説明

シアン化水素生成のための触媒アンモ酸化方法

メタノールのようなアルコール供給物またはプロピオニトリルのようなニトリル供給物、またはこれらの混合物をアンモ酸化してシアン化水素を形成する方法は、以下の実験式、Mn(式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である。)を有する改質Mn−P触媒を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質Mn−P触媒を用いる触媒アンモ酸化によるシアン化水素の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シアン化水素(HCN)は、ナイロン合成の非常に重要な副生成物である。これは、メチルメタクリレート、ニトリロ三酢酸(NTA、洗剤添加剤)、除草剤の製造、メチルチオヒドロキシ酪酸(動物性食品添加剤)、キレート剤、ならびに多くの他の精密化学品および特殊化学品の生成に使用される。これは鉱石からの金採取のためにも使用される。米国においてHCNの年産は、約700,000トンである。このHCNの約20%がアクリロニトリル(AN)製造の副生成物であり、比較的少量(10%未満)がDegussa方法によって生成されている一方で、70%超過が1930年代に開発されたDuPontのAndrussow方法によって製造される。
【0003】
Degussa方法では、CHおよびNHは、白金でコーティングされたセラミック管内で直接反応する。CHとNHとの間の反応は高い吸熱性(式1)であるため、高い反応温度(1200〜1300℃)を必要とする;必要な熱は、管の外側での燃料の燃焼によって提供される。
【0004】
NH+CH→HCN+3H(ΔH=252KJ/mol)(1)
この方法は空気の非存在下で行なわれるので、多くの副反応が排除される。さらに、HCNおよびNHの洗浄後、排ガスはほぼ純粋なH(96.2%)である。NHからHCNへの転化率は80〜85%であり、CHからHCNへの転化率は90%である。
【0005】
Andrussow方法では、空気を添加して少量のCHを燃焼させ、反応に必要な熱を提供する。従ってこの後者の方法によるHCNの生成はアンモ酸化反応である。
【0006】
NH+2CH+3.5O→HCN+CO+5HO(ΔH=−474KJ/mol)(2)
Andrussow方法は、約1100℃にて断熱で行なう。最適な供給物組成は、空気/燃料比が固定された状態で高いCH/NH比が有利に働くNHからHCNへの転化選択率と、相対的に低いCH/NH比が有利に働くHCNの総生成速度との妥協点によって決定される。滞留時間は、HCN生成物の分解を防止するために極めて短い(1ms未満)。Andrussow方法における典型的な触媒は、90重量%Ptおよび10重量%Rhワイヤゲージである。許容可能な触媒寿命は60〜360日である。約65〜70%のアンモニアがHCNに、約10%がNに転化される。約6〜12%のHCNを含有する生成ガスは、HCNの分解を回避するために、廃熱ボイラーにて350〜400℃に急冷される。
【0007】
HCNは、次のように、アクリロニトリルへのプロピレンのアンモ酸化の副生成物としても生成する。
【0008】
CH=CHCH+3NH+3O→3HCN+6HO(ΔH=−273kcal/mol)(3)
プロピレンのアンモ酸化にて副生成物として生成したHCNの量は、生成したANの量と関連する。HCNは貴重な生成物であり、この需要がプロピレンのアンモ酸化方法のHCN生成を超える場合がある。こうした事態が生じる場合、メタノールをプロピレンと共に反応器に供給し、これをAN触媒上でアンモニアおよび酸素と反応させ、次のようにHCNを生成させる。
【0009】
CHOH+NH+O→HCN+3HO(ΔH=−83kcal/mol)(4)
しかし、AN触媒は、メタノールのアンモ酸化反応ではなくプロピレンに関して最適化されている。さらに、メタノールをプロピレンのアンモ酸化供給物に導入すると、触媒寿命が短縮することがある。
【0010】
従って、ANおよびHCN生成を切り離す必要があり、安価なHCN生成方法を開発する必要がある。そうした方法では、メタノールからHCNを生成するために特別に開発された触媒を使用する。
【0011】
周期表のほぼ全ての元素を含む、K0.006Bi0.45Fe0.650.1MoOx−50%SiOのような複合金属酸化物に基づく、メタノールのHCNへのアンモ酸化用に多数の既知の触媒がある。しかし、少数の触媒だけがアンモ酸化反応にて実際に試験されている。既知のアンモ酸化触媒の一部を触媒特性と共に表1に示す。
【0012】
【表1】

【0013】
メタノールのアンモ酸化に関して大規模な開発作業が1980年代にMonsantoによって行なわれ、その結果として、リン酸マグネシウム系触媒(Mn1.25PO)がメタノールからのHCN生成用に開発された。リン酸マグネシウム系触媒(Mn1.25PO)は調製が非常に簡便であり、メタノールから90%までのHCN収率を与えることができる。この方法は、現在のAN方法に近い条件下にて行なうことができ、既存のAN生成プラントに組み込むこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、現在の技術よりも高収率でHCN生成するために特別に設計された触媒があれば、極めて有利になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シアン化水素(HCN)の生成のための改質Mn−P触媒を対象とする。本発明に従う改質Mn−P触媒は、次の実験式を有する。
【0016】
Mn
式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である。
【0017】
改質Mn−P触媒は、HCN生成のためのアルコールおよび/またはニトリルのアンモ酸化に使用される。方法は、プロピレンからのAN生成に現在使用されている条件に近い条件下にて、アルコール、ニトリルおよびこれらの混合物からのHCN生成のために特別に開発された改質Mn−P触媒を使用する。好ましいアルコールはメタノールである。好ましいニトリルはプロピオニトリル(PN)およびアセトニトリル(ACN)である。混合物は、ニトリルの混合物またはニトリルおよびアルコールの混合物を含んでいてもよい。この方法は、改質Mn−P触媒の存在下、アルコールまたはニトリルまたはこれらの混合物のいずれかである供給ガスをアンモニアおよび酸素と共に反応区域を通過させることを含む。
【0018】
プロモーターK、Ca、Mo、Zn、およびFeは、非改質Mn−P触媒、例えばU.S.Patent 4,457,905に記載される触媒の性能を改善するために添加できる。KおよびCaで構成された改質Mn−P触媒は、HCNに対して良好な選択率を有し、結果としてHCNの収率が非改質Mn−P触媒の場合よりも2〜3%高くなる。Mo改質Mn−P触媒は、非改質Mn−P触媒よりもかなり高い活性を有し、所与のメタノール供給物に使用されるべきより少量の触媒を必要とする。Zn改質Mn−P触媒は、非改質Mn−P触媒よりも高い活性と選択率とを有し、供給物のために使用される触媒を減らすことができ、メタノールの高い転化率を維持し、非常に高いHCN収率をもたらす。
【0019】
以前の触媒とは異なり、本発明に従う改質Mn−P触媒は、広範囲に及ぶ好適な反応器への供給物、例えばニトリルまたはニトリルおよびアルコールの混合物と共に使用できる。Fe改質Mn−P触媒は、非改質Mn−P触媒よりも非常に良好なプロピオニトリル供給物に関する性能を与える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、メタノールのようなアルコールおよび/またはプロピオニトリル(PN)およびアセトニトリル(ACN)のようなニトリル供給物のシアン化水素へのアンモ酸化方法を提供し、この方法は、アンモ酸化条件にて操作され、次の実験式を有する改質Mn−P触媒の触媒有効量を含有する反応区域に、アンモニアおよび酸素または酸素含有ガスとともに供給物を通過させることを含む。
【0021】
Mn
式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である。
【0022】
より限定的な実施形態において、本発明は、メタノールのシアン化水素へのアンモ酸化方法を提供し、アンモ酸化反応条件にて操作されるアンモ酸化反応器に、メタノール、アンモニアおよび酸素または酸素含有ガスを含有する供給物を供給することを含み、アンモ酸化反応区域は、次の実験式を有する改質Mn−P触媒を含むアンモ酸化触媒の流動床を含有する。
【0023】
MnaP
式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である。
【0024】
改質Mn−P触媒は、一般に、従来の手段によって調製される。好ましくは、改質Mn−P触媒をU.S.Patent 4,457,905に開示される手順によって調製するが、この手順では非改質Mn−P乾燥触媒材料を様々な金属塩に含浸する。様々な金属はまた、粉砕の前またはこれらの可溶性塩水溶液からの噴霧乾燥の前にスラリーに導入することもできる。好ましい実施形態において、改質Mn−P触媒は、U.S.Patent 4,457,905に従って調製され、200℃にて予め乾燥された非改質Mn−P触媒に、可溶性塩水溶液からCa、K、Mo、Fe、Znのような様々な金属を導入するための湿潤含浸方法を用いて調製される。湿潤含浸の後に焼成を行なうのが好ましい。焼成温度は850℃〜1000℃であることができる。U.S.Patent 4,457,905の内容は、明確に本明細書に参照により組み込まれる。
【0025】
触媒はそのまま使用できるが、触媒は担体とともに操作されるのが好ましい。シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)、およびその他の一般に使用される担体のような不活性担体が好ましい。特に好ましいのはシリカである。好ましくはシリカは、触媒調製の間に2工程で添加される。まず、少量のシリカを活性触媒成分と混合し、この混合物を1〜3時間80〜100℃にて攪拌する。次いでシリカ担体の残りを添加する。このシリカの2工程添加により、触媒の活性が良好になり、HCNの収率が増大する。
【0026】
使用できるマンガン化合物は、触媒に組み込むことのできる任意のマンガン化合物を含む。好ましい化合物は、酢酸マンガン、硝酸塩、酸化物、塩化物および同様の化合物を含む。
【0027】
使用できるリン化合物としては、酸化リン(V)、オルトリン酸、リン酸ニ水素アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム、および同様の化合物を含む、当分野において既知の任意のリン化合物が挙げられる。
【0028】
使用されるアンモ酸化反応条件は、メタノールのアンモ酸化について当分野において開示されている条件であり、通常200〜600℃の温度により、250〜550℃にて良好な結果が得られ、300〜500℃にて最良の結果が得られる。
【0029】
アンモ酸化反応区域における反応体のモル比は、従来通りである。通常、アンモニアおよび酸素と、メタノールまたはニトリルとのモル比は、反応体の大部分が反応で消費されるような化学両論程度である。通常、アンモニアとメタノールまたはニトリルとの比は、0.7:1〜2:1、好ましくは0.9:1〜1.3:1である。過剰のアンモニアを使用することは、未反応アンモニアを回収し、リサイクルし、廃棄する必要があるため、望ましくない。
【0030】
空気は、安価であることから好ましい酸素源である;しかし、純粋な酸素または酸素が豊富な空気も使用できる。引火性混合物は避けるべきである。
【0031】
不活性希釈剤が存在してもよく、この使用は実験室では一般的であるが、反応区域に酸素供給空気と共に通常送られる窒素を除いて、商業的には一般的でない。
【0032】
流動床操作が好ましいが、操作方法は、固定床、沸騰床、または移動床タイプの操作にて非常に良く作用するはずである。流動床は、床内のホットスポットおよび分布の問題を最小限にするのに好ましい。流動床操作ではまた、触媒の交換または再生のために触媒の添加および回収が必要である場合にこれが容易でもある。
【0033】
次の項では、本発明の好ましい実施形態を含む詳細について述べる。しかし、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、提供される種々のパラメータを変更または適合できることを理解すべきである。
【0034】
全ての触媒はまず、この内容が明確に本明細書に参照により組み込まれるUS Patent 4,457,905に与えられる開示に基づいて調製したが、これらの非改質触媒を、本明細書ではMnPO/50%SiO触媒と称する。
【0035】
(比較例)
51.3%硝酸マグネシウム水溶液336.68gを反応器に添加した。85%リン酸89.2g、および40%Nalco2327シリカゾル46.31gを激しく攪拌しながら添加した。温度を103〜105℃に上昇させ、反応混合物を体積が約200mlに低下するまで加熱した。この濃縮工程は、所望の触媒密度を得るためには必須である。反応混合物を室温まで冷却し、さらにNalco2327シリカゾル262.56gをスラリーに添加した。スラリーを約16時間粉砕し、乾燥し、935℃にて2時間焼成した。
【0036】
一般に、改質触媒とも称される改質Mn−P触媒は、Ca、K、Mo、Fe、Znのような様々な金属をこれらの可溶性塩水溶液から、200℃で予め乾燥された触媒に導入するための湿潤含浸方法を用いて、調製した。湿潤含浸後、2つの異なる温度である850℃および935℃にて、空気中で2時間焼成した。
【実施例1】
【0037】
次の手順を用いて亜鉛改質触媒を調製した。式Zn(NO・6HOを有する硝酸亜鉛1gを水9mlに溶解させた。溶液を乾燥触媒材料20gに攪拌下で添加した;得られた材料を110℃で乾燥させた。乾燥材料を2つに分割した。この一方を850℃にて2時間焼成した。他方を935℃で2時間焼成した。触媒は次の式を有していた:Mn1.25Zn0.046/50%SiO
【実施例2】
【0038】
Mo改質触媒は次の手順を用いて調製した。(NHMo2410gを20mlの水に溶解させた。溶液を乾燥触媒20gに攪拌下で添加した;得られた材料を110℃で乾燥した。乾燥材料を2つに分割した。この一方を850℃で2時間焼成した。他方を935℃で2時間焼成した。触媒は次の式を有していた:Mn1.25Mo0.81/50%SiO
【実施例3】
【0039】
次の手順を用いてカリウム改質触媒を調製した。リン酸水素カリウム0.53gを10mlの水に溶解させた。溶液を乾燥触媒材料20gに攪拌下で添加した;得られた材料を110℃で乾燥した。乾燥材料を2つに分割した。この一方を850℃で2時間焼成した。他方を935℃で2時間焼成した。触媒は次の式を有していた:Mn1.250.036/50%SiO
【実施例4】
【0040】
次の手順を用いて亜鉛改質触媒を調製した。式Zn(NO・6HOを有する硝酸亜鉛2.7gを8mlの水に溶解させた。溶液を乾燥触媒材料20gに攪拌下で添加した;得られた材料を110℃で乾燥した。乾燥材料を2つに分割した。この一方を850℃で2時間焼成した。他方を935℃で2時間焼成した。触媒は次の式を有していた:Mn1.25Zn0.14/50%SiO
【実施例5】
【0041】
次の手順を用いてカルシウム改質触媒を調製した。式Ca(NO・4HOを有する硝酸カルシウム1gを8mlの水に溶解させた。溶液を乾燥触媒材料20gに攪拌下で添加した;得られた材料を110℃で乾燥した。乾燥材料を2つに分割した。この一方を850℃で2時間焼成した。他方を935℃で2時間焼成した。触媒は次の式を有していた:Mn1.25Ca0.14/50%SiO
【0042】
触媒性能試験
全てのサンプルをメタノールアンモ酸化反応にて試験した。全ての試験は、3/8インチのステンレススチール製流動床管反応器にて行なった。試験性能データを表1に示す。
【0043】
メタノール転化率(XCH3OH)は次の式を用いて計算した:
CH3OH=l−[CHOH]out/([CHOH]out+[CO]out+[COout+[HCN]out)×l00%、
式中、[CHOH]out、[CO]out、[COout、[HCN]outは、反応器流出液における濃度(体積%)である。
【0044】
シアン化水素選択率(SHCN)を、次の式を用いて計算した:
HCN=[HCN]out/([CO]out+[COout+[HCN]out)×l00%。
【0045】
シアン化水素収率(YHCN)を次の式を用いて計算した:
HCN=(mol[HCN]formed/mol[CHOH]in feed)×100%
【0046】
W/F g・s/(STP ml)は接触時間であり、式中Wは触媒重量であり;Fはガスの総入口供給物である。
【0047】
【表2】

【0048】
プロモーターK、Ca、Mo、Zn、およびFeを、U.S.Patent 4,457,905に記載の触媒の性能を改善するために添加した。KおよびCaで構成された触媒はHCNに対して良好な選択率を有し、結果としてHCN収率が非改質触媒よりも2〜3%高い。Moで改質した触媒は、非改質触媒よりも非常に高い活性を有し、所与のメタノール供給物に使用されるべきより少量の触媒を必要とする。Zn改質触媒は、非改質触媒よりも高い活性および選択率を有し、供給物に使用されるべき触媒を減らすことができ、メタノールの高い転化率を維持し、非常に高いHCN収率をもたらす。
【0049】
商業的用途では、ほぼ完全に近いメタノール転化率を有することが重要である。Zn−改質Mn−P触媒の高い活性は、U.S.Patent 4,457,905に開示された場合より供給物中のメタノール濃度を高くできるという理由から、非改質触媒よりも有利である。本発明では、実施例の全てについて、U.S.Patent 4,457,905に記載される非改質Mn−P触媒のHCN選択率を増大させるために使用した蒸気の添加を行なわずに試験した。収率を増大させるための蒸気を必要としないことは、本発明による改質Mn−P触媒の別の利点を提供する。
【0050】
以前の触媒とは異なり、本発明に従う改質Mn−P触媒は、ニトリルまたはニトリルおよびアルコールの混合物のような、反応器に好適な広範囲の供給物と共に使用できる。Fe−改質Mn−P触媒は、プロピオニトリル供給物に関して、非改質触媒よりも非常に良好な性能を与える。次の実施例は、ニトリル供給物としてプロピオニトリル(PN)を含んで行なった。
【0051】
ニトリル供給物を用いる実施例
重量で50:50のメタノールおよびプロピオニトリル(PN)供給物を、Feで改質したU.S.Patent 4,457,905に記載される触媒を含む反応器に供給した。50/50メタノール/PNは、純粋なメタノールとほぼ同じ収率、即ち約70〜72%でHCNに転化されることを見出した。PNの転化率は、本質的に100%であり、HCNに加えて、生成物流はCO、CO、および微量不純物を含有する。
【0052】
純粋なPN供給物を用いる場合、純粋なMn−P触媒では、350〜450℃の範囲にてPNからHCNを製造することはほぼ不可能であるが、鉄改質Mn−P触媒では、350℃であっても約50%のHCN収率(Cを基準に計算)を与えることを見出した。
【0053】
本発明を好ましい実施形態に関して開示したが、次の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の追加変更および変形を行なうことができることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールまたはニトリルまたはアルコールおよびニトリル混合物の供給物をシアン化水素にするアンモ酸化方法であって、
次の実験式を有する改質されたMn−P触媒の存在下にて反応区域にアンモニアおよび酸素と共に前記供給物を通過させることを含む、方法、
Mn
(式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である)。
【請求項2】
触媒が担体上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体がTiO、AlおよびSiOからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
担体がSiOである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコール供給物がメタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素が空気として供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ニトリル供給物がプロピオニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
A=Feである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記改質Mn−P触媒が触媒流動床として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アルコールまたはニトリルまたはアルコールおよびニトリル混合物の供給物をシアン化水素にするアンモ酸化用の触媒であって、次の実験式を有する触媒、
Mn
(式中、A=K、Ca、Mo、Zn、Feのうちの1つまたはそれ以上またはこれらの混合物;a=1〜1.5;b=0.01〜1.0、ならびにxは存在する他の元素の酸化状態によって決定される酸素原子総数である)。
【請求項11】
前記触媒が担体上にある、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
担体がTiO、AlおよびSiOからなる群から選択される、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
担体がSiOである、請求項12に記載の触媒。

【公表番号】特表2010−531290(P2010−531290A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514772(P2010−514772)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/007818
【国際公開番号】WO2009/002482
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509354042)アセンド・パフオーマンス・マテリアルズ・エル・エル・シー (1)
【Fターム(参考)】