説明

ショーケース

【課題】催事を開催する際の電気工事が不要となるショウケースの提供。
【解決手段】照明装置40に電力を供給する鉛蓄電池31を内蔵している電源装置30を本体1に着脱可能に設けたので、デパート等で催事を行う際に、ショウケースSの近傍にコンセントを設置する必要がなく、そのための電気工事も不要となる。ここで、照明装置40として、発光ダイオード42を光源とするものを採用したので、鉛蓄電池31で照明装置を12時間以上連続して点灯することができ、営業終了後に、電源装置30を取り外せば、最寄りのコンセントまで運び、電源装置30を充電することができるので、ショウケースSの近傍にコンセントが設置されていなくとも何ら問題が発生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の商品が外部から視認できるように透明部分を有する箱状に形成された本体と、この本体の内部に設けられるとともに、当該本体の内部に収納された商品に光を照射する照明装置とを備えたショウケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デパート等の小売店では、商品を陳列するにあたり、ガラス板等の透明平板を通じて内部が視認可能となったショーケースが利用されている。
このようなショーケースは、全体が略直方体の箱状に形成され、内部に陳列された商品が外部から視認できるように、少なくともその上面及び前面にガラス板等の透明平板が設置されたものとなっている。
ここで、一般的なショーケースは、なるべく多くの商品を陳列することができるように、水平に設置されたガラス板等の透明平板からなる棚板と、棚板の上に陳列された商品が鮮明に視認できるように、当該商品に光を照射する蛍光灯と、を備えている。
【0003】
また、ショウケースは、壁面や床面に設けられたコンセントにから電力供給を受けるために、先端に電源プラグが設けられた電源コードを備えている。換言すると、ショウケースは、電源コードの先端に設けられた電源プラグをコンセントに差し込み、これにより、電源コードを通じて電力供給を受けるようになっている。
また、鮮魚店や精肉店では、陳列される商品が食料品であるために、鮮度を維持可能な温度まで商品を冷やす冷凍装置が設けられた冷蔵ショウケースが利用されている。
このような冷蔵ショウケースでは、蛍光灯の発熱も冷凍装置の負荷となり、冷凍装置の消費電力を増やす要因となっている。
【0004】
そこで、発熱量の多い蛍光灯に換えて、発光ダイオードで商品に光を照射するようにした冷蔵ショウケースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように、発光ダイオードで商品に光を照射すれば、発光ダイオード自身の消費電力が小さいうえ、発光ダイオードが殆ど発熱しないので、冷凍装置の負荷を軽減し、冷凍装置の消費電力も小さくなり、これにより、冷蔵ショウケースの電力消費量を著しく低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−285701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のようなショウケースでは、電源コードを通じて電力供給を受けるようになっているので、デパート等で催事を行う際に、多数のショウケースが設置される場合、ショウケースの電源確保のために、ショウケースの設置位置に対応してコンセントを設置する必要が生じる。このため、催事を行う度に、多数のショウケースに対応した位置と個数のコンセントを設ける電気工事を行わなければならず、この電気工事により、催事を開催する毎に、多くの費用と時間を費やす必要がある、という問題がある。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、催事を開催する際の電気工事が不要となるショウケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、内部の商品が外部から視認できるように透明部分を有する箱状に形成された本体(1)と、この本体(1)の内部に設けられるとともに、当該本体(1)の内部に収納された商品に光を照射する照明装置(40)とを備えているショウケース(S)であって、前記照明装置(40)として、エレクトロルミネセンス効果を利用した光源(42)、及び、冷陰極管からなる光源の少なくとも一方を含んで構成されたものが採用され、この照明装置(40)に電力を供給するための電池(31)を内蔵している電源装置(30)が前記本体(1)に着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
なお、エレクトロルミネセンス効果を利用した光源としては、発光ダイオード、並びに、有機及び無機EL素子が採用できる。
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、前述した請求項1に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記電源装置(30)として、前記電池としての二次電池(31)と、この二次電池(31)を内部に収納する箱状のケース部(32)と、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪が設けられているとともに、前記ケース部(32)の底部に取り付けられている複数のキャスター(35)とを備え、且つ、前記車輪の転動により平坦な面上を摺動して移動できるようになったものが採用され、前記本体(1)として、その底部に形成されるとともに、前記電源装置(30)を収納可能な大きさを有するキャビティ部(19)と、その側部に形成されるとともに、前記電源装置(30)が通過可能なサイズの出入口として形成されたゲート部(19A) とを備え、且つ、床面上を摺動して移動してきた前記電源装置(30)が前記ゲート部(19A) を通って前記キャビティ部(19)の内部に収納されるように形成されているものが採用されていることを特徴とする。
【0009】
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項2記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項3記載の発明は、互いに機械的に連結可能とされ、機械的に連結されることで、互いに電気的な接続もなされるように形成されたコネクタプラグ(52)及びコネクタレセプタクル(51)を備え、前記コネクタプラグ(52)及び前記コネクタレセプタクル(51)は、一方が前記電源装置(30)側に備えられるとともに、他方が前記本体(1)側に備えられ、且つ、前記ゲート部(19A) を通って前記キャビティ部(19)の内部に前記電源装置(30)が収納された際に、互いに対向する側面の互いに対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、照明装置に電力を供給する電池を内蔵している電源装置を本体に着脱可能に設けたので、電源コードを通じて電力供給を受ける必要がなく、デパート等で催事を行う際に、多数のショウケースが設置されても、ショウケースの電源確保のために、ショウケースの設置位置に対応してコンセントを設置する必要がない。このため、催事を行うにあたり、多数のショウケースに対応した位置と個数のコンセントを設けるための電気工事が不要となり、催事を開催する際に要する費用及び時間を削減することができる。
【0011】
この際、照明装置として、エレクトロルミネセンス効果を利用した光源、及び、冷陰極管からなる光源の少なくとも一方を含んで構成されたものを採用し、これにより、照明装置の消費電力を充分に低減できるようにしたので、照明装置の電源として電池を採用しても、電池による照明装置の連続点灯時間を充分確保できる。
従って、電池で照明装置を12時間以上連続して点灯することも可能となり、営業開始から終了するまでの間、ショウケース内に陳列された商品をライトアップできる。
ここで、電池として二次電池を採用すれば、営業終了後に、ショウケースの本体から電源装置を取り外して、最寄りのコンセントまで運び、夜間に電源装置の二次電池を充電することができ、また、電池として乾電池等の一次電池を採用した場合には、電池が切れた際に、ショウケースの本体から電源装置を取り外して、新しい電池を内蔵した電源装置に容易且つ迅速に交換でき、以上により、ショウケースの近傍にコンセントが設置されていなくとも何ら問題がない。
【0012】
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2記載の発明によれば、二次電池を内部に収納する箱状のケース部と、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪が設けられているとともに、ケース部の底部に取り付けられている複数のキャスターとを備え、且つ、車輪の転動により平坦な面上を摺動して移動できるようになった電源装置を採用したので、電源装置は、ケース部内に設けられた二次電池が重たくても、床面を転がすことで、本体から容易に取り外すことができ、また、最寄りのコンセントまで容易に移動させることができ、これにより、非力な女性でも電源装置の二次電池を容易に充電することができる。
【0013】
また、その底部に形成されるとともに、電源装置を収納可能な大きさを有するキャビティ部と、その側部に形成されるとともに、電源装置が通過可能なサイズの出入口として形成されたゲート部とをショーケースの本体に設け、床面上を摺動して移動してきた電源装置がゲート部を通ってキャビティ部の内部に収納されるように形成したので、着脱式の電源装置は、ショーケースを使用するにあたり、キャビティ部の内部に収納され、ショーケースの近傍を通行する際の障害となることがなく、ショーケースの本体に電源装置を着脱可能に設けても、足下に障害物となるものが何ら発生しない。
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0014】
すなわち、請求項3記載の発明によれば、ショーケースの本体と電源装置とを電気的に接続するにあたり、互いに機械的に連結可能とされ、機械的に連結されることで、互いに電気的な接続もなされるように形成されたコネクタプラグ及びコネクタレセプタクルを採用し、且つ、本体及び電源装置の互いに対向する側面の互いに対応する位置に、コネクタプラグ及びコネクタレセプタクルを設けたので、ゲート部の内部を通過させてキャビティ部の内部に電源装置を収納する際に、キャビティ部の内部に電源装置を押し込むだけで、本体と電源装置との電気的接続が適切になされるようになるうえ、キャビティ部から電源装置を取り出せば、本体と電源装置との電気的接続が確実に解除されるようになり、これにより、女性でも本体と電源装置との電気的な接続及びその解除を、容易、安全且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るショウケースの正面側を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るショウケースの背面側を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態である一実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係るショウケースSは、図1に示すように、図1中左右方向に長辺が配置された長方形の平面形状を有する六面体の箱状に形成された本体1を備えている。
ここで、本体1は、複数の軸組材3〜9が略直方体に組み合わされて形成されたフレーム2と、このフレーム2の上面及び側面等に設置された平板材11〜18とを有するものとなっている。
フレーム2は、四隅のピラー材3と、これらのピラー材3の上端を相互に連結するビーム材4と、ピラー材3の途中部分を相互に連結するビーム材5と、ピラー材3の下端を相互に連結するビーム材6とを備えている。
【0017】
そして、フレーム2の平面形が長さの異なる短辺及び長辺を有する長方形であることから、ビーム材4,5,6として、長さが互いに異なる軸組材、すなわち、短辺材4A,5A,6A及び長辺材4B,5B,6Bが設けられている。
ここで、4本のピラー材3のうち、フレーム2の背面側に配置されている2本のピラー材3の下端の間には、ビーム材6の長辺材6Bが配置されておらず、その代わりに、これら2本のピラー材3の下端には、先端が相手側へ向かって途中まで延びる短縮ビーム材6Cの基端がそれぞれ接合されている。
これらの短縮ビーム材6Cの先端の各々と、その上方に配置されている長尺材5B(ビーム材5)の対応部分との間には、これらを相互に連結するとともに、上下方向に延びる短縮ピラー材7が設けられている。
【0018】
また、短縮ビーム材6Cの先端の各々と、その正面側に配置されている長尺材6B(ビーム材6)の対応部分との間には、これらを相互に連結するするとともに、図1中、前後方向に延びる短縮ビーム材8が設けられている。
ビーム材4,5のうち、フレーム2の背面側に配置されている長辺材4B及び長辺材5Bの中間部分の間には、これらを相互に連結するとともに、上下方向に延びる中間ピラー材9が設けられている。なお、中間ピラー材9は、図1中、前後方向の寸法がピラー材3よりも小さく、フレーム2の背面側の側面がピラー材3の側面よりも内側に後退して配置されており、後述する面材(引き違い戸13)を、その外側に配置させるようになっている。
【0019】
ビーム材4として設けられた短辺材4A及び長辺材4Bが形成する四角枠の内部には、透明な平板材としてのガラス板10が嵌め込まれている。
また、フレーム2の正面側において、2本のピラー材3、並びに、ビーム材4の長辺材4B及びビーム材5の長辺材5Bが形成する四角枠の内部には、透明な平板材としてのガラス板11が嵌め込まれている。
さらに、フレーム2の両側面において、2本のピラー材3、並びに、ビーム材4の短辺材4A及びビーム材5の短辺材5Aが形成する四角枠の内部には、透明な平板材としてのガラス板12がそれぞれ嵌め込まれている。
【0020】
フレーム2の背面側において、2本のピラー材3、並びに、ビーム材4の長辺材4B及びビーム材5の長辺材5Bが形成する四角枠の内部には、当該四角枠を図1中左右に二等分したサイズに形成された一対の引き違い戸13が摺動可能に嵌め込まれている。
これら一対の引き違い戸13のそれぞれは、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材であり、長辺材4Bの長手方向に摺動されると、フレーム2の背面側の開口を開閉するようになっている。
フレーム2の正面側において、2本のピラー材3の下端近傍部分、並びに、ビーム材5の長辺材5B及びビーム材6の長辺材6Bが形成する四角枠の内部には、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材14が嵌め込まれている。
【0021】
また、フレーム2の両側面において、2本のピラー材3の下端近傍部分、並びに、ビーム材5の短辺材5A及びビーム材6の長辺材6Bが形成する四角枠の内部には、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材15がそれぞれ嵌め込まれている。
さらに、フレーム2の背面側において、2本のピラー材3の下端近傍部分、ビーム材5の長辺材5Bの両端部分、及び、短縮ビーム材6Cが形成する二つの四角枠の内部には、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材16がそれぞれ嵌め込まれている。
フレーム2の底面側において、ビーム材6の長辺材6Bの両端部分、ビーム材6の短辺材6A、短縮ビーム材6C、及び、短縮ビーム材8が形成する二つの四角枠の内部には、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材17がそれぞれ嵌め込まれている。
【0022】
以上において、本体1は、内部の商品が外部から視認できるように、透明部分を有する箱状に形成されたもの、換言すると、ガラス板10〜12が設けられている部分が透明となった箱状のものである。
ここで、本体1の内部には、三段に形成された棚、具体的には、下段棚部21、中段棚部22、及び、上段棚部23が設けられている。
すなわち、ビーム材5として設けられた短辺材5A及び長辺材5Bが形成する四角枠の内部には、裏側が透けることのない合成樹脂製の平板材が嵌め込まれている。下段棚部21は、短辺材5A及び長辺材5Bが形成する四角枠に嵌め込まれた、この平板材によって形成されている。
【0023】
また、フレーム2の背面側に配置されている2本のピラー材3の各々には、その側面から正面側へ向かって突出する二つのブラケット24, 25が設けられている。
これらのブラケット24, 25は、下段棚部21よりも上方における異なる高さ位置に配置されている。具体的に説明すると、ブラケット24, 25のうち、ブラケット24がブラケット25よりも低い位置に設置されている。
そして、これら2本のピラー材3の間に設けられている中間ピラー材9には、当該2本のピラー材3と同様に、その側面から正面側へ向かって突出する二つのブラケット24, 25が設けられている。これらのブラケット24, 25は、ピラー材3側のブラケット24, 25と、それぞれ同じ高さ位置に設置されている。
【0024】
これにより、水平方向に所定の間隔をおいて三個のブラケット24が同じ高さ位置に配列され、これらのブラケット24の上には、透明なガラス板が載置され、これにより、中段棚部22が形成されている。
また、ブラケット24と同様に、水平方向に所定の間隔をおいて三個のブラケット25が同じ高さ位置に配列され、これらのブラケット25の上に、透明なガラス板が載置され、これにより、上段棚部23が形成されている。
本体1の内部空間のうち、下段棚部21よりも上方の部位は、外部から内部が視認可能となっており、この部位が商品を陳列するための陳列部1Aとなっている。
【0025】
一方、本体1の内部空間のうち、下段棚部21よりも下方の部位は、外部から内部が視認不可能な隠蔽部1Bとされている。
この隠蔽部1Bの内部には、短縮ビーム材8及び中間ピラー材9の両方に沿った平板材18が二つ設けられている。そして、隠蔽部1Bの内部は、二つの平板材18によって三つの空間に仕切られている。
これら三つの空間のうち、二つの平板材18の間に配置された空間は、後述する電源装置30を収納するためのキャビティ部19となっている。
なお、本体1の底面の四隅には、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪を備えたキャスター20が取り付けられている。
【0026】
このような箱状の本体1を備えたショウケースSは、本体1に設けられた陳列部1Aの内部に収納された商品に光を照射するために、フレーム2の正面側に配置されたビーム材4の長辺材4Bに沿って設けられた照明装置40を備えている。
照明装置40は、図2に示すように、フレーム2の正面側に配置されたビーム材4の長辺材4Bに沿って延びる反射板41と、この反射板41の表面に多数配置された発光ダイオード42と、発光ダイオード42の照射光を散乱させるために、白色に着色された図示しない透光カバーとを備えている。ここで、照明装置40の発光ダイオード42は、エレクトロルミネセンス効果を利用した光源である。
【0027】
このような照明装置40を備えたショウケースSには、当該照明装置40に電力を供給するために、前述の電源装置30が設けられている。
電源装置30は、図2の如く、照明装置40に電力を供給するための二次電池である二つの鉛蓄電池31と、鉛蓄電池31を内部に収納する箱状のケース部32と、鉛蓄電池31を充電するための充電器33と、充電器33に電力を導く図示しない電源コードが巻回されたケーブルドラム34と、鉛蓄電池31に蓄えられた直流電力を100Vの交流電力に変換するインバータ36とを備えたものである。ここで、鉛蓄電池31は、充電の際に発生する水素ガスが外部に漏れない、いわゆるシールドバッテリーである。
【0028】
なお、ケース部32の図2中正面を向いた側面30C には、インバータ36を通じて供給される100Vの交流電力を利用するためのコンセントジャック37と、鉛蓄電池31から供給される直流電力を利用するための出力端子38とが設けられている。
ここで、ケース部32の底部の四隅には、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪を有する複数のキャスター35が設けられている。電源装置30は、キャスター35に設けられている車輪の転動により、床面等の平坦な面上を摺動して、容易に移動できるようになっている。
また、充電器33及びケーブルドラム34は、鉛蓄電池31とともにケース部32の内部に収納されている。このうち、ケーブルドラム34は、ケース部32に回転自在に設けられ、且つ、図示しないトーションばねによって所定の回転方向へ向かって付勢されている。これにより、ケーブルドラム34に巻回された電源コードの先端には、電力を供給するコンセントに差し込まれる電源プラグ34A が設けられている。
【0029】
このようなケーブルドラム34は、鉛蓄電池31を充電するにあたり、電源プラグ34A をコンセントに差し込む必要があり、このために、電源コードがケーブルドラム34から引き出されるようになっている。この際、前述のトーションばねは、ケーブルドラム34から引き出された長さに応じて弾性変形して、弾性エネルギーを蓄えるようになっている。
そして、ケーブルドラム34は、鉛蓄電池31の充電が完了し、電源プラグ34A がコンセントから抜かれた後、ケース部32の表面に設けられた押しボタン34B が押圧操作されると、前述のトーションばねに蓄えられた弾性エネルギーが開放され、電源コードを巻き取るようになっている。
【0030】
このような電源装置30は、本体1に着脱可能に設けられたものとなっている。
すなわち、本体1には、電源装置30を収納可能な大きさを有する前述のキャビティ部19と、本体1の下端縁近傍の側部に形成されるとともに、電源装置30が通過可能なサイズの出入口として形成された逆U字形のゲート部19A とが設けられている。
そして、電源装置30は、充電を行うために、ゲート部19A を通ってキャビティ部19から外部へ抜け出し、電力供給が得られる適宜なコンセントまで、床面上を摺動して移動するようになっている。
また、電源装置30は、充電が完了した後、コンセントのある場所から床面上を摺動して本体1まで戻ってくると、ゲート部19A を通ってキャビティ部19の内部に収納されるように形成されている。
【0031】
このような電源装置30は、本体1と電気的に接続可能となっている。換言すると、電源装置30及び本体1の電気的接続を行うために、図3に示されるように、互いに凹凸嵌合しあうコネクタレセプタクル51及びコネクタプラグ52が採用されている。
すなわち、フレーム2正面の下端縁に配置されている平板材14の裏側には、キャビティ部19の内部の側面53A を形成する平板状の裏板53が設けられている。
裏板53は、平板材14と所定の間隔をあけて配置されている。これによって、裏板53及び平板材14の間に配線スペース54が設けられている。
コネクタプラグ52は、雄型のコネクタであり、図3の如く、本体1に設けられているキャビティ部19の内部の側面53A を形成する裏板53に取り付けられている。
【0032】
コネクタレセプタクル51は、雌型のコネクタであり、電源装置30における本体1の裏板53と対向する側面30A に取り付けられている。
これらコネクタレセプタクル51及びコネクタプラグ52は、互いに機械的に連結可能とされ、機械的に連結されることで、互いに電気的な接続もなされるように形成された1組のコネクタである。
そして、コネクタレセプタクル51は、電源装置30側に設けられ、コネクタプラグ52は、本体1側に設けられている。
ここにおいて、コネクタレセプタクル51及びコネクタプラグ52は、一方が電源装置30側に備えられるとともに、他方が本体1側に備えられ、且つ、本体1に形成されたゲート部19A を通ってキャビティ部19の内部に電源装置30が収納された際に、電源装置30の側面30A 、及び、キャビティ部19の内部の側面53A の、互いに対向する側面の互いに対応する位置に設けられている。
【0033】
図2に戻って、キャビティ部19の内部の互いに対向する側面18A 、換言すると、キャビティ部19を挟む二つの平板材18の側面18A には、キャビティ部19の内部に収納する際における電源装置30の移動方向に沿って延びるガイドレール55が設けられている。
一方、電源装置30におけるキャビティ部19の側面18A と対向する側面30B には、電源装置30の移動方向に沿って延びるとともに、ガイドレール55を内部に挿通させて案内するガイド溝56が設けられている。
ここで、電源装置30側に設けられたガイド溝56は、図3の如く、裏板53の端部が当該裏板53側に向かって間隔の広がったテーパー部56A となっている。
【0034】
また、本体1の裏板53が形成している側面53A には、電源装置30に向かって突出するとともに、先端が尖った位置決めピン57が突設されている。
電源装置30の側面30A には、本体1側に形成された位置決めピン57が挿通される位置決め穴58が設けられている。
キャビティ部19から取り出された電源装置30を、当該キャビティ部19の内部に向かって移動させると、まず、電源装置30の側面30B に形成されたガイド溝56のテーパー部56A に、キャビティ部19側に設けられたガイドレール55の先端が接触するようになっている。
電源装置30をキャビティ部19の奥へ更に移動させると、ガイド溝56の奥側の等間隔となった平行溝部56B と、キャビティ部19側のガイドレール55とが接触し合って、電源装置30側のコネクタレセプタクル51と、キャビティ部19側のコネクタプラグ52とのおおよその位置決めがなされるようになっている。
【0035】
コネクタレセプタクル51とコネクタプラグ52とのおおよその位置決めがなされた状態から更に電源装置30をキャビティ部19の奥へ移動させると、本体1側の位置決めピン57が電源装置30側の位置決め穴58の内部に挿通され、コネクタレセプタクル51とコネクタプラグ52とが更に高い精度で位置決めされるようになっている。
これにより、電源装置30をキャビティ部19の内部に押し込むことで、コネクタレセプタクル51及びコネクタプラグ52が確実に嵌合し、電源装置30と本体1との電気的接続、換言すると、照明装置40と鉛蓄電池31との電気的接続が確実になされるようになっている。
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0036】
すなわち、照明装置40に電力を供給する鉛蓄電池31を内蔵している電源装置30を本体1に着脱可能に設けたので、電源コードを通じて電力供給を受ける必要がなく、デパート等で催事を行う際に、多数のショウケースSを設置しても、ショウケースSの電源確保のために、ショウケースSの設置位置に対応してコンセントを設置する必要がない。このため、催事を行うにあたり、多数のショウケースSに対応した位置と個数のコンセントを設けるための電気工事が不要となり、催事を開催する際に要する費用及び時間を削減することができる。
この際、照明装置40として、発光ダイオード42を光源とするものを採用し、これにより、照明装置40の消費電力を充分に低減できるようにしたので、照明装置40の電源として鉛蓄電池31を採用しても、鉛蓄電池31による照明装置40の連続点灯時間を充分確保することができる。
【0037】
従って、鉛蓄電池31で照明装置を12時間以上連続して点灯することも可能となり、営業開始から終了するまでの間、ショウケースS内に陳列された商品をライトアップでき、営業終了後に、ショウケースSの本体1から電源装置30を取り外して、最寄りのコンセントまで運び、夜間に電源装置30の鉛蓄電池31を充電することができるので、ショウケースSの近傍にコンセントが設置されていなくとも何ら問題が発生することがない。
また、鉛蓄電池31を内部に収納する箱状のケース部32と、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪が設けられているとともに、ケース部32の底部に取り付けられている複数のキャスター35とを備え、且つ、車輪の転動により平坦な面上を摺動して移動できるようになった電源装置30を採用したので、電源装置30は、ケース部32内に設けられた鉛蓄電池31が重たくても、床面を転がすことで、本体1から容易に取り外すことができ、また、最寄りのコンセントまで容易に移動させることができ、これにより、非力な女性でも電源装置30の鉛蓄電池31を容易に充電することができる。
【0038】
さらに、本体1の底部に形成されるとともに、電源装置30を収納可能な大きさを有するキャビティ部19と、本体1の側部に形成されるとともに、電源装置30が通過可能なサイズの出入口として形成されたゲート部19A とをショーケースSの本体1に設け、床面上を摺動して移動してきた電源装置30がゲート部19A を通ってキャビティ部19の内部に収納されるように形成したので、着脱式の電源装置30は、ショーケースSを使用するにあたり、キャビティ部19の内部に収納され、ショーケースSの近傍を通行する際の障害となることがなく、ショーケースSの本体1に電源装置30を着脱可能に設けても、足下に障害物となるものが何ら発生しない。
【0039】
また、ショーケースSの本体1と電源装置30とを電気的に接続するにあたり、互いに機械的に連結可能とされ、機械的に連結されることで、互いに電気的な接続もなされるように形成されたコネクタプラグ52及びコネクタレセプタクル51を採用し、且つ、互いに対向する本体1の側面53A 及び電源装置30の側面30A における互いに対応する位置に、コネクタプラグ52及びコネクタレセプタクル51を設けたので、ゲート部19A の内部を通過させてキャビティ部19の内部に電源装置30を収納する際に、キャビティ部19の内部に電源装置30を押し込むことで、本体1と電源装置30との電気的接続が適切に行えるうえ、キャビティ部19から電源装置30を取り出すことで、本体1と電源装置30との電気的接続が確実に解除されるようになり、これにより、女性でも本体1と電源装置30との電気的な接続及びその解除を、容易、安全且つ確実に行うことができる。
【0040】
さらに、インバータ36を通じて供給される100Vの交流電力を利用するためのコンセントジャック37と、鉛蓄電池31から供給される直流電力を利用するための出力端子38とを設けたので、クレジットカードの端末装置、金銭レジスター装置、及び、パーソナルコンピュータ等の電子機器をショウケースS上で使用する際に、鉛蓄電池31から電力供給でき、この点からも、ショウケースSの近傍にコンセントが設置されていなくとも何ら問題が発生することがない。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
【0041】
すなわち、前記実施形態では、インバータ36を通じて供給される100Vの交流電力を利用するためのコンセントジャック37、及び、鉛蓄電池31から供給される直流電力を利用するための出力端子38を電源装置30側に設けたが、コンセントジャック37及び出力端子38は、本体1側に設けてもよい。
また、二次電池としては、鉛蓄電池に限らず、リチウムイオン電池やニッケル水素電池でもよく、要するに、放電後も充電することで繰り返し使用可能なものであれば採用することができる。
この際、二次電池としてリチウムイオン電池を採用すれば、手で持って運搬可能な程度に軽量小型化することができ、ケース部からキャスターを省略できる。
【0042】
さらに、電池としては、二次電池に限らず、乾電池等の一次電池を採用してもよいが、充電により繰り返し何度も再利用できるに二次電池を採用することが望ましい。
また、照明装置の光源としては、発光ダイオードに限らず、有機EL素子でもよく、或いは、冷陰極管からなる光源でもよく、また、一種類の光源に限らず、複数種類の光源を組み合わせたものでもよく、要するに、二次電池で長時間連続点灯可能な消費電力が小さいものであればよい。
さらに、前記実施形態では、本体側にコネクタプラグを設け、電源装置側にコネクタレセプタクルを設けたが、逆に、本体側にコネクタレセプタクルを設け、電源装置側にコネクタプラグを設けてもよい。
【0043】
また、ショウケースの本体としては、複数の軸組材を組み合わせたフレーム2に平板材11〜18を貼り付けたものに限らず、複数の面材同士を直接組み合わせたフレームレスのモノコック構造のものや、合成樹脂を箱状に一体成形したものでもよい。
【符号の説明】
【0044】
S ショーケース
1 本体
19 キャビティ部
19A ゲート部
30 電源装置
31 二次電池としての鉛蓄電池
32 ケース部
35 キャスター
40 照明装置
42 光源としての発光ダイオード
51 コネクタレセプタクル
52 コネクタプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の商品が外部から視認できるように透明部分を有する箱状に形成された本体と、この本体の内部に設けられるとともに、当該本体の内部に収納された商品に光を照射する照明装置とを備えたショウケースであって、
前記照明装置として、エレクトロルミネセンス効果を利用した光源、及び、冷陰極管からなる光源の少なくとも一方を含んで構成されたものが採用され、
この照明装置に電力を供給するための電池を内蔵している電源装置が前記本体に着脱可能に設けられていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記電源装置は、前記電池としての二次電池と、この二次電池を内部に収納する箱状のケース部と、回転自在且つ転動方向が変更自在となった車輪が設けられているとともに、前記ケース部の底部に取り付けられている複数のキャスターとを備え、前記車輪の転動により平坦な面上を摺動して移動できるようになったものであり、
前記本体は、その底部に形成されるとともに、前記電源装置を収納可能な大きさを有するキャビティ部と、その側部に形成されるとともに、前記電源装置が通過可能なサイズの出入口として形成されたゲート部とを備え、床面上を摺動して移動してきた前記電源装置が前記ゲート部を通って前記キャビティ部の内部に収納されるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
互いに機械的に連結可能とされ、機械的に連結されることで、互いに電気的な接続もなされるように形成されたコネクタプラグ及びコネクタレセプタクルを備え、
前記コネクタプラグ及び前記コネクタレセプタクルは、一方が前記電源装置側に備えられるとともに、他方が前記本体側に備えられ、且つ、前記ゲート部を通って前記キャビティ部の内部に前記電源装置が収納された際に、互いに対向する側面の互いに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項2記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−67394(P2011−67394A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220930(P2009−220930)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(508055618)株式会社日本エコソリューションズ (2)
【Fターム(参考)】