説明

シュリンクラベル付きガラス瓶

【課題】ガラス瓶が割れたことを容易に発見できるシュリンクラベル付きガラス瓶を提供する。
【解決手段】ガラス瓶(10)の胴部(7)にシュリンクラベル(20)が装着されたシュリンクラベル付きガラス瓶において、ガラス瓶の胴部と底部(9)との間には面取り部(8)が形成され、面取り部にシュリンクラベルの下端が係止されており、ガラス瓶の胴部には複数の縦溝(11)と複数の縦溝を接続する少なくとも一つの横溝(12)とが形成されており、縦溝の上端はシュリンクラベルの上端よりも下方に位置し且つ縦溝の下端はシュリンクラベルの下端に対応した位置またはシュリンクラベルの下端よりも下方の位置にあり、シュリンクラベルには、シュリンクラベルの上端から下端まで胴部の縦方向に延びていて、少なくとも一つの横溝に交差する縦ミシン目(21)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス瓶の胴部にシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付きガラス瓶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス瓶には、紙製のラベルがガラス瓶の周面に少なくとも部分的に貼付けられている。しかしながら、近年では、特許文献1に記載されるように、紙製のラベルの代わりに、シュリンクラベルをガラス瓶の周面全体に装着することもある。シュリンクラベルを装着する場合には、広告などの表示面積が拡大されると共に、ガラス瓶が割れた際であっても、破片が飛散するのを防止できるという効果もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭53−27259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シュリンクラベルを装着する場合には、ガラス瓶に生じたひび割れを発見し難いという問題があることが判明した。
【0005】
これに対し、紙製のラベルがガラス瓶に貼付けられる場合には、ひび割れ箇所から液体が漏洩して紙製ラベルに浸透する。このため、ガラス瓶の割れを容易に発見することができる。
【0006】
しかしながら、シュリンクラベルをガラス瓶に装着する場合には、シュリンクラベルがガラス瓶の表面に密着しているので、液体がひび割れ箇所から漏洩し難く、また液体がシュリンクラベルに浸透することもない。このため、シュリンクラベルをガラス瓶に装着する場合には、ガラス瓶にひび割れが生じたのを発見するのを困難にしている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ガラス瓶が割れたことを容易に発見できるシュリンクラベル付きガラス瓶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、ガラス瓶の胴部にシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付きガラス瓶において、前記ガラス瓶の胴部と底部との間には面取り部が形成され、該面取り部に前記シュリンクラベルの下端が係止されており、前記ガラス瓶の胴部には複数の縦溝と前記複数の縦溝を接続する少なくとも一つの横溝とが形成されており、前記縦溝の上端は前記シュリンクラベルの上端よりも下方に位置し且つ縦溝の下端は前記シュリンクラベルの下端に対応した位置または前記シュリンクラベルの下端よりも下方の位置にあり、前記シュリンクラベルには、該シュリンクラベルに形成された複数の孔より構成されていて、該シュリンクラベルの上端から下端まで前記胴部の縦方向に延び、前記少なくとも一つの横溝に交差する縦ミシン目が形成されている、シュリンクラベル付きガラス瓶が提供される。
【0009】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記ガラス瓶の首部と胴部との間には、前記首部の下方において徐々に幅広になる肩部を備え、前記横溝は当該肩部に形成されている。
【0010】
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記縦ミシン目を構成する一つの孔の間隔は前記横溝の幅よりも小さいようにした。
【0011】
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記シュリンクラベルには、さらに、前記胴部の周方向に延びる横ミシン目が形成されており、前記横ミシン目は前記シュリンクラベルに形成された複数の孔より構成されており、前記横ミシン目を構成する一つの孔の間隔は前記縦溝の幅よりも小さいようにした。
【0012】
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記横溝は、前記ガラス瓶の周方向に直線状に延びている。
【発明の効果】
【0013】
1番目の発明においては、ミシン目を構成する少なくとも一つの孔またはその一部分が、横溝に重畳する。従って、空気が孔から横溝に進入でき、次いで、縦溝にも流通する。このため、ガラス瓶にひび割れが生じたときに、液体が縦溝の下端から漏洩するようになり、ガラス瓶のひび割れを早期かつ容易に発見することが可能となる。
【0014】
2番目の発明においては、ガラス瓶において破損の生じ易い箇所である肩部と胴部との境から底部にかける部位よりも上方に位置する肩部に横溝を設けていることから、ガラス瓶にひび割れが生じたときに空気は縦溝に確実に進入し、従ってガラス瓶のひび割れをより容易に発見できる。
【0015】
3番目の発明においては、ミシン目を構成する少なくとも一つの孔またはその一部分が、確実に横溝に重畳するようになる。
【0016】
4番目の発明においては、ミシン目を構成する少なくとも一つの孔またはその一部分が、縦溝に確実に重畳する。従って、空気が孔から横溝に進入するだけでなく、空気が孔から直接的に縦溝にも進入できる。このため、ガラス瓶にひび割れが生じたときに、液体が縦溝の下端から漏洩するようになり、ガラス瓶のひび割れを早期かつ容易に発見することが可能となる。
【0017】
5番目の発明においては、横溝に進入した空気が最短で縦溝間を流通することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。
【図2】図1に示されるシュリンク付きガラス瓶の部分斜視図である。
【図3】図1に示されるシュリンク付きガラス瓶の部分断面側面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明の第一の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。図1に示されるシュリンクラベル付きガラス瓶10は、その肩部と胴部とが概ねシュリンクラベル20により被覆された、フルシュリンク構造を有している。
【0020】
シュリンクラベル20は、熱収縮性を有するプラスチックフィルムであり、その表面には図柄、文字などからなる広告などが印刷されている。公知であるように、シュリンクラベル20は加熱によって熱収縮し、それにより、ガラス瓶10の表面に密着する。
【0021】
図1に示されるように、ガラス瓶10は、キャップ4が取付けられた口部3と、口部3の下方において口部3よりも幅狭な首部5と、首部5の下方において徐々に幅広になる肩部6と、肩部6の下方において略鉛直に延びる胴部7と、胴部7の下方において徐々に幅狭になる面取部8と、底部9とを含んでいる。
【0022】
さらに、胴部7には、ガラス瓶10の縦方向に延びる少なくとも一つの縦溝11が形成されている。図1に示されるガラス瓶10においては、これら縦溝11は略直線状に延びていて、周方向に等間隔で形成されている。また、縦溝11の上端は先細に形成されて肩部6に到達し、先細に形成されていない縦溝11の下端11aは面取部8まで到達している。なお、面取部8は、角面取に限られず、R面取の様に他の面取形状であってもよい。
【0023】
図2は、図1に示されるシュリンク付きガラス瓶の部分斜視図である。図2に示されるように、シュリンクラベル20の下端は、縦溝11の下端11aよりもわずかながら上方の位置にある。なお、縦溝11の溝断面は半円形状、V字形状または他の形状であってもよい。
【0024】
また、図1に示されるように、シュリンクラベル20の上端は、縦溝11の上端を完全に被覆するように肩部6の途中まで到達している。このようなことから、シュリンクラベル20はその上端が肩部6に係止すると共に、その下端が面取部8に係止している。このため、シュリンクラベル20が上下方向に位置ズレすることはない。
【0025】
図3は図1に示されるシュリンク付きガラス瓶の部分断面側面図である。図3から分かるように、縦溝11の全体はシュリンクラベル20に被覆されていて、その下端11aは開放している。このため、ガラス瓶10とシュリンクラベル20との間には、上端が閉鎖されていて下端のみが開放した液体排出通路が形成されることになる。
【0026】
再び図1を参照すると、ガラス瓶10の肩部6には、周方向に直線状に延びる横溝12が形成されている。横溝12は縦溝11と同様な断面を有しており、複数の縦溝11を互いに接続している。図1に示される実施形態においては、横溝12はガラス瓶10の周方向全体に亙って延びている。ただし、横溝12が全ての縦溝11を接続していれば、横溝12がガラス瓶10の周方向に部分的にのみ延びていてもよい。
【0027】
さらに、図1に示されるように、シュリンクラベル20には、縦ミシン目21がシュリンクラベル20の上端から下端まで縦方向に形成されている。図1においては、縦ミシン目21は縦溝11が存在しない領域に位置決めされている。ただし、縦ミシン目21が一つの縦溝11に対応した位置に形成されていてもよい。
【0028】
図1から分かるように、縦ミシン目21はシュリンクラベル20を貫通する複数の孔から形成されている。隣接する孔は所定距離だけ互いに離れており、その距離は、消費者が縦ミシン目21に沿ってシュリンクラベル20を切り裂くのに適した長さである。また、隣接する孔の距離は、縦溝11に対して平行な、横溝12の幅よりも小さいものとする。
【0029】
縦ミシン目21を構成する孔はシュリンクラベル20を貫通しており、縦ミシン目21は交差箇所Aにおいて必ず横溝12に交差する。このため、縦ミシン目21と横溝12との交差箇所Aにおいては、シュリンクラベル20の外部は横溝12の内部に連通している。従って、縦ミシン目21を構成する孔のうち、交差箇所Aに少なくとも部分的に位置する孔は、シュリンクラベル20の外部と横溝12の内部とを連通する連通孔としての役目を果たす。
【0030】
このように第一の実施形態におけるガラス瓶10においては、縦ミシン目21の一つの孔が少なくとも部分的に横溝12に重畳する。従って、空気がこの孔から横溝12に進入することができ、次いで、空気は横溝12を通って全ての縦溝11に流通するようになる。また、第一の実施形態においては、横溝12が周方向に直線状に延びて複数の縦溝11を互いに接続しているので、横溝12に進入した空気が最短で縦溝11間を流通する。
【0031】
このため、ガラス瓶10にひび割れが生じてガラス瓶10内部の液体が或る縦溝11に漏洩した場合には、交差箇所Aから横溝12を通ってその縦溝11まで到達した空気によって、液体はその縦溝11内を下方に流れ、下端11aからガラス瓶10の外部に流出する。それゆえ、本発明では、ガラス瓶10にひび割れが生じたことを早期かつ容易に発見することが可能となる。
【0032】
また、ガラス瓶10にひび割れが生じてガラス瓶10内部の液体が横溝12まで漏洩した場合には、空気が交差箇所Aに在る孔から横溝12に同様に進入する。従って、液体はひび割れ箇所に隣接する縦溝11内を流れてその下端11aから流出する。従って、この場合にも、ガラス瓶10にひび割れが生じたことを早期かつ容易に発見することが可能となる。
【0033】
図4は本発明の第二の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。図4においては、上下方向に蛇行する一つの蛇行溝13が肩部6に形成されている。図4に示されるように、蛇行溝13は肩部6の周方向に延びていて、全ての縦溝11に接続している。このため、蛇行溝13は一種の横溝12と解釈してよい。従って、この場合にも前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。
【0034】
さらに、第二の実施形態においては、蛇行溝13を採用したためにデザインの自由度が高くなり、ガラス瓶10の装飾性を高めることも可能である。さらに、胴部7の周方向に延びる複数の蛇行溝13を形成してもよく、その場合には、ガラス瓶10の装飾性をさらに高めることができる。
【0035】
図5は本発明の第三の実施形態に基づくシュリンクラベル付きガラス瓶の側面図である。図5に示されるガラス瓶10のシュリンクラベル20には、胴部7の周方向に延びる横ミシン目22が形成されている。横ミシン目22は、前述した縦ミシン目21と同様に複数の孔から構成されている。前述したのと同様に、これら孔の距離のそれぞれは、縦溝11の幅よりも小さいものとする。
【0036】
図5から分かるように、このような横ミシン目22が形成されている場合には、横ミシン目22を構成する孔が少なくとも部分的に縦溝11に重畳する。このため、縦ミシン目21の孔から横溝12に空気が進入するだけでなく、横ミシン目22の孔からも空気が縦溝11に直接的に進入するようになる。
【0037】
従って、前述した場合と同様に、ガラス瓶10にひび割れが生じてガラス瓶10内部の液体が或る縦溝11および/または横溝12まで漏洩した場合には、縦溝11と横ミシン目22との間の交差箇所から流入した空気によって液体は縦溝11の下端11aからガラス瓶10の外部に流出する。それゆえ、ガラス瓶10にひび割れが生じたことを早期かつ容易に発見することが可能となる。
【0038】
また、図5に示されるように直線状に延びる複数の横溝12が肩部6から胴部7にわたって形成されていてもよい。このような場合には、ガラス瓶10に生じたひび割れ箇所より上方に位置し、かつ最も近い横溝12を通じて空気が複数の縦溝11に流通するので、ガラス瓶10内の液体が縦溝11の下端11aから直ぐに流出するようになる。従って、ガラス瓶10にひび割れが生じたことをさらに早期に発見することができる。
【0039】
図5に示される実施形態においては、複数の横溝12の全てが肩部6から胴部7にわたる周方向全体に延びている。ただし、複数の横溝12のそれぞれが周方向に互いにずれて部分的に延びており、全ての横溝12によって肩部6から胴部7にわたる周方向全体に延びる構成であってもよい。そのような場合であっても、複数の横溝12を通じて空気が全ての縦溝11に流通する。従って、述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。また、前述した実施形態を適宜組み合わせることは、本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
3 口部
4 キャップ
5 首部
6 肩部
7 胴部
8 面取部
9 底部
10 ガラス瓶
11 縦溝
11a 下端
12 横溝
13 蛇行溝
20 シュリンクラベル
21 縦ミシン目
22 横ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス瓶の胴部にシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付きガラス瓶において、
前記ガラス瓶の胴部と底部との間には面取り部が形成され、該面取り部に前記シュリンクラベルの下端が係止されており、
前記ガラス瓶の胴部には複数の縦溝と前記複数の縦溝を接続する少なくとも一つの横溝とが形成されており、前記縦溝の上端は前記シュリンクラベルの上端よりも下方に位置し且つ縦溝の下端は前記シュリンクラベルの下端に対応した位置または前記シュリンクラベルの下端よりも下方の位置にあり、
前記シュリンクラベルには、該シュリンクラベルに形成された複数の孔より構成されていて、該シュリンクラベルの上端から下端まで前記胴部の縦方向に延び、前記少なくとも一つの横溝に交差する縦ミシン目が形成されている、シュリンクラベル付きガラス瓶。
【請求項2】
前記ガラス瓶の首部と胴部との間には、該首部の下方において徐々に幅広になる肩部を備え、前記横溝は当該肩部に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシュリンクラベル付きガラス瓶。
【請求項3】
前記縦ミシン目を構成する一つの孔の間隔は前記横溝の幅よりも小さいようにした、請求項1または2に記載のシュリンクラベル付きガラス瓶。
【請求項4】
前記シュリンクラベルには、さらに、前記胴部の周方向に延びる横ミシン目が形成されており、
前記横ミシン目は前記シュリンクラベルに形成された複数の孔より構成されており、前記横ミシン目を構成する一つの孔の間隔は前記縦溝の幅よりも小さいようにした、請求項1から3のいずれか一項に記載のシュリンクラベル付きガラス瓶。
【請求項5】
前記横溝は、前記ガラス瓶の周方向に直線状に延びている請求項1から4のいずれか一項に記載のシュリンクラベル付きガラス瓶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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