説明

シフトポジション表示装置

【課題】走行レンジを点灯して表示する発光素子と、その発光素子の輝度を調節可能な制御回路を接続する配線の本数を削減可能なシフトポジション表示装置を提供する。
【解決手段】車両の変速機の各走行レンジP、R、N、D、Sに対応して複数設けられた発光素子を点灯させることにより、選択された走行レンジを表示するシフトポジション表示装置1において、信号電圧とデューティ比との両方を調整可能な可変圧Duty信号Qを出力するデューティ信号出力部4bと、発光素子の各々に対応して設けられ、オン動作する電圧範囲が互いに異なる複数の第1スイッチング素子とを備え、信号電圧が属する電圧範囲に対応する第1スイッチング素子がオン動作することで、選択された走行レンジに対応する発光素子が点灯するとともに、点灯する発光素子の輝度をデューティ比により調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機で選択された走行レンジを表示するシフトポジション表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシフトポジション表示装置においては、車両の変速機の各走行レンジに対応して複数設けられた発光素子を点灯させることにより、変速機で選択された走行レンジを表示している。それぞれの発光素子は、セレクトレバーの軌道に沿ってそれぞれの走行レンジに対応する位置に配置された固定接片に接続され、これらの固定接片が、セレクトレバーとともに移動する可動接片に接触することで、それぞれの発光素子を点灯させている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシフトポジション表示装置では、発光素子から固定接片までの配線を、発光素子の数だけ設け引き回す必要があり、配線が束となって引き回しが煩雑になる場合があると考えられる。そして、選択された走行レンジの視認性を向上させるためには、昼間の走行時に対して、夜間の走行時には、発光素子の輝度を調節することが望ましい。この輝度を調節する制御回路を、発光素子と固定接片の間に接続すると、この制御回路に接続する配線の本数が、発光素子の数の倍以上になり、制御回路への結線が煩雑になる場合があると考えられる。さらに、走行レンジを点灯して表示する発光素子は、セレクトレバーの軌道に沿って配置されるだけでなく、インパネ内にも別途設けられている場合があり、発光素子側の制御回路への結線は、一層煩雑になる場合が考えられる。
【0005】
これらより、発光素子と制御回路間の配線の本数が減らせれば、配線の引き回しが容易になり望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、走行レンジを点灯して表示する発光素子と、その発光素子の輝度を調節可能な制御回路を接続する配線の本数を削減可能なシフトポジション表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の変速機の各走行レンジに対応して複数設けられた発光素子を点灯させることにより、選択された走行レンジを表示するシフトポジション表示装置において、
信号電圧とデューティ比との両方を調整可能なデューティ信号を出力するデューティ信号出力部と、
前記発光素子の各々に対応して設けられ、オン動作する電圧範囲が互いに異なる複数の第1スイッチング素子とを備え、
前記信号電圧が属する前記電圧範囲に対応する前記第1スイッチング素子がオン動作することで、前記選択された走行レンジに対応する前記発光素子が点灯するとともに、点灯する前記発光素子の輝度を前記デューティ比により調整することを特徴としている。
【0008】
これによれば、いわゆる制御回路から発光素子に向けてデューティ信号を出力することができ、このデューティ信号のデューティ比を調整することにより、点灯する発光素子の輝度を変更することができる。さらに、デューティ信号の信号電圧(ピーク電圧)を調整することにより、選択された走行レンジに対応する発光素子を点灯させることができる。このように、1つのデューティ信号により、複数の発光素子の中から選択された発光素子の点灯と、点灯するその発光素子の輝度の調整との両方を行うことができるため、制御回路と発光素子を接続する配線の本数を削減することができる。
【0009】
また、本発明は、前記信号電圧が、複数の第1スイッチング素子がオン動作する前記電圧範囲のどれよりも大きくなった場合は、第2スイッチング素子がオフ動作し、前記発光素子はいずれも点灯しないことが好ましい。
【0010】
これによれば、デューティ信号を伝達する配線がショート等して、デューティ信号の信号電圧が前記電圧範囲のどれよりも大きくなった場合でも、発光素子をいずれも点灯させないことで、ショート等の異常を車両の運転者や整備者に知らせるとともに、誤点灯を防止することができる。
【0011】
また、本発明は、前記信号電圧が、前記電圧範囲のどれよりも小さくなった場合は、前記第1スイッチング素子がオフ動作し、前記発光素子はいずれも点灯しないことが好ましい。
【0012】
これによれば、デューティ信号を伝達する配線が断線等して、デューティ信号の信号電圧が前記電圧範囲のどれよりも小さくなった場合でも、発光素子をいずれも点灯させないことで、断線等の異常を車両の運転者や整備者に知らせるとともに、誤点灯を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、走行レンジを点灯して表示する発光素子と、その発光素子の輝度を調節可能な制御回路を接続する配線の本数を削減可能なシフトポジション表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置のセレクトレバー表示部の車両内における配置図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置の構成図である。
【図3】調整された可変圧Duty信号を、(a)低輝度、(b)中輝度、(c)高輝度毎に一覧として示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置のセレクトレバー表示部の回路図である。
【図5】本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置のセレクトレバー表示部の論理表である。
【図6】(a)低輝度でPレンジを点灯した場合、(b)高輝度でDレンジを点灯した場合、(c)ショートによる異常の場合、(d)断線による異常の場合それぞれにおける、f信号と可変圧Duty信号の信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0016】
図1に、本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置のセレクトレバー表示部5(5a、5b)の車両10内における配置図を示す。車両10は、インパネ19を有し、そのインパネ19の車室側にはステアリングホイール11が設けられている。ステアリングホイール11が正面となるように、車両10の運転者が着座できるようになっている。インパネ19のステアリングホイール11越しの運転者の正面には、車両10に搭載されたエンジンの回転速度を表示するタコメータ12と、車両10の車速を表示する速度メータ13と、燃料の残量とエンジンを冷却する冷媒の温度を表示する燃料計・温度計14が設けられている。そして、セレクトレバー表示部5b(5)も、インパネ19の運転者の正面に設けられている。セレクトレバー表示部5b(5)は、図1に示すように、タコメータ12等のメータ12−14の表示領域の内側に配置してもよいし、外側に配置してもよい。
【0017】
ステアリングホイール11の側方、すなわち、運転者の斜め前方の、車両10のセンタコンソール18には、セレクトレバー2が設けられている。運転者は、セレクトレバー2をスライドさせることで、車両10の変速機の走行レンジを切り替え・選択することができる。セレクトレバー2近傍のステアリングホイール11側のセンタコンソール18には、セレクトレバー表示部5a(5)が設けられている。
【0018】
セレクトレバー表示部5(5a、5b)では、運転者によってセレクトレバー2を用いて選択された走行レンジを表示させることができる。走行レンジの表示は、各走行レンジの英語名称のイニシャルの英文字を、その英文字の近傍に配置した発光素子を点灯させて照らすことで行うことができる。
【0019】
運転者は、セレクトレバー2を用いて、パーキングレンジ(イニシャルP)、リバースレンジ(イニシャルR)、ニュートラルレンジ(イニシャルN)、ドライブレンジ(イニシャルD)、スポーツドライブレンジ(イニシャルS)の各種走行レンジを選択することができる。パーキング(P)レンジを選択すれば、運転者は駐車やエンジンの始動をさせることができる。リバース(R)レンジを選択すれば、運転者は車両10を後退させることができる。ニュートラル(N)レンジを選択すれば、運転者はアイドリング状態で一時的に車を停めることができる。ドライブ(D)レンジを選択すれば、運転者は通常走行、すなわち、変速段が例えば1速から5速まである場合に全段を用いた自動変速による走行をすることができる。スポーツドライブ(S)レンジを選択すれば、山道や高速道路での加速が楽なスポーティな通常走行、すなわち、変速段が例えば1速から5速まである場合に高速段を用いずに1速から3速までの段を用いた自動変速による走行をすることができる。
【0020】
セレクトレバー表示部5(5a、5b)には、パーキング(P)レンジが選択された際に照らされる英文字「P」と、リバース(R)レンジが選択された際に照らされる英文字「R」と、ニュートラル(N)レンジが選択された際に照らされる英文字「N」と、ドライブ(D)レンジが選択された際に照らされる英文字「D」と、スポーツドライブ(S)レンジが選択された際に照らされる英文字「S」とが設けられている。
【0021】
ステアリングホイール11の近傍のインパネ19側には、ヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7が設けられている。ヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7は、つまみ形状をしており、運転者がつまんで回すことで、ヘッドランプ、サイドランプ、リアランプを灯火させることができる。具体的には、ヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7は、2段階に分けて回すことができ、1段階目の回動でサイドランプとリアランプを灯火させることができ、2段階目の回動でサイドランプとリアランプに加えてヘッドランプも灯火させることができる。この1段階目と2段階目の回動は車両10の外界の明るさに応じて使い分けられ、例えば、夕暮れ時には1段階目、夜間には2段階目が使われる。
【0022】
外界の明るさが変わると、セレクトレバー表示部5(5a、5b)やタコメータ12、速度メータ13、燃料計・温度計14の視認性も変化する。高い視認性を維持するために、外界の明るさに応じて、セレクトレバー表示部5(5a、5b)の走行レンジを表す英文字「P」「R」「N」「D」「S」等やメータ12−14の指針等を照らす発光素子の輝度を調節することができる。
【0023】
図2に、本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置1の構成図を示す。シフトポジション表示装置1は、基本的には、ポジションセンサ3と、Miss制御UNIT4と、1つ又は複数のセレクトレバー表示部5とを有している。
【0024】
ポジションセンサ3は、セレクトレバー2で選択されている走行レンジ(パーキング(P)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ、スポーツドライブ(S)レンジ)を検出し、検出した現在選択されている走行レンジを、ポジション信号としてMiss制御UNIT4に出力する。ポジションセンサ3としては、セレクトレバー2の軌道に沿ってそれぞれの走行レンジに対応する位置に配置した複数の固定接片と、セレクトレバー2とともに移動する可動接片とを用いることができる。複数の固定接片と可動接片とで複数のスイッチング素子を形成することができる。そして、これらのスイッチング素子のオン・オフ状態(1・0状態)がポジション信号になる。なお、複数のスイッチング素子をセレクトレバー2の軌道に沿ってそれぞれの走行レンジに対応する位置に配置してもよい。この場合、セレクトレバー2が、それぞれの走行レンジに対応する位置に移動してくるたびに、スイッチング素子をオン状態(1状態)にすればよい。
【0025】
Miss制御UNIT4は、表示制御部4aを有し、この表示制御部4aはデューティ信号出力部4bを有している。
【0026】
表示制御部4aは、ポジション信号を受信し、現在の走行レンジを取得する。表示制御部4aは、取得結果に基づいて、現在、選択されている走行レンジが、パーキング(P)レンジか、リバース(R)レンジか、ニュートラル(N)レンジか、ドライブ(D)レンジか、スポーツドライブ(S)レンジか、あるいはその他の走行レンジかを判定する。
【0027】
表示制御部4aは、現在、選択されている走行レンジと判定された走行レンジに基づいて、可変圧デューティ信号Qの信号電圧(ピーク電圧)を決定する。
【0028】
図3に、調整された可変圧デューティ(Duty)信号Qを一覧表示する。
【0029】
選択されている走行レンジが、パーキング(P)レンジと判定された場合には、発光素子の輝度によらず、可変圧デューティ信号Q(QPL、QPM、QPH)の信号電圧VQを、電圧B2(10V)を超えて電圧B1(12V)以下の電圧範囲内の所定の信号電圧VQPL、VQPM、VQPHに決定し設定する。
【0030】
選択されている走行レンジが、リバース(R)レンジと判定された場合には、発光素子の輝度によらず、可変圧デューティ信号Q(QRL、QRM、QRH)の信号電圧VQを、電圧B3(8V)を超えて電圧B2(10V)以下の電圧範囲内の所定の信号電圧VQRL、VQRM、VQRHに決定し設定する。
【0031】
選択されている走行レンジが、ニュートラル(N)レンジと判定された場合には、発光素子の輝度によらず、可変圧デューティ信号Q(QNL、QNM、QNH)の信号電圧VQを、電圧B4(6V)を超えて電圧B3(8V)以下の電圧範囲内の所定の信号電圧VQNL、VQNM、VQNHに決定し設定する。
【0032】
選択されている走行レンジが、ドライブ(D)レンジと判定された場合には、発光素子の輝度によらず、可変圧デューティ信号Q(QDL、QDM、QDH)の信号電圧VQを、電圧B5(4V)を超えて電圧B4(6V)以下の電圧範囲内の所定の信号電圧VQDL、VQDM、VQDHに決定し設定する。
【0033】
選択されている走行レンジが、スポーツドライブ(S)レンジと判定された場合には、発光素子の輝度によらず、可変圧デューティ信号Q(QSL、QSM、QSH)の信号電圧VQを、電圧B6(2V)を超えて電圧B5(4V)以下の電圧範囲内の所定の信号電圧VQSL、VQSM、VQSHに決定し設定する。
【0034】
図2に示すように、Miss制御UNIT4の表示制御部4aは、メータ制御UNIT6から、ヘッドライト等のオン・オフ状態のような灯火状態を、発光素子の輝度の輝度決定情報として取得する。なお、メータ制御UNIT6は、ヘッドランプ等灯火SW7のオン・オフ状態に基づいて、ヘッドランプ等の灯火・消灯の制御を行うことができる。また、メータ制御UNIT6は、エンジンの回転速度を取得しタコメータ12(図1参照)に表示させたり、車速を取得し速度メータ13(図1参照)に表示させたり、燃料の残量とエンジンを冷却する冷媒の温度を取得し燃料計・温度計14(図1参照)に表示させたりすることができる。また、メータ制御UNIT6とポジションセンサ3とMiss制御UNIT4とセレクトレバー表示部5はそれぞれ、電源ライン8aを介してバッテリ(電源)8に接続され、給電されている。
【0035】
表示制御部4aは、輝度決定情報の取得結果に基づいて、発光素子の輝度を、例えば、低輝度に設定するか、中輝度に設定するか、高輝度に設定するか判定する。一例としては、昼間等でヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7がオフされ、ヘッドランプ、サイドランプとリアランプが灯火されていない場合は、発光素子の輝度を高輝度に設定するように判定する。夕暮れ時等でヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7の1段階目の回動で、サイドランプとリアランプが灯火され、ヘッドランプが灯火されていない場合は、発光素子の輝度を中輝度に設定するように判定する。夜間等でヘッドランプ等灯火SW(スイッチ)7の2段階目の回動で、ヘッドランプ、サイドランプとリアランプが灯火されている場合は、発光素子の輝度を低輝度に設定するように判定する。
【0036】
表示制御部4aは、発光素子の輝度として設定するように判定された輝度(例えば、低輝度、中輝度、高輝度)に基づいて、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を決定する。
【0037】
以上、説明してきたように、可変圧デューティ信号Qでは、信号電圧VQとデューティ比RQを調整することができる。
【0038】
図3に示すように、発光素子の輝度を低輝度に設定するように判定された場合は、可変圧デューティ信号Q(QPL、QRL、QNL、QDL、QSL)のデューティ比を、小さい所定の低デューティ比(RQ(RQPL、RQRL、RQNL、RQDL、RQSL))に、決定し設定する
【0039】
発光素子の輝度を中輝度に設定するように判定された場合は、可変圧デューティ信号Q(QPM、QRM、QNM、QDM、QSM)のデューティ比を、低デューティ比(RQ(RQPL、RQRL、RQNL、RQDL、RQSL))より大きい所定の中デューティ比(RQ(RQPM、RQRM、RQNM、RQDM、RQSM))に、決定し設定する
【0040】
発光素子の輝度を高輝度に設定するように判定された場合は、可変圧デューティ信号Q(QPH、QRH、QNH、QDH、QSH)のデューティ比を、中デューティ比(RQ(RQPM、RQRM、RQNM、RQDM、RQSM))より大きい所定の高デューティ比(RQ(RQPH、RQRH、RQNH、RQDH、RQSH))に、決定し設定する
【0041】
図2に示すように、表示制御部4aのデューティ信号出力部4bは、設定された信号電圧とデューティ比に基づいて、可変圧デューティ信号Qを発生させ、セレクトレバー表示部5へ出力する。表示制御部4aのデューティ信号出力部4bと、セレクトレバー表示部5の間では、可変圧デューティ信号Qが送信されればよいので、基本的に1本の配線を接続するだけでよい。このため、Miss制御UNIT4に対して、セレクトレバー表示部5をどこに配置しても、可変圧デューティ信号Qの送信配線を容易に引き回すことができる。また、セレクトレバー表示部5が、図2に示すように2つ(複数)あっても、それぞれに、可変圧デューティ信号Qを入力させるだけでよいので、容易に配線をすることができる。
【0042】
なお、表示制御部4aは、Miss制御UNIT4に替えて、メータ制御UNIT6に持たせてもよい。この場合、Miss制御UNIT4は、メータ制御UNIT6からヘッドランプ等の灯火状態を受信する替わりに、メータ制御UNIT6へ現在選択されている走行レンジを送信することになり、メータ制御UNIT6からセレクトレバー表示部5へ可変圧デューティ信号Qが出力されることになる。
【0043】
図4に、本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置1のセレクトレバー表示部5(5a、5b)の回路図を示す。
【0044】
セレクトレバー表示部5には、可変圧デューティ(Duty)信号Qが入力されている。可変圧デューティ信号Qは、コンパレータC1、C2、C4、C6の反転入力(−)に入力している。また、可変圧デューティ信号Qは、コンパレータC3、C5の非反転入力(+)に入力している。
【0045】
電圧13.6Vの電源8には、5Vの一定電圧を出力するレギュレータ回路15と、12Vの一定電圧を出力するレギュレータ回路16が接続されている。
【0046】
レギュレータ回路16には、分圧抵抗r2と、分圧抵抗r3と、分圧抵抗r4と、分圧抵抗r5と、分圧抵抗r6と、接地された分圧抵抗r7が、順に直列に接続されている。これにより、レギュレータ回路16と分圧抵抗r2の間の接続端子には、電圧B1(12V)の一定電圧が発生し、分圧抵抗r2と分圧抵抗r3の間の接続端子には、電圧B2(10V)の一定電圧が発生し、分圧抵抗r3と分圧抵抗r4の間の接続端子には、電圧B3(8V)の一定電圧が発生し、分圧抵抗r4と分圧抵抗r5の間の接続端子には、電圧B4(6V)の一定電圧が発生し、分圧抵抗r5と分圧抵抗r6の間の接続端子には、電圧B5(4V)の一定電圧が発生し、分圧抵抗r6と分圧抵抗r7の間の接続端子には、電圧B6(2V)の一定電圧が発生している。
【0047】
電圧B1(12V)は、コンパレータC1の非反転入力(+)に入力している。コンパレータC1は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B1(12V)以下の場合に1状態(Hレベル)を出力し、電圧B1(12V)を超える場合に0状態(Lレベル)を出力する。また、コンパレータC1の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0048】
電圧B2(10V)は、コンパレータC2の非反転入力(+)に入力している。コンパレータC2は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B2(10V)以下の場合に1状態(Hレベル)を出力し、電圧B2(10V)を超える場合に0状態(Lレベル)を出力する。また、コンパレータC2の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0049】
電圧B3(8V)は、コンパレータC3の反転入力(−)に入力している。コンパレータC3は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B3(8V)以下の場合に0状態(Lレベル)を出力し、電圧B3(8V)を超える場合に1状態(Hレベル)を出力する。また、コンパレータC3の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0050】
電圧B4(6V)は、コンパレータC4の非反転入力(+)に入力している。コンパレータC4は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B4(6V)以下の場合に1状態(Hレベル)を出力し、電圧B4(6V)を超える場合に0状態(Lレベル)を出力する。また、コンパレータC4の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0051】
電圧B5(4V)は、コンパレータC5の反転入力(−)に入力している。コンパレータC5は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B5(4V)以下の場合に0状態(Lレベル)を出力し、電圧B5(4V)を超える場合に1状態(Hレベル)を出力する。また、コンパレータC5の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0052】
電圧B6(2V)は、コンパレータC6の非反転入力(+)に入力している。コンパレータC6は、可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、電圧B6(2V)以下の場合に1状態(Hレベル)を出力し、電圧B6(2V)を超える場合に0状態(Lレベル)を出力する。また、コンパレータC6の出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。
【0053】
コンパレータC1の出力は、f信号として、スイッチングトランジスタ(第2スイッチング素子)Trの制御端子(ベース端子)に入力されている。スイッチングトランジスタ(第2スイッチング素子)Trは、f信号が1状態(Hレベル)の場合にオンし、発光素子(発光ダイオード)D1〜D5を、抵抗r8を介して、レギュレータ回路15の出力電圧の5Vまで昇圧する。スイッチングトランジスタ(第2スイッチング素子)Trは、f信号が0状態(Lレベル)の場合にオフし、発光素子D1〜D5への電力供給を停止する。
【0054】
発光素子D1〜D5は、アノード側が互いに並列に接続されている。発光素子D1は、発光して、パーキング(P)レンジを表す文字「P」を照らす。発光素子D2は、発光して、リバース(R)レンジを表す文字「R」を照らす。発光素子D3は、発光して、ニュートラル(N)レンジを表す文字「N」を照らす。発光素子D4は、発光して、ドライブ(D)レンジを表す文字「D」を照らす。発光素子D5は、発光して、スポーツドライブ(S)レンジを表す文字「S」を照らす。
【0055】
発光素子D1のカソードには、コンパレータ(第1スイッチング素子)C2の出力が、e信号として入力されている。コンパレータ(第1スイッチング素子)C2の出力(e信号)が、0状態(Lレベル)のとき、発光素子D1の昇圧されたアノード側と、0状態(Lレベル)によりグランドレベルの電位のカソード側との間に電圧が生じ、発光素子D1に電流が流れ、発光する。発光素子D1を流れた電流は、コンパレータ(第1スイッチング素子)C2に引き込まれ、接地された端子から流れ出る。これより、コンパレータ(第1スイッチング素子)C2は、出力(e信号)が、0状態(Lレベル)のときオン動作し、1状態(Hレベル)のときオフ動作するスイッチング素子とみなすことができる。
【0056】
発光素子D2のカソードには、コンパレータC2とC3の出力を入力とする排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR1の出力が、d信号として入力されている。この出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR1の出力(d信号)が、0状態(Lレベル)のとき、発光素子D2の昇圧されたアノード側と、0状態(Lレベル)によりグランドレベルの電位のカソード側との間に電圧が生じ、発光素子D2に電流が流れ、発光する。発光素子D2を流れた電流は、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR1に引き込まれ、接地された端子から流れ出る。これより、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR1は、出力(d信号)が、0状態(Lレベル)のときオン動作し、1状態(Hレベル)のときオフ動作するスイッチング素子とみなすことができる。
【0057】
発光素子D3のカソードには、コンパレータC3とC4の出力を入力とする排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR2の出力が、c信号として入力されている。この出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR2の出力(c信号)が、0状態(Lレベル)のとき、発光素子D3の昇圧されたアノード側と、0状態(Lレベル)によりグランドレベルの電位のカソード側との間に電圧が生じ、発光素子D3に電流が流れ、発光する。発光素子D3を流れた電流は、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR2に引き込まれ、接地された端子から流れ出る。これより、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR2は、出力(c信号)が、0状態(Lレベル)のときオン動作し、1状態(Hレベル)のときオフ動作するスイッチング素子とみなすことができる。
【0058】
発光素子D4のカソードには、コンパレータC4とC5の出力を入力とする排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR3の出力が、b信号として入力されている。この出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR3の出力(b信号)が、0状態(Lレベル)のとき、発光素子D4の昇圧されたアノード側と、0状態(Lレベル)によりグランドレベルの電位のカソード側との間に電圧が生じ、発光素子D4に電流が流れ、発光する。発光素子D4を流れた電流は、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR3に引き込まれ、接地された端子から流れ出る。これより、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR3は、出力(b信号)が、0状態(Lレベル)のときオン動作し、1状態(Hレベル)のときオフ動作するスイッチング素子とみなすことができる。
【0059】
発光素子D5のカソードには、コンパレータC5とC6の出力を入力とする排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR4の出力が、a信号として入力されている。この出力は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有している。排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR4の出力(a信号)が、0状態(Lレベル)のとき、発光素子D5の昇圧されたアノード側と、0状態(Lレベル)によりグランドレベルの電位のカソード側との間に電圧が生じ、発光素子D5に電流が流れ、発光する。発光素子D5を流れた電流は、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR4に引き込まれ、接地された端子から流れ出る。これより、排他的論理和(第1スイッチング素子)EX−OR4は、出力(a信号)が、0状態(Lレベル)のときオン動作し、1状態(Hレベル)のときオフ動作するスイッチング素子とみなすことができる。
【0060】
また、文字「P」「R」「N」「D」「S」を、間接的に照らすバックライト(BACK LIGHT)17が設けられている。バックライト(BACK LIGHT)17は、電源8に接続され、接地されている。
【0061】
図5に、本発明の実施形態に係るシフトポジション表示装置1のセレクトレバー表示部5(5a、5b)の論理表を示す。
【0062】
(Pレンジ点灯のケース)
まず、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B2(10V)を超えて電圧B1(12V)以下の電圧範囲(B2<VQ≦B1)内である可変圧デューティ信号Qを受信した場合を考える。この場合、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は0状態となり、コンパレータC3の出力は1状態となり、コンパレータC4の出力は0状態となり、コンパレータC5の出力は1状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。
【0063】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の0状態の出力により、e信号は0状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧が降下するので、発光素子D1の両端に電位差が生じて電流が流れる。発光素子D1が発光し、文字「P」が照らされる。なお、f信号の1状態とe信号の0状態は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有し、同期しているので、発光素子D1もそのデューティ比で発光する。すなわち、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を調節することにより、発光素子D1の発光のデューティ比を調節でき、発光素子D1の輝度を調節することができる。
【0064】
図6(a)に、低輝度でPレンジを点灯した場合における、f信号と可変圧Duty信号Qの信号波形図を示す。可変圧Duty信号Qの信号電圧VQが、11Vであり、電圧B2(10V)を超えて電圧B1(12V)以下の電圧範囲(B2<VQ≦B1)内であるので、発光素子D1が発光して文字「P」が照らされPレンジが点灯されることになる。具体的には、可変圧Duty信号Qに同期するように、f信号の1状態とe信号の0状態が発生する。f信号の状態が1状態であり、e信号の状態が0状態のときに、発光素子D1は発光する。可変圧Duty信号Qのデューティ比が低デューティ比であれば、f信号の1状態とe信号の0状態も低デューティ比となり、発光素子D1も低デューティ比で発光し、発光素子D1は低輝度で発光することになる。
【0065】
一方、コンパレータC2の0状態の出力と、コンパレータC3の1状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、1状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D2の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D2は発光しない。
【0066】
同様に、コンパレータC3の1状態の出力と、コンパレータC4の0状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、1状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D3の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D3は発光しない。
【0067】
また、コンパレータC4の0状態の出力と、コンパレータC5の1状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、1状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D4の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D4は発光しない。
【0068】
また、コンパレータC5の1状態の出力と、コンパレータC6の0状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、1状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D5の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D5は発光しない。
【0069】
(Rレンジ点灯のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B3(8V)を超えて電圧B2(10V)以下の電圧範囲(B3<VQ≦B2)内である可変圧デューティ信号Qを受信した場合を考える。この場合も、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は1状態となり、コンパレータC3の出力は1状態となり、コンパレータC4の出力は0状態となり、コンパレータC5の出力は1状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。
【0070】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の1状態の出力により、e信号は1状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D1の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D1は発光しない。
【0071】
一方、コンパレータC2の1状態の出力と、コンパレータC3の1状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、0状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧が降下するので、発光素子D2の両端に電位差が生じて電流が流れる。発光素子D2が発光し、文字「R」が照らされる。なお、f信号とd信号は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有し、同期しているので、発光素子D2もそのデューティ比で発光する。すなわち、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を調節することにより、発光素子D2の発光のデューティ比を調節でき、発光素子D2の輝度を調節することができる。
【0072】
コンパレータC3の1状態の出力と、コンパレータC4の0状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、1状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D3の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D3は発光しない。
【0073】
同様に、コンパレータC4の0状態の出力と、コンパレータC5の1状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、1状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D4の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D4は発光しない。
【0074】
また、コンパレータC5の1状態の出力と、コンパレータC6の0状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、1状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D5の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D5は発光しない。
【0075】
(Nレンジ点灯のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B4(6V)を超えて電圧B3(8V)以下の電圧範囲(B4<VQ≦B3)内である可変圧デューティ信号Qを受信した場合を考える。この場合も、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は1状態となり、コンパレータC3の出力は0状態となり、コンパレータC4の出力は0状態となり、コンパレータC5の出力は1状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。
【0076】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の1状態の出力により、e信号は1状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D1の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D1は発光しない。
【0077】
また、コンパレータC2の1状態の出力と、コンパレータC3の0状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、1状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D2の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D2は発光しない。
【0078】
一方、コンパレータC3の0状態の出力と、コンパレータC4の0状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、0状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧が降下するので、発光素子D3の両端に電位差が生じて電流が流れる。発光素子D3が発光し、文字「N」が照らされる。なお、f信号とc信号は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有し、同期しているので、発光素子D3もそのデューティ比で発光する。すなわち、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を調節することにより、発光素子D3の発光のデューティ比を調節でき、発光素子D3の輝度を調節することができる。
【0079】
コンパレータC4の0状態の出力と、コンパレータC5の1状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、1状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D4の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D4は発光しない。
【0080】
また、コンパレータC5の1状態の出力と、コンパレータC6の0状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、1状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D5の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D5は発光しない。
【0081】
(Dレンジ点灯のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B5(4V)を超えて電圧B4(6V)以下の電圧範囲(B5<VQ≦B4)内である可変圧デューティ信号Qを受信した場合を考える。この場合も、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は1状態となり、コンパレータC3の出力は0状態となり、コンパレータC4の出力は1状態となり、コンパレータC5の出力は1状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。
【0082】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の1状態の出力により、e信号は1状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D1の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D1は発光しない。
【0083】
また、コンパレータC2の1状態の出力と、コンパレータC3の0状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、1状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D2の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D2は発光しない。
【0084】
コンパレータC3の0状態の出力と、コンパレータC4の1状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、1状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D3の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D3は発光しない。
【0085】
一方、コンパレータC4の1状態の出力と、コンパレータC5の1状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、0状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧が降下するので、発光素子D4の両端に電位差が生じて電流が流れる。発光素子D4が発光し、文字「D」が照らされる。なお、f信号の1状態とb信号の0状態は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有し、同期しているので、発光素子D4もそのデューティ比で発光する。すなわち、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を調節することにより、発光素子D4の発光のデューティ比を調節でき、発光素子D4の輝度を調節することができる。
【0086】
図6(b)に、高輝度でDレンジを点灯した場合における、f信号と可変圧Duty信号Qの信号波形図を示す。可変圧Duty信号Qの信号電圧VQが、5Vであり、電圧B5(4V)を超えて電圧B4(6V)以下の電圧範囲(B5<VQ≦B4)内であるので、発光素子D4が発光して文字「D」が照らされDレンジが点灯されることになる。具体的には、可変圧Duty信号Qに同期するように、f信号の1状態とb信号の0状態が発生する。f信号の状態が1状態であり、b信号の状態が0状態のときに、発光素子D4は発光する。可変圧Duty信号Qのデューティ比が高デューティ比であれば、f信号の1状態とb信号の0状態も高デューティ比となり、発光素子D4も高デューティ比で発光し、発光素子D4は高輝度で発光することになる。
【0087】
コンパレータC5の1状態の出力と、コンパレータC6の0状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、1状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D5の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D5は発光しない。
【0088】
(Sレンジ点灯のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B6(2V)を超えて電圧B5(4V)以下の電圧範囲(B6<VQ≦B5)内である可変圧デューティ信号Qを受信した場合を考える。この場合も、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は1状態となり、コンパレータC3の出力は0状態となり、コンパレータC4の出力は1状態となり、コンパレータC5の出力は0状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。
【0089】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の1状態の出力により、e信号は1状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D1の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D1は発光しない。
【0090】
また、コンパレータC2の1状態の出力と、コンパレータC3の0状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、1状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D2の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D2は発光しない。
【0091】
コンパレータC3の0状態の出力と、コンパレータC4の1状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、1状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D3の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D3は発光しない。
【0092】
また、コンパレータC4の1状態の出力と、コンパレータC5の0状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、1状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D4の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D4は発光しない。
【0093】
一方、コンパレータC5の0状態の出力と、コンパレータC6の0状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、0状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧が降下するので、発光素子D5の両端に電位差が生じて電流が流れる。発光素子D5が発光し、文字「S」が照らされる。なお、f信号とa信号は、可変圧デューティ信号Qのデューティ比に等しいデューティ比を有し、同期しているので、発光素子D5もそのデューティ比で発光する。すなわち、可変圧デューティ信号Qのデューティ比を調節することにより、発光素子D5の発光のデューティ比を調節でき、発光素子D5の輝度を調節することができる。
【0094】
以上より、受信した可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQの、Pレンジを点灯させる(「P」を照らす)ことができる電圧範囲(B2<VQ≦B1)と、Rレンジを点灯させる(「R」を照らす)ことができる電圧範囲(B3<VQ≦B2)と、Nレンジを点灯させる(「N」を照らす)ことができる電圧範囲(B4<VQ≦B3)と、Dレンジを点灯させる(「D」を照らす)ことができる電圧範囲(B5<VQ≦B4)と、Sレンジを点灯させる(「S」を照らす)ことができる電圧範囲(B6<VQ≦B5)とは、互いに範囲が重ならないようにずらしてある。これにより、1つの走行レンジを点灯させることができる。
【0095】
(ショート異常(全灯消灯)のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B1(12V)を超えている可変圧デューティ信号Qを受信した場合(B1<VQ)、すなわち、受信した可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、Pレンジを点灯させる(「P」を照らす)ことができる電圧範囲(B2<VQ≦B1)や、Rレンジを点灯させる(「R」を照らす)ことができる電圧範囲(B3<VQ≦B2)や、Nレンジを点灯させる(「N」を照らす)ことができる電圧範囲(B4<VQ≦B3)や、Dレンジを点灯させる(「D」を照らす)ことができる電圧範囲(B5<VQ≦B4)や、Sレンジを点灯させる(「S」を照らす)ことができる電圧範囲(B6<VQ≦B5)のどれよりも大きくなった場合を考える。このような場合としては、例えば、可変圧デューティ信号Qを送信する配線が、電源ライン8a等に接触しショートした場合等が考えられる。
【0096】
そして、図6(c)に示すように、ショートによって、信号電圧VQが13Vであり、デューティ比RQが1である可変圧Duty信号Qが、セレクトレバー表示部5(5a、5b)によって受信されたとすると、コンパレータC1の出力は0状態となり、コンパレータC2の出力は0状態となり、コンパレータC3の出力は1状態となり、コンパレータC4の出力は0状態となり、コンパレータC5の出力は1状態となり、コンパレータC6の出力は0状態となる。コンパレータC1の0状態の出力により、f信号は0状態となり、スイッチングトランジスタ(第2スイッチング素子)Trはオフされ、発光素子D1〜D5のアノード側は昇圧されず、発光素子D1〜D5が発光することはない。発光素子D1〜D5をいずれも点灯させないことで、ショート等の異常を車両の運転者や整備者に知らせるとともに、誤点灯を防止することができる。
【0097】
(断線異常(全灯消灯)のケース)
次に、セレクトレバー表示部5(5a、5b)が、信号電圧VQが電圧B6(2V)以下の可変圧デューティ信号Qを受信した場合(VQ≦B6)、すなわち、受信した可変圧デューティ信号Qの信号電圧VQが、Pレンジを点灯させる(「P」を照らす)ことができる電圧範囲(B2<VQ≦B1)や、Rレンジを点灯させる(「R」を照らす)ことができる電圧範囲(B3<VQ≦B2)や、Nレンジを点灯させる(「N」を照らす)ことができる電圧範囲(B4<VQ≦B3)や、Dレンジを点灯させる(「D」を照らす)ことができる電圧範囲(B5<VQ≦B4)や、Sレンジを点灯させる(「S」を照らす)ことができる電圧範囲(B6<VQ≦B5)のどれよりも小さくなった場合を考える。このような場合としては、例えば、可変圧デューティ信号Qを送信する配線が、断線した場合等が考えられる。
【0098】
そして、図6(d)に示すように、断線によって、信号電圧VQが0Vであり、デューティ比RQが0である可変圧Duty信号Qが、セレクトレバー表示部5(5a、5b)によって受信されたとすると、コンパレータC1の出力は1状態となり、コンパレータC2の出力は1状態となり、コンパレータC3の出力は0状態となり、コンパレータC4の出力は1状態となり、コンパレータC5の出力は0状態となり、コンパレータC6の出力は1状態となる。
【0099】
コンパレータC1の1状態の出力により、f信号は1状態となり、発光素子D1〜D5のアノード側が昇圧される。コンパレータC2の1状態の出力により、e信号は1状態となり、発光素子D1のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D1の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D1は発光しない。
【0100】
また、コンパレータC2の1状態の出力と、コンパレータC3の0状態の出力により、d信号であるEX−OR1の出力は、1状態となり、発光素子D2のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D2の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D2は発光しない。
【0101】
コンパレータC3の0状態の出力と、コンパレータC4の1状態の出力により、c信号であるEX−OR2の出力は、1状態となり、発光素子D3のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D3の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D3は発光しない。
【0102】
コンパレータC4の1状態の出力と、コンパレータC5の0状態の出力により、b信号であるEX−OR3の出力は、1状態となり、発光素子D4のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D4の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D4は発光しない。
【0103】
コンパレータC5の0状態の出力と、コンパレータC6の1状態の出力により、a信号であるEX−OR4の出力は、1状態となり、発光素子D5のカソード側の電圧は高く維持される。発光素子D5の両端に電位差が生じないので電流が流れず、発光素子D5は発光しない。
【0104】
このように断線異常のケースでは、発光素子D1〜D5が発光することはない。発光素子D1〜D5をいずれも点灯させないことで、断線等の異常を車両の運転者や整備者に知らせるとともに、誤点灯を防止することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 シフトポジション表示装置
2 セレクトレバー
3 ポジションセンサ
4 Miss制御UNIT
4a 表示制御部
4b デューティ信号出力部
5、5a、5b セレクトレバー表示部
6 メータ制御UNIT
6a 通信ライン
7 ヘッドランプ等灯火SW
8 バッテリ(電源)
8a 電源ライン
10 車両
15 レギュレータ回路(5V出力)
16 レギュレータ回路(12V出力)
17 バックライト
C1 コンパレータ
C2 コンパレータ(第1スイッチング素子)
C3〜C6 コンパレータ
D1〜D5 発光素子
EX−OR1〜EX−OR4 排他的論理和(第1スイッチング素子)
Q 可変圧Duty信号
Tr スイッチングトランジスタ(第2スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の変速機の各走行レンジに対応して複数設けられた発光素子を点灯させることにより、選択された走行レンジを表示するシフトポジション表示装置において、
信号電圧とデューティ比との両方を調整可能なデューティ信号を出力するデューティ信号出力部と、
前記発光素子の各々に対応して設けられ、オン動作する電圧範囲が互いに異なる複数の第1スイッチング素子とを備え、
前記信号電圧が属する前記電圧範囲に対応する前記第1スイッチング素子がオン動作することで、前記選択された走行レンジに対応する前記発光素子が点灯するとともに、点灯する前記発光素子の輝度を前記デューティ比により調整することを特徴とするシフトポジション表示装置。
【請求項2】
前記信号電圧が、前記電圧範囲のどれよりも大きくなった場合は、第2スイッチング素子がオフ動作し、前記発光素子はいずれも点灯しないことを特徴とする請求項1に記載のシフトポジション表示装置。
【請求項3】
前記信号電圧が、前記電圧範囲のどれよりも小さくなった場合は、前記第1スイッチング素子がオフ動作し、前記発光素子はいずれも点灯しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシフトポジション表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−56331(P2012−56331A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198284(P2010−198284)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】