説明

シュリンクラベル及びラベル付き容器の製造方法

【課題】くびれ部を有する容器に対して、エア溜まりやしわの発生を抑制して見栄え良くラベルを装着することが可能なシュリンクラベルを提供することである。
【解決手段】シュリンクフィルム10は、熱収縮性フィルムを基材フィルムとし、くびれ部14を有する容器11に装着されるシュリンクラベル10であって、少なくともくびれ部14に装着される部分に対して、レーザーを照射することにより、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿って設けられた複数の通気孔16を備え、通気孔16の周縁には、基材フィルムの厚みが周囲よりも厚くなった厚肉部17が形成されていることを特徴とする。さらに、通気孔16の形状を、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクラベル係り、特に、くびれ部を有する容器に装着されるシュリンクラベル及びラベル付き容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンクラベルは、飲料やトイレタリー製品等を充填したプラスチックボトルなどに広く使用されている。シュリンクラベルとは、熱収縮性フィルムを基材フィルムとし、加熱処理することにより基材フィルムを収縮させ容器の形状にラベルの形状を追従させて、容器形状に密着した装着を可能とするラベルである。したがって、複雑な形状の容器であっても、その形状に密着してラベルを装着することができる。
【0003】
例えば、くびれ部を有する容器に対しても、くびれ部の形状に追従してラベルを装着することができる。しかし、くびれ部の両端付近には、ラベルと容器との間に空気(気泡)が残り易く、所謂エア溜まりが発生して、見栄えが悪くなる場合がある。このようなエア溜まりの発生を抑制するために、ラベルのくびれ部に装着される部分に小孔を設けたシュリンクラベルが特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1には、小孔は、熱収縮時にくびれ部に溜まる空気が逃げられる程度の大きさであって、ほとんど気が付かない位の小さな孔である、と記載されている。また、小孔は、針先で突いて形成されることが例示され、円形状の小孔がくびれ部の周方向に沿って多数設けられた構成が開示されている。そして、特許文献2には、小孔を設けることにより、くびれ部或いはその周辺に、しわやエア溜まりが発生することを抑制できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61‐11364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際には、特許文献1のラベルのように、空気を抜くための孔(小孔)のサイズが小さい場合には、空気の抜けが悪くエア溜まりを解消することは難しい。一方、孔を大きくし過ぎると、加熱収縮処理時に孔が熱収縮方向に広がって、見栄えが悪くなるという問題が発生する。また、くびれ部の周方向に沿って多数の小孔を設けると、過熱収縮処理時の孔の広がりによって、その部分の機械的強度が低下してラベルが破断し易くなる。さらに、ラベルと容器との間に存在する空気が一気に抜けて、しわが発生することも想定される。このようなエア溜まりやしわは、特に、フィルム厚みが薄い薄膜ラベルにおいて抑制することが難しく、くびれ部を有する容器に薄膜ラベルを見栄え良く装着することは容易ではない。
【0007】
上記のように、空気を抜くための孔のサイズは、ラベルの加熱収縮処理によって広がるので、その広がりを考慮して孔のサイズを予め適当な大きさに調整することも考えられるが、そのような調整は極めて困難である。したがって、特許文献1を含む従来の技術では、適度な空気の抜け具合を調整することが難しく、エア溜まりやしわの発生を抑制する観点から未だ改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、くびれ部を有する容器に対して、エア溜まりやしわの発生を抑制して見栄え良くラベルを装着することが可能なシュリンクラベルを提供することである。特に、薄膜ラベルにおいても好適な装着性を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシュリンクラベルは、熱収縮性フィルムを基材フィルムとし、胴部にくびれ部を有する容器に装着されるシュリンクラベルにおいて、少なくともくびれ部に装着される部分に対して、レーザーを照射することにより、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿って設けられた複数の通気孔を備え、通気孔の周縁には、基材フィルムの厚みが周囲よりも厚くなった厚肉部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、通気孔は、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状であることが好ましい。
【0011】
また、通気孔は、少なくともくびれ部の両端に対応する部分に、それぞれ1つずつ設けられることが好ましい。
【0012】
また、縮径部を除く部位に装着される部分には、通気孔を含む貫通孔を有さない又は縮径部に装着される部分よりも貫通孔の数を少なくすることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るラベル付き容器の製造方法は、シュリンクラベルの筒状体を容器に被嵌して、筒状体の少なくとも上下方向いずれか一端を加熱収縮させて容器に装着する工程と、その後に、筒状体の上下方向の他端を加熱収縮させて容器に装着する工程と、その後に、筒状体の中央部を加熱収縮させることによって、縮径部を除く部位に対応する部分を加熱収縮させて装着する工程であって、筒状体と容器との間に空気を溜めた状態から通気孔を介してその空気を抜きながら加熱収縮させて装着する工程と、くびれ部に対応する部分を加熱収縮させて装着する工程であって、ラベルと容器との間に空気を溜めた状態から通気孔を介してその空気を抜きながら加熱収縮させて装着する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシュリンクラベルによれば、少なくともくびれ部に装着される部分に対して、レーザーを照射することにより、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿って設けられた複数の通気孔を備え、通気孔の周縁には、基材フィルムの厚みが周囲よりも厚くなった厚肉部が形成されているので、くびれ部を有する容器に対して、ラベルのしわやエア溜まりの発生を抑制して見栄え良くラベルを装着することが可能になる。
【0015】
即ち、容器のくびれ部には、エア溜まりが発生し易いが、通気孔を介してラベルと容器との間に溜まった空気を抜くことができるので、エア溜まりの発生を抑制することが可能になる。空気を抜け易くするために通気孔のサイズを適度に大きく設定した場合でも、厚肉部の効果により加熱収縮時における通気孔の広がりを抑制することができるので、ラベルの見栄えの悪化や機械的強度の低下を防止することができると共に、通気孔サイズの調整が容易になる。
【0016】
また、通気孔の形状を、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状とした構成とすれば、厚肉部により広がり難くなった通気孔においても、エア溜まりを抑制するのに十分な通気孔サイズを確保することができる。
【0017】
また、通気孔を、少なくともくびれ部の両端に対応する部分に、それぞれ1つずつ設けた構成とすれば、特に空気が残存し易いくびれ部の両端において、エア溜まりを抑制することができる。
【0018】
また、縮径部を除く部位に装着される部分には、通気孔を含む貫通孔を有さない又は縮径部に装着される部分よりも貫通孔の数を少なくする構成とすれば、ラベルと容器との間に空気を溜めた状態から縮径部に設けられた通気孔を介して徐々にその空気を抜きながらラベルを収縮させることができるので、特に縮径部を除く部分のしわの抑制効果が高まってラベルの装着性がさらに良好なものとなる。特に、縮径部を除く部位には、商品名やロゴ等を表示する印刷層が設けられることが多いので、この構成は、ラベル付き容器の見栄え向上の観点から極めて重要である。
【0019】
また、本発明に係るラベルつき容器の製造方法によれば、シュリンクフィルムの筒状体と容器との間に空気を溜めた状態から通気孔を介してその空気を抜きながら加熱収縮させて装着することができるので、しわやエア溜まりの発生を抑制して見栄え良くラベルを装着することが可能になる。
【0020】
なお、本発明に係るシュリンクラベルの構成は、特に、厚みが20〜45μmの熱収縮性フィルムを用いた薄肉シュリンクラベルに適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施の形態におけるシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器を示す図である。
【図2】図1のラベル付き容器において、各通気孔の中心を通りラベル付き容器の上下方向に沿って切断した断面を示す図である。
【図3】図1のシュリンクラベルにおいて、容器に装着される前の筒状体を示す平面図である。
【図4】図3のシュリンクラベルを容器に装着する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。なお、シュリンクラベル10の厚みは、通常、20〜100μm程度と薄いものであるが、各図におけるシュリンクラベル10の厚みは、各構成要素(通気孔16等)を明示すために、実際よりも厚く記載している。
【0023】
図1は、シュリンクラベル10が装着された容器11(ラベル付き容器)を示している。容器11は、内容物が充填される容器本体12と、容器本体12に取り付けられたキャップ部13とから構成され、円筒形状を有している。そして、容器本体12の一部には、くびれ部14が形成されている。容器本体12のくびれ部14を除く部位は、周長が均一で周面がフラットな形状を有する。以下では、この部位を胴部15と称する。なお、くびれ部14とは、くびれが形成された部位、即ち上側に向かうにつれて一旦周長が近傍部位の周長(但し、シュリンクラベル10を装着してブリッジするような周方向の凹みを有するときは、その凹みがないものとして周長を算出する)よりも小さくなり、再び周長が大きくなる上下方向に凹んだ(窪んだ)部位を意味する。
【0024】
キャップ部13は、例えば、スクリューキャップであって、容器本体12の上部には、図示しない内容物の取り出し口を有するスクリューキャップの取り付け部が形成されている。また、キャップ部13は、容器11の上方に向かって周長が次第に小さくなるように湾曲した形状を有する。以下では、周長が近傍部位の周長よりも小さくなる部位を縮径部と称し、特に、容器11の胴部15の上側(キャップ部13)における縮径部を肩部と称する。なお、くびれ部14は、縮径部に含まれるが、肩部は、凹んだ形状ではなく上側に向かうにつれて周長が徐々に小さくなるが再び大きくならない点においてくびれ部14と区別される。
【0025】
以下では、シュリンクラベル10が装着される容器11として、上記のように、容器本体12の中央に1つのくびれ部14を有する円筒容器(図1)を例に挙げて説明するが、シュリンクラベル10は、この容器11に限定されず、例えば、複数のくびれ部14が形成された形態など種々の形態の容器に対しても良好な装着性を有する。
【0026】
シュリンクラベル10は、上記のように、熱収縮性フィルムを基材フィルムとし、加熱処理することにより基材フィルムを収縮させ容器の形状にラベルの形状を追従させて、容器形状に密着した装着を可能とするラベルである。したがって、図1、図2に示すように、くびれ部14を有する容器11に対しても、シュリンクラベル10をくびれ部14の形状に密着させて装着することができる。ここで、図2は、後述する複数の通気孔16の中心を通り図1に示すラベル付き容器を上下方向に沿った切断した断面を示す図である。なお、図2(図4についても同様)では、図面の明瞭化のために、容器11の断面表示を省略する。
【0027】
シュリンクラベル10の基材フィルム(熱収縮性フィルム)に使用できる樹脂組成物としては、特に限定されることなく公知の樹脂を使用することができる。熱収縮性フィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物等を含むフィルムを挙げることができる。また、2種以上のフィルムを積層した積層フィルム、不織布、金属蒸着層、発泡層等との積層フィルムとすることもできる。なお、これらのうち、柔軟性、伸縮性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、及びこれらの積層体を使用することが好ましく、PET、PSを使用することが特に好ましい。ここで、PET、PS、PPは、共重合成分や変性成分を含むものであってもよい。
【0028】
熱収縮性フィルムは、良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。延伸倍率としては、円筒形状の容器11の周方向に対応する方向(図3に示す筒状体の周方向)に、2〜6倍程度が好ましく、場合によっては容器11の長手方向に対応する方向(図3に示す筒状体の長手方向)に、1.01〜2倍程度であることが好ましい。なお、延伸方式としては、ロール方式、テンター方式及びチューブ方式等を使用することができる。熱収縮性フィルムの熱収縮率としては、主延伸方向に対して、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。また、主延伸方向に直交する方向に対しては、好ましくは−3〜15%、さらに好ましくは−1〜10%、特に好ましくは−1〜5%である(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。
【0029】
熱収縮性フィルムの表面には、商品名や商品イメージ等を表す文字や模様など所望の色相に調整した印刷層19を形成することができ、印刷層19の形成には、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、平板印刷及び孔版印刷等の公知の方法を適用できる。所望の顔料や染料と、ビヒクルと称されるバインダ樹脂(アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂等)と、有機溶剤(エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及びケトン系溶剤等)と、添加剤(ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、及び消泡剤等)とを混合したものがインキとして使用される。なお、印刷層19の厚みは、0.5〜25μmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。印刷層19は、図2に示すように、通常、容器11と接する側のフィルム表面に設けられることが好ましい。
【0030】
図1、図3では、印刷層19を網目で示している。ここで、図3は、シュリンクラベル10の筒状体を示す平面図である。図3では、容器11のくびれ部14に装着される部分を14L、胴部15に装着される部分を15L、肩部(キャップ部13)に装着される部分を13Lとして、それぞれ示している。印刷層19は、主に、胴部15に装着される部分15Lに設けられるが、肩部に装着される部分13L、容器11のくびれ部14に装着される部分14Lに設けることもできる。なお、シュリンクラベル10の筒状体は、矩形のラベルの一方の側縁部にテトラヒドロフランなどの有機溶剤が塗布され、その塗布部に他方の側縁部を重ね合わせて接着(この接着をセンターシールと称し、形成される接着部をセンターシール部18と称する)することにより形成される。この時、熱収縮性フィルムの主延伸方向、つまり、熱収縮性フィルムが収縮する方向が周方向となるように筒状化される。
【0031】
シュリンクラベル10は、図3等に示すように、少なくともくびれ部14に装着される部分14Lに対して、レーザーを照射することにより、基材フィルム(ラベル)が収縮する方向に直交する方向に沿って設けられた複数の通気孔16を備える。ここで、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向とは、容器11の上下方向(筒状体の上下方向)に沿った方向である。通気孔16とは、加熱収縮処理時において、くびれ部14等の縮径部に残存する空気を抜くための貫通孔(図2)である。
【0032】
通気孔16は、くびれ部14に複数設けることもできるが、図1等に示すように、くびれ部14の上下両端に対応する部分、即ち筒状体の上下方向に沿った14L(図3)の両端に、少なくともそれぞれ1つずつ設けた形態がより好ましい。くびれ部14において、特にエア溜まりが発生し易い部位は、くびれ部14から胴部15にさしかかる両端であるから、くびれ部14の両端に対応する部分に通気孔16を設けると、この部位に発生するエア溜まりを抑制することが可能になる。また、詳しくは後述するように、くびれ部14においても、通気孔16の数を少なくすることで、空気を溜めながらラベルを収縮させることが可能になり、しわの抑制効果を高めることができる。この為、14Lに設けられる通気孔16は、くびれ部14の大きさにもよるが、2〜10個であることが好ましく、2〜5個であることが特に好ましい。
【0033】
また、通気孔16は、くびれ部14の他に、例えば、図3に示すように、肩部に対応する部分13L、具体的には、胴部15から縮径し始める部分(肩部の下端部)にも設けることが好ましい。肩部のような縮径部においても、くびれ部14と同様にエア溜まりが発生し易いからである。したがって、図1等に示すシュリンクラベル10には、容器11の上下方向に沿った3つの通気孔16が1列設けられている。なお、容器11の上下方向に沿って設けられた通気孔16の列を複数列設けることもできるが、しわの抑制や機械的強度低下の抑制等の観点から、1列であることが好ましい。
【0034】
一方、くびれ部14や肩部のような縮径部を除いた部位、例えば、印刷層19が設けられる胴部15に装着される部分15Lには、通気孔16やミシン目線のような貫通孔を設けない、又は縮径部に装着される部分よりも貫通孔の数を少なくすることが好ましい。詳しくは後述するように、貫通孔が存在しなければ、ラベルの筒状体と容器11との間に空気を溜めた状態から縮径部に設けられた通気孔16を介して徐々にその空気を抜きながら筒状体を収縮させることができるので、特に胴部15において、しわの抑制効果が高まるからである。
【0035】
また、通気孔16は、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状であることが好ましい。楕円形状の通気孔16は、後述するように、長尺状の基材フィルムを移送しながら、レーザービームの照射時間を調整することにより、長径の長さ等を制御して形成できる。例えば、フィルムの移送速度が同一である場合には、レーザービームの照射時間を長くすることで、通気孔16の長径を長くすることができる。ここで、楕円とは、2つの定点からの距離の和が一定である点の軌跡という厳格な意味ではなく、一方が長い略円形であればよく、部分的に直線を有する小判形等も含まれる。
【0036】
具体的に、楕円形状の長径は、0.3〜2.0mmであり、好ましくは0.5〜1.0mmである。短径は、0.1〜1.0mmであり、好ましくは0.2〜0.5mmである。通気孔16の形状を、このような楕円形状とすることによって、厚肉部17により広がり難くなった通気孔16においても、エア溜まりを抑制するのに十分な通気孔16のサイズを確保することができる。
【0037】
通気孔16は、上記のように、通気孔16を設けようとする部分にレーザービームを照射することによって形成される。シュリンクラベル10を構成する基材フィルムの微小領域に所定出力のレーザービームを集光すると、その部分は瞬時に溶解又は蒸発して貫通孔が形成される。通気孔16は、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿って設けられるので、その方向に基材フィルムを走査して適当な位置でレーザービームを照射することにより、連続的に通気孔16を形成することができる。
【0038】
通気孔16の形成に好適なレーザーとしては、炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー等が挙げられる。これらのうち、高エネルギーを得易く、PET等のポリエステル系樹脂フィルムに吸収され易い等の観点から、炭酸ガスレーザーを使用することが特に好ましい。
【0039】
通気孔16の周縁(図1等に点線で示す部分)には、基材フィルムの厚みが周囲よりも厚くなった厚肉部17が形成されている。厚肉部17は、例えば、レーザービームが照射されて通気孔16が形成されるときに、照射位置において溶解した基材フィルムが照射位置の周縁(通気孔16の周縁)に流動することにより形成されたものである。このような厚肉部17は、加熱収縮処理時による張力を受けても変形し難い。したがって、周縁を厚肉部17でガードされた通気孔16は、加熱収縮処理時において変形し難く、基材フィルムが収縮する方向に対する通気孔16の広がりが抑制される。
【0040】
上記構成のシュリンクラベル10を容器11に装着し、ラベル付き容器を製造する手順について、図4(図面の明瞭化のために、印刷層19を省略)を用いて説明する。なお、図4では、1つの容器11に装着されるサイズに切断された筒状体を示している。図4(a)に示す工程の前工程には、幅方向に主延伸された長尺状基材フィルムの表面に印刷層19を形成する工程、印刷層19が形成された長尺状基材フィルムを1つのラベルの幅にスリットする工程、スリットした長尺状基材フィルムを筒状化し、幅方向の両端を重ね合わせて接着することでセンターシール部18を形成しつつ、長尺状の筒状体を形成する工程、長尺状の筒状体を図4(a)に示すサイズに切断し、1つの筒状体を得る工程が含まれる。
【0041】
また、通気孔16の形成は、どの工程で設けられてもよいが、例えば、長尺状の筒状体が形成された後で且つ1の筒状体に切断される前に行われる。例えば、送り出される長尺状の筒状体の連続移送下で、レーザービームの照射を行うことができる。具体的には、一定速度で移送される長尺状基材フィルムの表面における通気孔16の形成予定位置を検出して、所定のタイミングでレーザービームのON/OFF、又は出力の高/低等を制御して行なわれる。
【0042】
通気孔16が形成され、1つの容器11に装着するサイズにカットされたシュリンクラベル10(筒状体)の容器11への装着は、図4(a)に示すように、その筒状体を容器11に被嵌するところから始まる。筒状体は、下端が容器11の底部周縁に少し回り込むように、そして、上端がキャップ部13の半分程度(容器11の肩部)に装着されるような長さにカットされ、その直径は、容器11の胴部15の直径よりもやや大きめとなるようにセンターシールされる。
【0043】
図4(b)〜(e)は、容器11の各部位ごとに加熱収縮処理を行う工程を順に示している。図4(b)に示すように、まず初めに、容器に被嵌した筒状体の上下方向のいずれか一端を容器11に装着する。好ましくは、筒状体の下端側を加熱収縮させて、容器11の下部(胴部15より下側又は下端)に装着する。なお、加熱収縮処理は、シュリンクラベル10に対して、200℃程度の熱風又は90℃程度のスチームを吹き付けることにより行い、筒状体の周方向に対して均一に熱風等を吹き付けるように処理する。このように、筒状体の下部を容器11に装着することによって、以後の加熱収縮処理時における筒状体の飛び上がりを防止することができる。
【0044】
次に、筒状体の上下方向の他端を容器11に装着する。好ましくは、図4(c)に示すように、筒状体の下端側を装着した後に、筒状体の上端を容器本体12の胴部15よりも上側又は上端(容器本体12の肩部)に加熱収縮させて容器11に装着する。下方の胴部15に対応する部分15Lを先に収縮させてもよいが、同図に示すように、肩部に対応する部分13Lを容器11に装着して筒状体の上下両端を閉じた状態とすることにより、容器11と筒状体との間に空気が溜まり易くなって、しわの抑制効果を高めることができる。ここで、上下両端が閉じた状態とは、上下両端が完全に密封されている状態ではなく、上下両端から抜ける空気の量が制限されるように、上下両端において容器11の外形に追従して筒状体が装着されていることを意味する。なお、肩部に対応する部分13Lを加熱収縮させるときには、13Lの通気孔16から空気が抜けてエア溜まりの発生が抑制される。
【0045】
最後に、筒状体の中央部を容器11に装着する。ここでは、容器11の胴部15とくびれ部14とに筒状体が装着される。まず、図4(d)、(e)に示すように、胴部15に対応する部分15Lを加熱収縮させて容器11に装着する。この工程では、容器11と筒状体との間に空気を溜めた状態から通気孔16よりその空気を次第に抜きながら加熱収縮させる。このように空気を徐々に抜くことによりしわの発生を抑制し、最終的に空気を抜き切ることによりエア溜まりの発生も抑制できる。即ち、通気孔16は、胴部15においても、しわ及びエア溜まりの発生を抑制する機能を有する。
【0046】
次に、図4(e)に示す状態からくびれ部14に対応する部分14Lを加熱収縮させて容器11に装着することにより、図1に示すシュリンクラベル10が容器11に装着されたラベル付き容器を得ることができる。くびれ部14に対応する部分14Lを加熱収縮させて装着する工程においても、容器11と筒状体の間に空気を溜めた状態から通気孔16よりその空気を抜きながら加熱収縮させる。このように空気を徐々に抜くことによりしわの発生を抑制し、最終的に空気を抜き切ることによりエア溜まりの発生も抑制できる。
【0047】
以上のように、シュリンクフィルム10は、くびれ部14の両端部に装着される部分、肩部に装着される部分に対して、レーザーを照射することにより、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った通気孔16を備え、各通気孔16の周縁には、基材フィルムの厚みが厚くなった厚肉部17が形成されているので、加熱収縮処理時における通気孔16の広がりを抑制することができ、見栄えの悪化やラベル強度の低下を防止することができると共に、通気孔16のサイズ調整が容易になる。したがって、くびれ部14を有する容器に対して、ラベルのしわやエア溜まりの発生を抑制して見栄え良くラベルを装着できるという効果を奏する。さらに、通気孔16の形状を、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状とすることにより、上記の効果がより顕著に現れる。
【符号の説明】
【0048】
10 シュリンクラベル、11 容器、12 容器本体、13 キャップ、14 くびれ部、15 胴部、16 通気孔、17 厚肉部、18 センターシール部、19 印刷層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムを基材フィルムとし、くびれ部を有する容器に装着されるシュリンクラベルにおいて、
少なくともくびれ部に装着される部分に対して、レーザーを照射することにより、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿って設けられた複数の通気孔を備え、
通気孔の周縁には、基材フィルムの厚みが周囲よりも厚くなった厚肉部が形成されていることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のシュリンクラベルにおいて、
通気孔は、基材フィルムが収縮する方向に直交する方向に沿った長径を有する楕円形状であることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシュリンクラベルにおいて、
通気孔は、少なくともくびれ部の両端に対応する部分に、それぞれ1つずつ設けられることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載のシュリンクラベルにおいて、
縮径部を除く部位に装着される部分には、通気孔を含む貫通孔を有さない又は縮径部に装着される部分よりも貫通孔の数を少なくすることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のシュリンクラベルが容器に装着されたラベル付き容器の製造方法において、
シュリンクラベルの筒状体を容器に被嵌して、筒状体の少なくとも上下方向いずれか一端を加熱収縮させて容器に装着する工程と、
その後に、筒状体の上下方向の他端を加熱収縮させて容器に装着する工程と、
その後に、筒状体の中央部を加熱収縮させることによって、縮径部を除く部位に対応する部分を加熱収縮させて装着する工程であって、筒状体と容器との間に空気を溜めた状態から通気孔を介してその空気を抜きながら加熱収縮させて装着する工程と、
くびれ部に対応する部分を加熱収縮させて装着する工程であって、ラベルと容器との間に空気を溜めた状態から通気孔を介してその空気を抜きながら加熱収縮させて装着する工程と、
を備えたことを特徴とするラベル付き容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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