説明

ショーケース

【課題】異なる種類の照明装置が取り付けられた場合であっても、適切な照度によって照明することができると共に、庫内冷却に対する負荷に応じて適切な冷却制御を実現することができるショーケースを提供する。
【解決手段】本発明のショーケース1は、陳列室11内を冷却する冷却装置と、照明灯36等とを備えて成るものであって、照明灯36等の種類を設定する照明種類設定スイッチ25と、冷却装置及び照明灯36等を制御する制御装置20とを備え、制御装置20は、照明種類設定スイッチ25にて設定された照明灯36等の種類に基づき、冷却装置の制御を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列室内を冷却する冷却装置と、陳列室内や陳列室近傍を照明する照明装置とを備えて成るショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置されるショーケースは、本体内に形成される陳列室内に当該陳列室内やショーケース前方等を照明するための照明灯が取り付けられている。照明灯は、陳列室の天井面前部に位置するキャノピー下面や、棚が複数段架設されている場合には、当該棚下面前部に位置して取り付けられている(特許文献1参照)。
【0003】
一般に、スーパーマーケットなどでは、営業時間外になると集中管理などによって各ショーケースの照明灯がOFFされ、各ショーケースの冷却装置は、所謂ナイトセットバック制御が実行される。このナイトセットバック制御では、照明スイッチがOFFしている閉店中における吐出冷気の設定温度、照明スイッチがONしている開店中の設定温度より所定温度(例えば4deg)上昇する方向で運転制御が補正される。
【0004】
これにより、照明灯の通電制御に基づいてショーケースの冷却装置の運転制御が行われることにより、営業時間外における冷却運転の運転率を低下させ、省エネが図られている。
【特許文献1】特開平7−143928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、従来よりショーケースに取り付けられる照明灯は、直径32mmの一般蛍光灯(φ32管)が多く用いられている。これに対し、昨今では、一般蛍光灯に対し消費電力量が少なく、且つ、温度依存性の小さい省エネ蛍光灯(端子間距離5mmの所謂T5管)が開発されている。図4には、各蛍光灯の照度に対する温度の関係を示す図が示されている。当該省エネ蛍光灯は、特に低温域における照度の低下が、一般蛍光灯に比べ小さく、庫内を冷却して用いる低温ショーケースにおいて特に好適なものである。また、当該省エネ蛍光灯は、一般蛍光灯に比べ、細管に形成されているため、棚下などに取り付けられた際に、ショーケース前面から蛍光灯が視認しがたくなり、外観上好適なものとなり、また、一般蛍光灯では、殆ど形成されなかった棚下に形成される反射板との間隔を適切に形成することが可能となり、照明の反射効率を向上させることができる。
【0006】
そこで、市場では、店舗内に設置されるショーケースに応じて、任意に一般蛍光灯を省エネ蛍光灯に付け替え、若しくは、省エネ蛍光灯から一般蛍光灯に付け替えられるケースが生じている。
【0007】
しかしながら、上述したように各蛍光灯は、印加される電圧に対し、消費電力量が異なるため、庫内冷却に対する負荷が異なる。即ち、低温ショーケースにおいて、一般蛍光灯から省エネ蛍光灯に変更した場合には、同様の印加電圧であっても、省エネ蛍光灯の方が消費電力が少ないので、庫内冷却に対する負荷が小さくなり、同様の冷却制御を行った場合に、冷却効率が異なるため、一定の冷却制御を行うことができなくなるという問題がある。
【0008】
また、各蛍光灯は、印加電力に対する照度が異なると共に、当該蛍光灯が取り付けられるショーケースの庫内温度によっても、照度が異なる。そのため、取り付けられる蛍光灯が変更されることにより、照度が変更され、例えば、低温ショーケースにおいて、一般蛍光灯から省エネ蛍光灯に変更した場合には、同様の印加電力であっても、照度が上昇する。他方、低温ショーケースにおいて、省エネ蛍光灯から一般蛍光灯に変更した場合には、同様の印加電力であっても、照度が低下する。
【0009】
そのため、異なる蛍光灯が取り付けられた低温ショーケースを隣接して設置した場合には、明らかに、ショーケース同士の照度が異なるため、同様の照明効果を得ることができず、美感が損なわれる不都合が生じると共に、これによって、陳列室内に陳列される商品に対する購買意欲に差が生じてしまう問題がある。
【0010】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、異なる種類の照明装置が取り付けられた場合であっても、適切な照度によって照明することができると共に、庫内冷却に対する負荷に応じて適切な冷却制御を実現することができるショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のショーケースは、陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るものであって、照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、照明種類設定手段にて設定された照明装置の種類に基づき、冷却装置の制御を変更することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明のショーケースは、上記発明において、制御装置は、冷却装置の制御の変更幅を調整可能とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明のショーケースは、陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るものであって、照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、照明種類設定手段にて設定された照明装置の種類に基づき、当該照明装置に印加する電力を変更することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明のショーケースは、上記発明において、制御装置は、照明装置に印加する電力の変更幅を調整可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るショーケースにおいて、照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、照明種類設定手段にて設定された照明装置の種類に基づき、冷却装置の制御を変更するので、庫内冷却に対する負荷が、各照明装置ごとに異なる場合であっても、照明装置の種類に基づき、冷却装置の制御を変更することができ、照明装置の種類が変更された場合であっても、当該照明装置による庫内冷却に対する負荷に応じて適切に冷却制御を行うことが可能となる。
【0016】
そのため、例えば、消費電力が少なく、庫内冷却に対する負荷が小さい照明装置に変更した場合に、冷却装置の冷却設定値を上昇させることで、冷却装置の運転率を低下させることが可能となり、省エネ化を実現することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上記発明において、制御装置は、冷却装置の制御の変更幅を調整可能とされているので、当該ショーケースの用途等に応じて、制御の変更幅を変更することが可能となる。そのため、ショーケースの用途ごとに、適切に冷却装置の運転率を制御することが可能となり、これによっても、省エネ化を実現することが可能となる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るショーケースにおいて、照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、照明種類設定手段にて設定された照明装置の種類に基づき、当該照明装置に印加する電力を変更するので、印加する電力に対する照度が、各照明装置ごとに異なる場合であっても、照明装置の種類に基づき、印加電力を変更することが可能となり、照明装置の種類が変更された場合であっても、所定の照度にて確実に照明することが可能となる。
【0019】
そのため、例えば、特に低温域における温度依存性の少ない照明装置から大きい照明装置に変更した場合に、印加する電力を増加させることで、同様の照度を実現することが可能となる。これにより、照明装置の種類の異なるショーケースが隣接されて設置された場合であっても、同様の照度にて照明することが可能となり、一様な照明効果を発揮することが可能となる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、上記発明において、制御装置は、照明装置に印加する電力の変更幅を調整可能とされているので、当該ショーケースの用途等に応じて、照明装置に印加する電力の変更幅を変更することが可能となる。そのため、ショーケースの用途ごとに、適切な照度にて照明することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照して本発明の実施形態について詳述する。図1は本発明を適用したショーケース1の斜視図、図2は図1のショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。
【0022】
ショーケース1は、例えばスーパーマーケットなどの店舗内に据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁2と、据え付け現場において断熱壁2の側面に取り付けられた断熱性の側板5、5とから構成されている。
【0023】
ショーケース1の断熱壁2の内側には所定間隔を存して内壁4が取り付けられると共に、当該内壁4と断熱壁2との間にはそれぞれ間隔を存して区画壁40が取り付けられ、内壁4と区画壁40間には、内層ダクト41が形成されると共に、区画壁40と断熱壁2間には外層ダクト42が形成されている。内壁4を構成する背部内壁10の下端前方には、底板9が断熱壁2の底壁2Aとの間にダクト用の間隔を存して取り付けられており、これら内壁4及び底板9の内側を陳列室11としている。
【0024】
また、この陳列室11内には、高さ及び取付角度が変更可能であると共に、陳列室11内背部の図示しない支柱に取り付けられる一対のブラケット31及びこれらと共に棚装置を構成する棚板32が複数段に渡って架設されている。棚板32の前縁には、硬質合成樹脂により成形されるプライスレール34が取り付けられており、当該プライスレール34は、棚板32の装飾体を兼用している。また、この棚板32の前壁とプライスレール34との間には、所定の間隔が形成されており、当該間隔には棚板32上の商品が落下することを防止するためのガード35が取り付けられる。また、各棚板32の下面前部には、下方の棚板32上に陳列される商品を照明するための照明灯36が配設されている。尚、当該照明灯36は、複数種類の照明灯、本実施例では、一般蛍光灯(φ32管)、所謂、省エネ蛍光灯(T5管)を使用可能とされており、詳細は後述する如く、照明種類設定スイッチ(照明種類設定手段)25にて使用される照明灯の種類を制御装置20に入力することにより、冷却装置のON−OFF制御及び印加電力が制御される。
【0025】
断熱壁2の前面開口12の上縁にはハニカム材13、14がそれぞれ取り付けられた内層吹出口16及び外層吹出口17が並設されており、これら内層吹出口16及び外層吹出口17は、内層ダクト41及び外層ダクト42にそれぞれ連通している。尚、内層吹出口16及び外層吹出口17は、区画壁40の前端において、仕切部材45によって区画形成される。他方、開口12の下縁には、内層吸込口18と外層吸込口19が並設されている。尚、内層吹出口16の陳列室11側の天面内壁8には、陳列室11内を上方から照明するための照明灯39が設けられている。尚、当該照明灯39についても、上記照明灯36と同様に複数種類の照明灯が使用可能とされており、詳細は後述する如く、照明種類設定スイッチ(照明種類設定手段)25にて使用される照明灯の種類を制御装置20に入力することにより、冷却装置のON−OFF制御及び印加電力が制御される。
【0026】
また、断熱壁2の天壁2B前端にはパネル33が取り付けられており、このパネル33の内方には、パネル33の後方に位置して照明灯37を取り付けるための照明灯反射板50が取り付けられる。尚、当該照明灯37についても、上記照明灯36と同様に照明灯の種類に応じて、冷却装置のON−OFF制御及び印加電力が制御される。これにより、陳列室11内は、上前方から照明灯37にて照明される。また、断熱壁2の天壁2Bの前端には、下方に延出して前記外層吹出口17の前側に位置して外層ダクト42の前端を閉塞する吹出口外壁52が取り付けられる。尚、この吹出口外壁52は、下端が後側に折り返された図示しない係合部が形成されており、当該係合部によって、前記外層吹出口17に取り付けられるハニカム材14の前端が支持される。そして、この吹出口外壁52の上面には、断熱壁2の天壁2Bの前端に位置して巻き取り式のナイトカバー51が収容される。
【0027】
一方、底板9下方後部には断熱壁2の底壁2A上に内層ダクト41及び外層ダクト42のそれぞれに対応する送風機27、28(図3のみ図示する)が複数台設置されている。そして、背部内壁10後方の内層ダクト41内には冷却装置の図示しない冷却器が縦設されている。この冷却器と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機26(図3のみ図示する)、凝縮器、凝縮器用送風機43(図3のみ図示する)等は、ショーケース1とは別置きに例えば、店舗内の機械室などに設けられており、当該ショーケース1と圧縮機26等とは、図示しない冷媒配管にて配管接続されているものとする。そして、圧縮機26や送風機27、28、更には、冷媒回路内における冷媒流量を制御する電磁弁29は、前記制御装置20に接続され、詳細は後述する如く冷却運転の制御が行われるものとする。
【0028】
次に、図3を参照して上記制御装置20について詳述する。図3はショーケース1の前記制御装置20のブロック図を示している。この制御装置20は汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、時限手段としてのタイマ21を備えている。そして、この制御装置20の入力には、冷却制御用の温度センサ22と、電源スイッチ23と、照明スイッチ24と、上記照明種類設定スイッチ25が接続されている。また、制御装置20の出力には、前記圧縮機26、送風機27、28、43、電磁弁29、照明装置36、37、39が接続されている。尚、温度センサ22は例えば陳列室11内天井部に取り付けられているものとし、照明装置36、37、39はそれぞれ電子安定器46、47、48を介して接続されているものとする。
【0029】
また、本実施例における照明種類設定スイッチ25は、例えば、ショーケース1の本体に設けられる図示しないコントロールパネルに設けられており、本実施例では、照明灯36、37、39として、一般蛍光灯(φ32管)、所謂、省エネ蛍光灯(T5管)を使用可能とするため、設定種類としては、上記2種類を設定可能とする。
【0030】
以上の構成で本発明の実施例のショーケース1の動作を説明する。先ず、電源スイッチ23が投入されると、制御装置20は、圧縮機26、送風機27及び28を起動する。圧縮機26が起動されると、内層ダクト41に縦設される冷却器が冷却作用を発揮する。この冷却器と熱交換した冷気は、送風機27の運転により、内層ダクト41内を上昇せられ、内層吹出口16より内層吸込口18に向かって吹き出される。そして、内層吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記送風機27によって加速される。これにより、前面開口12には、冷気エアーカーテンが形成される。
【0031】
他方、外層ダクト42に対応した送風機28が運転されると外層ダクト42内の保護気流は外層ダクト42内を上昇せられ、外層吹出口17より外層吸込口19に向かって吹き出される。そして、外層吸込口19から吸い込まれた空気は再び前記送風機28によって加速される。これによって、前面開口12には、冷気エアーカーテンの外側に保護エアーカーテンが形成され、開口12には前後二重のエアーカーテンが形成されることとなる。そして、内側の冷気エアーカーテンの一部が陳列室11内に循環されて陳列室11は冷却される。
【0032】
制御装置20は、送風機27、28を連続運転し、圧縮機26と凝縮器用送風機43については温度センサ22の出力に基づき、例えば+5℃で起動し、+3℃で停止するON−OFF制御を実行する。これによって、陳列室11内が平均+4℃の冷蔵温度に冷却されることになる。尚、本実施例では、圧縮機26と凝縮器用送風機43のON−OFF制御のみによって陳列室11内の温度制御を行っているが、これに限定されるものではなく、これに加えて、電磁弁29による開度制御を行うことによっても温度制御を行っても良いものとする。
【0033】
一方、本実施例における照明灯36、37、39は、用いられる照明の種類によって印加電力に対する照度が異なり、また、印加電力に対する発熱量が異なることから、庫内冷却への負荷が異なる。図4は各照明灯に一定の電力を印加した場合における庫内温度に対する照度の関係を示しており、図5は各照明灯により一定の照度を実現した場合における消費電力量を示している。
【0034】
これによると、一般蛍光灯は、印加電力を所定の値とした場合、庫内温度が低くなるに従い、照度が低下する傾向が大きく、庫内温度が所定の温度以上となると、基準照度よりも照度が大きくなる傾向がある。省エネ蛍光灯は、印加電力を上記一般傾向と同様の所定の値とした場合、庫内温度が低くなるに従い、照度が低下する傾向が小さく、庫内温度が、高い場合であっても、ほぼ基準照度の範囲に位置している。
【0035】
そのため、一般蛍光灯をチルド温度域や冷凍温度域において使用する場合には、基準照度が確保するため、省エネ蛍光灯に比して大きく印加電力を上昇させる必要がある。尚、当該省エネ蛍光灯を使用した場合も、特に冷凍温度域において照度が低下する傾向があることから、係る場合であっても、少許、印加電力を上昇させる必要がある。
【0036】
尚、図に示されるように、LEDを使用した場合には、一般蛍光灯や省エネ蛍光灯に比して、温度依存性が小さく、印加電力を一般蛍光灯や省エネ蛍光灯を使用した場合に比して減少させた場合であっても、所定の照度を確保することが可能である。しかし、庫内温度が所定の温度以上となると、基準照度よりも低下する傾向があることから、基準照度を確保するためには、庫内温度に応じて、LEDに印加する電力を上昇させる必要がある。
【0037】
尚、図4における各照明灯の庫内温度に対する照度は、ショーケース自体の冷却能力や大きさ、設置環境等により変化するため、一定の温度や照度を示すものではないため、図4では、数値は示していない。
【0038】
一方、図5に示される図は、本実施例における庫内温度、即ち、+4℃での一定の照度を実現する場合における各照明灯の消費電力量である。尚、白抜きで示されるものは、インバータに要する消費電力量であり、ハッチングにて示されるものは、光と熱に要する消費電力量である。これによると、一般蛍光灯の場合には、省エネ蛍光灯やLEDに比して各消費電力量が大きく、発熱量も大きいことがわかる。そのため、庫内冷却に対し、照明灯の発熱による負荷が大きく影響する。省エネ蛍光灯についてもLEDに比して、同様の傾向、即ち、各消費電力量が大きく、発熱量が大きい傾向があり、庫内冷却に対する照明灯の発熱による負荷が大きく影響する。
【0039】
そのため、各照明灯36等を、一般蛍光灯から省エネ蛍光灯に交換した場合に、一般蛍光灯と同様の冷却制御及び印加電力とした場合には、基準照度よりも明るくなると共に、庫内冷却に対する負荷が小さくなることから、冷却設定温度を上昇させた場合であっても、同様に陳列室11内を冷却することが可能となる。同様に省エネ蛍光灯からLEDに交換した場合についても、同様の傾向がある。
【0040】
図6に示すように、各照明灯における所定の冷却温度で一定の基準照度を実現させる場合の発熱量を勘案して、冷却設定温度を一般蛍光灯に比して省エネ蛍光灯では、1℃〜2℃上昇させ、省エネ蛍光灯に比してLEDでは、1℃〜2℃上昇させた場合であっても、同様の冷却能力を確保することができる。
【0041】
そこで、制御装置20は、上記各照明種類の傾向に基づき、各照明装置36、37、39の印加電力をインバータ制御すると共に、冷却温度の設定温度を補正する。以下、図7及び図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0042】
図7は各照明灯36等の照明の種類に応じた温度調整制御及び調光制御を示す。この場合、制御装置20は、ステップS1において、照明種類設定スイッチ25において設定された照明種類が一般蛍光灯であるか、省エネ蛍光灯であるかを判断し、一般蛍光灯である場合には、ステップS2に進む。ステップS2では、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている基準設定温度を取得し、温度調整制御用データとする。その後、ステップS3に進み、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている一般蛍光灯用調光設定を取得し、調光制御用データとする。そして、ステップS4では、前記温度調整制御用データに基づき、当該温度調整制御を出力し、これに基づき、上記圧縮機26、送風機27、28、43、電磁弁29を運転制御する。また、制御装置20は、ステップS5において、前記調光制御用データに基づき、当該調光制御を各照明灯36等の電子安定器46、47、48に出力し、これに基づき、各照明灯36等への印加電力をインバータ制御する。
【0043】
他方、制御装置20は、ステップS1において、省エネ蛍光灯であると判断した場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている基準設定温度と、省エネ蛍光灯用補正値とを取得し、当該基準設定温度に省エネ蛍光灯用補正値、具体的には、冷却設定温度を1℃から2℃上昇させるための補正値を加算し、温度調整制御用データとする。尚、当該省エネ蛍光灯用補正値は、任意に補正の幅を変更することが可能であるものとする。
【0044】
その後、ステップS7に進み、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている省エネ蛍光灯用調光設定を取得し、調光制御用データとする。その後、ステップS4に進み、上記と同様に、前記温度調整制御用データに基づき、当該温度調整制御を出力し、これに基づき、上記圧縮機26、送風機27、28、43、電磁弁29を運転制御する。また、制御装置20は、ステップS5において、前記調光制御用データに基づき、当該調光制御を各照明灯36等の電子安定器46、47、48に出力し、これに基づき、各照明灯36等への印加電力をインバータ制御する。
【0045】
これにより、制御装置20は、一般蛍光灯を使用した場合に適用される基準設定温度に省エネ蛍光灯用補正値を加算することで、庫内の冷却設定温度を上昇させる温度調整制御用データを取得し、これに基づき、冷却装置の圧縮機26や送風機27、28、43、電磁弁29等を運転制御する。このため、一般蛍光灯を使用した場合に比して、冷却設定温度を1℃から2℃上昇させることが可能となり、冷却装置の運転率を低下させることができる。これにより、省エネ化を実現することができ、ランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0046】
他方、各照明灯36等が省エネ蛍光灯から一般蛍光灯に交換され、照明種類設定スイッチ25により、一般蛍光灯に設定された場合には、一般蛍光灯を使用した場合に適用される基準設定温度に基づく温度調整制御用データを取得し、これに基づき、冷却装置の圧縮機26や送風機27、28、43、電磁弁29等を運転制御する。このため、省エネ蛍光灯を使用した場合に比して、結果として、冷却設定温度を1℃から2℃降下させることが可能となり、当該一般蛍光灯による発熱量の増大に伴う庫内冷却への負荷を考慮した冷却装置の運転を実現することができる。これにより、冷却不良となる不都合を回避することが可能となる。
【0047】
このように、照明灯の種類ごとに異なる庫内冷却に対する負荷に応じて適切に冷却制御を行うことが可能となり、適切な冷却運転を実現することが可能となる。
【0048】
尚、上述したように、省エネ蛍光灯用補正値は、任意に補正の幅を変更することが可能であることから、当該ショーケース1の用途等に応じて、制御の変更幅を調整することが可能となる。そのため、ショーケース1の用途ごとに、適切に冷却装置の運転率を制御することが可能となり、これによっても、省エネ化を実現することが可能となる。
【0049】
また、制御装置20は、照明種類設定スイッチ25により選択された照明種類に基づき、一般蛍光灯用の調光設定と、省エネ蛍光灯用の調光設定の何れかから選択して、調光制御データとし、これに基づき各照明灯36等の電子安定器46等へ出力し、各照明灯36等への印加電力を制御するため、当該庫内温度及び照明の種類に応じた印加電力に調整することが可能となり、照明灯の種類が変更された場合であっても、所定の基準照度にて確実に照明することが可能となる。
【0050】
そのため、例えば、特に低温域における温度依存性の少ない省エネ蛍光灯から大きい一般蛍光灯に変更した場合に、印加する電力を増加させることで、同様の照度を実現することが可能となる。これにより、照明灯の種類の異なるショーケースが隣接されて設置された場合であっても、同様の照度にて照明することが可能となり、一様な照明効果を発揮することが可能となる。
【0051】
尚、本実施例において、制御装置20は、各照明灯用の調光設定を、任意に調光設定値を変更することが可能、具体的には、各照明灯に印加する電力の変更幅を調整することが可能とされている。
【0052】
そのため、ショーケース1の用途等に応じて、照明灯36等に印加する電力の変更幅を変更することが可能となり、ショーケース1の用途ごとに、適切な照度にて照明することが可能となる。
【0053】
尚、本実施例では、上述した如き調光制御は、照明灯36、37、39に対し、一括してすべての照明灯の種類を照明種類設定スイッチ25にて設定し、当該設定に基づき、各照明灯36、37、39への印加電力のインバータ制御を行っているが、これ以外にも、各照明灯36、37、39ごとに、照明灯の種類を照明種類設定スイッチにて設定し、当該設定に基づき、各照明灯ごとに、印加電力のインバータ制御を行っても良いものとする。これにより、一台のショーケースにおいて、複数種類の照明灯が用いられていた場合であっても、各照明灯ごとに印加電力を調整することができるため、全体としての照度を一様とすることが可能となる。
【0054】
尚、図8は各照明灯36等の照明の種類に応じた温度調整制御を示すものである。この場合、制御装置20は、ステップS11において、照明種類設定スイッチ25において設定された照明種類が一般蛍光灯であるか、省エネ蛍光灯であるかを判断し、一般蛍光灯である場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている基準設定温度を取得し、温度調整制御用データとする。その後、ステップS13に進み、制御装置20は、前記温度調整制御用データに基づき、当該温度調整制御を出力し、これに基づき、上記圧縮機26、送風機27、28、43、電磁弁29を運転制御する。
【0055】
他方、制御装置20は、ステップS11において、省エネ蛍光灯であると判断した場合には、ステップS14に進む。ステップS14では、制御装置20は、予め制御装置20の記憶手段に格納されている基準設定温度と、省エネ蛍光灯用補正値とを取得し、当該基準設定温度に省エネ蛍光灯用補正値、具体的には、冷却設定温度を1℃から2℃上昇させるための補正値を加算し、温度調整制御用データとする。尚、当該省エネ蛍光灯用補正値は、任意に補正の幅を変更することが可能であるものとする。
【0056】
その後、ステップS13に進み、上記と同様に、前記温度調整制御用データに基づき、当該温度調整制御を出力し、これに基づき、上記圧縮機26、送風機27、28、43、電磁弁29を運転制御する。
【0057】
この場合においても、制御装置20は、一般蛍光灯を使用した場合に適用される基準設定温度に省エネ蛍光灯用補正値を加算することで、庫内の冷却設定温度を上昇させる温度調整制御用データを取得し、これに基づき、冷却装置の圧縮機26や送風機27、28、43、電磁弁29等を運転制御する。このため、一般蛍光灯を使用した場合に比して、冷却設定温度を1℃から2℃上昇させることが可能となり、冷却装置の運転率を低下させることができる。これにより、省エネ化を実現することができ、ランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0058】
他方、各照明灯36等が省エネ蛍光灯から一般蛍光灯に交換され、照明種類設定スイッチ25により、一般蛍光灯に設定された場合には、一般蛍光灯を使用した場合に適用される基準設定温度に基づく温度調整制御用データを取得し、これに基づき、冷却装置の圧縮機26や送風機27、28、43、電磁弁29等を運転制御する。このため、省エネ蛍光灯を使用した場合に比して、結果として、冷却設定温度を1℃から2℃降下させることが可能となり、当該一般蛍光灯による発熱量の増大に伴う庫内冷却への負荷を考慮した冷却装置の運転を実現することができる。これにより、冷却不良となる不都合を回避することが可能となる。
【0059】
このように、照明灯の種類ごとに異なる庫内冷却に対する負荷に応じて適切に冷却制御を行うことが可能となり、適切な冷却運転を実現することが可能となる。
【0060】
尚、上述したように、省エネ蛍光灯用補正値は、任意に補正の幅を変更することが可能であることから、当該ショーケース1の用途等に応じて、制御の変更幅を調整することが可能となる。そのため、ショーケース1の用途ごとに、適切に冷却装置の運転率を制御することが可能となり、これによっても、省エネ化を実現することが可能となる。
【0061】
尚、本発明に適用される照明の種類は、上述した如き一般蛍光灯や省エネ蛍光灯の2種類に限定されるものではなく、これに、LEDを加えても同様の効果を奏することができる。また、照明灯の種類についても、印加電力に対する照度が異なる場合や、印加電力に対する発熱量が異なることから庫内冷却への負荷が異なる照明灯を複数種類用いた場合であれば、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用したショーケースの斜視図である。
【図2】図1のショーケースの縦断側面図である。
【図3】ショーケースの制御装置のブロック図である。
【図4】各照明灯に一定の電力を印加した場合における庫内温度に対する照度の関係を示す図である。
【図5】各照明灯により一定の照度を実現した場合における消費電力量を示す図である。
【図6】各照明灯に対する冷却設定温度を示す図である。
【図7】各照明灯等の照明の種類に応じた温度調整制御及び調光制御を示すフローチャート図である。
【図8】各照明灯等の照明の種類に応じた温度調整制御を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ショーケース
2 断熱壁
11 陳列室
12 開口
20 制御装置
21 タイマ
22 温度センサ
23 電源スイッチ
24 照明スイッチ
25 照明種類設定スイッチ
26 圧縮機
27、28 送風機
29 電磁弁
36、37、39 照明灯
46、47、48 電子安定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るショーケースにおいて、
前記照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、
前記冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記照明種類設定手段にて設定された前記照明装置の種類に基づき、前記冷却装置の制御を変更することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記制御装置は、前記冷却装置の制御の変更幅を調整可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
陳列室内を冷却する冷却装置と、照明装置とを備えて成るショーケースにおいて、
前記照明装置の種類を設定する照明種類設定手段と、
前記冷却装置及び照明装置を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記照明種類設定手段にて設定された前記照明装置の種類に基づき、当該照明装置に印加する電力を変更することを特徴とするショーケース。
【請求項4】
前記制御装置は、前記照明装置に印加する電力の変更幅を調整可能とされていることを特徴とする請求項3に記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−252614(P2007−252614A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80901(P2006−80901)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】