説明

シャッタ装置

【課題】シャッタカーテンが閉じている状態において、シャッタカーテンの線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性を高めることができ、防犯性を向上させることができるシャッタ装置を提供する。
【解決手段】シャッタ装置は、スラット6を高さ方向に沿って複数個並設して形成されたシャッタカーテン1と、シャッタカーテン1の巻取り、巻き下ろしを行う巻取体2とを備える。シャッタカーテン1は、複数のスラット6と、各スラット6の端部に設けられスラット6の巻き上げおよび巻き下ろしを行う線状連結部材7とを備えている。シャッタカーテン1が閉じているとき、シャッタカーテン1の線状連結部材7およびスラット6のうちの少なくとも一方の剛性を高める剛性強化手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタカーテンを巻取体に巻取ったり、巻取体からシャッタカーテンを巻き下ろす方式をもつシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右方向に延設されたスラットを高さ方向に沿って複数個並設して形成されたシャッタカーテンと、巻取体とを備えるシャッタ装置が開示されている(特許文献1)。巻取体が一方向へ回転すると、シャッタカーテンが巻取体の外周部に巻き取られる。巻取体が逆方向へ回転すると、巻取体の外周部に巻き取られているシャッタカーテンが巻き下ろされる。このシャッタカーテンは、左右方向に延設され且つ高さ方向に隣設する複数のスラットと、各スラットの端部に設けられスラットの巻き上げおよび巻き下ろしを行うための可撓性をもつ線状連結部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したシャッタ装置においては、シャッタカーテンが閉じている状態において、シャッタカーテンの剛性を高めて、侵入者に対する防犯性を更に向上させることが要請されている。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、シャッタカーテンが閉じている状態において、シャッタカーテンの剛性を高めて、侵入者に対する防犯性を向上させることができるシャッタ装置を提供することを課題とするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様相1に係るシャッタ装置は、巻取り可能なシャッタカーテンと、一方向への回転に伴いシャッタカーテンを巻取り、逆方向への回転に伴いシャッタカーテンを巻き下ろす巻取体と、巻取体を回転させる駆動機構とを具備するシャッタ装置において、シャッタカーテンは、左右方向に延設され且つ高さ方向に沿って並設された複数のスラットと、各スラットに連結されスラットの巻き上げおよび巻き下ろしを行う線状連結部材とを具備しており、シャッタカーテンが閉じているとき、シャッタカーテンの線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性を高める剛性強化手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
剛性強化手段は、シャッタカーテンを構成する線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性を高める。従って剛性強化手段は、シャッタカーテンを構成する線状連結部材の剛性を高めても良いし、あるいは、スラットの剛性を高めても良い。この場合、シャッタカーテンが閉じている状態において、シャッタカーテンの線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性が高められる。これによりシャッタカーテンが強化され、侵入者に対する防犯性が向上する。
【0008】
様相2に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、線状連結部材は高さ方向に沿って伸縮可能とされており、剛性強化手段は、線状連結部材が伸張する伸張位置にあるとき線状連結部材の剛性を低め、且つ、線状連結部材が収縮する収縮位置にあるとき、伸張位置のときよりも線状連結部材の剛性を高める構造とされている。この場合、線状連結部材が伸張する伸張位置にあるとき、線状連結部材の剛性が低められ、線状連結部材の可撓性が高められている。この場合、線状連結部材を巻取体に巻き取り可能となる。これに対して、線状連結部材が収縮する収縮位置にあるとき、線状連結部材の剛性が高められる。この場合、シャッタカーテンが閉じているとき、侵入者に対する防犯性が向上する。線状連結部材が高い剛性をもつとき、スラット間の境界が高い剛性をもつ形態であることが好ましい。また、巻取体への巻取容易性を考慮すると、線状連結部材が低い剛性をもつとき、スラット間の境界が低い剛性をもつ形態であることが好ましい。
【0009】
様相3に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、線状連結部材は、スラットの端部に取り付けられた第1リンクと、隣設する第1リンクを回動可能に枢支する第2リンクと、第1リンクおよび第2リンクのうちの一方に設けられ高さ方向に延びる長孔と、第1リンクおよび第2リンクのうちの他方に設けられ長孔に長孔の長径方向に沿って移動可能に嵌合する嵌合体とを備えており、長孔の長径方向に沿って嵌合体が相対移動することにより、線状連結部材は伸縮可能に設定されている。この場合、長孔の長径方向に沿って嵌合体が相対移動することにより、線状連結部材は伸縮可能に設定されている。従って、線状連結部材の伸張位置(巻取体に巻き取り易くするため、線状連結部材の剛性を低くする状態)と、線状連結部材の収縮位置(防犯性を高めるために、線状連結部材の剛性を高くする状態)とに、線状連結部材を切り替えることができる。
【0010】
様相4に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じているとき、隣設する第1リンク同士の相対回動を制限する回動規制部を備えている。この場合、回動規制部は、隣設する第1リンク同士の相対回動を制限するため、線状連結部材の剛性が高まり、シャッタカーテンが閉じているときおける防犯性が高まる。
【0011】
様相5に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、回動規制部は線状連結部材の第1リンクまたは第2リンクに設けられている。これによりシャッタカーテンが閉じているとき、第1リンクの回動が制限され、線状連結部材の剛性が高まる。これによりシャッタカーテンが閉じているときおける防犯性が更に高まる。
【0012】
様相6に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、巻取体または駆動機構は、巻取体の回動を制動するブレーキ部をもつ。これによりシャッタカーテンが閉じているとき、線状連結部材を高剛性化すれば、シャッタカーテンの開放が更に制限される。
【0013】
様相7に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、(i)線状連結部材は、
巻取体に巻き取り可能に設けられていると共に、巻取体に接続された接続部をもち、(ii)巻取体の回転中心を水平方向に通る仮想水平線を設定すると、シャッタカーテンが閉じ状態のとき、線状連結部材のうち巻取体に対して離脱する起点となる起点部位は、仮想水平線にまたは仮想水平線よりも下方に配置されている。起点部位は、線状連結部材のうち巻取体に対して離脱する起点となる。起点部位は、仮想水平線にまたは仮想水平線よりも下方に配置されている。このため、シャッタカーテンが閉じているときにおいて、線状連結部材のうち接続部側の部分が仮想水平線よりも上方に位置することが抑えられる。即ち、線状連結部材が接続部まで含めて収縮位置となり、線状連結部材の剛性が高く維持される。これにより線状連結部材の伸張が抑制される。このように線状連結部材の伸張が抑制されると、線状連結部材の剛性が高く維持される。なお、シャッタカーテンの閉じ状態とは、全閉じ状態の他に、疑似全閉じ状態、半閉じ状態を含む。
【0014】
様相8に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、スラットは、上側に隣設するスラットと嵌合する上側嵌合部と、下側に隣設するスラットと嵌合する下側嵌合部とを備えており、シャッタカーテンが閉じている状態のとき、上側嵌合部と下側嵌合部とが嵌合している。この場合、シャッタカーテンが閉じているとき、スラットの上側嵌合部とスラットの下側嵌合部とが嵌合するため、シャッタカーテンの剛性が高まる。故に、スラット間にバール等の異物が侵入しにくくなる。
【0015】
様相9に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、線状連結部材が伸張する伸張位置にあるときには、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部とを相対回動可能に支持する構造に設定され、且つ、線状連結部材が収縮する収縮位置にあるときには、上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動を制限する構造に設定されている。この場合、線状連結部材が収縮する収縮位置にあるときには、伸張位置にあるときよりも、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動が制限される。この場合、線状連結部材が伸張する伸張位置にあるときには、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部とを相対回動可能となるため、スラット間の境界が可撓性をもち、スラットを巻取体に巻き取り易くなる。これに対して、線状連結部材が収縮する収縮位置にあるときには、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部とを相対回動が収縮位置の場合よりも制限されるため、スラットの剛性が高くなり、防犯性が高まる。
【0016】
様相10に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じている状態において、上側嵌合部と下側嵌合部との境界に室外側から異物が進入するとき、上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動を拘束する嵌合部回動拘束部をもつ。従って、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動が嵌合部回動拘束部により抑制されている。このため、スラット間の境界が高剛性化される。従って、侵入者がバール等の異物でスラットの上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けようとしても、上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動が抑制されているため、こじ開けが制限される。なお、スラットを巻取体に巻き付けるときには、嵌合部回動拘束部は、上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動を許容することが好ましい。
【0017】
様相11に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、嵌合部回動拘束部は、上側嵌合部および下側嵌合部のうちの一方に設けられたストッパ部と、上側嵌合部および下側嵌合部のうちの他方に設けられストッパ部が当接可能な被ストッパ部とをもつ。この場合、上側嵌合部および下側嵌合部が相対回動しようとすると、ストッパ部と被ストッパ部とが当たるため、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部との相対回動が抑制されている。このため、スラット間の境界が高剛性化される。従って、侵入者が段差を利用してバール等の異物で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けることが抑制されている。
【0018】
様相12に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部および下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、室外側において上側嵌合部と下側嵌合部との間の境界における段差を抑える段差抑制構造を備えている。仮に、段差が発生していると、侵入者は、段差を利用してバール等の異物で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けるおそれがある。そこで本様相によれば、上側嵌合部および下側嵌合部が互いに嵌合しつつも、室外側において上側嵌合部と下側嵌合部との間の境界における段差が抑えられている。従って、侵入者が段差を利用してバール等で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けようとする場合、異物の先端部が境界に侵入することが抑制されている。この場合、例えば、段差としては、3ミリメートル以下、2ミリメートル以下に設定できるが、1ミリメートル以下、実質的に0が好ましい。
【0019】
様相13に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部および下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、上側嵌合部の室外側の表出面と下側嵌合部の室外側の表出面とがフラットとされている構造を備えている。仮に、室外側の表出面がフラットではないときには、侵入者がバール等の異物で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けようとする場合、段差を支点としててこの原理で大きなこじ開けが得られるおそれがある。そこで本様相によれば、上側嵌合部および下側嵌合部が互いに嵌合しつつも、室外側において上側嵌合部の室外側の表出面と下側嵌合部の室外側の表出面とがフラットとされている。従って、侵入者が段差を利用してバール等で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けることが抑制されている。この場合、例えば、フラットでなくなる段差としては、3ミリメートル以下、2ミリメートル以下に設定できるが、1ミリメートル以下、実質的に0が好ましい。
【0020】
様相14に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部および下側嵌合部のうちのいずれか一方は、室外側において係合壁体をもち、上側嵌合部および下側嵌合部のうちのいずれか他方は、室外側において当該一方の係合壁体をフラット状態に係合する凹状部を備えている。この場合、室外側において、係合壁体が凹状部にフラット状態に係合する。この結果、上側嵌合部の室外側の表出面と下側嵌合部の室外側の表出面とがフラット状態とされる。この場合、侵入者が段差を利用してバール等で、上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けることが抑制されている。
【0021】
様相15に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部および下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、室外側において上側嵌合部と下側嵌合部との間の境界における隙間を抑える隙間抑制構造に設定されている。この場合、室外側において上側嵌合部と下側嵌合部との間の境界における隙間が抑えられている。従って、侵入者が段差を利用してバール等の異物で上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けようとした場合、仮に、異物の先端部を嵌合部間に進入させることができたとしても、異物がそれ以上侵入することが抑制されている。シャッタカーテンが全閉じであるとき、隙間の隙間幅は少ないほど好ましい。例えば、4ミリメートル以下、3ミリメートル以下、2ミリメートル以下、1ミリメートル以下が好ましい。
【0022】
様相16に係るシャッタ装置によれば、上記した様相において、剛性強化手段は、シャッタカーテンが閉じている状態において、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部との嵌合部分において鉛直方向に沿って延設された直立障壁をもつ。侵入者が段差を利用してバール等で、スラットの上側嵌合部と下側嵌合部との境界をこじ開けるようとしても、バール等の異物の侵入は、直立障壁により防止される。なお、侵入防止性を高めるためには、直立障壁は、鉛直方向に対して平行であることが好ましいが、場合によっては、鉛直方向に対してプラスマイマス20度程度の範囲内で傾斜していても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シャッタカーテンが閉じているとき、シャッタカーテンの線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性を高める剛性強化手段が設けられている。このため、シャッタカーテンが閉じている状態において、シャッタカーテンの線状連結部材およびスラットのうちの少なくとも一方の剛性が高められる。これにより侵入者に対する防犯性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】シャッタ装置の正面図である。
【図2】図1のII−II線の矢視図である。
【図3】図1のIII−III線の矢視図である。
【図4】(A)は線状連結部材が収縮位置にある状態を示す側面図であり、(B)は線状連結部材が伸張位置にある状態を示す側面図であり、(C)は線状連結部材が伸張位置にある状態において弧状に撓んでいる状態を示す側面図である。
【図5】(A)はシャッタカーテンが全閉じ状態のとき、侵入しようとする異物に対向しているスラットを示す断面図であり、(B)はシャッタカーテンが全閉じ状態のときにおけるスラットを示す断面図であり、(C)はスラットの上側嵌合部と下側嵌合部とが嵌合していない状態を示す断面図である。
【図6】シャッタカーテンが全閉じ状態のときにおけるスラットを示す拡大断面図である。
【図7】シャッタカーテンが全閉じ状態のとき、侵入しようとする異物に対向しているスラットを示す拡大断面図である。
【図8】スラット回動機構を示す構成図である。
【図9】スラット回動機構のカムによりスラットが横向きとされている状態を示す構成図である。
【図10】図8のX−X線の矢視図であり、スラットの被案内ピンが副案内通路に沿って移動する状態を示す構成図である。
【図11】他の実施形態に係り、線状連結部材の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して具体的に説明する。複雑化を避けるため、ハッチングを省略している。図1は、建築物等の構造物に据え付けられるシャッタ装置の正面図を模式的に示す。シャッタ装置は、スラット6を高さ方向に沿って複数個並設して形成されたシャッタカーテン1と、シャッタカーテン1を巻き取る巻取体2と、巻取体2を回転させる駆動機構の主要素であるモータ3と、巻取体2を回転可能に保持する横フレーム4と、シャッタカーテン1の両側の側方に設けられた2個の縦支柱5とを備えている。モータ3を制御するスイッチ(図示せず)が設けられている。回転中心2xを中心として巻取体2がモータ3により一方向へ回転すると、シャッタカーテン1は巻取体2に巻取られ、モータ3により巻取体2が逆方向へ回転すると、巻取体2からシャッタカーテン1が巻き下される。縦支柱5は、シャッタカーテン1の端部の昇降を案内する。スラット6は、2個の縦支柱5間において、左右方向(L方向)に沿って延設されている。図1はあくまでも模式図であり、スラット6の数は図1に限定されるものではない。巻取体2または駆動機構には、巻取体2の回動を不能とするブレーキ部20が設けられている。
【0026】
図1に示すように、シャッタカーテン1の左右両側には、チェーン状の線状連結部材7がそれぞれ設けられている。線状連結部材7は、シャッタ装置の高さ方向(矢印H方向)に隣設する各スラット6の端部同士を連結すると共に、高さ方向(矢印H方向)に沿って伸縮可能とされている。図2に示すように、縦支柱5には、線状連結部材7が昇降方向に移動する主案内通路50と、主案内通路50を形成する主レール部51とが設けられている。主案内通路50および主レール部51は高さ方向(矢印H方向)に沿って延設されている。主レール部51の上部は案内用の拡開部51pをもつ。線状連結部材7は、主案内通路50内を主レール部51に沿って高さ方向(矢印H方向)に移動できる。
【0027】
図2は図1のII−II線に沿った矢視図を示し、主として線状連結部材7を示す。図3は図1のIII−III線に沿った矢視図を示し、主としてスラット6を示す。図2に示すように、線状連結部材7は、縦長形状をもつ第1リンク71と、高さ方向に隣設する第1リンク71を回動可能に枢支する縦長形状をもつ第2リンク72と、第1リンク71の上端部および下端部にそれぞれ設けられ高さ方向(矢印H方向)に延びる長孔73と、第2リンク72に設けられた突起状の嵌合ピン74(嵌合体)とをもつ。線状連結部材7の上端部7uは、接続部としての第1ボルト75および第2ボルト76により巻取体2の外周面2pに接続されている。第1ボルト75は下側に位置し、第2ボルト76は第1ボルト75よりも上側に位置する。線状連結部材7のうち第1ボルト75よりも下方の部位は、線状連結部材7のうち巻取体2の外周面2pに対して離脱方向(矢印HB方向)に離脱することができる。線状連結部材7のうち第1ボルト75の直下の部位は、線状連結部材7のうち巻取体2の外周面2pに対して離脱方向(図2に示す矢印HB方向)に離脱させる起点となる起点部位77に相当する。従って、巻取体2が巻き下ろし方向(矢印A2方向)に回動すると、線状連結部材7のうち起点部位77よりも下方の部位は、巻取体2の外周面2pに対して離脱できる。なお、線状連結部材7のうち第1ボルト75と第2ボルト76との中間部位7mは、巻取体2の外周面2pに対して離脱することができない。第1リンク71は、スラット6の左右方向における端部に一体的にスラット6に対して枢支ピン6w(連結要素)により回動可能に連結されている。従って第1リンク71に対してスラット6は枢支ピン6wを回転中心として回動可能とされている。
【0028】
図2において、モータ3により巻取体2がこれの回転中心2xの回りで巻取方向(矢印A1方向)に回動すると、線状連結部材7は上方(矢印H1方向)に移動し、巻取体2の外周面2pに次第に巻き取られる。これに対してモータ3が逆動して巻取体2がこれの回転中心2xの回りで巻下ろし方向(矢印A2方向)に回動すると、線状連結部材7は下方向(矢印H2方向)に移動し、巻取体2の外周面2pから巻き下ろされる。図4は線状連結部材7の作用を示す。図4に示すように、嵌合ピン74は、長径および短径をもつ長孔73に嵌合している。嵌合ピン74は、長孔73において、長孔73の長径方向(矢印B方向)に沿って移動可能とされている。ここで、図4(B)に示すように、第1リンク71に矢印B1方向(上向き)に引張力が作用すると、第1リンク71が長孔73の長径方向の一方(矢印B1方向)に向けて相対移動し、嵌合ピン74が相対移動して長孔73の一端側73aに位置することになる。この結果、図4(B)に示すように、第1リンク71の端71c同士が離間するため、線状連結部材7は高さ方向(矢印H方向)に伸張され、線状連結部材7は伸張位置とされる。このように線状連結部材7が伸張されているときには、図4(C)に示すように、第1リンク71同士は矢印R1方向に撓むことができ、線状連結部材7は巻取体2の外周面2pに巻き取り可能となる。これに対して、図4(A)に示すように、矢印B2方向(下向き)の押込力が第1リンク71に作用すると、第1リンク71が長孔73の長径方向の他方(矢印B2方向)に向けて相対移動する。この結果、嵌合ピン74が相対移動して長孔73の他端73c側に移動する。すると図4(A)に示すように、第1リンク71の端71c同士が接近するため、線状連結部材7はその長さ方向に収縮され、線状連結部材7は収縮位置に切り替えられる。
【0029】
図4(A)(B)(C)に示すように、線状連結部材7の第2リンク72には、プレート状の回動規制部78が折曲により一体的に設けられている。回動規制部78は、隣設するスラット6間に配置されている。回動規制部78は、線状連結部材7のうち室外12側というよりも、室内10側に配置されている。図4(A)は、シャッタカーテン1が閉じているとき、つまり、線状連結部材7が高さ方向(矢印H方向)に収縮されて収縮位置とされている状態を示す。このように収縮位置では、図4(A)に示すように、第1リンク71の部位71xと回動規制部78との間隔がΔL1となり、第1リンク71の部位71xが回動規制部78に接近している。このため、隣設する第1リンク71同士が嵌合ピン74を回転中心として矢印R1方向に相対回動しようとしても、第1リンク71の部位71xが回動規制部78に直ちに当接する。このため、一方向(矢印R1方向)への第1リンク71同士の相対回動は制限されている。同様に、隣設する第1リンク71同士が嵌合ピン74を回転中心として他方向(矢印R2方向)に相対回動しようとしても、図4(A)から理解できるように、第1リンク71の端71cが回動規制部78に直ちに当接する。この結果、シャッタカーテン1が閉じているとき、回動規制部78は、互いに隣設する第1リンク71同士の相対回動を制限する。例えば、第1リンク71同士は例えば3〜5度程度しか矢印R1,R2方向に相対回動できない。従って、シャッタカーテン1が閉じているとき、線状連結部材7は高剛性状態(収縮位置)に切り替えられており、線状連結部材7の剛性が回動規制部78により高まり、ひいてはシャッタカーテン1の剛性が高まる。従って、回動規制部78をもつ第2リンク72は、剛性強化手段として機能できる。ここで、シャッタカーテン1が全閉じのときには、巻取体2がブレーキ部20により回転不能に拘束されている。この場合、侵入者がシャッタカーテン1を持ち上げようとしても、線状連結部材7は高剛性化され、撓むことが抑えられているため、シャッタカーテン1の持ち上げが抑えられ、防犯性が高まる。
【0030】
図4(B)は、線状連結部材7が高さ方向(矢印H方向)に伸張されて伸張位置に設定されている状態を示す。このときには、図4(B)に示すように、第1リンク71の部位71xが回動規制部78からΔL2(ΔL2>ΔL1)離間している。このため、隣設する第1リンク71同士が嵌合ピン74を回転中心として矢印R1方向に相対回動しようとすると、第1リンク71の部位71xが回動規制部78に当接するまで、第1リンク71は矢印R1方向に相対回動することができる。従って、第1リンク71同士を例えば回動角度60度程度まで回動でき、線状連結部材7の可撓性を確保することができる。この結果、シャッタカーテン1を巻取体2の外周面2pに容易に巻き取ることができる。ここで、シャッタカーテン1を巻取体2に巻き取りときには、巻取体2が巻取方向(図2の矢印A1方向)に回転するため、線状連結部材7の第1リンク71は上向き(矢印B1方向)に引張られ、結果として線状連結部材7は伸張される。このような伸張位置では、線状連結部材7の剛性が低下し、線状連結部材7は高い可撓性をもつ。ひいてはシャッタカーテン1の剛性が低下し、可撓性が高まる。従って、シャッタカーテン1を良好に巻取体2の外周面2pに巻き取ることができる(図4(C)参照)。
【0031】
図2において、巻取体2の回転中心を水平方向に通る仮想水平線HAを設定する。前記したように、起点部位77は、線状連結部材7のうち巻取体2の外周面2pに対して離脱する起点となる。ここで、シャッタカーテン1が全閉状態または疑似全閉状態のときには、図2に示すように、起点部位77は、仮想水平線HAにまたは仮想水平線HAよりも下方に配置されるように設定されている。即ち、線状連結部材7の起点部位77、つまり、第1ボルト75の直下の部位は、巻取体2の回転中心2xを水平方向に通る仮想水平線HAにまたは仮想水平線HAよりも下方に配置されるように、第1リンク71の個数が設定されている。このような本実施形態によれば、図2に示すように、シャッタカーテン1が全閉状態または疑似全閉状態となるときには、起点部位77は、仮想水平線HAよりも上方に配置されることが防止される。この結果、線状連結部材7の最上部の第1リンク71が巻取体2の外周面2pに配置されることがなくなる。このため、シャッタカーテン1が全閉状態または疑似全閉状態となるときには、線状連結部材7は収縮状態となるため、線状連結部材7の剛性が高まり、巻取体2が線状連結部材7の最上部の第1リンク71を持ち上げることが防止される。この結果、線状連結部材7を下方に作用させる押込方向の力FAを線状連結部材7に作用させることができる。更に、シャッタカーテン1が閉じているときには、線状連結部材7の第1リンク71および第2リンク72が互いに接近するように、線状連結部材7には下向きの重力が作用する。この結果、線状連結部材7が伸張位置(可撓性状態)になることが防止される。従って、シャッタカーテン1が全閉状態または疑似全閉状態となるときには、線状連結部材7の第1リンク71同士を接近させ、線状連結部材7をこれの収縮位置(高剛性状態,図4(A)参照)に容易に設定することができる。このように線状連結部材7がこれの収縮位置に設定されているときには、前述したように、線状連結部材7は高剛性化しており、ひいてはシャッタカーテン1の剛性が高められ、侵入者に対する防犯性が高められている。ここで、シャッタカーテン1が全閉状態または疑似全閉状態のときには、ブレーキ部20により巻取体2は非回転状態に拘束されている。このため、仮に侵入者がシャッタカーテン1を上方に持ち上げて開放させようとしても、シャッタカーテン1は持ち上がらず、つまりシャッタカーテン1は開放せず、防犯性が高められている。
【0032】
次に、図5〜図7を参照してスラット6について説明を加える。図5に示すように、スラット6の上側には、凸状の上側嵌合部60が形成されている。スラット6の下側には、凹状の下側嵌合部61が形成されている。上側嵌合部60は、上側に隣設するスラット6の下側嵌合部61に対して嵌合可能および離脱可能とされている。下側嵌合部61は、下側に隣設するスラット6の上側嵌合部60に対して嵌合可能および離脱可能とされている。
【0033】
図5(C)は、シャッタカーテン1が開放または閉鎖方向に移動するときにおけるスラット6の嵌合状態を示す。シャッタカーテン1が開放または閉鎖方向に移動するときには、上記したように線状連結部材7は伸張状態(可撓状態)にされており、線状連結部材7の第1リンク71同士の離間距離は大きめとされている。このため第1リンク71に接続されているスラット6同士の高さ方向(矢印H方向)における離間距離も大きめとされている。この結果、シャッタカーテン1が開放または閉鎖方向に移動するときには、図5(C)に示すように、スラット6の下側嵌合部61と上側嵌合部60とは隣設するものの、嵌合していないか、あるいは、嵌合度がかなり低い。この場合、互いに隣設するスラット6同士は矢印R3方向に相対回動することができるため、スラット6を巻取体2の外周面2pに巻き取ることができる。
【0034】
これに対して、図5(A)および図5(B)は、シャッタカーテン1が全閉じのときにおけるスラット6を示す。シャッタカーテン1が全閉じ状態であるときには、上記したように線状連結部材7は収縮状態(高剛性状態)にされており、線状連結部材7の第1リンク71同士の離間距離は少な目とされている。従って、第1リンク71に接続されているスラット6同士が互いに接近する。従って、図5(A)および図5(B)に示すように、高さ方向(矢印H方向)におい互いに隣設するスラット6の上側嵌合部60とが下側嵌合部61と互いに嵌合し、スラット6同士の嵌合量が増加する。このため、隣設するスラット6同士が矢印R3,R4方向へ相対回動することが阻止される。この結果、隣設するスラット6の境界における剛性が高まる。ひいてはシャッタカーテン1の剛性が高まる。換言すると、線状連結部材7が伸張している伸張位置にあるときには、線状連結部材7は低い剛性をもち、可撓性を有するため、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61とが相対回動可能となるように、線状連結部材7はシャッタカーテン1を設定することができる。これに対して線状連結部材7が収縮している収縮位置にあるときには、線状連結部材7は高い剛性をもち、従って、互いに隣設するスラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との相対回動が制限されるように、線状連結部材7はシャッタカーテン1を設定することができる。故に、シャッタカーテン1が閉じているとき(図5(A)(B)参照)、スラット6の上側嵌合部60とスラット6の下側嵌合部61とが嵌合するため、シャッタカーテン1の剛性が高まり、防犯性が高められている。更に本実施形態によれば、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態において、高さ方向(矢印H方向)において互いに隣設するスラット6間の境界63に対する防犯性が高められている。即ち、高さ方向において互いに隣設するスラット6間の段差を抑える段差抑制構造が設定されている。
【0035】
図5(C)に示すように、シャッタカーテン1のスラット6が昇降している途中においては、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界では、段差が形成されている。しかしシャッタカーテン1が閉じているときには、段差抑制構造が採用されている。即ち、図5(B)に示すように、スラット6の上側嵌合部60および下側嵌合部61が互いに嵌合しつつも、室外12側において上側嵌合部60と下側嵌合部61との間の境界63における段差が抑えられている。具体的には、段差は2ミリメートル以下、1ミリメートル以下、殊に実質的に0とされていることが好ましい。ここで、仮に、段差が発生していると、侵入者は、段差を利用してバール等の異物100をてことして使用して、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63を無理やりこじ開けるおそれがある。そこで本実施形態によれば、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態(全閉じ状態)において、図5(B)に示すように、スラット6の上側嵌合部60および下側嵌合部61が互いに嵌合しつつも、室外12側において、上側嵌合部60と下側嵌合部61との間の境界63における段差が抑えられている。従って、侵入者が段差を利用してバール等の異物100で上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63をこじ開けることが抑制されており、防犯性が優れている。
【0036】
換言すると、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態において、図5(B)および図6に示すように、スラット6の下側嵌合部61には、室外12側において係合壁体64が下向きに延設されている。スラット6の上側嵌合部60には、室外12側において凹状部65が上向きに延設されている。ここで図6に示すように、凹状部65の溝深さh1と係合壁体64の厚みt1とは、実質的に同じ値に設定されている。この結果、スラット6の上側嵌合部60および下側嵌合部61が嵌合しているとき、係合壁体64と凹状部65とがフラット状態に係合している。即ち、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態(閉じ状態)において、上側嵌合部60の室外12側の表出面60aと、下側嵌合部61の室外12側の表出面61aとの境界63がフラットとされている。従って、侵入者が段差を利用してバール等の異物100で上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63をこじ開けることが抑制されており、侵入者に対する防犯性が高められている。
【0037】
更に本実施形態によれば、隣設するスラット6間の境界63の隙間幅を抑制する隙間抑制構造が設定されている。即ち、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態(全閉じ状態)において、図5(B)および図6に示すように、スラット6の上側嵌合部60および下側嵌合部61が互いに嵌合しつつも、室外12側において上側嵌合部60と下側嵌合部61との間の境界63における隙間の隙間幅は、1.5ミリメートル以下、1ミリメートル以下に、殊に実質的にゼロとなるように抑えられている。換言すると、侵入者が存在する室外12側において、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との間の境界63における隙間が抑えられている。従って、侵入者が隙間を利用してバール等の異物100で上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63をこじ開けることが抑制されており、侵入者に対する防犯性が更に高められている。
【0038】
万一、係合壁体64の先端部64cと凹状部65の基端部65cとの間に微小な隙間が侵入行為により形成されたとしても、係合壁体64の厚みt1は薄いため(例えば3ミリメートル以下、2ミリメートル以下)、係合壁体64の先端部64cにバール等の異物100の先端が引っかかりことが抑制される。この意味においても防犯性が更に高められている。また、万一、バール等の異物100により、係合壁体64の先端部64cと凹状部65の基端部65cとの間に微小隙間が侵入行為により形成されたとしても、本実施形態によれば、図5(B)および図7に示すように、スラット6の上側嵌合部60のうち室外12側には、直立障壁66が形成されている。シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態(全閉じ状態)において、直立障壁66は、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との嵌合部分において、鉛直方向(矢印P方向)に沿って延設されている。直立障壁66は係合壁体64の内側に位置しており、係合壁体64により覆われている。この結果、万一、侵入者がバール等の異物100で、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63をこじ開けたとしても、図5(B)および図6に示すように、直立障壁66は、バール等の異物100の侵入に対して障壁となる。故に、バール等の侵入は、スラット6の直立障壁66により防止される。
【0039】
更に本実施形態によれば、防犯の万全を図るため、嵌合部回動拘束部67がスラット6に設けられている。嵌合部回動拘束部67は、シャッタカーテン1が巻き下ろされている状態(閉じ状態)において、互いに隣設するスラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との相対回動を拘束する機能をもつ。嵌合部回動拘束部67は、スラット6の上側嵌合部60に設けられたフック爪状のストッパ部68と、下側嵌合部61においてストッパ部68に当接可能に設けられフック爪状の被ストッパ部69とをもつ。シャッタカーテン1が閉じられているとき、ストッパ部68および被ストッパ部69は、境界63の上方に位置している。
【0040】
シャッタカーテン1が閉じられている状態では、図6に示すように、ストッパ部68と被ストッパ部69とは互いに非接触状態である。これに対して、シャッタカーテン1が全閉じ状態のときにおいて、室外12側からバール等の異物100が上側嵌合部60と下側嵌合部61との境界63を侵入方向(矢印X1方向)に過剰に加圧しようとするときには、図7に示すように、室内10側のストッパ部68が室内10側の被ストッパ部69に当接して係合する。このため、スラット6の上側嵌合部60と下側嵌合部61との矢印R4方向へのこれ以上の相対回動が抑えられる。従って、スラット6の嵌合部分における剛性が更に高められている。すなわち、隣設するスラット6の境界63における剛性が高められている。この意味においてもシャッタカーテン1の剛性が高められている。
【0041】
なお、スラット6を巻取体2に巻き付けるとき等のようにスラット6が高さ方向(矢印H方向)に移動している途中では、図5(C)に示すように、ストッパ部68と被ストッパ部69とは互いに離脱して非接触状態とされており、隣設するスラット6は相対回動可能とされている。即ち、嵌合部回動拘束部67は、上側嵌合部60と下側嵌合部61との相対回動を許容する。
【0042】
図8および図9に示すように、スラット回動機構8が縦支柱5に取り付けられている。縦支柱5は、高さ方向(矢印H方向)に沿って延設された主案内通路50および主レール部51をもつ他に、副案内通路53と、副案内通路53を形成する副レール部54とをもつ。副案内通路53は主案内通路50と平行に高さ方向(矢印H方向)に沿って並設されている。主レール部51と副レール部54とを繋ぐように、案内部55が縦支柱5に取り付けられている。案内部55は副レール部54に繋がる。副案内通路53と主案内通路50とは連通路53x(図10参照)により連通されている。
【0043】
シャッタカーテン1が巻き下ろされている途中では、図5(C)に示すように、上側嵌合部60と下側嵌合部61との嵌合量は低下していると共に、ストッパ部68と被ストッパ部69は離脱して非接触状態とされており、スラット6同士は相対回動可能とされている。ここで、捻りコイルバネで形成された閉鎖バネ89(図8参照)が各スラット6に設けられている。この閉鎖バネ89の付勢力により、スラット6は常時、閉鎖するように付勢されている。上記したスラット回動機構8は、シャッタカーテン1を構成するスラット6を通風可能となる方向に回動させる機能をもつ。以下、スラット回動機構8について説明を加える。図8に示すように、スラット6の端部6fには、第1リンク71と共に、回動リンク57(スラット6を横向きに回動させるための回動体)が設けられている。回動リンク57は、スラット6と一体回動するようにスラット6の端部6fに枢支ピン6wにより一体的に取り付けられている。回動リンク57には、被案内子として機能する被案内ピン59が横向きに突出されている。被案内ピン59は転動可能でも、非転動構造でも良い。ここで、巻取体2にシャッタカーテン1が巻き取られている状態において、モータ3が一方向(巻下ろし方向)に駆動すると、巻取体2が巻き下ろし方向に回動し、巻取体2に巻かれているシャッタカーテン1が下方向(矢印H2方向)に向けて巻き下ろされる。ここで、被案内ピン59が主案内通路50に進入しようとするとき、被案内ピン59が通過する通過位置KA(図8参照)が縦支柱5に設けられている。
【0044】
スラット回動機構8は、カム案内面81(案内面)をもつ作動体としてのカム80と、カム80を作動させるアクチェエータ85とを備えている。カム80は、アクチェエータ85は電磁ソレノイドで形成されているが、モータ機構、空気圧シリンダを利用して形成しても良い。図8に示すように、カム80は、カムピン88を回動中心として退避方向(矢印E2方向),突出方向(矢印E3方向)に回動できる。アクチェエータ85の取り付けられている駆動ロッド86には、連結ピン86eおよびカムリターンバネ87を介してカム80が連結されている。カムリターンバネ87により、常時、カム80は退避方向(矢印E2方向)に付勢されているため、通常の状態では、カム80は退避位置MAに待機している。
【0045】
上記したカム80が退避位置MAに退避している場合において、巻取体2に巻かれているシャッタカーテン1が下方向(矢印H2方向)に巻き下ろされるときには、スラット6の被案内ピン59は、カム80のカム案内面81に当接せず、主案内通路50に沿って下方向(矢印H2方向)に移動する。この結果、スラット6は縦向き状態、つまり閉じた状態で下方向(矢印H2方向)に移動する。閉鎖バネ89により各スラット6は、常に閉鎖する方向(通気開口6eを形成しない方向)に付勢されているためである。従って、シャッタカーテン1が閉じたとき、全てのスラット6は縦向きで閉じた状態とされる。
【0046】
これに対して、シャッタカーテン1の通風性等を確保する場合には、巻取体2に巻かれているシャッタカーテン1が下方向(矢印H2方向)に巻き下ろされるときに、使用者はスイッチを操作して、アクチェエータ85をオン作動させる。すると、アクチュエータ85により駆動ロッド86が駆動方向(図8の矢印E1方向)に移動するため、カムリターンバネ87に抗してカム80がカムピン88を回動中心として突出方向(図8の矢印E3方向)回動し、カム80のカム案内面81が通過位置KAに突出する。この状態において、スラット6の被案内ピン59が下降して通過位置KAを通過するとき、図9から理解できるように、被案内ピン59は、カム80のカム案内面81に沿って主案内通路50から副案内通路53に横方向(図9の矢印S1方向)に案内される。この結果、回動リンク57は、通風方向(図9の矢印F1方向)に、スラット6と共に枢支ピン6wを回転中心として回動する。この結果、スラット6が横向きとなり、スラット6間に通気開口6e(図9参照)が形成される。そして、被案内ピン59は下降しつつ副案内通路53を通過し、縦支柱5の副レール部54に沿って下方(矢印H2方向)に移動する。このためスラット6は、通風可能位置つまり横向きとされた状態で下方(矢印H2方向)に移動する。この結果、シャッタカーテン1が全閉とされている状態であっても、シャッタカーテン1の上部側のスラット6は、通風可能位置つまり横向きとなる。故に、視認開口を兼ねる通気開口6eが形成される。
【0047】
ところで、シャッタカーテンを上方向(矢印H1方向)に引張っるように動作させるときに、アクチュエータを駆動させてカムによりスラットを横向きとし、通気開口を形成する方式も考えられる。しかしながらこの場合には、通気開口を形成するときに、シャッタカーテンを上向きに引っ張ることが必要とされるため、線状連結部材も上向きに引っ張られる傾向となる。前述したように線状連結部材に上向きの引張力が作用すると、線状連結部材が伸張位置となり易く、線状連結部材の剛性が低下し易く、ひいては防犯性が万全でなくなるおそれがある。この点について本実施形態によれば、通気開口を形成するにあたり、前述したように、巻取体2に巻かれているシャッタカーテン1が下方向(矢印H2方向)に巻き下ろされるときに、カム80によりスラット6を横向きとする方式が採用されている。このため本実施形態によれば、通気開口6eを形成するとき、線状連結部材7に下向きの押し込み力がそのまま作用するため、線状連結部材7が収縮位置となり、線状連結部材7の高い剛性が維持され、ひいては良好な防犯性が維持される。
【0048】
また、巻き下がっているシャッタカーテン1を巻取体2にモータ3で巻き上げるときには、使用者はスイッチを操作してモータ3を逆動させる。これによりモータ3が駆動するため、巻取体2が巻上方向に回動し、線状連結部材7およびスラット6が巻取体2の外周面2pに次第に巻き上げられる。このとき、横向きとされていたスラット6の被案内ピン59は、副案内通路53を上方(矢印H1方向)に移動する。被案内ピン59が副案内通路53の上端部53uに至ると、被案内ピン59は、副レール部54から解除される。このとき、閉鎖バネ89の付勢力は、常時、スラット6を閉鎖させる方向に付勢している。このため、閉鎖バネ89の付勢力により、スラット6は、通気開口6eを消失させる方向に自動的に回動して縦向きに戻される。このとき、アクチュエータ85はオフとされ、カム80はカムリターンバネ87の付勢力により退避位置MAに戻っている。このようにして縦向きに戻されたスラット6は巻取体2の外周面2pに次第に巻き上げられる。また、非常時等(例えば停電時)のように、巻き下がっているシャッタカーテン1を巻取体2に手動操作で巻き上げるときには、ブレーキ部20のブレーキ作用を解除させた状態で、シャッタカーテン1を使用者が手動で持ち上げて巻取体2に巻き上げれば良い。
【0049】
本実施形態によれば、被案内ピン59は、上側のスラット6のうち数個のみに形成されているため、上側の数個のスラット6のみを横向きにでき、上側の数個のスラット6を通風可能にできる。但し、これに限らず、被案内ピン59を、高さ方向の中間のスラット6のみに設けることにしても良く、更に、高さ方向の下側のスラット6のみに設けることにしても良い。更に、全てのスラット6を通風可能にできるように、被案内ピン59を全てのスラット6に設けても良い。なお、アクチュエータ85および被案内ピン59は、スラット6の左右方向のうち両方に設けることが好ましいが、片方のみに設けても良い。なお、図11に示す他の実施形態のように、第2リンク72を廃止し、上側の第1リンク71の下側に形成された長孔73に、下側のリンク71の上側の嵌合ピン74を移動可能に挿入しても良い。下側のリンク71の上側に回動規制部78を設けても良い。ここで、リンク71が相対揺動すると、上側のリンク71の下端部と下側のリンク71の回動規制部78とが係合する。この結果、回動規制部78は、上下の2つのリンク71,71間の回動規制、つまり位置規制を行い、剛性を確保する。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
【0050】
・付記項1
上記した各請求項において、前記巻取体に巻かれている前記シャッタカーテンを巻き下ろすとき、前記シャッタカーテンを構成する前記スラットを通風可能に回動させるスラット回動機構が設けられていることを特徴とするシャッタ装置。
【0051】
・付記項2
付記項1において、前記巻取体に巻かれている前記シャッタカーテンを巻き下ろすとき、前記スラットに設けられている被案内部が通過する通過位置が設けられており、前記スラット回動機構は、案内面をもつ作動体と、前記スラットに設けられている前記被案内部を作動体の案内面に非接触とする退避位置と前記被案内部を作動体の案内面に接触させる使用位置とに作動体を切り替え可能なアクチェエータとを備えており、アクチュエータで作動された前記作動部の前記案内面は、前記シャッタカーテンを構成する前記スラットを通風可能に回動させることを特徴とするシャッタ装置。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は建築物や構造物等の開口を開閉するシャッタ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1はシャッタカーテン、2は巻取体、20はブレーキ部、3はモータ、5は縦支柱、50は主案内通路、51は主レール部、53は副案内通路、54は副レール部、55は案内部、6はスラット、60は上側嵌合部、61は下側嵌合部、63は境界、64は係合壁体、65は凹状部、66は直立障壁、68はストッパ部、69は被ストッパ部、7は線状連結部材、71は第1リンク、72は第2リンク、73は長孔、74は係合ピン、75は第1ボルト(接続部)、76は第2ボルト(接続部)、77は起点部位、78は回動規制部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り可能なシャッタカーテンと、一方向への回転に伴い前記シャッタカーテンを巻取り、逆方向への回転に伴い前記シャッタカーテンを巻き下ろす巻取体と、前記巻取体を回転させる駆動機構とを具備するシャッタ装置において、
前記シャッタカーテンは、左右方向に延設され且つ高さ方向に沿って並設された複数のスラットと、各前記スラットに連結され前記スラットの巻き上げおよび巻き下ろしを行う線状連結部材とを具備しており、
前記シャッタカーテンが閉じているとき、前記シャッタカーテンの前記線状連結部材および前記スラットのうちの少なくとも一方の剛性を高める剛性強化手段が設けられていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記線状連結部材は高さ方向に沿って伸縮可能とされており、前記剛性強化手段は、前記線状連結部材が伸張する伸張位置にあるとき前記線状連結部材の剛性を低め、且つ、前記線状連結部材が収縮する収縮位置にあるとき、前記伸張位置のときよりも前記線状連結部材の剛性を高める構造とされていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記線状連結部材は、前記スラットの端部に取り付けられた第1リンクと、隣設する前記第1リンクを回動可能に枢支する第2リンクと、前記第1リンクおよび前記第2リンクのうちの一方に設けられ高さ方向に延びる長孔と、前記第1リンクおよび前記第2リンクのうちの他方に設けられ前記長孔に前記長孔の長径方向に沿って移動可能に嵌合する嵌合体とを備えており、
前記長孔の長径方向に沿って前記嵌合体が相対移動することにより、前記線状連結部材は伸縮可能に設定されていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項4】
請求項3において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じているとき、隣設する前記第1リンク同士の相対回動を制限する回動規制部を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項5】
請求項4において、前記回動規制部は前記線状連結部材の前記第1リンクまたは前記第2リンクに設けられていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記巻取体または前記駆動機構は、前記巻取体の回動を制動するブレーキ部をもつことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの一項において、(i)前記線状連結部材は、前記巻取体に巻き取
り可能に設けられていると共に、前記巻取体に接続された接続部をもち、
(ii)巻取体の回転中心を水平方向に通る仮想水平線を設定すると、前記シャッタカーテンが閉じ状態のとき、前記線状連結部材のうち前記巻取体に対して離脱する起点となる起点部位は、前記仮想水平線にまたは前記仮想水平線よりも下方に配置されていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちの一項において、前記スラットは、上側に隣設する前記スラットと嵌合する上側嵌合部と、下側に隣設する前記スラットと嵌合する下側嵌合部とを備えており、前記シャッタカーテンが閉じている状態のとき、前記上側嵌合部と前記下側嵌合部とが嵌合していることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項9】
請求項8において、前記剛性強化手段は、前記線状連結部材が伸張する伸張位置にあるときには、前記スラットの前記上側嵌合部と前記下側嵌合部とを相対回動可能に支持する構造に設定され、且つ、前記線状連結部材が収縮する収縮位置にあるときには、前記スラットの前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との相対回動を前記伸張位置のときよりも制限する構造に設定されていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項10】
請求項8または9において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記スラットの前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との境界に室外側から異物が進入するとき、前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との相対回動を拘束する嵌合部回動拘束部をもつことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項11】
請求項10において、前記嵌合部回動拘束部は、前記スラットの前記上側嵌合部および前記下側嵌合部のうちの一方に設けられたストッパ部と、前記スラットの前記上側嵌合部および前記下側嵌合部のうちの他方に設けられ前記ストッパ部が当接可能な被ストッパ部とをもつことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項12】
請求項8〜11のうちの一項において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記スラットの前記上側嵌合部および前記下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、室外側において前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との間の境界における段差を抑える段差抑制構造を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項13】
請求項8〜11のうちの一項において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記スラットの前記上側嵌合部および前記下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、前記上側嵌合部の室外側の表出面と前記下側嵌合部の室外側の表出面とがフラットとされている構造を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項14】
請求項8〜13のうちの一項において、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記上側嵌合部および前記下側嵌合部のうちのいずれか一方は、室外側において係合壁体をもち、前記上側嵌合部および前記下側嵌合部のうちのいずれか他方は、室外側において当該一方の係合壁体をフラット状態に係合する凹状部を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項15】
請求項8〜14のうちの一項において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記スラットの前記上側嵌合部および前記下側嵌合部を互いに嵌合させつつ、室外側において前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との間の境界における隙間の隙間幅を抑える隙間抑制構造を備えていることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項16】
請求項8〜15のうちの一項において、前記剛性強化手段は、前記シャッタカーテンが閉じている状態において、前記スラットの前記上側嵌合部と前記下側嵌合部との嵌合部分において鉛直方向に沿って延設された直立障壁をもつことを特徴とするシャッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−97560(P2012−97560A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6459(P2012−6459)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2006−179724(P2006−179724)の分割
【原出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)