シャッター装置
【課題】既設の昇降搬送機構の出入口などに簡単に設置し得るものを提供する。
【解決手段】開口部分を挟んで縦設される左右の昇降ガイド40,40と、各昇降ガイド40に両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材50が上下の横枠材50と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材5と、シャッター部材5が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材50Aのみが突き当たって垂れ下がった状態で支持するストッパー8,8と、下から上へ移動するときシャッター部材5の最下位置の横枠材50Cに突き当たって全ての横枠材50を順に伴って移動させる作動片9,9と、各作動片9,9を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構7とを備える。駆動機構7は、ストッパー8より上方の所定の高さ位置と、ストッパー8に垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材5より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片9を往復動させる。
【解決手段】開口部分を挟んで縦設される左右の昇降ガイド40,40と、各昇降ガイド40に両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材50が上下の横枠材50と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材5と、シャッター部材5が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材50Aのみが突き当たって垂れ下がった状態で支持するストッパー8,8と、下から上へ移動するときシャッター部材5の最下位置の横枠材50Cに突き当たって全ての横枠材50を順に伴って移動させる作動片9,9と、各作動片9,9を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構7とを備える。駆動機構7は、ストッパー8より上方の所定の高さ位置と、ストッパー8に垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材5より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片9を往復動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャッター部材を昇降させて、荷や人の出入口、窓、荷の通路などを開閉するシャッター装置に関し、特に、この発明は、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の荷の出入口に設置するのに適したシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫や工場などの物流設備として、図16に示すように、塔体101の内部を昇降する昇降台102により荷を各階F1〜F3へ搬送する昇降搬送機構100と、塔体100の各階F1〜F3の出入口104にそれぞれ設置される荷搬出入機構103とで構成されるものがある。
【0003】
昇降台102は、荷が積まれたパレットを荷搬出入機構103との間で搬送するためのコンベヤと、荷が積まれていない空のパレットを荷搬出入機構103との間で搬送するためのコンベヤとが上下2段に設けられたものであり、荷搬出入機構103には、昇降台102の上下のコンベヤとの間で荷が積まれたパレットと荷が積まれていない空のパレットを搬送するためのコンベヤが上下二段に設けられている(例えば、特許文献1の「従来の技術」の欄参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3582827号公報
【0005】
各階F1〜F3の荷搬出入機構103は、昇降台102との間で荷が積まれたパレットと荷が積まれていない空のパレットとが円滑に搬出入されるように、塔体101の各階F1〜F3の出入口104に接近した状態で配設されている。各階F1〜F3の出入口104は、上記した荷搬出入機構103と連通させる関係上、エレベータのような扉を備えておらず、開口された状態のままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した構成の昇降搬送機構100では、塔体101の各階F1〜F3の出入口104は開口しているので、昇降台102が他の階にあるとき、荷搬出入機構103のコンベヤ上に載せた荷が、勢い余って或いは荷搬出入機構103の誤動作によって、出入口104に向けて移動し、塔体101内へ送り込まれるおそれがある。また、作業中や点検中に、荷搬出入機構103のコンベヤ上に乗った作業員が足を滑らせ、出入口104から塔体101内に転落するおそれもある。
【0007】
そこで、エレベータのように、塔体101の各階F1〜F3の出入口104に扉を設置することも考えられるが、設備が大掛かりとなってコスト高となり、特に、既設の昇降搬送機構にその種の扉を設置することは困難である。
【0008】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口、さらには、建造物の出入口、窓などの開口部分、荷が通過する通路部分などに、たとえそれが既設のものであっても、簡単に設置することができるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるシャッター装置は、シャッター部材を昇降動作させて開口部分または通路部分を開閉するものであって、前記開口部分または通路部分を挟んで向き合うように縦設される左右の昇降ガイドと、各昇降ガイドに両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材が上下の横枠材と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材と、左右の昇降ガイドの所定の高さ位置に設けられシャッター部材が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材は突き当たるが他の横枠材は突き当たらずに通過することによりシャッター部材を垂れ下がった状態で支持するストッパーと、左右の昇降ガイドに沿って上下各方向へ移動可能であり下から上へ移動するときシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たって全ての横枠材を順々に伴って移動させる作動片と、左右の各作動片を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構とを備えている。前記駆動機構は、前記ストッパーより上方の所定の高さ位置と、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片を往復動させるようにする。
【0010】
この発明によるシャッター装置は、好ましくは、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口に設置するが、これに限らず、建造物の出入口や窓などの開口部分、荷などが通過する通路部分などにも設置し得る。
【0011】
この発明によるシャッター装置では、シャッター部材の最上位置の横枠材が左右のストッパーにより支持される。左右の作動片が最下位置の横枠材を解放してその下方に位置するとき、シャッター部材は垂れ下がった状態となって開口部分や通路部分を閉じ、開口部分や通路部分が面格子状のシャッター部材で塞がれる。
駆動機構の駆動によって左右の作動片が昇降ガイドに沿って上方へ移行すると、各作動片はまずシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たり、その横枠材を伴って上方へ一体に移動させる。つぎに、最下位置の横枠材がその上の横枠材に近づいて突き当たり、その横枠材を伴って上方へ一体に移動させる。同様に、全ての横枠材が下から順に作動片に伴われて上方へ一体に移動する。最上位置の横枠材にその下の横枠材が突き当たったとき、全ての横枠材が上下の横枠材と接し、シャッター部材は縮小された状態となる。シャッター部材は縮小された形態のまま上方へ移動し続けることで開口部分や通路部分から退避し、開口部分や通路部分は開かれる。シャッター部材は縮小された形態のまま昇降ガイドの上方位置で定位して待機する。
【0012】
つぎに、駆動機構を上記と逆方向へ駆動させると、左右の作動片は最下位置の横枠材を支持した状態で昇降ガイドに沿って下方へ移動するもので、全ての横枠材が左右の作動片に伴われて下方へ一体に移動する。最上位置の横枠材を除く全ての横枠材は左右のストッパーに突き当たることなくストッパーの位置を通過するが、最上位置の横枠材は左右のストッパーに突き当たって支持され、その位置で定位する。つぎに、最上位置の横枠材に連結されたその下の横枠材が停止して垂れ下がった状態となり、以下同様に、残り全ての横枠材が上から順に停止する。最下位置の横枠材が作動片から解放されて停止したとき、全ての横枠材が垂れ下がった状態の面格子状となり、開口部分や通路部分がシャッター部材によって塞がれる。
【0013】
この発明の上記した構成において、シャッター部材を構成する各横枠材は、金属製または合成樹脂製のパイプ材や棒材が用いられるが、容易に変形したり破断したりしなければ、帯板状のようなものであってもよい。
各横枠材は、上下の横枠材と接近、離間可能に連結されるが、そのような連結は、可撓性を有する線材によって上下の横枠材と連結することにより実現できる。
【0014】
この発明の好ましい実施態様においては、前記駆動機構は、左右の各昇降ガイドに沿って設けられるチェンと、チェンの昇降ガイドに沿う部分を同方向へ同じ速度で走行させるモータとで構成されるもので、チェンの各昇降ガイドに沿う部分の同じ高さ位置に左右の作動片がそれぞれ取り付けられている。
【0015】
上記のチェンは、無端状のものであってもよく、また、左右の昇降ガイドに沿って個別に設けたものであってもよい。チェンを無端状に張設する場合は1台のモータにより構成するが、左右の昇降ガイドに沿って個別にチェンを張設する場合は2台のモータにより構成する。
【0016】
上記した実施態様では、ストッパーによりシャッター部材が垂れ下がった状態で支持されているとき、シャッター部材を構成する各横枠材はなんら拘束されていないから、手操作によりシャッター部材を上方へ押し上げて開放することが可能である。
この発明の好ましい他の実施態様は、シャッター部材を上方へ押し上げて開放できないようにするために、ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材の最上位置の横枠材をその位置で拘束するための保持機構をさらに備えたものである。
この実施態様によると、保持機構によって最下位置の横枠材がその位置で拘束されるので、シャッター部材を構成する全ての横枠材が拘束されることになり、手操作によりシャッター部材を上方へ押し上げて開放することができない。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口、さらには、建造物の出入口、窓などの開口部分、コンベヤ上の荷が通過する通路部分などに、たとえそれが既設のものであっても、簡単にシャッター装置を設置することができる。
また、シャッター部材を開口部分や通路部分より退避させるとき、シャッター部材を構成する横枠材が接して縮小された状態になっているので、待機もしくは格納のための場所をとらない。さらに、用途や目的に応じて横枠材間の間隔を変えることができ、設計変更が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、この発明にかかるシャッター装置4が導入された荷昇降搬送装置の構成を示している。
図示例の荷昇降搬送装置は、塔体10に沿って地上階F1と2階F2との間で昇降台11を昇降させて荷Lを上下方向へ搬送する昇降搬送機構1と、各階F1,F2の床面上に昇降搬送機構1の出入口G1,G2に対向させて設置される荷搬出入機構2,2とから成る。
【0019】
昇降台11には、荷搬出入機構2との間で荷Lが積まれたパレット3を搬送するための搬送コンベヤ12と、荷が積まれていない空のパレット3を搬送するための搬送コンベヤ(図示せず)とが上下2段に設けられている。各パレット3は、荷が積まれる水平な板面の両端部にフランジ30,30が外向きにそれぞれ屈曲形成されたものである。
【0020】
各階の荷搬出入機構2は、荷Lが積まれたパレット3を昇降台11の上段の搬送コンベヤ12に対して搬出入するための荷搬送用の左右のチェンコンベヤ21,21と、空のパレット3を昇降台11の下段の搬送コンベヤに対して搬出入するための空パレット搬送用の左右のチェンコンベヤ22,22とを有している。荷搬送用の左右のチェンコンベヤ21,21および空パレット搬送用の左右のチェンコンベヤ22,22は、昇降台11の前方の対向する位置に対して両側方よりそれぞれ進退動作する。なお、図1には各チェンコンベヤ21,22を進退動作させる機構の図示は省略してある。
【0021】
また、図1において、20はパレット3の左右のフランジ30,30と前後部位置で係脱する左右各一対の支持爪23,23を有するパレット積み卸し機構である。各支持爪23は昇降台11の前方の対向する位置の両側位置で荷Lが積まれたパレット3または空のパレット3の左右のフランジ30,30をそれぞれ支持して昇降動作し、これにより各チェンコンベヤ21,22に対して各パレット3を積み卸しする。
【0022】
昇降搬送機構1の各階F1,F2の出入口G1,G2には、この発明の一実施例であるシャッター装置4がそれぞれ設置されている。
各シャッター装置4は、図2〜図4に示すように、複数本の横枠材50より成るシャッター部材5を左右両側の昇降ガイド40,40に沿って昇降させることにより出入口G1,G2を開閉するものである。このシャッター部材5の昇降動作は、左右に配された作動片9,9を上下各方向へ移動させることにより行われる。各作動片9,9は、金属製の板材などで構成され、駆動機構7を構成するチェン70の各昇降ガイド40,40に沿う部分の同じ高さ位置に取り付けられている。チェン70を走行させると、左右の作動片9,9が各昇降ガイド40,40に沿って上方または下方のいずれかの方向へ同じ速度で移動する。
なお、図2には、シャッター部材5が出入口を閉じた状態(以下、「シャッター閉の状態」という。)が、図3には、シャッター部材5が上方へ移動して出入口を開いた状態(以下、「シャッター開の状態」という。)が、それぞれ示してある。
【0023】
各昇降ガイド40は、図4および図5に示すように、垂直な一対のガイド板41,42との間に均一幅のガイド溝43を全長にわたって形成したもので、各ガイド板41,42の上端は上部枠44に、下端は下部枠45に、それぞれ固定されている。上部枠44および下部枠45は、金属板をコ字状に曲げて形成されたもので、内側が開放されている。
各昇降ガイド40は、出入口G1,G2の開口部分を挟んでそれぞれのガイド溝43,43が全長にわたり向き合うように縦設されている。
【0024】
前記シャッター部材5は、上下方向へほぼ等間隔に配列された複数本の横枠材50によって構成されている。各横枠材50は、両端部が各昇降ガイド40のガイド溝43に抜け止め状態で互いに平行状態を維持しつつ摺動自由かつ軸回動自由に支持されている。各横枠材50は、図6に示すように、ステンレス製のパイプ51の両端に端部材52,52がそれぞれ装着されたもので、上下の横枠材50,50同士がそれぞれ接近したり離れたりし得るように、全ての横枠材50について上下の各横枠材50の両端の端部材52,52と可撓性を有する線材6により連結している。この実施例では、左右各1本の連結用の線材6によって全ての横枠材50を連結しているが、これに限らず、上下の横枠材50,50毎に個別の線材により連結することもできる。
【0025】
各線材6は、可撓性と適度な強度を有するものであれば、金属や合成繊維の素線を撚って形成されたワイヤーや紐など、種々のものを用いることができる。この実施例では、図7(1)で示すように、1本の線材6の等分位置にそれぞれ横枠材50を位置決めして固定してあり、線材6が真っ直ぐに伸びた「シャッター閉の状態」のときに全ての横枠材50が等間隔に並んで面格子状となる。作動片9が昇降ガイド40に沿って横枠材50を下から順に上方へ移動させるとき、図7(2)に示すように、線材6は各横枠材50,50間で交互に反対側へ撓んで横枠材50,50同士が接近する。最終的に、全ての横枠材50,50間の間隔が詰まり、シャッター部材5の全体が縮小した形態となる(図7(3)参照)。
【0026】
図2に示す「シャッター閉の状態」では、上下の横枠材50,50間がそれぞれ所定の間隔で離れている。最上位置の横枠材50は左右の各昇降ガイド40の所定の高さ位置に設けられたストッパー8,8に支持されることで、シャッター部材5の全体が垂れ下がった状態の面格子状となる。図3に示す「シャッター開の状態」および同図に一点鎖線で示した「シャッター半開の状態」では、上下の各横枠材50,50間の間隔が詰まることで全体が縮小した状態となっている。
なお、以下の説明において、全横枠材50のうち、最上位置の横枠材50を他の横枠材と区別して表すときは「50A」の符号を用い、最下位置の横枠材50を他の横枠材と区別して表すときは「50C」の符号を用い、それ以外の中間位置の横枠材50を最上位置および最下位置の各横枠材50A,50Cと区別して表すときは「50B」の符号を用いる。
【0027】
前記ストッパー8は、図5に示すように、各昇降ガイド40を構成するガイド板41,42の内面に、高さを揃えかつ所定の距離dだけ隔てて、一対の円筒状の突状体80,81を溶接などの方法で固着することによって構成されている。突状体80,81間の距離dは、最上位置の横枠材50Aの端部材52は通過できず、それ以外の横枠材50B,50Cは通過できるように設定されている。したがって、最上位置の横枠材50Aはストッパー8の下方へ移動することがなく、常にストッパー8より上方に位置する。それ以外の横枠材50B,50Cは、「シャッター開の状態」ではストッパー8より上方に位置し、「シャッター閉の状態」では下方に位置する。なお、ストッパー8を構成する突状体80,81は必ずしも円筒状である必要はない。
【0028】
図8〜図10は、横枠材50の端部材52の構成を示している。図9(1)〜(3)は最上位置の横枠材50Aの端部材52を、図10(1)〜(3)は最下位置の横枠材50Cの端部材52を、図8(1)〜(3)は残りの中間位置の横枠材50Bの端部材52を、それぞれ示している。
図8に示す中間位置の横枠材50Bの端部材52は、昇降ガイド40のガイド溝43に挿入される丸軸部53の一端に、外周へ環状に張り出すフランジ部56を介して結合軸部54が、他端に連結軸部55が、それぞれ一体に形成されたものである(図8(2)の正面図参照)。丸軸部53の直径は昇降ガイド40のガイド溝43の溝幅より小さな値に設定されているので、丸軸部53はガイド溝43に沿って摺動自由かつ回動自由である。丸軸部53の長さは各ガイド板41,42の厚みとほぼ一致する。フランジ部56および連結軸部55の直径はガイド溝43の溝幅より大きく、これにより丸軸部53はガイド溝43に抜け止め状態に支持される。
フランジ部56の直径RBは、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Bの端部材52の移動が阻止されることがないように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより小さな値になっている(図8(3)の右側面図参照)。
【0029】
結合軸部54はステンレス製のパイプ51の内孔へ嵌入されるもので、結合軸部54とパイプ51とを緊密嵌合させるために、結合軸部54に十文字の割溝54aが形成してある。なお、パイプ51はステンレス以外の金属パイプを用いてもよく、また、合成樹脂製のパイプを用いてもよい。さらに、パイプ51は必ずしも全長にわたって中空である必要はなく、強度を高めるために、内部に補強のための芯材を挿入してもよい。
連結軸部55は丸軸であり、この連結軸部55には連結用の線材6を直径に沿う方向へ挿通させるための貫通孔55aと、貫通孔55aと連通し端面に開口するネジ孔55bとが形成されている(図8(1)の左側面図および図8(2)参照)。貫通孔55aに線材6を挿通し、ネジ55cをネジ孔55bへネジ込むことで連結用線材6を止め固定する。
【0030】
図9に示す最上位置の横枠材50Aの端部材52は、上記した中間位置の横枠材50Bの端部材52と同様の構成の丸軸部53、結合軸部54、および連結軸部55を有している(図9(2)の正面図および図9(1)の左側面図参照)。
フランジ部56の直径RAは中間位置の横枠材50Bのフランジ部56の直径RBより大きく、さらに、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Bの端部材52の下方への移動が阻止されるように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより大きな値になっている(図9(3)の右側面図参照)。
【0031】
図10に示す最下位置に横枠材50Cの端部材52は、中間位置の横枠材50Bの端部材52と同様の構成の丸軸部53、フランジ部56、および結合軸部54を有している(図10(1)の正面図および図9(3)の平面図参照)。フランジ部56は、中間位置の横枠材50Bの端部材52のフランジ部56と同じ径であり、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Cの端部材52の移動が阻止されることがないように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより小さな値になっている。
【0032】
連結軸部55は、軸状部58の一端に丸軸部53より大径のフランジ部57、他端にガイド部59を備えており、軸状部58上に連結用の線材6の下端部を止め固定するための止め環49が回動自由に嵌められている。前記止め環49には、線材6の下端部を挿通する貫通孔49aと、貫通孔49aと連通し端面に開口するネジ孔49bとが、それぞれ形成されている。貫通孔49aに線材6を通し、端面よりネジ49cをネジ孔49bへネジ込むことにより線材6が止め固定される(図10(2)の左側面図参照)。
【0033】
前記ガイド部59は、先端面がU字形状に切り欠かれた切欠59aを有している(図10(3)参照)。この切欠59aは駆動機構7のチェン70を摺動可能に通すためのもので、切欠59aの開口部はネジ孔59bにネジ止めされたネジ59cにより塞がれる。切欠59aは、チェン70を通過させるがチェン70に取り付けられた前記作動片9は通過させない大きさおよび形状になっており、作動片9がガイド部59に突き当たった後は、最下位置の横枠材50Cは作動片9に伴われて一体に移動する。
【0034】
図11は、駆動機構7の構成と左右の各作動片9,9の取付位置を示している。
図示例の駆動機構7は、左右の各作動片9,9を高さを揃えて上下各方向へ左右の昇降ガイド40,40に沿って同じ速度で移動させるためのものであり、左右の各昇降ガイド40に沿うように複数のホイール72〜77によって張設された1本の無端状のチェン70と、チェン70を左右の昇降ガイド40,40に沿って上下各方向へ走行させるモータ71とで構成されている。
【0035】
上記の各ホイール72〜77はチェン70と咬み合い、モータ71の駆動軸に装着された駆動ホイール72によってチェン70を走行させる。他のホイール73〜77は従動ホイールであり、駆動ホイール72および従動ホイール74が一方の昇降ガイド40の上部枠44内に、従動ホイール73が下部枠45内に、それぞれ設けられている。残りの従動ホイール75〜77のうち、従動ホイール75,77が他方の昇降ガイド40の上部枠44内に、従動ホイール76が下部枠45内に、それぞれ設けられている。
【0036】
チェン70は、一方の昇降ガイド40の上端の駆動ホイール72から下方へ向かい、下部位置の従動ホイール73で上方へ折り返して上部位置の従動ホイール74に戻り、その従動ホイール74から他方の昇降ガイド40の上部位置の従動ホイール75を経て下方へ向かい、下部位置の従動ホイール76で上方へ折り返して上部位置の他の従動ホイール77に戻り,その従動ホイール77から駆動ホイール72に至ることで一巡する。
この無端状のチェン70の下部位置の従動ホイール73から上部位置の従動ホイール74へ向かう部分に一方の作動片9が、下部位置の従動ホイール76から上部位置の従動ホイール77へ向かう部分に他方の作動片9が、それぞれ高さを揃えて取り付けてあり、作動片9が取り付けられた部分が上下各方向へ走行することで各作動片9,9が同じ方向へ同じ速度で昇降ガイド40に沿って移動する。
【0037】
各作動片9,9は、「シャッター閉の状態」にあるとき、シャッター部材5の最下位置の横枠材50Cより下方に位置して待機している。図11は、「シャッター閉の状態」のときの各作動片9,9の位置を示しており、この待機状態からチェン70が走行を開始すると、各作動片9,9がすぐに最下位置の横枠材50Cの両端部に突き当たり、その後、その横枠材50Cを伴い、さらに他の横枠材50B,50Aを下から順に伴って上方へ一体に移動させる。作動片9がストッパー8の位置より上方の所定の高さ位置に達したとき、「シャッター開の状態」となり、チェン70の走行が止まり、作動片9,9が停止して待機状態となる。
【0038】
図2には「シャッター閉の状態」のときの各作動片9の位置が、また、図3には「シャッター開の状態」のときの各作動片9の位置が、それぞれ示されている。この上下の各位置間で作動片9を往復動させるために、作動片9が図2(図11)で示す下方の待機位置に達したことを検出するためのセンサS1と、図3に示す上方の待機位置に達したことを検出するセンサS2とが、上部位置の従動ホイール75と下部位置の従動ホイール76との間のチェン70の走行路沿いに配備されている。
この実施例では、センサS1,S2としてリミットスイッチが用いてあり、上部位置の従動ホイール75と下部位置の従動ホイール76との間を走行するチェン70の適所に各リミットスイッチを動作させるための金属板などの操作部材78が取り付けてある。
【0039】
なお、上記実施例では、無端状のチェン70を用いて2個の作動片9を1個のモータ71で駆動しているが、これに限らず、2個の作動片9を個別のチェンと個別のモータとで駆動することもできる。また、チェン70に代えてワイヤーを用いることもでき、さらに、センサS1,S2についても、リミットスイッチに代えて光電センサを用いることもできる。
【0040】
上記の実施例の構成によると、「シャッター閉の状態」では、シャッター部材5を構成する各横枠材50は垂れ下がった状態になっており、最下位置の横枠材50Cを持って上方へ押し開くことが可能であるが、図2および図3に示すように、最下位置の横枠材50Cをその位置で拘束するための保持機構95,95を設けるようにすれば、シャッター部材5の手操作による開動作を阻止することができる。この種の保持機構95として種々のものが考えられるが、例えば、左右の昇降ガイド40,40の下方位置にそれぞれ電磁ソレノイドを取り付け、電磁ソレノイドへの通電を制御してロッドを最下位置の横枠材50Cとその上の横枠材50Bとの間に対して出没動作させるように構成する。
【0041】
次に、上記したシャッター装置4の動作を説明する。
図1に示す荷昇降搬送装置において、昇降搬送機構1の昇降台11は地上階F1に降りており、地上階F1のシャッター装置4は「シャッター開の状態」にある。出入口G1が開放されているので、昇降台12と荷搬出入機構2との間で荷Lおよびパレット3の搬出入作業が行われる。一方、2階F2のシャッター装置4は「シャッター開の状態」にあって出入口G2が閉じられており、荷の搬出入が禁止される。
【0042】
昇降台12が地上階F1に降りてくる前の時点では、地上階F1のシャッター装置4は図2の「シャッター閉の状態」にあり、シャッター部材5の最上位置の横枠材50Aの両端の端部材52が左右のストッパー8,8により支持され、左右の作動片9,9は最下位置の横枠材50Cの下方の定位置に待機している。このとき、シャッター部材5は垂れ下がった状態で出入口G1の開口部分を閉じ、出入口G1は面格子状のシャッター部材5で塞がれている。
【0043】
昇降台12が地上階F1に降りてきて荷の搬出入が行われる場合、駆動機構7のモータ71が駆動し、チェン70が上方へ向けて走行するので、左右の作動片9,9が左右の昇降ガイド40,40に沿って上方へ移動する。各作動片9は移動開始直後に最下位置の横枠材50Cの端部材52に突き当たり、その横枠材50Cを伴って上方へ一体に移動する。つぎに、最下位置の横枠材50Cはその上の中間部分の横枠材50Bに接近して突き当たり、その横枠材50Bを伴って上方へ一体に移動する。同様に、全ての中間部分の横枠材50Bを下から順に伴って上方へ一体に移動するもので、最上位置の横枠材50Aにその下の横枠材50Bが突き当たったとき、全ての横枠材50が上下の横枠材50と接した「シャッター半開の状態」(図3の一点鎖線で示す状態)となる。シャッター部材5はこの縮小した形態のままで上方へ移動し続けることで出入口G1の開口部分より退避し、これにより出入口G1が開かれる。図3の「シャッター開の状態」では、シャッター部材5は縮小形態のままで昇降ガイド40,40の上方位置に退避して待機している。
【0044】
地上階F1において荷の搬出入作業が完了すると、駆動機構7のモータ71が上記と逆方向へ駆動し、チェン70が下方に向けて走行し、左右の作動片9,9が左右の昇降ガイド40,40に沿って下方へ移行する。左右の作動片9,9は最下位置の横枠材50Cの両端の端部材52を支持した状態で昇降ガイド40,40に沿って下方へ移動し、さらに、残り全ての横枠材50も左右の作動片9,9に伴われて下方へ一体に移動する。左右の作動片9,9と最上位置の横枠材50Aを除く全ての横枠材50は、左右のストッパー8,8に突き当たることなくストッパー8の位置を通過するが、最上位置の横枠材50Aは両端の端部材52,52が左右のストッパー8,8に突き当たって支持され、その位置で定位する。
つぎに、最上位置の横枠材50Aに連結されたすぐ下の横枠材50Bが下降を停止して垂れ下がり状態となり、以下同様に、残り全ての横枠材50が上から順に下降を停止して垂れ下がり状態となる。作動片9が最下位置の横枠材50Cを解放した後、下降を停止したとき、全ての横枠材50が垂れ下がった状態の面格子状となり、出入口G1の開口部分は面格子状のシャッター部材5により塞がれる。
【0045】
この発明によるシャッター装置4は、上記した実施例のように、昇降搬送機構1の各階の出入口G1,G2の扉の代わりに設置して、荷の搬送作業におけるトラブルの発生や作業員の転落事故の発生を防止しているが、それ以外の種々の目的や用途に適用することができる。
【0046】
図12は、この発明によるシャッター装置4を物流システムのゲートとして用いた具体例を示しており、荷Lの搬送経路を構成するコンベヤCの途中に、コンベヤCを跨ぐようにしてシャッター装置4が設置されている。シャッター装置4が図示の「シャッター閉の状態」になると、荷Lの搬送が止められて待機状態となる。「シャッター開の状態」になると、荷Lが搬送が許容される。
【0047】
図13は、この発明によるシャッター装置4を窓Wの面格子として用いた具体例を示しており、窓Wの開口部分にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は前記の保持機構95を備えており、平時は防犯上、シャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。火災発生などの緊急時は、シャッター装置4を「シャッター開の状態」とし、窓Wからの人の出入りを可能とする。
【0048】
図14は、この発明によるシャッター装置4を玄関口、勝手口、非常口などの出入口Dの防犯シャッターとして用いた具体例を示しており、出入口Dの開口部分にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は前記の保持機構95を備えており、夜間などは防犯上、シャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。昼間はシャッター装置4を「シャッター開の状態」とし、出入口Dからの人の出入りを可能とする。
【0049】
図15は、この発明によるシャッター装置4を車庫Rのゲートとして用いた具体例を示しており、車庫Rの出入り口にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は必要に応じて前記の保持機構95を備えており、入庫後はシャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。入出庫に際してはシャッター装置4を「シャッター開の状態」にする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明のシャッター装置が導入された荷昇降搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明によるシャッター装置の閉じた状態を示す正面図である。
【図3】図2のシャッター装置の開いた状態を示す正面図である。
【図4】図2のシャッター装置の平面図である。
【図5】図2のA―A線に沿う中間部分を省略した断面図である。
【図6】中間部分を省略したシャッター部材の正面図である。
【図7】シャッター部材を構成する横枠材の移動に伴って連結用の線材が撓んでいく状態を示す説明図である。
【図8】中間位置の横枠材の端部材の構成を示す左側面図、正面図、および右側面図である。
【図9】最上位置の横枠材の端部材の構成を示す左側面図、正面図、および右側面図である。
【図10】最下位置の横枠材の端部材の構成を示す正面図、左側面図、および平面図である。
【図11】駆動機構の構成と作動片の取付位置とを示す説明図である。
【図12】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図13】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図14】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図15】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図16】物流設備の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
4 シャッター装置
5 シャッター部材
6 線材
7 駆動機構
8 ストッパー
9 作動片
40 昇降ガイド
50 横枠材
50A 最上位置の横枠材
50C 最下位置の横枠材
70 チェン
71 モータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャッター部材を昇降させて、荷や人の出入口、窓、荷の通路などを開閉するシャッター装置に関し、特に、この発明は、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の荷の出入口に設置するのに適したシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫や工場などの物流設備として、図16に示すように、塔体101の内部を昇降する昇降台102により荷を各階F1〜F3へ搬送する昇降搬送機構100と、塔体100の各階F1〜F3の出入口104にそれぞれ設置される荷搬出入機構103とで構成されるものがある。
【0003】
昇降台102は、荷が積まれたパレットを荷搬出入機構103との間で搬送するためのコンベヤと、荷が積まれていない空のパレットを荷搬出入機構103との間で搬送するためのコンベヤとが上下2段に設けられたものであり、荷搬出入機構103には、昇降台102の上下のコンベヤとの間で荷が積まれたパレットと荷が積まれていない空のパレットを搬送するためのコンベヤが上下二段に設けられている(例えば、特許文献1の「従来の技術」の欄参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3582827号公報
【0005】
各階F1〜F3の荷搬出入機構103は、昇降台102との間で荷が積まれたパレットと荷が積まれていない空のパレットとが円滑に搬出入されるように、塔体101の各階F1〜F3の出入口104に接近した状態で配設されている。各階F1〜F3の出入口104は、上記した荷搬出入機構103と連通させる関係上、エレベータのような扉を備えておらず、開口された状態のままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した構成の昇降搬送機構100では、塔体101の各階F1〜F3の出入口104は開口しているので、昇降台102が他の階にあるとき、荷搬出入機構103のコンベヤ上に載せた荷が、勢い余って或いは荷搬出入機構103の誤動作によって、出入口104に向けて移動し、塔体101内へ送り込まれるおそれがある。また、作業中や点検中に、荷搬出入機構103のコンベヤ上に乗った作業員が足を滑らせ、出入口104から塔体101内に転落するおそれもある。
【0007】
そこで、エレベータのように、塔体101の各階F1〜F3の出入口104に扉を設置することも考えられるが、設備が大掛かりとなってコスト高となり、特に、既設の昇降搬送機構にその種の扉を設置することは困難である。
【0008】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口、さらには、建造物の出入口、窓などの開口部分、荷が通過する通路部分などに、たとえそれが既設のものであっても、簡単に設置することができるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるシャッター装置は、シャッター部材を昇降動作させて開口部分または通路部分を開閉するものであって、前記開口部分または通路部分を挟んで向き合うように縦設される左右の昇降ガイドと、各昇降ガイドに両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材が上下の横枠材と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材と、左右の昇降ガイドの所定の高さ位置に設けられシャッター部材が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材は突き当たるが他の横枠材は突き当たらずに通過することによりシャッター部材を垂れ下がった状態で支持するストッパーと、左右の昇降ガイドに沿って上下各方向へ移動可能であり下から上へ移動するときシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たって全ての横枠材を順々に伴って移動させる作動片と、左右の各作動片を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構とを備えている。前記駆動機構は、前記ストッパーより上方の所定の高さ位置と、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片を往復動させるようにする。
【0010】
この発明によるシャッター装置は、好ましくは、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口に設置するが、これに限らず、建造物の出入口や窓などの開口部分、荷などが通過する通路部分などにも設置し得る。
【0011】
この発明によるシャッター装置では、シャッター部材の最上位置の横枠材が左右のストッパーにより支持される。左右の作動片が最下位置の横枠材を解放してその下方に位置するとき、シャッター部材は垂れ下がった状態となって開口部分や通路部分を閉じ、開口部分や通路部分が面格子状のシャッター部材で塞がれる。
駆動機構の駆動によって左右の作動片が昇降ガイドに沿って上方へ移行すると、各作動片はまずシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たり、その横枠材を伴って上方へ一体に移動させる。つぎに、最下位置の横枠材がその上の横枠材に近づいて突き当たり、その横枠材を伴って上方へ一体に移動させる。同様に、全ての横枠材が下から順に作動片に伴われて上方へ一体に移動する。最上位置の横枠材にその下の横枠材が突き当たったとき、全ての横枠材が上下の横枠材と接し、シャッター部材は縮小された状態となる。シャッター部材は縮小された形態のまま上方へ移動し続けることで開口部分や通路部分から退避し、開口部分や通路部分は開かれる。シャッター部材は縮小された形態のまま昇降ガイドの上方位置で定位して待機する。
【0012】
つぎに、駆動機構を上記と逆方向へ駆動させると、左右の作動片は最下位置の横枠材を支持した状態で昇降ガイドに沿って下方へ移動するもので、全ての横枠材が左右の作動片に伴われて下方へ一体に移動する。最上位置の横枠材を除く全ての横枠材は左右のストッパーに突き当たることなくストッパーの位置を通過するが、最上位置の横枠材は左右のストッパーに突き当たって支持され、その位置で定位する。つぎに、最上位置の横枠材に連結されたその下の横枠材が停止して垂れ下がった状態となり、以下同様に、残り全ての横枠材が上から順に停止する。最下位置の横枠材が作動片から解放されて停止したとき、全ての横枠材が垂れ下がった状態の面格子状となり、開口部分や通路部分がシャッター部材によって塞がれる。
【0013】
この発明の上記した構成において、シャッター部材を構成する各横枠材は、金属製または合成樹脂製のパイプ材や棒材が用いられるが、容易に変形したり破断したりしなければ、帯板状のようなものであってもよい。
各横枠材は、上下の横枠材と接近、離間可能に連結されるが、そのような連結は、可撓性を有する線材によって上下の横枠材と連結することにより実現できる。
【0014】
この発明の好ましい実施態様においては、前記駆動機構は、左右の各昇降ガイドに沿って設けられるチェンと、チェンの昇降ガイドに沿う部分を同方向へ同じ速度で走行させるモータとで構成されるもので、チェンの各昇降ガイドに沿う部分の同じ高さ位置に左右の作動片がそれぞれ取り付けられている。
【0015】
上記のチェンは、無端状のものであってもよく、また、左右の昇降ガイドに沿って個別に設けたものであってもよい。チェンを無端状に張設する場合は1台のモータにより構成するが、左右の昇降ガイドに沿って個別にチェンを張設する場合は2台のモータにより構成する。
【0016】
上記した実施態様では、ストッパーによりシャッター部材が垂れ下がった状態で支持されているとき、シャッター部材を構成する各横枠材はなんら拘束されていないから、手操作によりシャッター部材を上方へ押し上げて開放することが可能である。
この発明の好ましい他の実施態様は、シャッター部材を上方へ押し上げて開放できないようにするために、ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材の最上位置の横枠材をその位置で拘束するための保持機構をさらに備えたものである。
この実施態様によると、保持機構によって最下位置の横枠材がその位置で拘束されるので、シャッター部材を構成する全ての横枠材が拘束されることになり、手操作によりシャッター部材を上方へ押し上げて開放することができない。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、荷を階上や階下へ搬送する昇降搬送機構の各階の出入口、さらには、建造物の出入口、窓などの開口部分、コンベヤ上の荷が通過する通路部分などに、たとえそれが既設のものであっても、簡単にシャッター装置を設置することができる。
また、シャッター部材を開口部分や通路部分より退避させるとき、シャッター部材を構成する横枠材が接して縮小された状態になっているので、待機もしくは格納のための場所をとらない。さらに、用途や目的に応じて横枠材間の間隔を変えることができ、設計変更が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、この発明にかかるシャッター装置4が導入された荷昇降搬送装置の構成を示している。
図示例の荷昇降搬送装置は、塔体10に沿って地上階F1と2階F2との間で昇降台11を昇降させて荷Lを上下方向へ搬送する昇降搬送機構1と、各階F1,F2の床面上に昇降搬送機構1の出入口G1,G2に対向させて設置される荷搬出入機構2,2とから成る。
【0019】
昇降台11には、荷搬出入機構2との間で荷Lが積まれたパレット3を搬送するための搬送コンベヤ12と、荷が積まれていない空のパレット3を搬送するための搬送コンベヤ(図示せず)とが上下2段に設けられている。各パレット3は、荷が積まれる水平な板面の両端部にフランジ30,30が外向きにそれぞれ屈曲形成されたものである。
【0020】
各階の荷搬出入機構2は、荷Lが積まれたパレット3を昇降台11の上段の搬送コンベヤ12に対して搬出入するための荷搬送用の左右のチェンコンベヤ21,21と、空のパレット3を昇降台11の下段の搬送コンベヤに対して搬出入するための空パレット搬送用の左右のチェンコンベヤ22,22とを有している。荷搬送用の左右のチェンコンベヤ21,21および空パレット搬送用の左右のチェンコンベヤ22,22は、昇降台11の前方の対向する位置に対して両側方よりそれぞれ進退動作する。なお、図1には各チェンコンベヤ21,22を進退動作させる機構の図示は省略してある。
【0021】
また、図1において、20はパレット3の左右のフランジ30,30と前後部位置で係脱する左右各一対の支持爪23,23を有するパレット積み卸し機構である。各支持爪23は昇降台11の前方の対向する位置の両側位置で荷Lが積まれたパレット3または空のパレット3の左右のフランジ30,30をそれぞれ支持して昇降動作し、これにより各チェンコンベヤ21,22に対して各パレット3を積み卸しする。
【0022】
昇降搬送機構1の各階F1,F2の出入口G1,G2には、この発明の一実施例であるシャッター装置4がそれぞれ設置されている。
各シャッター装置4は、図2〜図4に示すように、複数本の横枠材50より成るシャッター部材5を左右両側の昇降ガイド40,40に沿って昇降させることにより出入口G1,G2を開閉するものである。このシャッター部材5の昇降動作は、左右に配された作動片9,9を上下各方向へ移動させることにより行われる。各作動片9,9は、金属製の板材などで構成され、駆動機構7を構成するチェン70の各昇降ガイド40,40に沿う部分の同じ高さ位置に取り付けられている。チェン70を走行させると、左右の作動片9,9が各昇降ガイド40,40に沿って上方または下方のいずれかの方向へ同じ速度で移動する。
なお、図2には、シャッター部材5が出入口を閉じた状態(以下、「シャッター閉の状態」という。)が、図3には、シャッター部材5が上方へ移動して出入口を開いた状態(以下、「シャッター開の状態」という。)が、それぞれ示してある。
【0023】
各昇降ガイド40は、図4および図5に示すように、垂直な一対のガイド板41,42との間に均一幅のガイド溝43を全長にわたって形成したもので、各ガイド板41,42の上端は上部枠44に、下端は下部枠45に、それぞれ固定されている。上部枠44および下部枠45は、金属板をコ字状に曲げて形成されたもので、内側が開放されている。
各昇降ガイド40は、出入口G1,G2の開口部分を挟んでそれぞれのガイド溝43,43が全長にわたり向き合うように縦設されている。
【0024】
前記シャッター部材5は、上下方向へほぼ等間隔に配列された複数本の横枠材50によって構成されている。各横枠材50は、両端部が各昇降ガイド40のガイド溝43に抜け止め状態で互いに平行状態を維持しつつ摺動自由かつ軸回動自由に支持されている。各横枠材50は、図6に示すように、ステンレス製のパイプ51の両端に端部材52,52がそれぞれ装着されたもので、上下の横枠材50,50同士がそれぞれ接近したり離れたりし得るように、全ての横枠材50について上下の各横枠材50の両端の端部材52,52と可撓性を有する線材6により連結している。この実施例では、左右各1本の連結用の線材6によって全ての横枠材50を連結しているが、これに限らず、上下の横枠材50,50毎に個別の線材により連結することもできる。
【0025】
各線材6は、可撓性と適度な強度を有するものであれば、金属や合成繊維の素線を撚って形成されたワイヤーや紐など、種々のものを用いることができる。この実施例では、図7(1)で示すように、1本の線材6の等分位置にそれぞれ横枠材50を位置決めして固定してあり、線材6が真っ直ぐに伸びた「シャッター閉の状態」のときに全ての横枠材50が等間隔に並んで面格子状となる。作動片9が昇降ガイド40に沿って横枠材50を下から順に上方へ移動させるとき、図7(2)に示すように、線材6は各横枠材50,50間で交互に反対側へ撓んで横枠材50,50同士が接近する。最終的に、全ての横枠材50,50間の間隔が詰まり、シャッター部材5の全体が縮小した形態となる(図7(3)参照)。
【0026】
図2に示す「シャッター閉の状態」では、上下の横枠材50,50間がそれぞれ所定の間隔で離れている。最上位置の横枠材50は左右の各昇降ガイド40の所定の高さ位置に設けられたストッパー8,8に支持されることで、シャッター部材5の全体が垂れ下がった状態の面格子状となる。図3に示す「シャッター開の状態」および同図に一点鎖線で示した「シャッター半開の状態」では、上下の各横枠材50,50間の間隔が詰まることで全体が縮小した状態となっている。
なお、以下の説明において、全横枠材50のうち、最上位置の横枠材50を他の横枠材と区別して表すときは「50A」の符号を用い、最下位置の横枠材50を他の横枠材と区別して表すときは「50C」の符号を用い、それ以外の中間位置の横枠材50を最上位置および最下位置の各横枠材50A,50Cと区別して表すときは「50B」の符号を用いる。
【0027】
前記ストッパー8は、図5に示すように、各昇降ガイド40を構成するガイド板41,42の内面に、高さを揃えかつ所定の距離dだけ隔てて、一対の円筒状の突状体80,81を溶接などの方法で固着することによって構成されている。突状体80,81間の距離dは、最上位置の横枠材50Aの端部材52は通過できず、それ以外の横枠材50B,50Cは通過できるように設定されている。したがって、最上位置の横枠材50Aはストッパー8の下方へ移動することがなく、常にストッパー8より上方に位置する。それ以外の横枠材50B,50Cは、「シャッター開の状態」ではストッパー8より上方に位置し、「シャッター閉の状態」では下方に位置する。なお、ストッパー8を構成する突状体80,81は必ずしも円筒状である必要はない。
【0028】
図8〜図10は、横枠材50の端部材52の構成を示している。図9(1)〜(3)は最上位置の横枠材50Aの端部材52を、図10(1)〜(3)は最下位置の横枠材50Cの端部材52を、図8(1)〜(3)は残りの中間位置の横枠材50Bの端部材52を、それぞれ示している。
図8に示す中間位置の横枠材50Bの端部材52は、昇降ガイド40のガイド溝43に挿入される丸軸部53の一端に、外周へ環状に張り出すフランジ部56を介して結合軸部54が、他端に連結軸部55が、それぞれ一体に形成されたものである(図8(2)の正面図参照)。丸軸部53の直径は昇降ガイド40のガイド溝43の溝幅より小さな値に設定されているので、丸軸部53はガイド溝43に沿って摺動自由かつ回動自由である。丸軸部53の長さは各ガイド板41,42の厚みとほぼ一致する。フランジ部56および連結軸部55の直径はガイド溝43の溝幅より大きく、これにより丸軸部53はガイド溝43に抜け止め状態に支持される。
フランジ部56の直径RBは、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Bの端部材52の移動が阻止されることがないように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより小さな値になっている(図8(3)の右側面図参照)。
【0029】
結合軸部54はステンレス製のパイプ51の内孔へ嵌入されるもので、結合軸部54とパイプ51とを緊密嵌合させるために、結合軸部54に十文字の割溝54aが形成してある。なお、パイプ51はステンレス以外の金属パイプを用いてもよく、また、合成樹脂製のパイプを用いてもよい。さらに、パイプ51は必ずしも全長にわたって中空である必要はなく、強度を高めるために、内部に補強のための芯材を挿入してもよい。
連結軸部55は丸軸であり、この連結軸部55には連結用の線材6を直径に沿う方向へ挿通させるための貫通孔55aと、貫通孔55aと連通し端面に開口するネジ孔55bとが形成されている(図8(1)の左側面図および図8(2)参照)。貫通孔55aに線材6を挿通し、ネジ55cをネジ孔55bへネジ込むことで連結用線材6を止め固定する。
【0030】
図9に示す最上位置の横枠材50Aの端部材52は、上記した中間位置の横枠材50Bの端部材52と同様の構成の丸軸部53、結合軸部54、および連結軸部55を有している(図9(2)の正面図および図9(1)の左側面図参照)。
フランジ部56の直径RAは中間位置の横枠材50Bのフランジ部56の直径RBより大きく、さらに、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Bの端部材52の下方への移動が阻止されるように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより大きな値になっている(図9(3)の右側面図参照)。
【0031】
図10に示す最下位置に横枠材50Cの端部材52は、中間位置の横枠材50Bの端部材52と同様の構成の丸軸部53、フランジ部56、および結合軸部54を有している(図10(1)の正面図および図9(3)の平面図参照)。フランジ部56は、中間位置の横枠材50Bの端部材52のフランジ部56と同じ径であり、フランジ部56の外周面がストッパー8の突状体80,80に突き当たって横枠材50Cの端部材52の移動が阻止されることがないように、ストッパー8の突状体80,80間の距離dより小さな値になっている。
【0032】
連結軸部55は、軸状部58の一端に丸軸部53より大径のフランジ部57、他端にガイド部59を備えており、軸状部58上に連結用の線材6の下端部を止め固定するための止め環49が回動自由に嵌められている。前記止め環49には、線材6の下端部を挿通する貫通孔49aと、貫通孔49aと連通し端面に開口するネジ孔49bとが、それぞれ形成されている。貫通孔49aに線材6を通し、端面よりネジ49cをネジ孔49bへネジ込むことにより線材6が止め固定される(図10(2)の左側面図参照)。
【0033】
前記ガイド部59は、先端面がU字形状に切り欠かれた切欠59aを有している(図10(3)参照)。この切欠59aは駆動機構7のチェン70を摺動可能に通すためのもので、切欠59aの開口部はネジ孔59bにネジ止めされたネジ59cにより塞がれる。切欠59aは、チェン70を通過させるがチェン70に取り付けられた前記作動片9は通過させない大きさおよび形状になっており、作動片9がガイド部59に突き当たった後は、最下位置の横枠材50Cは作動片9に伴われて一体に移動する。
【0034】
図11は、駆動機構7の構成と左右の各作動片9,9の取付位置を示している。
図示例の駆動機構7は、左右の各作動片9,9を高さを揃えて上下各方向へ左右の昇降ガイド40,40に沿って同じ速度で移動させるためのものであり、左右の各昇降ガイド40に沿うように複数のホイール72〜77によって張設された1本の無端状のチェン70と、チェン70を左右の昇降ガイド40,40に沿って上下各方向へ走行させるモータ71とで構成されている。
【0035】
上記の各ホイール72〜77はチェン70と咬み合い、モータ71の駆動軸に装着された駆動ホイール72によってチェン70を走行させる。他のホイール73〜77は従動ホイールであり、駆動ホイール72および従動ホイール74が一方の昇降ガイド40の上部枠44内に、従動ホイール73が下部枠45内に、それぞれ設けられている。残りの従動ホイール75〜77のうち、従動ホイール75,77が他方の昇降ガイド40の上部枠44内に、従動ホイール76が下部枠45内に、それぞれ設けられている。
【0036】
チェン70は、一方の昇降ガイド40の上端の駆動ホイール72から下方へ向かい、下部位置の従動ホイール73で上方へ折り返して上部位置の従動ホイール74に戻り、その従動ホイール74から他方の昇降ガイド40の上部位置の従動ホイール75を経て下方へ向かい、下部位置の従動ホイール76で上方へ折り返して上部位置の他の従動ホイール77に戻り,その従動ホイール77から駆動ホイール72に至ることで一巡する。
この無端状のチェン70の下部位置の従動ホイール73から上部位置の従動ホイール74へ向かう部分に一方の作動片9が、下部位置の従動ホイール76から上部位置の従動ホイール77へ向かう部分に他方の作動片9が、それぞれ高さを揃えて取り付けてあり、作動片9が取り付けられた部分が上下各方向へ走行することで各作動片9,9が同じ方向へ同じ速度で昇降ガイド40に沿って移動する。
【0037】
各作動片9,9は、「シャッター閉の状態」にあるとき、シャッター部材5の最下位置の横枠材50Cより下方に位置して待機している。図11は、「シャッター閉の状態」のときの各作動片9,9の位置を示しており、この待機状態からチェン70が走行を開始すると、各作動片9,9がすぐに最下位置の横枠材50Cの両端部に突き当たり、その後、その横枠材50Cを伴い、さらに他の横枠材50B,50Aを下から順に伴って上方へ一体に移動させる。作動片9がストッパー8の位置より上方の所定の高さ位置に達したとき、「シャッター開の状態」となり、チェン70の走行が止まり、作動片9,9が停止して待機状態となる。
【0038】
図2には「シャッター閉の状態」のときの各作動片9の位置が、また、図3には「シャッター開の状態」のときの各作動片9の位置が、それぞれ示されている。この上下の各位置間で作動片9を往復動させるために、作動片9が図2(図11)で示す下方の待機位置に達したことを検出するためのセンサS1と、図3に示す上方の待機位置に達したことを検出するセンサS2とが、上部位置の従動ホイール75と下部位置の従動ホイール76との間のチェン70の走行路沿いに配備されている。
この実施例では、センサS1,S2としてリミットスイッチが用いてあり、上部位置の従動ホイール75と下部位置の従動ホイール76との間を走行するチェン70の適所に各リミットスイッチを動作させるための金属板などの操作部材78が取り付けてある。
【0039】
なお、上記実施例では、無端状のチェン70を用いて2個の作動片9を1個のモータ71で駆動しているが、これに限らず、2個の作動片9を個別のチェンと個別のモータとで駆動することもできる。また、チェン70に代えてワイヤーを用いることもでき、さらに、センサS1,S2についても、リミットスイッチに代えて光電センサを用いることもできる。
【0040】
上記の実施例の構成によると、「シャッター閉の状態」では、シャッター部材5を構成する各横枠材50は垂れ下がった状態になっており、最下位置の横枠材50Cを持って上方へ押し開くことが可能であるが、図2および図3に示すように、最下位置の横枠材50Cをその位置で拘束するための保持機構95,95を設けるようにすれば、シャッター部材5の手操作による開動作を阻止することができる。この種の保持機構95として種々のものが考えられるが、例えば、左右の昇降ガイド40,40の下方位置にそれぞれ電磁ソレノイドを取り付け、電磁ソレノイドへの通電を制御してロッドを最下位置の横枠材50Cとその上の横枠材50Bとの間に対して出没動作させるように構成する。
【0041】
次に、上記したシャッター装置4の動作を説明する。
図1に示す荷昇降搬送装置において、昇降搬送機構1の昇降台11は地上階F1に降りており、地上階F1のシャッター装置4は「シャッター開の状態」にある。出入口G1が開放されているので、昇降台12と荷搬出入機構2との間で荷Lおよびパレット3の搬出入作業が行われる。一方、2階F2のシャッター装置4は「シャッター開の状態」にあって出入口G2が閉じられており、荷の搬出入が禁止される。
【0042】
昇降台12が地上階F1に降りてくる前の時点では、地上階F1のシャッター装置4は図2の「シャッター閉の状態」にあり、シャッター部材5の最上位置の横枠材50Aの両端の端部材52が左右のストッパー8,8により支持され、左右の作動片9,9は最下位置の横枠材50Cの下方の定位置に待機している。このとき、シャッター部材5は垂れ下がった状態で出入口G1の開口部分を閉じ、出入口G1は面格子状のシャッター部材5で塞がれている。
【0043】
昇降台12が地上階F1に降りてきて荷の搬出入が行われる場合、駆動機構7のモータ71が駆動し、チェン70が上方へ向けて走行するので、左右の作動片9,9が左右の昇降ガイド40,40に沿って上方へ移動する。各作動片9は移動開始直後に最下位置の横枠材50Cの端部材52に突き当たり、その横枠材50Cを伴って上方へ一体に移動する。つぎに、最下位置の横枠材50Cはその上の中間部分の横枠材50Bに接近して突き当たり、その横枠材50Bを伴って上方へ一体に移動する。同様に、全ての中間部分の横枠材50Bを下から順に伴って上方へ一体に移動するもので、最上位置の横枠材50Aにその下の横枠材50Bが突き当たったとき、全ての横枠材50が上下の横枠材50と接した「シャッター半開の状態」(図3の一点鎖線で示す状態)となる。シャッター部材5はこの縮小した形態のままで上方へ移動し続けることで出入口G1の開口部分より退避し、これにより出入口G1が開かれる。図3の「シャッター開の状態」では、シャッター部材5は縮小形態のままで昇降ガイド40,40の上方位置に退避して待機している。
【0044】
地上階F1において荷の搬出入作業が完了すると、駆動機構7のモータ71が上記と逆方向へ駆動し、チェン70が下方に向けて走行し、左右の作動片9,9が左右の昇降ガイド40,40に沿って下方へ移行する。左右の作動片9,9は最下位置の横枠材50Cの両端の端部材52を支持した状態で昇降ガイド40,40に沿って下方へ移動し、さらに、残り全ての横枠材50も左右の作動片9,9に伴われて下方へ一体に移動する。左右の作動片9,9と最上位置の横枠材50Aを除く全ての横枠材50は、左右のストッパー8,8に突き当たることなくストッパー8の位置を通過するが、最上位置の横枠材50Aは両端の端部材52,52が左右のストッパー8,8に突き当たって支持され、その位置で定位する。
つぎに、最上位置の横枠材50Aに連結されたすぐ下の横枠材50Bが下降を停止して垂れ下がり状態となり、以下同様に、残り全ての横枠材50が上から順に下降を停止して垂れ下がり状態となる。作動片9が最下位置の横枠材50Cを解放した後、下降を停止したとき、全ての横枠材50が垂れ下がった状態の面格子状となり、出入口G1の開口部分は面格子状のシャッター部材5により塞がれる。
【0045】
この発明によるシャッター装置4は、上記した実施例のように、昇降搬送機構1の各階の出入口G1,G2の扉の代わりに設置して、荷の搬送作業におけるトラブルの発生や作業員の転落事故の発生を防止しているが、それ以外の種々の目的や用途に適用することができる。
【0046】
図12は、この発明によるシャッター装置4を物流システムのゲートとして用いた具体例を示しており、荷Lの搬送経路を構成するコンベヤCの途中に、コンベヤCを跨ぐようにしてシャッター装置4が設置されている。シャッター装置4が図示の「シャッター閉の状態」になると、荷Lの搬送が止められて待機状態となる。「シャッター開の状態」になると、荷Lが搬送が許容される。
【0047】
図13は、この発明によるシャッター装置4を窓Wの面格子として用いた具体例を示しており、窓Wの開口部分にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は前記の保持機構95を備えており、平時は防犯上、シャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。火災発生などの緊急時は、シャッター装置4を「シャッター開の状態」とし、窓Wからの人の出入りを可能とする。
【0048】
図14は、この発明によるシャッター装置4を玄関口、勝手口、非常口などの出入口Dの防犯シャッターとして用いた具体例を示しており、出入口Dの開口部分にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は前記の保持機構95を備えており、夜間などは防犯上、シャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。昼間はシャッター装置4を「シャッター開の状態」とし、出入口Dからの人の出入りを可能とする。
【0049】
図15は、この発明によるシャッター装置4を車庫Rのゲートとして用いた具体例を示しており、車庫Rの出入り口にシャッター装置4が設置されている。このシャッター装置4は必要に応じて前記の保持機構95を備えており、入庫後はシャッター装置4を「シャッター閉の状態」に保持しておく。入出庫に際してはシャッター装置4を「シャッター開の状態」にする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明のシャッター装置が導入された荷昇降搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明によるシャッター装置の閉じた状態を示す正面図である。
【図3】図2のシャッター装置の開いた状態を示す正面図である。
【図4】図2のシャッター装置の平面図である。
【図5】図2のA―A線に沿う中間部分を省略した断面図である。
【図6】中間部分を省略したシャッター部材の正面図である。
【図7】シャッター部材を構成する横枠材の移動に伴って連結用の線材が撓んでいく状態を示す説明図である。
【図8】中間位置の横枠材の端部材の構成を示す左側面図、正面図、および右側面図である。
【図9】最上位置の横枠材の端部材の構成を示す左側面図、正面図、および右側面図である。
【図10】最下位置の横枠材の端部材の構成を示す正面図、左側面図、および平面図である。
【図11】駆動機構の構成と作動片の取付位置とを示す説明図である。
【図12】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図13】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図14】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図15】この発明の他の適用例を示す斜視図である。
【図16】物流設備の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
4 シャッター装置
5 シャッター部材
6 線材
7 駆動機構
8 ストッパー
9 作動片
40 昇降ガイド
50 横枠材
50A 最上位置の横枠材
50C 最下位置の横枠材
70 チェン
71 モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター部材を昇降動作させて開口部分または通路部分を開閉するシャッター装置であって、
前記開口部分または通路部分を挟んで向き合うように縦設される左右の昇降ガイドと、各昇降ガイドに両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材が上下の横枠材と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材と、左右の昇降ガイドの所定の高さ位置に設けられシャッター部材が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材は突き当たるが他の横枠材は突き当たらずに通過することによりシャッター部材を垂れ下がった状態で支持するストッパーと、左右の昇降ガイドに沿って上下各方向へ移動可能であり下から上へ移動するときシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たって全ての横枠材を順々に伴って移動させる作動片と、左右の各作動片を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、前記ストッパーより上方の所定の高さ位置と、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片を往復動させるようにしたシャッター装置。
【請求項2】
前記シャッター部材を構成する各横枠材は、上下の横枠材と可撓性を有する線材によって連結されている請求項1に記載されたシャッター装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、左右の各昇降ガイドに沿って設けられるチェンと、チェンの各昇降ガイドに沿う部分を同方向へ同じ速度で走行させるモータとで構成され、チェンの各昇降ガイドに沿う部分の同じ高さ位置に左右の作動片がそれぞれ取り付けられている請求項1に記載されたシャッター装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたシャッター装置であって、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材の最下位置の横枠材をその位置で拘束するための保持機構をさらに備えているシャッター装置。
【請求項1】
シャッター部材を昇降動作させて開口部分または通路部分を開閉するシャッター装置であって、
前記開口部分または通路部分を挟んで向き合うように縦設される左右の昇降ガイドと、各昇降ガイドに両端部が摺動自由に支持される複数本の横枠材が上下の横枠材と接近、離間可能に連結されて成るシャッター部材と、左右の昇降ガイドの所定の高さ位置に設けられシャッター部材が上から下へ移動するとき最上位置の横枠材は突き当たるが他の横枠材は突き当たらずに通過することによりシャッター部材を垂れ下がった状態で支持するストッパーと、左右の昇降ガイドに沿って上下各方向へ移動可能であり下から上へ移動するときシャッター部材の最下位置の横枠材に突き当たって全ての横枠材を順々に伴って移動させる作動片と、左右の各作動片を高さを揃えて上下各方向へ同じ速度で移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、前記ストッパーより上方の所定の高さ位置と、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材より下方の所定の高さ位置との間で、各作動片を往復動させるようにしたシャッター装置。
【請求項2】
前記シャッター部材を構成する各横枠材は、上下の横枠材と可撓性を有する線材によって連結されている請求項1に記載されたシャッター装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、左右の各昇降ガイドに沿って設けられるチェンと、チェンの各昇降ガイドに沿う部分を同方向へ同じ速度で走行させるモータとで構成され、チェンの各昇降ガイドに沿う部分の同じ高さ位置に左右の作動片がそれぞれ取り付けられている請求項1に記載されたシャッター装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたシャッター装置であって、前記ストッパーに垂れ下がった状態で支持されているシャッター部材の最下位置の横枠材をその位置で拘束するための保持機構をさらに備えているシャッター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−299353(P2009−299353A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155143(P2008−155143)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(390032274)オムニヨシダ株式会社 (9)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(390032274)オムニヨシダ株式会社 (9)
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