説明

シクロヘキサンジメタノールに基づく親水性ポリウレタンウレア

本発明は、種々の基材上に親水性被膜を製造する際に使用することができる新規なポリウレタンウレアに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様な基材上に親水性被膜を製造するために使用することができる新規なポリウレタンウレアに関する。
【背景技術】
【0002】
特に医療分野において、医療機器表面上の親水性被膜は重要である。なぜなら、結果的に、医療機器の使用を著しく改善できるからである。血液または尿と接触した親水性表面が水膜を吸着することによって、導尿カテーテルまたは血管カテーテルの挿入および移動はより容易になる。水膜がカテーテル表面と血管壁の間の摩擦を低減するので、カテーテルの挿入および移動がより容易になる。均一な水膜の形成によって摩擦を低減するため、処置前に機器を直接湿潤させることもできる。関係している患者の痛みは軽減され、それによって、血管壁を傷つける危険性が低減する。更に、カテーテルを使用する場合は、血栓が生じる危険性が常に存在する。これに関して、親水性被膜は、抗血栓性被膜として有用であると一般に考えられている。
【0003】
医療機器用親水性被膜は、高い機械的堅牢性を有することが要求される。これは特に、使用の際に、場合によりかなり大きいことがある機械的な力がかかる場合に必要とされる。このことは、例えば、血管に挿入する際のカテーテルおよびステントにも当てはまる。もっぱら生理学的観点から見れば、被膜の剥離は絶対に回避されなければならない。しかしながら被膜は更に、例えば、ステントまたはカテーテルを圧縮できるほど十分に軟質でなければならない。
【0004】
US 5,589,563は、とりわけ医療機器の被覆に使用することができる表面変性末端基含有被膜を開示している。しかしながら、この被膜は十分な物理的性質を有していない。1つには、例えば親水性が十分には高くない。そして一般に、被膜が十分安定的に形成されない。即ち、被膜の機械的堅牢性が低すぎる。
【0005】
本明細書の優先権主張日には未公開であったEP 08153055.2は、合成成分としてのポリカーボネートポリオールと末端基としてのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーとの特定の組み合わせに基づくポリウレタンウレアを含んでなる親水性被膜を開示している。この被膜もまた、その機械的性質に関して、要求の全てをやはり満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 5,589,563
【特許文献2】EP 08153055.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、特に医療機器(例えばステントまたはカテーテル)上に、機械的堅牢性の高い親水性被膜を製造するために使用することができる被覆原材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、少なくとも1つの結合Rによってポリマー鎖に結合された式(I):
【化1】

で示される構造単位の少なくとも1つを有する、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー単位の少なくとも1つで終端されたポリウレタンウレアによって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリウレタンウレアを用いて得ることができる被膜の高い親水性および高い機械的堅牢性は、注目に値する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的のためのポリウレタンウレアは、
(a)以下の一般構造:
【化2】

で示されるウレタン基を含有する反復単位を少なくとも2個、および
(b)
【化3】

で示されるウレア基を含有する反復単位を少なくとも1個
含有するポリマー化合物である。
【0011】
本発明のポリウレタンウレアは好ましくは、イオン変性されていないかまたはイオノゲン変性されていない。これは、本発明では、本発明のポリウレタンウレアがイオン性基(特に、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスフェート基またはホスホネート基)を実質的に含有しないことを意味する。
【0012】
本発明において、用語「実質的にイオン性基を含有しない」とは、得られたポリウレタンウレア被覆剤が一般に2.50重量%以下、特に2.00重量%以下、好ましくは1.50重量%以下、特に好ましくは1.00重量%以下、とりわけ0.50重量%以下の割合でイオン性基を含有し、特に、イオン性基を含有しないことを意味する。有機溶液中に高濃度のイオンが存在すると、ポリマーはもはや十分には溶解せず、従って安定な溶液が得られないので、ポリウレタンウレアがイオン性基を含有しないことが特に好ましい。ポリウレタンがイオン性基を含有するならば、イオン性基は好ましくはカルボキシレートおよびスルホネートである。
【0013】
ポリウレタンウレアは、好ましくは実質的に直鎖分子であり、あまり好ましくはないが、分枝であってもよい。本発明において、「実質的に直鎖分子」は、初期架橋度の低い系であり、親ポリカーボネートポリオール成分は、好ましくは1.7〜2.3、より好ましくは1.8〜2.2、特に好ましくは1.9〜2.1の平均ヒドロキシル官能価を有する。
【0014】
ポリウレタンウレアの数平均分子量は、好ましくは1000〜200,000g/mol、より好ましくは3000〜100,000g/molである。数平均分子量は、30℃で、ジメチルアセトアミド中、標準としてのポリスチレンに対して測定される。
【0015】
ポリウレタンウレアは、少なくとも1種のポリカーボネートポリオール成分a)、少なくとも1種のポリイソシアネート成分b)、少なくとも1種のポリオキシアルキレンエーテル成分c)、少なくとも1種のジアミンおよび/またはアミノアルコール成分d)、並びに任意に別のポリオール成分e)を含んでなる合成成分を反応させることによって調製することができる。
【0016】
従って、本発明はまた、ポリカーボネートポリオール成分a)、少なくとも1種のポリイソシアネート成分b)、少なくとも1種のポリオキシアルキレンエーテル成分c)、少なくとも1種のジアミンおよび/またはアミノアルコール成分d)、並びに必要に応じて別のポリオール成分を互いに反応させる、本発明のポリウレタンウレアの製造方法を提供する。
【0017】
成分a)は、炭酸誘導体(例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチルまたはホスゲン)と式(II):
【化4】

で示される二官能性アルコールとの反応によって得ることができるポリカーボネートポリオールa1)の少なくとも1種を含んでなる。
【0018】
加圧反応器における高温での調製では、1,4−シクロヘキサンジメタノールを、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチルまたはホスゲンと反応させる。炭酸ジメチルとの反応が好ましい。炭酸ジメチルを使用する場合、過剰炭酸ジメチル含有混合物では、蒸留によって、脱離生成物であるメタノールを除去する。
【0019】
炭酸ジメチルを用いたポリカーボネートポリオールの調製は、240℃まで、好ましくは220℃まで、より好ましくは200℃までの温度で実施する。大気圧で、または15barまで、好ましくは10barまで、より好ましくは5barまでの圧力下で実施することができる。また、特定の工程(脱水、蒸留)におけるポリカーボネートの調製は、500mbar未満、好ましくは100mbar未満、より好ましくは20mbar未満の減圧下で実施する。
【0020】
式(II)で示されるジオールに基づくポリカーボネートポリオールa1)は、好ましくは200〜10,000g/mol、より好ましくは300〜8000g/mol、特に好ましくは400〜6000g/molの、OH価によって決定された分子量を有する。
【0021】
成分a)は、好ましくは、式(II)で示されるジオールに基づく前記ポリカーボネートポリオールa1)と別のポリカーボネートポリオールa2)との混合物である。
【0022】
そのような別のポリカーボネートポリオールa2)は、好ましくは1.7〜2.3、より好ましくは1.8〜2.2、特に好ましくは1.9〜2.1の平均ヒドロキシル官能価を有する。
【0023】
また、ポリカーボネートポリオールa2)は、好ましくは400〜6000g/mol、より好ましくは500〜5000g/mol、特に600〜3000g/molの、OH価によって決定された分子量を有し、例えば、炭酸誘導体(例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチルまたはホスゲン)とポリオール(好ましくはジオール)との反応によって得られる。そのようなジオールの適当な例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、およびラクトン変性ジオールを包含する。
【0024】
ポリカーボネートポリオールa2)は、好ましくは40重量%〜100重量%のヘキサンジオール、好ましくは1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体、好適には末端OH基に加えてエーテル基またはエステル基も含有するヘキサンジオール誘導体(例えば、1molのヘキサンジオールと少なくとも1mol、好ましくは1〜2molのカプロラクトンとの反応によって、或いはジへキシレングリコールまたはトリへキシレングリコールを与えるヘキサンジオール同士のエーテル化によって、得られる生成物)を合成成分として含有する。ポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することもできる。ヒドロキシルポリカーボネートは、実質的に直鎖であるほうがよい。しかしながら必要に応じて、ヒドロキシルポリカーボネートは、多官能性成分、特に低分子量ポリオールの配合の結果として、僅かに分枝していてもよい。この目的に適したポリオールの例は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドまたは1,3,4,6−ジアンヒドロヘキシトールを包含する。ヘキサン−1,6−ジオールに基づくポリカーボネートa2)、および例えばブタン−1,4−ジオールのような変性作用を有するコジオールに基づくポリカーボネートa2)、またはε−カプロラクトンに基づくポリカーボネートa2)が好ましい。別の好ましいポリカーボネートジオールa2)は、ヘキサン−1,6−ジオールおよびブタン−1,4−ジオールの混合物に基づくポリカーボネートジオールである。
【0025】
1つの好ましい態様では、成分a)として、ポリカーボネートポリオールa1)と、ヘキサン−1,6−ジオール、ブタン−1,4−ジオールまたはそれらの混合物に基づくポリカーボネートポリオールa2)との混合物を使用する。
【0026】
成分a1)とa2)の混合物については、混合物の割合としての成分a1)の量は、ポリカーボネートの総モル量に基づいて好ましくは少なくとも5mol%、より好ましくは少なくとも10mol%である。
【0027】
ポリウレタンウレアは付加的に、合成成分b)として、少なくとも1種のポリイソシアネートに由来する単位を含有する。
【0028】
ポリイソシアネートb)として、当業者に知られており、1以上、好ましくは2以上の平均NCO官能価を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式イソシアネートの全てを、それらがホスゲン法またはホスゲンフリー法のどちらによって調製されたかに関係なく、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することができる。ポリイソシアネートは、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレア、オキサジアジントリオン、オキサゾリジノン、アシルウレアおよび/またはカルボジイミド構造を有してもよい。ポリイソシアネートは、単独でまたは互いの所望の混合物として使用してよい。
【0029】
3〜30個、好ましくは4〜20個の炭素原子の(存在するNCO基を除く)炭素骨格構造を有する、脂肪族または脂環式の例の群からのイソシアネートを使用することが好ましい。
【0030】
成分b)の特に好ましい化合物は、脂肪族的および/または脂環式的に結合したNCO基を含有する前記した種類、例えば、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル、ビス−およびトリス−(イソシアナトアルキル)−ベンゼン、−トルエン、および−キシレン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、一般に2,4,4および2,2,4異性体の混合物としての、トリメチル−HDI(TMDI))、ノナントリイソシアネート(例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)またはビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)に相当する。
【0031】
成分b)の特に好ましい化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチル−HDI(TMDI)、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート(IMCI)および/または4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)或いはこれらイソシアネートの混合物である。更なる例は、3個以上のNCO基を含有し、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する、前記ジイソシアネートの誘導体である。
【0032】
ポリウレタンウレアの調製における成分b)の量は、各々の場合に成分a)の化合物の量に基づいて、好ましくは1.0〜3.5mol、より好ましくは1.0〜3.3mol、特に1.0〜3.0molである。
【0033】
ポリウレタンウレアは、合成成分c)として、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマーに由来する単位を含有する。このコポリマー単位は、ポリウレタンウレア中に末端基として存在し、特に有利な親水化作用をもたらす。
【0034】
このタイプの非イオン性親水化化合物c)は、例えば、適当なスターター分子のアルコキシル化によってそれ自体既知の方法で得られるような、平均で一分子あたり5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 第4版、第19巻、Verlag Chemie, ヴァインハイム、第31頁〜第38頁)。
【0035】
適当なスターター分子は、例えば、飽和モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール(各種異性体)、ヘキサノール(各種異性体)、オクタノール(各種異性体)およびノナノール(各種異性体)、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール(各種異性体)またはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル))、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、フェノール、クレゾール(各種異性体)またはメトキシフェノール(各種異性体))、芳香脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール)、第二級モノアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチル−シクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン)、並びに複素環式第二級アミン(例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール)である。好ましいスターター分子は、飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0036】
アルコキシル化反応では、アルキレンオキシドであるエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを、任意の順でまたは混合物として使用できる。
【0037】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、エチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、そのアルキレンオキシド単位の好ましくは少なくとも30mol%、より好ましくは少なくとも40mol%は、エチレンオキシド単位からなる。好ましい非イオン性化合物は、アルキレンオキシド単位の総量に基づいて少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位および60mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する、単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0038】
ポリオキシアルキレンエーテルの数平均分子量は、好ましくは500g/mol〜5000g/mol、より好ましくは1000g/mol〜4000g/mol、特に1000g/mol〜3000g/molである。
【0039】
ポリウレタンウレアの調製における成分c)の量は、各々の場合に成分a)の化合物の量に基づいて、好ましくは0.01〜0.5mol、より好ましくは0.02〜0.4mol、特に0.04〜0.3molである。
【0040】
ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの混合ポリオキシアルキレンエーテルに基づく末端基を含有するポリウレタンウレアが、親水性の高い被膜の製造に特に適していることが見出された。
【0041】
ポリウレタンウレアは、いわゆる連鎖延長剤d)として作用する合成成分としての少なくとも1種のジアミンまたはアミノアルコールに由来する単位を含有してよい。
【0042】
そのような連鎖延長剤は、例えば、ジアミンまたはポリアミンおよびヒドラジドであり、その例は、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−キシリレンジアミンおよび1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルエチレンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンおよび他の(C〜C)ジ−およびテトラ−アルキルジシクロヘキシルメタン、例えば4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジイソプロピルジシクロヘキシルメタンである。
【0043】
適当なジアミンまたはアミノアルコールは一般に、NCO基に対する反応性が異なる活性水素を含有する低分子量のジアミンまたはアミノアルコール、例えば、第一級アミノ基の他に第二級アミノ基も含有するか、或いはアミノ基(第一級または第二級)の他にOH基も含有する化合物である。そのような化合物の例は、第一級および第二級アミン、例えば、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、およびアミノアルコール、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミン、特に好ましくはジエタノールアミンである。
【0044】
ポリウレタンウレアの成分d)は、ポリウレタンウレアの調製において、連鎖延長剤として使用され得る。
【0045】
ポリウレタンウレアの調製における成分d)の量は、各々の場合に成分a)の化合物の量に基づいて、好ましくは0.1〜1.5mol、より好ましくは0.2〜1.3mol、特に0.3〜1.2molである。
【0046】
別の態様では、ポリウレタンウレアは、合成成分として、少なくとも1種の別のポリオールに由来する付加的単位を含んでなる。
【0047】
ポリウレタンウレアを合成するために使用される別の低分子量ポリオールe)は一般に、ポリマー鎖に剛直さおよび/または分枝をもたらす。その分子量は、好ましくは62〜500g/mol、より好ましくは62〜400g/mol、特に62〜200g/molである。
【0048】
適当なポリオールは、脂肪族基、脂環式基または芳香族基を含有してよい。本発明で挙げることができる例は、一分子あたり約20個までの炭素原子を含有する低分子量ポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、およびトリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトール、並びにそれらのおよび適切な場合には他の低分子量ポリオールとの混合物である。エステルジオール、例えば、α−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシカプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ酪酸エステル、アジピン酸(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステルを使用してもよい。
【0049】
ポリウレタンウレアの調製における成分e)の量は、各々の場合に成分a)の化合物の量に基づいて、好ましくは0.05〜1.0mol、より好ましくは0.05〜0.5mol、特に0.1〜0.5molである。
【0050】
イソシアネート含有成分b)と、ヒドロキシ官能性化合物またはアミン官能性化合物である成分a)、c)、d)および必要に応じてe)との反応は、典型的には、反応性ヒドロキシ化合物または反応性アミン化合物に対して僅かにNCO過剰であることを維持しながら実施する。目的粘度への到達の結果としての反応の終点で、通常は、活性イソシアネート基が残留している。溶媒重合の場合は、大きいポリマー鎖と反応しないよう、この活性イソシアネート基をブロックしなければならない。そのような反応は三次元架橋とバッチのゲル化とをもたらす。このタイプのポリウレタンウレア溶液を加工することはもはや不可能である。典型的には、バッチは通常、多量のアルコールを含有する。バッチを室温で撹拌するかまたは放置すると、数時間以内に、このアルコールが残留イソシアネート基をブロックする。ポリウレタン水性分散体を調製する場合、通常、添加した水によって過剰イソシアネート基は加水分解される。別の態様として、水の添加前または溶媒アルコールによるアルコール分解前に成分f)を意図的に添加することによって、過剰イソシアネート基をブロックすることもできる。
【0051】
有機溶液中でまたは水性分散体中でポリウレタンウレアを調製する際に残留イソシアネート含有物がブロックされたならば、ポリウレタンウレアはまた、合成成分として、各々の場合に鎖末端に位置して鎖をキャップするモノマーf)を含有する。
【0052】
これらの合成成分は、一方では、NCO基に対して反応性である単官能性化合物、例えばモノアミン、特に第二級モノアミン、またはモノアルコールに由来する。本発明で挙げることができる例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジンおよびそれらの適当な置換誘導体を包含する。
【0053】
本質的にNCO過剰を解消するために構成単位f)を使用するので、望ましい量は、本質的にNCO過剰量に依存し、一般的に明記することはできない。
【0054】
合成の際、この構成単位を除外することが好ましい。ポリウレタンウレア有機溶液の場合、極めて高い濃度で存在する溶媒アルコールによって、未反応イソシアネートを末端ウレタンに転化することが好ましい。水性分散体を調製する場合は通常、添加した分散用水によって、過剰イソシアネート基は加水分解される。
【0055】
有機溶液中でポリウレタンウレアを調製するためには、ヒドロキシル基の全てが消費されるまで、溶融体または溶液において、ポリカーボネートポリオール成分a)、ポリイソシアネート、単官能性ポリエーテルアルコール、および必要に応じてポリオールを互いに反応させる。
【0056】
この際用いられる、反応に関与する個々の合成成分間の化学量論の背景には、先に記載した割合がある。
【0057】
反応は、好ましくは60〜110℃、より好ましくは75〜110℃、特に90〜110℃の温度で実施されるが、反応速度の故に約110℃の温度が好ましい。より高い温度を適用することもできるが、場合によっては、使用する各成分に依存して、得られるポリマーにおいて分解および変色が起こる危険性が存在する。
【0058】
完全に反応した混合物の一部について粘度が高くなりすぎるという危険性が存在するにもかかわらず、イソシアネートプレポリマーおよびヒドロキシル基含有成分全てについて、溶融体における反応が好ましい。そのような場合、溶媒の添加が推奨されることもある。しかしながら、希釈により反応速度は著しく低下するので、可能な限り、約50重量%以下の溶媒が存在すべきである。
【0059】
イソシアネートとヒドロキシル基含有成分との反応については、溶融体において1〜24時間の時間内に反応を実施することができる。少量の溶媒を添加すると反応が遅くなるが、反応時間は同じ時間内である。
【0060】
各成分の添加および/または反応の順は、先に示した順と異なっていてもよい。このことは特に、得られる被膜の機械的性質を変える際に有利な場合がある。例えばヒドロキシル基含有成分の全てを同時に反応させるならば、ハードセグメントとソフトセグメントの混合物が形成される。例えばポリカーボネートポリオール成分の後に低分子量ポリオールを添加するならば、規定されたブロックが得られ、得られる被膜に様々な特性がもたらされる。従って、本発明は、ポリウレタン被覆剤の各成分の添加および/または反応の個々の順を制限しない。
【0061】
有機溶液においてポリウレタンウレアを調製するならば、別の溶媒を添加し、連鎖延長剤であるジアミンおよび/または溶解連鎖延長剤であるアミノアルコール(合成成分d))を、適切な場合には溶液として添加する。
【0062】
溶媒の更なる添加は、好ましくは、例えば反応の開始時に溶媒を全量添加すれば起こり得るような反応の不必要な遅延を起こさないために、段階的に実施する。また、反応の開始時に溶媒含量が高いと温度が比較的低くなり、この温度は、溶媒の性質によって少なくとも相互に決定される。このこともまた、反応を遅延する。
【0063】
目的粘度に達したならば、単官能性脂肪族アミンによって残留NCO基をブロックしてよい。溶媒混合物中に存在するアルコールとの反応によって、残留イソシアネート基をブロックすることが好ましい。
【0064】
本発明のポリウレタンウレア溶液の調製および適用に適した溶媒は、あらゆる溶媒および溶媒混合物の全てであり、その例は、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、芳香族溶媒(例えばトルエン)、直鎖および環式の、エステル、エーテル、ケトンおよびアルコールである。エステルおよびケトンの例は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンである。
【0065】
アルコールとトルエンの混合物が好ましい。トルエンと一緒に使用されるアルコールの例は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、および1−メトキシ−2−プロパノールである。
【0066】
一般に、反応に使用される溶媒の量は、約10〜50重量%濃度の溶液、好ましくは約15〜45重量%濃度の溶液、より好ましくは約20〜40重量%濃度の溶液が得られるような量である。
【0067】
ポリウレタン溶液の固形分は、一般に5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲である。被覆試験のため、被膜厚さを様々に調節するために、ポリウレタン溶液をトルエン/アルコール混合物で任意に希釈できる。1〜60重量%の濃度の全てが可能であり、1〜40重量%の範囲の濃度が好ましい。これに関して、例えば数百nm〜数百μmのような所望の被膜厚さを達成することができ、本発明では、より厚い被膜厚さおよびより薄い被膜厚さであってもよい。
【0068】
本発明のポリウレタンウレア分散体は、好ましくは、アセトン法として知られている方法によって調製される。このアセトン法によりポリウレタンウレア分散体を調製するために、通常、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーの調製のための、第一級アミノ基または第二級アミノ基を含有してはならない成分a)、c)およびe)、並びにポリイソシアネート成分b)を全てまたは部分的に導入し、水と混和性であるがイソシアネート基に対して不活性である溶媒で場合により希釈し、50〜120℃の範囲の温度に加熱する。ポリウレタン化学で知られている触媒を用いて、イソシアネート付加反応を促進することができ、そのような触媒の例は、ジラウリン酸ジブチル錫である。触媒を使用せずに合成することが好ましい。
【0069】
適当な溶媒は、通常の脂肪族ケト官能性溶媒、例えば、アセトン、ブタノンであり、それらは調製の開始時だけではなく、場合により開始後に少しずつ添加してもよい。アセトンおよびブタノンが好ましい。他の溶媒、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、およびエーテル単位またはエステル単位含有溶媒を使用してもよく、それらは、蒸留によって完全にまたは部分的に除去されてもよいし、分散体中に完全に残留してもよい。
【0070】
その後、反応の開始時にまだ添加されていなかった成分c)およびe)を計量添加する。
【0071】
好ましい方法では、プレポリマーは、溶媒を添加せずに調製し、もっぱら連鎖延長のために、適当な溶媒(好ましくはアセトン)で希釈する。
【0072】
プレポリマーへの転化は、部分的にまたは完全に実施されるが、完全に実施されることが好ましい。このようにして、バルクまたは溶液として、遊離イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーを得る。
【0073】
次いで、更なる工程段階で、まだ溶解されていないか或いは部分的にしか溶解されていないならば、得られたプレポリマーを、脂肪族ケトン(例えばアセトンまたはブタノン)を用いて溶解する。
【0074】
続いて、存在し得るNH官能性成分、NH官能性成分および/またはOH官能性成分を、残留イソシアネート基と反応させる。この連鎖延長/連鎖停止は、分散前に溶媒中で、分散中に、または分散後に水中で実施してよい。水への分散前に連鎖延長を実施することが好ましい。
【0075】
成分d)の定義を満たすNH基またはNH基含有化合物を連鎖延長に使用する場合、分散前にプレポリマーの連鎖延長を実施することが好ましい。
【0076】
連鎖延長度、換言すれば、連鎖延長に使用される化合物のNCO反応性基の、プレポリマーの遊離NCO基に対する当量比は、好ましくは40%〜150%、より好ましくは50%〜120%、特に60%〜120%である。
【0077】
本発明の方法では、水希釈状態または溶媒希釈状態で、単独でまたは混合物として、アミン成分d)を場合により使用してよく、その添加順序は基本的に任意である。
【0078】
分散用水によって残留イソシアネート基を加水分解しないのであれば、本発明では、分散用水を添加する前に、イソシアネート基をブロックするために、十分な量の成分f)を添加することができる。
【0079】
水または有機溶媒を希釈剤として使用するならば、希釈剤含量は好ましくは70重量%〜95重量%である。
【0080】
プレポリマーからのポリウレタン分散体の調製は、連鎖延長に続いて実施する。これは、場合により強く剪断しながら(例えば激しく撹拌しながら)、溶解および連鎖延長したポリウレタンポリマーを分散用水に導入するか、または逆に分散用水をプレポリマー溶液に撹拌しながら添加することによって実施する。溶解したプレポリマーに水を添加することが好ましい。
【0081】
続いて、典型的には、分散工程後に分散体中になお存在する溶媒を、蒸留によって除去する。分散中に事実上除去することも可能である。
【0082】
合成後のポリウレタン分散体の固形分は、20〜70重量%、好ましくは20〜65重量%の範囲である。被覆試験のため、被膜厚さを様々に調節するために、分散体を水で任意に希釈できる。1〜60重量%の濃度の全てが可能であるが、1〜40重量%の範囲の濃度が好ましい。
【0083】
ポリウレタンウレアは、特定の最終用途にとって一般的な成分および添加剤を更に含んでなることができる。
【0084】
その1つの例は、薬理的活性成分、薬剤、および薬理的活性成分の放出を促進する添加剤(薬剤溶出添加剤)である。
【0085】
医療機器上の本発明の被膜に使用できる、薬理的活性成分および薬剤は、例えば、抗血栓剤、抗生物質、抗腫瘍剤、成長ホルモン、抗ウィルス剤、抗血管形成剤、血管形成剤、抗有糸分裂剤、抗炎症剤、細胞周期調節因子、遺伝因子、ホルモン、およびそれらの同族体、誘導体、断片、薬物塩、並びにそれらの組み合わせである。
【0086】
従って、そのような薬理的活性成分および薬剤の特定の例は、抗血栓剤(抗血栓形成剤)、および動脈の急性血栓症、狭窄症または晩発性再狭窄症を抑制するための他の剤、例えば、ヘパリン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、抗トロンボキサンB剤;抗−Bトロンボグロブリン、プロスタグランジン−E、アスピリン、ジピリジモール、抗トロンボキサンA剤、マウス・モノクローナル抗体7E3、トリアゾロピリミジン、シプロステン、ヒルジン、チクロピジン、ニコランジルなどを包含する。
【0087】
成長因子も同様に、動脈狭窄部位での内膜下線維筋性過形成を抑制するために薬剤として使用できる。或いは、狭窄部位では、所望のあらゆる細胞増殖阻害剤を使用することができる。
【0088】
薬理的活性成分または薬剤は、血管痙攣を防ぐために、血管拡張剤からなることもできる。この場合の1つの例は、パパベリンのような鎮痙剤である。薬剤は、カルシウム拮抗薬のような血管作用薬自体、或いはα−およびβ−アドレナリン作用薬または拮抗薬であってよい。加えて、治療薬は、例えば組織弁を冠動脈壁に結合するために使用される、医療グレードのシアノアクリレートまたは線維素のような生物起源接着剤であってよい。
【0089】
治療薬はまた、(例えば、腫瘍部位で継続して制御放出される抗新生物薬を適用するための)剤用制御放出賦形剤を好ましくは伴った、5−フルオロウラシルのような抗新生物薬であってよい。
【0090】
治療薬は、体内の感染の局所病巣で医療機器の被膜から継続放出するための制御放出賦形剤と好ましくは組み合わせた、抗生物質であってよい。同様に治療薬は、局所組織における炎症を抑制する目的または他の理由のため、ステロイドを含有してよい。
【0091】
適当な薬剤の特定の例は、以下を包含する:
(a)ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヒルジン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼを包含する細胞溶解物質、それらの同族体、類似体、断片、誘導体および薬物塩;
(b)抗生物質、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、ポリミキシン、エリスロマイシン;テトラサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、それらの同族体、類似体、誘導体、薬物塩およびそれらの混合物;
(c)パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムスまたはエベロリムスのような免疫抑制剤、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファランおよびイホスファミドを包含するアルキル化剤;メトトレキサート、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシルおよびシタラビンを包含する代謝拮抗剤;ビンブラスチンを包含する植物性アルカロイド;ビンクリスチンおよびエトポシド;ドキソルビシン、ダウノマイシン、ブレオマイシンおよびマイトマイシンを包含する抗生物質;カルムスチンおよびロムスチンを包含するニトロソウレア;シスプラチンを包含する無機イオン;インターフェロンを包含する生体反応変性剤;アンギオスタチンおよびエンドスタチン;アスパラギナーゼを包含する酵素;およびタモキシフェンおよびフルタミドを包含するホルモン、それらの同族体、類似体、断片、誘導体、薬物塩並びにそれらの混合物;
(d)抗ウィルス剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、イドクスウリジン、ビダラビン、トリフルリジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジドブジン、ホスホノホルメート、インターフェロン、それらの同族体、類似体、断片、誘導体、薬物塩並びにそれらの混合物;および
(e)抗炎症剤、例えば、イブプロフェン、デキサメタゾンまたはメチルプレドニゾロン。
【0092】
繁殖阻害性を有する表面を形成するため、本発明の被覆剤は、先行技術から知られている活性繁殖阻害剤を含んでよい。その存在は一般に、被覆剤自体で製造された表面の既に優れている繁殖阻害性を高める。
【0093】
更なる添加剤、例えば、酸化防止剤または顔料を使用してもよい。加えて、必要に応じて、更なる添加剤、例えば、肌触り向上剤、染料、艶消し剤、紫外線安定剤、光安定剤、疎水化剤および/または流れ制御剤を使用することもできる。
【0094】
本発明のポリウレタンウレアは、例えば医療機器上の、被膜を形成するために使用することができる。
【0095】
用語「医療機器」とは、本発明では広く理解される。(装置も含む)医療機器の適当な非限定例は、以下である:コンタクトレンズ;カニューレ;カテーテル、例えば、導尿カテーテルまたは尿管カテーテルのような泌尿器カテーテル;中心静脈カテーテル;静脈カテーテル或いは入口カテーテルまたは出口カテーテル;拡張バルーン;血管形成および生検のためのカテーテル;ステント、塞栓症フィルターまたは大静脈フィルターを挿入するために使用するカテーテル;バルーンカテーテルまたは他の拡張性医療機器;内視鏡;喉頭鏡;気管内チューブ、呼吸装置および他の気管吸引機器のような気管機器;気管支肺胞洗浄カテーテル;冠動脈血管形成術で使用するカテーテル;ガイドロッド、挿入器など;代用血管;ペースメーカー部品;人工内耳;栄養補給のための歯科インプラントチューブ、ドレナージ管;およびガイドワイヤー。
【0096】
更に、本発明のポリウレタンウレアは、保護被膜、例えば、手袋、ステントおよび他のインプラント;外用(体外)血液チューブ(血液ガイドチューブ);膜、例えば透析のための膜;血液フィルター;循環支援のための機器;創傷処置のための処置材料;蓄尿袋および蓄便袋を製造するために使用してよい。医学上の有効成分、例えば、ステントまたはバルーン表面または避妊具のための医学上の有効成分を含有するインプラントも包含される。
【0097】
医療機器は典型的には、カテーテル、内視鏡、喉頭鏡、気管内チューブ、栄養補給チューブ、ガイドロッド、ステントおよび他のインプラントから選択される。
【0098】
本発明に従って提供される被覆剤が、潤滑性を向上する親水性に加えて、高い水準の血液適合性を有することは、注目に値する。この適合性により、本発明の被覆剤での加工は、特に血液との接触において有利なものとなる。先行技術のポリマーと比べて、本発明の物質は、血液との接触において、低減された凝血傾向を示す。
【0099】
本発明の親水性被覆剤に基づく活性成分放出系は、医療技術以外での使用も考えることができ、その例は、活性成分用担体としての作物保護における用途である。その場合、被覆剤全体を活性成分放出系とみなしてよく、例えば種子(穀粒)を被覆するために使用してよい。被覆剤が親水性なので、種子の発芽能が損なわれることなく、含まれている活性成分は湿った土壌に放出され、意図された作用を発揮できる。しかしながら乾燥した状態では、被覆組成物は活性成分を種子にしっかりと結合しているので、例えば、種まき機によって種子穀粒を土壌に投入する際に、活性成分は分離しない。分離すれば、例えば、存在するファウナにおいて、活性成分は望ましくない作用を発揮する(土壌中で昆虫による攻撃から穀粒を守ることが意図された殺虫剤によって、ミツバチは危険にさらされる)ことがある。
【0100】
医療機器用被膜としての応用に加えて、医療分野以外の別の技術的応用のために、本発明のポリウレタン溶液を使用することもできる。
【0101】
例えば、本発明のポリウレタンウレアは、湿気による曇りから表面を保護するものとしての被膜の製造、清浄化しやすい表面または自己清浄性表面の製造に役立つ。本発明の親水性被膜はまた、汚れの取り込みを低減し、水斑の形成を防ぐ。屋外領域における考えられる用途は、例えば、窓ガラス、天窓、ガラスファサードまたはプレキシガラス製屋根である。屋内領域では、このタイプの物質は、衛生設備の表面を被覆するために使用することができる。別の用途は、凝縮水が原因である湿気による曇りまたは水滴形成を回避するための、眼鏡用レンズの被覆、または包装材料(例えば食料品の包装材料)の被覆である。
【0102】
本発明のポリウレタンウレアはまた、繁殖を低減するために、水と接触する表面を処理するのにも適している。この作用は、防汚作用とも称される。この防汚作用の極めて重要な用途の1つは、船体用水中被膜の分野にある。防汚処理を施していない船体は、極めて迅速に海洋生物で覆われ、摩擦が増加し、従って、可能な速度が低下し、燃費が悪化する。本発明の被覆剤は、海洋生物の繁殖を低減または防止し、この繁殖による前記不都合を防ぐ。防汚被膜分野における別の用途は、漁業用物品(例えば漁網)、および水中で使用される金属製基材の全て(例えば、パイプライン、掘削基地、ロック室および水門)などである。本発明の被覆剤を用いて製造された表面を有する船体は、特に喫水線のすぐ下で、低減された摩擦抵抗を有するので、そのように艤装された船の燃費は向上するかまたは速度が速くなる。このことは特に、スポーツ用ボートの分野およびヨット建造において興味が持たれている。
【0103】
先に記載した親水性被覆剤の用途の更に重要な分野は、印刷産業である。本発明の被膜によって疎水性表面を親水化することができ、その結果、極性印刷インキで印刷できるかまたはインクジェット技術を用いて印刷できるようになる。
【0104】
本発明の親水性被膜の用途の更なる分野は、化粧用途のための組成物である。
【0105】
本発明のポリウレタンウレアの被覆剤は、様々な方法によって適用することができる。本発明の溶液に適した被覆技術の例は、ナイフ塗り、印刷、転写式塗布、噴霧、スピンコーティングまたは浸漬を包含する。
【0106】
金属、布地、セラミックおよびプラスチックのような幅広い種類の基材を被覆することができる。プラスチック製または金属製の医療機器を被覆することが好ましい。挙げることのできる金属の例は、医療用のステンレス鋼およびニッケル−チタン合金を包含する。医療機器を構成し得る多くのポリマー材料が考えられ、その例は、ポリアミド;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリエステル;ポリ酢酸ビニル;天然ゴムおよび合成ゴム;スチレンおよび不飽和化合物(例えば、エチレン、ブチレンおよびイソプレン)のブロックコポリマー;ポリエチレン、またはポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;シリコーン;ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリウレタンである。親水性ポリウレタンウレアの医療機器への良好な接着のために、本発明の親水性被覆剤を適用する前に、更なる適当な被覆剤を下塗として適用してもよい。
【実施例】
【0107】
本発明の実施例および比較例に記載した樹脂のNCO含有量は、DIN EN ISO 11909に従って滴定によって測定した。
固形分はDIN EN ISO 3251に従って測定した。ポリウレタンウレア分散体または溶液(1g)を、赤外線乾燥機を用いて、恒量に達するまで115℃で乾燥した(15〜20分)。
ポリウレタンウレア分散体または溶液の平均粒度は、Malvern Instruments製の高性能粒度測定器(HPPS 3.3)を用いて測定した。
特に記載のない限り、%で記載した量は重量%として理解され、得られる分散体または溶液に対する量である。
引張強さは、DIN 53504に従って測定した。
Anton Paar GmbH(ドイツ国オストフィルデルン在)製Physics MCR 51 Rheometerを用いて、粘度を測定した。
【0108】
使用した物質および略語:
・Desmophen(登録商標) C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・Desmophen(登録商標) C1200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・Polyether LB 25:エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・1,4−シクロヘキサンジメタノール:Estman(米国テネシー州キングズポート在)からの製品
【0109】
ポリカーボネートジオール
実施例1
約1000g/molの数平均分子量を有する、シクロヘキサンジメタノールに基づく脂環式ポリカーボネートジオールの調製
上部取り付け型蒸留装置付属品、撹拌機および受器を備えた16L容の加圧反応器に、窒素雰囲気下、3042.4gのシクロヘキサンジメタノールを導入し、この初期導入物を、20mbarの減圧下、90℃で2時間脱水した。次いで、窒素雰囲気にし、還流冷却器を取り付けた。続いて、90℃で、0.7gのイットリウム(III)アセチルアセトネートおよび2377.9gの炭酸ジメチルを添加した。窒素雰囲気下、反応混合物を135℃で2時間加熱し、撹拌および還流しながら24時間維持した。その後、温度を150℃に上げ、この温度でバッチを4時間撹拌した。次いで、温度を180℃に上げ、この温度でバッチを更に4時間撹拌した。そして、温度を130℃に下げ、続く蒸留のために反応容器を改造した。その後、蒸留によって炭酸ジメチル含有混合物において脱離生成物であるメタノールを除去し、温度を180℃まで段階的に上げた。次いで、20mbarの減圧下、180℃で6時間維持した。この操作の過程で、炭酸ジメチル含有混合物において、メタノールは反応混合物から更に除去された。
空気を導入し、反応混合物が室温まで冷えた後、下記性質を有する、黄色がかった固体状ポリカーボネートジオールを得た:
=984g/mol、OH価=114mgKOH/g。
【0110】
実施例2
約500g/molの数平均分子量を有する、シクロヘキサンジメタノールに基づく脂環式ポリカーボネートジオールの調製
3119.5gのシクロヘキサンジメタノール、0.7gのイットリウム(III)アセチルアセトネートおよび1977.3gの炭酸ジメチルを用いた、実施例1と同様の手順
これにより、下記性質を有する、黄色がかった固体状ポリカーボネートジオールを得た:
=524g/mol、OH価=214mgKOH/g。
【0111】
ポリウレタンウレア溶液
実施例3a(比較)
195.4gのDesmophen C2200、30.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.4%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、350.0gのトルエンおよび200gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン11.8gの1−メトキシプロパン−2−オール94.0g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で5時間撹拌を継続した。これにより、22℃で37,100mPasの粘度を有する31.9%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液929gを得た。
【0112】
実施例4a(本発明)
97.8gのDesmophen C2200、48.9gの実施例1のポリカーボネートジオール、30.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.8%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、320.0gのトルエンおよび185gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン12.3gの1−メトキシプロパン−2−オール100g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で16時間撹拌を継続した。これにより、22℃で14,100mPasの粘度を有する28.6%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液841.8gを得た。
【0113】
実施例5a(本発明)
146.8gのDesmophen C2200、24.5gの実施例1のポリカーボネートジオール、30.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.6%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、320.0gのトルエンおよび185gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン11.4gの1−メトキシプロパン−2−オール90g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で22時間撹拌を継続した。これにより、22℃で24,400mPasの粘度を有する30.9%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液855.5gを得た。
【0114】
実施例6a:本発明の実施例4aおよび5aに対する比較例3aの接触角および100%モジュラス
1.静的接触角を測定するための被膜の製造
スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に、静的接触角を測定するための被膜を製造した。この目的のために、スピンコーターの試料台にスライドガラスを固定し、15%濃度の有機ポリウレタン溶液約2.5〜3gでスライドガラスを均一に被覆した。有機ポリウレタン溶液の全ては、トルエン65重量%およびイソプロパノール35重量%の溶媒混合物を用いて、ポリマー固形分15%まで希釈した。1300rpmで20秒間試料台を回転させることにより、均一な被膜を得た。この被膜を100℃で1時間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、接触角測定に直接付した。
得られたスライドガラス上被膜の上で、静的接触角を測定した。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ接触角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0115】
2.100%モジュラスを測定するための被膜の製造
200μmコーティングバーを用いて剥離紙上にフィルムを製造し、100℃で15分間乾燥した。DIN 53504に従って、打ち抜き試験片を調べた。
【0116】
3.調べた結果
【表1】

本発明の実施例4aおよび5aは、比較例3aと比べると、ポリカーボネートジオールDesmophen C2200の一部を本発明に必須のポリカーボネートジオールに置き換えた点で異なる。被膜状態で、本発明の物質は、比較例3aと同様の親水性を有する。本発明の物質の100%モジュラスはいずれも、比較例3aの100%モジュラスより大きい。
【0117】
実施例7a(比較)
この実施例は、比較例のポリウレタンウレア溶液の調製を記載する。
195.4gのDesmophen C2200、40.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.2%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、350.0gのトルエンおよび200gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン12.0gの1−メトキシプロパン−2−オール100g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、4時間撹拌を継続した。これにより、22℃で19,300mPasの粘度を有する31.6%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液945gを得た。
【0118】
実施例8a(本発明)
97.5gのDesmophen C2200、48.9gの実施例1のポリカーボネートジオール、40.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.5%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、320.0gのトルエンおよび180gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン11.2gの1−メトキシプロパン−2−オール100g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で5時間撹拌を継続した。これにより、22℃で13,100mPasの粘度を有する29.5%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液845.4gを得た。
【0119】
実施例9a(本発明)
146.8gのDesmophen C2200、24.5gの実施例1のポリカーボネートジオール、40.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.4%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、320.0gのトルエンおよび180gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン11.5gの1−メトキシプロパン−2−オール97.9g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で22時間撹拌を継続した。これにより、22℃で32,800mPasの粘度を有する31.6%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液868.5gを得た。
【0120】
実施例10a(本発明)
97.5gのDesmophen C2200、25.6gの実施例2のポリカーボネートジオール、40.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、3.0%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、310.0gのトルエンおよび170gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン12.7gの1−メトキシプロパン−2−オール100g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で22時間撹拌を継続した。これにより、22℃で8600mPasの粘度を有する28.2%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液803.6gを得た。
【0121】
実施例11a(本発明)
146.8gのDesmophen C2200、12.8gの実施例2のポリカーボネートジオール、40.0gのLB 25および47.8gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、2.5%の一定NCO含量になるまで110℃で反応させた。混合物を放冷し、330.0gのトルエンおよび185gのイソプロパノールで希釈した。室温で、イソホロンジアミン11.7gの1−メトキシプロパン−2−オール100g中溶液を添加した。分子量の増加が終了し、所望の粘度範囲に達した後、残留イソシアネート含有物をイソプロパノールでブロックするために、室温で6時間撹拌を継続した。これにより、22℃で11,400mPasの粘度を有する30.0%濃度のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシプロパン−2−オール中ポリウレタンウレア溶液874.1gを得た。
【0122】
実施例12a:本発明の実施例8a〜11aに対する比較例7aの接触角および100%モジュラス
1.静的接触角を測定するための被膜の製造
スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に、静的接触角を測定するための被膜を製造した。この目的のために、スピンコーターの試料台にスライドガラスを固定し、15%濃度の有機ポリウレタンウレア溶液約2.5〜3gでスライドガラスを均一に被覆した。有機ポリウレタンウレア溶液の全ては、トルエン65重量%およびイソプロパノール35重量%の溶媒混合物を用いて、ポリマー固形分15%まで希釈した。1300rpmで20秒間試料台を回転させることにより、均一な被膜を得た。この被膜を100℃で1時間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、接触角測定に直接付した。
得られたスライドガラス上被膜の上で、静的接触角を測定した。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ接触角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0123】
2.100%モジュラスを測定するための被膜の製造
200μmコーティングバーを用いて剥離紙上にフィルムを製造し、100℃で15分間乾燥した。DIN 53504に従って、打ち抜き試験片を調べた。
【0124】
3.調べた結果
【表2】

本発明の実施例8a〜11aは、比較例7aと比べると、ポリカーボネートジオールDesmophen C2200の一部を本発明に必須のポリカーボネートジオールに置き換えた点で異なる。被膜として、本発明の物質は、比較例7aと同様の親水性を示す。本発明の物質の100%モジュラスは全て、比較例7aの100%モジュラスより大きい。
【0125】
ポリウレタンウレア分散体
実施例3b(比較)
277.2gのDesmophen C2200、33.1gのLB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。混合物を110℃に加熱した。16時間後、2.4%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で711gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって590gの水を添加することによって分散を実施した。減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、40.7%の固形分および136nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0126】
実施例4b(本発明)
138.6gのDesmophen C2200、69.3gの実施例1のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。混合物を110℃に加熱した。75分後、2.9%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で700gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって530gの水を添加することによって分散を実施した。減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、38.4%の固形分および143nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0127】
実施例5b(本発明)
208gのDesmophen C2200、34.7gの実施例1のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。混合物を110℃に加熱した。16時間後、2.6%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で700gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって550gの水を添加することによって分散を実施した。減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、43.0%の固形分および115nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0128】
実施例6b(本発明)
138.6gのDesmophen C2200、36.2gの実施例2のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。混合物を110℃に加熱した。14.5時間後、3.3%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で670gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって500gの水を添加することによって分散を実施した。減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、38.6%の固形分および147nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0129】
実施例7b(本発明)
208gのDesmophen C2200、18.1gの実施例2のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。混合物を110℃に加熱した。17時間後、2.7%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で700gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって550gの水を添加することによって分散を実施した。減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、39.7%の固形分および122nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0130】
実施例8b:本発明の実施例4b〜7bに対する比較例3bの接触角および100%モジュラス
1.静的接触角を測定するための被膜の製造
スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に、静的接触角を測定するための被膜を製造した。この目的のために、スピンコーターの試料台にスライドガラスを固定し、未希釈ポリウレタンウレア水性分散体約2.5〜3gでスライドガラスを均一に被覆した。1300rpmで20秒間試料台を回転させることにより、均一な被膜を得た。この被膜を100℃で15分間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、接触角測定に直接付した。
得られたスライドガラス上被膜の上で、静的接触角を測定した。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ接触角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0131】
2.100%モジュラスを測定するための被膜の製造
200μmコーティングバーを用いて剥離紙上に被覆剤を適用した。フィルム製造前に、水性分散体を2重量%の増粘剤(Borchi Gel A LA、Brochers(ドイツ国ランゲンフェルト在))と混合し、室温で30分間撹拌することにより均質化した。湿潤フィルムを100℃で15分間乾燥した。
DIN 53504に従って、打ち抜き試験片を調べた。
【0132】
3.調べた結果
【表3】

本発明の実施例4b〜7bは、比較例3bと比べると、ポリカーボネートジオールDesmophen C2200の一部を新規な本発明のポリカーボネートジオールに置き換えた点で異なる。被膜として、本発明の物質は、比較例3bと同様の親水性を示し、いずれの接触角も30°より小さい。本発明の物質の100%モジュラスは全て、比較例3bの100%モジュラスより大きい。
【0133】
実施例9b(比較)
277.2gのDesmophen C1200、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。75分後、2.4%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で711gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって590gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、39.9%の固形分および169nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0134】
実施例10b(本発明)
208.0gのDesmophen C1200、34.7gの実施例1のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。2時間40分後、2.6%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で700gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって530gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、40.8%の固形分および132nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0135】
実施例11b(本発明)
138.6gのDesmophen C1200、69.3gの実施例1のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。2.5時間後、2.9%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で700gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって530gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、40.2%の固形分および132nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0136】
実施例12b(本発明)
138.6gのDesmophen C1200、36.2gの実施例2のポリカーボネートジオール、33.1gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。2.5時間後、3.2%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で670gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって500gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、39.7%の固形分および151nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0137】
実施例13b:本発明の実施例10b〜12bに対する比較例9bの接触角および100%モジュラス
1.静的接触角を測定するための被膜の製造
スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に、静的接触角を測定するための被膜を製造した。この目的のために、スピンコーターの試料台にスライドガラスを固定し、未希釈ポリウレタンウレア水性分散体約2.5〜3gでスライドガラスを均一に被覆した。1300rpmで20秒間試料台を回転させることにより、均一な被膜を得た。この被膜を100℃で15分間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、接触角測定に直接付した。
得られたスライドガラス上被膜の上で、静的接触角を測定した。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ接触角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0138】
2.100%モジュラスを測定するための被膜の製造
200μmドクターブレードを用いて剥離紙上に被覆剤を適用した。フィルム製造前に、水性分散体を2重量%の増粘剤(Borchi Gel A LA、Brochers(ドイツ国ランゲンフェルト在))と混合し、室温で30分間撹拌することにより均質化した。湿潤フィルムを100℃で15分間乾燥した。
DIN 53504に従って、打ち抜き試験片を調べた。
【0139】
3.調べた結果
【表4】

本発明の実施例10b〜12bは、比較例9bと比べると、ポリカーボネートジオールDesmophen C1200の一部を新規な本発明のポリカーボネートジオールに置き換えた点で異なる。被膜として、本発明の物質は、比較例9bと同様の親水性を示し、いずれの接触角も30°より小さい。本発明の物質の100%モジュラスは全て、比較例9bの100%モジュラスより大きい。
【0140】
実施例14b(比較)
269.8gのDesmophen C2200、49.7gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。21時間後、2.4%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で711gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって590gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、41.3%の固形分および109nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0141】
実施例15b(本発明)
135gのDesmophen C2200、67.5gの実施例1のポリカーボネートジオール、49.7gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。17.5時間後、2.5%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で650gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって520gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、39.8%の固形分および80nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0142】
実施例16b(本発明)
202.4gのDesmophen C2200、33.7gの実施例1のポリカーボネートジオール、49.7gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。17時間後、2.5%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で650gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって540gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、41.3%の固形分および85nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0143】
実施例17b(本発明)
202.6gのDesmophen C2200、17.7gの実施例2のポリカーボネートジオール、49.7gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。17時間後、2.6%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で670gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって550gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、41.4%の固形分および85nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0144】
実施例18b(本発明)
135gのDesmophen C2200、35.3gの実施例2のポリカーボネートジオール、49.7gのPolyether LB 25および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物を、65℃で1分間にわたって、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)と、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートと混合した。バッチを110℃に加熱した。17.5時間後、3.1%の理論NCO値に達した。得られたプレポリマーを50℃で620gのアセトンに溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g中溶液を10分間にわたって計量添加した。続いて、5分間撹拌した。その後、15分間にわたって490gの水を添加することによって分散を実施した。次いで、減圧下、蒸留によって溶媒を除去した。これにより、39.2%の固形分および79nmの平均粒度を有する、貯蔵安定なポリウレタンウレア分散体を得た。
【0145】
実施例19b:本発明の実施例15b〜18bに対する比較例14bの接触角および100%モジュラス
1.静的接触角を測定するための被膜の製造
スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に、静的接触角を測定するための被膜を製造した。この目的のために、スピンコーターの試料台にスライドガラスを固定し、未希釈ポリウレタン水性分散体約2.5〜3gでスライドガラスを均一に被覆した。1300rpmで20秒間試料台を回転させることにより、均一な被膜を得た。この被膜を100℃で15分間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、接触角測定に直接付した。
得られたスライドガラス上被膜の上で、静的接触角を測定した。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ接触角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0146】
2.100%モジュラスを測定するための被膜の製造
200μmドクターブレードを用いて剥離紙上に被覆剤を適用した。フィルム製造前に、水性分散体を2重量%の増粘剤(Borchi Gel A LA、Brochers(ドイツ国ランゲンフェルト在))と混合し、室温で30分間撹拌することにより均質化した。湿潤フィルムを100℃で15分間乾燥した。
DIN 53504に従って、打ち抜き試験片を調べた。
【0147】
3.調べた結果
【表5】

本発明の実施例15b〜18bは、比較例14bと比べると、ポリカーボネートジオールDesmophen C2200の一部を新規な本発明のポリカーボネートジオールに置き換えた点で異なる。被膜として、本発明の物質は、比較例14bと同様の親水性を示し、いずれの接触角も30°より小さい。本発明の物質の100%モジュラスは全て、比較例14bの100%モジュラスより大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー単位の少なくとも1つで終端されたポリウレタンウレアであって、少なくとも1つの結合Rによってポリマー鎖に結合された式(I):
【化1】

で示される構造単位の少なくとも1つを有することを特徴とするポリウレタンウレア。
【請求項2】
イオン性基またはイオノゲン基を含有しないことを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンウレア。
【請求項3】
1.7〜2.3の平均ヒドロキシル官能価を好ましくは有するポリカーボネートポリオール成分に基づくことを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタンウレア。
【請求項4】
ポリカーボネートポリオール成分が、炭酸誘導体と式(II):
【化2】

で示される二官能性アルコールとの反応によって得ることができるポリカーボネートポリオールa1)を含んでなることを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタンウレア。
【請求項5】
ポリカーボネートポリオール成分が、ポリカーボネートポリオールa1)に加えて別のポリカーボネートポリオールa2)も含んでなることを特徴とする、請求項4に記載のポリウレタンウレア。
【請求項6】
ポリカーボネートポリオールa2)が、1.7〜2.3の平均ヒドロキシル官能価および400〜6000g/molのOH価によって決定された分子量を有する、ヘキサン−1,6−ジオール、ブタン−1,4−ジオールまたはそれらの混合物に基づく化合物であることを特徴とする、請求項5に記載のポリウレタンウレア。
【請求項7】
終端化に使用されるポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー単位が、500g/mol〜5000g/molの数平均分子量を有し、アルキレンオキシド単位の総量に基づいて少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位および60mol%以下のプロピレンオキシド単位のモノヒドロキシ官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルに基づくことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタンウレア。
【請求項8】
溶解状態で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンウレア。
【請求項9】
ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、トルエン、直鎖および環式のエステル、エーテル、ケトンおよび/またはアルコール中に、好ましくは、トルエンとエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよび/または1−メトキシ−2−プロパノールとの混合物中に、溶解していることを特徴とする、請求項8に記載のポリウレタンウレア。
【請求項10】
分散状態で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンウレア。
【請求項11】
水中に分散していることを特徴とする、請求項10に記載のポリウレタンウレア。
【請求項12】
少なくとも1種の活性薬理成分を含んでなることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のポリウレタンウレア。
【請求項13】
基材上に被膜を製造するための、請求項1〜12のいずれかに記載のポリウレタンウレアの使用。
【請求項14】
基材が医療機器、特にステントまたはカテーテルであることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
ポリカーボネートポリオール成分a)、少なくとも1種のポリイソシアネート成分b)、少なくとも1種のポリオキシアルキレンエーテル成分c)、少なくとも1種のジアミンおよび/またはアミノアルコール成分d)、並びに必要に応じて別のポリオール成分を互いに反応させる、請求項1〜12のいずれかに記載のポリウレタンウレアの製造方法。

【公表番号】特表2013−505304(P2013−505304A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529141(P2012−529141)
【出願日】平成22年9月4日(2010.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005440
【国際公開番号】WO2011/032650
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】