システムトラス
【課題】軽量化を図りつつ、強度を維持・向上させることができるシステムトラスを提供するものである。
【解決手段】トラス構造の第1の側面構造体102aと、トラス構造の第2の側面構造体102bと、第1の側面構造体102aと第2の側面構造体102bとの間で、第1の側面構造体102a及び第2の側面構造体102bと直交するように接続するX形状のトラス103とを有することを特徴とする。
【解決手段】トラス構造の第1の側面構造体102aと、トラス構造の第2の側面構造体102bと、第1の側面構造体102aと第2の側面構造体102bとの間で、第1の側面構造体102a及び第2の側面構造体102bと直交するように接続するX形状のトラス103とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムトラスに関し、より詳しくは、建造物の補強構造体として、或いは建築用足場として複数組み立てて用いられる断面が四角形のシステムトラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物では、補強構造体として建造物の壁、床等の建築構造物の荷重を支えるため、或いは建築現場では、足場として建築用資材の荷重を支えるため、断面が四角形のシステムトラスが用いられている。システムトラスは、四角い筒状で、側面にトラス構造か形成されている。
【0003】
関連する技術として、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2007−262843号公報
【特許文献2】特開2008−8134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、特に建造物では一層の耐震性の向上が要求されており、システムトラスの強度向上が要求されるようになってきている。その要求に対して、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりして対応している。
【0005】
しかしながら、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりすると、システムトラスの重量が重くなるため、運搬に時間やコストがかかり、またシステムトラスを組み立てて補強構造体を作製する際にも多大な労力を要する。
【0006】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、軽量化を図りつつ、強度を維持・向上させることができるシステムトラスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一観点によれば、トラス構造の第1の側面構造体と、トラス構造の第2の側面構造体と、前記第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、前記第1及び第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスとを有することを特徴とするシステムトラスが提供される。
【0008】
また、好ましくは、前記第1及び第2の側面構造体はそれぞれ、上下の弦材と、該上下の弦材を連結する束材及び第1の斜材とを有する。
【0009】
さらに、好ましくは、前記第1の斜材は、一つのV字形状をなし、或いは複数のV字が連接された形状をなしている。
【0010】
また、好ましくは、前記X形状のトラスは、前記第1及び第2の側面構造体の上の前記弦材と連結する上の横材と、前記第1及び第2の側面構造体の下の前記弦材と連結する該下の横材と、該上下の横材との間で、該上下の横材に接続されたX形状の第2の斜材とを有する。
【0011】
さらに、好ましくは、前記上の横材の間及び前記下の横材の間に、それぞれ、該横材又は前記第1及び第2の側面構造体に接続する第3の斜材が設けられている。
【0012】
また、好ましくは、前記第1及び第2の側面構造体は、前記弦材と前記X形状のトラスの前記横材とを連結する連結部材を有する。
【0013】
さらに好ましくは、前記システムトラスは、前記第1及び第2の側面構造体と、前記X形状のトラスとを組み立てて形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシステムトラスによれば、第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、第1及び第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスを有している。
【0015】
第1及び第2の側面構造体により、側面構造体の側面の長手方向、すなわちシステムトラスの軸方向の応力に対する強度、及び側面構造体の側面に垂直な方向の応力に対する強度が維持されるとともに、X形状のトラスにより、側面構造体の側面に対して垂直な平面内で、側面構造体の側面に偏って係る応力に対する強度が向上する。
【0016】
これにより、システムトラスの部材をそのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりせずに、軽量化しつつ、システムトラスの強度を維持・向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(1)本発明の実施の形態に係るシステムトラスの構造
図1は、本発明の実施の形態であるシステムトラスを示す斜視図である。
【0019】
まず、本実施形態に係るシステムトラスの全体の構成について説明する。
【0020】
そのシステムトラスは、図1に示すように、4つの長尺の弦材1a〜1dが四角柱の側部稜線の相当部にそれぞれ配置された本体フレーム101を有し、その本体フレーム101の側面にトラス構造が形成されている。トラス構造は、本体フレーム101の対向する側面A1、A2では、それぞれ、弦材(1a、1b)、(1c、1d)同士を連結して設けられた束材2a、2b及び第1の斜材3a、3bとで形成されている。また、本体フレーム101の他の対向する側面B1、B2では、トラス構造は、それぞれ弦材(1a、1c)、(1b、1d)同士を連結して設けられた横材4a、4b及び第2の斜材(第3の斜材)5a、5bとで形成されている。
【0021】
本実施形態に係るシステムトラスは、さらに、側面A1、A2、B1、B2に垂直な、弦材1a〜1dで囲まれた面内で、X形状を形成する交差して設けられた第3の斜材(第2の斜材)6a、6bを備えている。
【0022】
なお、図1では、弦材1a〜1dと横材4a、4bは、連結ピース(連結部材)7を介して連結されているが、連結ピース7を介さずに直接連結させてもよい。
【0023】
次に、各部材の詳細な配置について図1及び図2(a)〜(c)を参照して説明する。
【0024】
図2(a)は、弦材1a、1bの間に束材2a及び第1の斜材3a、3bが設けられた側面A1の構造を示す部分拡大側面図である。図2(b)は、弦材1a、1cの間に横材4a及び第2の斜材5a、5bが設けられた側面B1の一部分の構造を示す部分拡大側面図である。図2(c)は、第3の斜材6a、6bが設けられた平面の構造を示す拡大側面図である。
【0025】
図1に示すように、側面A1の束材2aと側面A2の束材2bは、互いに位置を合わせて配置されている。側面A1の束材2aは弦材1a、1bにほぼ垂直に取り付けられる。側面A1の第1の斜材3a、3bは、弦材1a、1bに斜めに取り付けられて、束材2aの間で複数のV字形状3が連接された形状をなしている。なお、第1の斜材3a、3bは、束材2aの間で一つのV字形状をなすように配置されてもよい。以上は、側面A2でも同様である。なお、V字形状という場合、逆V字形状も含む。弦材1a〜1dと、束材2a、2b及び第1の斜材3a、3bとの接点は、溶接やリベットやボルト・ナットで接合される。
【0026】
図2(a)に示すように、弦材1a、1bの間隔b1を900mmとし、一つのV字形状3の横幅a1を850mmとしている。また、V字形状3の下部の第1の斜材3a及び3bで形成された頂角θ1は48度に、V字形状3の上部において、それぞれの第1の斜材3a、3bと弦材1aとのなす角度θ2、θ3はそれぞれ66度に設定されている。これは、側面A2でも同様である。
【0027】
横材4aと4bは、本体フレーム101の他の対向する側面B1とB2の間で互いに位置を合わせて配置されている。側面B1の横材4aは弦材1a、1cにほぼ直角に取り付けられる。さらに、側面B1の横材4aは一つおきに、束材2a及び2bと位置を合わせて配置されている。また、側面B1で第2の斜材5a、5bは、横材4aの間に交差して配置されている。これらは、側面B2でも同様である。なお、側面B2では、図面を見やすくするためそれらは省略されている。
【0028】
図2(b)に示すように、弦材1a、1cの間隔b2を700mmとし、横材4aの間隔a2を1275mmとしている。弦材1a、1cには幅広の接合部を有する連結ピース7が取り付けられ、横材4aの両端には幅広の接合部8が形成されており、それらの接合部同士を接合して弦材1a、1cと横材4aとが連結できるようになっている。また、第2の斜材5a、5bの両端は連結ピース7に接合されている。各接合部は溶接やリベットやボルト・ナット等により接合される。これは、側面B2でも同様である。
【0029】
第3の斜材6a、6bは、側面A1、A2、B1、B2に垂直な、弦材1a〜1dで囲まれた平面内に設けられ、図1では、横材4a及び4bの形成箇所に対応して設けられている。なお、横材4a及び4bの形成箇所の一部の第3の斜材6a、6bは省略されてもよい。
【0030】
第3の斜材6a、6bが設けられた平面の大きさは、図2(c)に示す縦寸法(弦材の間隔)b3が900mm、横寸法(弦材の間隔)a3が700mmとなっている。第3の斜材6a、6bは、X形状に形成されて、側面B1の横材4aと側面B2の横材4b同士を連結している。なお、第3の斜材6a、6bは、側面A1の束材2aと、側面A2の束材2b同士を連結して設けられていてもよいし、本体フレーム101の対角の弦材1aと1d同士、及び対角の弦材1bと1c同士を連結して設けられていてもよい。第3の斜材6a、6bと、横材4a、4b、束材2a、2b又は弦材1a〜1dとの接点は、溶接やリベットやボルト・ナットで接合される。
【0031】
上記システムトラスの部材である、弦材1a〜1d、束材2a、2b、横材4a、4b、斜材3a、3b、5a、5b、6a、6bなどは、鋼材で作製される。
【0032】
以上のように、本発明のシステムトラスによれば、トラス構造の側面構造体と、そのトラス構造の側面構造体に垂直な面に、X形状に配置された第3の斜材6a、6bとを有している。
【0033】
トラス構造の側面構造体により、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2の長手方向、すなわちシステムトラスの軸方向の応力に対する強度、及び側面構造体の各側面A1、A2、B1、B2に垂直な方向の応力で、各側面A1、A2、B1、B2に均等に係る応力に対する強度が維持される。さらに、第3の斜材6a、6bにより、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2に垂直な平面内で、側面A1、A2、B1、B2に偏って係る応力に対する強度が向上する。なお、第3の斜材6a、6bが設けられていない場合、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2に応力が偏ってかかった場合、本体フレーム101が平行四辺形状に変形する恐れがある。
【0034】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりせずに、軽量化しつつ、システムトラスの強度を維持・向上させることができる。
【0035】
(2)本発明の実施の形態に係るシステムトラスの構造の変形例
図3は、本発明の実施の形態であるシステムトラスの変形例を示す斜視図である。
【0036】
図1のシステムトラスは、一体構成としてもよいが、例えば、図3に示すように、システムトラスを、第1の側面構造体102a、第2の側面構造体102b、X形状のトラス103、及び第2の斜材5a、5bに分割して形成しておき、それらを組み立てることで、完成したシステムトラスを得るようにすることも可能である。
【0037】
第1の側面構造体102aは、束材2a、第1の斜材3a、3b、上下2つの弦材1a、1b及び連結ピース(連結部材)7で形成され、第2の側面構造体102bは、束材2b、第1の斜材3a、3b、上下2つの弦材1c、1d及び連結ピース(連結部材)7で形成されている。X形状のトラス103は、上下の横材4a、4b及び第3の斜材6a、6bで形成されている。
【0038】
これらを組み立てる場合、第1及び第2の側面構造体フレーム102a、102bの弦材1a〜1dに取り付けられた連結ピース(連結部材)7とX形状のトラス103の横材4a、4bとを連結する。連結は、連結ピース7と横材4a、4bの接合部同士を溶接やリベットやボルト・ナットで接合することにより行う。
【0039】
このように、システムトラスを部分構造に分割することにより、作製が容易になるとともに、トラックなどの荷台に、完成品で載置し得るよりも多くの完成品相当の部分構造を積載できるため、より効率的に、かつ低コストで運搬できることになる。
【0040】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のシステムトラスは、軽量化を図りつつ、強度の維持・向上を図ることができるので、建造物の補強構造体や、建築現場の足場などを構成する部材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態であるシステムトラスを示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1のシステムトラスの対向する側面の一部分の構造を示す部分拡大側面図であり、(b)は、図1のシステムトラスの他の対向する側面の一部分の構造を示す部分拡大側面図であり、(c)は、図1のシステムトラスの側面に垂直な、弦材で囲まれた平面の構造を示す拡大側面図である。
【図3】本発明の実施の形態であるシステムトラスの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1a、1b、1c、1d 本体フレーム
2a、2b 束材
3 V字形状
3a、3b 第1の斜材
4a、4b 横材
5a、5b 第2の斜材(第3の斜材)
6a、6b 第3の斜材(第2の斜材)
7 連結ピース(連結部材)
101 本体フレーム
102a 第1の側面構造体
102b 第2の側面構造体
103 X形状のトラス
A1、A2 本体フレームの対向する側面
B1、B2 本体フレームの他の対向する側面
a1 V字形状の横幅
a2 横材の間隔
b1、b2 弦材の間隔
a3 横寸法(弦材の間隔)
b3 縦寸法(弦材の間隔)
θ1 V字形状の頂角
θ2、θ3 V字形状の第1の斜材と弦材とのなす角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムトラスに関し、より詳しくは、建造物の補強構造体として、或いは建築用足場として複数組み立てて用いられる断面が四角形のシステムトラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物では、補強構造体として建造物の壁、床等の建築構造物の荷重を支えるため、或いは建築現場では、足場として建築用資材の荷重を支えるため、断面が四角形のシステムトラスが用いられている。システムトラスは、四角い筒状で、側面にトラス構造か形成されている。
【0003】
関連する技術として、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2007−262843号公報
【特許文献2】特開2008−8134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、特に建造物では一層の耐震性の向上が要求されており、システムトラスの強度向上が要求されるようになってきている。その要求に対して、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりして対応している。
【0005】
しかしながら、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりすると、システムトラスの重量が重くなるため、運搬に時間やコストがかかり、またシステムトラスを組み立てて補強構造体を作製する際にも多大な労力を要する。
【0006】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、軽量化を図りつつ、強度を維持・向上させることができるシステムトラスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一観点によれば、トラス構造の第1の側面構造体と、トラス構造の第2の側面構造体と、前記第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、前記第1及び第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスとを有することを特徴とするシステムトラスが提供される。
【0008】
また、好ましくは、前記第1及び第2の側面構造体はそれぞれ、上下の弦材と、該上下の弦材を連結する束材及び第1の斜材とを有する。
【0009】
さらに、好ましくは、前記第1の斜材は、一つのV字形状をなし、或いは複数のV字が連接された形状をなしている。
【0010】
また、好ましくは、前記X形状のトラスは、前記第1及び第2の側面構造体の上の前記弦材と連結する上の横材と、前記第1及び第2の側面構造体の下の前記弦材と連結する該下の横材と、該上下の横材との間で、該上下の横材に接続されたX形状の第2の斜材とを有する。
【0011】
さらに、好ましくは、前記上の横材の間及び前記下の横材の間に、それぞれ、該横材又は前記第1及び第2の側面構造体に接続する第3の斜材が設けられている。
【0012】
また、好ましくは、前記第1及び第2の側面構造体は、前記弦材と前記X形状のトラスの前記横材とを連結する連結部材を有する。
【0013】
さらに好ましくは、前記システムトラスは、前記第1及び第2の側面構造体と、前記X形状のトラスとを組み立てて形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシステムトラスによれば、第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、第1及び第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスを有している。
【0015】
第1及び第2の側面構造体により、側面構造体の側面の長手方向、すなわちシステムトラスの軸方向の応力に対する強度、及び側面構造体の側面に垂直な方向の応力に対する強度が維持されるとともに、X形状のトラスにより、側面構造体の側面に対して垂直な平面内で、側面構造体の側面に偏って係る応力に対する強度が向上する。
【0016】
これにより、システムトラスの部材をそのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりせずに、軽量化しつつ、システムトラスの強度を維持・向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(1)本発明の実施の形態に係るシステムトラスの構造
図1は、本発明の実施の形態であるシステムトラスを示す斜視図である。
【0019】
まず、本実施形態に係るシステムトラスの全体の構成について説明する。
【0020】
そのシステムトラスは、図1に示すように、4つの長尺の弦材1a〜1dが四角柱の側部稜線の相当部にそれぞれ配置された本体フレーム101を有し、その本体フレーム101の側面にトラス構造が形成されている。トラス構造は、本体フレーム101の対向する側面A1、A2では、それぞれ、弦材(1a、1b)、(1c、1d)同士を連結して設けられた束材2a、2b及び第1の斜材3a、3bとで形成されている。また、本体フレーム101の他の対向する側面B1、B2では、トラス構造は、それぞれ弦材(1a、1c)、(1b、1d)同士を連結して設けられた横材4a、4b及び第2の斜材(第3の斜材)5a、5bとで形成されている。
【0021】
本実施形態に係るシステムトラスは、さらに、側面A1、A2、B1、B2に垂直な、弦材1a〜1dで囲まれた面内で、X形状を形成する交差して設けられた第3の斜材(第2の斜材)6a、6bを備えている。
【0022】
なお、図1では、弦材1a〜1dと横材4a、4bは、連結ピース(連結部材)7を介して連結されているが、連結ピース7を介さずに直接連結させてもよい。
【0023】
次に、各部材の詳細な配置について図1及び図2(a)〜(c)を参照して説明する。
【0024】
図2(a)は、弦材1a、1bの間に束材2a及び第1の斜材3a、3bが設けられた側面A1の構造を示す部分拡大側面図である。図2(b)は、弦材1a、1cの間に横材4a及び第2の斜材5a、5bが設けられた側面B1の一部分の構造を示す部分拡大側面図である。図2(c)は、第3の斜材6a、6bが設けられた平面の構造を示す拡大側面図である。
【0025】
図1に示すように、側面A1の束材2aと側面A2の束材2bは、互いに位置を合わせて配置されている。側面A1の束材2aは弦材1a、1bにほぼ垂直に取り付けられる。側面A1の第1の斜材3a、3bは、弦材1a、1bに斜めに取り付けられて、束材2aの間で複数のV字形状3が連接された形状をなしている。なお、第1の斜材3a、3bは、束材2aの間で一つのV字形状をなすように配置されてもよい。以上は、側面A2でも同様である。なお、V字形状という場合、逆V字形状も含む。弦材1a〜1dと、束材2a、2b及び第1の斜材3a、3bとの接点は、溶接やリベットやボルト・ナットで接合される。
【0026】
図2(a)に示すように、弦材1a、1bの間隔b1を900mmとし、一つのV字形状3の横幅a1を850mmとしている。また、V字形状3の下部の第1の斜材3a及び3bで形成された頂角θ1は48度に、V字形状3の上部において、それぞれの第1の斜材3a、3bと弦材1aとのなす角度θ2、θ3はそれぞれ66度に設定されている。これは、側面A2でも同様である。
【0027】
横材4aと4bは、本体フレーム101の他の対向する側面B1とB2の間で互いに位置を合わせて配置されている。側面B1の横材4aは弦材1a、1cにほぼ直角に取り付けられる。さらに、側面B1の横材4aは一つおきに、束材2a及び2bと位置を合わせて配置されている。また、側面B1で第2の斜材5a、5bは、横材4aの間に交差して配置されている。これらは、側面B2でも同様である。なお、側面B2では、図面を見やすくするためそれらは省略されている。
【0028】
図2(b)に示すように、弦材1a、1cの間隔b2を700mmとし、横材4aの間隔a2を1275mmとしている。弦材1a、1cには幅広の接合部を有する連結ピース7が取り付けられ、横材4aの両端には幅広の接合部8が形成されており、それらの接合部同士を接合して弦材1a、1cと横材4aとが連結できるようになっている。また、第2の斜材5a、5bの両端は連結ピース7に接合されている。各接合部は溶接やリベットやボルト・ナット等により接合される。これは、側面B2でも同様である。
【0029】
第3の斜材6a、6bは、側面A1、A2、B1、B2に垂直な、弦材1a〜1dで囲まれた平面内に設けられ、図1では、横材4a及び4bの形成箇所に対応して設けられている。なお、横材4a及び4bの形成箇所の一部の第3の斜材6a、6bは省略されてもよい。
【0030】
第3の斜材6a、6bが設けられた平面の大きさは、図2(c)に示す縦寸法(弦材の間隔)b3が900mm、横寸法(弦材の間隔)a3が700mmとなっている。第3の斜材6a、6bは、X形状に形成されて、側面B1の横材4aと側面B2の横材4b同士を連結している。なお、第3の斜材6a、6bは、側面A1の束材2aと、側面A2の束材2b同士を連結して設けられていてもよいし、本体フレーム101の対角の弦材1aと1d同士、及び対角の弦材1bと1c同士を連結して設けられていてもよい。第3の斜材6a、6bと、横材4a、4b、束材2a、2b又は弦材1a〜1dとの接点は、溶接やリベットやボルト・ナットで接合される。
【0031】
上記システムトラスの部材である、弦材1a〜1d、束材2a、2b、横材4a、4b、斜材3a、3b、5a、5b、6a、6bなどは、鋼材で作製される。
【0032】
以上のように、本発明のシステムトラスによれば、トラス構造の側面構造体と、そのトラス構造の側面構造体に垂直な面に、X形状に配置された第3の斜材6a、6bとを有している。
【0033】
トラス構造の側面構造体により、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2の長手方向、すなわちシステムトラスの軸方向の応力に対する強度、及び側面構造体の各側面A1、A2、B1、B2に垂直な方向の応力で、各側面A1、A2、B1、B2に均等に係る応力に対する強度が維持される。さらに、第3の斜材6a、6bにより、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2に垂直な平面内で、側面A1、A2、B1、B2に偏って係る応力に対する強度が向上する。なお、第3の斜材6a、6bが設けられていない場合、側面構造体の側面A1、A2、B1、B2に応力が偏ってかかった場合、本体フレーム101が平行四辺形状に変形する恐れがある。
【0034】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、システムトラスの部材を構成する鋼材そのものを太くしたり、或いは使用する部材を増やしたりせずに、軽量化しつつ、システムトラスの強度を維持・向上させることができる。
【0035】
(2)本発明の実施の形態に係るシステムトラスの構造の変形例
図3は、本発明の実施の形態であるシステムトラスの変形例を示す斜視図である。
【0036】
図1のシステムトラスは、一体構成としてもよいが、例えば、図3に示すように、システムトラスを、第1の側面構造体102a、第2の側面構造体102b、X形状のトラス103、及び第2の斜材5a、5bに分割して形成しておき、それらを組み立てることで、完成したシステムトラスを得るようにすることも可能である。
【0037】
第1の側面構造体102aは、束材2a、第1の斜材3a、3b、上下2つの弦材1a、1b及び連結ピース(連結部材)7で形成され、第2の側面構造体102bは、束材2b、第1の斜材3a、3b、上下2つの弦材1c、1d及び連結ピース(連結部材)7で形成されている。X形状のトラス103は、上下の横材4a、4b及び第3の斜材6a、6bで形成されている。
【0038】
これらを組み立てる場合、第1及び第2の側面構造体フレーム102a、102bの弦材1a〜1dに取り付けられた連結ピース(連結部材)7とX形状のトラス103の横材4a、4bとを連結する。連結は、連結ピース7と横材4a、4bの接合部同士を溶接やリベットやボルト・ナットで接合することにより行う。
【0039】
このように、システムトラスを部分構造に分割することにより、作製が容易になるとともに、トラックなどの荷台に、完成品で載置し得るよりも多くの完成品相当の部分構造を積載できるため、より効率的に、かつ低コストで運搬できることになる。
【0040】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のシステムトラスは、軽量化を図りつつ、強度の維持・向上を図ることができるので、建造物の補強構造体や、建築現場の足場などを構成する部材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態であるシステムトラスを示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1のシステムトラスの対向する側面の一部分の構造を示す部分拡大側面図であり、(b)は、図1のシステムトラスの他の対向する側面の一部分の構造を示す部分拡大側面図であり、(c)は、図1のシステムトラスの側面に垂直な、弦材で囲まれた平面の構造を示す拡大側面図である。
【図3】本発明の実施の形態であるシステムトラスの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1a、1b、1c、1d 本体フレーム
2a、2b 束材
3 V字形状
3a、3b 第1の斜材
4a、4b 横材
5a、5b 第2の斜材(第3の斜材)
6a、6b 第3の斜材(第2の斜材)
7 連結ピース(連結部材)
101 本体フレーム
102a 第1の側面構造体
102b 第2の側面構造体
103 X形状のトラス
A1、A2 本体フレームの対向する側面
B1、B2 本体フレームの他の対向する側面
a1 V字形状の横幅
a2 横材の間隔
b1、b2 弦材の間隔
a3 横寸法(弦材の間隔)
b3 縦寸法(弦材の間隔)
θ1 V字形状の頂角
θ2、θ3 V字形状の第1の斜材と弦材とのなす角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラス構造の第1の側面構造体と、
トラス構造の第2の側面構造体と、
前記第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、前記第1の側面構造体及び前記第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスとを有することを特徴とするシステムトラス。
【請求項2】
前記第1及び第2の側面構造体はそれぞれ、上下の弦材と、該上下の弦材を連結する束材及び第1の斜材とを有することを特徴とする請求項1記載のシステムトラス。
【請求項3】
前記第1の斜材は、一つのV字形状をなし、或いは複数のV字が連接された形状をなしていることを特徴とする請求項2記載のシステムトラス。
【請求項4】
前記X形状のトラスは、前記第1及び第2の側面構造体の上の前記弦材と連結する上の横材と、前記第1及び第2の側面構造体の下の前記弦材と連結する該下の横材と、該上下の横材の間で、該上下の横材に接続されたX形状の第2の斜材とを有することを特徴とする請求項2記載のシステムトラス。
【請求項5】
前記上の横材の間及び前記下の横材の間に、それぞれ、該横材又は前記第1及び第2の側面構造体に接続する第3の斜材が設けられていることを特徴とする請求項4記載のシステムトラス。
【請求項6】
前記第1及び第2の側面構造体は、前記弦材と前記X形状のトラスの前記横材とを連結する連結部材を有することを特徴とする請求項4記載のシステムトラス。
【請求項7】
前記システムトラスは、前記第1及び第2の側面構造体と、前記X形状のトラスとを組み立てて形成されていることを特徴とする請求項6記載のシステムトラス。
【請求項1】
トラス構造の第1の側面構造体と、
トラス構造の第2の側面構造体と、
前記第1の側面構造体と前記第2の側面構造体との間で、前記第1の側面構造体及び前記第2の側面構造体と直交するように接続するX形状のトラスとを有することを特徴とするシステムトラス。
【請求項2】
前記第1及び第2の側面構造体はそれぞれ、上下の弦材と、該上下の弦材を連結する束材及び第1の斜材とを有することを特徴とする請求項1記載のシステムトラス。
【請求項3】
前記第1の斜材は、一つのV字形状をなし、或いは複数のV字が連接された形状をなしていることを特徴とする請求項2記載のシステムトラス。
【請求項4】
前記X形状のトラスは、前記第1及び第2の側面構造体の上の前記弦材と連結する上の横材と、前記第1及び第2の側面構造体の下の前記弦材と連結する該下の横材と、該上下の横材の間で、該上下の横材に接続されたX形状の第2の斜材とを有することを特徴とする請求項2記載のシステムトラス。
【請求項5】
前記上の横材の間及び前記下の横材の間に、それぞれ、該横材又は前記第1及び第2の側面構造体に接続する第3の斜材が設けられていることを特徴とする請求項4記載のシステムトラス。
【請求項6】
前記第1及び第2の側面構造体は、前記弦材と前記X形状のトラスの前記横材とを連結する連結部材を有することを特徴とする請求項4記載のシステムトラス。
【請求項7】
前記システムトラスは、前記第1及び第2の側面構造体と、前記X形状のトラスとを組み立てて形成されていることを特徴とする請求項6記載のシステムトラス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−24769(P2010−24769A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190028(P2008−190028)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(398057178)株式会社オールマイティー (17)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(398057178)株式会社オールマイティー (17)
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