説明

ショーケース

【課題】棚上の限られたスペースを有効に商品陳列に利用することができると共に、当該商品の照明を実現することができるショーケースを提供する。
【解決手段】本発明のショーケース1は、前面が開口する陳列室11内に架設した棚30上に商品を陳列するものであって、LED素子43を有し、棚30下の後部に位置して前方に向けられたLED照明装置70と、棚30下の前部に設けられた反射部材(反射面)68とを備え、LED照明装置70のLED素子43から照射された光を、反射面により棚30下方に向けて反射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面が開口する陳列室内に架設した棚上に商品を陳列するショーケースに関するものであって、特に、当該棚上の照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のショーケースは、例えば特許文献1に示すように、前面に開口する陳列室内に商品陳列用の複数段の棚装置が架設されており、各棚装置の下面前部及び陳列室の開口上部には、陳列室内を照明するための蛍光灯などの照明装置がそれぞれ取り付けられている。
【0003】
また、各蛍光灯の上側には例えば白色に塗装された鋼板製の反射板が取り付けられている。この反射板は複数箇所を屈曲されることにより、蛍光灯の上方を略囲繞するように設けられ、蛍光灯から発せられた光のうち上方に向かう光を下方に向けて反射させる。これにより、下方の各棚上の商品をより明るく照明できるようにしていた。
【0004】
また、これ以外にも、照明装置としてLED素子を複数備えたLED照明装置を棚板の下面前部に取り付け、これにより、当該照明装置が設けられる下側の棚装置上を照明するショーケースが開発されている。
【特許文献1】特開2002−39672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の棚に設けられる照明装置では、棚の前部下面に取り付けられていたため、当該照明装置自体によって、下側に架設される棚上の商品が見えにくいという問題がある。また、照明装置は、一般に蛍光灯が使用されているため、ある程度のスペースが必要となり、下側に架設される棚上の陳列スペースが縮減されてしまうという問題があった。
【0006】
また、棚装置は、陳列室の後部に設けられる支柱にブラケットなどによって支持されて設けられる。そのため、最も力がかかりやすい棚前端部に、ある程度の重量のある照明装置が設けられることによって、棚上に陳列される商品の耐重量が制限されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、棚上の限られたスペースを有効に商品陳列に利用することができると共に、当該商品の照明を実現することができるショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のショーケースは、前面が開口する陳列室内に架設した棚上に商品を陳列するものであって、LED素子を有し、棚下の後部に位置して前方に向けられたLED照明装置と、棚下の前部に設けられた反射面とを備え、LED照明装置のLED素子から照射された光を、反射面により棚下方に向けて反射させることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明のショーケースは、上記発明において、棚は、商品が載置される棚板と、該棚板の前端部に取り付けられたプライスレールとを有し、該プライスレールの後下隅部に反射面を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前面が開口する陳列室内に架設した棚上に商品を陳列するショーケースにおいて、LED素子を有し、棚下の後部に位置して前方に向けられたLED照明装置と、棚下の前部に設けられた反射面とを備え、LED照明装置のLED素子から照射された光を、反射面により棚下方に向けて反射させることにより、効果的に棚上に陳列される商品を照明することができる。
【0011】
特に、指向性の高いLED素子によって棚下の前部に設けられた反射面に光を照射することから、良好に反射面に光を照射することができ、棚前方に直接、LED素子からの光が照射される不都合を抑制することが可能となる。
【0012】
また、棚下前部に照明装置を取り付ける場合に比してスペース効率の向上、更には、棚全体の軽量化を図ることが可能となる。そのため、棚下前部に設けられる照明装置によって、下側に架設される棚上に陳列される商品、特に奥部に陳列される商品が見えにくくなる不都合を解消することができ、効果的な陳列・照明を実現することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明によれば、上記発明において、棚は、商品が載置される棚板と、該棚板の前端部に取り付けられたプライスレールとを有し、該プライスレールの後下隅部に反射面を構成したことにより、更なるスペース効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施形態について詳述する。図1は本発明を適用したオープンショーケース1の斜視図、図2は図1のオープンショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。オープンショーケース1は、例えばスーパーマーケットなどの店舗内に据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁2と、据え付け現場において断熱壁2の側面に取り付けられた断熱性の側板5、5とから構成されている。
【0015】
オープンショーケース1の断熱壁2の内側にはそれぞれ間隔を存して仕切板4及び図示しないもう一枚の仕切板が取り付けられ、これら仕切板4などと断熱壁2間に図示しない内外二層のダクトが形成されている。内側の仕切板4を構成する背部仕切板10の下端前方には、底板9が断熱壁2の底壁2Aとの間にダクト用の間隔を存して取り付けられており、これら仕切板4及び底板9の内側を陳列室11としている。
【0016】
この陳列室11内には、高さ及び取り付け角度が変更可能であると共に、陳列室11内背部の図示しない支柱に取り付けられる一対のブラケット31及びこのブラケット31に支持されてこれらと共に棚30を構成する棚板32が複数段に渡って架設されている。尚、当該棚30の詳細な構成は後述する。
【0017】
断熱壁2の前面開口12の上縁にはハニカム材13、14がそれぞれ取り付けられた内層吐出口16及び外層吐出口17が並設されており、これら内層吐出口16及び外層吐出口17は、前記内層ダクト及び外層ダクトにそれぞれ連通している。また、開口12の下縁には、内層吸込口18と外層吸込口19が並設されている。
【0018】
一方、底板9下方後部には断熱壁2の底壁2A上に前記内層ダクト及び外層ダクトのそれぞれに対応する図示しない送風機が複数台設置されている。背部仕切板10後方の内層ダクト内には冷却装置の冷却器39が縦設されており、前記内層ダクトに対応した送風機が運転されると冷却器39と熱交換した冷気は内層ダクト内を上昇せられ、内層吐出口16より内層吸込口18に向かって吐出される。そして、内層吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記送風機によって加速される。
【0019】
他方、前記外層ダクトに対応した送風機が運転されると外層ダクト内の空気は外層ダクト内を上昇せられ、外層吐出口17より外層吸込口19に向かった吐出される。そして、外層吸込口19から吸い込まれた空気は再び前記送風機によって加速される。これによって、開口12には前後二重のエアーカーテンが形成され、内側の冷気エアーカーテンの一部が陳列室11内に循環されて陳列室11は冷却される。
【0020】
一方、断熱壁2の下側前壁2Cの上面には、ショーケース1の開口12下縁の全幅に渡って設けられるハンドレール20が取り付けられる。この前壁2Cの前面には、ハンドレール20と連続するように前面下パネル21が取り付けられ、該前面下パネル21の下方には前面下パネル21と略面一となるようにバンパー22が取り付けられる。
【0021】
そして、断熱壁2の天壁2B前端(上部前端)には、前方に張り出したキャノピー33が取り付けられており、このキャノピー33の内側には、陳列室11の前面開口12より外側に延在した状態で反射板45が取り付けられる。尚、キャノピー33の前面には図1に示されるように温度表示部38が設けられている。
【0022】
この反射板45は、化粧塗装が施された金属板にて構成されており、前部には、長手方向に渡って、上前方から陳列室11の前面開口12を臨む角度、即ち、後斜め下方の陳列室11方向に面してLED照明装置40が左右に渡って並設されている。
【0023】
このLED照明装置40は、複数のLED素子43が配設された図示しない基板により構成されている。長手方向に延在して構成されている基板には、所定間隔を存して複数のLED素子43が取り付けられている。本実施例において、LED素子43は、チップタイプの白色のLED素子である。それぞれのLED素子43は、排気孔を下側から囲繞するかたちで取り付けられる透光性のシェード46によってカバーされる。
【0024】
係る構成により、各LED照明装置40が点灯されると、シェード46において拡散された後のそれぞれのLED素子43の照射光により、陳列室11の外側に位置する上前方から陳列室11内全体が照明される。
【0025】
次に、図3及び図4を参照して、本実施例における棚30について詳述する。図3は棚30の縦断側面図、図4は図3の前部拡大図をそれぞれ示している。本実施例の棚30を構成する棚板32は、前縁を下方に略垂直に折曲して構成された前壁50と、この前壁50の下端から略直角に後方に折曲された後向きのフランジ51と、後縁において下方に折曲された後壁52と、この後壁52の下端から前方に折曲された前向きのフランジ53とを有する塗装鋼板54と、この塗装鋼板54の左右両側縁下面に沿って溶接固定され、前記ブラケット31に載置される左右一対の鋼板製補強部材55と、塗装鋼板54の長手方向の下面に沿って溶接固定された補強部材56とから成るものである。
【0026】
34は、棚板32の前縁に沿って取り付けられ、この棚板32の装飾体を兼用するプライスレールであり、硬質合成樹脂により成形されている。係るプライスレール34は、棚板32の前面に位置する前壁部57と、この前壁部57の下端から後方に水平に延びる連壁部58と、この連壁部58の後端に連結され、全体として後上がりに傾斜する後壁部59とから構成されている。
【0027】
前記前壁部57は凹状に湾曲しており、その上縁前面及び下縁に沿って棚板32に載置された商品の品名や価格等を記載した紙又は樹脂シートからなる図示しない表示カードを係脱自在に保持する係止片が形成されている。
【0028】
また、この前壁部57には上縁裏面から後方に向かって延びる略L字状の突起60と、この突起60の下方に間隔を存して位置するよう前壁部57の途中から後方に延びる突起66が形成されている。
【0029】
後壁部59には棚板32のフランジ51を嵌合するための前向きの嵌合溝61が形成されている。そして、前壁部57と、嵌合溝61を構成するフランジ51の上前端部62との間には、当該上前端部と所定間隔を存して上方に起立する支持部63が形成されている。
【0030】
これにより、支持部63とフランジの上前端部62によって、略垂直上方に開口する凹所65が形成され、前壁部57と支持部63とによって斜め上後方に開口する凹所64が形成される。図中、当該凹所65内に嵌め込まれている35は、棚板32の前壁50とプライスレール34の60との間に位置して棚板32上の商品が落下することを防止するためのガードである。当該ガードは、透明なガラス或いは樹脂板から構成されている。
【0031】
そして、プライスレール34の連壁部58の後端には、下後方に向けて延出する反射部材保持部67が形成されている。当該反射部材保持部67の後端は鈎状に構成されており、当該反射部材保持部67と後壁部59後端とで、即ち、プライスレール34の後下隅部において反射部材(反射面。例えばミラー)68が挟持されている。このとき、反射部材68の反射面は、棚30の後下方に向けて保持される。尚、当該反射部材68は、角度調整自在に反射部材保持部67に保持されるものとする。
【0032】
一方、背部仕切板10の前面には、当該棚30下の後部に位置して棚LED照明装置70が設けられている。この棚LED照明装置70は、上記LED照明装置40と同様に、複数のLED素子43が配設された基板42により構成されている。棚30の長手方向に対応して構成されている基板42には、所定間隔を存して複数のLED素子43が取り付けられている。各LED素子43は、当該LED素子43からの照射光が前方、この場合プライスレール34の下部後端に位置して配設される反射部材68に向けて配設されている。尚、当該基板42は、熱良導性の取付板47を介して背部仕切板10に設けられている。
【0033】
以上の構成により、棚30を組み立てる場合には、まずはじめに、棚板32の前壁50のフランジ51をプライスレール34の嵌合溝60に挿入する。このとき棚板32の前壁50裏面には、プライスレール34の上前端部62前面が当接し、プライスレール34を支持している。
【0034】
この状態において、棚板32の前壁50とプライスレール34の前壁部57に形成された突起60間には、間隔が形成され、この間隔にガード35を上から差し込む。この場合、ガード35の下部は、プライスレール34の後壁部59と連続して形成された支持部63と前壁部57裏面とにより画成された凹所64に挿入される。
【0035】
これにより、棚板32には、下部後端に反射部材68が設けられたプライスレール34が取り付けられることとなる。
【0036】
従って、当該棚30下の後部に位置する背部仕切板10の前面に設けられた棚LED照明装置70の各LED素子43を点灯することにより、LED素子43から前方に照射された光は、棚下前部に位置するプライスレール34の反射部材68に反射される。このとき、当該反射部材68は、棚30の後下方に向けて設けられているため、LED素子43から照射された光を、当該棚30の下方に架設される棚30上に陳列される商品に向けて反射させることができる。
【0037】
これにより、図5の概略説明図に示されるように、効果的に、下側に架設される棚30上に陳列される商品を照明することができる。
【0038】
特に、指向性の高いLED素子43よって棚30下の前部に設けられた反射部材68に光を照射することから、良好に反射部材68の反射面に光を照射することができ、棚30前方に直接、LED素子43からの光が照射される不都合を抑制することが可能となる。
【0039】
係る構成とすることにより、棚30下前部に照明装置を取り付ける場合に比してスペース効率の向上、更には、棚30全体の軽量化を図ることが可能となる。そのため、棚30下前部に設けられる照明装置によって、下側に架設される棚30に陳列される商品、特に奥部に陳列される商品が見えにくくなる不都合を解消することができ、効果的な陳列・照明を実現することが可能となる。また、従来の如く棚30下前部に照明装置が設けられていないため、商品の陳列作業を行いやすくなる。
【0040】
また、図3に示されるように、当該棚30は、棚板32が前下がりに傾斜して取り付けることによって、ショーケース1の前面から棚下後部に位置して前方に向けられたLED照明装置70が見えがたくなる。これにより、当該LED照明装置70によって、直接顧客が照らされ、眩しく感じる不都合を解消することが可能となる。
【0041】
また、当該LED照明装置70を採用する棚30は、顧客の目線の高さよりも低い位置であることが望ましい。これにより、より一層、直接顧客の顔が照らされて、眩しく感じる不都合を解消することができる。
【0042】
本実施例では、LED照明装置70は、背部仕切板10の前面に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、当該棚30の棚板32の後端に左右に渡って設けてもよく、また、ブラケット31、31間に渡って設けてもよい。係る構成とすることにより、当該棚30の取付高さを調整した場合であっても、適切な位置から棚30前部に設けられる反射部材68に向けて光を照射することが可能となり、適切な照明を実現することが可能となる。
【0043】
また、棚30の棚板32の下面は、反射効率のよい塗装が施されていることが望ましい。これによって、LED照明装置70の各LED素子43によって当該棚板32の下面に照射された光をも効果的に当該棚下に架設される棚上に反射させることができ、より一層、照明効果を向上させることができる。
【0044】
尚、本実施例では、反射部材68は、プライスレール34と別部材により構成され、当該プライスレール34の後下隅部、即ち、プライスレール34の連壁部58の後端の反射部材保持部67と後壁部59後端とで当該反射部材68を角度調整自在に保持しているが、これに限定されるものではなく、棚30下の前部、例えば棚板32の前部下面に当該反射部材68を設ける構成としてもよい。
【0045】
また、図6の概略説明図に示すように、プライスレール34の後下隅部の角を、後下方(棚下方)に向けて傾斜する傾斜面を形成し、当該傾斜面を反射部材34Aにより一体に構成してもよい。部品点数の削減を図ることができ、組立作業性の向上や取付角度の調整を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を適用したオープンショーケースの斜視図である。
【図2】図1のオープンショーケースの縦断側面図である。
【図3】棚の縦断側面図である。
【図4】図3の前部拡大図である。
【図5】棚の概略構成図である。
【図6】他の実施例としての棚の概略構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1 オープンショーケース
2 断熱壁
2A 底壁
4 仕切板
9 底板
10 背部仕切板
11 陳列室
12 開口
30 棚
31 ブラケット
32 棚板
33 キャノピー
34 プライスレール
35 ガード
40 LED照明装置
43 LED素子
50 前壁
51 フランジ
52 後壁
57 前壁部
58 連壁部
59 後壁部
60 突起
61 嵌合溝
63 支持部
66 突起
67 反射部材保持部
68、34A 反射部材
70 棚LED照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口する陳列室内に架設した棚上に商品を陳列するショーケースにおいて、
LED素子を有し、前記棚下の後部に位置して前方に向けられたLED照明装置と、
前記棚下の前部に設けられた反射面とを備え、
前記LED照明装置のLED素子から照射された光を、前記反射面により前記棚下方に向けて反射させることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記棚は、前記商品が載置される棚板と、該棚板の前端部に取り付けられたプライスレールとを有し、
該プライスレールの後下隅部に前記反射面を構成したことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−78252(P2010−78252A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248313(P2008−248313)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】