説明

サーマルヘッド

【課題】 本発明は、サーマルヘッドに備えた発熱体が破損した時に、サーマルヘッド自体を交換することなく、容易に発熱体を交換できるようにしたサーマルヘッドを提供することにある。
【解決手段】 直線状に配列した複数の発熱体16をサーマルヘッド本体11に備えたサーマルヘッド10において、前記複数の発熱体16を所定の単位毎に分割した複数の印字ブロック12と、この印字ブロック12を前記サーマルヘッド本体11に対し着脱自在にしたことを特徴とするサーマルヘッド10にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッド本体に発熱体を備えたサーマルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のサーマルヘッドの発熱体を設けた側から説明する平面図である。
サーマルヘッド30は主に、サーマルヘッド本体31と、複数の発熱体32・・32と、コネクタ33と、を有している。
サーマルヘッド本体(以下、適宜「ヘッド本体」という)31には、図示しないがヘッド制御基板が設けられ、後述する各発熱体32を制御するようにしてある。
各発熱体32は、ヘッド本体31の長手方向に沿って直線状に配列され、ヘッド制御基板からの信号により選択された発熱体32が発熱するようにしてある。また、コネクタ33は、図示しないがプリンタ(図示せず)のプリンタ制御部からの電源や印字信号が供給されるケーブル34が接続されるようにしてある。
【0003】
このようなサーマルヘッド30は、図示しないプリンタに設けたプラテンローラに対して接離自在に配置され、仮想線で示した印字用紙Pをプラテンローラとサーマルヘッド30によりに挟持して、プラテンローラの回転駆動により印字用紙Pを移送させながら、各発熱体32を選択的に発熱させて文字やバーコードを印字用紙Pに印字させることができる。
なお、印字用紙Pには、感熱発色層が形成されており、発熱体32の発熱により、所定の色が発色するようにしてある。
【0004】
しかしながらサーマルヘッド30の発熱体32は、ノイズなどによる電圧あるいは電流の変化により、発熱体32が破損することがある。
また、発熱体32の表面に形成された保護膜の磨耗や印字用紙Pの印字面の埃などにより発熱体32が破損することもある。
その結果、その破損した発熱体32部分が印字することができず文字が欠けたり、バーコードが欠けたりしてスキャンしなくなる問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、サーマルヘッド本体31を交換したり、破損した発熱体32を避けて(シフト)印字するようにプリンタ制御部から制御させたりすることが提案されている。
前者の場合、サーマルヘッド本体30を交換する時に、サーマルヘッド30を交換する作業時間および交換後の調整作業が発生するので交換作業に時間を浪費する問題がある。
また、サーマルヘッド30の交換は、印字の位置などの調整が必要となることから、使用者側で交換することが難しく、熟練者でなければできないという問題がある。
また後者の場合は、予め決まったフォーマットで同じ文字やバーコードを印字する場合には印字位置をシフトして印字することに効果があるが、複数の印字フォーマットや文字、バーコードなどの可変データを印字する場合には、破損した発熱体を避けて印字することができないとうい問題が発生する。
また、サーマルヘッド30自体を印字用紙の幅方向にずらすようにした提案もあるが、上述のように本質的に解決しないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−148665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題にかんがみなされたもので、熟練者でなくとも容易に交換することができるサーマルヘッドを提供することを目的する。
また、サーマルヘッドの交換作業を短時間することができ作業効率を向上させることができるサーマルヘッドを提供することを目的する。
また、その都度、印字する位置をずらす作業をすることないサーマルヘッドを提供することを目的する。
また、ヘッド本体をずらすような作業をすることないサーマルヘッドを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発熱体を交換することに着目したので、請求項1記載の発明の要旨は、直線状に配列した複数の発熱体をサーマルヘッド本体に備えたサーマルヘッドにおいて、前記複数の発熱体を所定の単位毎に分割した複数の印字ブロックと、この印字ブロックを前記サーマルヘッド本体に対し着脱自在にしたことを特徴とするサーマルヘッドにある。
また、請求項2記載の発明の要旨は、前記サーマルヘッド本体には、前記印字ブロックを位置決めする位置決め部と、係止部と、を設けたことを特徴とする請求項1記載のサーマルヘッドにある。
また、請求項3記載の発明の要旨は、前記サーマルヘッド本体には短形状切欠部を形成し、この短形状切欠部に前記印字ブロックを着脱自在にしたことを特徴とする請求項1または2記載のサーマルヘッドにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサーマルヘッドは、発熱体を備えた印字ブロックを着脱可能にしたので、発熱体が破損した場合に、破損した印字ブロックのみを交換できるようにしたので、サーマルヘッド自体を交換することがないので、簡単に交換することができ作業時間の短縮と、交換後の印字位置の調整作業が発生しないので交換作業時間を短縮することができる。また、熟練者でなくても交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。
図1は本発明のサーマルヘッドをプリンタに搭載した一例を示したプリンタの概略構成図であり、図2は、サーマルヘッドの要部説明図であり、図3はサーマルヘッドの発熱体を設けた側から説明する平面図であり、図4はサーマルヘッドの一例を示した電気的な模式図である。
【0010】
プリンタ1は主に、供給部2と、案内部3と、印字部4と、制御部(図示せず)とから構成されている。供給部2には、ロール状にした印字用紙Pを回転可能に設ける供給軸5を有している。印字用紙Pは紙類などから成り、印字用紙Pの印字面Psには感熱より発色する感熱発色剤層が形成されている。
案内部3には、フリーに回転する案内ローラ6を有し、供給部2から繰り出される印字用紙Pを後述する印字部4に案内するようにしてある。
印字部4には、プラテンローラ7とサーマルヘッド10を有し、サーマルヘッド10はプラテンローラ7に対し接離自在に設けてある。プラテンローラ7は、タイミングベルト8を介してステッピングモータ9のモータ軸9aに掛け渡され、モータ軸9aの駆動によりプラテンローラ7が回転駆動されるようにしてある。
【0011】
案内部3と印字部4との間の印字用紙Pの移送路の下方には用紙センサSが配置されている。用紙センサSは、所定の光を出射する図示せぬ発光部と発光部から出射された光を印字用紙Pからの反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間当たりの受光量)に対応する電気信号を出力する図示せぬ受光部とからなり、印字用紙Pの裏面側に発光部と受光部を配し、印字用紙Pの裏面(印字面Psとは反対の面)に印刷等によって形成された図示せぬピッチマーク(黒色の矩形のマーク)を、受光部の受光量に基づいて検出するようにしている。
用紙センサSは、ピッチマークの検出結果に基づいて、印字位置基準データなどとして図示しない制御部に信号を供給するようにしてある。
【0012】
サーマルヘッド10は主に、サーマルヘッド本体11と、印字ブロック12と、ヘッド制御基板23と、ケーブル用コネクタ14と、を有している。印字ブロック12は、後述するがサーマルヘッド本体(以下、適宜「ヘッド本体」という)11に対し着脱自在に設けることができる。
ヘッド本体11には、このヘッド本体11の前面側から鍵状「¬」に切り欠いた切欠部を成形することができる。また、この切欠部の前面側に沿うように所定に厚みを有したガイドバー(固定ガイド部)13が設けられている。このガイドバー13と切欠部とにより、短形状切欠部15を形成することができる。短形状切欠部15は、後述する発熱体16が複数配列される方向に向けて長方形状に形成されている。
【0013】
短形状切欠部15には、位置決め軸(位置決め部)20と、係止爪(係止部)21と、印字ブロック用コネクタ22が設けられている。位置決め軸20は、印字ブロック12をひとつに対して、二つの位置決め軸20,20から構成される。この位置決め軸20,20は、固定ガイドバー13と相対称する面に設けられている。
係止爪21は、ガイドバー13に出没自在に設けるように構成されている。係止爪21
は、ガイドバー13の内部に設けた板ばね(図示せず)などの弾性部材により係止爪21をガイドバー13の面から短形切欠部15に向けて露出する方向に付勢されている。また、この板ばねの付勢または解除する操作ツマミ24がガイドバー13に設けられている。この操作ツマミ24は、板ばねに設けられて板ばねの付勢方向と反対方向に操作することにより係止爪21の付勢を解除することができる。
尚、係止爪21、板ばね(図示せず)、操作ツマミ24、は、各印字ブロックに対応して各々設けることができる。
印字ブロック用コネクタ22は、短形状切欠部15の天面に設けられて、ヘッド制御基板23からの印字信号を後述する印字ブロック12の各発熱体16に供給することができる。
尚、印字ブロック用コネクタ22は、後述する各印字ブロックに対応して各々設けることができる。
【0014】
次に、印字ブロック12について説明する。
尚、印字ブロック12のひとつについて説明するが、他の印字ブロック12も同様な構造とすることができる。
この実施の形態のサーマルヘッド10の印字ブロック12は、5個の印字ブロック12・・12をサーマルヘッド本体10に設けることができる。
印字ブロック12は、短形状切欠部15に嵌合する形状を有し、この印字ブロック12には、摺接面12aと、係止面12bと、位置決め面12cと、背面12dと、一対の側面12e,12eの各々の面を形成してある。
摺接面12aは印字用紙Pと摺接する面であり、印字用紙Pの移送方向に直行する方向に直線状に配置された複数の発熱体16が設けられている。
係止面12bは、印字後の印字用紙Pを排出する側の面であり、位置決め面12cは、印字前の印字用紙Pを受け入れ側の面であり、背面12dは摺接面12aに対して相対称する面である。
印字ブロック12の係止面12bには、係止溝18が形成され、位置決め面12cには、
位置決め溝17が設けられている。また、印字ブロックの背面には、印字ブロッ用コネク
タ受19が設けてある。尚、係止溝18、位置決め溝17は好ましくは2以上の複数設け
ることが好ましい。
【0015】
印字ブロック12の係止面12bに形成した係止溝18は、ヘッド本体10に設けたガイドバー13の係止爪21に係止可能に設けられている。
また位置決め溝17は、ヘッド本体10に形成した短形状切欠部15内に設けられた位置決め軸20に嵌合して印字ブロック12を位置決めすることができる。
印字ブロック用コネクタ受19は、ヘッド本体11に形成した短形状切欠部15内に設けられた印字ブロック用コネクタ22と嵌合して電源ラインおよび信号ラインを接続可能に設けることができる。
【0016】
なお、印字ブロック12に設けられる発熱体16の数は任意に設けることができる。また、印字ブロック12の数も任意に数に設けることができる。
また、コネクタ14は、図示しないプリンタの制御部からの電源ラインおよび信号ラインを受け入れることができる。
【0017】
次に、サーマルヘッドに設けたひとつの印字ブロックに対しての印字信号について説明する。
サーマルヘッド10は入力される印字ドットパターンのデータに応じてドット単位に発熱体16を発熱して印字を行うことができる。
図4の25は、例えばドット数に応じて設けられたフリップフロップ回路からなるシフトレジスタであり、コネクタ14から入力されるクロック信号CLKに従って印字パターンデータのデータ信号DIを次々とシリアルに入力し、1ライン分の印字パターンデータを蓄積する。26は同じくコネクタ14からラッチ信号LATを入力した時、シフトレジスタ25の1ライン分の印字パターンデータをラッチするラッチ回路である。
G1〜Gnは、それぞれゲート素子G1〜Gnを有するとともに、それら各素子によって駆動させるようトランジスタTr1〜Trnが、電源VcとアースE間で各発熱体(抵抗体)16・・・16に対してそれぞれ直列接続されて設けられている。
従って、ストローブ部信号STRが入力された時、G1〜Gnのゲートが開き、この時ラッチ回路26から入力されるドットデータのうちハイレベル(すなわち印字レベル)であるドットについてゲート素子G1〜Gnの出力側がハイレベルとなり、このハイレベル信号が、対応するトランジスタTr1〜Trnのベースに与えられることによって発熱体16・・・16に電源が流れる。
この通電による発熱によって、印字用紙Pに1ラインのドットに対して印字がなされる。
このように、印字用紙Pを1ラインごとにプラテンローラ7の駆動により移送して、1ラインごとに上記動作を繰り返すことにより、所望の文字やバーコードを印字することができる。
【0018】
このように構成したサーマルヘッド10をプリンタに搭載して、印字用紙Pに印字するが、印字中に発熱体16が破損したときは、サーマルヘッド10をプラテンローラ7から離間させて、操作ツマミ24を操作して発熱体16が破損した印字ブロックを取り外すことができる。
破損した発熱体16の印字ブロック15を取り外す時には、操作ツマミ24を手前側(印字用紙Pの排出側)に引き、係止爪21をガイドバー13の内方に位置させるようにして、印字ブロック12を手前側から下方に下げながら手前側に引き抜くことにより、印字ブロック12を外すことができる。
次に、新たな印字ブロック12を取り付けるときには、印字ブロック12の位置決め溝17に短形状切欠部15に設けた位置決め軸20に嵌合させ、印字ブロック12を上方に持ち上げて、操作ツマミ24を元に戻すことにより印字ブロック12を装着することができる。
【0019】
尚、この実施の形態では、サーマルヘッド本体に位置決め軸を設けたが、印字ブロックに位置決め軸を設け、ヘッド本体に位置決め溝を設けることができる。また、ガイドバーに係止爪を設けたが、印字ブロックに係止爪を設けヘッド本体に係止溝を設けることができる。
係止爪は、所定角度の爪や円弧状の爪でもよく、形状は任意とすることができる。
また、印字ブロック用コネクタ、印字ブロック用コネクタ受には、アース用の配線を設けることができる。
さらにまた、シフトレジスタ、ラッチ回路、ゲート、トランジスタを印字ブロックに設けることができる。
図3において、操作ツマミを4個省略した図で示したが、全ての印字ブロックに対して操作ツマミを設けることができる。
【0020】
この実施の形態では、各構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施するうえで好適な数、位置、形状等にすることができる。本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のサーマルヘッドをプリンタに搭載した一例を示したプリンタの概略構成図である。
【図2】同上、サーマルヘッドの要部説明図である。
【図3】同上、サーマルヘッドの発熱体を設けた側から説明する平面図である。
【図4】同上、サーマルヘッドの一例を示した電気的な模式図である。
【図5】従来のサーマルヘッドの発熱体を設けた側から説明する平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 プリンタ
2 供給部
3 案内部
4 印字部
10 サーマルヘッド
11 サーマルヘッド本体
12 印字ブロック
13 ガイドバー(固定ガイド部)
15 短形状切欠部
16 発熱体
17 位置決め溝
18 係止溝
20 位置決め溝(位置決め部)
21 係止爪(係止部)
24 操作ツマミ
30 サーマルヘッド(従来)
32 発熱体(従来)
P 印字用紙













【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に配列した複数の発熱体をサーマルヘッド本体に備えたサーマルヘッドにおいて、
前記複数の発熱体を所定の単位毎に分割した複数の印字ブロックと、
この印字ブロックを前記サーマルヘッド本体に対し着脱自在にしたことを特徴とするサーマルヘッド。
【請求項2】
前記サーマルヘッド本体には、前記印字ブロックを位置決めする位置決め部と、係止部と、を設けたことを特徴とする請求項1記載のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記サーマルヘッド本体には短形状切欠部を形成し、この短形状切欠部に前記印字ブロックを着脱自在にしたことを特徴とする請求項1または2記載のサーマルヘッド。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−152567(P2007−152567A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346631(P2005−346631)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】