説明

ショーケースの断熱パネル構造

【課題】充填空間内を十分に行き渡らせるようにして充填された発泡断熱材の余剰分が組付け箇所等から充填空間の外部に漏出することを防止できるショーケースの断熱パネル構造を提供すること。
【解決手段】外面材20と内面材23とを端面部材26に組付け、これらによって囲まれた充填空間K内に発泡断熱材を充填して形成した断熱パネルにより構成された本体内に、前面若しくは上面が開口した貯蔵室を形成し、該貯蔵室内を冷却するショーケースの断熱パネル構造であって、端面部材26の内部に内部空間を形成するとともに、端面部材26の所定箇所に、充填空間K内に充填される発泡断熱材の一部を内部空間に誘導可能とする誘導路を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面材と内面材とを端面部材に組付け、これらによって囲まれた充填空間内に発泡断熱材を充填して形成した断熱パネルにより構成された本体内に、前面若しくは上面が開口した貯蔵室を形成し、該貯蔵室内を冷却するショーケースの断熱パネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品販売店では、冷凍食品や冷蔵食品等を陳列するために、前面若しくは上面が開口した冷凍・冷蔵オープンショーケースが多用されている。従来のショーケースの断熱パネル構造は、外面材と内面材及び端面部材とにより囲まれた充填空間内に、所定の充填手段により発泡断熱材を充填して断熱パネルを形成している(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−104062号公報(第2頁、図4)
【特許文献2】特開2000−283645号公報(第2頁、図2)
【特許文献3】特許第3369946号公報(第2頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1ないし特許文献3にあっては、発泡断熱材が充填空間内に十分に行き渡るように、若干多めに充填されることが多い。充填の際に発生した余剰の発泡断熱材が、外面材及び内面材と端面部材との組付け箇所若しくは発泡断熱材の注入箇所等から充填空間の外部に漏出してしまい、このように漏出した発泡断熱材の除去する手間がかかるばかりか、発泡断熱材の余剰分が無駄となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、充填空間内を十分に行き渡らせるようにして充填された発泡断熱材の余剰分が組付け箇所等から充填空間の外部に漏出することを防止できるショーケースの断熱パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のショーケースの断熱パネル構造は、外面材と内面材とを端面部材に組付け、これらによって囲まれた充填空間内に発泡断熱材を充填して形成した断熱パネルにより構成された本体内に、前面若しくは上面が開口した貯蔵室を形成し、該貯蔵室内を冷却するショーケースの断熱パネル構造であって、
前記端面部材の内部に内部空間を形成するとともに、該端面部材の所定箇所に、前記充填空間内に充填される発泡断熱材の一部を前記内部空間に誘導可能とする誘導路を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、充填空間内を十分に行き渡らせるようにして充填された発泡断熱材の余剰分を、誘導路から端面部材の内部空間に積極的に誘導出来るため、発泡断熱材の余剰分が組付け箇所等から充填空間の外部に漏出することを極力防止できる。また、端面部材と硬化した断熱発泡材との接合強度が増す。
【0007】
本発明の請求項2に記載のショーケースの断熱パネル構造は、請求項1に記載のショーケースの断熱パネル構造であって、前記内部空間は、前記端面部材の内壁と外壁との間に設けられた仕切壁により内外方向に仕切られており、前記内壁に前記誘導路を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、内部空間に仕切壁が設けられているため、端面部材が構造的に強固となるばかりか、誘導路を通過して内部空間に誘導された発泡断熱材が、端面部材の内壁を挟むようにして端面部材と一体に固着するため、断熱パネルの強度が高められる。また、外壁のみならず、仕切壁が設けられているため、発泡断熱材の漏出が確実に防止できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のショーケースの断熱パネル構造は、請求項1または2に記載のショーケースの断熱パネル構造であって、前記端面部材は、前記外面材側又は前記内面材側に開放している断面視略コ字形状に形成され、前記誘導路は、前記端面部材の内壁の開放端辺に形成された切欠部で構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、充填空間内に充填されるとともに切欠部を通過して内部空間に誘導された発泡断熱材と、外面材又は内面材との接触面積が大きくなるため、断熱パネルの強度が高められる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のショーケースの断熱パネル構造は、請求項3に記載のショーケースの断熱パネル構造であって、前記断熱パネルは、前記ショーケースの底部に構成されているとともに、該断熱パネルの端面部材は、下方側に配置された前記外面材側に開放していることを特徴としている。
この特徴によれば、誘導路を通過して重力により内部空間内の下方から上方に向かって順次誘導された発泡断熱材が、下方側に設置された外面材と一体に固着するため、外面材の外側との断熱性能を向上させることができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のショーケースの断熱パネル構造は、請求項1ないし4のいずれかに記載のショーケースの断熱パネル構造であって、前記端面部材の少なくとも内壁及び外壁に、前記発泡断熱材を前記充填空間に充填するための注入路が形成されており、該注入路は、前記誘導路が形成された前記内部空間と区画されていることを特徴としている。
この特徴によれば、発泡断熱材が注入路から充填空間内に充填されるとともに、誘導路を通過して内部空間に誘導された発泡断熱材の余剰分が、注入路を介して外部に漏出することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例におけるショーケースの断熱パネル構造の全体像を示す縦断面図である。図2は、ショーケースの底部における発泡断熱材を充填する充填空間を示す斜視図である。図3は、端面部材を下方から視た斜視図である。図4は、注入路周辺を示した拡大断面斜視図である。図5は、発泡断熱材の充填状況を示す断面図である。図6(a)は、断熱パネルの形成状況を示す図2のA−A断面図であり、(b)は、(a)と同じくB−B断面図である。図7は、変形例における端面部材を下方から視た斜視図である。
【0013】
図1に示される冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置されるショーケースであり、正面側を開口した内箱3により囲まれた冷蔵室5には、商品を陳列する陳列棚6が上下方向に複数設置され、下部に設けられた底板3bにも商品(図示省略)を陳列可能になっており、商品を多数載置可能な構成となっている。以下、本実施例の説明において、図1の冷蔵ショーケース1を対面した状態で見て、手前正面側を右方とし、奥行き側を左方とし、内箱3の開口側(左側)を前方とし、閉塞側(右側)を後方として説明する。
【0014】
冷蔵ショーケース1は、前面(図の左方)が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放された略コ字形の内箱3とからなるケース本体4を備え、その内部空間は冷蔵室5となっている。内箱3の背面板3aには、上下複数段の陳列棚6の後端が取付けられ、この各陳列棚6と内箱3の底板3bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
【0015】
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の垂直部と底部には、それぞれ冷却装置8と送風機9が設置されている。ケース本体4の上部の前端には、通風路7と連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、またケース本体4の前端下部の上端において外箱2と内箱3との間には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。
【0016】
送風機9を作動させると、冷却装置8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体4の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が冷蔵室5内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0017】
また、外箱2の前端下部における開口部の上端には、左右方向に設けられた手摺部材13が、その下端面を外箱2の前面上部に固着(溶着)することにより、一体的に上向きに突設されている。また、15は、手摺部材13の上端と、外箱2の外面に沿って設けられた化粧パネル16の前面上端とに止着された手摺カバーである。
【0018】
次に、冷蔵ショーケース1における底部の構造について説明すると、図2に示されるように、冷蔵ショーケース1の断熱パネルPは、外面材20と内面材23とを両側端部に設置した端面部材26に組付け、これらによって囲まれた充填空間内に後述のように発泡断熱材を充填して形成して成る。
【0019】
断熱パネルPについて具体的には、外面材20として、床面Yと略平行に設けられた外底板21と、外底板21と連続して冷蔵ショーケース1の前面側上方に向かって斜方向に設けられた斜め外底板22とが、左右幅方向に延設されており、外底板21及び斜め外底板22より所定高さ離間した上方箇所に、通風路7の下面を構成する内面材23として、内底板24と斜め内底板25とが、同様に左右幅方向に延設されている。
【0020】
尚、外面材若しくは内面材の部材構成は、必ずしも別々の部材で構成されているに限られず、それぞれ単一の部材であってもよいし、また例えば、外面材及び内面材が、一体となるとともに所定の左右幅寸法を有した単一の部材であってもよい。
【0021】
また、外底板21及び斜め外底板22の左右方向における端部と、内底板24及び斜め内底板25の左右方向における端部とには、互いを向くように屈曲する屈曲片21a、22a、24a、25aが延設されている。また、これら外底板21及び斜め外底板22と、内底板24及び斜め内底板25との左右方向における端部間を前後方向に塞ぐようにして、端面部材26が設置されている。
【0022】
図3及び図4に示されるように、端面部材26は、外壁30aと内壁30cと上壁30fとにより、断面視略コ字形状の中空構造に前後方向に亘って形成され、開放側26aを下方側に配置された外面材20と当接させるとともに、閉塞側としての上壁30fを内面材23と当接させるように配置されている。
【0023】
外底板21の屈曲片21a及び斜め外底板22の屈曲片22aは、端面部材26の外壁30aの内面と当接するようにして、且つ前後方向に所定間隔おきに多数設けられた左右方向の仕切壁30dに開放側26aに形成された凹溝31に嵌合するようにして組付けられている。また、内底板24の屈曲片24a及び斜め内底板25の屈曲片25aは、端面部材26の上壁30fに形成された凹溝27に嵌合するようにして組付けられている。
【0024】
このように組付けられた外面材20と内面材23及び端面部材26によって囲まれた箱状の充填空間Kが形成され、この充填空間K内に、後述するように発泡断熱材Hを充填して断熱パネルPを形成する(図5及び図6参照)。
【0025】
尚、外面材及び内面材と端面部材との組付け構成は、必ずしも外面材及び内面材の前後方向に延設された屈曲片が、端面部材に形成された凹溝に嵌合して組付けるに限られず、例えば、夫々の部材の対向する箇所に、凹部と凸部とを所定間隔をあけて点在して設け、該凹部と凸部との凹凸嵌合による組付けであってもよい。
【0026】
また、図1に示されるように、冷蔵ショーケース1の前部においても、所定の外面材と内面材及び端面部材によって囲まれた空間に、発泡断熱材を充填して断熱パネルP1を形成している。同様に、冷蔵ショーケース1の後部及び上部においても断熱パネルP2、P3を形成しており、これら断熱パネルにより、冷蔵ショーケース1の外部との断熱を可能としている。
【0027】
図3に示されるように、端面部材26の構造について詳しく説明すると、端面部材26の内部空間は、内壁30cと外壁30aとの間に前後方向に設けられた仕切壁30bにより左右方向(内外方向)に仕切られており、仕切壁30bより内側の内部空間Nと仕切壁30bより外側の内部空間N’とを有するとともに、所定間隔で左右方向に形成された複数の仕切壁30d等により、内部空間N、内部空間N’が更に前後方向に多数に分割されている中空構造を有している。
【0028】
尚、端面部材の内空構造については、必ずしも上記実施例に限られず、例えば左右方向に多数に分割されていてもよいし、また、左右方向若しくは前後方向のいずれか一方向のみに分割されていてもよい。
【0029】
端面部材26は、嵌脱自在に設けられた凹部(図示略)と凸部32との凹凸嵌合により、前後方向に複数に分割可能な分割構造を有しており、冷蔵ショーケース1の前後方向の仕様・奥行き寸法に応じて、端面部材26を適宜接続若しくは分割して構成することにより、様々な仕様・型式の冷蔵ショーケースに適用することができる。
【0030】
また、上述のように断面視略コ字形状の中空構造である端面部材26は、左右方向に所定の幅寸法を有しており、このようにすることで、冷蔵ショーケース1の底部であって左右端部において幅方向に座りがよい安定的な部材として構成できるため、冷蔵ショーケース1の左右両端の底部に設けられた端面部材26の下方において、外底板21を介して、例えば側面視略コ字形状を有する脚部材19を接続した場合でも、これら部材の組付けが容易であるばかりか、構造強度も高くすることができる。
【0031】
端面部材26の内壁30cには、開放側26a端辺を切欠いた誘導路としての切欠部28が、前後方向に所定間隔おきに多数形成されており、この切欠部28により、充填空間Kと、仕切壁30bより内側において仕切壁30dにて多数に分割された内部空間Nとが連通されており、後述のように、充填空間Kの充填される発泡断熱材Hの余剰分を内部空間Nに誘導するように成っている(図6(b)参照)。
【0032】
図3及び図4に示されるように、端面部材26の所定箇所に、後述のように発泡断熱材Hを充填空間Kに充填するための注入路29が形成されている。注入路29は、端面部材26における前後方向に設けられた外壁30aと、仕切壁30bと、内壁30cとに略同軸に形成された開口部29a、29b、29cにより冷蔵ショーケース1の外部と充填空間Kとを連通するとともに、内部空間N、内部空間N’とは左右方向に設けられた仕切壁30e、30e’により前後方向に区画され構成されている。各開口部29a、29b、29cは、後述する発泡断熱材充填用のノズル35よりも若干大径に形成されている。また、内壁30cの内面に、弾性を有し開口部29cを被覆する逆止板34が設けられている。
【0033】
次に、断熱パネルの形成について説明する。
【0034】
図5に示されるように、注入路29に発泡断熱材充填用のノズル35を差し込み、ノズル35先端により逆止板34を押圧して充填空間K内に挿通する。図示しない発泡断熱材の充填手段によりノズル35から発泡断熱材Hを充填空間K内に充填する。充填された発泡断熱材Hは流動性を有しており、所定の勢いで充填空間Kにおける注入路29側から奥部側に向かって飛散するとともに、外面材20(外底板21、斜め外底板22)及び内面材23(内底板24、斜め内底板25)の内壁に付着しながら、充填空間K内における奥部側から注入路29側に向かって、且つ重力により充填空間K内における下方から上方に向かって順次充填される。
【0035】
図6(a)、(b)に示されるように、このように充填空間K内を満たして充填された発泡断熱材Hは、経時的に外面材20(外底板21、斜め外底板22)及び内面材23(内底板24、斜め内底板25)並びに端面部材26と一体に固化して断熱パネルPを形成する。
【0036】
図6(b)に示されるように、充填空間K内を十分に行き渡らせるようにして充填された発泡断熱材の余剰分H’を、端面部材26の内壁30cに形成された切欠部28から、端面部材26の左右方向における内側の内部空間Nに積極的に誘導出来る。このようにすることで、発泡断熱材の余剰分H’が、外面材20及び内面材23と端面部材26との組付け箇所等から充填空間Kの外部に漏出することを極力防止できる。また、端面部材26と硬化した断熱発泡材H、H’との接合強度が増す。更に、仕切壁30dにより多数に分割された内部空間Nに、多数形成された切欠部28から発泡断熱材の余剰分H’を誘導できるため、発泡断熱材と端面部材26との接触面積を大きくして、断熱パネルPの強度が高められる。
【0037】
更に、内部空間に仕切壁30b等が設けられているため、端面部材26が構造的に強固となるばかりか、充填空間K内に充填されるとともに切欠部28を通過して内部空間Nに回り込んで誘導された発泡断熱材の余剰分H’が、端面部材26の内壁30cを挟むようにして端面部材26と一体に固着するため、断熱パネルPの強度が高められる。また、外壁30aのみならず、仕切壁30bが設けられているため、発泡断熱材の余剰分H’の漏出が確実に防止できる。
【0038】
特に、仕切壁30b、30dは、そもそも端面部材26の補強リブとして設けられたものであり、このような補強リブを利用して、上述した発泡断熱材の余剰分H’の漏出が確実に防止できる効果を得ることが出来る。
【0039】
また、切欠部28は、断面視略コ字形状の中空構造である端面部材26の開放側26aを切欠して形成されており、このようにすることで、充填空間K内に充填されるとともに切欠部28を通過して内部空間Nに誘導された発泡断熱材の余剰分H’と、外面材20との接触面積が大きくなるため、断熱パネルPの強度が高められる。
【0040】
更に、切欠部28が形成された端面部材26の開放側26aを、下方側に配置された外面材20(外底板21、斜め外底板22)と当接させており、このようにすることで、切欠部28を通過して重力により内部空間N内の下方から上方に向かって順次誘導された発泡断熱材の余剰分H’が、下方側に設置された外面材20(外底板21、斜め外底板22)と一体に固着するため、外面材20(外底板21、斜め外底板22)の外側との断熱性能を向上できる。
【0041】
また図3に示されるように、注入路29は、注入路29の前後において左右方向に設けられた仕切壁30e、30e’により、切欠部28が形成された内部空間Nと区画されており、このようにすることで、図6(a)に示されるように、注入路29から充填空間K内に充填されるとともに切欠部28を通過して内部空間Nに誘導された発泡断熱材の余剰分H’が、注入路29を介して充填空間Kの外部に漏出することを防止できる。加えて、開口部29cを被覆する逆止板34が設けられていることにより、同様に、発泡断熱材の余剰分H’が、注入路29を介して充填空間Kの外部に漏出することを防止できる。
【0042】
尚、仕切壁30bには、内壁30cに設けられているような誘導路が形成されておらず、内部空間Nと内部空間N’とを区画しているため、発泡断熱材の余剰分H’は、上述したように仕切壁30bより内側の内部空間Nに誘導可能となっているが、仕切壁30bより外側の内部空間N’には誘導されない。このようにすることで、内部空間N’は、空気で満たされた状態で、断熱パネルPを構成するようになる。断熱性能については、空気と発泡断熱材とでは略同じであるため、端面部材26における断熱性能を維持しつつ断熱パネルPを構成できる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、上記実施例では、誘導路として、端面部材26の内壁30cの開放側26a端辺を切欠いた切欠部28が構成されていたが、内部空間に発泡断熱材を誘導可能とするものであれば、誘導路の形成箇所は、必ずしも開放側26a端辺を切欠いた切欠部28で構成されるに限られず、例えば本発明の変形例として図7に示されるように、端面部材36の誘導路は、内壁30cの略中央高さにおいて、孔状に貫通した孔部38であってもよい。このようにすることで、上述と同様に、充填空間K内を満たして更に充填された発泡断熱材の余剰分を、孔部38から端面部材36の内部空間Nに誘導出来るため、発泡断熱材の余剰分が組付け箇所等から充填空間Kの外部に漏出することを防止できる。
【0045】
また、上記実施例では、端面部材26は、開放側26aを外面材20と当接するように配置されていたが、例えば端面部材は、開放側を内面材と当接させ、閉塞側を外面材と当接させるように配置された断面視略コ字形状の中空構造であって、端面部材の内側の仕切壁には、開放側に切欠された誘導路が形成されており、この誘導路により空間と内部空間とが連通されていてもよい。このようにすれば、内部空間に誘導された発泡断熱材が、内面材と一体に固着するため、断熱パネルの強度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例におけるショーケースの断熱パネル構造の全体像を示す縦断面図である。
【図2】ショーケースの底部における発泡断熱材を充填する空間を示す斜視図である。
【図3】端面部材を下方から視た斜視図である。
【図4】注入路周辺を示した拡大断面斜視図である。
【図5】発泡断熱材の充填状況を示す断面図である。
【図6】(a)は、断熱パネルの形成状況を示す図2のA−A断面図であり、(b)は、(a)と同じくB−B断面図である。
【図7】変形例における端面部材を下方から視た斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 冷蔵ショーケース
2 外箱
3 内箱
4 ケース本体
5 冷蔵室
19 脚部材
20 外面材
21 外底板
22 斜め外底板
23 内面材
24 内底板
25 斜め内底板
26 端面部材
26a 開放側
28 切欠部(誘導路)
29 注入路
30a 外壁
30b 仕切壁
30c 内壁
30d 仕切壁
30e、30e’ 仕切壁
30f 上壁
35 ノズル
36 端面部材
38 孔部(誘導路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面材と内面材とを端面部材に組付け、これらによって囲まれた充填空間内に発泡断熱材を充填して形成した断熱パネルにより構成された本体内に、前面若しくは上面が開口した貯蔵室を形成し、該貯蔵室内を冷却するショーケースの断熱パネル構造であって、
前記端面部材の内部に内部空間を形成するとともに、該端面部材の所定箇所に、前記充填空間内に充填される発泡断熱材の一部を前記内部空間に誘導可能とする誘導路を形成したことを特徴とするショーケースの断熱パネル構造。
【請求項2】
前記内部空間は、前記端面部材の内壁と外壁との間に設けられた仕切壁により内外方向に仕切られており、前記内壁に前記誘導路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のショーケースの断熱パネル構造。
【請求項3】
前記端面部材は、前記外面材側又は前記内面材側に開放している断面視略コ字形状に形成され、前記誘導路は、前記端面部材の内壁の開放端辺に形成された切欠部で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のショーケースの断熱パネル構造。
【請求項4】
前記断熱パネルは、前記ショーケースの底部に構成されているとともに、該断熱パネルの端面部材は、下方側に配置された前記外面材側に開放していることを特徴とする請求項3に記載のショーケースの断熱パネル構造。
【請求項5】
前記端面部材の少なくとも内壁及び外壁に、前記発泡断熱材を前記充填空間に充填するための注入路が形成されており、該注入路は、前記誘導路が形成された前記内部空間と区画されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のショーケースの断熱パネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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