説明

シェルが多孔質及び/又は親水性であるマイクロ粒子を有する建材用添加剤混合物

本発明は、多孔質及び/又は親水性のシェルを有するポリマー性マイクロ粒子を、水硬性の建材混合物において、その凍結変化耐久性もしくは凍結融解変化耐久性の改善のために用いる使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー性マイクロ粒子を、水硬性の建材混合物において、その凍結耐久性もしくは凍結融解耐久性の改善のために用いる使用に関する。
【0002】
重要な建材としてのコンクリートは、DIN1045(07/1988)によれば、セメントと、コンクリート骨材と、水と、場合によりコンクリート混和剤及びコンクリート混和材とから、硬化によって生成する人造石として定義されている。コンクリートは、とりわけ強度群(BI−BII)及び強度等級(B5−B55)で分類されている。ガス発生物質もしくは気泡形成物質を混加した場合に、多孔質コンクリートあるいは発泡コンクリートが生成する(Roempp Lexikon,第10版(1996年)、Georg Thieme出版)。
【0003】
コンクリートは、2つの時間依存性の特性を有する。まず第一に、該コンクリートは、乾燥によって、収縮と呼ばれる体積低下を受ける。しかしながら、大部分の水は、結晶水として結合される。コンクリートは乾燥せずに硬化する。すなわち、まず流動性のあるニートセメント(セメントと水)は、セメントと水との化学的・鉱物学的反応、つまり水和の時点と経過に応じて、硬化し始め、硬直になり、最後に強固になる。セメントの水結合能によって、コンクリートは、生石灰の存在下で、また水のもとで硬化し、強固となりうる。第二に、コンクリートは、負荷、いわゆるクリープ下で変形する。
【0004】
凍結融解変化は、水の凝固点付近での気候的な温度変化を指す。特に、鉱物的に結合された建材、例えばコンクリートの場合には、凍結融解変化は、損害的機構である。これらの材料は、多孔質の毛管構造を有し、水密ではない。水を染み込ませた係る構造を0℃未満の温度に晒すと、水はその空隙中で凍結する。水の密度異常によって、ここでは氷が拡大する。それによって、建材の損害がもたらされる。非常に微細な空隙中で、表面効果に基づき、凝固点の低下がもたらされる。マイクロ孔中で、水は−17℃未満ではじめて凍結する。凍結融解変化によって該材料自体は拡大しかつ収縮するので、付加的に、毛管ポンプ作用が引き起こされ、吸水が高まり、それにより間接的に損害は更に大きくなる。従って、その損害については、凍結融解変化の回数は決定的である。
【0005】
同時に融解剤を作用させた場合での、凍結と凍結融解変化に対するコンクリートの耐久性については、その構造物の密度と、マトリクスの所定の強度と、所定の空隙構造の存在とが決定的である。セメント結合コンクリートの構造物には、毛細管空隙(直径:2μm〜2mm)もしくはゲル空隙(直径:2〜50nm)が通っている。その中に含まれる間隙水は、空隙直径に依存して、その状態において異なる。毛細管空隙中の水は、その通常の特性を維持する一方で、ゲル空隙においては、凝結水(メソ孔:50nm)と吸着結合された表面水(マイクロ孔:2nm)に分類され、それらの凝固点は、例えば−50℃よりはるか低いことがある[M.J.Setzer,Interaction of water with hardened cement paste,"Ceramic Transactions" 16(1991)415−39]。その結果として、コンクリートを低温冷却した場合にも、一部の間隙水は未凍結のままとなる(準安定水)。しかしながら、同じ温度の場合に、氷についての蒸気圧は、水についての蒸気圧よりも低い。氷と準安定水は、同時に並存するので、蒸気圧勾配が生じ、こうして、まだ液状の水が氷へと拡散して、それが氷を形成し、それにより小さい方の空隙からは脱水が起こり、あるいは大きい方の空隙においては着氷が起こる。冷却の結果として起こる前記の水の再分配は、それぞれの空隙系で起こり、空隙分布の種類に決定的に依存している。
【0006】
従って、コンクリート中に微細な空気孔を人為的に導入することで、第一には、膨張する氷と氷水のための、いわゆる応力緩和空間がもたらされる。この空隙において、凍結した間隙水は膨張し、あるいは氷及び氷水の内圧と応力は吸収されるので、微細亀裂が形成されることはなく、それによりコンクリートの凍結損傷が引き起こされることはない。係る空気孔システムの原理的な作用様式は、コンクリートの凍結損傷の機序に関して、多くの概要に記載されている[Schulson,Erland M.(1998)Ice damage to concrete.CRREL Special Report 98−6;S.Chatterji,Freezing of air−entrained cement−based materials and specific actions of air−entraining agents,"Cement & Concrete Composites"25(2003)759−65;G.W.Scherer,J.Chen & J.Valenza,Methods for protecting concrete from freeze damage,米国特許第6,485,560号B1(2002);M.Pigeon,B.Zuber & J.Marchand,Freeze/thaw resistance,"Advanced Concrete Technology"2(2003)11/1−11/17;B.Erlin & B.Mather,A new process by which cyclic freezing can damage concrete − the Erlin/Mather effect,"Cement & Concrete Research"35(2005)1407−11]。
【0007】
凍結融解変化におけるコンクリートの改善された耐久性のための必要条件は、セメント石における各ポイントと人為的な空気孔との距離が所定の値を超えないことである。前記の間隔は、間隔係数とも、又は"パワーズの間隔係数"とも呼称される[T.C.Powers,The air requirement of frost−resistant concrete,"Proceedings ofthe Highway Research Board"29(1949)184−202]。研究室での調査によって、その際、臨界的な"パワーズの間隔係数"500μmを超過すると、凍結融解変化に際してコンクリートに損害が引き起こされることが示された。限られた空気孔率でそれを達成するためには、従って、人為的に導入された空気孔の直径が200〜300μm未満でなければならない[K.Snyder,K.Natesaiyer & K.Hover,The stereological and statistical properties of entrained air voids in concrete:A mathematical basis for air void Systems characterization "Materials Science of Concrete" VI (2001)129−214]。
【0008】
人為的な空気孔システムの形成は、骨材の組成と適合性、セメントの種類と量、コンクリートコンシステンシー、使用されるミキサ、混合時間、温度に決定的に依存するが、また空気孔形成剤の種類と量にも依存する。相応の製造規則を考慮することで、その影響を抑制することはできるものの、多数の不所望な障害がもたらされることがある。この結果として、コンクリート中の所望の空気含有率を超過もしくは下回ることがあり、従ってコンクリートの強度もしくは凍結耐久性に悪影響が及ぼされる。
【0009】
係る人為的な空気孔は、直接的に配分することはできず、いわゆる空気孔形成剤の添加によって、混合によって連行された空気が安定化される[L.Du & K.J.Folliard,Mechanism of air entrainment in concrete "Cement & Concrete Research" 35(2005)1463−71]。商慣習の空気孔形成剤は、大抵は、界面活性剤様の構造であり、混合によって導入された空気を、300μmよりできる限り小さい直径を有する小さい気泡へと破壊し、これらを湿ったコンクリート構造物中で安定化する。その際、2つの種類で区別される。
【0010】
一方の種類は、例えばオレイン酸ナトリウム、アビエチン酸のナトリウム塩もしくはVinsol樹脂、松根からの抽出物であるが、それらは、ニートセメントにおける細孔溶液の水酸化カルシウムと反応し、不溶性のカルシウム塩として沈殿する。これらの疎水性の塩は、水の表面張力を低下させて、セメント粒子、空気及び水の間の界面に集まる。前記塩は、微細な気泡を安定化するので、硬化済みコンクリートにおいて、この空気孔の表面上に観察される。
【0011】
もう一方の種類は、例えばラウリル硫酸ナトリウム(SDS)もしくはドデシルフェニルスルホン酸ナトリウムであるが、それらは、前記のものに対して、水酸化カルシウムと可溶性のカルシウム塩を形成するが、異常な溶解挙動を示す。ある臨界温度未満で、この界面活性剤は、非常に低い可溶性を示し、この温度より高い温度で、非常に良好な溶解性を示す。空気と水との界面層への好ましい集積によって、これらは同様に表面張力を低下させるので、微細な気泡を安定化し、好ましくは硬化済みのコンクリートにおいて前記の空気孔の表面上に観察される。
【0012】
技術水準による前記の空気孔形成剤の使用に際して、多くの問題が生ずる[L.Du & K.J.Folliard,Mechanism of air entrainment in concrete "Cement & Concrete Research" 35(2005)1463−71]。例えば、より長い混合時間、種々のミキサ回転数、レディミックスコンクリートでの配量順序の変更によって、(空気孔中で)安定化された空気が再び追い出されるということが引き起こされることがある。
【0013】
延長された輸送時間と、粗悪な温度調節と、種々のポンプ装置及び搬送装置でのコンクリートの輸送と、並びに前記のコンクリートの打ち込みと、それに付随する変更された後加工、振動挙動及び温度条件は、予め調整された空気孔含有率を大きく変更させることがある。それは、最悪の場合には、該コンクリートが、規定の暴露等級(Expositionsklasse)の必要な限界値をもはや満たさず、従って使用不能になっていることを意味することがある[EN 206−1 (2000),Concrete − Part 1:Specification,performance,production and conformity]。
【0014】
コンクリート中の微細物質(例えば、種々のアルカリ含量を有するセメント、フライアッシュ、シリカ粉もしくは着色添加剤などの混和材)の含分は、同様に空気孔形成を損ねる。また、消泡作用を有する流動剤との相互作用が生ずるため、空気孔が追い出されることもあるが、また追加的に制御されずに導入されることもある。
【0015】
空気孔の導入の欠点として、更に、コンクリートの機械的強度が空気含分の増大に伴い低下することが確認されるべきである。
【0016】
凍結耐久性のコンクリートの製造を困難にする前記の全ての影響を回避できるのは、必要な空気孔システムが、前記の界面活性剤様の空気孔形成剤によって生成されず、空気含量がポリマー性のマイクロ粒子(マイクロ中空球)の混加もしくは固体配量によって由来する場合である[H.Sommer,A new method of making concrete resistant to frost and de−icing salts,"Betonwerk & Fertigteiltechnik" 9(1978)476−84]。マイクロ粒子は大抵は、100μm未満の粒度を有するので、コンクリート構造物中では、人為的に導入された空気孔よりも微細にかつ一様に分布することができる。それによって、コンクリートの凍結融解変化に対する十分な耐久性のためには少量でも十分である。
【0017】
コンクリートの凍結融解変化耐久性の改善のための係るポリマー性マイクロ粒子の使用は、既に技術水準に相応して知られている[DE2229094号A1、US4,057,526号B1、US4,082,562号B1、DE3026719号A1を参照]。そこに記載されるマイクロ粒子は、少なくとも10μm(通常は明らかにより大きい)の直径を有し、空気あるいはガスで充填された中空空間を有する。それは、同様に、100μmより大きくてよく、多くのより小さい中空空間及び/又は細孔を有してよい多孔質粒子を含む。
【0018】
コンクリート中への人為的な空気孔形成のために中空なマイクロ粒子を使用する場合に、前記の市場に出回る技術を実施するには、2つの要因が欠点であると見なされる。比較的多量の配量によってのみ、コンクリートの凍結融解変化に対する満足のいく耐久性を達成できるに過ぎない。従って、本発明の課題は、水硬性の建材混合物のための凍結耐久性もしくは凍結融解変化耐久性の改善のための手段であって、比較的少量の配量であってもその完全な作用が展開されるものを提供することであった。前記課題の構成要素は、前記の手段の完全な作用が建材混合物の硬化直後に生じうることであった。
【0019】
前記課題は、ポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子を水硬性の建材混合物中で用いる使用であって、マイクロ粒子が透水性シェルを有することを特徴とする使用によって解決された。このことは、特に、マイクロ粒子のシェルが多孔質であり、かつ/又は親水性基を有することによって達成される。
【0020】
透水性シェルによって、まずマイクロ粒子内に取り囲まれた水は非常に迅速に抜け出るので、硬化の極めて直後でさえも、建材混合物についての良好な凍結変化あるいは凍結融解変化耐久性を達成できる。
【0021】
シェルが、酸基、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基及び/又はシアノ基を有するモノマー及び/又は前記モノマーの混合物を含むマイクロ粒子が特に好ましいことが判明した。好ましくは、前記モノマーは、0.3〜20質量%(シェルのモノマー混合物に対して)の量で使用される;特に0.5〜10質量%が好ましい。最も好ましいのは、0.8〜5質量%の量である。
【0022】
前記の官能基を有するモノマーをシェル中で使用すると、それによって高められた透水性を有するマイクロ粒子が得られることが判明した。
【0023】
多孔質シェルを有する粒子を製造するための方法は、文献に記載されている(例えばUS5,510,422号、EP0467646号)。
【0024】
"多孔質シェル"とは、本発明の範囲では、少なくとも1つのチャネルがシェルを通じて存在し、前記チャネルが粒子の中空コアを粒子の周囲と結びつけていることを表す。
【0025】
例えば、かかるマイクロ粒子のシェルは、Rohm&Haasの方法によれば、カルボン酸基もしくは無水物基を、10モル%未満の量で、好ましくは5%未満の量で含有し、その際、前記のシェル中の量は、少なくともコア中の量の三分の一未満であることが望ましい。こうして製造された粒子の膨潤に際して、構造の制御された"爆発"がもたらされ、コア中に生じた圧力は減じられ、それによって少なくとも1つのチャネルがコアからシェルを通じて外側へと形成される。
【0026】
本発明によるマイクロ粒子は、好ましくは乳化重合によって製造することができ、かつ好ましくは100〜5000nmの平均粒度を有し、特に好ましくは、200〜2000nmの平均粒度である。最も好ましくは、250〜1000nmの平均粒度である。
【0027】
平均粒度の測定は、例えば透過型電子顕微鏡像をもとに統計学的に有意な量の粒子を計数することによって行われる。
【0028】
乳化重合による製造に際して、マイクロ粒子は、水性分散液の形で得られる。相応して、マイクロ粒子を建材混合物へと添加することは、好ましくは、同様に前記の形で行われる。
【0029】
係るマイクロ粒子は、技術水準に相応して既に公知であり、かつ刊行物EP22633号B1、EP73529号B1並びにEP188325号B1に記載されている。更に、このマイクロ粒子は、Rohm&Haas社から商品名ROPAQUE(登録商標)として市販されている。前記製品は、今までは主に、紙、厚紙及び他の材料への塗被もしくは印刷の隠蔽性及び不透明度(乳白度)の改善のためにインキ及び染料で使用されていた。
【0030】
その製造に際して、分散液においては、該マイクロ粒子の中空空間は水で満たされている。前記粒子は、建材混合物の硬化時と硬化後に少なくとも部分的に水が失われ、その後にガス充填もしくは空気充填された中空球が存在することで、建材混合物における凍結変化あるいは凍結融解変化耐久性の向上のための前記作用を発揮する。
【0031】
本発明によるシェルは、コアから水が迅速に出ていくことを可能にするので、そのマイクロ粒子の作用は迅速に生じうる。
【0032】
硬化後に非常に迅速に凍結/融解負荷に晒される建材混合物の場合には、本発明による利点は、とりわけ、サンプルの表面上での目に見える凍結損害についての定性的評価を表す耐候性係数(Abwitterungsfaktor)で明らかになる。
【0033】
シェルが含まれる水の抜けだしを阻む(本発明によるシェルと比較して)マイクロ粒子と比較して、コンクリートサンプルは、本発明によるマイクロ粒子によって明らかに障害表面が少ないことを示している。
【0034】
好ましい一実施態様によれば、使用されるマイクロ粒子は、1つのコア(A)と、少なくとも1つのシェル(B)とを有するポリマー粒子からなり、その際、該コア/シェル型ポリマー粒子は塩基によって膨潤させた。
【0035】
粒子のコア(A)は、該コアの膨潤を可能にする1つ以上のエチレン性不飽和カルボン酸(誘導体)モノマーを含有する;前記モノマーは、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びクロトン酸並びにそれらの混合物の群から選択される。アクリル酸及びメタクリル酸が特に好ましい。
【0036】
エチレン性不飽和カルボン酸(誘導体)モノマーは、好ましくは、コア中のモノマーの全質量の20質量%より多くの量で使用される;特に、33質量%より多いことが好ましい。
【0037】
好ましくは、コアの不飽和カルボン酸(誘導体)モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びクロトン酸並びにそれらの混合物の群から選択される化合物からなる。
【0038】
シェル(B)の形成のためのモノマーとしては、本発明による特性をもたらすモノマーに加えて、特にスチレン、ブタジエン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C12−アルキルエステルが使用される。
【0039】
前記のポリマー性マイクロ粒子の乳化重合による製造と、例えばアルカリもしくはアルカリ金属水酸化物並びにアンモニアもしくはアミンなどの塩基によるその膨潤は、同様に、欧州特許文献EP22633号B1、EP73529号B1並びにEP188325号B1に記載されている。
【0040】
それは、コア・シェル型の粒子であって単一シェルもしくは多重シェルで構成され又はそのシェルがグラジエントを有する粒子であってよい。前記シェルは、本発明によれば、親水性基を有するモノマーをシェル中で使用することによって特に透水性に調整される。前記シェルは、好ましくは多孔質である。
【0041】
使用されるマイクロ粒子のポリマー含有率は、直径及び含水率に依存して、2〜98質量%であってよい。
【0042】
分散液の製造及び貯蔵のために必要な乳化剤は、最小限に低減されることが望ましい。それというのも、乳化剤は、必然的にマイクロ粒子と一緒に建材混合物中に導入されるからである。しかしながら、前記の界面活性剤の含有率が高すぎると、他方で建材混合物中への空気連行が生じ、ここで、凍結融解剤耐久性がその添加剤によって既に達成されるので、コンクリートの機械的強度を弱める負の作用を有するのみである。
【0043】
ポリマーの全質量に対して、1.5質量%未満の界面活性剤含有率が好ましく、特に、0.8質量%未満の含有率が好ましく、0.4質量%未満の含有率が最も好ましい。
【0044】
本発明によれば、水充填されたポリマー性マイクロ粒子は、水性分散液の形で使用される。
【0045】
本発明の範囲においては、容易に、水充填されたマイクロ粒子を建材混合物に固体として直接的に添加することが可能である。そのために、マイクロ粒子は、例えば前記のように、凝集され、かつ通常の方法(例えば濾過、遠心分離、沈殿及び傾瀉)によって水性分散液から単離され、引き続き粒子は乾燥させられる。
【0046】
水充填されたマイクロ粒子は、建材混合物に、0.01〜5容量%、特に0.1〜0.5容量%の好ましい量で添加される。建材混合物は、例えばコンクリートもしくはモルタルの形であり、この場合に、通常の水硬性の結合剤、例えばセメント、石灰、石膏もしくは硬石膏を含有してよい。
【0047】
水充填されたマイクロ粒子の使用による主たる利点は、コンクリートへの極めて少ない空気連行しか行われないということにある。それによって、明らかに改善されたコンクリートの圧縮強さが達成される。これらは、従来の空気孔形成で得られたコンクリートの圧縮強さよりも約25〜50%高い。従って、実質的により低い水/セメント値(W/Z値)によってしか達成できない強度クラスを達成することができる。しかしながら、他方では、低いW/Z値は、コンクリートの加工性を事情によっては明らかに制限する。
【0048】
更に、より高い圧縮強さは、結果として、コンクリート中で強度発揮に必要なセメントの含量を低減できるので、1m3あたりのコンクリートの価格が明らかに低下することになりうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子を水硬性の建材混合物中に用いる使用であって、マイクロ粒子が透水性シェルを有することを特徴とする使用。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子のシェルが、多孔質であり、かつ/又は親水性の基を有することを特徴とする使用。
【請求項3】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子のシェルが、親水性基を有するモノマーを含有することを特徴とする使用。
【請求項4】
請求項3に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子のシェルが、酸基、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基及び/又はシアノ基を有するモノマー及び/又は前記モノマーの混合物を含有することを特徴とする使用。
【請求項5】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子のシェルが多孔質であることを特徴とする使用。
【請求項6】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、水性塩基によって膨潤された、1つ以上の不飽和カルボン酸(誘導体)モノマーを含有するポリマーコア(A)と、主に非イオン性のエチレン性不飽和モノマーからなるポリマーシェル(B)とを含有するポリマー粒子からなることを特徴とする使用。
【請求項7】
請求項6に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、不飽和カルボン酸(誘導体)モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びクロトン酸の群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項8】
請求項6に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、非イオン性のエチレン性不飽和モノマーが、スチレン、ブタジエン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C12−アルキルエステルからなることを特徴とする使用。
【請求項9】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、2〜98質量%のポリマー含有率を有することを特徴とする使用。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、100〜5000nmの平均粒度を有することを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項10に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、200〜2000nmの平均粒度を有することを特徴とする使用。
【請求項12】
請求項11に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、250〜1000nmの平均粒度を有することを特徴とする使用。
【請求項13】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、建材混合物に対して、0.01〜5容量%の量で使用されることを特徴とする使用。
【請求項14】
請求項13に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、マイクロ粒子が、建材混合物に対して、0.1〜0.5容量%の量で使用されることを特徴とする使用。
【請求項15】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、建材混合物が、セメント、石灰、石膏及び硬石膏の群から選択される結合剤からなることを特徴とする使用。
【請求項16】
請求項1に記載のポリマー性の中空空間を有するマイクロ粒子の使用であって、建材混合物がコンクリートもしくはモルタルであることを特徴とする使用。

【公表番号】特表2009−527446(P2009−527446A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555731(P2008−555731)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050903
【国際公開番号】WO2007/096233
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】