から読み出したデータをコンピュータに送信したり、又、コンピュータから送信されたデータを磁気ディスク10に記録したりするようになっている。
磁気ディスク装置1bは、図11に示すように、第1実施形態の磁気ディスク装置1aの制御部40にグレーコードデスクランブラ(トラック情報復元部)44としての機能をそなえるものであり、その他の部分は第1実施形態の磁気ディスク装置1aと同様に構成されている。なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0072】
本第2実施形態においては、第2合成部43は、磁気ヘッド31によって取得された合成データとセクタースクランブラ41によって並び替えられたセクター情報とを排他的論理和で合成することによって、グレーコードスクランブラ26によって並び替えられたグレーコード(トラック情報)を取得(生成・復元)するようになっている。
グレーコードデスクランブラ(トラック情報復元部)44は、第2合成部42によって取得された、スクランブルされたグレーコードのビット列の並び替えを行なうことにより、スクランブルされたグレーコードをスクランブルされる前の状態に復元(デスクランブル,スクランブル解除)するものである。
【0073】
そして、例えば、グレーコードおよび排他的論理和をそれぞれ8ビットとする場合には、グレーコードデスクランブラ44は、8入力8出力の並べ替えを行なう。
グレーコードデスクランブラ44の例として、以下に示す式(5)のような行列式を実現する回路が考えられる。
【0074】
【数5】

【0075】
この式(5)において、乗算の部分を論理積(AND) 加算の部分を論理和(OR)として計算することで、入力ビット列を並び替えて、出力ビット列に変換することができる。
また、以下に示す式(6)は本磁気ディスク装置1bのグレーコードデスクランブラ44を実現する行列式の例である。
【0076】
【数6】

【0077】
この式(6)に示す例は、式(4)に示した行列式によって並び替えられたグレーコードをスクランブル解除するためのものである。
式(6)を用いた場合には、例えば、グレーコード“33H(00110011二進)”は、グレーコードデスクランブラ44により、
00110011 → 01011010 (5AH 十六進)
と復元される。
【0078】
そして、バイナリコード変換部43は、グレーコードデスクランブラ44によってスクランブル解除されたグレーコードをバイナリ値に変換する。
そして、例えば、磁気ディスク装置1bにおいて種々の処理を制御するプロセッサ等が予めROM等に記録されたプログラムを実行することにより、上述した、制御部40として機能するようになっている。
【0079】
上述の如く構成された本発明の第2実施形態の磁気ディスク装置1bにおけるサーボフレーム11からのシリンダ番号の読み込み手法を、図13に示すフローチャート(ステップB10〜B40,B41,B50,B60)に従って説明する。
先ず、サーボフレーム11から合成データの読み込みを行なうとともに(ステップB10;合成データ取得ステップ)、STWセクター番号を取得し(ステップB20)、このセクター番号のビット列がセクタースクランブラ41によって並び替えられる(ステップB30;セクター情報並べ替えステップ)。そして、これらの合成データと並び替えられたセクター番号とは第2合成部42によって、排他的論理和により合成され、グレーコードスクランブラ26によって並び替えられたグレーコードが生成(復元)される(ステップB40;第2合成ステップ)。
【0080】
その後、グレーコードデスクランブラ44が、第2合成部42によって生成されたグレーコードのスクランブル解除を行ない(ステップB41;トラック情報復元ステップ)、バイナリコード変換部43が、グレーコードをバイナリ値に変換して(ステップB50)、シリンダ番号が生成・取得される(ステップB60)。
このように、本発明の第2実施形態としての磁気ディスク製造装置100bおよび磁気ディスク装置1bによれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる他、グレーコードをスクランブルすることにより、シーク時の読取エラーの発生を防止することができる。
【0081】
図14は図12および図13に示すフローチャートにおける各ステップにおいて生成される数値例を示す図であり、図14中における符号(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),(j),(k)は、図12および図13中において符号(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),(j),(k)が示されているステップにおいて生成される数値を16進数でそれぞれ表わしている。
【0082】
(C)その他
そして、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した各実施形態では、セクタースクランブラ21,41,グレーコードスクランブラ26,グレーコードデスクランブラ44が、それぞれ8入力8出力の並べ替えを行なっているが、これに限定されるものではない。
【0083】
以下に示す式(7)はセクタースクランブラの変形例を実現する行列式の例であり、8入力32出力の並べ替えを行なうものである。
【0084】
【数7】

【0085】
このような行列式を用いることにより、入力に対する出力のビット数を調整することができ、磁気ディスク10の仕様等に併せて種々変形して実施することができるのである。
なお、本発明の各実施形態が開示されていれば、本発明を当業者によって実施・製造することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
磁気ディスクの他、ディスク状に構成されサーボフレームをそなえる種々の記録媒体に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置(サーボフレーム記録装置)の構成を模式的に示す図である。
【図2】(a),(b)は本発明の一実施形態としての磁気ディスク製造装置によって製造される磁気ディスクの構成を説明するための図である。
【図3】図2(a),(b)に示す磁気ディスクをそなえる磁気ディスク装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置のグレーコード変換部によるバイナリ値とグレーコードとの論理変換を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての磁気ディスク製造装置におけるサーボフレームへのセクター番号およびシリンダ番号の書込手法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態としての磁気ディスク装置におけるサーボフレームの読み出し時における状態遷移を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態としての磁気ディスク装置におけるサーボフレームからのシリンダ番号の読み込み手法を説明するためのフローチャートである。
【図8】(a),(b)はセクター番号の並び替えを行なわない場合に生成される合成データと、セクター番号の並び替えを行なう場合に生成される合成データとを比較して示す図である。
【図9】図5および図7に示すフローチャートにおける各ステップにおいて生成される数値例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態としての磁気ディスク製造装置(サーボフレーム記録装置)の構成を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態としての磁気ディスク装置の構成を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態としての磁気ディスク製造装置におけるサーボフレームへのセクター番号およびシリンダ番号の書込手法を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態の磁気ディスク装置におけるサーボフレームからのシリンダ番号の読み込み手法を説明するためのフローチャートである。
【図14】図12および図13に示すフローチャートにおける各ステップにおいて生成される数値例を示す図である。
【図15】(a),(b)はそれぞれ従来の磁気ディスクの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0088】
1a,1b 磁気ディスク装置(サーボフレーム情報取装置)
10,10−1,10−2,10−3 磁気ディスク(記憶ディスク)
11 サーボフレーム
15,15a,15b,15c,15d,15e,15f 記憶領域
20,40 制御部
21 セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)
22 グレーコード変換部
23 第1合成部(合成部)
24 書込制御部
25 位置決め部
26 仮セクターパターン取得部
27 第2ハミング距離算出部
28 セクターパターン確定部
30,50 アクチュエータ
31,31a,31b,31c,31d,31e,31f 磁気ヘッド(合成データ取得部)
41 セクタースクランブラ(セクター情報並び替え部)
42 第2合成部(合成部)
43 バイナリコード変換部
44 グレーコードデスクランブラ(トラック情報復元部)
51,51a,51b,51c,51d,51e,51f 磁気ヘッド(書込部)
105 磁気ディスクユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ディスクにおけるサーボフレームにセクター情報とトラック情報とを記録するサーボフレーム記録方法であって、
バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並べ替えステップと、
該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報とを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する合成ステップと、
該合成ステップにおいて生成された該合成データを該サーボフレームに書き込む書込ステップとをそなえることを特徴とする、サーボフレーム記録方法。
【請求項2】
バイナリ値として表わされた該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報並び替えステップをそなえ、
該合成ステップにおいて、該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報並び替えステップにおいて並び替えられた該トラック情報とを排他的論理和で合成することにより該合成データを生成することを特徴とする、請求項1記載のサーボフレーム記録方法。
【請求項3】
記録ディスクにおけるサーボフレームにセクター情報とトラック情報とを記録するサーボフレーム記録装置であって、
バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替え部と、
該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報とを排他的論理和で合成することによって合成データを生成する合成部と、
該合成部によって生成された該合成データを該サーボフレームに書き込む書込部とをそなえることを特徴とする、サーボフレーム記録装置。
【請求項4】
バイナリ値として表わされた該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報並び替え部をそなえ、
該合成部が、該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報と、該トラック情報並び替え部によって並び替えられた該トラック情報とを排他的論理和で合成することを特徴とする、請求項3記載のサーボフレーム記録装置。
【請求項5】
セクター情報とトラック情報とをそのサーボフレームに記録される記録ディスクであって、
該サーボフレームに、バイナリ値として表わされた該セクター情報が、並び替えられ該トラック情報と排他的論理和で合成することにより生成された合成データが記録されていることを特徴とする、記録ディスク。
【請求項6】
該サーボフレームに、バイナリ値として表わされた該トラック情報が、並び替えられ前記セクター情報と排他的論理和で合成された状態で記録されていることを特徴とする、請求項5記載の記録ディスク。
【請求項7】
セクター情報とトラック情報とを合成して生成された合成データをサーボフレームに記録された記録ディスクから、該セクター情報および該トラック情報をサーボフレーム情報として取得するサーボフレーム情報取得方法であって、
該サーボフレームから該合成データを取得する合成データ取得ステップと、
バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替えステップと、
該合成データ取得ステップにおいて取得された該合成データと該セクター情報並び替えステップにおいて並び替えられた該セクター情報とを排他的論理和で合成することによって該トラック情報を生成する合成ステップとをそなえることを特徴とする、サーボフレーム情報取得方法。
【請求項8】
該合成ステップにおいて取得された該トラック情報について、バイナリ値として表わされた当該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報復元ステップをそなえることを特徴とする、請求項7記載のサーボフレーム情報取得方法。
【請求項9】
セクター情報とトラック情報とを合成して生成された合成データをサーボフレームに記録された記録ディスクから、該セクター情報および該トラック情報をサーボフレーム情報として取得するサーボフレーム情報取得装置であって、
該サーボフレームから該合成データを取得する合成データ取得部と、
バイナリ値として表わされた該セクター情報のビット列の並び替えを行なうセクター情報並び替え部と、
該合成データ取得部によって取得された該合成データと該セクター情報並び替え部によって並び替えられた該セクター情報とを排他的論理和で合成することによって該トラック情報を生成する合成部とをそなえることを特徴とする、サーボフレーム情報取得装置。
【請求項10】
該合成部によって取得された該トラック情報について、バイナリ値として表わされた当該トラック情報のビット列の並び替えを行なうトラック情報復元部をそなえることを特徴とする、請求項9記載のサーボフレーム情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−277887(P2006−277887A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98761(P2005−98761)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】