説明

シャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置

【課題】短時間で良好なシャーベット氷を得ることのできるシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置を提供する。
【解決手段】シャーベット氷製造方法は、入力側要素を計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を、冷凍機5の冷凍能力に基づいて入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力する。シャーベット氷製造装置1は、原水温度計測手段35および原水塩分濃度計測手段34によって、原水の温度および塩分濃度の計測情報を得、得られた計測情報に対応する原水および冷媒の流量の理論値をデータに基づいて得、得られた理論値を原水流量制御手段36および冷媒流量制御手段40の制御値として出力する制御手段94を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の食料品、あるいはそれ以外の鮮度保持に用いるシャーベット氷を製造するのに好適なシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の食料品、あるいはそれ以外の鮮度を維持するためにシャーベット氷が用いられている。このシャーベット氷は、塩水あるいは海水からなる原水を製氷機本体に供給し、製氷機本体において供給された原水を冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパで掻き取ることにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−266639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置においては、例えばシャーベット氷を得るための原水の塩分濃度の範囲および温度の範囲に条件があるため、原水の塩分濃度および温度などの原水の要素に制約があり、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができないという問題点があった。
【0005】
なお、従来のシャーベット氷製造方法においては、原水の塩分濃度を予め設定された範囲とするために、塩分の濃度を調整したり、塩水を還流させる構成としたりされているため、従来のシャーベット氷製造装置においては、塩分濃度調整装置や塩水還流ポンプなどを必要とし、構造が複雑で装置が大型化し、大きな設置スペースを必要とし、コストが高いという問題点もあった。
【0006】
そこで、短時間で良好なシャーベット氷を得ることのできるシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置が求められている。
【0007】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、短時間で良好なシャーベット氷を得ることのできるシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明のシャーベット氷製造方法の特徴は、冷凍機の蒸発器として機能する冷媒流路が設けられた製氷機本体において供給されたシャーベット氷の原材料となる原水を、冷凍機のコンデンシングユニットから前記冷媒流路に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパで掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すシャーベット氷製造方法であって、前記原水が、塩水、海水あるいは真水であり、シャーベット氷の製造時に、入力側要素を計測し、計測した前記入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を、予め得られた前記冷凍機の冷凍能力に基づいて前記入力側要素の性状変化に対応する前記原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な前記制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた前記理論値を前記制御側要素の制御情報として出力する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、データは、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を短時間で確実に得ることができるので、データに基づいて入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を短時間で確実に得ることができるとともに、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力することができるから、入力側要素に制約を与えず、入力側の計測情報に追従して制御側要素の制御情報を出力することができる。その結果、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。また、シャーベット氷の原材料となる原水を、塩水、海水あるいは真水から選択することができるので、原水の多様化を図ることができる。
【0009】
さらに、特許請求の範囲の請求項2に記載の本発明のシャーベット氷製造方法の特徴は、請求項1において、前記入力側要素が前記原水の塩分濃度および温度であり、前記制御側要素が前記原水の流量および前記冷媒の流量であり、前記入力側要素の計測情報である前記原水の塩分濃度および温度が予め設定された時間毎に計測される点にある。そして、このような構成を採用したことにより、原水の塩分濃度および温度を計測するという簡便な方法により短時間で良好なシャーベット氷を得るための原水の流量および冷媒の流量を制御できるし、計測情報である前記原水の塩分濃度および温度を予め設定された時間毎に計測することにより、原水の流量および冷媒の流量が短時間で周期的に変化するのを防止できる。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載の本発明のシャーベット氷製造装置の特徴は、冷凍機の蒸発器として機能する冷媒流路が設けられた製氷機本体において供給されたシャーベット氷の原材料となる原水を、冷凍機のコンデンシングユニットから前記冷媒流路に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパで掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すシャーベット氷製造装置であって、前記製氷機本体に供給する前記原水の温度を計測する原水温度計測手段と、前記製氷機本体に供給する前記原水の塩分濃度を計測する原水塩分濃度計測手段と、前記製氷機本体に供給する前記原水の流量を制御する原水流量制御手段と、前記製氷機本体に供給する前記原水を前記コンデンシングユニットから供給される冷媒により予冷するための予冷装置と、前記冷媒流路に供給する冷媒の流量を制御する冷媒流量制御手段と、情報の入力操作に用いる入力手段と、記憶部および演算部を具備し各部の動作の制御を司る制御手段とを有しており、前記原水が、塩水、海水あるいは真水であり、前記記憶部には、前記冷凍機の冷凍能力に基づいて、前記原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する前記原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な前記原水の流量および前記冷媒の流量のそれぞれの理論値を得るデータが記憶されており、前記制御手段は、シャーベット氷の製造時に、前記原水温度計測手段および前記原水塩分濃度計測手段により計測した前記原水の温度および塩分濃度のそれぞれの計測情報を予め設定された時間毎に得、得られたそれぞれの計測情報に対応する前記原水の流量および前記冷媒の流量のそれぞれの前記理論値を前記データに基づいて得、得られたそれぞれの前記理論値を前記原水流量制御手段および前記冷媒流量制御手段による制御値として出力するように形成されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、請求項1または請求項2に記載のシャーベット氷製造方法を実施する具体的なシャーベット氷製造装置を実現でき、単にシャーベット氷を製造するのではなく、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置によれば、短時間で良好なシャーベット氷を確実かつ容易に得ることができるなどの優れた効果を奏する。また、本発明に係るシャーベット氷製造装置によれば、本発明に係るシャーベット氷製造方法を簡便な構造で実現できるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るシャーベット氷製造装置の第1実施形態の全体構成の要部を示すシステムブロック図
【図2】本発明に係るシャーベット氷製造装置に用いるアイスジェネレータの要部を示す模式図
【図3】本発明に係るシャーベット氷製造方法の実施形態の要部を説明するフローチャート
【図4】図1のシャーベット氷製造装置の運転フロー図
【図5】本発明に係るシャーベット氷製造装置の第2実施形態の全体構成の要部を示すシステムブロック図
【図6】図5のシャーベット氷製造装置の運転フロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0014】
(シャーベット氷製造装置の第1実施形態)
まず、本発明に係るシャーベット氷製造装置の第1実施形態について図1および図2により説明する。本実施形態のシャーベット氷製造装置は、原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させて所定濃度のシャーベット氷を得るものを例示している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のシャーベット氷製造装置1は、製氷機ユニット2と、コンデンシングユニット3と、制御盤などからなる制御装置4とを有している。
【0016】
前記製氷機ユニット2は、シャーベット氷を形成するためのものであり、ユニットケース11の内部に配設されたシャーベット氷の原材料となる原水が供給される製氷機本体としての冷却機であるアイスジェネレータ12を有している。ここで、原水としては、塩水、海水あるいは真水から選択することができる。なお、真水とは、地下水や水道水などの塩分濃度のきわめて低い飲料水、農業用水、工業用水などを言う。
【0017】
図2に示すように、前記アイスジェネレータ12は、同心配置された内円筒13と外円筒14との間に冷凍機5の蒸発器として機能する冷媒流路15が形成されており、内円筒13の内部に供給された原水から氷を生成することができるように形成されている。また、内円筒13の内部の中心部には、シャフト16が回転自在に設けられており、このシャフト16の外周面には、複数、本実施形態においては3枚のスクレーパ17が周方向および中心線の延在方向にそれぞれ所定の間隔をおいて取り付けられている。これらのスクレーパ17は、内円筒13とシャフト16との間に設けられた原水流路18の内部に配置されている。そして、シャフト16の上端部は、アイスジェネレータ12の上方において外部に露出するように突出されており、この上端部には、従動プーリ7が取り付けられている。この従動プーリ7の右側方には駆動プーリ8が配設されており、この駆動プーリ8は、サーボモータ19の出力軸19aに取り付けられている。そして、従動プーリ7と駆動プーリ8とのそれぞれの外周には、ベルト9が掛け回されており、サーボモータ19の駆動力によってシャフト16、ひいてはスクレーパ17を回転駆動することができるように形成されている。なお、ベルト9としては、歯付きベルトを用いることが、スリップや速度変化がないという意味で好ましい。この場合、従動プーリ7および駆動プーリ8として、歯付きベルト用のものが用いられることになる。
【0018】
図1に示すように、サーボモータ19は、後述する制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御情報である電気信号からなる制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミング、出力軸19aの駆動方向、出力軸19aの回転数(回転速度)、ひいてはスクレーパ17の回転数などが制御できるようになっている。また、サーボモータ19には、サーボモータ19のトルク、すなわちスクレーパ17の回転トルクであるアイスジェネレータ12の負荷を計測するための負荷センサ20が設けられている。この負荷センサ20は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(トルク計測)した負荷としてのサーボモータ19のトルクひいてはスクレーパ17の回転トルク(フィードバックトルク)のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、負荷センサ20は、サーボモータ19の負荷をリアルタイムで監視するように機能する。
【0019】
前記アイスジェネレータ12の側面下部には、原水流路18に原水を供給するための原水供給口21と、冷媒流路15に冷媒を供給するための冷媒供給口22とが設けられている。また、アイスジェネレータ12の側面上部には、形成したシャーベット氷を送り出すための氷送出口23と、冷媒送出口24とが設けられている。この冷媒送出口24は、冷媒流路15に供給され原水流路18の原水の熱を得て蒸発した冷媒、すなわち原水と熱交換した冷媒を送り出すためのものである。この冷媒としては、業務用低温機器分野で広く使用されている代替冷媒R−404Aを挙げることができる。
【0020】
なお、アイスジェネレータ12のその他の構成については、従来と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0021】
前記原水供給口21には、ケース内第1原水供給管26aの一端が接続されており、ケース内第1原水供給管26aの他端は、後述する予冷装置53の流出口53aに接続されている。また、予冷装置53の流入口53bにはケース内第2原水供給管26bの一端が接続されており、ケース内第2原水供給管26bの他端は、ユニットケース11に設けられた第1ジョイント27に接続されている。そして、第1ジョイント27には、ユニットケース11の外部に配設されたストレーナ28が接続されている。さらに、ストレーナ28には、外部原水供給管29の一端が接続されている。この外部原水供給管29の他端には、原水供給ポンプ30が接続されており、原水供給ポンプ30の原水の流動方向の上流側は、常時は流路が閉塞された閉状態とされたストップバルブ31を介して原水供給源32に接続されている。
【0022】
前記原水供給ポンプ30は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミングを制御できるようになっている。
【0023】
前記ケース内第2原水供給管26bの途中には、アイスジェネレータ12に供給する原水の塩分濃度を計測する原水塩分濃度計測手段としての塩濃度センサ34と、アイスジェネレータ12に供給する原水の温度を計測する原水温度計測手段としての水温度センサ35と、予冷装置53、ひいてはアイスジェネレータ12に供給する原水の流量を制御する原水流量制御手段としての水流量調整器36とが、予冷装置53側に向かってこの順に配置されている。この、水流量調整器36としては、制御手段94から送出される制御指令により操作される流量制御弁などを挙げることができる。
【0024】
前記塩濃度センサ34は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(塩分濃度計測)した原水の塩分濃度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、塩濃度センサ34は、原水の塩分濃度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0025】
前記水温度センサ35は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した原水の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、水温度センサ35は、原水の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0026】
前記水流量調整器36は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、ケース内第2原水供給管26bを通過して予冷装置53に流入し、さらに、ケース内第1原水供給管26aを通過してアイスジェネレータ12に流入する原水の流量を制御、すなわち、アイスジェネレータ12に供給する原水の流量調整ができるようになっている。
【0027】
前記冷媒供給口22には、ケース内冷媒供給管38の一端が接続されており、ケース内冷媒供給管38の他端は、ユニットケース11に設けられた第2ジョイント39に接続されている。また、ケース内冷媒供給管38の途中におけるアイスジェネレータ12側には、冷媒の流量調整を行う冷媒流量制御手段としての電子膨張弁40が配設されている。この電子膨張弁40は、電気信号により絞り量が調整可能とされている。また、電子膨張弁40は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、アイスジェネレータ12の冷媒流路15に供給する冷媒の流量を制御(送液制御)できるようになっている。また、電子膨張弁40の冷媒の流動方向の上流側には、電磁弁41が配設されている。この電磁弁41は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、電子膨張弁40、ひいては冷媒流路15に対する冷媒の供給と停止とを制御(供給制御)できるようになっている。なお、電子膨張弁40は、後述する受液器64から送られてくる冷媒液の圧力を調整し、かつその流量を調整して蒸発器へ送るためのものである。
【0028】
前記氷送出口23には、ケース内氷送出管43の一端が接続されており、ケース内氷送出管43の他端は、ユニットケース11に設けられた第3ジョイント44に接続されている。なお、第3ジョイント44には、ユニットケース11の外部に配設された図示しない外部氷送出配管の一端が接続されている。また、製造したシャーベット氷をアイスジェネレータ12から外部へ送り出すのは、図示しないポンプにより行われる。
【0029】
前記冷媒送出口24には、ケース内冷媒還流管47の一端が接続されており、ケース内冷媒還流管47の他端は、ユニットケース11に設けられた第4ジョイント48に接続されている。そして、ケース内冷媒還流管47の途中には、電子制御バルブ49が配設されている。この電子制御バルブ49は、蒸発器として機能する冷媒流路15を熱交換されて通過した気化冷媒の圧力調整(圧力制御)を行うためのものである。そして、電子制御バルブ49は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、冷媒流路15を通過した後の気化冷媒の圧力調整ができるようになっている。
【0030】
前記ケース内冷媒供給管38における電子膨張弁40と電磁弁41との配設位置の間には、ケース内第1冷媒分岐管51の一端が接続されており、ケース内第1冷媒分岐管51の他端は、予冷装置53の冷媒入口53cに接続されている。また、ケース内第1冷媒分岐管51の途中には、膨張弁52が配設されている。この膨張弁52は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、ケース内第1冷媒分岐管51を通過して予冷装置53に供給する冷媒の圧力を制御(圧力制御)できるようになっている。なお、予冷装置53は、ステンレスからなる内管の内部を原水が流動し、鋼管からなる外管の内部を冷媒が流動する従来公知の2重管式のものであり、その詳しい説明については省略する。
【0031】
前記予冷装置53の冷媒出口53dには、電子制御バルブ49を介してケース内第2冷媒分岐管55の一端が接続されており、ケース内第2冷媒分岐管55の他端は、ケース内冷媒還流管47の途中、本実施形態においてはケース内冷媒還流管47の電子制御バルブ49の接続部と第4ジョイント48の接続部との間に接続されている。この電子制御バルブ49は、予冷装置53において熱交換されて通過した気化冷媒の圧力調整(圧力制御)を行うためのものである。そして、電子制御バルブ49は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、予冷装置53を通過した後の気化冷媒の圧力調整ができるようになっている。
【0032】
すなわち、本実施形態においては、液状の冷媒をアイスジェネレータ12の冷媒流路15と予冷装置53との両者に供給することができるようになっている。
【0033】
前記予冷装置53は、コンデンシングユニット3からの冷媒を用いて原水供給源32から供給される原水を予冷、すなわち原水の温度を0℃付近、例えば2℃にまで冷却してアイスジェネレータ12の原水流路18に供給するためのものである。この予冷装置53の構成については、従来と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0034】
前記コンデンシングユニット3は、収納ケース61の内部に配設された冷凍機5の送液側である圧縮機62、凝縮器63および受液器64を有している。そして、圧縮機62は、駆動モータ66の駆動力によって駆動可能とされている。この駆動モータ66にはインバータ67が接続されている。このインバータ67は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94に対して駆動モータ66による圧縮機62の運転状態を確認(状態確認)することができるとともに、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミングを制御できるようになっている。また、駆動モータ66をインバータ制御することにより、出力のきめ細やかな制御による省電力化や、制御目標への追従性向上を実現できるように形成されている。なお、凝縮器63としては、水冷式のものが用いられている。また、凝縮器63の冷却水としては、原水に限らす、水道水や、クーラント液を用いる構成としてもよい。さらに、冷却水は、循環使用する構成としてもよい。勿論、凝縮器63としては、空冷式を用いることができる。
【0035】
前記圧縮機62の吸入口62aには、ケース内冷媒戻し管69の一端が接続されており、ケース内冷媒戻し管69の他端は、収納ケース61に設けられた第1接続部70に接続されている。そして、第1接続部70とユニットケース11に設けられた第4ジョイント48との間は、外部冷媒戻し管72によって接続されている。また、外部冷媒戻し管72の途中には、外部冷媒戻し管72を通過してコンデンシングユニット3に戻る蒸発器として機能する冷媒流路15および予冷装置53の図示しない予冷用冷媒流路を熱交換されて通過して気化された冷媒の圧力および温度、すなわち冷媒の蒸発圧力および蒸発温度を計測するための冷媒温度センサ57および冷媒圧力センサ58が配設されている。そして、冷媒温度センサ57および冷媒圧力センサ58は、ともに制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測、圧力計測)した冷媒の温度および圧力のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ57および冷媒圧力センサ58は、熱交換した後にコンデンシングユニット3に戻る冷媒の温度および圧力をリアルタイムで監視するように機能する。なお、制御手段94は、冷媒温度センサ57および冷媒圧力センサ58が計測した冷媒の蒸発温度および蒸発圧力を、電子膨張弁40および膨張弁52による冷媒の送液制御の一部、すなわち、電子膨張弁40および膨張弁52のそれぞれによる流路の開閉制御に用いるように構成されている。
【0036】
なお、冷媒の温度は、圧力で決まるので、冷媒温度センサ57は必ずしも必要でない。
【0037】
前記圧縮機62の吐出口62bには、ケース内第1接続管74の一端が接続されており、ケース内第1接続管74の他端は、凝縮器63の冷媒入口63aに接続されている。そして、凝縮器63の冷媒出口63bには、ケース内第2接続管75の一端が接続されており、ケース内第2接続管75の他端は、受液器64の液入口64aに接続されている。さらに、受液器64の液出口64bには、ケース内冷媒送出管76の一端が接続されており、ケース内冷媒送出管76の他端は、収納ケース61に設けられた第2接続部78に接続されている。そして、第2接続部78とユニットケース11に設けられた第2ジョイント39との間は、外部冷媒供給管80によって接続されている。
【0038】
前記凝縮器63の冷却水入口63cには、ケース内冷却水供給管82の一端が接続されており、ケース内冷却水供給管82の他端は、収納ケース61に設けられた第3接続部84に接続されている。また、凝縮器63の冷却水出口63dには、ケース内冷却水排水管86の一端が接続されており、ケース内冷却水排水管86の他端は、収納ケース61に設けられた第4接続部85に接続されている。この第4接続部85には、外部排水管87の一端が接続されている。
【0039】
前記第3接続部84には、外部給水管88の一端が接続されており、外部給水管88の他端は、外部原水供給管29の途中に設けられた原水の供給先を分岐するための全体としてY字形の継ぎ手90に接続されている。
【0040】
前記コンデンシングユニット3とこのコンデンシングユニット3に接続されているアイスジェネレータ12の冷媒流路15とにより、本実施形態における原水を氷にする冷凍機5の主要部が構成されている。
【0041】
前記制御装置4は、各種の情報の入力および動作状態などの各種の情報の表示を行う機能を備えたタッチパネルなどからなる操作パネル92を有している。この操作パネル92は制御盤あるいは操作ボックスなどの使用目的に応じた所定形状のケース93に配設されており、操作パネル92は、ケース93内において操作パネル92の例えば背面側に配設された制御手段94と電気的に接続されている。また、操作パネル92には、タッチパネルの他に、個別の操作キー、操作スイッチなどを設けてもよい。
【0042】
前記制御手段94は、各種の演算処理を行う演算部として機能するCPU95と、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ96とを有している。
【0043】
前記制御手段94には、操作パネル92に加えて、サーボモータ19、原水供給ポンプ30、水流量調整器36、電子膨張弁40、電磁弁41、2つの電子制御バルブ49、膨張弁52、駆動モータ66を駆動制御するインバータ67や、時間をカウントするタイマ98や、塩濃度センサ34、水温度センサ35、負荷センサ20、冷媒温度センサ57、冷媒圧力センサ58などのセンサ類や、図示しない電源スイッチ、始動スイッチ、停止スイッチ、非常停止スイッチなどのスイッチ類などが電気的に接続されている。なお、サーボモータ19、原水供給ポンプ30、水流量調整器36、電子膨張弁40、電磁弁41、電子制御バルブ49、膨張弁52およびインバータ67(駆動モータ66)などは、図示しないコントローラ(駆動回路)を介して制御手段94に電気的に接続されている。なお、タイマ98は、設計コンセプトなどの必要に応じて複数設けることができる。
【0044】
前記メモリ96は、適宜な容量のROM、RAMおよび電気的にデータの消去と書き込みとを行うことのできるEEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどにより形成されている。なお、不揮発性メモリとしては、SDメモリーカード、USBフラッシュメモリなどの着脱可能なものを併用するようにしてもよい。
【0045】
前記メモリ96には、少なくともシャーベット氷製造装置1の可動部の動作制御および電源を入れたときのイニシャライズ動作などを実行するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0046】
前記シャーベット氷製造装置1の動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、所定濃度のシャーベット氷を得るために、シャーベット氷の製造時に、入力側要素を計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する理論値を、メモリ96に予め記憶されているデータ(データ群)に基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するものを挙げることができる。
【0047】
具体的には、シャーベット氷の製造時に、原水温度計測手段としての水温度センサ35および原水塩分濃度計測手段としての塩濃度センサ34により計測した原水の温度および塩分濃度のそれぞれの計測情報としての計測値を予め設定された時間毎に得、得られたそれぞれの計測値に対応する原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値をメモリ96に予め記憶されているデータに基づいて得、得られたそれぞれの理論値を原水流量制御手段としての水流量調整器36および冷媒流量制御手段としての電子膨張弁40に対する制御値(制御信号)として出力するものを挙げることができる。ここで、予め設定される時間としては、例えば計測間隔が10分間隔などの等間隔でもよいし、例えば最初の計測が開始から20分後、2回目の計測が開始から35分後、3回の計測が開始から45分後、その後10分間隔などの複数の種類を組み合わせたものであってもよい。なお、計測間隔は、主として操作パネル92への入力操作により設定される。
【0048】
また、シャーベット氷製造装置1の動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造に先立って、操作パネル92からシャーベット氷の濃度値が入力された場合、入力された濃度値から対応するスクレーパ17の回転数を、メモリ96に予め記憶されている濃度回転数データに基づいて決定し、シャーベット氷の製造時には、決定した回転数によりスクレーパ17を回転させるようにサーボモータ19を駆動制御するものを挙げることができる。例えば、シャーベット氷の製造時に、負荷センサ20により計測されるサーボモータ19のトルクおよび電流が、濃度値から得られたスクレーパ17の回転数におけるトルクおよび電流となるようにフィードバック制御するものである。
【0049】
さらに、シャーベット氷製造装置1の動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造に先立って実行する操作パネル92の表示制御、例えば、濃度値などの入力表示画面の位置や表示切換などを行うものを挙げることができる。
【0050】
さらにまた、シャーベット氷製造装置1の動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造時に、圧縮機62、すなわち冷凍機5をインバータ制御による省エネモードで駆動させるためのものを挙げることができる。
【0051】
このようなシャーベット氷製造装置1の動作制御は、メモリ96に予め記憶されたプログラムおよびデータに基づいてCPU95が実行することになる。なお、CPU95のかわりにMPUを用いてもよい。
【0052】
前記メモリ96に記憶されるデータとしては、冷凍機5の冷凍能力に基づいて、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータ、本実施形態においては冷凍機5の冷凍能力に基づいて、計測した原水の塩分濃度および温度に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値を得るデータや、シャーベット氷の濃度、すなわちシャーベット氷の全量に対する氷の割合(氷含有率:重量%)とスクレーパ17の回転数との関係をあらわす濃度回転数データなどを挙げることができる。これらのデータは、他のデータとともにデータベースとされている。また、データは、コンピュータなどにより予め作成したものがメモリ96に記憶されている。
【0053】
前記制御側要素の理論値を得るデータは、少なくとも原水の塩分濃度および原水の温度に対する原水の流量および冷媒の流量の関係を示すものである。すなわち原水の塩分濃度および温度から原水を最速で氷結点に移行させるための原水の流量および冷媒の流量を得るものである。このデータは、理論計算および実験値により形成することができる。また、このデータは、データテーブルとすることが関数演算式をメモリ96に記憶させる場合に比較して、演算に要する時間を短くすることができるという意味で好ましい。なお、予冷装置53に対する冷媒の供給は、凍結を防止するために、予冷装置53の仕様に応じて行われることになる。
【0054】
なお、説明の便宜上、原水系統を短い破線、冷媒系統を実線、シャーベット氷系統を長い破線、電気(信号を含む)系統を一点鎖線にて図1に示してある。
【0055】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について本発明のシャーベット氷製造方法の実施形態とともに説明する。
【0056】
図3は本発明に係るシャーベット氷製造方法の実施形態の要部を説明するフローチャートである。
【0057】
(シャーベット氷製造方法)
本実施形態のシャーベット氷製造方法は、前述した図1に示す本実施形態のシャーベット氷製造装置1を用いて実施する。また、シャーベット氷製造装置1による動作は、制御手段94のCPU95がメモリ96に記憶されているプログラムおよびデータに基づいて、可動部の動作を制御して実行する。さらに、制御側要素の理論値を得るデータを含む各種のデータおよび動作制御を行うプログラムは、予めメモリ96に記憶する。
【0058】
図3に示すように、本実施形態のシャーベット氷製造方法は、まず、シャーベット氷の製造に先立って、設定処理(S1)を行う。この設定処理は、図示しない電源スイッチのオン操作により、シャーベット氷製造装置1に電源が供給された際の初期化動作およびチェック動作に続いて実施されるものであり、制御手段94が操作パネル92への入力操作を検出し、操作パネル92からシャーベット氷の濃度値および製造予定量が入力されたか否かを判断し、シャーベット氷の濃度値が入力された場合には、入力された濃度値から対応するスクレーパ17の回転数を、メモリ96に記憶されている濃度回転数データに基づいて決定し、決定した回転数によりスクレーパ17を回転させるためのサーボモータ19のトルクおよび電流をメモリ96に記憶する。さらに、操作パネル92から、塩濃度センサ34、水温度センサ35および負荷センサ20によるそれぞれの計測周期(時間)が入力された場合には、入力された計測周期をメモリ96に記憶する。なお、前述したように、本実施形形態のデータは、コンピュータなどにより予め作成したものがメモリ96に記憶されているため、設定処理において、データがメモリ96に記憶されていることを確認することが、メモリ96にデータが記憶されていないという不都合が発生するのを確実に防止できるという意味で好ましい。
【0059】
ついで、すべての設定値の入力が終了したか否かを判断(S2)し、すべての設定値の入力が終了した場合(S2Y)には、つぎの運転処理(S3)に進行する。また、すべての設定値の入力が終了していない場合には、すべての設定値の入力が終了するまで待機する(S2N)。
【0060】
なお、計測周期は、すべて同一であってもよいし、塩濃度センサ34および水温度センサ35と、負荷センサ20との2種類に分けてもよい。また、計測周期は、予めメモリ96に記憶された複数種から選択してもよいし、予めメモリ96に記憶された1種類を用いてもよい。この場合、計測周期の入力操作は省略されることになる。そして、すべての入力操作が終了すると、シャーベット氷の製造準備が完了する。
【0061】
ついで、ストップバルブ31が開操作され、その後図示しない始動スイッチのオン操作により、電磁弁41が開操作されるとともに、原水供給ポンプ30、サーボモータ19および駆動モータ66が駆動され、アイスジェネレータ12への原水の供給、アイスジェネレータ12の冷媒流路15への冷媒の供給、シャフト16によるスクレーパ17の回転が始まって、シャーベット氷の製造が開始される。ここで、冷凍機5の圧縮機62の駆動モータ66の駆動は、原水供給ポンプ30が駆動した後に行われる(図4)。そして、シャーベット氷の製造が開始されると、運転処理(S3)を行う。この運転処理は、シャーベット氷の製造が終了するまで行われる。なお、運転処理は、製造予定量を入力せずに、図示しない停止スイッチがオン操作されるまで行うようにしてもよい。
【0062】
前記運転処理においては、塩濃度センサ34、水温度センサ35、負荷センサ20、冷媒温度センサ57、および冷媒圧力センサ58のそれぞれが予め設定された時間毎、すなわち設定処理(S1)において設定された計測周期毎に、それぞれの計測値を制御手段94に送出する。なお、計測周期はタイマ98でカウントされる。なお、塩濃度センサ34、水温度センサ35、負荷センサ20および冷媒温度センサ57ならびに冷媒圧力センサ58のそれぞれが予め設定された時間毎に、それぞれの計測値を計測することで、原水の性状変化、サーボモータ19の性状変化、冷媒の性状変化を監視することになる。
【0063】
そして、各計測情報である計測値を受け取った制御手段94は、入力側要素である塩濃度センサ34および水温度センサ35からの計測情報である計測値に対応する理論値、すなわち原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値をメモリ96に記憶されているデータに基づいて得る。この得られた理論値は、制御側要素の制御情報、すなわち、水流量調整器36および電子膨張弁40に対する制御情報である制御信号として出力され、水流量調整器36による原水の供給量および冷媒の送液制御の一部である電子膨張弁40による冷媒の供給量を制御する。また、冷媒温度センサ57および冷媒圧力センサ58からの計測情報である冷媒の蒸発温度および蒸発圧力を受け取った制御手段94は、受け取った冷媒の温度および圧力により、冷媒の送液制御の残部である電子膨張弁40および膨張弁52に対する制御情報である制御信号を出力し、電子膨張弁40および膨張弁52のそれぞれの流路を開く際の動作制御である開閉タイミング、すなわち冷媒の送給制御をする。
【0064】
また、負荷センサ20からの計測情報であるサーボモータ19の回転トルクおよび電流を受け取った制御手段94は、受け取ったサーボモータ19の回転トルクおよび電流が、設定処理(S1)においてメモリに記憶されたサーボモータ19のトルクおよび電流となるように、サーボモータ19をフィードバック制御する。さらに、インバータ67により、冷凍機5の圧縮機62をインバータ制御することで、冷凍機5の省エネ運転を行う。よって、運転処理においては、原水の流量制御、冷媒の流量制御、冷媒の送給制御、冷凍機5のインバータ制御およびサーボモータ19のフィードバック制御を行う。なお、冷媒の流量制御および送給制御を併せて冷媒の送液制御を行うことになる。
【0065】
したがって、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、事前準備として、入力側要素の性状変化である原水の温度および塩分濃度に対する最速で氷結点に移行させるための最速移行データ(物理特性上の理論値、実験値)を作成して、制御用に導いた関数群などのデータをデータベースとしてメモリ96に記憶する。そして、シャーベット氷製造装置1の運用時には、入力側要素から出力される計測値に対応する制御側要素の理論値へとデータ追従である最適値への数値演算をさせ、制御値を出力するという動作を繰り返す。
【0066】
なお、本実施形態のシャーベット氷製造方法によるシャーベット氷製造装置1の運転フロー図を図4に示す。
【0067】
このように、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素を計測し、計測した前記入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を、予め得られた冷凍機5の冷凍能力に基づいて入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するように構成されているから、データは、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な制御側要素の理論値を短時間で確実に得ることができるので、データに基づいて入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を短時間で容易かつ確実に得ることができるとともに、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力することができるから、入力側要素に制約を与えず、入力側の計測情報に追従して制御側要素の制御情報を出力することができる。その結果、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素が原水の塩分濃度および温度であり、制御側要素が原水の流量および冷媒の流量であり、入力側要素の計測情報である原水の塩分濃度および温度が予め設定された時間毎に計測されるように構成されているから、原水の塩分濃度および温度を計測するという簡便な方法により短時間で良好なシャーベット氷を得るための原水の流量および冷媒の流量を制御できるし、計測情報を予め設定された時間毎に計測することにより、原水の流量および冷媒の流量が短時間で周期的に変化するのを防止できる。
【0069】
さらに、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、シャーベット氷を製造する際に用いる原水の塩分濃度および温度に制約、具体的には原水の塩分濃度の範囲および温度の範囲に条件がなく、計測情報である原水の塩分濃度および温度の計測値に追従して原水を最速で氷結点に移行させるための制御側要素、具体的には水流量調整器36による原水の流量および電子膨張弁40による冷媒の流量のそれぞれを制御するための制御信号を出力することができるので、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができるし、従来必要であった原水の塩分濃度を予め設定された範囲とするための塩分濃度調整や、塩水を還流させる塩水還流ポンプを含む塩水還流回路を設ける必要がないので、従来のものより構造が簡単で、設置スペースが少なくて済むし、低コスト化を図ることができる。
【0070】
さらにまた、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、シャーベット氷の製造に先立って、操作パネル92からシャーベット氷の濃度値が入力された場合、入力された濃度値から対応するスクレーパ17の回転数を、メモリ96に記憶されている濃度回転数データに基づいて決定し、シャーベット氷の製造時には、決定した回転数によりスクレーパ17を回転させるようにサーボモータ19を駆動制御することができるので、シャーベット氷の製造時に、負荷センサ20により計測されるサーボモータ19のトルクおよび電流が、濃度値から得られたスクレーパ17の回転数におけるトルクおよび電流となるようにフィードバック制御することができる。
【0071】
すなわち、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素に制約を与えず、入力側要素の計測情報に追従して出力側要素を制御することができる。
【0072】
また、本実施形態のシャーベット氷製造装置1によれば、本実施形態のシャーベット氷製造方法、すなわち、シャーベット氷の製造時に、原水の塩分濃度および温度からなる入力側要素を予め設定された時間毎に計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する原水の流量および冷媒の流量からなる制御側要素の理論値を、予め得られた冷凍機5の冷凍能力に基づいて入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で氷結点に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するとともに、入力側要素が原水の塩分濃度および温度であり、制御側要素が原水の流量および冷媒の流量であり、入力側要素の計測情報である原水の塩分濃度および温度が予め設定された時間毎に計測されるシャーベット氷製造方法を実施する具体的なシャーベット氷製造装置1を実現でき、単にシャーベット氷を製造するのではなく、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。このシャーベット氷製造方法は、冷凍機5の蒸発器として機能する冷媒流路15が設けられた製氷機本体としてのアイスジェネレータ12において供給された塩水、海水あるいは真水からなる原水を、冷凍機5のコンデンシングユニット3から冷媒流路15に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパ17で掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すものである。
【0073】
したがって、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1によれば、短時間で良好なシャーベット氷を確実かつ容易に得ることができるし、本実施形態のシャーベット氷製造装置1によれば、本実施形態のシャーベット氷製造方法を確実かつ容易に実施することができる。さらに、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1によれば、シャーベット氷の原材料となる原水を、塩水、海水あるいは真水から選択することができるので、原水の多様化を図ることができる。これにより、塩水あるいは海水を調達できない場合であっても、塩水あるいは海水に比較して入手が容易な真水からシャーベット氷を得ることができるので、原水の要素の制約を小さくすることができる。
【0074】
また、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1によれば、原水の塩分濃度および温度を予め設定された時間毎に計測、すなわち監視し、計測した原水の塩分濃度および温度に対応する原水の流量および冷媒の流量を最速で氷結点に移行させるための制御値をデータとプログラムにより演算して得ることができるから、従来の原水の塩分の濃度を調整したり、塩水を還流させたりする構成に比べて、良好なシャーベット氷を効率よく製造することができる。
【0075】
(シャーベット氷製造装置の第2実施形態)
つぎに、本発明に係るシャーベット氷製造装置の第2実施形態について図2および図5により説明する。本実施形態のシャーベット氷製造装置は、原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させて所定濃度のシャーベット氷を得るものを例示している。なお、前述した第1実施形態のシャーベット氷製造装置と同一ないし相当する構成については図面中に同一の符号を付してある。
【0076】
図5に示すように、本実施形態のシャーベット氷製造装置1Aは、前述した第1実施形態のシャーベット氷製造装置1と同様に、製氷機ユニット2Aと、コンデンシングユニット3Aと、制御盤などからなる制御装置4Aとを有している。
【0077】
前記製氷機ユニット2Aは、シャーベット氷を形成するためのものであり、ユニットケース11の内部に配設されたシャーベット氷の原材料となる原水が供給される製氷機本体としての冷却機であるアイスジェネレータ12Aを有している。ここで、原水としては、前述した第1実施形態のシャーベット氷製造装置1と同様に、塩水、海水あるいは真水から選択することができる。なお、真水とは、地下水や水道水などの塩分濃度のきわめて低い飲料水、農業用水、工業用水などを言う。
【0078】
図2に示すように、アイスジェネレータ12Aは、同心配置された内円筒13と外円筒14との間に冷凍機5の蒸発器として機能する冷媒流路15が形成されており、内円筒13の内部に供給された原水から氷を生成することができるように形成されている。また、内円筒13の内部の中心部には、シャフト16が回転自在に設けられており、このシャフト16の外周面には、複数、本実施形態においては3枚のスクレーパ17が周方向および中心線の延在方向にそれぞれ所定の間隔をおいて取り付けられている。これらのスクレーパ17は、内円筒13とシャフト16との間に設けられた原水流路18の内部に配置されている。そして、シャフト16の上端部は、アイスジェネレータ12Aの上方において外部に露出するように突出されており、この上端部には、従動プーリ7が取り付けられている。この従動プーリ7の右側方には駆動プーリ8が配設されており、この駆動プーリ8は、サーボモータ19の出力軸19aに取り付けられている。そして、従動プーリ7と駆動プーリ8とのそれぞれの外周には、ベルト9が掛け回されており、サーボモータ19の駆動力によってシャフト16、ひいてはスクレーパ17を回転駆動することができるように形成されている。なお、ベルト9としては、歯付きベルトを用いることが、スリップや速度変化がないという意味で好ましい。この場合、従動プーリ7および駆動プーリ8として、歯付きベルト用のものが用いられることになる。
【0079】
図5に示すように、サーボモータ19は、後述する制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミング、出力軸19aの駆動方向、出力軸19aの回転数(回転速度)、ひいてはスクレーパ17の回転数などが前述した第1実施形態とは異なり、図示しないサーボアンプを介して制御できるようになっている。このサーボアンプは、制御手段94と電気的に接続されており、計測(トルク計測)した負荷としてのサーボモータ19のトルクひいてはスクレーパ17の回転トルク(フィードバックトルク)の値を制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、サーボアンプは、サーボモータ19の負荷をリアルタイムで監視するように機能する。なお、本実施形態におけるスクレーパ17の回転数は、基本的に固定、例えば500rpmとされている。このスクレーパ17の回転数は、原水の塩分濃度と、そのときのアイスジェネレータ12Aの内部の攪拌負荷状態(サーボモータ19のトルク)で若干回転数を操作するようになっている。例えば、原水の塩分濃度が3%を下回る低塩分濃度の場合には、氷結が速くアイスジェネレータ12Aの内円筒13の内壁面に凍り付きやすいため、スクレーパ17を速く回す。さらに、トルク値が高くなってきて、アイスジェネレータ12Aの内円筒13の内部の凍結の懸念がある場合もスクレーパ17を速く回すようになっている。
【0080】
前記アイスジェネレータ12Aの側面下部には、原水流路18に原水を供給するための原水供給口21と、冷媒流路15に冷媒を供給するための冷媒供給口22とが設けられている。また、アイスジェネレータ12の側面上部には、形成したシャーベット氷を送り出すための氷送出口23と、冷媒送出口24とが設けられている。この冷媒送出口24は、冷媒流路15に供給され原水流路18の原水の熱を得て蒸発した冷媒、すなわち原水と熱交換した冷媒を送り出すためのものである。この冷媒としては、業務用低温機器分野で広く使用されている代替冷媒R−404Aを挙げることができる。
【0081】
前記アイスジェネレータ12Aの側面中央部には、冷媒流路15に供給された冷媒の蒸発温度を計測するための冷媒温度センサ33が配設されている。この冷媒温度センサ33は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した冷媒の蒸発温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ33は、冷媒流路15に供給された冷媒の蒸発温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0082】
なお、アイスジェネレータ12Aのその他の構成については、前述した第1実施形態のアイスジェネレータ12と同じく従来のものと同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0083】
前記アイスジェネレータ12Aの原水供給口21には、ケース内第1原水供給管26aの一端が接続されており、ケース内第1原水供給管26aの他端は、後述する予冷装置53の流出口53aに接続されている。そして、ケース内第1原水供給管26aの途中には、予冷装置53により予冷されて流出口53aから送出される原水の温度を計測する水温度センサ56と、アイスジェネレータ12Aに供給する原水の流量を制御する原水流量制御手段としての水流量調整器36と、アイスジェネレータ12Aに供給する原水の流量を計測する流量センサ45とがアイスジェネレータ12Aの原水供給口21に向かってこの順に配設されている。そして、水流量調整器36としては、制御手段94から送出される制御指令により弁の開度である弁開度が操作される流量制御弁などを挙げることができる。また、流量センサ45としては、計測したアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出する渦流量計などを挙げることができる。
【0084】
前記水温度センサ56は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)したアイスジェネレータ12Aに供給する原水、すなわち予冷後の原水の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、水温度センサ56は、アイスジェネレータ12Aの原水供給口21に供給する予冷した後の原水の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0085】
前記水流量調整器36は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令(制御信号)に基づいて、予冷装置53から送り出され、ケース内第1原水供給管26aを通過してアイスジェネレータ12Aに流入する予冷された原水の流量を制御(流量制御)することができる。すなわち、アイスジェネレータ12Aに供給する原水の流量調整ができるようになっている。
【0086】
前記流量センサ45は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(流量計測)した原水、すなわち水流量調整器36により流量制御された予冷した後の原水の流量のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、流量センサ45は、アイスジェネレータ12Aの原水供給口21に供給する原水である予冷した状態の原水の流量をリアルタイムで監視するように機能する。
【0087】
前記予冷装置53は、アイスジェネレータ12Aの原水流路18に供給する原水を供給の途中でコンデンシングユニット3A、ひいては冷凍機5から供給される冷媒を用いて予冷、すなわち原水の温度を0℃付近、例えば2℃にまで冷却するためのものである。この予冷装置53は、予冷した原水の送り出しに用いる流出口53a、冷却に供する原水の供給に用いる流入口53b、冷却に供する冷媒の供給に用いる冷媒入口53c、冷却に供した冷媒の送り出しに用いる冷媒出口53dを有している。なお、予冷装置53は、ステンレスからなる内管の内部を原水が流動し、鋼管からなる外管の内部を冷媒が流動する従来公知の2重管式のものであり、構成については従来と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0088】
前記予冷装置53の流入口53bには、ケース内第2原水供給管26bの一端が接続されており、ケース内第2原水供給管26bの他端は、ユニットケース11に設けられた第1ジョイント27に接続されている。そして、第1ジョイント27には、ユニットケース11の外部に配設されたストレーナ28が接続されている。さらに、ストレーナ28には、外部原水供給管29の一端が接続されている。この外部原水供給管29の他端には、原水供給ポンプ30が接続されており、原水供給ポンプ30の原水の流動方向の上流側は、常時は閉状態とされたストップバルブ31を介して原水供給源32に接続されている。
【0089】
前記原水供給ポンプ30は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミングを制御(駆動制御)できるようになっている。
【0090】
前記ケース内第2原水供給管26bの途中には、予冷装置53を介してアイスジェネレータ12Aに供給する原水の塩分濃度を計測する原水塩分濃度計測手段としての塩濃度センサ34と、原水供給源32からケース内第2原水供給管26bを介してアイスジェネレータ12Aに供給する原水の温度を計測する原水温度計測手段としての水温度センサ35と、ケース内第2原水供給管26bから予冷装置53の流入口53bに送り込まれる原水の温度を計測する水温度センサ54とが予冷装置53側に向かってこの順に配設されている。なお、水温度センサ35は、塩濃度センサ34より原水の流動方向上流側、すなわち第1ジョイント27側に配設されていてもよい。また、水温度センサ54は、予冷装置53の流入口53bに近接配置することが好ましい。
【0091】
前記塩濃度センサ34は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(塩分濃度計測)した原水の塩分濃度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、塩濃度センサ34は、原水の塩分濃度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0092】
前記水温度センサ35および水温度センサ54は、それぞれ制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した原水の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、水温度センサ35は、原水供給源32からケース内第2原水供給管26b、ひいてはアイスジェネレータ12Aに供給される原水の温度をリアルタイムで監視するように機能する。また、水温度センサ54は、予冷装置53の流入口53bに流入する原水の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0093】
ここで、ケース内第2原水供給管26bの原水の流動方向上流側に水温度センサ35を設け、ケース内第2原水供給管26bの原水の流動方向下流側にも水温度センサ54を設けたのは、ケース内第2原水供給管26bに流入した原水の温度と、予冷装置53の流入口53bに流入する原水の温度が異なる場合に対応するためであり、基本的には、水温度センサ35のみを設ける構成とすることができる。
【0094】
なお、ケース内第2原水供給管26bに流入した原水の温度と、予冷装置53の流入口に流入する原水の温度が異なる場合とは、例えば流入口53bからケース内第1原水供給管26aに送り出された予冷後の原水をケース内第2原水供給管26bに戻す構成とした場合を挙げることができる。具体的には、ケース内第1原水供給管26aの予冷装置53の流出口53aと水温度センサ54との間と、ケース内第1原水供給管26aの水温度センサ35と水温度センサ56との間を図示しない循環供給管により接続するとともに、循環供給管の途中に図示しない循環ポンプを設ける構成を挙げることができる。このような構成とすることで、予冷装置53の流入口53bからケース内第1原水供給管26aに供給された予冷後の原水のうち、水流量調整器36を通過してアイスジェネレータ12Aに供給されない過剰の原水をケース内第2原水供給管26bに戻すことができるから、循環ポンプにより戻される予冷された原水と予冷する前の原水とを混合して予冷装置53の流入口53bに送り込むことができるので、原水の予冷効率を向上させることができる。この場合、水温度センサ35は、製氷機ユニット2に供給された原水そのものの温度をリアルタイムで監視するように機能し、水温度センサ54は、予冷装置53の流入口53bに流入する原水の温度、すなわち予冷する前の原水とケース内第1原水供給管26aから戻された原水との混合水の温度をリアルタイムで監視するように機能する。また、循環ポンプは、制御手段94と電気的に接続され、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動および停止のそれぞれのタイミングが制御(駆動制御)されることになる。
【0095】
前記予冷装置53の冷媒入口53cには、ケース内冷媒供給管38の一端が接続されており、ケース内冷媒供給管38の他端は、ユニットケース11に設けられた第2ジョイント39に接続されている。
【0096】
前記ケース内冷媒供給管38の途中には、予冷装置53の図示しない冷媒流路に供給する冷媒の流量調整を行う冷媒流量制御手段としての電子膨張弁40bが配設されている。この電子膨張弁40bは、電気信号により絞り量が調整可能とされている。また、電子膨張弁40bは、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、予冷装置53に供給する冷媒の圧力を制御(圧力制御)できるようになっている。なお、電子膨張弁40bは、後述する受液器64から送られてくる冷媒(液体)の圧力を制御手段94から送出される制御指令に基づいて調整し、かつその流量を調整して予冷装置53(蒸発器)へ送るためのものである。この電子膨張弁40bとしては、パルスモータの駆動により、0−480パルスの分解能で冷媒流量を制御するものが用いられている。
【0097】
前記ケース内冷媒供給管38の電子膨張弁40bの配設位置より冷媒の流動方向の上流側(第2ジョイント39側)には、電磁弁41bが配設されている。この電磁弁41bは、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、電子膨張弁40b、ひいては予冷装置53の冷媒流路に対する冷媒の供給と停止とを制御(供給制御)できるようになっている。
【0098】
前記ケース内冷媒供給管38の電子膨張弁40bの冷媒の流動方向の下流側(冷媒入口53c側)には、予冷装置53に供給する冷媒の温度を計測する冷媒温度センサ59が配設されている。この冷媒温度センサ59は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した冷媒の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ59は、予冷装置53の冷媒流路に供給する冷媒の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0099】
すなわち、制御手段94は、予冷装置53の入口側に配設された冷媒温度センサ59による温度と、予冷装置53の出口側に配設された冷媒温度センサ60とによる温度の温度差を過熱度として一定値となるように電子膨張弁40bの弁開度を制御することになる。つまり、制御手段94は、予冷装置53の入口側に配設された水温度センサ35(水温度センサ54であってもよい。)と、予冷装置53の出口側に配設された水温度センサ56とにより、予冷装置53により熱交換される原水の温度を監視し、電磁弁41bを制御する(サーモ機能+ディファレンシャル(温度差))。なお、サーモ機能を使用しないで、電子膨張弁40bを絞り、過熱蒸気として原水の温度調整を行う構成とすることもできる。これにより、電磁弁41bを開いたままの状態として蒸発器である予冷装置53の冷媒流路の出口合流部(後述するケース内冷媒還流管47と、ケース内第2冷媒分岐管55との接続部)における圧力干渉を防止することができる。
【0100】
ここで、図示しない予冷後の原水をケース内第2原水供給管26bに戻す構成とした場合には、制御手段94は、予冷装置53の入口側に配設された水温度センサ35(水温度センサ54であってもよい。)と、予冷装置53の出口側に配設された水温度センサ56とにより、予冷装置53により熱交換される原水の温度を監視し、電磁弁41bを制御することになる。
【0101】
前記アイスジェネレータ12Aの氷送出口23には、ケース内氷送出管43の一端が接続されており、ケース内氷送出管43の他端は、ユニットケース11に設けられた第3ジョイント44に接続されている。なお、第3ジョイント44には、ユニットケース11の外部に配設された図示しない外部氷送出配管の一端が接続されている。また、製造したシャーベット氷をアイスジェネレータ12Aから外部へ送り出すのは、図示しないポンプにより行われる。
【0102】
前記ケース内氷送出管43の氷送出口23側には、氷送出口23から送出されるシャーベット氷の温度を計測するための氷温度センサ25が配設されている。この氷温度センサ25は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)したシャーベット氷のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、氷温度センサ25は、アイスジェネレータ12Aの氷送出口23から送出されるシャーベット氷の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0103】
前記予冷装置53の冷媒出口53dには、ケース内第2冷媒分岐管55の一端が接続されており、ケース内第2冷媒分岐管55の他端は、後述するケース内冷媒還流管47の途中に接続されている。また、ケース内第2冷媒分岐管55の途中には、冷媒温度センサ60と手動制御バルブ50とがケース内第2冷媒分岐管55に向かってこの順に配設されている。そして、冷媒温度センサ60は、予冷装置53から送り出された冷媒、すなわち、予冷装置53において熱交換されて通過した気化冷媒(蒸発した冷媒)の温度を計測するためのものである。この冷媒温度センサ60は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した冷媒の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出することができるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ60は、予冷装置53の冷媒流路で熱交換されて冷媒出口53dから送り出される冷媒の温度をリアルタイムで監視するように機能する。また、手動制御バルブ50は、予冷装置53において熱交換されて通過した気化冷媒の圧力調整(圧力制御)を行うためのものである。そして、手動制御バルブ50は、制御手段94と電気的に接続されておらず、手動式で必要に応じて予冷装置53を通過した後の気化冷媒の圧力調整ができるようになっている。なお、手動制御バルブ50に代えて制御手段94と電気的に接続する電子制御バルブを用いることもできる。この場合、電子制御バルブの冷媒の流動方向下流側にケース内第2冷媒分岐管55を通過する冷媒の圧力を計測する冷媒圧力センサを設け、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、予冷装置53の冷媒流路を通過した後の気化冷媒の圧力調整、すなわち蒸発温度制御をするとよい。
【0104】
前記アイスジェネレータ12Aの冷媒送出口24には、ケース内冷媒還流管47の一端が接続されており、ケース内冷媒還流管47の他端は、ユニットケース11に設けられた第4ジョイント48に接続されている。そして、ケース内冷媒還流管47の途中には、冷媒送出口24から送出された冷媒(蒸発した冷媒)の温度を計測するための冷媒温度センサ42と、蒸発器として機能するアイスジェネレータ12Aの冷媒流路15を熱交換されて通過した気化冷媒の圧力調整を行うための電子制御バルブ49と、蒸発器として機能するアイスジェネレータ12Aの冷媒流路15を熱交換されて通過した冷媒の圧力計測を行うための冷媒圧力センサ58aと、コンデンシングユニット3に戻る冷媒の温度を計測(温度計測)するための冷媒温度センサ57aとが第4ジョイント48に向かってこの順に配設されている。また、ケース内冷媒還流管47の冷媒圧力センサ58aの配設位置と冷媒温度センサ57aの配設位置との間には、ケース内第2冷媒分岐管55の他端が接続されている。なお、ケース内第2冷媒分岐管55に、手動制御バルブ50に代えて電子制御バルブを用いた場合には、予冷装置53の冷媒流路を通過した後の冷媒と、アイスジェネレータ12Aの冷媒流路15を熱交換されて通過した冷媒との混合した冷媒の圧力計測を行うための冷媒圧力センサを、ケース内冷媒還流管47のケース内第2冷媒分岐管55との接続点より第4ジョイント48側に設けるとよい。
【0105】
前記冷媒温度センサ42は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)したアイスジェネレータ12Aの冷媒送出口24からケース内冷媒還流管47に流入する冷媒の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出することができるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ42は、ケース内冷媒還流管47に流入する冷媒の温度をリアルタイムで監視するように機能する。また、電子制御バルブ49は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、冷媒流路15を通過した後の気化冷媒の圧力調整、すなわち蒸発温度制御ができるようになっている。さらに、冷媒圧力センサ58aは、制御手段94と電気的に接続されており、計測(吸入圧力計測)した冷媒の圧力のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出することができるようになっている。すなわち、冷媒圧力センサ58aは、熱交換した後にコンデンシングユニット3に戻る冷媒の圧力をリアルタイムで監視するように機能する。さらにまた、冷媒温度センサ57aは、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した冷媒の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出することができるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ57aは、コンデンシングユニット3に戻る冷媒の温度をリアルタイムで監視するように機能する。なお、冷媒の温度は、圧力で決まるので、冷媒温度センサ57aは必ずしも必要でない。すなわち、冷媒圧力センサ58aの計測値から冷媒の温度を得ることができる。また、制御手段94は、冷媒温度センサ57aおよび冷媒圧力センサ58aが計測した冷媒の蒸発温度および蒸発圧力を、後述するアイスジェネレータ12Aの電子膨張弁40aおよび予冷装置53の電子膨張弁40bによる冷媒の送液制御の一部、すなわちそれぞれの電子膨張弁40a、40bによる流路の開閉制御に用いるように構成されている。
【0106】
前記アイスジェネレータ12Aの冷媒供給口22には、ケース内第1冷媒分岐管51の一端が接続されており、ケース内第1冷媒分岐管51の他端は、ケース内冷媒供給管38における電磁弁41bの配設位置と第2ジョイント39との接続部との間に接続されている。すなわち、ケース内冷媒供給管38に供給された冷媒は、アイスジェネレータ12Aと予冷装置53との両者に供給できるようになっている。
【0107】
前記ケース内第1冷媒分岐管51の途中には、アイスジェネレータ12Aに供給する冷媒の流量調整を行う冷媒流量制御手段としての電子膨張弁40aが配設されている。この電子膨張弁40aは、電気信号により絞り量が調整可能とされている。また、電子膨張弁40aは、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、アイスジェネレータ12Aの冷媒流路15に供給する冷媒の圧力を制御(圧力制御)できるようになっている。なお、電子膨張弁40aは、受液器64から送られてくる冷媒(液体)の圧力を制御手段94から送出される制御指令に基づいて調整し、かつその流量を調整してアイスジェネレータ12A(蒸発器)へ送るためのものである。この電子膨張弁40aとしては、パルスモータの駆動により、0−480パルスの分解能で冷媒流量を制御するものが用いられている。
【0108】
前記ケース内第1冷媒分岐管51の電子膨張弁40aの配設位置より冷媒の流動方向の上流側(ケース内冷媒供給管38側)には、電磁弁41aが配設されている。この電磁弁41aは、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、電子膨張弁40a、ひいては冷媒流路15に対する冷媒の供給と停止とを制御(供給制御)できるようになっている。
【0109】
前記ケース内第1冷媒分岐管51の電子膨張弁40aの配設位置より冷媒の流動方向の下流側(アイスジェネレータ12A側)には、アイスジェネレータ12Aに供給する冷媒の温度を計測する冷媒温度センサ37が配設されている。この冷媒温度センサ37は、制御手段94と電気的に接続されており、計測(温度計測)した冷媒の温度のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出することができるようになっている。すなわち、冷媒温度センサ37は、アイスジェネレータ12Aの冷媒流路15に供給する冷媒の温度をリアルタイムで監視するように機能する。
【0110】
この結果、制御手段94は、アイスジェネレータ12Aの入口側に配設された冷媒温度センサ37による温度と、アイスジェネレータ12Aの出口側に配設された冷媒温度センサ42による温度との温度差を過熱度として一定値となるように電子膨張弁40aの弁開度を制御することになる。さらに、制御手段94は、電子制御バルブ49と電子膨張弁40aを併用して目標の蒸発温度と適正な過熱度になるように制御することになる。
【0111】
したがって、本実施形態においては、液状の冷媒をアイスジェネレータ12Aと予冷装置53との両者に供給することができるようになっている。
【0112】
なお、ケース内冷媒供給管38のケース内第1冷媒分岐管51の接続部と第2ジョイント39との間には、コンデンシングユニット3からケース内冷媒供給管38に送出された冷媒の凝集圧力を計測するための冷媒圧力センサ58bが配設されている。この冷媒圧力センサ58bは、制御手段94と電気的に接続されており、計測(凝集圧力計測)した冷媒の圧力のアナログ値を図示しないA/D変換器、例えば移動平均フィルタを用いたA/D変換器によりデジタル値に変換して制御手段94に送出できるようになっている。すなわち、冷媒圧力センサ58bは、コンデンシングユニット3からケース内冷媒供給管38に供給された冷媒の凝集圧力をリアルタイムで監視するように機能する。
【0113】
前記ケース内冷媒供給管38のケース内第1冷媒分岐管51の接続部と第2ジョイント39との間には、図示しない気液分離器が配設されており、この気液分離器を介してアイスジェネレータ12Aと予冷装置53とに冷媒を供給することができるようになっている。また、ケース内冷媒還流管47の冷媒温度センサ42と電子制御バルブ49との途中は、気液分離器を通過するように構成されており、アイスジェネレータ12Aを通過した冷媒を気液分離器を通過させるとともに、気液分離器を通過した冷媒の気体分を予冷装置53を通過した冷媒と混合してコンデンシングユニット3に戻すように構成されている。このような構成とすることにより、アイスジェネレータ12Aを通過してコンデンシングユニット3に戻る冷媒の気体分のみをコンデンシングユニット3に流入させ、液分をケース内冷媒供給管38およびケース内第1冷媒分岐管51を介してアイスジェネレータ12Aの冷媒流路15と、ケース内冷媒供給管38を介して予冷装置53の冷媒流路との両者に戻すことができる。なお、冷媒圧力センサ58bは、ケース内冷媒供給管38の第2ジョイント39と気液分離器との途中に配設されることになる。
【0114】
前記コンデンシングユニット3Aは、収納ケース61の内部に配設された冷凍機5の送液側である圧縮機62、凝縮器63および受液器64を有している。そして、圧縮機62は、駆動モータ66の駆動力によって駆動可能とされている。この駆動モータ66にはインバータ67が接続されている。このインバータ67は、制御手段94と電気的に接続されており、制御手段94に対して駆動モータ66による圧縮機62の運転状態を確認(状態確認)することができるとともに、制御手段94から送出される制御指令に基づいて、駆動(運転)および停止のそれぞれのタイミングを制御(駆動制御)できるようになっている。また、駆動モータ66をインバータ制御することにより、出力のきめ細やかな制御による省電力化や、制御目標への追従性向上を実現できるように形成されている。また、本実施形態の圧縮機62としては、空冷式のものが用いられている。
【0115】
前記圧縮機62の吸入口62aには、ケース内冷媒戻し管69の一端が接続されており、ケース内冷媒戻し管69の他端は、収納ケース61に設けられた第1接続部70に接続されている。そして、第1接続部70とユニットケース11に設けられた第4ジョイント48との間は、外部冷媒戻し管72によって接続されている。
【0116】
前記圧縮機62の吐出口62bには、ケース内第1接続管74の一端が接続されており、ケース内第1接続管74の他端は、凝縮器63の冷媒入口63aに接続されている。そして、凝縮器63の冷媒出口63bには、ケース内第2接続管75の一端が接続されており、ケース内第2接続管75の他端は、受液器64の液入口64aに接続されている。さらに、受液器64の液出口64bには、ケース内冷媒送出管76の一端が接続されており、ケース内冷媒送出管76の他端は、収納ケース61に設けられた第2接続部78に接続されている。そして、第2接続部78とユニットケース11に設けられた第2ジョイント39との間は、外部冷媒供給管80によって接続されている。
【0117】
前記コンデンシングユニット3Aとこのコンデンシングユニット3Aに接続されているアイスジェネレータ12Aの冷媒流路15とにより、本実施形態における原水を氷にする冷凍機5の主要部が構成されている。
【0118】
前記制御装置4Aは、各種の情報の入力および動作状態などの各種の情報の表示を行う機能を備えたタッチパネルなどからなる操作パネル92を有している。この操作パネル92は制御盤あるいは操作ボックスなどの使用目的に応じた所定形状のケース93に配設されており、操作パネル92は、ケース93内において操作パネル92の例えば背面側に配設された制御手段94と電気的に接続されている。
【0119】
前記制御手段94は、各種の演算処理を行う演算部として機能するCPU95と、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ96とを有している。
【0120】
前記制御手段94には、操作パネル92に加えて、サーボモータ19、原水供給ポンプ30、水流量調整器36、2つの電子膨張弁40a、40b、2つの電磁弁41a、41b、電子制御バルブ49、駆動モータ66を駆動制御するインバータ67や、時間をカウントするタイマ98や、塩濃度センサ34、氷温度センサ25、3つの水温度センサ35、54、56、6つの冷媒温度センサ33、37、42、57a、59、60、流量センサ45、2つの冷媒圧力センサ58a、58bなどのセンサ類や、図示しない電源スイッチ、始動スイッチ、停止スイッチ、非常停止スイッチなどのスイッチ類などが電気的に接続されている。なお、サーボモータ19、原水供給ポンプ30、水流量調整器36、2つの電子膨張弁40a、40b、2つの電磁弁41a、41b、電子制御バルブ49、およびインバータ67(駆動モータ66)などは、図示しないコントローラ(駆動回路)を介して制御手段94に電気的に接続されている。なお、タイマ98は、設計コンセプトなどの必要に応じて複数設けることができる。
【0121】
前記メモリ96は、適宜な容量のROM、RAMおよび電気的にデータの消去と書き込みとを行うことのできるEEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどにより形成されている。なお、不揮発性メモリとしては、SDメモリーカードなどの着脱可能なものであってもよい。
【0122】
前記メモリ96には、少なくともシャーベット氷製造装置1Aの可動部の動作制御および電源を入れたときのイニシャライズ動作などを実行するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0123】
前記シャーベット氷製造装置1Aの動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造時に、入力側要素を計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する理論値を、メモリ96に予め記憶されているデータ(データ群)に基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するものを挙げることができる。
【0124】
具体的には、シャーベット氷の製造時に、原水温度計測手段としての水温度センサ35および原水塩分濃度計測手段としての塩濃度センサ34により計測した原水の温度および塩分濃度のそれぞれの計測情報としての計測値を予め設定された時間毎に得、得られたそれぞれの計測値に対応する原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値をメモリ96に予め記憶されているデータに基づいて得、得られたそれぞれの理論値を原水流量制御手段としての水流量調整器36および冷媒流量制御手段としての2つの電子膨張弁40a、40bに対する制御値(制御信号)として出力するものを挙げることができる。ここで、予め設定される時間としては、例えば計測間隔が10分間隔などの等間隔でもよいし、例えば最初の計測が開始から20分後、2回目の計測が開始から35分後、3回の計測が開始から45分後、その後10分間隔などの複数の種類を組み合わせたものであってもよい。なお、計測間隔は、主として操作パネル92への入力操作により設定される。また、シャーベット氷製造装置1Aの運転時において、水温度センサ56および塩濃度センサ34を除く各センサは、それぞれの計測値をリアルタイムで制御手段に送出するように構成されている。
【0125】
また、シャーベット氷製造装置1Aの動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造に先立って実行する操作パネル92の表示制御、例えば、濃度値などの入力表示画面の位置や表示切換などを行うものを挙げることができる。
【0126】
さらに、シャーベット氷製造装置1Aの動作制御を行うプログラムおよびデータとしては、シャーベット氷の製造時に、圧縮機62、すなわち冷凍機5をインバータ制御による省エネモードで駆動させるためのものを挙げることができる。
【0127】
このようなシャーベット氷製造装置1Aの動作制御は、メモリ96に予め記憶されたプログラムおよびデータに基づいてCPU95が実行することになる。なお、CPU95のかわりにMPUを用いてもよい。
【0128】
前記メモリ96に記憶されるデータとしては、冷凍機5の冷凍能力に基づいて、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータ、本実施形態においては冷凍機5の冷凍能力に基づいて、計測した原水の塩分濃度および温度に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値を得るデータなどを挙げることができる。ここで、「目標氷温度」とは、「設定されたシャーベット氷の濃度を得るための氷の温度」であり、シャーベット氷の濃度が高くなると氷の温度が低くなるように、シャーベット氷の濃度によって氷の温度が異なるものである。なお、目標氷温度は、氷結温度以下となるのが一般的である。これらのデータは、他のデータとともにデータベースとされている。また、データは、コンピュータなどにより予め作成したものがメモリ96に記憶されている。
【0129】
前記制御側要素の理論値を得るデータは、少なくとも原水の塩分濃度および原水の温度に対する原水の流量および冷媒の流量の関係を示すものである。すなわち、原水の塩分濃度および温度から原水を最速で目標氷温度に移行させるための原水の流量および冷媒の流量を得るものである。このデータは、理論計算および実験値により形成することができる。また、このデータは、データテーブルとすることが関数演算式をメモリ96に記憶させる場合に比較して、演算に要する時間を短くすることができるという意味で好ましい。なお、予冷装置53に対する冷媒の供給は、凍結を防止するために、予冷装置53の仕様に応じて行われることになる。
【0130】
ここで、本実施形態における制御側要素の理論値を得るデータとは、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な制御情報を導くための理論値および実験による実効値のデータ群であり、
(a)塩分濃度、氷含有率、目標氷温度、氷結点の関係式(3次方程式)、
(b)冷凍機5の冷凍能力に基づく、原水の塩分濃度別に製氷機本体であるアイスジェネレータ12Aへの原水供給量と排出されるシャーベット氷の温度の関係(これは、最大冷凍能力のもと、予め設定した複数の原水流量毎にそのときの原水流量に対するシャーベット氷の温度を実験等により得る。そして、得られた原水供給量と排出されるシャーベット氷の温度の関係を曲線関数化して演算パラメータをベースに記録する。これは、塩分濃度毎に複数持つことになる。そして、データを使用する際には、データに一致する塩分濃度がない場合、塩分濃度の入力情報に対して、下方、上方の2つの塩分濃度の関数データを選択し、計測した塩分濃度に対して選択した関数データとの変化率を勘案して、原水の最大供給量を算出することになる。)、
(c)PID(P:比例、I:積分、D:微分)制御用パラメータ(冷媒制御用の2つの電子膨張弁40a、40b、原水流量調整用の水流量調整器36などのPID制御用のものである。)、
などが挙げられる。
【0131】
本実施形態における入力側要素(運転開始後リアルタイム計測)としては、
(a)情報の入力操作により得られる製造するシャーベット氷の濃度値(目標氷含有率:操作パネル92)、
(b)現在の原水の温度(℃)(水温度センサ35:タイマによる更新)
(c)現在の原水の塩分濃度(%)(塩濃度センサ34:タイマによる更新)、
(d)現在のシャーベット氷の温度(℃)(氷温度センサ25)、
(e)現在の原水の供給流量(L/min)(流量センサ45)、
(f)現在の予冷装置53の冷媒系統の入口、出口の温度(℃)(冷媒温度センサ59、60)、
(g)現在の予冷装置53の原水系統の入口、出口の温度(℃)(水温度センサ35(水温度センサ54であってもよい。)と、水温度センサ56)、
(h)現在の予冷装置53の冷媒系統の電子膨張弁40bの開度(%)(制御手段94の制御指令となる制御信号)、
(i)現在のアイスジェネレータ12Aの入口および出口)の温度(℃)(冷媒温度センサ37、42)、
(j)現在のアイスジェネレータ12Aの内部(蒸発温度)の温度(℃)(冷媒温度センサ33)、
(k)現在のアイスジェネレータ12Aの冷媒系統の電子膨張弁40aの弁開度(%)(制御手段94の制御指令となる制御信号)、
(l)現在のアイスジェネレータ12Aの冷媒系統の出口の後の電子制御バルブ49の弁開度(%)(制御手段94の制御指令となる制御信号)、
(m)現在の原水系統の水流量調整器36の弁開度(%)(制御手段94の制御指令となる制御信号)、
(n)現在の冷凍機5の吸入圧力(MPa)(冷媒圧力センサ58a)、
(o)現在の冷凍機5の凝縮圧力(MPa)(冷媒圧力センサ58b)、
などが挙げられる。
【0132】
なお、説明の便宜上、原水系統を短い破線、冷媒系統を実線、シャーベット氷系統を長い破線、電気(信号を含む)系統を一点鎖線にて図5に示してある。
【0133】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について本発明のシャーベット氷製造方法の実施形態とともに説明する。
【0134】
(シャーベット氷製造方法)
本実施形態のシャーベット氷製造方法は、基本的に前述した第1実施形態におけるシャーベット氷製造方法と同様とされているので、図3に示すシャーベット氷製造方法のフローチャートを用いて説明する。
【0135】
本実施形態のシャーベット氷製造方法は、前述した図5に示す本実施形態のシャーベット氷製造装置1Aを用いて実施する。また、シャーベット氷製造装置1Aによる動作は、制御手段94のCPU95がメモリ96に記憶されているプログラムおよびデータに基づいて、可動部の動作を制御して実行する。さらに、制御側要素の理論値を得るデータを含む各種のデータおよび動作制御を行うプログラムは、予めメモリ96に記憶する。
【0136】
図3に示すように、本実施形態のシャーベット氷製造方法は、まず、シャーベット氷の製造に先立って、設定処理(S1)を行う。この設定処理は、図示しない電源スイッチのオン操作により、シャーベット氷製造装置1Aに電源が供給された際の初期化動作およびチェック動作に続いて実施されるものであり、制御手段94が操作パネル92への入力操作を検出し、操作パネル92からシャーベット氷の濃度値が入力(氷濃度値の設定)されたか否かを判断し、シャーベット氷の濃度値が入力された場合には、入力された濃度値から対応する目標氷温度をメモリ96に記憶されているデータに基づいて決定し、決定した目標氷温度をメモリ96に記憶する。さらに、操作パネル92から、塩濃度センサ34、水温度センサ56によるそれぞれの計測周期(時間)が入力された場合には、入力された計測周期をメモリ96に記憶する。なお、前述したように、本実施形形態のデータは、コンピュータなどにより予め作成したものがメモリ96に記憶されているため、設定処理において、データがメモリ96に記憶されていることを確認することが、メモリ96にデータが記憶されていないという不都合が発生するのを確実に防止できるという意味で好ましい。
【0137】
ついで、すべての設定値の入力が終了したか否かを判断(S2)し、すべての設定値の入力が終了した場合(S2Y)には、つぎの運転処理(S3)に進行する。また、すべての設定値の入力が終了していない場合には、すべての設定値の入力が終了するまで待機する(S2N)。
【0138】
前記計測周期は、予めメモリ96に記憶された複数種から選択してもよいし、予めメモリ96に記憶された1種類を用いてもよい。この場合、計測周期の入力操作は省略されることになる。そして、すべての入力操作が終了すると、シャーベット氷の製造準備が完了する。
【0139】
ついで、ストップバルブ31が開操作され、その後図示しない始動スイッチのオン操作により、電磁弁41a、41bが開操作されるとともに、原水供給ポンプ30、サーボモータ19および駆動モータ66が駆動され、アイスジェネレータ12Aへの原水の供給、アイスジェネレータ12Aの冷媒流路15への冷媒の供給、シャフト16によるスクレーパ17の回転が始まって、シャーベット氷の製造が開始される。ここで、冷凍機5の圧縮機62の駆動モータ66の駆動は、原水供給ポンプ30が駆動した後に行われる(図6)。そして、シャーベット氷の製造が開始されると、運転処理(S3)を行う。この運転処理は、図示しない停止スイッチがオン操作されるまで行われる。
【0140】
前記運転処理においては、塩濃度センサ34および水温度センサ56のそれぞれが予め設定された時間毎、すなわち設定処理(S1)において設定された計測周期毎に、それぞれの計測値を制御手段94に送出する。なお、計測周期はタイマ98でカウントされる。なお、塩濃度センサ34、水温度センサ56のそれぞれが予め設定された時間毎に、それぞれの計測値を計測することで、原水の性状変化を監視することになる。
【0141】
そして、各計測情報である計測値を受け取った制御手段94は、入力側要素である塩濃度センサ34および水温度センサ56からの計測情報である計測値に対応する理論値、すなわち原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な原水の流量および冷媒の流量のそれぞれの理論値をメモリ96に記憶されているデータに基づいて得る。この得られた理論値は、制御側要素の制御情報、すなわち、水流量調整器36、2つの電子膨張弁40a、40b、および電子制御バルブ49に対する制御情報である制御信号(電気信号)からなる制御指令として出力され、水流量調整器36による原水の供給量および冷媒の送液制御の一部である電子膨張弁40a、40bによる冷媒の供給量および電子制御バルブ49による冷媒の送出量を制御する。また、冷媒温度センサ57aおよび冷媒圧力センサ58aからの計測情報である冷媒の蒸発温度および蒸発圧力を受け取った制御手段94は、受け取った冷媒の温度および圧力により、冷媒の送液制御の残部である2つの電磁弁41a、41bに対する制御情報である制御信号を出力し、2つの電磁弁41a、41bのそれぞれの流路を開く際の動作制御である開閉タイミング、すなわち冷媒の給液制御をする。なお、制御手段94は、入力側要素として蒸発器である予冷装置53およびアイスジェネレータ12Aのそれぞれの入口側に配設された冷媒温度センサ37、59による温度の計測値と、それぞれの出口側に配設された冷媒温度センサ42、60による温度の計測値との差(温度差)を過熱度として一定値となるように電子膨張弁40a、40bの弁開度をPI制御する。
【0142】
また、図示しないサーボアンプからの計測情報であるサーボモータ19の回転トルクを受け取った制御手段94は、受け取ったサーボモータ19のトルク値が、アイスジェネレータ12Aの内部である原水流路18の凍結の懸念が予想される値を超える場合や、サーボモータ19のトルク値が塩分濃度低下による高トルクであることが予想できる場合は、メモリ96に記憶されているデータに基づいてスクレーパ17の回転補正量を得、異常を回避するサーボモータ19のフィードバック制御を行う。勿論、凍結の有無、塩分濃度の高低の判断は、計測情報と、メモリ96に記憶されているデータおよびプログラムとに基づいてCPU95が判別することになる。さらに、インバータ67により、冷凍機5の圧縮機62をインバータ制御することで、冷凍機5の省エネ運転を行う。よって、運転処理においては、原水の流量制御、冷媒の流量制御、冷媒の給液制御、冷凍機5のインバータ制御およびサーボモータ19のフィードバック制御を行う。なお、冷媒の流量制御および給液制御を併せて冷媒の送液制御を行うことになる。
【0143】
したがって、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、事前準備として、入力側要素の性状変化である原水の温度および塩分濃度に対する目標氷温度への最速移行データ(物理特性上の理論値、実験値)を作成して、制御用に導いた関数群などのデータをメモリ96に記憶する。そして、シャーベット氷製造装置1Aの運用時には、入力側要素から出力される計測値から、制御側要素の理論値へとデータ追従である最適値への数値演算をさせ、制御値を出力するという動作を繰り返す。
【0144】
なお、本実施形態のシャーベット氷製造方法によるシャーベット氷製造装置1Aの運転フロー図を図6に示す。
【0145】
このように、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素を計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を、予め得られた冷凍機5の冷凍能力に基づいて入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するように構成されているから、データは、入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を短時間で確実に得ることができるので、データに基づいて入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を短時間で容易かつ確実に得ることができるとともに、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力することができるから、入力側要素に制約を与えず、入力側の計測情報に追従して制御側要素の制御情報を出力することができる。その結果、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。
【0146】
また、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素が原水の塩分濃度および温度であり、制御側要素が原水の流量および冷媒の流量であり、入力側要素の計測情報である原水の塩分濃度および温度が予め設定された時間毎に計測されるように構成されているから、原水の塩分濃度および温度を計測するという簡便な方法により短時間で良好なシャーベット氷を得るための原水の流量および冷媒の流量を制御できるし、計測情報を予め設定された時間毎に計測することにより、原水の流量および冷媒の流量が短時間で周期的に変化するのを防止できる。
【0147】
さらに、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、シャーベット氷を製造する際に用いる原水の塩分濃度および温度に制約、具体的には原水の塩分濃度の範囲および温度の範囲に条件がなく、計測情報である原水の塩分濃度および温度の計測値に追従して原水を最速で目標氷温度に移行させるための制御側要素、具体的には水流量調整器36による原水の流量および電子膨張弁40a、40bによる冷媒の流量のそれぞれを制御するための制御信号を出力することができるので、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができるし、従来必要であった原水の塩分濃度を予め設定された範囲とするための塩分濃度調整や、塩水を還流させる塩水還流ポンプを含む塩水還流回路を設ける必要がないので、従来のものより構造が簡単で、設置スペースが少なくて済むし、低コスト化を図ることができる。
【0148】
すなわち、本実施形態のシャーベット氷製造方法によれば、入力側要素に制約を与えず、入力側要素の計測情報に追従して出力側要素を制御することができる。
【0149】
また、本実施形態のシャーベット氷製造装置1Aによれば、本実施形態のシャーベット氷製造方法、すなわち、シャーベット氷の製造時に、原水の塩分濃度および温度からなる入力側要素を予め設定された時間毎に計測し、計測した入力側要素の計測情報に対応する原水の流量および冷媒の流量からなる制御側要素の理論値を、予め得られた冷凍機5の冷凍能力に基づいて入力側要素の性状変化に対応する原水を最速で目標氷温度に移行させるための最適な制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた理論値を制御側要素の制御情報として出力するシャーベット氷製造方法を実施する具体的なシャーベット氷製造装置1Aを実現でき、単にシャーベット氷を製造するのではなく、短時間で良好なシャーベット氷を得ることができる。このシャーベット氷製造方法は、冷凍機5の蒸発器として機能する冷媒流路15が設けられた製氷機本体としてのアイスジェネレータ12Aにおいて供給された塩水、海水あるいは真水からなる原水を、冷凍機5のコンデンシングユニット3Aから冷媒流路15に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパ17で掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すものである。
【0150】
したがって、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1Aによれば、短時間で良好なシャーベット氷を確実かつ容易に得ることができるし、本実施形態のシャーベット氷製造装置1Aによれば、本実施形態のシャーベット氷製造方法を簡便な構造で確実かつ容易に実施することができる。さらに、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1Aによれば、シャーベット氷の原材料となる原水を、塩水、海水あるいは真水から選択することができるので、原水の多様化を図ることができる。これにより、塩水あるいは海水を調達できない場合であっても、塩水あるいは海水に比較して入手が容易な真水からシャーベット氷を得ることができるので、原水の要素の制約を小さくすることができる。
【0151】
また、本実施形態のシャーベット氷製造方法およびシャーベット氷製造装置1Aによれば、原水の塩分濃度および温度を予め設定された時間毎に計測、すなわち監視し、計測した原水の塩分濃度および温度に対応する原水の流量および冷媒の流量を最速で目標氷温度に移行させるための制御値をデータとプログラムにより演算して得ることができるから、従来の原水の塩分の濃度を調整したり、塩水を還流させたりする構成に比べて、良好なシャーベット氷を効率よく製造することができる。
【0152】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、予冷装置を設けない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0153】
1、1A シャーベット氷製造装置
2、2A 製氷機ユニット
3、3A コンデンシングユニット
4、4A 制御装置
5 冷凍機
12、12A アイスジェネレータ
17 スクレーパ
18 原水流路
19 サーボモータ
25 氷温度センサ
30 原水供給ポンプ
34 塩濃度センサ(原水塩分濃度計測手段)
35 水温度センサ(原水温度計測手段)
33、37、42、57、57a、59、60 冷媒温度センサ
36 水流量調整器
40、40a、40b 電子膨張弁
41、41a、41b 電磁弁
49 電子制御バルブ
50 手動制御バルブ
52 膨張弁
53 予冷装置
54、56 水温度センサ
58、58a、58b 冷媒圧力センサ
62 圧縮機
63 凝縮器
64 受液器
66 駆動モータ
67 インバータ
92 操作パネル
94 制御手段
95 CPU
96 メモリ
98 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機の蒸発器として機能する冷媒流路が設けられた製氷機本体において供給されたシャーベット氷の原材料となる原水を、冷凍機のコンデンシングユニットから前記冷媒流路に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパで掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すシャーベット氷製造方法であって、
前記原水が、塩水、海水あるいは真水であり、
シャーベット氷の製造時に、入力側要素を計測し、計測した前記入力側要素の計測情報に対応する制御側要素の理論値を、予め得られた前記冷凍機の冷凍能力に基づいて前記入力側要素の性状変化に対応する前記原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な前記制御側要素の理論値を得るデータに基づいて得、得られた前記理論値を前記制御側要素の制御情報として出力することを特徴とするシャーベット氷製造方法。
【請求項2】
前記入力側要素が前記原水の塩分濃度および温度であり、
前記制御側要素が前記原水の流量および前記冷媒の流量であり、
前記入力側要素の計測情報である前記原水の塩分濃度および温度が予め設定された時間毎に計測されることを特徴とする請求項1に記載のシャーベット氷製造方法。
【請求項3】
冷凍機の蒸発器として機能する冷媒流路が設けられた製氷機本体において供給されたシャーベット氷の原材料となる原水を、冷凍機のコンデンシングユニットから前記冷媒流路に供給された冷媒により冷却することで生成した氷を回転駆動されるスクレーパで掻き取って所定濃度のシャーベット氷を得て外部に送り出すシャーベット氷製造装置であって、
前記製氷機本体に供給する前記原水の温度を計測する原水温度計測手段と、
前記製氷機本体に供給する前記原水の塩分濃度を計測する原水塩分濃度計測手段と、
前記製氷機本体に供給する前記原水の流量を制御する原水流量制御手段と、
前記製氷機本体に供給する前記原水を前記コンデンシングユニットから供給される冷媒により予冷するための予冷装置と、
前記冷媒流路に供給する冷媒の流量を制御する冷媒流量制御手段と、
情報の入力操作に用いる入力手段と、
記憶部および演算部を具備し各部の動作の制御を司る制御手段とを有しており、
前記原水が、塩水、海水あるいは真水であり、
前記記憶部には、前記冷凍機の冷凍能力に基づいて、前記原水の塩分濃度および温度の性状変化に対応する前記原水を最速で氷結点あるいは目標氷温度に移行させるための最適な前記原水の流量および前記冷媒の流量のそれぞれの理論値を得るデータが記憶されており、
前記制御手段は、シャーベット氷の製造時に、前記原水温度計測手段および前記原水塩分濃度計測手段により計測した前記原水の温度および塩分濃度のそれぞれの計測情報を予め設定された時間毎に得、得られたそれぞれの計測情報に対応する前記原水の流量および前記冷媒の流量のそれぞれの前記理論値を前記データに基づいて得、得られたそれぞれの前記理論値を前記原水流量制御手段および前記冷媒流量制御手段による制御値として出力するように形成されていることを特徴とするシャーベット氷製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76553(P2013−76553A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−64001(P2012−64001)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(395014563)