説明

シャワーヘッド

【課題】先端部を回転させて、散水方向を切り替えて遠くに散水できるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】シャワーホース6に繋がる本体部10と、散水板12を有する回転部11で構成され、回転部11は本体部10に斜めの回転面Pで回動可能に連結され、回転部11を回動させることによりシャワーホース6に対する散水板12からの散水方向を切り替えできるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水板からの散水方向を切り替えできるシャワーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているようなシャワーヘッドが存在し、このシャワーヘッドの散水板からの散水方向は一定であり、一定の散水方向にのみ散水できるものであった。
【特許文献1】特開平8−289854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているようなシャワーヘッドを、例えば図20のように浴室1内に設置する場合を検討する。
図20において、浴室1には浴槽2と洗い場3が設けられ、洗い場3側の側壁には、カウンター4と、その上方に鏡5が設けられ、浴槽2と反対側の鏡5の図示右側位置に、シャワーホース6に接続されたシャワーヘッド7を、シャワーフック8を介して着脱可能に設置した場合、シャワーヘッド7をシャワーフック8から取り外して浴室1内に散水する際、図21の平面図で示すように、シャワーヘッド7からの散水が浴槽2の隅角部まで届きにくく、図22に示すように、シャワーホース6に対しシャワーヘッド7を略90度に立てた状態でシャワーヘッド7から散水させることとなるため、より散水距離が短くなり、浴槽2の隅部まで良好に散水させることが困難となり、浴室1の掃除がしにくくなるという問題点があった。
なお、シャワーホース6の長さを長くしておけば隅角部まで散水させることができるが、そのような場合は、シャワーホースが長すぎて扱いにくくなるという別の問題が発生する。
また、隅角部まで散水させるために鏡5の図20における左側部にシャワーフック8を設け、シャワーホース6およびシャワーヘッド7を鏡5の左側面に設置して、浴槽2側の隅角部への散水が可能となるようにすることも考えられるが、そのような場合には、洗い場3内でのシャワーヘッド7の使い勝手が悪くなるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、浴室の隅角部などの遠い位置にも良好に散水しやすいシャワーヘッドの提供を目的の1つとし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のシャワーヘッドは、シャワーホースに繋がる本体部と、散水板を有する回転部で構成され、該回転部は前記本体部に斜めの回転面で回動可能に連結され、前記回転部を回動させることにより前記シャワーホースに対する前記散水板からの散水方向を切り替えできるように構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のシャワーヘッドでは、本体部に対し回転部を回動させて散水板からの散水方向を切り替えることができ、遠くの浴室の隅角部などに散水する場合には、シャワーホースの延長方向、即ちシャワーホースに対し平行状に散水板から散水させて、良好に浴室の隅角部などに散水できるものとなる。
【0006】
また、本発明のシャワーヘッドにおいて、前記回転面が、シャワーホースの軸線方向に対し略45度の角度に傾斜されている構成とすることもできる。
こうすれば、シャワーホースに対する散水方向を、直角あるいは平行に切り替えて、散水板から散水させることができるものとなる。
【0007】
また、本発明のシャワーヘッドにおいて、前記回転面には、前記回転部側から円筒状の軸部が設けられ、前記本体部には前記軸部が回転可能に嵌合される軸受部が設けられてなり、前記軸部の外周には弾性を有する凸部が形成され、該凸部が係脱可能に係合する凹部が前記軸受部の内周に形成されているとともに、該凹部は、前記散水板からの散水の方向が前記シャワーホースに対し直角および平行となる位置に形成されている構成とすることもできる。
こうすれば、本体部に対し回転部を良好に回動させることができ、回転部を回転させて散水方向を切り替える際に、凸部が凹部内に係合することで、シャワーホースに対し直角あるいは平行となる位置に散水板を良好に配置させて、散水板からの散水方向を切り替えることができ、しかも、切り替え時に凹部内に凸部がカチッと嵌まり込んで、節度感をもって所定の散水角度に回転部を位置決めできるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明のシャワーヘッドの使用状態の斜視図であり、シャワーヘッド7は、シャワーホース6に繋がる本体部10と、この本体部10に対し斜めの回転面Pで回動可能に連結された回転部11で構成されており、回転部11の先端には散水板12が設けられている。
この図1の状態では、シャワーホース6と平行状に散水板12から散水させることができ、即ちシャワーホース6の延長方向に散水板12から散水させることができるため、図2の浴室の平面図で示すように、本体部10を手で握り、散水板12からシャワー水を噴出させて浴槽2の隅角部まで良好に散水させて、隅角部等を良好に清掃することができるものとなる。
【0010】
このシャワーヘッド7の拡大図を図3に示し、また図4では、散水方向を切り替えた状態を示す。
即ち、図3では、散水板12からシャワーホース6に対し平行に散水させることができ、図4の状態では、散水板12からシャワーホース6に対し直角方向に散水させることができるものである。
シャワーヘッド7の本体部10の先端には、シャワーホース6の軸線方向に対しαで示す45度の角度に傾斜した回転面Pが形成されており、この回転面Pに回動可能に回転部11が連結されて構成されている。
【0011】
図5には、本体部10と回転部11の内部構造を断面拡大図で示しており、また図6は、図5のA−A線断面図であり、図7は、図6のB−B線断面図である。また図8は、回転部側の軸部の拡大斜視図であり、図9は、本体部と回転部を分離させた状態の斜視構成図である。
【0012】
先ず、本体部10を説明すると、本体部10内には、シャワーホース6から湯水が導入される水路10aが形成されており、この水路10aと連通して、円形内周面を有する軸受部10bが回転面P側へ貫通状に形成されている。
この軸受部10bは、シャワーホース6に対し45度の傾斜面で形成された回転面Pに対し直交状に貫通形成されており、軸受部10bの内周面には、凹み状にCリング溝10cが形成されている。
また、軸受部10bの回転面P側の内周面には、対向状に一対のクリック凹部10d,10dが凹み状に形成されており、一対のクリック凹部10dは、回転部11が180度回転される位置にそれぞれ形成されている。
【0013】
一方、回転部11は、本体部10の回転面Pと対応する45度の傾斜角度の回転面Pを備え、この回転面P中央から回転面Pに対し直交状に外側へ突出して軸部11cが一体形成され、この軸部11c内には、本体部10の水路10aと連通する軸孔11bが形成されており、軸孔11bと連通して回転部11内には空間11aが形成され、空間11aを蓋するように先端側の面に、多数の散水孔12aを有する散水板12が一体形成されている。
この回転部11の軸部11cの外周には、本体部10のCリング溝10cと整合する位置に凹み状にCリング溝11dが形成されており、さらに下方側にOリング溝11eが凹み状に形成されている。
また、軸部11cの回転面P側外周には、半径方向へ揺動可能に弾性片11fが形成されており、この弾性片11fの先端に、外側へ突出状にクリック凸部11gが一体形成されている。
【0014】
図5および図9に示すように、回転部の軸部11cに形成されたOリング溝11e内に止水用のOリング14を嵌め込み、また、軸部11cのCリング溝11d内にCリング13を嵌め込んだ状態で、本体部10の軸受部10b内に回転部11の軸部11cを嵌め込み、Cリング13をバネ力で本体部のCリング溝10c内に嵌合させることで、Cリング13を介して本体部10に回転部11が回動可能に固定されることとなり、この状態では、本体部10の回転面Pと回転部11の回転面Pがほぼ当接状態となる。
【0015】
なお、回転部11に形成されているクリック凸部11gが、本体部10のクリック凹部10d内に弾性片11fの付勢力によりカチッと嵌まり込み、これにより図3のような状態に本体部10に対し回転部11を配置固定させることができ、また、回転部11を本体部10に対し時計回りに180度回転させることで、クリック凸部11gが対向する側のクリック凹部10dに嵌まり込んで、図4のような状態に回転部11を配置固定させることができるものである。
【0016】
このようにクリック凸部11gが、対向状に配置された何れ側のクリック凹部10dに節度感をもってカチッと嵌まり込んで、図3のように散水板12からの散水方向をシャワーホース6に対し平行にすることができ、また、回転部11を180度回転させて、図4のように散水板12からの散水方向をシャワーホース6に対し直角方向となるように切り替えることができるものである。
即ち、散水板12から遠い位置の浴室の隅角部等を掃除する際には、図3のような状態で使用することができ、また、通常のシャワーの使用状態、即ち、洗い場での洗髪等の際には、図4のような状態でシャワーヘッド7を使用することができるものである。
【0017】
なお、図10および図11には変更例を示す。
この図10および図11に示すシャワーヘッド7は、本体部10および回転部11を共に外周形状を四角形状にしたものであり、回転面Pの傾斜角度はシャワーホース6の軸線方向に対し45度に設定されている。
なお、この場合でも、回転部11の軸部11cの外周形状は円形であり、また、本体部10側の軸受部10bの内周形状も円形である。
【0018】
このような形状のシャワーヘッド7であっても、図10のように、散水板12からシャワーホース6に対し平行に散水させることができ、また、図11のように、回転部11を回転させて、シャワーホース6に対し直角方向に散水板12から散水させることができるものである。
即ち、図10では、散水板12から浴室内の隅角部に散水させて良好に掃除等に使用することができ、また、図11では、通常のシャワーとして洗髪等に使用することができるものである。
【0019】
次に、図12および図13には更なる変更例を示す。
図12および図13では、回転部11の外周側面に散水板12が形成されたものである。本体部10と回転部11の回転面Pのシャワーホース6の軸線方向に対する傾斜角度は45度に設定されている。
このような構造のシャワーヘッド7においても、図12のように回転部11を配置して、シャワーホース6の軸線方向に対し直角に散水板12から散水させることができ、また、図13のように、回転部11を180度回転させて、シャワーホース6の軸線方向に対し平行に散水板12から散水させることができるものである。
【0020】
なお、図14および図15は更なる変更例であり、図14および図15では、本体部10を短く、回転部11を長くして、この回転部11を手で握って使用できるように構成したものである。
本例においても、回転面Pの傾斜角度は45度であり、図14のように回転部11を配置して、シャワーホース6に対し散水板12から直角方向に散水させることができ、また、図15のように、回転部11を回転させることで、シャワーホース6に対し平行状に散水板12から散水させることができるものである。
【実施例2】
【0021】
次に、図16および図17で示すシャワーヘッド7は、本体部10と回転部11の回転面Pの傾斜角αを22.5度に設定したものであり、本体部10側の軸受部10bおよび回転部11側の軸部11cなどの構成は、図5のものと同様である。
このように図16および図17のシャワーヘッド7は、回転面Pの傾斜角度αが22.5度であるため、図16のように、本体部10に対し回転部11を連続した円柱状のものとして使用することができるとともに、回転面Pを介して回転部11を本体部10に対し180度回転させることで、図17のように、本体部10に対する回転部11の傾斜角度kが45度となるように回転部11を配置固定して使用することができるものである。
即ち、図16では、シャワーホース6に対し直角方向に散水板12から散水させることができ、図17の状態では、シャワーホースに対し45度となる角度で散水板12から散水させることができるものである。
【0022】
図18および図19は第2実施例の変更例であり、図18および図19では、本体部10の長さを短くし、回転部11を手で握ることのできる長さの大なるものに設定したものであり、回転部11の先端側の側面外周に散水板12が形成されている。
本例においても、本体部10と回転部11の接合する回転面Pは22.5度の傾斜に設定されており、図18のように、シャワーホース6に対し散水板12から直角方向に散水させることができるとともに、図19のように、本体部10に対し回転部11の傾斜角度kが45度となるように回転部11を傾斜させて使用することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例のシャワーヘッドの使用状態を示す斜視構成図である。
【図2】図1の状態でシャワーヘッドから浴槽の隅角部に散水させている状態の浴室の平面構成図である。
【図3】散水板からシャワーホースに対し平行に散水させている状態のシャワーヘッドの側面構成図である。
【図4】シャワーホースに対し直角方向に散水板から散水させている状態のシャワーヘッドの側面構成図である。
【図5】第1実施例のシャワーヘッドの本体部と回転部の内部構造を示す断面拡大構成図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】回転部の軸部の拡大斜視構成図である。
【図9】本体部と回転部を分離したシャワーヘッドの斜視構成図である。
【図10】外周を四角形状としたシャワーヘッドの斜視構成図である。
【図11】四角形状のシャワーヘッドの散水方向を切り替えた状態の斜視構成図である。
【図12】変更例を示すシャワーヘッドの斜視構成図である。
【図13】図12の状態から散水方向を切り替えた状態の斜視構成図である。
【図14】更に異なるシャワーヘッドの変更例の斜視構成図である。
【図15】図14の状態から散水方向を切り替えた状態の斜視構成図である。
【図16】第2実施例のシャワーヘッドの斜視構成図である。
【図17】図16の状態から45度の角度に回転部を配置して散水方向を切り替えた状態の斜視構成図である。
【図18】第2実施例の変更例を示すシャワーヘッドの斜視構成図である。
【図19】図18の状態からシャワーヘッドの回転部を45度の角度に切り替えた状態の斜視構成図である。
【図20】従来の浴室内のシャワーヘッドの配置構成図である。
【図21】従来の浴室の平面構成図である。
【図22】従来のシャワーヘッドの使用状態図である。
【符号の説明】
【0024】
1 浴室
3 洗い場
5 鏡
6 シャワーホース
7 シャワーヘッド
8 シャワーフック
10 本体部
10a 水路
10b 軸受部
10c Cリング溝
10d クリック凹部
11 回転部
11a 空間
11b 軸孔
11c 軸部
11d Cリング溝
11e Oリング溝
11f 弾性片
11g クリック凸部
12 散水板
12a 散水孔
13 Cリング
14 Oリング
P 回転面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーホースに繋がる本体部と、散水板を有する回転部で構成され、
前記回転部は前記本体部に斜めの回転面で回動可能に連結され、該回転部を回動させることにより前記シャワーホースに対する前記散水板からの散水方向を切り替えできるように構成した
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記回転面が、シャワーホースの軸線方向に対し略45度の角度に傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記回転面には、前記回転部側から円筒状の軸部が設けられ、前記本体部には前記軸部が回転可能に嵌合される軸受部が設けられてなり、
前記軸部の外周には弾性を有する凸部が形成され、該凸部が係脱可能に係合する凹部が前記軸受部の内周に形成されているとともに、該凹部は、前記散水板からの散水の方向が前記シャワーホースに対し直角および平行となる位置に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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