説明

シフトレジスタ用回路並びにこれを用いたシフトレジスタ及び画像表示装置

【課題】無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタの各段に、負荷側で必要な電圧(出力用電圧)を出力するための出力回路が設けられたシフトレジスタにおいて、いずれかの段の出力端子に接続される負荷側で故障が発生しても、その故障による次段への影響を少なくする。
【解決手段】この回路は、シフトレジスタにおける1つの段の回路であり、TFTQ8,Q9のソース端子には電源電圧Vb,Vcが印加され、これらのドレイン端子には共通の外部出力端子が接続され、これらのゲート端子には状態選択信号が同一タイミングで入力される。第1同期反転回路及び第2同期反転回路から出力される信号から、互いに共役関係となる2つの状態選択信号がそれぞれ生成され、生成した各状態選択信号が2つのTFTQ8,Q9のゲート端子へ出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を構成する各画素の表示状態を制御するためのアクティブマトリクス回路などに用いられるシフトレジスタにおける1つの段を構成するシフトレジスタ用回路、及び、これを用いたシフトレジスタ、並びに、これを備えた、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電子ペーパー、フレキシブル表示装置、電子本、可搬型表示装置などの画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像表示装置として、アクティブマトリクス回路のアクティブ素子として、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を使用したものが知られている。このアクティブマトリクス回路では、FETからなるアクティブ素子のゲート端子(状態選択端子)に入力される選択電圧が所定のタイミングで順次供給される複数の選択線が、表示画面の複数の走査線それぞれに沿って配置されている。各選択線には、対応する走査線に沿って配置されている複数のアクティブ素子のゲート端子が接続され、互いに異なるタイミングで、アクティブ素子をアクティブ状態(オン状態)にするための選択電圧が所定の選択期間だけ供給される。また、アクティブ素子の例えばソース端子(画素信号入力端子)に入力される信号が所定のタイミングで供給される複数の画素信号線が、上記複数の選択線に交差するように配置されている。各画素信号線には、その画素信号線に沿って位置する複数の画素に対応する複数のアクティブ素子のソース端子(画素信号入力端子)が接続され、画像データに基づいて、上記選択期間にオンされているアクティブ素子から画素構成部材に駆動電圧を出力するための画素信号が供給される。このように選択期間にオンされているアクティブ素子の画素信号入力端子に画素信号が入力されると、当該アクティブ素子のドレイン端子(駆動電圧出力端子)から、対応する画素構成部材に駆動電圧が出力され、この駆動電圧により画素の表示状態が変化する。
【0003】
画像表示装置のアクティブマトリクス回路及びこれと一緒に作成される他の回路(例えばアクティブマトリクス回路が形成されるパネルと同じパネル上に形成される回路)における有機半導体(OSC)等によるTFTを印刷技術で作製することは、画像表示装置の作製工程の簡略化、部品点数の削減などによるコスト低減効果が得られる点で、有益である。そして、これらの回路を印刷技術で作製する上では、なるべく多くのアクティブ素子を互いに同型のチャネルで構成することが、画像表示装置の作製工程の簡略化、材料点数の削減などによるコスト低減効果が得られる点で、有益である。特に、アクティブマトリクス回路上の複数の選択線に対して選択電圧を順次供給するための駆動回路(選択信号供給部)に用いられるシフトレジスタのアクティブ素子を、アクティブマトリクス回路で用いられるアクティブ素子と同型のチャネルで作製できれば、非常に有益である。特に、半導体材料としてOSCを用いる場合、現在、pチャネル材料が比較的入手しやすく、移動度が高い一方、nチャネル材料は、多くの場合著しく移動度が低く、種類も少ない。したがって、OSCを用いて高性能かつ安価な回路を作成するためには、可能な限り、pチャネルのOSCだけを用い、nチャネルのOSCは用いないようにするのがよい。
【0004】
単一チャネルのアクティブ素子で構成される論理回路の中には、一方の論理値において貫通電流が流れるいわゆる比率型の論理回路(例えばPMOSやNMOSを用いた論理回路)が存在するが、このような論理回路は消費電力が多いという欠点がある。一方、例えばCMOSを用いた論理回路のように、いわゆる無比率型の論理回路も存在する。この論理回路は、通常、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタの2種類のトランジスタを用い、そのいずれか一方が必ずOFF状態になるように回路構成され、流れる電流はスイッチング時の過渡的な電流だけなので、消費電力が少ないという利点がある。しかし、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタという2種類のトランジスタを用いるので、単一チャネルのOSCで構成することができない。よって、コスト低減効果を得る上では、単一チャネルのアクティブ素子を用いて無比率型の論理回路を作製することが望まれる。
【0005】
図13は、単一チャネルのトランジスタを用いた無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタ(以下「単一チャネル無比率型シフトレジスタ」という。)のi段目(iは1〜nの自然数であり、nはシフトレジスタの段数である。)の回路部分だけを示した回路図である。
図14は、このシフトレジスタのi段目の回路部分における同期信号CK1,CK2と入力信号INiと出力信号OUTiの時間変化を示すグラフである。
この無比率型シフトレジスタは、図示したいずれのトランジスタもpチャネルで構成されており、2相の同期信号CK1,CK2を用いて、過渡的な電流は流れるが直流的な電流(貫通電流)は流れない構造になっている。なお、i段目の入力信号INiは、(i−1)段目の出力信号OUTi-1である。この無比率型シフトレジスタの各段は、同期信号CK2に同期して、入力信号INiを同期信号の1周期T分だけシフトさせた出力信号OUTiを出力する。
【0006】
一般に、アクティブマトリクス回路上の複数の選択線に対して選択電圧を順次供給するための駆動回路は、シフトレジスタの各段から出力される出力信号OUTiに応じて各選択線に選択電圧を印加するように動作する。このとき、選択電圧は、同時期にいずれか1つの選択線にのみ印加されることが必要であり、選択電圧が同時期に2以上の選択線に印加される事態を避ける必要がある。ここで、図13に示した無比率型シフトレジスタは、図14に示すように、(i−1)段目の出力信号OUTi-1(=入力信号INi)と、i段目の出力信号OUTiとの間に、t’の期間において互いに重複する部分が存在する。そのため、この無比率型シフトレジスタを上記のような駆動回路に用いても、そのままでは、選択電圧をいずれか1つの選択線にのみ印加するように動作する駆動回路を作製することができない。
【0007】
特許文献1には、無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタが開示されている。このシフトレジスタは、4相の同期信号が順次ON/OFFすることで、直列に接続されたトランジスタが同時にONになることがないように動作し、これにより貫通電流が流れるのを防止して省電力化を実現している。しかし、このシフトレジスタは、同期信号が4相分必要であるという欠点がある。
【0008】
また、特許文献2には、pチャネルのトランジスタを用いた無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタが開示されている。このシフトレジスタの各段(ステージ)には、アクティブマトリクス回路用の選択電圧(出力用電圧)を出力するための選択電圧出力回路がそれぞれ設けられている。すなわち、このシフトレジスタ全体で、アクティブマトリクス回路上の複数の選択線に対して選択電圧を順次供給するための駆動回路が構成されている。このシフトレジスタの各段からは、同期信号の1周期分に相当する時間の正又は負の論理値(Hレベル又はLレベルの信号)をもつ出力信号が順次出力される。ただし、このシフトレジスタは、出力される論理値が段ごとに交互に反転しながらシフトしていくことから、奇数段目の出力信号は正又は負の論理値であり、偶数段目の出力信号はその逆の論理値となる。また、このシフトレジスタからの出力信号は、段ごとに同期信号の半周期分だけズレてシフトしていく。したがって、奇数段目同士又は偶数番目同士の出力信号は互いに重複して出力されることはない。よって、このシフトレジスタは、奇数段目のみ又は偶数番目のみの出力信号を選択電圧として用いることで、選択電圧を同時期にいずれか1つの選択線にのみ印加するように動作させることができる。しかも、同期信号は2相分で済む点で、上記特許文献1に記載のシフトレジスタよりも優れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記特許文献2に記載のシフトレジスタの各段は、選択電圧として用いられる出力信号が次段の入力信号としてそのまま用いられる。そのため、ある段の出力信号の出力端子が接続される負荷側(選択線に接続されている各画素に対応するアクティブマトリクス回路のアクティブ素子のゲート容量等)で故障(特にアースや電源への短絡)が発生すると、その出力信号が適正に得られなくなる結果、次段に適正な入力信号を入力できなくなる。このように、上記特許文献2に記載のシフトレジスタは、いずれかの段の出力端子に接続される負荷側で故障が発生すると、その故障が次段に影響し、シフトレジスタ全体の動作に支障をきたすおそれがあるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタの各段に、負荷側で必要な電圧(出力用電圧)を出力するための出力回路が設けられたシフトレジスタにおいて、いずれかの段の出力端子に接続される負荷側で故障が発生しても、その故障による次段への影響が少ないシフトレジスタ用回路並びにこれを用いたシフトレジスタ及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シフトレジスタにおける1つの段を構成するシフトレジスタ用回路において、第1同期回路部により第1同期信号に同期させて、入力信号を該第1同期信号の半周期分だけ遅らせて反転出力する第1無比率型同期反転回路と、第2同期回路部により該第1同期信号と同じ周期をもつ第2同期信号に同期させて、該第1無比率型同期反転回路から出力される信号を該第2同期信号の半周期分だけ遅らせて反転出力する第2無比率型同期反転回路と、該第2無比率型同期反転回路から出力される信号を次段の入力信号として出力するための次段出力端子と、同型チャネルである2つのアクティブ素子の動作状態を変化させることにより、互いに異なる出力用電圧のいずれかを選択的に外部出力端子から出力する外部出力回路とを備え、該2つのアクティブ素子の入力部には、上記互いに異なる出力用電圧がそれぞれ印加され、該2つのアクティブ素子の出力部には、いずれも上記外部出力端子が接続され、該2つのアクティブ素子の状態選択部には、それぞれ、そのアクティブ素子の動作状態を、その入力部に入力されている出力用電圧が該外部出力端子に出力可能となるアクティブ状態にするための選択電圧と、該出力用電圧が該外部出力端子に出力されるのを規制する非アクティブ状態にするための非選択電圧とをとり得る状態選択信号が入力され、上記第1無比率型同期反転回路及び上記第2無比率型同期反転回路から出力される信号から、互いに共役関係となる2つの状態選択信号をそれぞれ生成し、生成した各状態選択信号を上記2つのアクティブ素子の状態選択部それぞれへ出力する共役信号生成回路を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシフトレジスタ用回路において、上記共役信号生成回路は、上記2つの状態選択信号のうちの少なくとも一方の状態選択信号を上記アクティブ素子の状態選択部へ出力する前に、該少なくとも一方の状態選択信号を上記第1同期信号及び上記第2同期信号のいずれか一方に同期させるための第3同期回路部を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のシフトレジスタ用回路において、上記共役信号生成回路は、上記第1無比率型同期反転回路内の信号から生成される状態選択信号を、上記第3同期回路部で同期がとられる前に、上記第2無比率型同期反転回路内の上記第2同期回路部を用いて上記第2同期信号に同期させる構成を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3のシフトレジスタ用回路において、上記共役信号生成回路は、上記2つの状態選択信号の両方について個別に設けられた2つの上記第3同期回路部でそれぞれ同期をとることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、上記共役信号生成回路は、上記互いに異なる出力用電圧のうち選択電圧との電位差が小さい方の出力用電圧に対応するアクティブ素子の状態選択部へ入力される状態選択信号の選択電圧を、上記第1同期信号及び上記第2同期信号のうち該状態選択信号について同期をとるために上記第3同期回路部に入力される方の同期信号を用いて、該出力用電圧との電位差が大きくなるように変圧する変圧回路部を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、上記第2無比率型同期反転回路は、2つのアクティブ素子の動作状態を変化させることにより、上記共役信号生成回路により生成される状態選択信号の選択電圧となる電圧又は非選択電圧となる電圧を該共役信号生成回路へ選択的に出力するものであり、該2つのアクティブ素子の入力部には、いずれも上記第2同期信号が入力され、該2つのアクティブ素子の出力部には、いずれも上記共役信号生成回路への出力端子が接続され、該2つのアクティブ素子のうちの一方の状態選択部には、上記第1無比率型同期反転回路から出力されて上記第2同期回路部により上記第2同期信号に同期された信号が入力され、該2つのアクティブ素子のうちの他方の状態選択部には、該第2同期信号が入力され、上記第2同期回路部の出力端子と上記第2同期信号が入力される同期信号入力端子との間に、所定の静電容量を有するキャパシタを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、上記外部出力回路における上記2つのアクティブ素子は、当該シフトレジスタ用回路に搭載される他のアクティブ素子と同型のチャネルであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、上記外部出力回路における上記2つのアクティブ素子は、有機半導体からなる電界効果トランジスタであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路を複数段配置してなるシフトレジスタ。
また、請求項10の発明は、表示画面を構成する複数の画素に対応させて複数の画素構成部材がマトリックス状に配置され該複数の画素構成部材それぞれに印加される駆動電圧によって各画素の表示状態が変化する表示部と、該複数の画素ごとに該画素構成部材へ印加する駆動電圧を制御するための複数のアクティブ素子が、各画素構成部材に対応するようにマトリックス状に配置されたアクティブマトリクス回路とを備え、該アクティブ素子は、そのアクティブ素子の動作状態を該駆動電圧が出力可能なアクティブ状態にするための選択電圧と該駆動電圧の出力が規制される非アクティブ状態にするための非選択電圧とが入力される状態選択端子と、該画素構成部材に印加する該駆動電圧を生成するための画素信号が入力される画素信号入力端子と、該画素信号入力端子に画素信号が入力されたときに該駆動電圧を該画素構成部材に出力する駆動電圧出力端子とを有する画像表示装置において、上記表示画面の複数の走査線それぞれに沿って配置された複数の選択線に、請求項9のシフトレジスタを用いて、上記アクティブ素子の状態選択端子に入力するための選択電圧を順次供給する選択信号供給部と、該表示画面の該複数の走査線と交差するように配置された複数の画素信号線に、該アクティブ素子の画素信号入力端子に入力するための画素信号を、該選択電圧が供給されている選択期間中の所定のタイミングで供給する画素信号供給部とを有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像表示装置において、少なくとも上記アクティブマトリクス回路及び上記シフトレジスタを構成するアクティブ素子は、すべて同型のチャネルであることを特徴とするものである。
【0012】
なお、本発明において、「互いに共役関係となる2つの状態選択信号」の「共役関係」とは、一方のアクティブ素子の状態選択部に対して選択電圧が印加されるときには他方のアクティブ素子の状態選択部に対して非選択電圧が印加され、一方のアクティブ素子の状態選択部に対して非選択電圧が印加されるときには他方のアクティブ素子の状態選択部に対して選択電圧が印加される関係をいう。
【0013】
本発明に係るシフトレジスタ用回路は、第1無比率型同期反転回路、第2無比率型同期反転回路及び次段出力端子が、主として、入力信号をシフトさせた出力信号を出力するというシフトレジスタの機能を果たし、外部出力回路が、主として、シフトレジスタ外部の負荷側で必要な電圧(出力用電圧)を出力するための出力回路としての機能を果たす。
そして、このシフトレジスタ用回路においては、次段出力端子から出力される次段の入力信号となる信号と、外部出力端子からシフトレジスタ外部に出力される出力信号とが別個のものである。そのため、外部出力端子に接続される負荷側でなんらかの故障が発生し、外部出力端子に異常な電圧変動等が生じても、これにより次段へ入力される入力信号へ与える影響が少ない。
ここで、外部出力回路を構成する2つのアクティブ素子が互いに同型チャネルであるため、これらのアクティブ素子を互いに異なるチャネルとした場合に比べて、作製工程の簡略化、部品点数の削減などによるコスト低減効果が得られる。ただし、これらのアクティブ素子の入力部には互いに異なる出力用電圧がそれぞれ印加されているので、これらのアクティブ素子の状態出力端子に対して同時期に選択電圧が印加されるようなことがあると、これらのアクティブ素子が同時期にアクティブ状態(ON状態)となって、これらのアクティブ素子を直流的な電流(貫通電流)が流れてしまい、消費電力が増大してしまう。
そのため、本発明に係るシフトレジスタ用回路は、共役信号生成回路で、互いに共役関係となる2つの状態選択信号を生成し、生成した各状態選択信号を、外部出力回路を構成する2つのアクティブ素子の状態選択部それぞれへ出力するようにしている。これにより、各アクティブ素子の状態選択部に対して同時期に選択電圧が印加される事態を防止することができ、貫通電流が流れるのを防止して消費電力の増大を抑制することができる。
しかも、本発明に係るシフトレジスタ用回路では、このような互いに共役関係となる2つの状態選択信号を、当該シフトレジスタ用回路内に設けられた第1無比率型同期反転回路及び第2無比率型同期反転回路から出力される信号から生成するので、作製工程の簡略化、部品点数の削減などによるコスト低減効果が得られる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、無比率型論理回路で構成されるシフトレジスタの各段に、負荷側で必要な電圧(出力用電圧)を出力するための出力回路(外部出力回路)が設けられたシフトレジスタにおいて、いずれかの段の外部出力端子に接続される負荷側で故障が発生しても、その故障による次段への影響が少ないという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る電子ペーパーの表示部における表示を制御するためのアクティブマトリクス回路及びその駆動部を含む回路部の概略構成を示す説明図である。
【図2】同アクティブマトリクス回路の一部(1画素分)を拡大した模式図である。
【図3】同アクティブマトリクス回路の一画素におけるアクティブ素子及び画像構成部材の等価回路を示す説明図である。
【図4】同アクティブマトリクス回路のアクティブ素子であるTFTと画素電極の断面構造を示す説明図である。
【図5】同電子ペーパーの表示部及び回路部の一部を切断した断面を模式的に示した説明図である。
【図6】(a)は、同アクティブマトリクス回路用の選択線ドライバを構成するシフトレジスタにおけるi段目を構成するシフトレジスタ用回路の端子構成を示す説明図である。(b)は、同シフトレジスタ用回路をN段配置してなるシフトレジスタの端子構成を示す説明図である。
【図7】同シフトレジスタの各段を構成するシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
【図8】同シフトレジスタ用回路の各端子の信号レベルを示すタイミングチャートである。
【図9】同シフトレジスタ用回路を6段接続して作製したシフトレジスタの動作を回路シミュレータで動作確認した実施例の結果を示すグラフである。
【図10】変形例1におけるシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
【図11】変形例2におけるシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
【図12】同シフトレジスタ用回路の各端子の信号レベルを示すタイミングチャートである。
【図13】従来の単一チャネル無比率型シフトレジスタのi段目の回路部分だけを示した回路図である。
【図14】同シフトレジスタ用回路の各端子の信号レベルを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、画像構成部材として電気泳動材(着色粒子)を用いた画像表示装置である電子ペーパーに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子ペーパーの表示部における表示を制御するためのアクティブマトリクス回路及びその駆動部を含む回路部の概略構成を示す説明図である。
図2は、アクティブマトリクス回路の一部(1画素分)を拡大した模式図である。
図中縦方向に延びる信号ラインが画素信号線1,2,・・・,n−1,n,n+1,・・・,Nであり、図中横方向に延びる信号ラインが選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,Mである。
【0017】
本実施形態の画像表示装置は、表示画面を構成する複数の画素に対応させて複数の電気泳動材からなる画素構成部材がマトリックス状に配置され複数の画素構成部材それぞれに印加される駆動電圧によって各画素の表示状態が変化する表示部と、複数の画素ごとに画素構成部材へ印加する駆動電圧を制御するための複数のアクティブ素子が、各画素構成部材に対応するようにマトリックス状に配置されたアクティブマトリクス回路とを備えている。本実施形態のアクティブマトリクス回路は、アクティブ素子として、電界効果トランジスタである薄膜トランジスタ1001が用いられている。図中の(m,n)座標に配置されたTFT1001を例に挙げて説明すると、TFT1001のドレイン端子(駆動電圧出力端子)1004には、画像構成部材の画素電極1005が接続されている。また、TFT1001は、そのソース端子(画素信号入力端子)1003に、対応する画素信号線nが接続されており、そのゲート端子(状態選択端子)1002に、対応する選択線mが接続されている。本実施形態のTFT1001は、有機半導体で構成されたpチャネルのTFTであるが、適切に電圧を設定し直すことで、nチャネルのTFTであってもよい。
【0018】
また、本実施形態の画像表示装置は、アクティブマトリクス回路のほか、制御部としてのコントローラ309、記憶手段としてのメモリ310、選択信号供給部としての選択線ドライバ313、画素信号供給部としての画素信号線ドライバ311が搭載されている。メモリ310には、表示部に表示する画像フレームの各表示画素の表示データが格納される。
【0019】
図3は、アクティブマトリクス回路の一画素におけるアクティブ素子及び画像構成部材の等価回路を示す説明図である。
画像構成部材は、アースに接続されている透明電極1006と、これに対向して配置される画素電極1005と、両電極の間に配置された電気泳動材である着色粒子1014とを用いて構成されている。本例では、所定極性に帯電した着色粒子1014を移動させることで、表示面側の各表示画素の色や濃度(明るさ)などを調整して画像を表示する。また、画素電極1005には、アクティブ素子としてのTFT1001のドレイン端子が接続されている。このTFT1001は、そのソース端子に信号線nが接続されており、そのゲート端子に選択線mが接続されている。このようなアクティブマトリクス回路においては、表示画面の各画素の電極1005,1006間に発生させる電界の向きを画素信号線1,2,・・・,n−1,n,n+1,・・・,Nに印加する駆動電圧の正負により決定する。また、どの画素について駆動電圧の印加を可能とするかは、どの選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,Mにアクティブ状態選択電圧(以下「画素選択電圧」という。)又は非アクティブ状態選択電圧(以下「非画素選択電圧」という。)を印加するかによって制御する。すなわち、例えば(m,n)の画素において、選択線mに画素選択電圧を印加すると、その画素選択電圧がTFT1001のゲート端子1002に印加され、TFT1001がON状態(アクティブ状態)になる。これにより、信号線nを通じてTFT1001のソース端子1003に印加される駆動電圧が、ドレイン端子1004に接続された画素電極1005に印加される。一方、選択線mに非画素選択電圧を印加すると、その非画素選択電圧がTFT1001のゲート端子1002に印加され、TFT1001がOFF状態(非アクティブ状態)になる。これにより、信号線nから駆動電圧がTFT1001のソース端子1003に印加されても、ドレイン端子1004に接続された画素電極1005には駆動電圧が印加されない。
【0020】
図4は、TFT1001と画素電極1005の断面構造を示す説明図である。
TFT1001の構造は、基板1201の上にゲート電極(ゲート端子)1002と対向電極1010とが形成され、これらの電極1002,1010の上に絶縁膜1012が形成されている。そして、この絶縁膜1012の上にソース電極(ソース端子)1003及びドレイン電極(ドレイン端子)1004を形成し、これらの電極1003,1004間に活性層1013が形成される。ソース電極1003、ドレイン電極1004及び活性層1013は、保護膜1015に覆われている。保護膜1015にはスルーホール電極1016が形成され、このスルーホール電極1016を通じてドレイン電極1004と画素電極1005との電気的な導通路が形成される。
【0021】
図5は、本実施形態の電子ペーパーの表示部1300及び回路部1200の一部を切断した断面を模式的に示した説明図である。
表示部1300の表示面1301aは透明基板1301の一方の面で構成され、その透明基板1301の他方の面上には、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明電極1006が形成されている。透明電極1006と、これに対向して配置される画素電極1005との間には、画素構成部材としての移動材である電気泳動材としての白と黒の2色の着色粒子1014W,1014Bを内包した複数のカプセル1303が配置されている。なお、本実施形態においては、カプセル1303の寸法が表示画素よりも大きいものであるが、カプセル1303の寸法が表示画素と同じであったり小さいものであったりしてもよい。本実施形態では、互いに逆極性に帯電した各色の着色粒子1014W,1014Bを電界の作用により移動させることで、表示面1301a側の各表示画素の色や濃度(明るさ)などを調整して、画像を表示する。なお、透明電極1006は、各画素電極に対して共通の電極であり、アースに接続されている。
【0022】
画素電極1005と透明電極1006との間に発生する電界の向きは、対応する画素信号線nに印加する駆動電圧の極性により決定する。また、どの画素電極1005に対して駆動電圧の印加を可能とするかは、対応する選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,Mに印加される画素選択電圧によって制御する。具体的に(m,n)の画素を例に挙げて説明する。選択線mに画素選択電圧を印加すると、その画素選択電圧がTFT1001のゲート端子1002に印加され、TFT1001がON状態(アクティブ状態)になる。これにより、画素信号線nを通じてTFT1001のソース端子1003に印加される駆動電圧がドレイン端子1004を通じて画素電極1005に印加される。一方、選択線mに非画素選択電圧を印加すると、その非画素選択電圧がTFT1001のゲート端子1002に印加され、TFT1001がOFF状態(非アクティブ状態)になる。これにより、画素信号線nから駆動電圧がTFT1001のソース端子1003に印加されても、ドレイン端子1004に接続された画素電極1005には駆動電圧が印加されない。
【0023】
カプセル1303内の着色粒子1014W,1014Bは、外部電界が無い状態ではカプセル1303内で分散した状態となる。一方、駆動電圧の印加によって外部電界が発生した状態では、図5に示すように、カプセル1303内の着色粒子1014W,1014Bは外部電界の向きに応じてカプセル1303内を移動する。これにより、カプセル1303内を表示面1301a側に移動した着色粒子1014W,1014Bの色に応じて各画素の色や濃度(明るさ)が決定し、表示面全体として白黒の画像が表示される。
【0024】
次に、本実施形態における画像表示動作について説明する。
表示部1300に新たな画像フレームを表示する場合、操作部308において表示切換開始信号が生成され、その表示切換開始信号がコントローラ309へ送信されることにより表示切換処理が開始する。コントローラ309は、まず、選択線ドライバ313へ命令信号30Fを送信する。この命令信号30Fを受信した選択線ドライバ313は、命令信号30Fに従い、選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,Mを通じて各TFT1001のゲート端子1002に所定のタイミングで所定の制御電圧(画素選択電圧又は非画素選択電圧)を印加する。これにより、各TFT1001の動作状態が制御される。コントローラ309からの命令信号30Fには、どの選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,M上のTFT1001をON状態にするかの制御信号と、選択線ドライバ313から画素選択電圧を出力するタイミングを決定する制御信号とが含まれている。
【0025】
また、コントローラ309は、メモリ310へアドレッシング信号30Bを送信するとともに、画素信号線ドライバ311には命令信号30Dを送信する。メモリ310へのアドレッシング信号30Bにより、メモリ310内から表示対象である画像フレームの各表示画素の表示データが抽出される。この表示データは、各表示画素のTFT1001で表示するパターンに対応したものである。抽出された表示データ30Cは、メモリ310から画素信号線ドライバ311へ送信される。画素信号線ドライバ311は、この表示データ30Cとコントローラ309からの命令信号30Dとによって、各画素信号線1,2,・・・,n−1,n,n+1,・・・,Nを通じて各TFT1001のソース端子1003に所定のタイミングで所定の駆動電圧を印加する。コントローラ309からの命令信号30Dには、画素信号線ドライバ311から駆動電圧を出力するタイミングを決定する制御信号が含まれている。
【0026】
各TFT1001では、ゲート端子1002に画素選択電圧が印加されている期間(ON状態の期間)にソース端子1003へ入力された駆動電圧がドレイン端子1004を通じて画素電極1005へ伝達される。これにより、その画素電極1005が駆動電圧に応じてプラス電位又はマイナス電位になり、画素電極1005と透明電極1006との間に電位差が生じて電界が発生する。これにより、その画素電極1005と透明電極1006との間に位置する着色粒子1014W,1014Bのいずれか一方が透明電極1006側に移動する。これにより、その表示画素の色が、透明電極1006側に移動した着色粒子1014W,1014Bの色となる。このようにして、各表示画素の色を順次制御していき、すべての表示画素についての制御が終了した時点で、画像フレームの表示切り換えが完了する。
【0027】
なお、各画素信号線1,2,・・・,n−1,n,n+1,・・・,Nに印加する駆動電圧の電圧レベルは、画素信号線用D/Aコンバータ(以下「画素信号線用DAC」という。)312によって設定される。また、各選択線1,2,・・・,m−1,m,m+1,・・・,Mに印加する画素選択電圧の電圧レベルは、選択線用D/Aコンバータ(以下「選択線用DAC」という。)314によって設定される。画素信号線用DAC312や選択線用DAC314で設定する電圧レベルは、コントローラ309から送信される電圧レベル設定信号に応じて決定される。具体的には、コントローラ309からの電圧レベル設定信号を受信した画素信号線用DAC312及び選択線用DAC314は、受信した電圧レベル設定信号に応じた電圧レベルの電圧を、それぞれ、画素信号線ドライバ311及び選択線ドライバ313に送る。
【0028】
次に、本発明の特徴部分である選択線ドライバ313の具体的な構成及び動作について説明する。
図6(a)は、選択線ドライバ313を構成するシフトレジスタにおけるi段目を構成するシフトレジスタ用回路の端子構成を示す説明図であり、図6(b)は、このシフトレジスタ用回路をN段配置してなるシフトレジスタの端子構成を示す説明図である。
図7は、シフトレジスタの各段を構成するシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
図8は、シフトレジスタ用回路の各端子の信号レベルを示すタイミングチャートである。
【0029】
なお、本実施形態において、シフトレジスタ用回路を構成するすべてのアクティブ素子は、アクティブマトリクス回路のアクティブ素子であるTFT1001と同じように、有機半導体で構成されたpチャネルのTFTである。したがって、各TFTのゲート端子(状態選択端子)へ入力されるアクティブ状態選択電圧(以下、単に「選択電圧」という。)はLレベル電圧であり、非アクティブ状態選択電圧(以下、単に「非選択電圧」という。)はHレベル電圧である。
【0030】
本実施形態におけるi段目のシフトレジスタ用回路は、図6(a)に示すように、互いに同じ周期で同じ矩形波からなり位相が半周期分ズレた2相の同期信号CK1,CK2と、入力信号INiと、アクティブマトリクス回路上の各TFT1001のゲート端子1002に接続された選択線に出力するための出力用電圧である画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcとが入力され、次段の入力信号として出力される次段出力信号OUT1iと、画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcをとり得る外部出力信号である外部出力信号OUT2iとが出力される。なお、i段目の入力信号INiは、(i−1)段目の次段出力信号OUT1i-1である。
【0031】
本実施形態におけるi段目のシフトレジスタ用回路は、主として、第1無比率型同期反転回路としての第1同期反転回路と、第2無比率型同期反転回路としての第2同期反転回路と、外部出力回路と、共役信号生成回路とから構成されている。
なお、図7においては、説明の便宜上、各回路を1点鎖線で区分しているが、各回路の動作にはこの区分に含まれない回路素子等(他の区分に属する回路素子等を含む。)も影響することがあり、その場合にはこの区分外の回路素子等も各回路を構成する構成要素となる。
【0032】
第1同期反転回路は、第1同期回路部としてのTFTQ1により第1同期信号CK1に同期させて、入力信号INiを第1同期信号CK1の半周期分だけ遅らせて反転出力する同期反転回路である。この第1同期反転回路は、無比率型の論理回路で構成されている。
第2同期反転回路は、第2同期回路部としてのTFTQ4により第2同期信号CK2に同期させて、第1同期反転回路から出力される信号を第2同期信号CK2の半周期分だけ遅らせて反転出力する同期反転回路である。この第2同期反転回路も、無比率型の論理回路で構成されている。
【0033】
外部出力回路は、2つのアクティブ素子であるTFTQ8及びTFTQ9の動作状態を変化させることにより、互いに異なる出力用電圧である画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcのいずれかを選択的に外部出力端子へ印加し、画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcをとり得る外部出力信号OUT2iを外部出力端子から出力する。
TFTQ8の入力部であるソース端子には、画素選択電圧Vbが印加されており、TFTQ9の入力部であるソース端子には、非画素選択電圧Vcが印加されている。また、TFTQ8及びTFTQ9の出力部であるドレイン端子には、いずれも、外部出力信号OUT2iを出力するための外部出力端子が接続されている。また、TFTQ8の状態選択部であるゲート端子には、そのTFTQ8の動作状態を、そのソース端子に入力されている画素選択電圧Vbがそのドレイン端子に出力可能となるアクティブ状態(ON状態)にするための選択電圧(Lレベル電圧)と、そのソース端子に入力されている画素選択電圧Vbがそのドレイン端子に出力されるのを規制する非アクティブ状態(OFF状態)にするための非選択電圧(Hレベル電圧)とをとり得る状態選択信号が入力される。
【0034】
共役信号生成回路は、上記第1同期反転回路及び上記第2同期反転回路から出力される信号(図7中B点の信号と図7中C点の信号)から、互いに共役関係となる2つの状態選択信号をそれぞれ生成し、生成した各状態選択信号を、外部出力回路の2つのTFTQ8及びTFTQ9のゲート端子D,Eそれぞれへ出力する。したがって、外部出力回路の2つのTFTQ8及びTFTQ9のゲート端子D,Eに入力される2つの状態選択信号は、TFTQ8のゲート端子Dに対して選択電圧(Lレベル電圧)が印加されるときにはTFTQ9のゲート端子Eに対して非選択電圧(Hレベル電圧)が印加され、TFTQ8のゲート端子Dに対して非選択電圧(Hレベル電圧)が印加されるときにはTFTQ9のゲート端子Eに対して選択電圧(Lレベル電圧)が印加されるような共役関係を持つ。
【0035】
本実施形態の共役信号生成回路は、主に、第1同期反転回路及び第2同期反転回路から出力される信号(B点信号とC点信号)を、第1同期信号CK1でそれぞれ同期をとった後に、外部出力回路の各TFTQ8及びTFTQ9のゲート端子D,Eへ出力するという外部出力回路の入力同期回路部として動作するTFTQ7及びTFTQ10から構成される。なお、ここの同期信号としては第2同期信号CK2を用いることも可能である。
【0036】
本実施形態において、シフトレジスタに用いる2相の同期信号CK1,CK2は、上記第1同期反転回路の同期回路部を構成するTFTQ1と、上記第2同期反転回路の同期回路部を構成するTFTQ4が同時に非アクティブ状態(OFF状態)となる時期を挟んで、TFTQ1及びTFTQ4が交互にON状態及びOFF状態を繰り返すような関係とする。本実施形態における2相の同期信号CK1,CK2は、具体的には、図8に示すように、3/4周期のLレベル電圧(TFTQ1又はTFTQ4をON状態にするための電圧。すなわち、TFTQ1又はTFTQ4の選択電圧。)と、1/4周期のHレベル電圧(TFTQ1又はTFTQ4をOFF状態にするための電圧。すなわち、TFTQ1又はTFTQ4の非選択電圧。)とで構成されるデューティ比をもった信号であって、互いに位相が半周期分ズレたものである。
【0037】
本実施形態において、i段目のシフトレジスタ用回路は、最初に第1同期信号CK1がLレベル電圧になったときに、これに同期して送られてくる入力信号INiを保持し、第1同期信号CK1の1周期T(第2同期信号CK2の1周期と同じ。)だけシフトさせて、その入力信号INiを次段出力信号OUT1iとして出力する。
ただし、本実施形態においては、第2同期反転回路から出力される次段出力信号OUT1iに含まれるデータ信号(同期信号の1周期Tの長さをもつLレベル信号)の時間幅(以下、単に「幅」という。)は、同期信号の1周期T(=t1+t2)よりも、同期信号の1/4周期分(第2同期信号CK2のHレベル電圧の幅分)だけ長くなる。これは、第2同期反転回路が、第2同期信号CK2がHレベル電圧になるのに合わせてHレベル電圧を出力するためである。このように次段出力信号OUT1iに含まれるデータ信号が同期信号の1周期Tの長さ以上の幅を持つと、シフトレジスタの隣り合う段同士で次段出力信号OUT1が同時にHレベル電圧になる事態が発生する。そのため、このような次段出力信号OUT1をそのまま外部出力信号OUT2として用いたり、あるいは、外部出力回路のTFTQ8又はTFTQ9のゲート端子へ印加する状態選択信号として用いたりすることはできない。
【0038】
そこで、本実施形態では、共役信号生成回路において、第2同期反転回路から出力される次段出力信号OUT1に対し、第1同期信号CK1で同期をとった後、外部出力回路のTFTQ8のゲート端子Dへ出力する構成としている。これにより、第1同期信号CK1がLレベル電圧になるときに同期して、TFTQ8のゲート端子電圧がHレベル電圧(非選択電圧)からLレベル電圧(選択電圧)へ切り替わり(このとき、TFTQ9のゲート端子電圧がLレベル電圧(選択電圧)からHレベル電圧(非選択電圧)へ切り替わる。)、外部出力回路から出力される外部出力信号OUT2は画素選択電圧Vbとなる。そして、次に、第1同期信号CK1がLレベル電圧になるときに同期して、TFTQ8のゲート端子電圧がLレベル電圧(選択電圧)からHレベル電圧(非選択電圧)へ切り替わり(このとき、TFTQ9のゲート端子電圧がHレベル電圧(非選択電圧)からLレベル電圧(選択電圧)へ切り替わる。)、外部出力回路から出力される外部出力信号OUT2は非画素選択電圧Vcとなる。したがって、シフトレジスタ内の各段の外部出力信号OUT2の電圧レベルが同時に反転するため、隣接する段同士でもその外部出力信号OUT2の電圧レベルが重複することはない。
【0039】
また、第1同期反転回路や第2同期反転回路は、通常、入力された信号と出力する信号の論理値が反対になるが、出力する信号の位相は、入力される信号の位相から同期信号CK1,CK2の半周期分だけ遅れて出力される。この点を考慮し、本実施形態では、第1同期反転回路から出力される信号を、第2同期反転回路の入力同期回路部により第2同期信号CK2で同期する。これにより、第1同期反転回路及び第2同期反転回路の出力信号は、いずれも第2同期信号CK2でそれぞれ同期される。そして、この各出力信号を、それぞれ、もう一方の第1同期信号CK1で同期をとった後、外部出力回路の各TFTQ8,Q9のゲート端子へ送り込む構成としている。
【0040】
ここで、外部出力回路の各TFTQ8,Q9のソース端子には、それぞれ異なる電圧Vb,Vc(本実施形態では、Vc>Vbの関係である。)が印加されている。そのため、TFTQ8,Q9のゲート端子に同じ電圧を印加してもバイアス電圧が異なることになる。本実施形態では、TFTQ8の方が、TFTQ9よりも、ソース端子に印加されている電圧とゲート端子へ印加される選択電圧との電位差(バイアス電圧)が近い。したがって、TFTQ8については、これを十分安定してアクティブ状態(ON状態)に維持できるように、TFTQ9よりも選択電圧を低くしてバイアス電圧を大きくすることが好ましい。
【0041】
そこで、本実施形態では、TFTQ8についてのバイアス電圧を大きくするため、キャパシタC8を図7に示すように挿入している。このようなキャパシタC8を設けることにより、第1同期信号CK1がLレベル電圧であるとき、そのLレベル電圧に対するキャパシタC8とキャパシタC4による分圧比分だけ、第2同期反転回路の出力電圧を低くすることができる。これにより、TFTQ7のソース端子へ印加されるLレベル電圧が低くなり、この低いLレベル電圧をTFTQ8のゲート端子に印加できる。その後、第1同期信号CK1がHレベル電圧となってTFTQ7が非アクティブ状態(OFF状態)になった場合も、キャパシタC5によりTFTQ8のゲート端子に印加される電圧(低いLレベル電圧)が維持される。ただし、第1同期信号CK1がLレベル電圧となったときにキャパシタC4がHレベル電圧になっている場合にも、キャパシタC8によりそのHレベル電圧が低くなってしまうが、その低下分があっても、TFTQ8を十分に安定してOFF状態にできるような十分に高いHレベル電圧を維持できるように、キャパシタC8の静電容量を設定する。
【0042】
また、本実施形態においては、キャパシタC7を図7に示すように挿入している。これにより、キャパシタC3を充電してB点をHレベル電圧からLレベル電圧へ切り換えるときに、Lレベル電圧である第2同期信号CK2によってB点の電位を低電位方向へシフトさせることができるので、キャパシタC3を効率よく充電することができる。また、第2同期信号CK2がHレベル電圧であるときには、B点の電位を高電位方向へシフトさせて、TFTQ5のOFF状態を安定化させることができるとともに、このB点に対してTFTQ10を経て接続されている外部出力回路のTFTQ9についてもOFF状態の安定化を図ることができる。この点で、キャパシタC7は補償容量としての機能を果たす。
【0043】
更に、このキャパシタC7を設ければ、キャパシタC3によるB点のLレベル電圧の保持性が高まる結果、キャパシタC4として大きな静電容量のものを用いることなく動作させることが可能となる。キャパシタC4の静電容量を小さくできれば、キャパシタC8の静電容量や、次の段のシフトレジスタ用回路の第1同期反転回路に設けられるキャパシタC1の静電容量も小さくできる。このように静電容量を小さくできる効果は、キャパシタの実装面積を小さくできるだけではない。すなわち、外部出力信号OUT2で非画素選択電圧Vcを出力しているとき、第2同期信号CK2に同期してキャパシタC4の充放電を行う際に瞬時電流が流れる。この瞬時電流は、選択している選択線に対応する段以外のすべてで流れるため、選択線の数の多い場合には無視できないものとなる。したがって、ごく小さなキャパシタC7を設けて大きくなりがちなキャパシタC4の静電容量を小さくすることは、瞬時電流を減らす点においても有益である。
【0044】
〔実施例〕
図9は、本実施形態におけるシフトレジスタ用回路を6段接続して作製したシフトレジスタの動作を回路シミュレータで動作確認した実施例の結果を示すグラフである。
なお、図9に示す各グラフは、図中上から順に、第1同期信号CK1の信号波形、第2同期信号CK2の信号波形、2〜4段目のシフトレジスタ用回路から出力される外部出力信号OUT2の信号波形、3段目のシフトレジスタ用回路における図7中A点の電位の時間変化、同B点の電位の時間変化、同C点の電位の時間変化、同D点の電位の時間変化、同E点の電位の時間変化、3段目のシフトレジスタ用回路におけるTFTQ8,Q9のVgsの時間変化、6段をデカップリングキャパシタ無しとしたときの同期信号CK1,CK2及び外部出力信号のTFTQ8,Q9を流れる電流、をそれぞれ示している。
【0045】
この実施例では、各TFTを構成する有機半導体の移動度μを0.2[cm2/(V×s)]を想定している。また、各段の外部出力端子には、アクティブマトリクス回路内のTFT1001のゲート−ソース間容量として、10[pF]の負荷容量を与えている。本シミュレーションでは、各シフトレジスタ用回路内における各TFTの入力容量や保持容量などの設定にもよるが、同期信号CK1,CK2の周期Tが60[μs]であるため、外部出力信号OUT2の出力幅は60[μs]となっている。本シミュレーションでは、図9におけるD点及びE点の電位の時間変化のグラフ(図9中下から4番目と3番目のグラフ)が示すように、TFTQ8,Q9に互いに共役関係となる状態選択信号がそれぞれ同時期に入力されることで、3段目のシフトレジスタ用回路におけるTFTQ8,Q9のVgsの時間変化のグラフ(図9中下から2番目のグラフ)が示すように、TFTQ8,Q9のVgsが互いに反転した関係となることから、図9の最下段のグラフに示したように、いずれの電流も瞬時電流であって、貫通電流のような直流的な電流は流れない。
【0046】
また、本実施例のように移動度μが0.2[cm2/(V×s)]である有機半導体を用いた場合、図9の下から2段目のグラフに示したように、外部出力信号OUT2に各同期信号CK1,CK2に対応して僅かなスパイクが表れたが、外部出力信号OUT2の画素選択電圧及び非画素選択電圧としては、電源電圧であるVb=−20V及びVc=+20Vにほぼ完全に到達している。つまり、他の回路部分に比べて比較的大きな電流を流す能力を有する外部出力回路中のTFTQ8,Q9で消費される電力は、瞬時電流による過渡的に消費される電力だけで、その消費電力は僅かである。
【0047】
〔変形例1〕
次に、上記実施形態におけるシフトレジスタ用回路の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
図10は、本変形例1におけるシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
本変形例1のシフトレジスタ用回路の基本構成は、図7に示した上記実施形態のものと同様であるが、シフトレジスタ用回路中のキャパシタC1〜C6の一端に対し、上記実施形態ではアース電位を印加していたのに対し、本変形例1では電源電圧(画素選択電圧)Vbを印加している。
【0048】
本変形例1によれば、シフトレジスタ用回路上でアースラインが必要となくなる点で、非常に有益である。また、本変形例1のようにアース電位に代えて電源電圧Vbを接続しても、回路動作としては、キャパシタC1〜C6のリーク電流が小さく、これらのキャパシタC1〜C6に対して等価回路上では直列に接続されることになる各種TFTの入力容量(ゲート−ソース間容量Cgs、ゲート−ドレイン間容量Cgdなど)が、これらのキャパシタC1〜C6の静電容量に比べて十分小さい限り(例えばそれぞれが1/5以下)、大きな影響はない。これは、この電源電圧(画素選択電圧Vb)に代えて、もう一方の電源電圧(非画素選択電圧Vc)を用いる場合でも同様である。
【0049】
なお、本変形例1では、すべてのキャパシタC1〜C6に対し、アースに代えて電源電圧Vbを接続する場合について説明したが、レイアウト上の制約がある等の条件に応じて、一部のキャパシタはアースに接続し、残りは電源電圧Vb,Vcのいずれかへ接続するようにしてもよい。ただし、これらのラインのインピーダンスは十分低くすることに留意する必要がある(望ましくは、直流的に、さらには十分に補償する場合にはデカップリングキャパシタによってもよい。)。
【0050】
〔変形例2〕
次に、上記実施形態におけるシフトレジスタ用回路の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
図11は、本変形例2におけるシフトレジスタ用回路の一例を示す回路図である。
本変形例2のシフトレジスタ用回路の基本構成は、図7に示した上記実施形態のものと同様であるが、本変形例2では共役信号生成回路中のTFTQ10を省略した点で、上記実施形態のものと異なっている。
【0051】
第2同期反転回路の同期回路部(TFTQ4)の出力信号(B点の信号)は、もともと第1同期反転回路の出力信号を、第2同期反転回路の同期回路部(TFTQ4)を利用して第2同期信号で同期をとったものである。そのため、B点の信号は、次段出力信号OUT1(C点の信号)とは異なり、第2同期信号CK2と同時かつ周期的にLレベル電圧となる事態は生じない。したがって、第1同期信号CK1で再度同期をとらずに、外部出力回路のTFTQ9のゲート端子に直接入力しても、上記実施形態のものと同様の動作を実現することができる。ただし、B点の信号は、第2同期信号CK2がLレベル電圧になることにより変化し得るので、図12に示すように、外部出力回路からの外部出力信号OUT2は、第1同期信号CK1がLレベル電圧であるときに画素選択電圧Vbになり、第2同期信号CK2がLレベル電圧であるときに非画素選択電圧Vcとなる。したがって、外部出力信号OUT2における画素選択電圧Vbの期間は同期信号CK1,CK2の半周期分となる。つまり、本変形例2における外部出力信号OUT2は、隣接する段同士で同時に反転しない。なお、本変形例2でも、外部出力信号OUT2の画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcは、電源電圧に十分近い値まで到達させることができる。
【0052】
以上、本実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)に係るシフトレジスタにおける1つの段を構成するシフトレジスタ用回路は、第1同期回路部であるTFTQ1により第1同期信号CK1に同期させて、入力信号INiを第1同期信号CK1の半周期分だけ遅らせて反転出力する第1無比率型同期反転回路としての第1同期反転回路と、第2同期回路部Q4により第1同期信号CK1と同じ周期Tをもつ第2同期信号CK2に同期させて、第1同期反転回路から出力される信号(A点の信号)を第2同期信号CK2の半周期分だけ遅らせて反転出力する第2無比率型同期反転回路としての第2同期反転回路と、第2同期反転回路から出力される次段出力信号OUT1i(C点の信号)を次段の入力信号INi+1として出力するための次段出力端子と、同型チャネル(本実施形態ではpチャネル)である2つのアクティブ素子であるTFTQ8,Q9の動作状態を変化させることにより、互いに異なる出力用電圧である画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vcのいずれかを選択的に外部出力端子から出力する外部出力回路とを備えている。TFTQ8,Q9の入力部であるソース端子には、電源電圧(画素選択電圧Vb及び非画素選択電圧Vc)がそれぞれ印加され、TFTQ8,Q9の出力部であるドレイン端子には、いずれも外部出力端子が接続されている。また、TFTQ8,Q9の状態選択部であるゲート端子には、それぞれ、そのTFTQ8,Q9の動作状態を、そのソース端子に入力されている画素選択電圧Vb又は非画素選択電圧Vcが外部出力端子に出力可能となるアクティブ状態(ON状態)にするための選択電圧と、画素選択電圧Vb又は非画素選択電圧Vcが外部出力端子に出力されるのを規制する非アクティブ状態(OFF状態)にするための非選択電圧とをとり得る状態選択信号が同一タイミングで入力される。そして、第1同期反転回路及び第2同期反転回路から出力される信号(A点の信号及びC点の信号)から、互いに共役関係となる2つの状態選択信号をそれぞれ生成し、生成した各状態選択信号を2つのTFTQ8,Q9のゲート端子それぞれへ出力する共役信号生成回路を有する。
本実施形態のシフトレジスタ用回路は、次段出力端子から出力される次段出力信号OUT1iと、外部出力端子から出力される外部出力信号OUT2iとが別個のものである。そのため、外部出力端子に接続される負荷側(選択線に接続されている各画素に対応するTFT1001のゲート容量等)で故障(特にアースや電源への短絡)が発生し、外部出力端子に異常な電圧変動等が生じても、これにより次段へ入力信号INi+1として入力される次段出力信号OUT1iへ与える影響が少ない。
また、本実施形態に係るシフトレジスタ用回路は、共役信号生成回路で生成される互いに共役関係である2つの状態選択信号を外部出力回路を構成する2つのTFTQ8,Q9のゲート端子それぞれへ出力するので、各TFTQ8,Q9のゲート端子に対して同時期に選択電圧(Lレベル電圧)が印加される事態を防止できる。その結果、TFTQ8,Q9を貫通電流が流れるのを防止でき、消費電力の増大を抑制することができる。これにより、有機半導体などの熱耐性の比較的弱い材料によるTFTを外部出力回路に用いても安定動作を実現できる。
しかも、本実施形態に係るシフトレジスタ用回路では、上記のような互いに共役関係となる2つの状態選択信号を当該シフトレジスタ用回路内の第1同期反転回路及び第2同期反転回路から出力される信号から生成するので、作製工程の簡略化、部品点数の削減などによるコスト低減効果が得られる。
【0053】
また、本実施形態において、共役信号生成回路は、2つの状態選択信号のうちの少なくとも一方の状態選択信号をTFTQ8,Q9のゲート端子へ出力する前に、その状態選択信号を第1同期信号CK1に同期させるための第3同期回路部としてのTFTQ7,Q10を有する。これにより、簡易な構成で、互いに位相がズレている第1期反転回路の出力信号と第2同期反転回路の出力信号から、互いに共役関係である2つの状態選択信号を得ることができる。
また、本実施形態において、共役信号生成回路は、第1同期反転回路内の信号から生成される状態選択信号を、TFTQ10で同期がとられる前に、第2同期反転回路内のTFTQ4を用いて第2同期信号CK2に同期させている。これにより、第1同期反転回路内の信号から生成される状態選択信号について、簡易な構成で、第2同期型反転回路の出力信号との同期をとることができる。これにより、TFTQ10で第1同期信号CK1に同期をとることができるようになり、上述したように、簡易な構成で互いに共役関係である2つの状態選択信号を得ることができるようになる。
また、本実施形態において、共役信号生成回路は、2つの状態選択信号の両方について個別に設けられた2つのTFTQ7,Q10でそれぞれ同期をとるので、これらのTFTQ7,Q10までは波形が揃っていない信号であっても、TFTQ7,Q10で同期をとることで完全な共役関係をもつ2つの状態選択信号を得ることが可能となる。
また、本実施形態において、共役信号生成回路は、互いに異なる電源電圧Vb,Vcのうち選択電圧との電位差(バイアス電圧)が小さい方の電源電圧Vbに対応するTFTQ8のゲート端子へ入力される状態選択信号の選択電圧(Lレベル電圧)を、その状態選択信号について同期をとるためにTFTQ7に入力される第1同期信号CK1を用いて、電源電圧Vbとの電位差が大きくなるように変圧する変圧回路部としてのキャパシタC4,C8を有する。これにより、TFTQ8のON/OFF動作を安定して行うことができるようになる。
また、本実施形態において、第2同期反転回路は、2つのTFTQ5,Q6の動作状態を変化させることにより、共役信号生成回路により生成される状態選択信号の選択電圧となるLレベル電圧又は非選択電圧となるHレベル電圧を共役信号生成回路へ選択的に出力するものであり、2つのTFTQ5,Q6のソース端子にはいずれも第2同期信号CK2が入力され、2つのTFTQ5,Q6のドレイン端子にはいずれも共役信号生成回路への出力端子が接続され、TFTQ5のゲート端子には、第1同期反転回路から出力されてTFTQ4により第2同期信号CK2に同期された信号が入力され、TFTQ6のゲート端子には第2同期信号CK2が入力され、TFTQ4の出力端子と第2同期信号CK2が入力される同期信号入力端子との間にキャパシタC7を設けている。これにより、上述したように、TFTQ5のOFF状態を安定化させることができるとともに、外部出力回路のTFTQ9についてもOFF状態の安定化を図ることができる。また、キャパシタの実装面積を小さくできるとともに、瞬時電流を減らす効果も得られる。
また、本実施形態において、外部出力回路における2つのTFTQ8,Q9は、当該シフトレジスタ用回路に搭載される他のTFTQ1〜Q7,Q10と同型のチャネル(本実施形態ではpチャネル)であるので、シフトレジスタ用回路を印刷技術等で作製する場合にコストの点で有利である。
【符号の説明】
【0054】
309 コントローラ
311 画素信号線ドライバ
313 選択線ドライバ
1001 TFT
1002 ゲート端子
1003 ソース端子
1004 ドレイン端子
1005 画素電極
1006 透明電極
1014W,1014B 着色粒子
C1〜C8 キャパシタ
CK1,CK2 同期信号
IN 入力信号
OUT1 次段出力信号
OUT2 外部出力信号
Q1〜Q10 TFT
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開昭60−70599号公報
【特許文献2】特開2007−128631号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトレジスタにおける1つの段を構成するシフトレジスタ用回路において、
第1同期回路部により第1同期信号に同期させて、入力信号を該第1同期信号の半周期分だけ遅らせて反転出力する第1無比率型同期反転回路と、
第2同期回路部により該第1同期信号と同じ周期をもつ第2同期信号に同期させて、該第1無比率型同期反転回路から出力される信号を該第2同期信号の半周期分だけ遅らせて反転出力する第2無比率型同期反転回路と、
該第2無比率型同期反転回路から出力される信号を次段の入力信号として出力するための次段出力端子と、
同型チャネルである2つのアクティブ素子の動作状態を変化させることにより、互いに異なる出力用電圧のいずれかを選択的に外部出力端子から出力する外部出力回路とを備え、
該2つのアクティブ素子の入力部には、上記互いに異なる出力用電圧がそれぞれ印加され、
該2つのアクティブ素子の出力部には、いずれも上記外部出力端子が接続され、
該2つのアクティブ素子の状態選択部には、それぞれ、そのアクティブ素子の動作状態を、その入力部に入力されている出力用電圧が該外部出力端子に出力可能となるアクティブ状態にするための選択電圧と、該出力用電圧が該外部出力端子に出力されるのを規制する非アクティブ状態にするための非選択電圧とをとり得る状態選択信号が入力され、
上記第1無比率型同期反転回路及び上記第2無比率型同期反転回路から出力される信号から、互いに共役関係となる2つの状態選択信号をそれぞれ生成し、生成した各状態選択信号を上記2つのアクティブ素子の状態選択部それぞれへ出力する共役信号生成回路を設けたことを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項2】
請求項1のシフトレジスタ用回路において、
上記共役信号生成回路は、上記2つの状態選択信号のうちの少なくとも一方の状態選択信号を上記アクティブ素子の状態選択部へ出力する前に、該少なくとも一方の状態選択信号を上記第1同期信号及び上記第2同期信号のいずれか一方に同期させるための第3同期回路部を有することを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項3】
請求項2のシフトレジスタ用回路において、
上記共役信号生成回路は、上記第1無比率型同期反転回路内の信号から生成される状態選択信号を、上記第3同期回路部で同期がとられる前に、上記第2無比率型同期反転回路内の上記第2同期回路部を用いて上記第2同期信号に同期させる構成を有することを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項4】
請求項2又は3のシフトレジスタ用回路において、
上記共役信号生成回路は、上記2つの状態選択信号の両方について個別に設けられた2つの上記第3同期回路部でそれぞれ同期をとることを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、
上記共役信号生成回路は、上記互いに異なる出力用電圧のうち選択電圧との電位差が小さい方の出力用電圧に対応するアクティブ素子の状態選択部へ入力される状態選択信号の選択電圧を、上記第1同期信号及び上記第2同期信号のうち該状態選択信号について同期をとるために上記第3同期回路部に入力される方の同期信号を用いて、該出力用電圧との電位差が大きくなるように変圧する変圧回路部を有することを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、
上記第2無比率型同期反転回路は、2つのアクティブ素子の動作状態を変化させることにより、上記共役信号生成回路により生成される状態選択信号の選択電圧となる電圧又は非選択電圧となる電圧を該共役信号生成回路へ選択的に出力するものであり、
該2つのアクティブ素子の入力部には、いずれも上記第2同期信号が入力され、
該2つのアクティブ素子の出力部には、いずれも上記共役信号生成回路への出力端子が接続され、
該2つのアクティブ素子のうちの一方の状態選択部には、上記第1無比率型同期反転回路から出力されて上記第2同期回路部により上記第2同期信号に同期された信号が入力され、
該2つのアクティブ素子のうちの他方の状態選択部には、該第2同期信号が入力され、
上記第2同期回路部の出力端子と上記第2同期信号が入力される同期信号入力端子との間に、所定の静電容量を有するキャパシタを設けたことを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、
上記外部出力回路における上記2つのアクティブ素子は、当該シフトレジスタ用回路に搭載される他のアクティブ素子と同型のチャネルであることを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路において、
上記外部出力回路における上記2つのアクティブ素子は、有機半導体からなる電界効果トランジスタであることを特徴とするシフトレジスタ用回路。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシフトレジスタ用回路を複数段配置してなるシフトレジスタ。
【請求項10】
表示画面を構成する複数の画素に対応させて複数の画素構成部材がマトリックス状に配置され該複数の画素構成部材それぞれに印加される駆動電圧によって各画素の表示状態が変化する表示部と、
該複数の画素ごとに該画素構成部材へ印加する駆動電圧を制御するための複数のアクティブ素子が、各画素構成部材に対応するようにマトリックス状に配置されたアクティブマトリクス回路とを備え、
該アクティブ素子は、そのアクティブ素子の動作状態を該駆動電圧が出力可能なアクティブ状態にするための選択電圧と該駆動電圧の出力が規制される非アクティブ状態にするための非選択電圧とが入力される状態選択端子と、該画素構成部材に印加する該駆動電圧を生成するための画素信号が入力される画素信号入力端子と、該画素信号入力端子に画素信号が入力されたときに該駆動電圧を該画素構成部材に出力する駆動電圧出力端子とを有する画像表示装置において、
上記表示画面の複数の走査線それぞれに沿って配置された複数の選択線に、請求項9のシフトレジスタを用いて、上記アクティブ素子の状態選択端子に入力するための選択電圧を順次供給する選択信号供給部と、
該表示画面の該複数の走査線と交差するように配置された複数の画素信号線に、該アクティブ素子の画素信号入力端子に入力するための画素信号を、該選択電圧が供給されている選択期間中の所定のタイミングで供給する画素信号供給部とを有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項10の画像表示装置において、
少なくとも上記アクティブマトリクス回路及び上記シフトレジスタを構成するアクティブ素子は、すべて同型のチャネルであることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−198666(P2010−198666A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40397(P2009−40397)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】