説明

シェルタ

【課題】収容物の積み下ろしが容易なシェルタを提供する。
【解決手段】シェルタ100は、収容物の荷重を支える荷重支持面を有する水平支持部と水平支持部の荷重支持面と略直角に位置する荷重支持面を有する垂直支持部とを備える垂直回転台150と、水平支持部の荷重支持面及び垂直支持部の荷重支持面の双方に平行な軸を回転軸に、垂直回転台150を垂直回転させて、収容物の荷重を水平支持部の荷重支持面から垂直支持部の荷重支持面に移行させる回転機構と、を備えている。このとき、荷重支持面が水平に位置するときの垂直支持部の荷重支持面の高さと、荷重支持面が水平に位置するときの水平支持部の荷重支持面の高さは異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等の収容物を安全に運ぶ技術が求められている。特許文献1や2には、トラックの荷台に搭載され、収納部がトラックの左右に展開可能な移動シェルタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210374号公報
【特許文献2】特開2004−210376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や2のシェルタは、収容物を積み下ろしする際に、いちいちトラックの荷台に上って収納部を左右方向に展開しなければならず、収容物の積み下ろしが困難である。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、収容物の積み下ろしが容易なシェルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシェルタは、
収容物の荷重を支える荷重支持面を有する第1の支持部と、前記第1の支持部の荷重支持面と略直角に位置する荷重支持面を有する第2の支持部と、を備える垂直回転台と、
前記第1の支持部の荷重支持面及び前記第2の支持部の荷重支持面の双方に平行な軸を回転軸に、前記垂直回転台を垂直回転させて、前記収容物の荷重を前記第1の支持部の荷重支持面から前記第2の支持部の荷重支持面に移行させる回転機構と、を備え、
前記第2の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第2の支持部の荷重支持面の高さと、前記第1の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第1の支持部の荷重支持面の高さは異なる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収容物の積み下ろしが容易なシェルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るシェルタの概要を説明するための図であり、(A)は荷台の側面にあおり板のあるトラックを示す図、(B)はトラックの荷台にシェルタを搭載した様子を示す図、(C)はシェルタのスライド台をスライドさせた様子を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシェルタの概要を説明するための図であり、(A)はシェルタから後方パネルを取り除いてみた図、(B)は垂直回転台を左右方向に展開した様子を示す図、(C)は垂直回転台を垂直回転させた様子を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシェルタの構成を説明するための図であり、(A)は後方パネルを閉じたシェルタの斜視図、(B)はスライド台を後方にスライドさせたときのシェルタの斜視図、(C)は後方パネルを取り除いたときのシェルタの斜視図である。
【図4】スライド台の構成を説明するための図であり、(A)はスライド台の斜視図、(B)はスライド台を後方から見た図、(C)はスライド台の上方から見た図である。
【図5】制動機構の構成を説明するための図であり、(A)は制動機構の配置を説明するための図、(B)は制動機構の側面図、(C)は制動機構が備える車輪を説明するための図である。
【図6】スライドロック機構の構成を説明するための図であり、(A)は制動機構の斜視図、(B)はプランジャーが押圧される前の図、(C)はプランジャーが押圧された後の図である。
【図7】垂直回転台の構成を説明するための図であり、(A)は垂直回転台の斜視図、(B)は垂直回転させる前の垂直回転台を示す図、(C)は垂直回転させた後の垂直回転台を示す図である。
【図8】スライド回転機構を説明するための図であり、(A)はスライド回転機構の内部構造を示す図、(B)はスライド回転機構を上方から見た図である。
【図9】回転体回転機構を説明するための図であり、(A)は回転体回転機構の内部構造を示す図、(B)はラチェットレンチを挿入する挿入穴を説明するための図である。
【図10】シェルタの動作を説明するための図であり、(A)はスライド台が後方にスライドする様子を示す図、(B)は垂直回転台が左右方向にスライドする様子を示す図である。
【図11】シェルタの動作を説明するための図であり、(A)は垂直回転する前の垂直回転台を示す図、(B)は垂直回転台が垂直回転する様子を示す図、(C)は垂直回転した後の垂直回転台を示す図である。
【図12】自走抑制機構の構成を説明するための図であり、(A)は自走抑制機構を後方から見た図、(B)は自走抑制機構を上方から見た図である。
【図13】自走抑制機構の動作を説明するための図であり、(A)は棒状体が上側に持ち上がった様子を示す図、(B)は棒状体がバネの力で強制的に下がった様子を示す図、(C)は棒状体が嵌合穴に嵌まり込んだ様子を示す図である。
【図14】シェルタの変形例を説明するための図であり、(A)は垂直回転前の垂直回転台を後方向から見た図、(B)は垂直回転後の垂直回転台を後方向から見た図である。
【図15】シェルタの変形例を説明するための図であり、(A)は垂直回転台が垂直回転する前の図、(B)は垂直回転台が垂直回転した後の図である。
【図16】シェルタの変形例を説明するための図であり、(A)は垂直支持部の端部に回転軸がある垂直回転台を説明するための図、(B)は水平支持部の中央に回転軸がある垂直回転台を説明するための図、(C)は垂直回転台と回転軸との関係を説明するための図である。
【図17】スライド台の一方の側にのみ制動機構を設置した様子を示す図である。
【図18】垂直回転台に電気機器を設置した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
本発明の実施形態に係るシェルタ100は、ダンボールや電気機器等の収容物を内部に格納し、収容物を外部からの衝撃から保護しつつ、トラック等で安全に運搬するための格納体である。最初に、図1と図2を参照して、シェルタ100の概要を説明する。
【0011】
シェルタ100は、例えば図1(A)に示すような側面にあおり板を有するトラックの荷台に、例えば図1(B)に示すように、後方パネル112をトラックのリア側に向けて搭載される。シェルタ100は、図1(C)に示すように、トラックのリア側にスライドするスライド台120を有している。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、シェルタ100をトラックの荷台に搭載したときの、フロント側を「前方向」、リア側を「後方向」、左側を「左方向」、右側を「右方向」、上側を「上方向」、下側を「下方向」と呼ぶ。
【0012】
図2(A)〜図2(C)は、シェルタ100の動作を理解容易にするため、シェルタ100から後方パネル112を取り除いたものである。スライド台120の上には、図2(A)に示すように、4つの垂直回転台150が設置されている。垂直回転台150の上にはそれぞれダンボール等の収容物が搭載されている。垂直回転台150は図2(B)に示すようにトラックの左右方向にスライド可能に構成されている。垂直回転台150は、図2(C)に示すように、90°垂直回転して収容物を低い位置に移動できるよう構成されている。そのため、作業者は収容物を低い位置から容易に積み下ろしできる。
【0013】
以下、シェルタ100の構成について詳細に説明する。
【0014】
シェルタ100は、図3(A)〜図3(C)に示すように、シェルタ本体110と、スライド台120と、スライド機構130と、垂直回転台150と、スライド回転機構160とから構成される。
【0015】
シェルタ本体110は、収容物を衝撃等から保護するための外殻である。シェルタ本体110は、図3(A)に示すように、筐体部111と、後方パネル112とから構成される。
【0016】
筐体部111は、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維(カーボンナノチューブ)複合素材等の硬質素材から構成される。筐体部111は、図3(B)に示すように、トラック後方側が開口した、例えば、直方体状の筐体である。
【0017】
後方パネル112は、硬質素材で構成される板状体である。後方パネル112は、スライド台120のスライド方向の端部に接続されており、スライド台120を筐体部111の内部にスライドさせたときに、図3(A)に示すように、筐体部111の開口を塞ぐよう構成されている。
【0018】
スライド台120は、筐体部111の内部に収容物をスライドさせるための荷台である。スライド台120は、例えば、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維複合素材等の荷重に対して変形しにくい高強度の材質の骨格を組み合わせて構成される。スライド台120の上には、図3(C)に示すように、4つの垂直回転台150が設置されている。スライド台120は、図4(A)に示すように、上下方向に薄い直方体状をしている。
【0019】
スライド機構130は、筐体部の内部又は外部にスライド台120を水平移動させるための機構である。スライド機構130は、図4(B)に示すように、スライドレール131と、制動機構132とから構成される。
【0020】
スライドレール131は、例えば、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維複合素材等の高強度の材質で構成された棒状体である。スライドレール131は、スライド台120の左右方向の両方の側面に設置されている。スライドレール131は、図4(A)に示すように、長手方向を前後方向に向けて設置されている。スライドレール131は、図4(C)に示すように、車輪132aがレール上を回転するよう構成されている。スライド台120は車輪が回転することによってスライドレール131に沿って前後方向にスライドする。
【0021】
制動機構132は、スライド台120の自重でスライド台120が勢いよくスライドすること(以下、「自走」という。)を防止するための機構である。制動機構132は内部に大小複数の歯車が格納されたギアボックスから構成される。制動機構132は、大小の歯車の歯数の比(以下、「ギア比」という。)によって、例えば車のエンジンブレーキのように、大きな制動力を発生させる。制動機構132は、図5(A)に示すように、筐体部111の開口の左右下側にそれぞれ設置されている。制動機構132は、図5(B)に示すように、車輪132aとスライドロック機構140とを有している。
【0022】
車輪132aは、図5(C)に示すように、周面の両端部にフランジが設置された円柱体である。車輪132aは、その一部が制動機構132の外殻から突出する形で設置されている。車輪132aは、フランジでスライドレール131を挟み込むように、回転軸を上下方向に向け設置されている。車輪132aの周面には、スライドレール131との摩擦係数を高めるための高摩擦体(例えば、ゴムやシリコン等)が設置されている。また、車輪132aの回転軸には、車輪132aと平行に歯車132bが設置されている。この歯車132bは、制動機構132内部で別の歯車と噛み合わされている。制動機構132の内部では車輪132aに制動力が働くよう大小複数の歯車が組み合わされている。そのため、スライド台120に対して後方向に大きな力が働いても、スライド台は制動機構132の制動力によって、所定の速度以下でしかスライドしないようになっている。
【0023】
スライドロック機構140は、制動機構132内部の歯車の回転を停止させて、スライド台のスライド(自走)をロックするための機構である。スライドロック機構140は、図6(A)に示すように、制動機構132の外殻から後方向に突出した円筒部141と、円筒部141の軸方向に直角に差し込まれたプランジャー142とから構成される。プランジャー142は、図6(B)に示すように、先端に取手がついた棒状体である。先端の取手をつかんで水平方向に90°回転させることによって、プランジャー142のロックが解除され、棒状体を軸方向に移動させることが可能となる。その状態でプランジャー142を軸方向に押圧すると、図6(C)に示すように、棒状体は円筒部141に挿入される。円筒部141の内部には制動機構132の中の歯車の一つと連結された回転軸の一部が位置している。プランジャー142は円筒部141に挿入されることによって、例えば、プランジャー142の先端に取り付けられたゴム等の高摩擦体によって歯車の回転軸を圧迫し、制動機構132内部の歯車の回転を強制的に停止する。プランジャー142が挿入込された状態で先端の取手を水平方向に90°回転させると、プランジャー142は軸方向に移動できなくなり、スライド台のスライドがロックされる。
【0024】
図7に移り、垂直回転台150は、収容物を搭載するための荷台である。垂直回転台150は、例えば、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維複合素材等の荷重に対して変形しにくい高強度の材質の骨格を組み合わせて構成される。垂直回転台150は、図7(A)に示すように、水平支持部151と、垂直支持部152とを有している。
【0025】
水平支持部151は、収容物の荷重を支える部分である。垂直回転台150がスライド台120の台上にあるとき、水平支持部151は、図7(B)に示すように、荷重を支持する面(以下、「荷重支持面」という。)を上方向に向けた状態となる。
【0026】
垂直支持部152は、水平支持部151の一端に水平支持部151と略垂直に接続される。垂直回転台150は、スライド回転機構160によって、垂直回転(回転軸の軸方向を水平方向に向け回転)できるよう構成されている。垂直支持部152は、垂直回転台150が垂直回転したときに、荷重を支持する面(以下、「荷重支持面」という。)を上方向に向けた状態となる。なお、垂直回転台150の荷重支持位置(荷重支持面)は、垂直回転して収容物の荷重を支える状態となったとき、図7(C)に示すように、垂直回転する前の水平支持部151の荷重支持位置(荷重支持面)よりも低くなる。
【0027】
垂直回転台150は、垂直支持部152の荷重支持面を左右方向(スライド台120のスライド方向と直角をなす方向)に向け複数設置されている。
【0028】
スライド回転機構160は、図7(B)に示すように、垂直回転台150を左右方向に水平移動させるとともに、図7(C)に示すように、垂直回転台150を垂直回転させるための機構である。スライド回転機構160は、図8(A)に示すように、スライド機構170と、回転機構180とから構成される。
【0029】
スライド機構170は、垂直回転台150を左右方向に水平移動させるための機構である。スライド機構170は、スライドレール171と、移動体172とから構成される。
【0030】
スライドレール171は、例えば、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維複合素材等の高強度の材質から構成される。スライドレール171は、図8(B)に示すように、スライド台120の前後方向の両端部の上側に長手方向を左右方向に向け設置されている。スライドレール171は、図8(A)に示すように、長方形の水平板と、水平板の中央上部に長手方向に沿って平行に設置された2枚の垂直板を備えている。
【0031】
移動体172は下部に車輪を備えた台車である。移動体172の車輪はスライドレール171の2枚の垂直板の前後方向の外側に位置するよう配置されている。移動体の上部には、回転体回転機構182が設置されている。移動体172は、図8(B)に示すように、2つのスライドレール171の上に2つずつ、合わせて4つ設置されている。前後2つの移動体172には、1つの回転体181が接続されている。なお、移動体172と回転体回転機構182とは、図8(A)に示すように、一体の構造である。
【0032】
回転機構180は、垂直回転台150を垂直回転させるための機構である。回転機構180は、回転体181と、回転体回転機構182とから構成される。
【0033】
回転体181は、例えば、金属、硬質樹脂、又は炭素繊維複合素材等の高強度の材質から構成される。回転体181は細長の円柱形状をしており、軸方向を前後方向に向け、軸方向の両端が前後のスライドレール171上にそれぞれ位置するよう配置されている。スライドレール171の上には、図8(B)に示すように、回転体181が2つ設置されている。1つの回転体181には2つの垂直回転台150が軸方向に並んで接続されている。回転体181には、水平支持部151の左右方向の端部であって垂直支持部152と反対側の端部が接続されている。また、回転体181の軸方向の一端であってリア側の端部には、図8(A)に示すように、歯車181aが設置されている。歯車181aは回転体回転機構182内部で歯車182bと噛み合わされている。
【0034】
回転体回転機構182は、回転体181に回転力を加えて垂直回転台150を垂直回転させるための機構である。回転体回転機構182は、図9(A)に示すように、軸受182aと歯車182bとから構成される。
【0035】
軸受182aは、回転体181を支える軸受である。軸受182aは4つの移動体172にそれぞれ設置されており、2つ1組で1つの回転体181を支えている。軸受182aと回転体181との間は、回転体181が収容物の荷重で回転しないように、回転摩擦係数(静止摩擦係数)が高くなっている。
【0036】
歯車182bは、回転体181に回転力を加えるための歯車である。歯車182bは、リア側の2つの移動体172にそれぞれ設置されている。歯車182bは回転体181の端部に設置された歯車181aと噛み合わされている。歯車182bの直径は歯車181aの直径より小さくなっている。そのため、歯車182bは回転体181に強い回転力を加えることが可能である。歯車182bの回転軸は回転体回転機構182の外殻の外側に突出している。後方パネル112には、図9(B)に示すように、垂直回転台150を左右にスライドさせたときの歯車182bの回転軸と一致する位置に、ラチェットレンチを挿入するための挿入穴が空けられている。この挿入穴を使って、図9(A)に示すように、歯車182bの回転軸にラチェットレンチの先端部を挿入し、ラチェットレンチを回転させることによって、回転体181を回転させることができる。
【0037】
次に、このような構成を有するシェルタ100の動作について説明する。
【0038】
シェルタ100は例えばトラックの荷台に設置されている。後方パネル112を後方向に引っ張ると、スライド台120は、図10(A)に示すように、筐体部111の中から後方向に向けゆっくりスライドする。
【0039】
スライド台120が完全にスライドすると、垂直回転台150は左右方向へスライドできる状態になる。この状態で、垂直回転台150を左右方向へ引っ張ると、図10(B)に示すように、垂直回転台150は回転体181とともに左右方向へ移動する。
【0040】
垂直回転台150が完全に左右方向にスライドすると、垂直回転台150は、図11(A)に示すように、垂直回転できる状態になる。この状態で、歯車182bの回転軸にラチェットレンチを挿入し、ラチェットレンチを回転させると、回転体181はゆっくりと回転を始める。
【0041】
回転体181が回転をはじめると、図11(B)に示すように、垂直回転台150も垂直方向に徐々に回転し、収容物の荷重は水平支持部151から垂直支持部152に移行する。回転体181は90°回転したところで、すなわち、図11(C)に示すように、垂直支持部152の荷重支持面が水平になったところで、回転を停止する。
【0042】
一方、収容物をシェルタ100に格納するときは、ラチェットレンチを反対側に回転させる。そうすると、垂直回転台150が反対方向に徐々に垂直回転し、収容物の荷重が垂直支持部152から水平支持部151に移行していく。回転体181は水平支持部151の荷重支持面が水平になったところで回転を停止する。その状態で、垂直回転台150をスライド台120の台上にスライドさせ、さらにスライド台120を前方向にスライドさせると、収容物はシェルタ100の中に格納される。
【0043】
本実施形態によれば、垂直回転台150を回転させて収容物を横倒させたときの垂直支持部152の荷重支持面が、スライド台120の台上に垂直回転台150があるときの水平支持部151の荷重支持面より低くなるよう構成されている。そのため、収容物を積み下ろしする者は、トラックの荷台よりも低い位置で収容物を積み下ろしすることが可能になり、その結果、シェルタ100に容易に収容物を格納できる。
【0044】
また、シェルタ100はスライド台120をトラックの後方にスライド可能に構成されているので、荷台の左右方向にあおり板を有するトラックにも搭載しても、容易に収容物を積み下ろしすることができる。
【0045】
また、スライド台120は制動機構132の制動力によってゆっくりとしかスライドしないよう構成されている。そのため、トラックを坂道に停車しても、スライド台120が自重で勢いよくスライドすることがないので、作業者が安全に作業できるとともに、収容物に大きな衝撃を加えることを防止できる。
【0046】
なお、垂直回転台150も自重で勢いよくスライド(以下、スライド台120の場合と同様に「自走」という。)しないように、自走を抑制する機構を備えていてもよい。自走を抑制する機構は、例えば図12(A)および図12(B)に示すような構成の自走抑制機構190であってもよい。以下、自走抑制機構190について詳細に説明する。
【0047】
自走抑制機構190は、図12(A)に示すように、後方向の2つの垂直回転台150のリア側側面に設置されている。自走抑制機構190は、持手部191と、ワイヤー部192と、棒状体上下機構193とから構成される。
【0048】
持手部191は、垂直回転台150をスライドさせる際の持手となる部分である。垂直支持部152の荷重支持面と平行に設置されている。持手部191は、後述の棒状体193aを上下させるためのレバーを有している。
【0049】
ワイヤー部192は、ワイヤーとそのワイヤーを格納するワイヤーチューブとから構成される。ワイヤーはレバーと接続されており、例えば、自転車のブレーキワイヤーのように、レバーに加えられた力を棒状体上下機構193に伝達する。
【0050】
棒状体上下機構193は、棒状体193aと棒状体193aを格納する円柱体193bから構成される。円柱体193bは、一方の底面を下側に設置されている。棒状体193aは、円柱体193bの軸方向を長手方向にして設置されており、その一部は円柱体193bの下側底面から突出している。棒状体193aはワイヤー部192のワイヤーと接続されている。
【0051】
棒状体193aは、レバーが引かれた状態では、図13(A)に示すように、ワイヤーの引張力によって上側に持ち上がるよう構成されている。また、棒状体193aは円柱体193b内部でバネと接続されている。レバーから手を離すと、棒状体193aは、図13(A)に示すように、バネの力によって自動的に下側に下がるよう構成されている。
【0052】
また、スライドレール171には、図12(B)に示すように、2枚の垂直板の間に等間隔で円形の嵌合穴が開けられている。レバーが引かれていない状態で、垂直回転台150が左右方向にスライドすると、図13(C)に示すように、棒状体193aが嵌合穴に嵌まり込み、垂直回転台150のスライドを強制的に停止する。
【0053】
なお、上記の実施形態では、垂直回転台150がスライドされるように構成されていたが、垂直回転台150をスライドさせないよう構成することも可能である。例えば、図14(A)及び図14(B)に示すように、回転機構180をスライド台120の上に固定して、スライド台120を後方向にスライドさせた状態で、そのまま垂直回転台150を垂直回転できるよう構成されていてもよい。
【0054】
また、スライド台120を使用しない構成も可能である。例えば、図15(A)及び図15(B)に示すように、回転機構180をシェルタ本体110に固定し、その回転機構180に垂直回転台150を固定する。そして、挿入穴を使ってラチェットレンチを回転機構180に挿入し、回転機構180を回転させて、垂直回転台150を垂直回転させてもよい。
【0055】
また、垂直回転台150を垂直回転させる回転軸の位置は、水平支持部151の端部に限られない。例えば図16(A)に示すように、垂直支持部152の先端であってもよいし、図16(B)に示すように、水平支持部151の前後方向の中央付近にあってもよい。回転軸の位置を、水平支持部151の荷重支持面と垂直支持部152の荷重支持面の接線を通る斜め45°の斜面からずれた位置にすることによって、水平時の水平支持部151の荷重支持面の高さと水平時の垂直支持部152の荷重支持面の高さを変化させることができる。
【0056】
例えば、回転軸の位置を、図16(C)に示す(a)のように、斜め45°の斜面より高い位置にすることによって、例えば図16(A)に示すように、垂直支持部152の荷重支持面の高さを水平支持部151の荷重支持面の高さより高くすることができる。また、回転軸の位置を、例えば図16(C)に示す(b)のように、斜め45°の斜面より低い位置にすることによって、例えば図16(B)に示すように、垂直支持部152の荷重支持面の高さを水平支持部151の荷重支持面の高さより低くすることができる。垂直支持部152の荷重支持面の高さを高くすれば、高い位置から収容物の積み下ろしをしたい場合に収容物の積み下ろしが容易になる。
【0057】
また、制動機構132は、歯車の歯数の比によって制動力を発生させたが、ベルトで接続された複数の滑車を備え、滑車の周長の比(以下、歯車の歯数の比と同様に「ギア比」という。)によって、制動力を発生させてもよい。また、歯車と歯車は直接接している必要はなく、例えば自転車のように、ローラーチェーンで接続されていてもよい。
【0058】
また、制動機構132は、必ずしもスライド台120の左右両側に設置されている必要はない。制動機構132がスライド台120の片側にのみ設置される構成であってもよい。例えば、図17に示すように、一方のスライドレール131(図17の場合、右側のスライドレール131)は前後に自由に滑動できるように、例えば、スライドレール131が嵌合可能な形状の凹部が形成された構造体で挟持され、他方のスライドレール131(図17の場合、左側のスライドレール131)は制動力よって自由な前後移動が抑制されるように、例えば、制動機構132の車輪132aによって押圧されていてもよい。片側にのみ制動機構132が設置されていている場合であっても、十分にスライド台120に制動力を加えることができる。
【0059】
また、シェルタ100に収納する収容物はダンボールに限られず、計測機器等の電気機器200であってもよい。電気機器200は、例えば図18に示すように、垂直回転台150を垂直回転させて垂直支持部152が水平に位置したときに、操作パネルが左右方向を向くように設置されていてもよい。低い位置での電気機器200の操作が可能となる。
【0060】
また、電気機器200は、例えば蓄電装置や通信機器等と電源ケーブルや通信ケーブル等で接続されていてもよい。また、電気機器200同士が電源コードや通信ケーブル等で接続されていてもよい。このとき、シェルタ100は、スライド台120や垂直回転台150の移動によって弛んだケーブルを、例えばバネの力で自動的に巻取り、ケーブルを絡みにくくするケーブル巻き取り機構が備えていてもよい。
【0061】
また、シェルタ100の設置箇所はトラックに限られず、電車、船、車、飛行機等さまざまな輸送手段に設置可能である。また、シェルタ100の設置箇所は輸送手段に限られず、建物の外部に設置されてもよい。
【0062】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0063】
100 シェルタ
110 シェルタ本体
111 筐体部
112 後方パネル
120 スライド台
130 スライド機構
131 スライドレール
132 制動機構
132a 車輪
132b 歯車
140 スライドロック機構
141 円筒部
142 プランジャー
150 垂直回転台
151 水平支持部
152 垂直支持部
160 スライド回転機構
170 スライド機構
171 スライドレール
172 移動体
180 回転機構
181 回転体
181a 歯車
182 回転体回転機構
182a 軸受
182b 歯車
190 自走抑制機構
191 持手部
192 ワイヤー部
193 棒状体上下機構
193a 棒状体
193b 円柱体
200 電気機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物の荷重を支える荷重支持面を有する第1の支持部と、前記第1の支持部の荷重支持面と略直角に位置する荷重支持面を有する第2の支持部と、を備える垂直回転台と、
前記第1の支持部の荷重支持面及び前記第2の支持部の荷重支持面の双方に平行な軸を回転軸に、前記垂直回転台を垂直回転させて、前記収容物の荷重を前記第1の支持部の荷重支持面から前記第2の支持部の荷重支持面に移行させる回転機構と、を備え、
前記第2の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第2の支持部の荷重支持面の高さと、前記第1の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第1の支持部の荷重支持面の高さは異なる、
シェルタ。
【請求項2】
前記第2の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第2の支持部の荷重支持面の高さは、前記第1の支持部の荷重支持面が水平に位置する時の前記第1の支持部の荷重支持面の高さよりも低い、
請求項1に記載のシェルタ。
【請求項3】
前記垂直回転台が設置されたスライド台と、
前記垂直回転台とともに前記スライド台を格納する筐体部と、
前記スライド台を前記筐体部の外に水平移動させる第1のスライド機構と、を備える、
請求項1または2に記載のシェルタ。
【請求項4】
前記スライド台に直接的あるいは間接的に接続され、前記スライド台に制動力を加えて前記スライド台の自走を抑制する制動機構、を備える、
請求項3に記載のシェルタ。
【請求項5】
前記制動機構は複数の歯車又はベルトで接続された複数の滑車を備え、前記歯車もしくは前記滑車のギア比によって制動力を発生させる、
請求項4に記載のシェルタ。
【請求項6】
前記スライド台のスライド方向と直角をなす方向であって前記スライド台の台上の外に前記垂直回転台を水平移動させる第2のスライド機構、を備える、
請求項3乃至5のいずれか1項に記載のシェルタ。
【請求項7】
前記垂直回転台の自走を抑制するスライド抑制機構、を備える、
請求項6に記載のシェルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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