サーマルプリンタ
【課題】互いに異なる種類の消耗品を複数用いて両面印刷を行うにあたり、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく両面印刷を実現するとともに、装置を小形化させ製造コストを低減させたサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2を用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3とを具備し、保持部1と各サーマルヘッド部2、3との間で記録媒体Paを搬送しつつ記録媒体Paに印刷を行うにあたり、保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設けてある。
【解決手段】サーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2を用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3とを具備し、保持部1と各サーマルヘッド部2、3との間で記録媒体Paを搬送しつつ記録媒体Paに印刷を行うにあたり、保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドの発熱により記録媒体に印刷するサーマルプリンタに係り、特に互いに異なる種類の消耗品を用いて両面印刷を適切に行い得るようにしたサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、巻回されたロール紙等の記録媒体を一対のローラで挟持しつつローラを回転させることにより記録媒体を搬送する搬送ローラ部を有し、この搬送ローラ部を通じて記録媒体をサーマルヘッドへ搬送(供給)し、サーマルヘッドの加熱を通じて染料又は顔料をロール紙等の記録媒体に転写させることにより、若しくは、熱を感知すると色が変化する感熱紙等の記録媒体をサーマルヘッドで加熱することにより、記録媒体に印刷する印刷装置である。
【0003】
従来のサーマルプリンタとして例えば特許文献1に開示されるように、同一種のインクリボンたる消耗品を用いて記録媒体に印刷を行うサーマルヘッド部を2つ設け、一方のサーマルヘッド部で記録媒体の表面を印刷し、他方のサーマルヘッド部で記憶媒体の裏面を印刷するように構成して両面印刷を実現しているサーマルプリンタが開示されている。この特許文献1の開示以外にも複数のサーマルヘッド部の一部を表面用とし、他部を裏面用として各サーマルヘッド部の用途を分けて両面印刷を実現する構成が通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−290768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、両面印刷を実現する上記の方法を利用して、インクリボン等の通常の消耗品を用いた通常印刷に加えて通常印刷で用いる消耗品とは異なる種類の消耗品を用いて保護層や光沢層、白色、金色等の特色を印刷する場合には、通常印刷を行う2つのサーマルヘッド部に加えて更に表面特色印刷用と裏面特色印刷用の2つのサーマルヘッド部を設ける必要があり、サーマルヘッド部の冗長化を招いてサーマルプリンタが巨大化するとともに、製造コストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、互いに異なる種類の消耗品を複数用いて両面印刷を行うにあたり、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく両面印刷を実現するとともに、装置を小形化させ製造コストを低減させたサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のサーマルプリンタは、巻回された記録媒体を保持する保持部と、互いに異なる種類の消耗品を用いて前記記録媒体に印刷を行う複数のサーマルヘッド部とを具備し、前記保持部と各サーマルヘッド部との間で前記記録媒体を搬送しつつ当該記録媒体に印刷を行うサーマルプリンタであって、前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、反転手段により保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させ、各サーマルヘッド部に対して記録媒体の両面を供給可能になるので、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく記録媒体への両面印刷を実現でき、装置を小形化することができるとともに製造コストを低減させることができる。
【0010】
保持部に保持される記録媒体をサーマルヘッド部へ案内する搬送路たるパスラインにおいて記録媒体のつまり等の搬送不良を低減させるためには、前記反転手段は、各サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させるように構成されていることが望ましい。
【0011】
記録媒体の表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御するためには、前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されていることが好ましい。
【0012】
上記反転手段を実現する他の具体的構成としては、前記反転手段は、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部に対して前記保持部に保持される記録媒体を案内する複数のパスラインにより構成されていることが挙げられる。
【0013】
サーマルヘッド部の配置に関して設計の自由度を向上させるためには、前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して並列接続されていることが望ましい。
【0014】
印刷速度を向上させるためには、前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して直列接続されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように、反転手段により記録媒体の表裏を反転させるので、各サーマルヘッド部に対して記録媒体の両面を供給でき、表面用及び裏面用というように同一の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく記録媒体への両面印刷を実現可能とし、さらに装置を小形化させて製造コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図2】記録媒体を保持する保持部を回動させる反転手段を模式的に示す斜視図。
【図3】保持部と搬送ローラ部との間で記録媒体の連絡を行う構成を模試的に示す構成図。
【図4】保持部と搬送ローラ部との間で記録媒体の連絡を行う構成を模試的に示す構成図。
【図5】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図6】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図7】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図8】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図9】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図10】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図11】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のサーマルプリンタは、図1に示すように、巻回されたロール用紙等の記録媒体Paを保持する保持部1と、一対のローラで記録媒体Paを挟持しつつローラの少なくとも一方を回転させることにより記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部6と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2をそれぞれ用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3と、各サーマルヘッド部2、3に対応して複数設けられ対応するサーマルヘッド部2、3と保持部1との間で搬送ローラ部6を経由して記録媒体Paを案内する複数のパスラインLi1、Li2と、記録媒体Paの搬送制御やサーマルヘッド部2、3の印刷制御を行う制御部5とを有し、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部6によりサーマルヘッド部2、3へ搬送しつつサーマルヘッド部2、3で記録媒体Paへの印刷を行うものである。
【0019】
保持部1は、図1及び図2に示すように、ロール状に巻回された記録媒体Paを回転軸C1を中心に回転可能に支持する軸支部11と、記録媒体Paにテンションを付与しつつ記録媒体Paの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ12とを有し、図示しないモータ等の動力部によりロール状の記録媒体Paを回転軸C1を中心に正逆回転させて記録媒体Paの繰り出し及び巻き戻しを行い得るように構成されている。
【0020】
複数のパスラインLi1、Li2は、周知の搬送路と同様にガイドや、挟持ローラ、搬送ベルト、ウイング等の方向転換部により構成されており、パスラインLi1はサーマルヘッド2と保持部1との間で記録媒体Paを案内し、パスラインLi2はサーマルヘッド部3と保持部1との間で記録媒体Paを案内する。
【0021】
搬送ローラ部6は、パスラインLi1、Li2に沿って保持部1の下流に配置され、保持部1に保持されるロール状の記録媒体Paをフィードローラ61とピンチローラ62とで挟持しながらフィードローラ61を図示しないモータ等の動力部を通じて回転駆動させることにより記録媒体Paを搬送する。
【0022】
サーマルヘッド部2は、パスラインLi1に沿って配置され、顔料や染料等のインクを塗布したインクリボンたる消耗品Pb1を繰り出すインクリボンローラ22と、搬送ローラ部6の下流にあって発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21に対向配置され消耗品Pb1及び記録媒体Paをサーマルヘッド21と共に挟持するプラテンローラ23とを備え、サーマルヘッド21の加熱により消耗品Pb1のインクを記録媒体Paに転写させて通常印刷を行う。
【0023】
サーマルヘッド部3は、パスラインLi2に沿って搬送ローラ部6の下流に配置され、保護層や光沢層、白色、金色等の特色を印刷するための特色リボンたる消耗品Pb2を繰り出す特色リボンローラ32と、発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド31と、このサーマルヘッド21に対向配置され消耗品Pb2及び記録媒体Paをサーマルヘッド31と共に挟持するプラテンローラ33とを備え、サーマルヘッド31の加熱により消耗品Pb2を記録媒体Paに転写させて特色印刷を行う。消耗品Pb2は、サーマルヘッド部2で用いられる消耗品Pb1とは異なる種類の消耗品である。上記のように複数のサーマルヘッド部2、3は、保持部1に対して並列接続されているが直列接続してもよい。直列接続を行うと、パスラインの切り替えを省略できるので、記録媒体Paの搬送時に一括で印刷することができ、印刷速度を向上させることが可能となる。
【0024】
制御部5は、周知のサーマルプリンタと同様にCPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に搬送制御ルーチンや印刷制御ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPUは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や印刷動作が実現される。
【0025】
本実施形態では、上記構成にさらに以下の構成を加えている。
【0026】
すなわち、図1及び図2に示すように、ロール状の記録媒体Paを保持している状態で保持部1を回転軸Cnを中心に回転させることによりパスラインLi1、Li2を通じてサーマルヘッド部2、3に臨む記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設け、この反転手段4による保持部1の回転を制御部5で制御するように構成している。
【0027】
具体的には、図2に示すように、保持部1は、ロール状に巻回された記録媒体Paが回転軸C1を中心に回転可能になるように記録媒体Paの幅方向両側を軸支部11で支持している。反転手段4は、図示しない筐体に対して回転軸Cnを中心に回動可能に支持される板状のターンテーブル部41を有し、このターンテーブル部41に保持部1の軸支部11を固定して保持部1を回動可能としている。
【0028】
さらに、反転手段4は、制御部5からの駆動指令に基づいてターンテーブル部41を回転させるモータたる電動部42と、保持部1の姿勢を検出する検出部43と、保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44とを有している。
【0029】
保持部1の姿勢を検出する検出部43は、ターンテーブル部41に設けられた図示しない遮光部と、回転軸Cnに対して互いに対称な位置関係に配置され遮光部による遮光を検出する2つの遮光センサとを有し、ターンテーブル部41の回転に伴って遮光部が各遮光センサを遮光する位置に移動し、遮光を検出した遮光センサがいずれの遮光センサであるかによって保持部1の回転位置が第1の姿勢又は第2の姿勢のいずれであるかを検出するものである。なお、本実施形態では、保持部1の姿勢を検出する検出部を複数の遮光センサを用いて構成しているが、保持部1の姿勢を検出することができれば、エンコーダやレゾルバ等の回転角度検出センサを用いてもよい。
【0030】
保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44は、図示しない筐体側に設けられ制御部5からの指令信号に基づいてターンテーブル部41へ向けて進退する進退部44bと、進退部44bに対向してターンテーブル部41に設けられ進退部44bと係合する複数の受け部44aとを有している。受け部44aは、進退部44bと係合することにより保持部1及びターンテーブル部41の回動を禁止する禁止面44cと、進退部44bを禁止面44cへ呼び込むガイド面44dとが形成されており、電動部42による保持部1の回動停止位置が多少ずれたとしても進退部44bをガイド面44dで禁止面44cに案内して保持部1の正確な姿勢決めを行う。複数の受け部44aのうちの一部は第1の姿勢に対応する位置に配置され、複数の受け部44aのうちの他部は第2の姿勢に対応する位置に配置されている。
【0031】
保持部1と搬送ローラ部6との間には、図3及び図4に示すように、補助送りローラ12に挟持され先端が自由となっている記録媒体Paを受けて搬送ローラ部6へガイドするガイド機構7と、ガイド機構7によりガイドされる記録媒体Paの進路をパスラインLi1又はパスラインLi2のいずれかに変更する切換機構8が設けられている。
【0032】
ガイド機構7は、保持部1の姿勢が第1の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受けて搬送ローラ部6へガイドする第1のガイド部71と、保持部1の姿勢が第2の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受け止めて搬送ローラ部6へガイドする第2のガイド部72と有している。第1のガイド部71及び第2のガイド部72の保持部側端部は、ガイド面同士の間隔がラッパ状に広げられて巻き癖がついている記録媒体Paを円滑に受けるように形成されている。勿論、記録媒体Paと両ガイド部71、72とが当たる位置が明確であれば、対向するガイド面の双方を傾斜させてラッパ状に形成する必要はなく、対向する両ガイド面のうちの一方のガイド面のみを傾斜させて受け面としてもよい。
【0033】
切換機構8は、記録媒体Paをガイドする切換ガイド部82と、図示しないモータ等の動力部に接続され切換ガイド部82を回動可能に支持する切換ガイド支持部81とを有しており、制御部5からの切換指令に応じて切換ガイド部82を回動させ、切換ガイド部82を、記録媒体Paの進路をパスラインLi1とする位置po1又は記録媒体Paの進路をパスラインLi2とする位置po2のいずれかに変位させる。図示の切換機構8は、二枚の板材を平行に対向させて切換ガイド部82としているが、これに限られることはなく切換ガイド部82全体を一つの板材で構成してもよい。
【0034】
次に上記の構成において記録媒体Paに両面印刷を行う動作について図5〜図11を用いて説明する。
【0035】
まず、図5に示すように、制御部5は、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第1の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに通常印刷を行う。
【0036】
記録媒体Paの表面fへの通常印刷が完了すると、図6に示すように、制御部5は、保持部1のモータたる動力部に巻き戻しさせる駆動指令を行い、記録媒体Paをサーマルヘッド部2及び搬送ローラ部6から保持部側へ退避させる。
【0037】
記録媒体Paの退避が完了すると、制御部5は、図2に示す進退部44bを受け部44aから退避させ、電動部42によりターンテーブル部41を回動させ、検出部43により保持部1が第2の姿勢にあることが検出されたことを以てターンテーブル部41の回動を停止させ、進退部44bを受け部44aへ係合させて保持部1の姿勢決めを行い、図7に示すように、サーマルヘッド部2に対する記録媒体Paの表裏を反転させる。
【0038】
記録媒体Paの表裏を反転させると、制御部5は、図8に示すように、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第2の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに通常印刷を行い、記録媒体Paの両面に対する通常印刷を完了する。
【0039】
記録媒体Paの両面に対する通常印刷が完了すると、制御部5は、図9に示すように、記録媒体Paをサーマルヘッド部2及び搬送ローラ部6から保持部側へ一旦退避させ、退避完了後に保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部3に駆動指令を行い、第2の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部3へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに特色印刷を行う。
【0040】
記録媒体Paの表面fへの特色印刷が完了すると、制御部5は、図10に示すように、記録媒体Paをサーマルヘッド部3及び搬送ローラ部6から保持部側へ一旦退避させ、反転手段4により保持部1を回転させてその姿勢を第1の姿勢にし、サーマルヘッド部3に対する記録媒体Paの表裏を反転させる。
【0041】
記録媒体Paの表裏を反転させると、制御部5は、図11に示すように、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部3に駆動指令を行い、第1の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部3へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに特色印刷を行い、記録媒体Paの両面に対する通常印刷及び特色印刷を完了する。
【0042】
以上のように本実施形態に係るサーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2を用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3とを具備し、保持部1と各サーマルヘッド部2、3との間で記録媒体Paを搬送しつつ記録媒体Paに印刷を行うにあたり、保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設けている。
【0043】
このように、反転手段により保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させ、各サーマルヘッド部2、3に対して記録媒体Paの表面f及び裏面bの両面を供給可能になるので、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品Pb1を用いるサーマルヘッド部2を複数設けることなく記録媒体Paへの両面印刷を実現でき、装置を小形化させることが可能となるとともに製造コストを低減させることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、反転手段4が、保持部1を回転させることにより保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させるように構成されているので、互いに逆差しとなる2方向からサーマルヘッド部に対して記録媒体Paを案内する搬送路たるパスラインを複数設ける場合に比べてパスラインLi1、Li2を短く設計でき、記録媒体Paのつまり等の搬送不良を低減させることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態では、反転手段4は、保持部1を回動可能に支持するターンテーブル部41と、ターンテーブル部41を介して保持部1を回動させるモータ等の電動部42と、保持部1の姿勢を検出する複数の遮蔽センサにより構成される検出部43とを有し、検出部43の検出結果に基づいてモータ等の電動部42を介して保持部1の回動を制御し得るように構成されているので、記録媒体Paの表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御することが可能となる。
【0046】
その他、本実施形態では、複数のサーマルヘッド部2、3は、パスラインLi1、Li2を通じて保持部1に対して並列接続されているので、サーマルヘッド部の配置に関して設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
例えば、本実施形態では、反転手段4は保持部1を回転させるものであるが、図12に示すように、反転手段4の代わりに、サーマルヘッド部2及びサーマルヘッド部3をそれぞれ回転軸Cnを中心に回転させてサーマルヘッド21、31とプラテンローラ23、33の位置関係を入れ替えることによりパスラインLi1、Li2を通じてサーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させるように構成してもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、複数のサーマルヘッド部2、3を保持部1に対して並列接続しているが、図13に示すように、複数のサーマルヘッド部202、203を保持部201に対して直列接続して、保持部201を反転手段204により回転させるように構成してもよい。このように直列接続すると、記録媒体Paの搬送時に一括で印刷することができ、印刷速度を向上させることが可能となる。
【0050】
さらにまた、図14に示すように、反転手段304を、保持部301を回転させずに、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部302、303に対して保持部301に保持される記録媒体Paを案内する複数のパスラインLi1、Li2を設けて構成することも可能である。
【0051】
加えて、本実施形態では、ロール状に巻回されたロール紙等の記録媒体について説明しているが、予め所定のサイズにカットされたカット紙等の記録媒体についても本発明を適用することができる。
【0052】
その他、本実施形態では、保持部1を回転軸Cnを中心に回転させているが、直交座標系を定めるy軸やx軸、z軸周りに回転させてもよい。
【0053】
最後に、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…保持部
2、3…サーマルヘッド部
4…反転手段
41…ターンテーブル部
42…電動部(モータ等)
43…検出部(複数の遮光センサ)
Pa…記録媒体
Pb1、Pb2…消耗品
Li1、Li2…パスライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドの発熱により記録媒体に印刷するサーマルプリンタに係り、特に互いに異なる種類の消耗品を用いて両面印刷を適切に行い得るようにしたサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、巻回されたロール紙等の記録媒体を一対のローラで挟持しつつローラを回転させることにより記録媒体を搬送する搬送ローラ部を有し、この搬送ローラ部を通じて記録媒体をサーマルヘッドへ搬送(供給)し、サーマルヘッドの加熱を通じて染料又は顔料をロール紙等の記録媒体に転写させることにより、若しくは、熱を感知すると色が変化する感熱紙等の記録媒体をサーマルヘッドで加熱することにより、記録媒体に印刷する印刷装置である。
【0003】
従来のサーマルプリンタとして例えば特許文献1に開示されるように、同一種のインクリボンたる消耗品を用いて記録媒体に印刷を行うサーマルヘッド部を2つ設け、一方のサーマルヘッド部で記録媒体の表面を印刷し、他方のサーマルヘッド部で記憶媒体の裏面を印刷するように構成して両面印刷を実現しているサーマルプリンタが開示されている。この特許文献1の開示以外にも複数のサーマルヘッド部の一部を表面用とし、他部を裏面用として各サーマルヘッド部の用途を分けて両面印刷を実現する構成が通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−290768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、両面印刷を実現する上記の方法を利用して、インクリボン等の通常の消耗品を用いた通常印刷に加えて通常印刷で用いる消耗品とは異なる種類の消耗品を用いて保護層や光沢層、白色、金色等の特色を印刷する場合には、通常印刷を行う2つのサーマルヘッド部に加えて更に表面特色印刷用と裏面特色印刷用の2つのサーマルヘッド部を設ける必要があり、サーマルヘッド部の冗長化を招いてサーマルプリンタが巨大化するとともに、製造コストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、互いに異なる種類の消耗品を複数用いて両面印刷を行うにあたり、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく両面印刷を実現するとともに、装置を小形化させ製造コストを低減させたサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のサーマルプリンタは、巻回された記録媒体を保持する保持部と、互いに異なる種類の消耗品を用いて前記記録媒体に印刷を行う複数のサーマルヘッド部とを具備し、前記保持部と各サーマルヘッド部との間で前記記録媒体を搬送しつつ当該記録媒体に印刷を行うサーマルプリンタであって、前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、反転手段により保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させ、各サーマルヘッド部に対して記録媒体の両面を供給可能になるので、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく記録媒体への両面印刷を実現でき、装置を小形化することができるとともに製造コストを低減させることができる。
【0010】
保持部に保持される記録媒体をサーマルヘッド部へ案内する搬送路たるパスラインにおいて記録媒体のつまり等の搬送不良を低減させるためには、前記反転手段は、各サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させるように構成されていることが望ましい。
【0011】
記録媒体の表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御するためには、前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されていることが好ましい。
【0012】
上記反転手段を実現する他の具体的構成としては、前記反転手段は、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部に対して前記保持部に保持される記録媒体を案内する複数のパスラインにより構成されていることが挙げられる。
【0013】
サーマルヘッド部の配置に関して設計の自由度を向上させるためには、前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して並列接続されていることが望ましい。
【0014】
印刷速度を向上させるためには、前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して直列接続されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように、反転手段により記録媒体の表裏を反転させるので、各サーマルヘッド部に対して記録媒体の両面を供給でき、表面用及び裏面用というように同一の消耗品を用いるサーマルヘッド部を複数設けることなく記録媒体への両面印刷を実現可能とし、さらに装置を小形化させて製造コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図2】記録媒体を保持する保持部を回動させる反転手段を模式的に示す斜視図。
【図3】保持部と搬送ローラ部との間で記録媒体の連絡を行う構成を模試的に示す構成図。
【図4】保持部と搬送ローラ部との間で記録媒体の連絡を行う構成を模試的に示す構成図。
【図5】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図6】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図7】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図8】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図9】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図10】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図11】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のサーマルプリンタは、図1に示すように、巻回されたロール用紙等の記録媒体Paを保持する保持部1と、一対のローラで記録媒体Paを挟持しつつローラの少なくとも一方を回転させることにより記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部6と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2をそれぞれ用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3と、各サーマルヘッド部2、3に対応して複数設けられ対応するサーマルヘッド部2、3と保持部1との間で搬送ローラ部6を経由して記録媒体Paを案内する複数のパスラインLi1、Li2と、記録媒体Paの搬送制御やサーマルヘッド部2、3の印刷制御を行う制御部5とを有し、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部6によりサーマルヘッド部2、3へ搬送しつつサーマルヘッド部2、3で記録媒体Paへの印刷を行うものである。
【0019】
保持部1は、図1及び図2に示すように、ロール状に巻回された記録媒体Paを回転軸C1を中心に回転可能に支持する軸支部11と、記録媒体Paにテンションを付与しつつ記録媒体Paの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ12とを有し、図示しないモータ等の動力部によりロール状の記録媒体Paを回転軸C1を中心に正逆回転させて記録媒体Paの繰り出し及び巻き戻しを行い得るように構成されている。
【0020】
複数のパスラインLi1、Li2は、周知の搬送路と同様にガイドや、挟持ローラ、搬送ベルト、ウイング等の方向転換部により構成されており、パスラインLi1はサーマルヘッド2と保持部1との間で記録媒体Paを案内し、パスラインLi2はサーマルヘッド部3と保持部1との間で記録媒体Paを案内する。
【0021】
搬送ローラ部6は、パスラインLi1、Li2に沿って保持部1の下流に配置され、保持部1に保持されるロール状の記録媒体Paをフィードローラ61とピンチローラ62とで挟持しながらフィードローラ61を図示しないモータ等の動力部を通じて回転駆動させることにより記録媒体Paを搬送する。
【0022】
サーマルヘッド部2は、パスラインLi1に沿って配置され、顔料や染料等のインクを塗布したインクリボンたる消耗品Pb1を繰り出すインクリボンローラ22と、搬送ローラ部6の下流にあって発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21に対向配置され消耗品Pb1及び記録媒体Paをサーマルヘッド21と共に挟持するプラテンローラ23とを備え、サーマルヘッド21の加熱により消耗品Pb1のインクを記録媒体Paに転写させて通常印刷を行う。
【0023】
サーマルヘッド部3は、パスラインLi2に沿って搬送ローラ部6の下流に配置され、保護層や光沢層、白色、金色等の特色を印刷するための特色リボンたる消耗品Pb2を繰り出す特色リボンローラ32と、発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド31と、このサーマルヘッド21に対向配置され消耗品Pb2及び記録媒体Paをサーマルヘッド31と共に挟持するプラテンローラ33とを備え、サーマルヘッド31の加熱により消耗品Pb2を記録媒体Paに転写させて特色印刷を行う。消耗品Pb2は、サーマルヘッド部2で用いられる消耗品Pb1とは異なる種類の消耗品である。上記のように複数のサーマルヘッド部2、3は、保持部1に対して並列接続されているが直列接続してもよい。直列接続を行うと、パスラインの切り替えを省略できるので、記録媒体Paの搬送時に一括で印刷することができ、印刷速度を向上させることが可能となる。
【0024】
制御部5は、周知のサーマルプリンタと同様にCPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に搬送制御ルーチンや印刷制御ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPUは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や印刷動作が実現される。
【0025】
本実施形態では、上記構成にさらに以下の構成を加えている。
【0026】
すなわち、図1及び図2に示すように、ロール状の記録媒体Paを保持している状態で保持部1を回転軸Cnを中心に回転させることによりパスラインLi1、Li2を通じてサーマルヘッド部2、3に臨む記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設け、この反転手段4による保持部1の回転を制御部5で制御するように構成している。
【0027】
具体的には、図2に示すように、保持部1は、ロール状に巻回された記録媒体Paが回転軸C1を中心に回転可能になるように記録媒体Paの幅方向両側を軸支部11で支持している。反転手段4は、図示しない筐体に対して回転軸Cnを中心に回動可能に支持される板状のターンテーブル部41を有し、このターンテーブル部41に保持部1の軸支部11を固定して保持部1を回動可能としている。
【0028】
さらに、反転手段4は、制御部5からの駆動指令に基づいてターンテーブル部41を回転させるモータたる電動部42と、保持部1の姿勢を検出する検出部43と、保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44とを有している。
【0029】
保持部1の姿勢を検出する検出部43は、ターンテーブル部41に設けられた図示しない遮光部と、回転軸Cnに対して互いに対称な位置関係に配置され遮光部による遮光を検出する2つの遮光センサとを有し、ターンテーブル部41の回転に伴って遮光部が各遮光センサを遮光する位置に移動し、遮光を検出した遮光センサがいずれの遮光センサであるかによって保持部1の回転位置が第1の姿勢又は第2の姿勢のいずれであるかを検出するものである。なお、本実施形態では、保持部1の姿勢を検出する検出部を複数の遮光センサを用いて構成しているが、保持部1の姿勢を検出することができれば、エンコーダやレゾルバ等の回転角度検出センサを用いてもよい。
【0030】
保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44は、図示しない筐体側に設けられ制御部5からの指令信号に基づいてターンテーブル部41へ向けて進退する進退部44bと、進退部44bに対向してターンテーブル部41に設けられ進退部44bと係合する複数の受け部44aとを有している。受け部44aは、進退部44bと係合することにより保持部1及びターンテーブル部41の回動を禁止する禁止面44cと、進退部44bを禁止面44cへ呼び込むガイド面44dとが形成されており、電動部42による保持部1の回動停止位置が多少ずれたとしても進退部44bをガイド面44dで禁止面44cに案内して保持部1の正確な姿勢決めを行う。複数の受け部44aのうちの一部は第1の姿勢に対応する位置に配置され、複数の受け部44aのうちの他部は第2の姿勢に対応する位置に配置されている。
【0031】
保持部1と搬送ローラ部6との間には、図3及び図4に示すように、補助送りローラ12に挟持され先端が自由となっている記録媒体Paを受けて搬送ローラ部6へガイドするガイド機構7と、ガイド機構7によりガイドされる記録媒体Paの進路をパスラインLi1又はパスラインLi2のいずれかに変更する切換機構8が設けられている。
【0032】
ガイド機構7は、保持部1の姿勢が第1の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受けて搬送ローラ部6へガイドする第1のガイド部71と、保持部1の姿勢が第2の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受け止めて搬送ローラ部6へガイドする第2のガイド部72と有している。第1のガイド部71及び第2のガイド部72の保持部側端部は、ガイド面同士の間隔がラッパ状に広げられて巻き癖がついている記録媒体Paを円滑に受けるように形成されている。勿論、記録媒体Paと両ガイド部71、72とが当たる位置が明確であれば、対向するガイド面の双方を傾斜させてラッパ状に形成する必要はなく、対向する両ガイド面のうちの一方のガイド面のみを傾斜させて受け面としてもよい。
【0033】
切換機構8は、記録媒体Paをガイドする切換ガイド部82と、図示しないモータ等の動力部に接続され切換ガイド部82を回動可能に支持する切換ガイド支持部81とを有しており、制御部5からの切換指令に応じて切換ガイド部82を回動させ、切換ガイド部82を、記録媒体Paの進路をパスラインLi1とする位置po1又は記録媒体Paの進路をパスラインLi2とする位置po2のいずれかに変位させる。図示の切換機構8は、二枚の板材を平行に対向させて切換ガイド部82としているが、これに限られることはなく切換ガイド部82全体を一つの板材で構成してもよい。
【0034】
次に上記の構成において記録媒体Paに両面印刷を行う動作について図5〜図11を用いて説明する。
【0035】
まず、図5に示すように、制御部5は、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第1の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに通常印刷を行う。
【0036】
記録媒体Paの表面fへの通常印刷が完了すると、図6に示すように、制御部5は、保持部1のモータたる動力部に巻き戻しさせる駆動指令を行い、記録媒体Paをサーマルヘッド部2及び搬送ローラ部6から保持部側へ退避させる。
【0037】
記録媒体Paの退避が完了すると、制御部5は、図2に示す進退部44bを受け部44aから退避させ、電動部42によりターンテーブル部41を回動させ、検出部43により保持部1が第2の姿勢にあることが検出されたことを以てターンテーブル部41の回動を停止させ、進退部44bを受け部44aへ係合させて保持部1の姿勢決めを行い、図7に示すように、サーマルヘッド部2に対する記録媒体Paの表裏を反転させる。
【0038】
記録媒体Paの表裏を反転させると、制御部5は、図8に示すように、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第2の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに通常印刷を行い、記録媒体Paの両面に対する通常印刷を完了する。
【0039】
記録媒体Paの両面に対する通常印刷が完了すると、制御部5は、図9に示すように、記録媒体Paをサーマルヘッド部2及び搬送ローラ部6から保持部側へ一旦退避させ、退避完了後に保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部3に駆動指令を行い、第2の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部3へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに特色印刷を行う。
【0040】
記録媒体Paの表面fへの特色印刷が完了すると、制御部5は、図10に示すように、記録媒体Paをサーマルヘッド部3及び搬送ローラ部6から保持部側へ一旦退避させ、反転手段4により保持部1を回転させてその姿勢を第1の姿勢にし、サーマルヘッド部3に対する記録媒体Paの表裏を反転させる。
【0041】
記録媒体Paの表裏を反転させると、制御部5は、図11に示すように、保持部1及び搬送ローラ部6のモータたる動力部やサーマルヘッド部3に駆動指令を行い、第1の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部3へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに特色印刷を行い、記録媒体Paの両面に対する通常印刷及び特色印刷を完了する。
【0042】
以上のように本実施形態に係るサーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、互いに異なる種類の消耗品Pb1、Pb2を用いて記録媒体Paに印刷を行う複数のサーマルヘッド部2、3とを具備し、保持部1と各サーマルヘッド部2、3との間で記録媒体Paを搬送しつつ記録媒体Paに印刷を行うにあたり、保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設けている。
【0043】
このように、反転手段により保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させ、各サーマルヘッド部2、3に対して記録媒体Paの表面f及び裏面bの両面を供給可能になるので、表面用及び裏面用というように同一種の消耗品Pb1を用いるサーマルヘッド部2を複数設けることなく記録媒体Paへの両面印刷を実現でき、装置を小形化させることが可能となるとともに製造コストを低減させることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、反転手段4が、保持部1を回転させることにより保持部1から供給されて各サーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させるように構成されているので、互いに逆差しとなる2方向からサーマルヘッド部に対して記録媒体Paを案内する搬送路たるパスラインを複数設ける場合に比べてパスラインLi1、Li2を短く設計でき、記録媒体Paのつまり等の搬送不良を低減させることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態では、反転手段4は、保持部1を回動可能に支持するターンテーブル部41と、ターンテーブル部41を介して保持部1を回動させるモータ等の電動部42と、保持部1の姿勢を検出する複数の遮蔽センサにより構成される検出部43とを有し、検出部43の検出結果に基づいてモータ等の電動部42を介して保持部1の回動を制御し得るように構成されているので、記録媒体Paの表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御することが可能となる。
【0046】
その他、本実施形態では、複数のサーマルヘッド部2、3は、パスラインLi1、Li2を通じて保持部1に対して並列接続されているので、サーマルヘッド部の配置に関して設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
例えば、本実施形態では、反転手段4は保持部1を回転させるものであるが、図12に示すように、反転手段4の代わりに、サーマルヘッド部2及びサーマルヘッド部3をそれぞれ回転軸Cnを中心に回転させてサーマルヘッド21、31とプラテンローラ23、33の位置関係を入れ替えることによりパスラインLi1、Li2を通じてサーマルヘッド部2、3に臨ませる記録媒体Paの表裏を反転させるように構成してもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、複数のサーマルヘッド部2、3を保持部1に対して並列接続しているが、図13に示すように、複数のサーマルヘッド部202、203を保持部201に対して直列接続して、保持部201を反転手段204により回転させるように構成してもよい。このように直列接続すると、記録媒体Paの搬送時に一括で印刷することができ、印刷速度を向上させることが可能となる。
【0050】
さらにまた、図14に示すように、反転手段304を、保持部301を回転させずに、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部302、303に対して保持部301に保持される記録媒体Paを案内する複数のパスラインLi1、Li2を設けて構成することも可能である。
【0051】
加えて、本実施形態では、ロール状に巻回されたロール紙等の記録媒体について説明しているが、予め所定のサイズにカットされたカット紙等の記録媒体についても本発明を適用することができる。
【0052】
その他、本実施形態では、保持部1を回転軸Cnを中心に回転させているが、直交座標系を定めるy軸やx軸、z軸周りに回転させてもよい。
【0053】
最後に、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…保持部
2、3…サーマルヘッド部
4…反転手段
41…ターンテーブル部
42…電動部(モータ等)
43…検出部(複数の遮光センサ)
Pa…記録媒体
Pb1、Pb2…消耗品
Li1、Li2…パスライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された記録媒体を保持する保持部と、互いに異なる種類の消耗品を用いて前記記録媒体に印刷を行う複数のサーマルヘッド部とを具備し、前記保持部と各サーマルヘッド部との間で前記記録媒体を搬送しつつ当該記録媒体に印刷を行うサーマルプリンタであって、
前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記反転手段は、各サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させるように構成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されている請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記反転手段は、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部に対して前記保持部に保持される記録媒体を案内する複数のパスラインにより構成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して直列接続又は並列接続されている請求項1〜4のいずれかに記載のサーマルプリンタ。
【請求項1】
巻回された記録媒体を保持する保持部と、互いに異なる種類の消耗品を用いて前記記録媒体に印刷を行う複数のサーマルヘッド部とを具備し、前記保持部と各サーマルヘッド部との間で前記記録媒体を搬送しつつ当該記録媒体に印刷を行うサーマルプリンタであって、
前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させる反転手段を設けたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記反転手段は、各サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記保持部から供給されて各サーマルヘッド部に臨ませる記録媒体の表裏を反転させるように構成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されている請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記反転手段は、互いに逆差しとなる2方向から各サーマルヘッド部に対して前記保持部に保持される記録媒体を案内する複数のパスラインにより構成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記複数のサーマルヘッド部は、前記保持部に対して直列接続又は並列接続されている請求項1〜4のいずれかに記載のサーマルプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−93256(P2011−93256A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251411(P2009−251411)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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