説明

ショートアーク型放電ランプ

【課題】 本発明の目的は、ランプから発生する放射ノイズの発生を防止するショートアーク型放電ランプを提供することである。
【解決手段】陰極は、略円錐状の陰極先端部と、該陰極先端部に連なる陰極芯棒部とを備え、前記陽極は、先端に向かうに従って小径となるテーパー部とそれに続く平坦部からなる陽極先端部を備え、該平坦部を成す該テーパー部の先端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも小径であり、該テーパー部の後端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも大径であることを特徴とするショートアーク型放電ランプとするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はショートアーク型放電ランプに関し、特に、内視鏡などの医療機器の光源として用いられるショートアーク型放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ショートアーク型放電ランプは、一般的には、透明セラミックスや石英ガラス、その他のガラス材を発光管に使用しているが、特殊な用途には、ランプ本体を不透明セラミックスで作り、光取り出し部のみ透明性セラミックスを用いたランプが知られている。このランプは、全体外観形状が柱状であって、極めて頑丈で取り扱いやすく、また安全性が高いことから医療用光源として使われている。特開2008−016389号公報には、内視鏡用の光源に用いられるショートアーク型放電ランプが記載されている。
【0003】
このような内視鏡用の光源に用いられるショートアーク型放電ランプは、ランプの点灯中に放射ノイズを発生する。このような放射ノイズが発生されると周辺の電子機器に悪影響を及ぼす。
そこで従来の内視鏡用光源装置には放射ノイズを遮蔽するためのシールド部材が設けられていた。特許第3523749号公報にはシールド体を備えた内視鏡用光源装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、最近では内視鏡の更なる小型化が要望されており、これらに対し上述した従来の解決手段は好ましくない。そのため、放射ノイズの発生を防止または抑制するための、従来と異なる手段が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−016389号公報
【特許文献2】特許第3523749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、ランプから発生する放射ノイズの発生を防止するショートアーク型放電ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は鋭意検討し、放射ノイズの発生率が陽極先端の温度に関係していることを発見した。具体的には、陽極先端が比較的低温の場合において放射ノイズの発生が顕著になることを突き止めた。
【0008】
そこで上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、内部に湾曲した反射面を有する凹部に放電空間が形成された絶縁部材からなる胴体と、該胴体の前面開口を塞ぐ光透過性部材と、該放電空間において該反射面の焦点位置に間隙を持って配置された一対の陰極と陽極と、を備えるショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陰極は、略円錐状の陰極先端部と、該陰極先端部に連なる陰極芯棒部とを備え、前記陽極は、先端に向かうに従って小径となるテーパー部とそれに続く平坦部からなる陽極先端部を備え、該平坦部を成す該テーパー部の先端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも小径であり、該テーパー部の後端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも大径であることを特徴とするショートアーク型放電ランプとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記陽極は前記陽極先端部と、該陽極先端部に連なる陽極胴部と、該陽極胴部に連なるくびれ部と、該くびれ部に連なる根元部とを備え、該陽極胴部の外径は該根元部の外径よりも小径であり、該陽極胴部の外径は該くびれ部の外径よりも大径であることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプとするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、該陽極先端部前方の平坦部の外径は該陰極芯棒部の外径よりも小径のものとし、該陽極先端部後方の外径は該陰極芯棒部の外径よりも大径のものとすることで、該陽極先端部の前方の熱拡散が抑制され、該平坦部を比較的高温に維持させて放射ノイズの発生を防止できる。また該陽極先端部の後方は生じた熱を速やかに陽極内部へ熱拡散させることができ、陽極先端部の早期の消耗を防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、上述の効果に加えて、陽極のくびれ部がヒートダム効果を有し、陽極先端部で生じた熱が陽極根元部へ伝熱することを抑制できる。また、陽極先端部とくびれ部の外径は、根元部の外径より小径にできるため、貫通孔部の孔径を小径に設計できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)本発明の第一の実施形態であるショートアーク型放電ランプの外観の部分断面図、(b)図1(a)のD−D断面図を示す。
【図2】図1に示すショートアーク型放電ランプの電極形状の外観図を示す。
【図3】図1に示すショートアーク型放電ランプの貫通孔部付近の拡大図を示す。
【図4】本発明の第二の実施形態であるショートアーク型放電ランプの外観の部分断面図を示す。
【図5】図4に示すショートアーク型放電ランプの貫通孔部付近の拡大図を示す。
【図6】(a)従来のショートアーク型放電ランプ、(b)本発明のショートアーク型放電ランプ、のそれぞれの陽極先端で起こる熱拡散の概念図を示す。
【図7】(a)従来のショートアーク型放電ランプの外観の部分断面図、(b)図7(a)の貫通孔部付近の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明者は鋭意検討し、放射ノイズの発生率が陽極の先端温度と関わることを発見した。具体的には、陽極先端が比較的低温の場合において放射ノイズの発生が顕著になることを見出した。そこで本発明は、ランプ点灯時に陽極先端が比較的高温となるよう陽極形状を工夫することで、所望の点灯電流下において放射ノイズの発生を防止した。
【0012】
ランプ点灯時、陰極と陽極の間には陰極から陽極に向かってアークが形成され、陽極先端とアークの接触部分(以下、アークスポットと称す)に電流(エネルギー)が集中し、アークスポット内で熱が発生し、陽極内部へ熱が拡散する。
陽極先端の熱拡散についての概念図を図6に示す。図6(a)は陽極先端の平坦部951の外径が陰極芯棒942の外径よりも大径の電極形状のものを示し、図6(b)は陽極先端の平坦部51の外径が陰極芯棒42の外径よりも小径の電極形状のものを示す。これらを比較すると、図6(b)は陽極先端の平坦部51が小径のため、図6(a)と比較して、アークスポットSからの熱拡散が比較的軽減される。これにより、陽極先端の平坦部51は比較的高温状態を保ち、放射ノイズの発生が抑制される。
【0013】
陽極先端から発生する放射ノイズの程度は点灯条件によって左右される。具体的には、ランプへ投入する電流を低下すると放射ノイズの発生は顕著に表れ、逆に電流を増加させると放射ノイズの発生は低減され、ある閾値を超えると放射ノイズが消滅する。本発明のランプを採用することで陽極先端が比較的高温を維持でき、従来と比較して放射ノイズの発生を抑制できる。言い換えれば、放射ノイズが消滅する供給電流の閾値(以下、ノイズ消滅値と称す)を大幅に下げることができる。
【0014】
以下、本発明のショートアーク型放電ランプを説明する。
【0015】
本発明の第一の実施形態であるショートアーク型放電ランプの外観の部分断面図を図1(a)、図1(a)のD−D断面図を図1(b)に示す。また、図1の貫通孔部12の拡大図を図3に示す。
ランプの封体内部には、陰極4と陽極5が対向配置して設けられている。陰極先端部41は、先端に向かうに従って小径となるテーパーが設けられ、陰極先端部41は略円錐状に形成されている。また陽極先端部52にもテーパーが設けられ、テーパー部の先端側には陽極軸に垂直な平坦部51が設けられ、陽極先端部52は略円錐台状に形成されている。
【0016】
図1に示すショートアーク型放電ランプの電極形状の外観図を図2に示す。陽極先端部52は略円錐台状であり、陽極先端部52の前方には平坦部51が設けられ、平坦部51の外径D2は陰極芯棒部42の外径D1よりも小径となり、陽極胴部53の外径D3は陰極芯棒部42の外径D1よりも大径となるよう各電極の先端部が形成されている。つまり両電極の各部位の外径は、相対的な大小関係がD2<D1<D3となるよう設計されている。このような設計により、陽極先端が比較的高温となるため、放射ノイズの発生が防止される。
【0017】
本発明に係るショートアーク型放電ランプは、内部に湾曲した反射面1aを備えた凹部状の胴体1と、その前面開口を塞ぐ光透過性部材からランプの放電空間が形成されている。
胴体1はアルミナ製の絶縁部材からなり、例えば外径は約30mmの大きさである。胴体1に設けられた反射面1aは、指向性の高い光出力が得られるように、放物線面に形成されている。その他、反射面1aは楕円面、非球面に形成することもできる。また反射面1aには、反射効率を高めるために銀やアルミニウムなどの金属が蒸着されている。金属蒸着膜の代わりに誘電体多層膜を設けても良い。反射面1aの内側が放電空間Dであり、反射面1aの焦点位置に間隙を以て陰極4と陽極5が反射面1aの光軸と一致するように対向配置されている。陰極4と陽極5は主にタングステン製のものが用いられている。
【0018】
反射面1aの前面開口に続く胴体1の先端縁には、胴体1の外径とほぼ等しい外径を有するセラミックリング9の一側面が当接している。そして、反射面1aの開口縁の近傍であり、具体的には、セラミックリング9の他方の側面に胴体1の外径とほぼ等しい外径を有する給電リング2が配置されている。この給電リング2の内面に当接するようにリング状のフランジ10が嵌め込まれている。フランジ10はその内周面に透明な円形の窓部材11を有している。この窓部材11は、衝撃に強く、可視光領域の透過率が高いという理由でサファイアが用いられる。また上述したフランジ10には、サファイアと熱膨張率が近いコバール製のものが用いられる。
【0019】
胴体1の先端部にはセラミックリング9と給電リング2が当接しており、これらは第一金属部材6によって固定されている。ここで第一金属部材6は給電リング2と接続しており、第一金属部材6を介して陰極4に電力が供給されている。また胴体1の後端部には金属ブロック7が当接しており、この配置は第二金属部材8によって固定されている。金属ブロック7の中心には陽極5が挿通されており、金属ブロック7を介して陽極5に電力が供給されている。また金属ブロック7と陽極5はロウ付けされており、これにより金属ブロック7と陽極5が固定されている。
【0020】
胴体1の中央には反射面1aの光軸に沿って貫通孔部12が形成され、この貫通孔部12に陽極5が挿通され、陽極5は金属ブロック7に固定されている。また陰極4は支持部材3によって固定され、陰極4と陽極5の電極間距離が保たれている。陰極4の先端部は、例えば電子放射を良好にする目的で約30°〜70°のテーパー角が設けられており、ランプによって適宜調整される。
【0021】
図1の陽極5と陰極4の各部位の外径の大小関係は図2に示されている。第一の実施形態に係るショートアーク型放電ランプの陽極5は主に4つの部位からなり、平坦部51とテーパー部からなる陽極先端部52と、それに連なる陽極胴部53と、それに連なるくびれ部54と、それに連なる根元部55で構成されている。
【0022】
陽極先端部52は円錐台状であり、陽極先端部52の前方には平坦部51が設けられ、平坦部51の外径D2は陰極芯棒部42の外径D1よりも小径となり、陽極胴部53の外径D3は陰極芯棒部42の外径D1よりも大径となるよう各電極の先端部が形成されている。つまり各電極の各部位の外径は、それぞれの相対的な大小関係がD2<D1<D3となるよう設計されている。このような設計により、放射ノイズの発生を防止できる。
【0023】
陽極先端部52の前方の外径D2が陰極芯棒部42の外径D1より小径に形成されているため、陽極先端部52の前方は熱拡散が抑制され、かつ、平坦部51の近傍は熱容量が小さくなり、ランプ点灯時に陽極の先端温度は上昇しやすい。これにより図7に示す従来ランプと比べて陽極の平坦部51は比較的高温となりやすく、陽極先端からの放射ノイズの発生は抑制される。
また、陽極胴部53の外径D3は陰極芯棒部42の外径D1よりも大径に形成されているため、陽極先端が必要以上に熱されて陽極先端が溶融してしまうことを防止する。
つまり陽極先端部52の形状を変えることで熱拡散の程度を調整し、放射ノイズの発生源である陽極先端の前方を比較的高温に維持させ、放射ノイズの発生を防止している。
【0024】
また第一の実施形態に係る陽極5には、陽極胴部53に連なるくびれ部54と、くびれ部に連なる根元部55が設けられている。この陽極根元部55はランプ封体Aの金属ブロック7と接合する部位であり、具体的には金属ブロック7と陽極根元部55がロウ付けされて、陽極5が固定されている。
くびれ部54の外径D4は、陽極胴部53の外径D3よりも小径となるよう形成され、くびれ部54に連なる陽極根元部55の外径D5は陽極胴部53の外径D3よりも大径となるよう形成されている。つまり陽極の各部位の外径の大小関係はD4<D3<D5となるよう設計されている。
【0025】
上述のように、くびれ部54の外径D4は陽極胴部53の外径D3より小さく形成されることにより、陽極胴部53とくびれ部54の間にヒートダム効果をもたらし、陽極胴部53からくびれ部54への熱拡散を塞き止め、陽極根元部55へ伝熱することを抑制する。また陽極根元部55の外径D5は陽極胴部53の外径D3より大きく形成されることにより、陽極根元部55の熱容量が比較的大きくなり、陽極根元部55は陽極胴部53からの伝熱の影響を受けにくい。よって、耐熱性が乏しい陽極根元部55と金属ブロック7のロウ付け箇所に不具合が生じることを防ぐ。具体的には、ロウ材が溶融したり、クラックが発生したりすることを防止できる。
【0026】
図1の貫通孔部12の拡大図を図3に示す。陽極胴部53の外径D3は陽極根元部の外径D5より小径に形成されている。さらには、陽極胴部53の外径D3を図7(b)に示す従来ランプの陽極芯棒953の外径D953よりも小径に形成することも可能である。
これによれば、胴体に設けられた貫通孔部12の孔径D12を従来ランプよりも小さく設計でき、ミラー1aの反射面積を広げることができ、ランプの放射光をより有効に活用できる。例えば、図7(b)に示す従来ランプより孔径D12を約1mm小さく設計できる。これにより、ランプの利用光量を十数パーセント程度増大させることができる。
【0027】
本発明に係るショートアーク型放電ランプは、陰極と陽極先端部の外径の大小関係を規定することで放射ノイズの発生を抑制すると共に、陽極先端部で発生する熱の拡散を陽極の各部位の外径を変えることで制御し、内視鏡用の光源に適した構成をとっている。
つまり、本発明は電極の各部位の外径の相対的な大小関係に特徴を有するものである。
【0028】
本発明の第二の実施形態であるショートアーク型放電ランプの外観の部分断面図を図4に示し。図4の貫通孔部付近の拡大図を図5に示す。こちらは図3に示す第一の実施形態の構成のうち、陽極の電極形状を変更したものである。陰極先端部241にはテーパーが設けられ、陰極先端部241は略円錐状に形成されている。また陽極先端部252にもテーパーが設けられ、陽極先端部252は円錐台状に形成されている。陽極先端部252の前方には陽極軸に垂直な平坦部251が設けられている。
【0029】
陽極先端部252の後方の外径D23は、陰極芯棒部242の外径D21よりも大径となるよう形成される。また陽極先端部252の前方の平坦部251の外径D22は、陰極芯棒部242の外径D21よりも小径となるよう形成される。つまり、本発明の陽極25と陰極24の各部位の外径は、D22<D21<D23とした大小関係となるよう設計されている。
これにより、陽極先端の温度を上昇しやすくさせて放射ノイズの発生を抑制する、また、陽極先端で発生した熱が速やかに熱拡散し、陽極先端部の溶融を防止する。
【0030】
第二の実施形態の陽極25には第一の実施形態で示される陽極胴部53がなく、陽極25は陽極先端部252と、それに連なるくびれ部254と、それに連なる根元部255から構成されている。この陽極根元部255はランプ封体Aの金属ブロック7に嵌合される部位であり、この陽極根元部255は金属ブロック7にロウ付けされて、陽極が固定されている。
【0031】
第二の実施形態の陽極は第一の実施形態で示した陽極胴部53が設けられていない。そのため、陽極根元部255に連なるくびれ部254は比較的長尺に形成される。また陽極根元部255の外径D25は陽極先端部252を成す円錐台の底面の外径D23より大きくなるよう設計され、陽極25の各部位の外径は、D24<D23<D25の大小関係となるよう設計されている。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
〈実施例1〉
図1に示す構成に従い、下記の条件により、本発明に係るショートアーク型放電ランプを作製した。
・陰極(4):タングステン製、直径1.5mm、全長15mm
・陽極(5):タングステン製、テーパー角 90度、平坦部の外径(D2)1mm、陽極胴部の外径(D3)3.5mm、くびれ部の外径(D4)3mm、根元部の外径(D5)4mm、全長23mm
・貫通孔部の孔径(D12):Φ4.7mm
・ランプの使用環境:電流20A、電圧14V
【0034】
〈従来例1〉
図7(a)と(b)に示す構成に従い、下記の条件により、従来のショートアーク型放電ランプを作製した。
・陰極(94):タングステン製,直径1.5mm,全長15mm
・陽極(95):タングステン製,平坦部の外径(D951)3.5mm、陽極芯棒部の外径(D953)4mm、全長23mm
・貫通孔部の孔径(D912):Φ5.6mm
・ランプの使用環境:電流20A、電圧14V
【0035】
〈評価1〉
放射ノイズが発生するとランプ電圧が乱れる。そのため、ランプ点灯時にランプ電圧をモニタリングすることで、放射ノイズの発生の有無を検知できる。実施例1および従来例1に係るショートアーク型放電ランプを、所望の点灯条件(電流20A、電圧14V)で点灯したところ、従来例1からは放射ノイズが発生したが実施例1からは放射ノイズは発生しなかった。
また、実施例1と従来例1のそれぞれの放射ノイズのノイズ消滅値を調べた。実施例1と従来例1のランプを点灯する際に、ランプの供給電流を16Aから24Aへ徐々に増やして点灯させてゆき、各供給電流値における放射ノイズの有無を調べ、各ランプの放射ノイズのノイズ消滅値を調べた。以下に結果を示す。

上述の結果から、実施例1は従来例1と比べてノイズ消滅値を低くでき、本発明のショートアーク型放電ランプは放射ノイズの発生を抑制できることが明らかとなった。
【0036】
〈評価2〉
従来例1を基準として実施例1の光量増加率を求めた。実施例1の貫通孔部は従来例1の貫通孔部より孔径が約1mm小さく設計されており、ランプ封体内部の反射面1aを広く設けることができ、従来例より光量を増加させることができた。光量増加率は、ランプの光を導光するファイバーの径によっても違いが生じ、より細径のファイバーにおいて良好な光量が得られた。具体的には、従来例1と比較して約20%の光量増加を達成できた。
【0037】
本発明に係るショートアーク型ランプは電極構造に特徴を持ち、陽極先端から発生する放射ノイズの発生を抑制できた。また、この電極構造によって胴体の貫通孔部の孔径を小さく設計でき、従来のランプよりも放射光量を増大させることができた。
【符号の説明】
【0038】
1 胴体
1a 反射面
2 給電リング
3 支持部材
4 陰極
5 陽極
6 第一金属部材
7 金属ブロック
8 第二金属部材
9 セラミックリング
10 フランジ
11 窓部材
12 貫通孔部
D1 陽極芯棒部の外径
D2 平坦部の外径
D3 陽極胴部の外径
D4 くびれ部の外径
D5 根元部の外径
D12 孔径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に湾曲した反射面を有する凹部に放電空間が形成された絶縁部材からなる胴体と、該胴体の前面開口を塞ぐ光透過性部材と、該放電空間において該反射面の焦点位置に間隙を持って配置された一対の陰極と陽極と、を備えるショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陰極は、略円錐状の陰極先端部と、該陰極先端部に連なる陰極芯棒部とを備え、
前記陽極は、先端に向かうに従って小径となるテーパー部とそれに続く平坦部からなる陽極先端部を備え、
該平坦部を成す該テーパー部の先端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも小径であり、該テーパー部の後端の外径は該陰極芯棒部の外径よりも大径であることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
【請求項2】
前記陽極は前記陽極先端部と、該陽極先端部に連なる陽極胴部と、該陽極胴部に連なるくびれ部と、該くびれ部に連なる根元部とを備え、
該陽極胴部の外径は該根元部の外径よりも小径であり、
該陽極胴部の外径は該くびれ部の外径よりも大径であることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38006(P2013−38006A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175111(P2011−175111)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】