説明

シャッタ制御装置、シャッタ制御方法、及びプログラム

【課題】収受ユニット内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させる。
【解決手段】センサ142−aは、収受ユニット11における手の挿脱を検出する検出信号を出力する。そして、駆動回路144は、センサ142−aによる検出信号の出力時間が短いほど、シャッタ12を開閉するモータ13を速く動作させるよう、モータ13の駆動速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置、シャッタ制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関に設置されるATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置には、紙幣や硬貨等の現金を取り扱うため、顧客の現金の受け入れ及び顧客への現金の払い出しを行う収受ユニットが設けられている。そして、収受ユニットにはシャッタが設けられ、当該シャッタは、取引時以外に収受ユニットの開口部を閉鎖し、取引時に当該開口部を解放するよう制御される。
【0003】
このとき、開口部を閉鎖させるときのモータの制御は、主に、顧客の平均的な操作速度を想定し、当該操作速度による一定間隔での速度制御を行っていた。
なお、特許文献1には、有料道路の料金徴収システムの収受ユニットにカメラを設け、カメラのフレームごとの突起物の移動距離から当該突起物の移動速度を算出し、収受ユニットの動作速度を制御する技術が記載されている。
また、特許文献2には、自動取引装置に備えられるキーの押下スピードによってシャッタ開閉動作の待ち時間を変更する技術が記載されている。
また、特許文献3には、自動取引装置に備えられるタッチパネルのタッチスピードによって次の操作への誘導スピードを変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−086057号公報
【特許文献2】特開平11−195162号公報
【特許文献3】特開2000−149095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、開口部を閉鎖させるときに、一定間隔でモータを制御することでシャッタを閉鎖させると、短時間で操作を行いたい顧客にとっては、シャッタの挙動が遅く感じられ、待ち時間がストレスになってしまう惧れがある。他方、操作に不慣れな顧客にとっては、シャッタの挙動が速く感じられ、シャッタに手をぶつける惧れや、手が挟まれそうになるような印象を与える惧れがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術を用いてシャッタの動作速度を決定することが考えられるが、収受ユニット内において紙幣や手の有無を検知するために備えられた光センサ以外に別途カメラを備える必要があり、コストが高くなるという問題がある。また、収受ユニット内は照度が低く、手の動きの検出の精度が低くなる惧れがある。
また、特許文献2、特許文献3に記載の技術を用いてシャッタの動作速度を決定することも考えられるが、タッチパネルやキーの押下スピードは、収受ユニットへ手を出し入れするスピードと必ずしも関連づかないため、顧客によっては、上述したように、待ち時間がストレスになったり、シャッタに手をぶつけたりする惧れがある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、収受ユニット内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させるシャッタ制御装置、シャッタ制御方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置であって、前記収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力する挿脱センサと、前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御する速度制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置を用いたシャッタ制御方法であって、挿脱センサは、前記収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力し、速度制御部は、前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力する挿脱センサを備え、当該収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置を、前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御する速度制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、挿脱センサによる挿脱検出信号の出力時間の長さに基づいてシャッタの開閉速度を決定する。これにより、顧客による収受ユニット内への手の挿脱速度が速い場合は、シャッタを開閉するモータを速く動作させ、顧客による収受ユニット内への手の挿脱速度が遅い場合は、シャッタを開閉するモータを遅く動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態によるシャッタ制御装置を備える紙幣収受機の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】速度テーブルに格納された情報を示す図である。
【図3】入金処理時のシャッタ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】入金処理時のシャッタ制御方法を示す第1のタイムチャートである。
【図5】入金処理時のシャッタ制御方法を示す第2のタイムチャートである。
【図6】出金処理時のシャッタ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】出金処理時のシャッタ制御方法を示す第1のタイムチャートである。
【図8】出金処理時のシャッタ制御方法を示す第2のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるシャッタ制御装置を備える紙幣収受機の構成を示す概略ブロック図である。
紙幣収受機1は、収受ユニット11、シャッタ12、モータ13、シャッタ制御装置14、識別回路15、紙幣格納庫16−a〜16−cを備える。
収受ユニット11は、開口部より顧客の紙幣2(取引対象媒体)を受け入れると共に、顧客に紙幣を払い出す。
シャッタ12は、収受ユニット11の開口部に設けられ、収受ユニット11を閉鎖させ、または開放させる。
モータ13は、シャッタ12を駆動させる。なお、本実施形態においてモータ13は、受信する駆動信号のパルスによって1ステップ角だけ回転するステッピングモータである。
シャッタ制御装置14は、モータ13に駆動信号を出力し、シャッタ12の開閉を制御する。
識別回路15は、収受ユニット11が受け入れた紙幣2の真贋、金種などの状態を判定する。
紙幣格納庫16−a〜16−cは、予め出金する紙幣2を紙幣の金種別に格納しておく。
【0014】
シャッタ制御装置14は、発光素子141−a〜141−c、センサ142−a(挿脱センサ)〜142−c(媒体検出センサ)、センサ回路143、駆動回路144、CPU145、メモリ146、二次記憶装置147を備える。
発光素子141−a〜141−cは、それぞれセンサ142−a〜142−cに向けて光を発光する。なお、発光素子141−a〜141−cが発光する光は、可視光線であっても良いし、赤外線などの不可視光線であっても良い。
センサ142−a〜142−c(以下、センサ142−a〜142−cを総称する場合はセンサ142と表記する)は、それぞれ発光素子141−a〜141−cから光を受光し、受光した光量に応じた電流をセンサ回路143に出力する。
【0015】
センサ回路143は、センサ142−a〜142−cから電流を入力し、電流量に応じて、顧客の手または紙幣2の存在の有無を示す検出信号をCPU145に出力する。具体的には、顧客の手または紙幣2がセンサ142と対向する発光素子との間に存在する場合、センサ142は、顧客の手または紙幣2がセンサ142と対向する発光素子との間に存在しない場合と比較して、出力する電流量が減少する。したがって、センサ回路143は、センサ142から入力した電流量が所定の閾値より少ない場合、顧客の手または紙幣2が存在することを示す検出信号(ON)を出力し、センサ142から入力した電流量が所定の閾値以上である場合、顧客の手または紙幣2が存在しないことを示す検出信号(OFF)を出力する。
【0016】
特に、発光素子141−aとセンサ142−aとの対は、収受ユニット11の開口部の側面であり、かつ、収受ユニット11内に紙幣2が完全に挿入され、収受ユニット11内から顧客の手が抜き出されたときに通光となる位置に設置される。そのため、センサ142−aの検出信号(挿脱検出信号)のON/OFFにより、顧客の手の収受ユニット11への挿脱を検出することができる。すなわち、センサ142−aの検出信号がONである場合は、収受ユニット11内に顧客の手が存在していることが分かる。
また、発光素子141−cとセンサ142−cとの対は、収受ユニット11の底部の側面に設置される。そのため、センサ142−cの検出信号(媒体検出信号)のON/OFFにより、収受ユニット11内における紙幣2の有無を検出することができる。すなわち、センサ142−aの検出信号がONである場合は、収受ユニット11内に紙幣2が存在していることが分かる。
なお、発光素子141−bとセンサ142−bとの対は、発光素子141−aとセンサ142−aとの対と、発光素子141−cとセンサ142−cとの対との間に設置される。
【0017】
駆動回路144は、CPU145からモータ13の駆動速度を示す速度信号を入力し、入力した速度信号に基づいてモータ13に駆動信号を出力する。
CPU145は、センサ回路143から入力する検出信号の出力状態が変化するまでの時間に基づいて駆動回路144にモータ13の駆動速度を示す速度信号を出力する。
【0018】
メモリ146は、シャッタ制御装置14の起動後、二次記憶装置147から、センサ142の検出信号の出力状態が変化してから他のセンサ142の検出信号の出力状態が変化するまでの時間(以下、操作時間と呼ぶ)と前記モータの駆動速度との関係を格納する速度テーブル、及びCPU145を機能させるプログラムを読み出し、記憶する。また、メモリ146は、紙幣収受機1が現在実行している処理が、出金処理であるか、入金処理であるかを示す処理状態情報と、CPU145が計時した操作時間とを記憶する。
二次記憶装置147は、速度テーブルやプログラムを記憶しておき、シャッタ制御装置14の起動とともに当該情報をメモリ146に出力する。なお、二次記憶装置147として、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶媒体を用いると良い。
【0019】
図2は、速度テーブルに格納された情報を示す図である。
メモリ146、二次記憶装置147が記憶する速度テーブルは、図2に示すように、操作時間1〜3に関連付けて、シャッタ動作開始時間及びシャッタ動作速度を格納する。なお、操作時間1〜3は、センサ142の検出信号の出力状態が変化してから他のセンサ142の検出信号の出力状態が変化するまでの時間を示し、それぞれの操作時間は、紙幣収受機1が実行する処理によって決定される。
【0020】
具体的には、紙幣収受機1が、入金処理を行う場合において、操作時間1とは、センサ142−aの検出状態を示す検出信号がOFFからONに変化した時刻からセンサ142−bの検出信号がOFFからONに変化した時刻までの時間を示し、操作時間2とは、センサ142−bの検出信号がOFFからONに変化した時刻からセンサ142−cの検出信号がOFFからONに変化した時刻までの時間を示し、操作時間3とは、センサ142−cの検出信号がOFFからONに変化した時刻からセンサ142−aの検出信号がONからOFFに変化した時刻までの時間を示す。
【0021】
他方、紙幣収受機1が、出金処理を行う場合において、操作時間1とは、センサ142−aの検出状態を示す検出信号がOFFからONに変化した時刻からセンサ142−cの検出信号がONからOFFに変化した時刻までの時間を示し、操作時間2とは、センサ142−cの検出信号がONからOFFに変化した時刻からセンサ142−bの検出信号がONからOFFに変化した時刻までの時間を示し、操作時間3とは、センサ142−bの検出信号がONからOFFに変化した時刻からセンサ142−aの検出信号がONからOFFに変化した時刻までの時間を示す。
【0022】
また、図2によれば、操作時間1〜3が所定の時間(例えば、0.5秒)より長い(L)場合は、シャッタ動作開始時間を長時間(例えば、2.0秒)とし、シャッタ動作速度を低速(例えば、駆動信号を450パルス毎秒で出力)とする。他方、操作時間1〜3が所定の時間より短い(H)場合は、シャッタ動作開始時間を短時間(例えば、0.5秒)とし、シャッタ動作速度を高速(例えば、駆動信号を600パルス毎秒で出力)とする。
【0023】
そして、本実施形態によるシャッタ制御装置14において、センサ142−aは、収受ユニット11における手の挿脱を検出する検出信号を出力し、駆動回路144は、センサ142−aによる検出信号の出力時間が短いほど、シャッタ12を開閉するモータ13を速く動作させるよう、モータ13の駆動速度を制御する。
これにより、シャッタ制御装置14は、収受ユニット11内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させることができる。
【0024】
次に、本実施形態によるシャッタ制御装置14の動作を説明する。
顧客が紙幣収受機1の操作パネル(図示せず)を介して、紙幣収受機1に対して入金処理の実行を指示すると、紙幣収受機1の制御部(図示せず)は、シャッタ制御装置14のメモリ146が記憶する処理状態情報を、入金処理を示す情報に書き換える。他方、顧客が紙幣収受機1の操作パネル(図示せず)を介して、紙幣収受機1に対して出金処理の実行を指示すると、紙幣収受機1の制御部(図示せず)は、シャッタ制御装置14のメモリ146が記憶する処理状態情報を、出金処理を示す情報に書き換える。
そして、シャッタ制御装置14のCPU145は、メモリ146が記憶する処理状態情報を読み出し、入金処理時のシャッタ制御動作を実行するか、出金処理時のシャッタ制御動作を実行するかを決定する。
【0025】
[入金処理時]
まず、紙幣収受機1が入金処理を行う場合のシャッタ制御装置の動作を説明する。
図3は、入金処理時のシャッタ制御装置の動作を示すフローチャートである。
CPU145は、メモリ146が記憶する処理状態情報が入金処理を示すと判定すると、シャッタ12を開放させる(ステップS101)。具体的には、以下の処理により、シャッタ12を開放させる。まず、CPU145は、所定の駆動速度でシャッタ12を開放させるための速度信号を駆動回路144に出力する。次に、駆動回路144は、当該速度信号に基づいてモータ13に対し駆動信号を出力する。そして、当該駆動信号に含まれるパルス毎にモータ13が1ステップ角ずつ駆動し、シャッタ12を動作させる。
【0026】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS102)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS102:NO)、ステップS102に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS102:YES)、現在の時刻、すなわちセンサ142−aの検出信号がOFFからONに変化した時刻(以下、時刻1と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻1を内部メモリに記録する(ステップS103)。このとき、既に内部メモリに時刻1が記憶されている場合、CPU145は、新たに取得した時刻1を上書きして記録する。
【0027】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−bの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS104)。CPU145は、センサ142−bの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS104:NO)、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS105)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS105:YES)、顧客による入金動作の途中であると判定し、ステップS104に戻り、センサ142−bの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS105:NO)、顧客が入金動作を完了する前に紙幣2を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS102に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0028】
他方、ステップS104でCPU145が、センサ142−bの検出信号がONである判定した場合(ステップS104:YES)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−bの検出信号がOFFからONに変化した時刻(以下、時刻2と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻2を内部メモリに記録する(ステップS106)。このとき、既に内部メモリに時刻2が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻2を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻1と時刻2とを読み出し、時刻1と時刻2との差の時間を、上述した操作時間1として算出する(ステップS107)。算出した操作時間1は、メモリ146に記録する。
【0029】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−cの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS108)。CPU145は、センサ142−cの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS108:NO)、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS109)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS109:YES)、顧客による入金動作の途中であると判定し、ステップS108に戻り、センサ142−cの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS109:NO)、顧客が入金動作を完了する前に紙幣2を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS102に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0030】
他方、ステップS108でCPU145が、センサ142−cの検出信号がONである判定した場合(ステップS108:YES)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−cの検出信号がOFFからONに変化した時刻(以下、時刻3と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻3を内部メモリに記録する(ステップS110)。このとき、既に内部メモリに時刻3が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻3を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻2と時刻3とを読み出し、時刻2と時刻3との差の時間を、上述した操作時間2として算出する(ステップS111)。算出した操作時間2は、メモリ146に記録する。
【0031】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS112)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS112:YES)、顧客による入金動作の途中であると判定し、ステップS112に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を継続する。
【0032】
他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS112:NO)、センサ142−cの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS113)。CPU145は、センサ142−cの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS113:NO)、顧客が入金動作を完了する前に紙幣2を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS102に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0033】
他方、CPU145は、センサ142−cの検出信号がONであると判定した場合(ステップS113:YES)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−aの検出信号がONからOFFに変化した時刻(以下、時刻4と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻4を内部メモリに記録する(ステップS114)。このとき、既に内部メモリに時刻4が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻4を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻3と時刻4とを読み出し、時刻3と時刻4との差の時間を、上述した操作時間3として算出する(ステップS115)。算出した操作時間3は、メモリ146に記録する。
【0034】
次に、CPU145は、メモリ146が記憶する速度テーブルを読み出し、当該速度テーブルから、メモリ146に記憶された操作時間1〜3に関連付けられたシャッタ動作開始時間とシャッタ動作速度との組み合わせを読み出す(ステップS116)。
次に、CPU145は、読み出したシャッタ動作開始時間の計時を開始し、シャッタ動作開始時間の経過を待機する(ステップS117)。CPU145は、シャッタ動作開始時間が経過していないと判定した場合(ステップS117:NO)、ステップS117に戻り、シャッタ動作開始時間の経過の待機を継続する。
【0035】
他方、CPU145は、シャッタ動作開始時間が経過したと判定した場合(ステップS117:YES)、読み出したシャッタ動作速度でシャッタ12を閉鎖させる。具体的には、以下の処理により、シャッタ12を閉鎖させる。まず、CPU145は、読み出したシャッタ動作速度でシャッタ12を閉鎖させるための速度信号を駆動回路144に出力する。次に、駆動回路144は、当該速度信号に基づいてモータ13に対し駆動信号を出力する。そして、当該駆動信号に含まれるパルス毎にモータ13が1ステップ角ずつ駆動し、シャッタ12を動作させる。
このような処理により、シャッタ制御装置14は、収受ユニット11内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させることができる。
【0036】
図4は、入金処理時のシャッタ制御方法を示す第1のタイムチャートである。
図5は、入金処理時のシャッタ制御方法を示す第2のタイムチャートである。
顧客がすばやく入金動作を実行すると、図4に示すように、センサ142−a〜142−cの出力する検出信号が変化する間隔が短くなるため、操作時間1〜3は短時間となる。したがって、シャッタ動作開始時間は短くなり、シャッタ動作速度は速くなる。
他方、顧客がゆっくりと入金動作を実行すると、図5に示すように、センサ142−a〜142−cの出力する検出信号が変化する間隔が長くなるため、操作時間1〜3は長時間となる。したがって、シャッタ動作開始時間は長くなり、シャッタ動作速度は短くなる。
【0037】
[出金処理時]
次に、紙幣収受機1が出金処理を行う場合のシャッタ制御装置の動作を説明する。
図6は、出金処理時のシャッタ制御装置の動作を示すフローチャートである。
CPU145は、メモリ146が記憶する処理状態情報が出金処理を示すと判定すると、シャッタ12を開放させる(ステップS201)。
【0038】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS202)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS202:NO)、ステップS202に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS202:YES)、現在の時刻、すなわちセンサ142−aの検出信号がOFFからONに変化した時刻(以下、時刻5と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻5を内部メモリに記録する(ステップS203)。このとき、既に内部メモリに時刻5が記憶されている場合、CPU145は、新たに取得した時刻5を上書きして記録する。
【0039】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−cの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS204)。CPU145は、センサ142−cの検出信号がONであると判定した場合(ステップS204:YES)、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS205)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS205:YES)、顧客による出金動作の途中であると判定し、ステップS204に戻り、センサ142−cの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS205:NO)、顧客が紙幣2を収受ユニット11に残したまま手を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS202に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0040】
他方、ステップS204でCPU145が、センサ142−cの検出信号がOFFである判定した場合(ステップS204:NO)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−cの検出信号がONからOFFに変化した時刻(以下、時刻6と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻6を内部メモリに記録する(ステップS206)。このとき、既に内部メモリに時刻6が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻6を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻5と時刻6とを読み出し、時刻5と時刻6との差の時間を、上述した操作時間1として算出する(ステップS207)。算出した操作時間1は、メモリ146に記録する。
【0041】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−bの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS208)。CPU145は、センサ142−bの検出信号がONであると判定した場合(ステップS208:YES)、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS209)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS209:YES)、顧客による出金動作の途中であると判定し、ステップS208に戻り、センサ142−bの検出信号のON/OFFの判定を継続する。他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS209:NO)、顧客が紙幣2を収受ユニット11に残したまま手を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS202に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0042】
他方、ステップS208でCPU145が、センサ142−bの検出信号がOFFである判定した場合(ステップS208:NO)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−bの検出信号がONからOFFに変化した時刻(以下、時刻7と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻7を内部メモリに記録する(ステップS210)。このとき、既に内部メモリに時刻7が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻7を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻6と時刻7とを読み出し、時刻6と時刻7との差の時間を、上述した操作時間2として算出する(ステップS211)。算出した操作時間2は、メモリ146に記録する。
【0043】
次に、CPU145は、センサ回路143を介して出力される、センサ142−aの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS212)。CPU145は、センサ142−aの検出信号がONであると判定した場合(ステップS212:YES)、顧客による出金動作の途中であると判定し、ステップS212に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を継続する。
【0044】
他方、CPU145は、センサ142−aの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS212:NO)、センサ142−cの検出信号がONを示すか否かを判定する(ステップS213)。CPU145は、センサ142−cの検出信号がONであると判定した場合(ステップS213:YES)、顧客が紙幣2を収受ユニット11に残したまま手を収受ユニット11から取り出したと判定し、ステップS202に戻り、センサ142−aの検出信号のON/OFFの判定を実行する。
【0045】
他方、CPU145は、センサ142−cの検出信号がOFFであると判定した場合(ステップS213:NO)、CPU145は、現在の時刻、すなわちセンサ142−aの検出信号がONからOFFに変化した時刻(以下、時刻8と呼ぶ)をタイマ回路(図示せず)などから取得し、時刻8を内部メモリに記録する(ステップS214)。このとき、既に内部メモリに時刻8が記憶されている場合、CPU145は、新たな時刻8を上書きして記録する。
次に、CPU145は、内部メモリから時刻7と時刻8とを読み出し、時刻7と時刻8との差の時間を、上述した操作時間3として算出する(ステップS215)。算出した操作時間3は、メモリ146に記録する。
【0046】
次に、CPU145は、メモリ146が記憶する速度テーブルを読み出し、当該速度テーブルから、メモリ146に記憶された操作時間1〜3に関連付けられたシャッタ動作開始時間とシャッタ動作速度との組み合わせを読み出す(ステップS216)。
次に、CPU145は、読み出したシャッタ動作開始時間の計時を開始し、シャッタ動作開始時間の経過を待機する(ステップS217)。CPU145は、シャッタ動作開始時間が経過していないと判定した場合(ステップS217:NO)、ステップS217に戻り、シャッタ動作開始時間の経過の待機を継続する。
【0047】
他方、CPU145は、シャッタ動作開始時間が経過したと判定した場合(ステップS217:YES)、読み出したシャッタ動作速度でシャッタ12を閉鎖させる。
このような処理により、シャッタ制御装置14は、収受ユニット11内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させることができる。
【0048】
図7は、出金処理時のシャッタ制御方法を示す第1のタイムチャートである。
図8は、出金処理時のシャッタ制御方法を示す第2のタイムチャートである。
顧客がすばやく出金動作を実行すると、図7に示すように、センサ142−a〜142−cの出力する検出信号が変化する間隔が短くなるため、操作時間1〜3は短時間となる。したがって、シャッタ動作開始時間は短くなり、シャッタ動作速度は速くなる。
他方、顧客がゆっくりと入金動作を実行すると、図8に示すように、センサ142−a〜142−cの出力する検出信号が変化する間隔が長くなるため、操作時間1〜3は長時間となる。したがって、シャッタ動作開始時間は長くなり、シャッタ動作速度は短くなる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、シャッタ制御装置14のセンサ142−aは、収受ユニット11における手の挿脱を検出する検出信号を出力し、駆動回路144は、センサ142−aによる検出信号の出力時間が短いほど、シャッタ12を開閉するモータ13を速く動作させるよう、モータ13の駆動速度を制御する。これにより、シャッタ制御装置14は、収受ユニット11内への手の挿脱速度に応じた速度でシャッタを開閉させることができる。
【0050】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、CPU145が、メモリ146及び二次記憶装置147が記憶する速度テーブルに基づいてモータ13の駆動速度を決定する場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、紙幣収受機1の運用中に、顧客の操作方法の状態(例えば、画像、操作ログなど)を分析し、速度テーブルにフィードバックすることで、さらに操作性を高めるような構成を加えても良い。
【0051】
なお、本実施形態では、シャッタ制御装置14が、センサ142を3つ備える場合を例に説明したが、これに限られず、少なくとも収受ユニットにおける手の挿脱を検出するセンサ142(本実施形態ではセンサ142−a)を備えていれば、センサ142をいくつ備えていても良い。但し、入金処理時に顧客が紙幣を挿入しなかった場合や、出金処理時に顧客が紙幣を取り出さなかった場合などの例外処理を行う場合は、シャッタ制御装置14が、手の挿脱を検出するセンサ142のほかに、収受ユニット11内に紙幣2が存在するか否かを検出するセンサ142(本実施形態ではセンサ142−c)を備えている必要がある。
【0052】
また、本実施形態では、紙幣2の有無を検知するために、収受ユニット11の底部に光センサであるセンサ142−cを設置する場合を説明したが、これに限られず、例えば、センサ142−cとして、紙幣2の有無を検知する圧力センサなど、他のセンサを用いても良い。
【符号の説明】
【0053】
1…紙幣収受機 2…紙幣 11…収受ユニット 12…シャッタ 13…モータ 14…シャッタ制御装置 15…識別回路 16−a〜16−c…紙幣格納庫 141−a〜141−c…発光素子 142−a〜142−c、142…センサ 143…センサ回路 144…駆動回路 145…CPU 146…メモリ 147…二次記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置であって、
前記収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力する挿脱センサと、
前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御する速度制御部と、
を備えることを特徴とするシャッタ制御装置。
【請求項2】
前記収受ユニットを介して払い出しまたは受け入れを行う取引対象媒体の、前記収受ユニット内における有無を検出する媒体検出信号を出力する媒体検出センサを備え、
前記速度制御部は、前記媒体検出センサによる前記媒体検出信号の出力の有無に基づいて、前記シャッタによって前記開口部を閉鎖させるよう、前記モータの駆動速度を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のシャッタ制御装置。
【請求項3】
現在実行している処理が、前記取引対象媒体を収受ユニット内から払い出す処理であるか、前記取引対象媒体を収受ユニット内に受け入れる処理であるかを記憶する実行状態記憶部を備え、
前記速度制御部は、前記実行状態記憶部が前記取引対象媒体を払い出す処理を示し、かつ前記媒体検出センサが検出信号を出力している場合、または、前記実行状態記憶部が前記取引対象媒体を受け入れる処理を示し、かつ、前記媒体検出センサが検出信号を出力していない場合に、前記シャッタによって前記開口部を閉鎖させる
ことを特徴とする請求項2に記載のシャッタ制御装置。
【請求項4】
前記収受ユニット内には、前記挿脱センサを含む複数のセンサが配置され、
あるセンサの検出信号の出力状態が変化してから他のセンサの検出信号の出力状態が変化するまでの時間と前記モータの駆動速度とを関連付けて記憶する速度記憶部と、
あるセンサの検出信号の出力状態が変化してから他のセンサの検出信号の出力状態が変化するまでの時間を計時し、当該計時した時間に関連付けられた駆動速度を読み出す出力状態管理部と、
を備え、
前記速度制御部は、前記出力状態管理部が読み出した駆動速度で前記モータを制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のシャッタ制御装置。
【請求項5】
前記挿脱センサは、前記収受ユニットの開口部の側面に設置されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のシャッタ制御装置。
【請求項6】
前記速度制御部は、前記シャッタの動作速度、及び前記挿脱センサが検出信号の出力を終了してから前記シャッタを動作させるまでの時間の長さを制御することを特徴とする請求項1から請求項5に記載のシャッタ制御装置。
【請求項7】
収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置を用いたシャッタ制御方法であって、
挿脱センサは、前記収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力し、
速度制御部は、前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御する
ことを特徴とするシャッタ制御方法。
【請求項8】
収受ユニットにおける手の挿脱を検出する挿脱検出信号を出力する挿脱センサを備え、当該収受ユニットの開口部に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御装置を、
前記挿脱センサによる前記挿脱検出信号の出力時間が短いほど、前記シャッタを開閉するモータを速く動作させるよう、前記モータの駆動速度を制御する速度制御部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−118813(P2011−118813A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277553(P2009−277553)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】