説明

ショットブラスト装置

【課題】ギアボックス内への粉塵の侵入を阻止して、長期間安全に使用できるショットブラスト装置を提供する。
【解決手段】一対の筒状の軸9の先端部に固定的に取付けられたギアボックス11と、ギアボックスに水平方向に回転可能に取付けられたバリを除去する成型品を投入することができるバケット7と、一方の筒状の軸に取付けられたバケット駆動装置13に接続された駆動軸を介してバケットを水平方向に回転させるギアボックスに設けられた動力伝達機構と、一方の筒状の軸を回動させてバケットの開口部をブラスト処理ケース体4内に位置させたり、開閉扉3を開閉する開口部より外方へ位置させるバケットの回動装置16と、他方の筒状の軸10に接続された、ギアボックス内に粉塵の侵入を阻止できるように圧力を加えることができる加圧装置17と、バケットに投入成型品に投射材を投射する、ブラスト処理ケース体に取付けられた投射機28とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバリを除去する成型品をバケットに投入し、投射材をバケット内のバリを除去する成型品に投射してバリを除去するショットブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラスト処理ケース体内でバリを除去する成型品をバケットに投入して回転させながら投射材を投射したり、バケットをブラスト処理ケース体の開閉扉を備えた開口部へ回動位置させて、該バケット内へバリを除去する成型品を投入したり、バリを除去した成型品を排出させるショットブラスト装置は、ブラスト処理ケース体の両側壁に、中央部にギアボックスを備えた軸を備え、該ギアボックスにバケットが水平方向に回転するように取付けられている。
【0003】
このように構成されたショットブラスト装置はブラスト処理ケース体内にバケットやギアボックスが配置されるため、ブラスト処理で発生する粉塵はギアボックス内へ侵入し、内部のギアを損傷させたりするという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−69325号公報
【特許文献2】特開平8−126959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ギアボックス内への粉塵の侵入を効率よく阻止して、故障を阻止し、長期間安全に使用でき、ランニングコストの低減を図ることができるショットブラスト装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は開閉扉を有するブラスト処理ケース体と、このブラスト処理ケース体の両側壁に同一軸心となるように取付けられた一対の筒状の軸と、この一対の筒状の軸の先端部に固定的に取付けられたギアボックスと、このギアボックスに水平方向に回転可能に取付けられたバリを除去する成型品を投入することができるバケットと、前記一対の筒状の軸の一方の筒状の軸に取付けられたバケット駆動装置に接続された駆動軸を介して前記バケットを水平方向に回転させる、前記ギアボックスに設けられた動力伝達機構と、前記一対の筒状の軸の一方の筒状の軸を回動させて前記バケットの開口部を前記ブラスト処理ケース体内に位置させたり、前記開閉扉を開閉する開口部より外方へ位置させるバケットの回動装置と、前記一対の筒状の軸の他方の筒状の軸に接続された、前記ギアボックス内に粉塵の侵入を阻止できるように圧力を加えることができる加圧装置と、前記バケットに投入されたバリを除去する成型品に投射材を投射する、前記ブラスト処理ケース体に取付けられた投射機とでショットブラスト装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1によって、ギアボックス内に粉塵の侵入を阻止できるように圧力を加えることができる加圧装置を用いているので、ギアボックスに粉塵が侵入するのを確実に阻止できる。
したがって、ギアボックスの粉塵によるメンテナンスが不要で、ギアの損傷を防止することができる。
(2)前記(1)によって、ギアボックスの粉塵による不具合を防止できるので、メンテナンスや故障で使用できなくなるのを効率よく阻止でき、ランニングコストの低減を図ることができる。
(3)前記(1)により、容易に実施することができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、ブラスト処理する材料に最適なエアーやガスを選択してギアボックスを加圧することができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な作用効果が得られるとともに、効率よくブラスト処理したバリを含む投射材を、少なくともダストと投射材とに選別することができ、スムーズに駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の概略説明図。
【図3】バケット内へバリを除去する成型品を投入する状態の説明図。
【図4】バケット内よりバリを除去した成型品を排出する状態の説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の要部説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態のバケットの回動装置の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の概略説明図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は機枠2に開閉扉3を有するブラスト処理ケース体4を備え、該開閉扉3の開口部5よりバリを除去する成型品6をバケット7に投入したり、バケット7よりバリが除去された成型品を排出することができる本発明のショットブラスト装置で、このショットブラスト装置1は前記ブラスト処理ケース体4の両側壁8、8に同一軸心となるように取付けられた一対の筒状の軸9、10と、この一対の筒状の軸9、10の先端部に固定的に取付けられたギアボックス11と、このギアボックス11に水平方向に回転可能に取付けられたバリを除去する成型品6を投入することができるバケット7と、前記一対の筒状の軸9、10の一方の筒状の軸9に取付けられた、前記ブラスト処理ケース体4の外側の前記機枠2に設けられた駆動装置収納ケース体12内に設けられたバケット駆動装置13に接続された動力伝達軸14を介して、前記バケット7を水平方向に回転させる前記ギアボックス11に設けられた動力伝達機構15と、前記一対の筒状の軸9、10の一方の筒状の軸9を回動させて、前記バケット7の開口部7aを前記ブラスト処置ケース体4内に位置させたり、前記開閉扉3で開閉する開口部5より外方へ位置させ、バリを除去する成型品を投入できる位置や、バリが除去された成型品を排出できる位置に位置させることができる、前記駆動装置収納ケース体12内に設けられたバケットの回動装置16と、前記一対の筒状の軸9、10の他方の筒状の軸10に接続された、前記ギアボックス11内に粉塵の侵入を阻止できるように圧力を加えることができる加圧装置17と、前記バケット7の下部位置の前記ブラスト処理ケース体4に形成されたホッパー18と、このホッパー18から落下してくるバリ等のダストを含む投射材から、投射材より大きなバリ、投射材、投射材より小さなバリに選別する、大バリ収納タンク19を備える大バリ選別用振動篩20、投射材貯槽21および小バリ収納タンク22を有する投射材選別用振動篩23を備える選別装置24と、この選別装置24の投射材貯槽21内の投射材25を吸引ホース26で吸引して、前記バケット7内へ投射材25をインペラー27の回転で行なう前記ブラスト処理ケース体4の上部に備えられた投射機28と、前記ブラスト処理ケース体4内に冷媒を供給する、該ブラスト処理ケース体4の上部に開閉弁29を介して取付けられた冷媒供給装置30とで構成されている。
【0012】
前記バケット駆動装置13は前記駆動装置収納ケース体12内に設けられたバケット駆動用モータ31と、このバケット駆動用モータ31の駆動軸32に接続され、該駆動軸32の軸心方向とは直角方向に出力され、かつ前記動力伝達軸14に接続される出力軸33とで構成されている。
【0013】
前記動力伝達機構15は前記ギアボックス11内に位置する、前記動力伝達軸14に取付けられた小傘歯車34と、この小傘歯車34と噛み合うように前記ギアボックス11内に回転可能に取付けられた大傘歯車35と、この大傘歯車35に一端部が固定され、他端部が前記バケット7の底面に取付けられたバレル軸36とで構成されている。
【0014】
前記バケットの回動装置16は前記駆動装置収納ケース体12内に設けられたバケット回動用正・逆回転モータ37と、このバケット回動用正・逆回転モータ37の駆動軸38に接続され、該駆動軸38の軸心方向とは直角方向に出力される出力軸39と、この出力軸39に取付けられた駆動プーリー40と、この駆動プーリー40と対応する位置の前記一方の筒状の軸9に取付けられたプーリー41と、このプーリー41と前記駆動プーリー40に掛け渡されたベルト42と、前記バケット7の位置が、投射材が投射される位置A、バリ取りする成型品の投入位置Bおよびバリ取りされた成型品の排出位置Cを検出して、前記バケット回動用正・逆回転モータ37を停止させる、前記プーリー41を用いたセンサー43、44、45とで構成されている
前記加圧装置17は前記他方の筒状に軸10に接続された開閉弁46が介装された供給ホース47と、この供給ホース47に接続された窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、溶接用シールドガス、防燃用カバーガス等の不活性ガスが充填された不活性ガスボンベ48とで構成されている。
【0015】
上記構成のショットブラスト装置1は、開閉扉3を開放して、開口部5を開放し、バケットの回動装置16を駆動させて、バケット7を図3に示す位置へ回動させる。この状態で、バケット7内にバリを除去する成型品6を投入する。
【0016】
次に、バケットの回動装置16を駆動させて、バケット7をブラスト処理ケース体4内へ位置させ、開口部5を開閉扉3で閉じる。
【0017】
しかる後、ブラスト処理ケース体4内に冷媒供給装置30で冷媒を供給するとともに、バケット駆動装置13、投射機28および選別装置24を連動状態で作動させることにより、投射機28のインペラー27の回転により投射材貯槽21の投射材25を吸引ホース26で吸引し、バケット7内のバリを除去する成型品6に投射する。投射機28で投射された投射材25と成型品より除去されたバリはホッパー18より選別装置24へ落下し、該選別装置24の大バリ選別用振動篩20で大バリは大バリ収納タンク22へ回収し、該大バリ選別用振動篩20を通過した投射材や小バリは投射材選別用振動篩23で投射材25と小バリに選別し、投射材25を投射材貯槽21へ、小バリを小バリ収納タンク22へ収納する。
【0018】
このため、投射材25は投射材貯槽21、吸引ホース26、投射機28、ブラスト処理ケース体4、ホッパー18および選別装置24と循環して使用され、投射機28、選別装置24とが連動状態で作動するため、投射材25が一部にたまることなく、投射材25の詰まりを効率よく防止できる。
【0019】
また、投射機28の駆動時には加圧装置17の開閉弁26を開放し、ギアボックス11内に不活性ガスを充填して所定の加圧状態にして使用する。
【0020】
このため、バケット7内へ投射材25が投射され、粉塵が発生してもギアボックス11内へ粉塵が入り込むのを効率よく阻止できる。
【0021】
なお、投射材25の投射により、バケット7内の成型品からバリが除去されると、投射機28、選別装置24、バケット駆動装置13を停止し、開閉扉3を開放し、バケットの回動装置16を図4に示すように回動させ、バケット7内の成型品をバケット7外へ排出する。
【0022】
バケット7よりバリが除去された成型品6が排出されると、バケットの回動装置16を駆動させて、図3に示すバリ取り成型品を投入できる位置へ回動させて前術と同様な作業を行なうことで、バリが付着した成型品よりバリを除去することができる。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図9に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、供給ホース47をコンプレッサ49に接続した加圧装置17Aを用いた点で、このような加圧装置17Aを用いて構成したショットブラスト装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
なお、コンプレッサ49の代わりに供給ホース47にドライエアーを供給することができるドライエアー供給装置を使用した加圧装置を用いることにより、ギアボックス11内にドライエアーが供給され、ギアボックスの錆や損傷を効率よく阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はバリが付着した成型品からバリを除去するためのショットブラスト装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0027】
1、1A:ショットブラスト装置、
2:機枠、 3:開閉扉、
4:ブラスト処理ケース体、 5:開口部、
6:成型品、 7:バケット、
8:側壁、 9:一方の筒状の軸、
10:他方の筒状の軸、 11:ギアボックス、
12:駆動装置収納ケース体、 13:バケット駆動装置、
14:動力伝達軸、 15:動力伝達機構、
16:バケットの回動装置、 17、17A:加圧装置、
18:ホッパー、 19:大バリ収納タンク、
20:大バリ選別用振動篩、 21:投射材貯槽、
22:小バリ収納タンク、 23:投射材選別用振動篩、
24:選別装置、 25:投射材、
26:吸引ホース、 27:インペラー、
28:投射機、 29:開閉弁、
30:冷媒供給装置、 31:バケット駆動用モータ、
32:駆動軸、 33:出力軸、
34:小傘歯車、 35:大傘歯車、
36:バレル軸、
37:バケット回動用正・逆回転モータ、
38:駆動軸、 39:出力軸、
40:駆動プーリー、 41:プーリー、
42:ベルト、
A:投射材が投射される位置、
B:バリ取りする成型品の投入位置、
C:バリ取りされた成型品の排出位置、
43、44、45:センサー、 46:開閉弁、
47:供給ホース、 48:不活性ガスボンベ、
49:コンプレッサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉扉を有するブラスト処理ケース体と、このブラスト処理ケース体の両側壁に同一軸心となるように取付けられた一対の筒状の軸と、この一対の筒状の軸の先端部に固定的に取付けられたギアボックスと、このギアボックスに水平方向に回転可能に取付けられたバリを除去する成型品を投入することができるバケットと、前記一対の筒状の軸の一方の筒状の軸に取付けられたバケット駆動装置に接続された駆動軸を介して前記バケットを水平方向に回転させる、前記ギアボックスに設けられた動力伝達機構と、前記一対の筒状の軸の一方の筒状の軸を回動させて前記バケットの開口部を前記ブラスト処理ケース体内に位置させたり、前記開閉扉を開閉する開口部より外方へ位置させるバケットの回動装置と、前記一対の筒状の軸の他方の筒状の軸に接続された、前記ギアボックス内に粉塵の侵入を阻止できるように圧力を加えることができる加圧装置と、前記バケットに投入されたバリを除去する成型品に投射材を投射する、前記ブラスト処理ケース体に取付けられた投射機とからなるショットブラスト装置。
【請求項2】
加圧装置はギアボックス内にエアー、ドライエアー、あるいは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、溶接用シールドガス、防燃用カバーガスのいずれかの不活性ガスを供給するものであることを特徴とする請求項1記載のショットブラスト装置。
【請求項3】
ブラスト処理ケース体には、該ブラスト処理ケース体内に冷媒を供給する冷媒供給装置が備えられているとともに、バケットの下部位置の前記ブラスト処理ケース体に取付けられたバリ等のダストを含む投射材を少なくともダストと投射材とに選別する投射機と連動して作動する選別装置が設けられていること特徴とする請求項1記載のショットブラスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86215(P2013−86215A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229636(P2011−229636)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000187149)昭和電工ガスプロダクツ株式会社 (60)