説明

シミュレータ装置及びシミュレータプログラム

【課題】操作性の向上が図られたシミュレータ装置及びシミュレータプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】GUIを利用するシミュレータ装置であって、ユーザからの操作を受け付けるGUIの配置が異なる複数画面100,101を作成し、ユーザからの指示により複数画面100,101を切り替えて表示するGUI部と、ユーザからの操作を受け付けたGUIの識別子及びGUIがユーザから受け付けた操作の内容に応じた処理を行うスクリプト部とを有し、GUI部は複数画面100,101でGUIを共通に利用することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィカルユーザインターフェース(以下、単にGUIという)を利用するシミュレータ装置及びシミュレータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置の一例としての複合機の開発段階においては、動作確認をシミュレータ装置により実機レス環境で行うことがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
シミュレータ装置の一例としてのエンジンシミュレータ装置は、実機レス環境においてユーザがエンジン状態を任意に変更するためのシミュレータ装置である。従来、エンジンシミュレータ装置を利用するユーザは、エンジン状態・コマンドについて、細かな設定を行ってシミュレーションする必要があった。このため、従来のエンジンシミュレータ装置の画面はコマンドの網羅性を考慮し、コマンドのカテゴリ毎にGUI(以下、GUIコントロールという)を配置していた。
【0004】
図1はエンジンシミュレータ装置の一例の画面イメージ図である。図1の画面ではコマンドのカテゴリ毎にGUIコントロールをグループA〜Dに分けて配置している。エンジンシミュレータ装置を利用するユーザは、あるエンジン動作をシミュレートするのに必要なGUIコントロールを画面から選択して操作していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シミュレータ装置の利用拡大に伴い、ユーザは複合機としてのシミュレーションを目的とすることが多くなった。複合機としてのシミュレーションとは「原稿をコピーする」のような基本的な機能や「印刷中の紙詰まり発生」のような異常状態の検出など、エンジン動作に限定しない複合機全体のシミュレーションのことである。
【0006】
しかし、複合機のエンジンに詳しくないユーザは、複合機としてのシミュレーションを目的とする場合、例えば図2に示すように、「印刷中に紙詰まりを発生させたい」という目的と、画面操作とを結びつけることができないという問題があった。
【0007】
したがって、複合機のエンジンに詳しくないユーザは複合機のある動作をシミュレートする為に、どのGUIコントロールを操作する必要があるか、操作マニュアルを参照しながら選択する必要があった。なお、「複合機のある動作」とは「原稿をコピーする」「印刷中に紙詰まりを発生させる」など、エンジン動作に限定しない複合機全体の動作のことである。
【0008】
図3及び図4は操作マニュアルの一例のイメージ図である。複合機のエンジンに詳しくないユーザは図3及び図4のような操作マニュアルを参照することで、複合機のある動作をシミュレートする為に、どのGUIコントロールを操作する必要があるかを調べながらエンジンシミュレータ装置を操作しなければならなかった。つまり、従来のシミュレータ装置は、複合機のエンジンに詳しくないユーザにとって、必ずしも操作性が良いものではなかった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、操作性の向上が図られたシミュレータ装置及びシミュレータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、グラフィカルユーザインターフェースを利用するシミュレータ装置であって、ユーザからの操作を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースの配置が異なる複数画面を作成し、ユーザからの指示によりユーザに前記複数画面を切り替えて表示するグラフィカルユーザインターフェース部と、ユーザからの操作を受け付けた前記グラフィカルユーザインターフェースの識別子及び前記グラフィカルユーザインターフェースがユーザから受け付けた操作の内容に応じた処理を行うスクリプト部とを有し、前記グラフィカルユーザインターフェース部は前記複数画面で前記グラフィカルユーザインターフェースを共通に利用することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作性の向上が図られたシミュレータ装置及びシミュレータプログラムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エンジンシミュレータ装置の一例の画面イメージ図である。
【図2】従来の問題点を示すイメージ図である。
【図3】操作マニュアルの一例のイメージ図である。
【図4】操作マニュアルの一例のイメージ図である。
【図5】エンジンシミュレータ装置の一例のハードウェア構成図である。
【図6】エンジンシミュレータ装置の一例のソフトウェア構成図である。
【図7】通常画面及びナビゲート画面の一例のイメージ図である。
【図8】通常画面とナビゲート画面との関係を示すイメージ図である。
【図9】エンジンシミュレータの一実施例の機能ブロック図である。
【図10】エンジンシミュレータが送信データを作成する手順を表した一例のイメージ図である。
【図11】ナビゲート画面の一例のイメージ図である。
【図12】画面IDを説明する為の説明図である。
【図13】通常画面とナビゲート画面とでGUIコントロールの関連付けを行う様子を表した一例のイメージ図である。
【図14】データテーブルのデータフォーマットを表した一例の構成図である。
【図15】通常画面及びナビゲート画面の構成を表した一例の模式図である。
【図16】ナビゲート画面の設定操作エリアの表示処理を表した一例のフローチャートである。
【図17】リソースの非表示処理を表した一例のフローチャートである。
【図18】1つのリソースを表したオブジェクト構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例ではエンジンシミュレータ装置を例に説明するが、如何なるシミュレータ装置であってもよい。
【0015】
図5はエンジンシミュレータ装置の一例のハードウェア構成図である。図5に示すようにエンジンシミュレータ装置10のハードウェアは、例えば計算機システムにより実現される。エンジンシミュレータ装置10はバスBで相互に接続されている入力装置11,出力装置12,ドライブ装置13,補助記憶装置14,主記憶装置15,演算処理装置16及びインターフェース装置17を含む。
【0016】
入力装置11はキーボードやマウス等である。入力装置11は各種信号を入力するために用いられる。出力装置12はディスプレイ装置等である。出力装置12は各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インターフェース装置17は、モデム,LANカード等である。インターフェース装置17は、ネットワークに接続するために用いられる。
【0017】
本実施例のエンジンシミュレータプログラムは、エンジンシミュレータ装置10を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。エンジンシミュレータプログラムは例えば記録媒体18の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。エンジンシミュレータプログラムを記録した記録媒体18はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0018】
また、エンジンシミュレータプログラムを記録した記録媒体18がドライブ装置13にセットされると、エンジンシミュレータプログラムは記録媒体18からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたエンジンシミュレータプログラムはインターフェース装置17を介して補助記憶装置14にインストールされる。
【0019】
補助記憶装置14は、インストールされたエンジンシミュレータプログラムを格納すると共に、必要なファイル,データ等を格納する。主記憶装置15はエンジンシミュレータプログラムの起動時に補助記憶装置14からエンジンシミュレータプログラムを読み出して格納する。演算処理装置16は主記憶装置15に格納されたエンジンシミュレータプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0020】
図6はエンジンシミュレータ装置の一例のソフトウェア構成図である。図6に示すようにエンジンシミュレータ装置10のソフトウェアは、Windows(登録商標)環境20とコントローラソフトウェア21とを有する。Windows(登録商標)環境20はエンジンシミュレータ22を有する。コントローラソフトウェア21はシステム23を有する。
【0021】
ユーザはエンジンシミュレータ22が提供するコンボボックス,チェックボックス等のGUIコントロールを操作することでエンジン状態を設定する。エンジンシミュレータ22はGUIコントロールに設定されたエンジン状態に基づき、送信データを作成する。エンジンシミュレータ22は作成した送信データをコントローラソフトウェア21のシステム23へ送信することでエンジン状態の変更をコントローラソフトウェア21のシステム23へ通知する。
【0022】
エンジンシミュレータ22はユーザにGUIコントロールを操作させる際、図7に示すような通常画面又はナビゲート画面によりGUIコントロールを提供する。図7は通常画面及びナビゲート画面の一例のイメージ図である。
【0023】
通常画面100は、コマンドの網羅性が考慮され、コマンドのカテゴリ毎にGUIコントロールが配置されている。通常画面100はGUIコントロールの倉庫的な役割を有しており、全てのGUIコントロールが配置されている。ユーザは通常画面100から複合機のある動作をシミュレートする為にエンジン状態を設定する場合、必要に応じて操作マニュアルを参照しながら、GUIコントロールを操作する。
【0024】
ナビゲート画面101は、複合機のある動作をシミュレートする為の操作手順と、操作に必要なGUIコントロールとを、ユーザに示すものである。図7のナビゲート画面101は上欄102と下欄103とに分かれている。上欄102は、シミュレート可能な複合機の動作の一覧(リスト)を示し、ユーザにシミュレートしたい複合機の動作を選択させるものである。下欄103はユーザが上欄102のリストからシミュレートしたい複合機の動作を選択した際に、操作手順と、操作に必要なGUIコントロールとを表示するものである。
【0025】
ユーザはナビゲート画面101の下欄103に表示された操作手順に従い、下欄103に表示されたGUIコントロールを操作することで、複合機のある動作をシミュレートする為に必要なエンジン状態の設定を完了することができる。また、エンジンシミュレータ22の起動中、ユーザは通常画面100とナビゲート画面101とを切り替えることが可能である。
【0026】
図8は通常画面とナビゲート画面との関係を示すイメージ図である。通常画面100はグループAのGUIコントロールが配置されている。通常画面100aはグループDのGUIコントロールが配置されている。ナビゲート画面101は通常画面100,100aと共通のGUIコントロールを表示する。
【0027】
具体的に、ナビゲート画面101は、通常画面100のGUIコントロール「Check_A3」「Check_A4」「Check_A5」「Button_A1」と、通常画面100aのGUIコントロール「Type_d4_2」「Button_D4」とを共通に使っている。
【0028】
新規にナビゲート画面101を作成する場合、エンジンシミュレータ22の開発者は通常画面100,100aに配置されている任意のGUIコントロールをナビゲート画面101の任意の位置に配置することができる。なお、新規にナビゲート画面101を作成する場合であっても、ナビゲート画面101は通常画面100,100aと共通のGUIコントロールを使うため、後述のスクリプト部を修正する必要がない。
【0029】
本実施例のエンジンシミュレータ装置10は、複合機のある動作をシミュレートする為の操作手順と、操作に必要なGUIコントロールとを、ユーザに示すナビゲート画面101を有することで、操作性の向上を図っている。
【0030】
また、本実施例のエンジンシミュレータ装置10はナビゲート画面101を追加するにあたり、エンジンシミュレータ22のスクリプトやGUIコントロール(リソース)を最大限利用するため、通常画面100とナビゲート画面101との間でGUIコントロールを共通に利用している。
【0031】
図9はエンジンシミュレータの一実施例の機能ブロック図である。図9に示すようにエンジンシミュレータ22はGUI部30とスクリプト部31とを有する。GUI部30はイベントハンドラ40,画面切り替え部41,画面作成部42及びデータテーブル43を有する。画面作成部42は操作手順の表示部44及び共通コントロールの移動部45を有する。スクリプト部31は送信データ作成部50,データ送信部51,データ受信部52及び受信データ53を有する。なお、エンジンシミュレータ22はナビゲート画面101の追加に伴い、GUI部30の画面切り替え部41,画面作成部42及びデータテーブル43を追加している。
【0032】
イベントハンドラ40はGUIコントロールに対するユーザの操作を受け付ける。画面切り替え部41はユーザからの指示に従い、通常画面100とナビゲート画面101とを切り替える。画面作成部42は通常画面100とナビゲート画面101とを作成する。
【0033】
操作手順の表示部44は、ナビゲート画面101に複合機のある動作をシミュレートする為の操作手順を表示させる。また、共通コントロールの移動部45は、通常画面100とナビゲート画面101とで共通に使っているGUIコントロールを通常画面100とナビゲート画面101との間で移動させる。図9の機能ブロック図に示したGUI部30及びスクリプト部31の処理の詳細は後述する。
【0034】
図10はエンジンシミュレータが送信データを作成する手順を表した一例のイメージ図である。エンジンシミュレータ22の送信データ作成部50はコマンド部とペイロード部とを有する送信データを作成する。送信データのコマンド部は、GUIコントロールに応じたコマンドを表す。送信データのペイロード部は、GUIコントロールに設定されたエンジン状態等を表す。送信データ作成部50はGUIコントロールに設定されたエンジン状態等の値を取得し、送信データのペイロード部を作成する。
【0035】
図10の例では通常画面100のGUIコントロール「Check_A1」のチェックボックスにチェックを入れることで、ペイロード部の先頭が「01」となり、チェックを外すことで、ペイロード部の先頭が「00」となる。
【0036】
図11はナビゲート画面の一例のイメージ図である。図11に示したナビゲート画面101は、カテゴリ選択エリア111,動作選択エリア112,設定操作エリア113を有する。
【0037】
カテゴリ選択エリア111は、シミュレート可能な複合機の動作のカテゴリをユーザに選択させるものである。図11のカテゴリ選択エリア111はシミュレート可能な複合機の動作のカテゴリとして「コピー」「スキャナ」「プリンタ」を表示している。言い換えればカテゴリ選択エリア111は、動作選択エリア112に表示するシミュレート可能な複合機の動作を、ユーザに選択させるエリアである。
【0038】
動作選択エリア112は、カテゴリ選択エリア111で選択されたカテゴリに分類される複合機の動作の一覧(リスト)を表示し、ユーザにシミュレートしたい複合機の動作を選択させるエリアである。
【0039】
設定操作エリア113は、ユーザが動作選択エリア112から選択した複合機の動作をシミュレートするために必要な操作手順と、操作に必要なGUIコントロールとを表示するエリアである。
【0040】
ユーザが動作選択エリア112のリストからシミュレートしたい複合機の動作(動作選択エリア112の項目)を選択した際、設定操作エリア113に表示される操作手順及びGUIコントロールの集合には同一の画面IDが振られている。動作選択エリア112から項目が選択されると、画面作成部42は画面IDを特定し、データテーブル43から該当する画面IDに属する操作手順及びGUIコントロールを取得して、設定操作エリア113に表示する。
【0041】
図12は画面IDを説明する為の説明図である。ユーザが動作選択エリア112のリストから項目「原稿を配置する」を選択した際、設定操作エリア113に表示される操作手順及びGUIコントロールの集合には同一の画面ID「1」が振られている。
【0042】
動作選択エリア112から項目「原稿を配置する」が選択されると、画面作成部42は画面ID「1」を特定し、データテーブル43から該当する画面ID「1」に属する操作手順及びGUIコントロールを取得して、設定操作エリア113に表示する。
【0043】
ユーザが動作選択エリア112aのリストから項目「紙詰まり」を選択した際、設定操作エリア113aに表示される操作手順及びGUIコントロールの集合には、同一の画面ID「2」が振られている。
【0044】
動作選択エリア112aから項目「原稿を配置する」に続いて「紙詰まり」が選択されると、画面作成部42は画面ID「2」を特定し、データテーブル43から該当する画面ID「2」に属する操作手順及びGUIコントロールを取得して、設定操作エリア113に表示する。
【0045】
ナビゲート画面101の作成はGUI部30の画面作成部42が担っている。通常画面100のGUIコントロールをナビゲート画面101で利用する為には、後述するようなデータテーブルを作成し、図13に示すように、GUIコントロールの関連付けを行う必要がある。
【0046】
図13は通常画面とナビゲート画面とでGUIコントロールの関連付けを行う様子を表した一例のイメージ図である。図13では通常画面100の親リソース「groupBox1」に含まれるGUIコントロール「listbox1」121をナビゲート画面101でも利用している。
【0047】
親リソースは通常画面100のグループA等に対応する。GUIコントロール「listbox1」121は通常画面100とナビゲート画面101とで異なる表示位置に異なるサイズで配置することができる。
【0048】
図14はデータテーブルのデータフォーマットを表した一例の構成図である。図14に示したデータテーブル43のデータフォーマットは、画面ID,リソース名,ナビゲート画面表示位置,ナビゲート画面リソースサイズ,通常画面表示位置,通常画面リソースサイズ,通常画面親リソース名をデータ項目として有する。
【0049】
図14のデータテーブルは、図12のナビゲート画面101に対応している。図14のデータテーブルの1番目のレコードは、ナビゲート画面101の「(1)原稿の枚数を設定する」という操作手順のテキストに対応する。操作手順のテキストは通常画面100で利用されないため、通常画面表示位置,通常画面リソースサイズが「0」となり、通常画面親リソース名が「null」となる。
【0050】
図14のデータテーブルの2番目のレコードはナビゲート画面101で原稿の枚数を設定する為のテキストボックス(操作に必要なGUIコントロール)に対応する。原稿の枚数を設定する為のテキストボックスは通常画面100で利用されるため、通常画面表示位置,通常画面リソースサイズがそれぞれ設定される。通常画面親リソース名には原稿の枚数を設定する為のテキストボックスを含む通常画面100の親リソース「groupBox1」が設定される。
【0051】
図14のデータテーブルの3番目のレコードはナビゲート画面101で原稿の枚数を設定する為のテキストボックスの後ろの「枚」というテキストに対応する。原稿の枚数を設定する為のテキストボックスの後ろの「枚」というテキストは通常画面100で利用されるため、通常画面表示位置,通常画面リソースサイズがそれぞれ設定される。通常画面親リソース名には原稿の枚数を設定する為のテキストボックスの後ろの「枚」というテキストを含む通常画面100の親リソース「groupBox1」が設定される。
【0052】
図14のデータテーブルの4番目のレコードはナビゲート画面101の「(1)原稿サイズを設定する」という操作手順のテキストに対応する。操作手順のテキストは通常画面100で利用されないため、通常画面表示位置,通常画面リソースサイズが「0」となると共に、通常画面親リソース名が「null」となる。
【0053】
図14のデータテーブルの5番目のレコードはナビゲート画面101で原稿サイズを設定する為のリストボックス(操作に必要なGUIコントロール)に対応する。原稿サイズを設定する為のリストボックスは通常画面100で利用されるため、通常画面表示位置及び通常画面リソースサイズがそれぞれ設定される。通常画面親リソース名には原稿サイズを設定する為のテキストボックスを含む通常画面100の親リソース「groupBox1」が設定される。
【0054】
図14に示したデータテーブルは、通常画面100のGUIコントロールやテキストをナビゲート画面101で利用する為に予め作成されている。図14に示したデータテーブルの通常画面表示位置,通常画面リソースサイズ,通常画面親リソース名は、ナビゲート画面101で利用し終わったGUIコントロールやテキストを通常画面100に戻すために利用される。なお、通常画面100のGUIコントロールやテキストを通常画面100からナビゲート画面101に移動し、又は、通常画面100のGUIコントロールやテキストをナビゲート画面101から通常画面100に戻す手順については後述する。
【0055】
通常画面100とナビゲート画面101との切り替えはGUI部30の画面切り替え部41が担っている。図15は通常画面及びナビゲート画面の構成を表した一例の模式図である。
【0056】
ベースオブジェクト131はベースとなるオブジェクトである。ベースオブジェクト131の上には、GUIコントロールを配置するためのオブジェクトが配置される。GUIコントロールを配置するオブジェクトには、通常画面用オブジェクト132,ナビゲート画面用オブジェクト133がある。
【0057】
画面切り替え部41は各オブジェクトの表示/非表示を制御することで表示モードを切り替えている。具体的に、画面切り替え部41は通常画面用オブジェクト132及びナビゲート画面用オブジェクト133の表示/非表示を切り替えることによって、通常画面100とナビゲート画面101との切り替えを実現する。
【0058】
図16はナビゲート画面の設定操作エリアの表示処理を表した一例のフローチャートである。ステップS1に進み、GUI部30の画面作成部42はナビゲート画面101の設定操作エリア113に他の画面IDの画面が表示されているか否かを判定する。
【0059】
設定操作エリア113に他の画面IDの画面が表示されていなければ、画面作成部42はステップS5に進み、ナビゲート画面101の動作選択エリア112で選択された項目から画面IDを特定する。
【0060】
ステップS6に進み、画面作成部42はデータテーブル43から、ステップS5で特定した画面IDに属するレコードを取得する。ステップS7に進み、画面作成部42は取得したレコードを用いて、通常画面100のGUIコントロールやテキスト(リソース)をナビゲート画面101に移動する表示処理を行う。
【0061】
ステップS6の表示処理は取得したレコードの項目「リソース名」「ナビゲート画面表示位置」及び「ナビゲート画面リソースサイズ」を用いて、リソースの表示位置を通常画面100の表示位置からナビゲート画面101の表示位置に移動した後、リソースをナビゲート画面用オブジェクト133に配置するものである。
【0062】
一方、設定操作エリア113に他の画面IDの画面が表示されていれば、画面作成部42はステップS2に進み、設定操作エリア113に現在表示中の画面の画面IDを特定する。ステップS3に進み、画面作成部42はデータテーブル43から、ステップS2で特定した画面IDに属するレコードを取得する。
【0063】
ステップS4に進み、画面作成部42は取得したレコードを用いて、ナビゲート画面101のリソースを通常画面100に戻す非表示処理を行う。ステップS4の非表示処理は取得したレコードの項目「リソース名」「通常画面表示位置」「通常画面リソースサイズ」及び「通常画面親リソース名」を用いて、リソースの表示位置をナビゲート画面101の表示位置から通常画面100の表示位置に戻すものである。
【0064】
なお、ステップS4の処理により、設定操作エリア113に表示されていた他の画面IDの画面が表示されなくなった為、画面作成部42は前述したステップS5〜S7の処理を行って、リソースをナビゲート画面用オブジェクト133に配置する。
【0065】
ステップS4のリソースの非表示処理は、例えば図17に示すフローチャートの手順で行われる。図17は、リソースの非表示処理を表した一例のフローチャートである。図18は、1つのリソースを表したオブジェクト構成図である。なお、図17及び図18はリソースがリストボックスである例を表している。
【0066】
ステップS11に進み、画面作成部42は「リストボックス.location」にステップS3で取得したレコードの項目「通常画面表示位置」を代入する。また、ステップS12に進み、画面作成部42は「リストボックス.size」にステップS3で取得したレコードの項目「通常画面リソースサイズ」を代入する。
【0067】
そして、ステップS13に進み、画面作成部42はステップS3で取得したレコードの項目「通常画面親リソース名」から「親リソース」を特定し、「親リソース.Controls.Add」を呼び出すことにより、「リストボックス」を親リソースの保持しているGUIコントロールのリストに追加できる。言い換えれば、「リストボックス」の表示位置は通常画面100の表示位置に戻される。
【0068】
以上、本実施例によれば、通常画面100とナビゲート画面101とで共通のGUIコントロールを使うため、ナビゲート画面101を追加してもGUIコントロールのIDが増加しない。
【0069】
従って、本実施例によれば、ナビゲート画面101が追加されたとしても、GUIコントロールのIDによって呼び出されるスクリプト部31において、GUIコントロールのIDの管理を変更する必要がない。
【0070】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 エンジンシミュレータ装置
11 入力装置
12 出力装置
13 ドライブ装置
14 補助記憶装置
15 主記憶装置
16 演算処理装置
17 インターフェース装置
18 記録媒体
20 Windows(登録商標)環境
21 コントローラソフトウェア
22 エンジンシミュレータ
23 システム
30 GUI部
31 スクリプト部
40 イベントハンドラ
41 画面切り替え部
42 画面作成部
43 データテーブル
44 操作手順の表示部
45 共通コントロールの移動部
50 送信データ作成部
51 データ送信部
52 データ受信部
53 受信データ
100,100a 通常画面
101,101a ナビゲート画面
102 上欄
103 下欄
111,111a カテゴリ選択エリア
112,112a 動作選択エリア
113,113a 設定操作エリア
121 GUIコントロール「listbox1」
131 ベースオブジェクト
132 通常画面用オブジェクト
133 ナビゲート画面用オブジェクト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2009−223577号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィカルユーザインターフェースを利用するシミュレータ装置であって、
ユーザからの操作を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースの配置が異なる複数画面を作成し、ユーザからの指示によりユーザに前記複数画面を切り替えて表示するグラフィカルユーザインターフェース部と、
ユーザからの操作を受け付けた前記グラフィカルユーザインターフェースの識別子及び前記グラフィカルユーザインターフェースがユーザから受け付けた操作の内容に応じた処理を行うスクリプト部と
を有し、
前記グラフィカルユーザインターフェース部は前記複数画面で前記グラフィカルユーザインターフェースを共通に利用することを特徴とするシミュレータ装置。
【請求項2】
前記グラフィカルユーザインターフェース部は、
前記グラフィカルユーザインターフェースの全てを配置した第1画面と、
シミュレート可能な動作のリスト,前記リストから選択された動作をシミュレートするために必要な操作手順の情報及び操作に必要な前記グラフィカルユーザインターフェースを配置した第2画面と、
を作成することを特徴とする請求項1記載のシミュレータ装置。
【請求項3】
前記第2画面の識別子と、前記第2画面に配置される前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの名と、前記第1及び前記第2画面における前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの表示位置及びサイズとが関連付けられたデータテーブルを更に有し、
前記グラフィカルユーザインターフェース部は、
前記第2画面を生成するとき、前記第2画面の識別子に属する前記データテーブルのレコードを用いて、前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの表示位置及びサイズを決定することを特徴とする請求項2記載のシミュレータ装置。
【請求項4】
前記グラフィカルユーザインターフェース部は、
前記第2画面を生成するとき、他の識別子の他の第2画面が表示されていれば、前記他の第2画面の識別子に属する前記データテーブルのレコードを用いて、前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの非表示を行ったあと、前記第2画面の識別子に属する前記データテーブルのレコードを用いて、前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの表示位置及びサイズを決定することを特徴とする請求項3記載のシミュレータ装置。
【請求項5】
前記グラフィカルユーザインターフェース部は、
前記操作手順の情報及び前記グラフィカルユーザインターフェースの非表示を行うときに、前記他の第2画面の識別子に属する前記データテーブルのレコードを用いて、前記他の第2画面に配置されたグラフィカルユーザインターフェースの表示位置及びサイズを前記第1画面におけるグラフィカルユーザインターフェースの表示位置及びサイズとすることを特徴とする請求項4記載のシミュレータ装置。
【請求項6】
グラフィカルユーザインターフェースを利用するシミュレータ装置を、
ユーザからの操作を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースの配置が異なる複数画面を作成し、ユーザからの指示によりユーザに前記複数画面を切り替えて表示するグラフィカルユーザインターフェース部と、
ユーザからの操作を受け付けた前記グラフィカルユーザインターフェースの識別子及び前記グラフィカルユーザインターフェースがユーザから受け付けた操作の内容に応じた処理を行うスクリプト部として機能させ、
前記グラフィカルユーザインターフェース部は前記複数画面で前記グラフィカルユーザインターフェースを共通に利用させるためのシミュレータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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