説明

システムキッチン

【課題】清掃に手間がかからず、かつ、断熱効果が高くて安全性にも優れたシステムキッチンを提供すること。
【解決手段】シンク1における水槽部11とコンロ部2とが隣接一体化して構成されるシステムキッチンであって、前記シンク1には水槽部11を形成して、かつ、この水槽部11の上縁近傍にはカラン12を配設し、当該水槽部11の底板には排水用のドレンを設ける一方、コンロ部2を前記シンク1における水槽部11の側方に隣接して添設し、複数のバーナー21・21…を備え、各バーナー21はバーナーヘッドの下方にガス管を延成させて棒状に作製する一方、当該コンロ部2の底面には水受け部を形成して、この水受け部の底板から前記ガス管を柱状に立設し、この水受け部に水を流した状態または溜めた状態で前記バーナー21を使用可能に構成するという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンの改良、更に詳しくは、清掃に手間がかからず、かつ、断熱効果が高くて安全性にも優れたシステムキッチンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、家庭用のキッチンにおいては、食器や食材を洗うためのシンクと、食材を加熱調理するためのコンロ部を一体に組み合わせて構成される所謂「システムキッチン」が流行している。
【0003】
ところで、従来のシステムキッチンにあっては、コンロ部において鍋などの調理器具を載置する箇所において、五徳や網状のトッププレートを有するものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
しかしながら、調理の際には不可避的に煮こぼれや吹きこぼれが生じ、それが焦げ付いてこびりついてしまうため、コンロ部の掃除は非常に面倒であった。特に、前記のような五徳が用いられるものについては、凹凸が多く形状が複雑であるため、隙間に手が届き難く清浄作業が面倒であり、洗い残しが生じ易いという問題があった。
【0005】
また、汚れ防止のために、使用前に予めアルミホイル製の「汁受け」を敷いてから使用することもできるが、このホイルを交換する手間がかかるという不満がある。
【0006】
更にまた、コンロ部は調理する際の炎によって高温になり易いため、加熱された本体の金属部分によって火傷を負ったり、また、熱によってこの金属板が延伸して反り曲がってしまうというおそれもあった。
【特許文献1】特開2004−290506号公報(第3−5頁、図1−2)
【特許文献2】特開2001−333824号公報(第3−5頁、図1、7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のシステムキッチンに上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、清掃に手間がかからず、かつ、断熱効果が高くて安全性にも優れたシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、シンク1における水槽部11とコンロ部2とが隣接一体化して構成されるシステムキッチンであって、
前記シンク1には水槽部11を形成して、かつ、この水槽部11の上縁近傍にはカラン12を配設し、当該水槽部11の底板13には排水用のドレン14を設ける一方、
コンロ部2を前記シンク1における水槽部11の側方に隣接して添設し、複数のバーナー21・21…を備え、各バーナー21はバーナーヘッド21aの下方にガス管21bを延成させて棒状に作製する一方、当該コンロ部2の底面には水受け部22を形成して、この水受け部22の底板22aから前記ガス管21bを柱状に立設し、この水受け部22に水を流した状態または溜めた状態で前記バーナー21を使用可能に構成するという技術的手段を採用することによってシステムキッチンを完成させた。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルを相対的に高くして、コンロ部2の底板において溜めた水を、前記シンク1側に排水可能にするという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルを相対的に低くして、シンク1の底板において溜めた水を、前記コンロ部2側に排水可能にするという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分を隔壁部3によって分離して、この隔壁部3の前記コンロ部2側に水受け部22を構成するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分に着脱自在な仕切パネル部材31を配設して、隔壁部3を構成するという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、コンロ部2の水受け部22の側縁近傍には、当該水受け部22内に水を供給可能なカラン23を備えており、かつ、この水受け部22の底板22aにドレン部24を設けるという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1とコンロ部2との境界部の開口縁部近傍にカラン12を配設して、これらシンク1における水槽部11とコンロ部2との両方にそれぞれ水を供給可能にするという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11コンロ部2との外周縁部を一体に連続させて、この縁部に沿って段差部4を形成し、この段差部4の両端縁部に亙って、カウンタートップ天板5とコンロトッププレート材6とを架設可能にするという技術的手段を採用した。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シンク1における水槽部11の底板13において、カウンタートップ天板5および/またはコンロトッププレート材6のための立て掛け凸部13aを形成するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、シンクには水槽部を形成して、かつ、この水槽部の上縁近傍にはカランを配設し、当該水槽部の底板には排水用のドレンを設ける一方、コンロ部を前記シンクの側方に隣接して添設して、複数のバーナーを設け、各バーナーをバーナーヘッドの下方にガス管を延成させて棒状に作製する一方、当該コンロ部の底面には水受け部を形成して、この水受け部の底板から前記ガス管を柱状に立設したことによって、この水受け部に水を流した状態または溜めた状態で前記バーナーを使用することができる。
【0019】
したがって、本発明のシステムキッチンによれば、清掃に手間がかからず、かつ、断熱効果が高くて安全性にも優れており、また、五徳の突出を抑えたデザインにすることができるので、所謂ワークトップをフラットにすることも可能であり、調理の使い勝手も良くなり、しかも、スッキリとした外観を呈し装飾的な意匠性をも付与することができることから、システムキッチンとしての実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0021】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図6に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはシンクであり、このシンク1は、主として洗い作業を行う部位である。
【0022】
また、符号2で指示するものはコンロ部であり、このコンロ部2は、複数のバーナー21・21…(図面上、3つ)を備えており、ガスの炎による食材の加熱調理が可能な部位である。
【0023】
しかして、本発明は、シンク1における水槽部11とコンロ部2とが隣接一体化して構成されるシステムキッチンであって、構成するにあっては、まず、前記シンク1には水槽部11を形成して、かつ、この水槽部11の上縁近傍にはカラン12を配設し、当該水槽部11の底板13には排水用のドレン14を設ける。この際、この底板13には、ドレン14に向かう排水勾配を設ける。
【0024】
次いで、コンロ部2は当該シンク1における水槽部11の側方に隣接して添設する部位であって、複数のバーナー21・21…(本実施形態では、3個)を備えており、各バーナー21はバーナーヘッド21aの下方にガス管21bが延成した棒状に作製する。
【0025】
そして、当該コンロ部2の底面には水受け部22を形成して、この水受け部22の底板22aから前記ガス管21bを柱状に立設する(図1および2参照)。
【0026】
このように構成したことにより、ガス管21bは水の影響を受けないことから、この水受け部22に水を流した状態または溜めた状態で前記バーナー21を使用することができる。したがって、調理の際には不可避的に煮こぼれや吹きこぼれが生じるけれども、それが焦げ付いてこびりつく前に、洗い流すことができるのである。
【0027】
また、本実施形態では、シンク1における水槽部11とコンロ部2との外周縁部を一体に連続させて、この縁部に沿って段差部4を形成することによって、この段差部4の両端縁部に亙って、カウンタートップ天板5(調理用作業台)およびコンロトッププレート材6(調理器具載置用金網)を架設することが可能である(図3および4参照)。
【0028】
なお、本実施形態では、シンク1の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルを相対的に高くすることができ、コンロ部2の底板において溜めた水を、前記シンク1側に排水することができる(図5参照)。
【0029】
この場合には、コンロ部2の水受け部22の側縁近傍に、当該水受け部22内に水を供給可能なカラン23を備え、かつ、この水受け部22の底板22aにドレン部24を設けることによって、この底板22aを適切に洗い流して排水することができる(図5参照)。
【0030】
また、逆に、シンク1における水槽部11の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルを相対的に低くすることができ、シンク1の底板において溜めた水を、前記コンロ部2側に排水することもできる(図6参照)。
【0031】
『第2実施形態』
本発明の第2実施形態を図7から図10に基づいて説明する。本実施形態では、シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分を隔壁部3によって分離して、この隔壁部3の前記コンロ部2側が水受け部22を構成している(図7参照)。
【0032】
このように構成することによって、シンク1とコンロ部2との水系をそれぞれ独立にすることができ、シンク1における水槽部11において溜まった洗い物による排水と、コンロ部2において発生した吹きこぼれ等の排水とを分離することができるので、排水が混じらずに衛生的で使い勝手が良い。
【0033】
なお、本実施形態では、シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部の縁部近傍にカラン12を配設して、これらシンク1およびコンロ部2の両方にそれぞれ水を供給することができる(図8参照)。
【0034】
また、本実施形態では、シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分に着脱自在な仕切パネル部材31を配設して、隔壁部3を構成することもできる(図9および10参照)。このように構成することによって、シンク1にのみ水を溜めて作業するのに便利になる。
【0035】
『第3実施形態』
本発明の第3実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態では、シンク1における水槽部11の底板13において、カウンタートップ天板5および/またはコンロトッププレート材6のための立て掛け凸部13aを形成する(図11参照)。
【0036】
このように構成することにより、未使用時にはスッキリと収納することができ、かつ、水滴が垂れ落ちて水切りがし易くなるので、非常に使い勝手が良い。なお、立て掛け凸部13aの形状は、図示したような長手のリブ形状のものに限らず、数箇所に突起を設けたものや、図12に示すような把手パイプ状のものであっても良い。
【0037】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、シンク1および/またはコンロ部2のカラン12は、シャワー式に水が出るものであっても良い。また、コンロ部2のバーナー21の数量は適宜変更することができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす説明正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの変形例の構造を表わす説明正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるシステムキッチンの変形例の構造を表わす説明正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす説明正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす説明正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態におけるシステムキッチンの構造を表わす説明正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態におけるシステムキッチンの変形例の構造を表わす斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態におけるシステムキッチンの変形例の構造を表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 シンク
11 水槽部
12 カラン
13 底板
13a 立て掛け凸部
14 ドレン
2 コンロ部
21 バーナー
21a バーナーヘッド
21b ガス管
22 水受け部
22a 底板
23 カラン
24 ドレン部
3 隔壁部
31 仕切パネル部材
4 段差部
5 カウンタートップ天板
6 コンロトッププレート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク1における水槽部11とコンロ部2とが隣接一体化して構成されるシステムキッチンであって、
前記シンク1には水槽部11が形成され、かつ、この水槽部11の上縁近傍にはカラン12が配設されており、当該水槽部11の底板13には排水用のドレン14が設けられている一方、
コンロ部2は前記シンク1における水槽部11の側方に隣接して添設されており、複数のバーナー21・21…を備え、各バーナー21はバーナーヘッド21aの下方にガス管21bが延成して棒状に作製されている一方、当該コンロ部2の底面には水受け部22が形成され、この水受け部22の底板22aから前記ガス管21bが柱状に立設されており、この水受け部22に水を流した状態または溜めた状態で前記バーナー21を使用可能に構成したことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
シンク1における水槽部11の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルが相対的に高くなっており、コンロ部2の底板において溜めた水が、前記シンク1側に排水可能であることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
シンク1における水槽部11の底板レベルよりもコンロ部2の底板レベルが相対的に低くなっており、シンク1の底板において溜めた水が、前記コンロ部2側に排水可能であることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項4】
シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分が隔壁部3によって分離されており、この隔壁部3の前記コンロ部2側が水受け部22を構成していることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項5】
シンク1における水槽部11とコンロ部2との境界部分に着脱自在な仕切パネル部材31を配設し、隔壁部3を構成したことを特徴とする請求項4記載のシステムキッチン。
【請求項6】
コンロ部2の水受け部22の側縁近傍には、当該水受け部22内に水を供給可能なカラン23を備えており、かつ、この水受け部22の底板22aにドレン部24を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のシステムキッチン。
【請求項7】
シンク1とコンロ部2との境界部の開口縁部近傍にカラン12が配設されており、これらシンク1における水槽部11とコンロ部2との両方にそれぞれ水を供給可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のシステムキッチン。
【請求項8】
シンク1における水槽部11コンロ部2との外周縁部が一体に連続して、この縁部に沿って段差部4が形成されており、この段差部4の両端縁部に亙って、カウンタートップ天板5とコンロトッププレート材6とを架設可能であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のシステムキッチン。
【請求項9】
シンク1における水槽部11の底板13において、カウンタートップ天板5および/またはコンロトッププレート材6のための立て掛け凸部13aが形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載のシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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