説明

シリカ被覆アルミナ担体に担持されている触媒

本発明は、(i)(a)アルミナ粒子を含有して成る中心部および(b)前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを、被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成っていて、20m/g以上のBET表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有し、かつ正規化硫黄吸収率(NSU)が25μg/m以下である被覆触媒担体および(ii)前記被覆触媒担体の表面に位置する触媒活性遷移金属を触媒の重量を基準にして0.1から10重量パーセント含有して成る触媒に関する。本発明はまた前記触媒の製造および使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカで被覆したアルミナ担体の表面に遷移金属を位置させた触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンの製造は一般にオレフィン単量体の反応を担体と前記担体の表面に位置する遷移金属で構成されている触媒の存在下で起こさせることで実施される。オレフィンの重合では、そのような金属として遷移金属、特にクロムが選択されることが知られている。そのような触媒に適した担体は当該技術分野で数多く知られている。担体の選択は生じさせる重合体の特性に大きな影響を与える。シリカである担体が主に用いられてきた、と言うのは、それらは高い活性を示す重合用触媒をもたらすからである。しかしながら、シリカである担体は必ずしも最適ではない、と言うのは、それらを用いた時にもたらされる重合体の中に長鎖分枝(「LCB」)を生じさせる傾向があるからである。
【0003】
また、アルミナである担体もオレフィンの重合で用いられることが当該技術分野で知られていて、長鎖分枝の量を少なくすると信じられてはいるが、用いられる遷移金属が同じ場合、それらが示す活性は一般にシリカである担体を用いた時に見られるそれほどには高くない。
【0004】
従って、活性が高くかつ長鎖分枝を最小限にするオレフィン重合用触媒が得られたならば、これは好ましいことである。この分野で研究が成されてきたにも拘らず、長鎖分枝を最小限にしかつ高い分子量の重合体をもたらすオレフィン重合用触媒が求められている。
【0005】
要約
シリカで被覆されている高表面積のアルミナ担体に担持されている遷移金属(好適にはクロムを包含)の触媒を提供する。この担持触媒は、被覆されていないアルミナに担持されている触媒に比べて向上した活性を示しかつ結果としてもたらされる重合体が有する長鎖分枝を最小限にする。
【0006】
本発明は一般に触媒を包含し、これは、
(a)(i)アルミナ粒子を含有して成る中心部および(ii)前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成っていて20m/g以上のBET表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有しかつ正規化硫黄吸収率(NSU)が25μg/m以下である被覆触媒担体、および
(b)前記被覆触媒担体の表面に位置する触媒活性遷移金属を触媒の重量を基準にして0.1から10重量パーセント、
含有して成る。
【0007】
本発明の触媒担体の中心部は、典型的に、比較的大きなアルミナ中心部粒子または数多くの小さな中心部粒子の凝集物を含有して成る。そのような触媒担体の中心部を比較的大きなアルミナ粒子で構成させる場合、そのような大きな粒子の各々を本明細書に記述するようにシリカで被覆する。その触媒担体の中心部をより小さな成分である粒子の凝集物で構成させる場合、その被覆技術を凝集させる前の成分である粒子の各々にか、凝集後の凝集粒子にか、或は凝集前の成分である粒子と2回目として凝集後の凝集粒子の両方に適用してもよい。また、その被覆を受けさせた大きな中心部粒子、被覆を受けさせた凝集中心部粒子および/または被覆を受けさせた凝集していない小さい粒子の中の2種以上の混合
物も触媒担体で使用可能である。
【0008】
いくつかの態様では、凝集させるべき一次粒子の平均直径を0.01から10ミクロンにする。特定の態様では平均粒子を0.05から5またはいくつかの好適な態様では0.1から2ミクロンにする。
【0009】
凝集粒子に持たせる平均直径は約5−200、好適には10−150、最も好適には20−100ミクロンであってもよい。そのような粒子は例えば流動(撹拌)型反応槽で用いるに有用であり得る。
【0010】
本発明の特定の粒子に被覆を凝集無しに受けさせてもよく、それを例えば撹拌型反応槽で用いてもよい。いくつかの好適な態様では、そのような粒子を約5−200、好適には10−150、最も好適には20−100ミクロンにする。
【0011】
粒子を凝集させるか否かに拘わらず、触媒担体が100から350m/gのBET表面積を示すようにする。本発明で用いる特定のアルミナ粒子が示す窒素細孔容積は0.2から2cc/gである。
【0012】
特定の態様における遷移金属はCr、Ti、Zr、Hf、Ni、Mgまたはこれらの混合物である。他の態様における遷移金属はCr、Tiまたはこれらの混合物である。更に他の態様における遷移金属はCrである。
【0013】
本触媒に充填する遷移金属の量は有効な結果がもたらされる限り如何なる充填量も許容されるが、一般に、遷移金属を本触媒の重量を基準にして0.1から3重量パーセントの量で存在させる。ある種の触媒では、遷移金属にCrを0.5−1.5重量パーセントの量で含めかつTiを1−3重量パーセントの量で含める。
【0014】
1つの面において、本発明は、また、上述した如き本発明の触媒を用いてオレフィンを重合させる方法にも向けたものである。本触媒は特にエチレンの重合またはエチレンと他のオレフィンもしくはエチレン系不飽和単量体の共重合に有効である。いくつかの態様における活性触媒金属はクロム単独であり得るか或はクロムと別の金属、例えばアルミニウム、ホウ素またはこれらの混合物などの組み合わせであり得る。クロムに対するアルミニウムのモル比を好適には0.1−15にし、クロムに対するホウ素のモル比を好適には約1−6にする。
【0015】
本発明の更に別の面は、本明細書に記述する種類の触媒を製造する方法に関する。1つの方法は、
(a)アルミナ粒子の中心部および前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成っていて20m/g以上の表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有する触媒担体を(b)少なくとも1種の遷移金属の(塩)が入っている溶液と接触させることで不活性な触媒を生じさせ、そして
前記不活性な触媒を熱ガスで処理することで活性化された触媒を生じさせる、
ことを含んで成る。いくつかの態様では熱空気もしくは熱COをガスとして用いてもよい。
【0016】
そのようにして担体の上に位置させる適切な触媒活性遷移金属には、本明細書に記述するそれらが含まれる。特定の態様における前記溶液は前記塩をこれが水またはアルコールに溶解した状態で含有して成る。いくつかの態様では、前記溶媒に入っている前記塩の濃度を0.01から1モル規定にする。クロムを好適には酢酸塩または硝酸塩として導入し、そしてチタンを好適には硫酸塩として導入する。前記活性化段階は、好適には、前記不活性な触媒をガス、好適には酸素含有ガス、いくつかの態様では400から1000℃の温度に加熱しておいたガスと接触させる段階である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aに、シリカ被覆アルミナ粒子の一部を絵で示す。 図1Bに、アルミナ粒子の孔部分の不連続形態の被膜を絵で示す。
【図2】図2に、ポリオレフィン用触媒の担体が示すSO吸収による重量上昇を被覆材であるSiOの%(重量パーセント)と対比させてプロットした図を示す。
【0018】
例示態様の詳細な説明
本発明は触媒に関し、これは(i)(a)粒子状アルミナを含有して成る中心部および(b)前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成る被覆触媒担体[前記触媒担体は20m/g以上のBET表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有する]および(ii)前記被覆触媒担体の表面に位置する触媒活性遷移金属を触媒の重量を基準にして0.1から10重量パーセント含有して成り、かつ前記触媒担体が示す正規化硫黄吸収率(NSU)は25μg/m以下である。本発明の他の面は、前記触媒の製造および使用を包含する。前記触媒担体の粒子をより小さな粒子の凝集、例えば噴霧乾燥またはより小さな粒子をスラリー相の中で結合させることなどで生じさせる態様では、その被覆材を凝集させる前の個別の一次粒子に加えるか或は凝集させた後、即ちより小さなアルミナ粒子を組み合わせてより大きなアルミナ粒子にした後に加えてもよい。
【0019】
本説明および添付請求項で用いる下記の用語に下記の定義を持たせる。
【0020】
用語「担体」は、表面に活性触媒材料を担持する材料を指す。本発明における担体は高表面積のアルミナ材料を含有して成っていて、これの表面を被覆材が覆っており、その被覆材はこれの表面に金属、例えば遷移金属などを触媒量で固定する能力を有する。
【0021】
触媒活性遷移金属種、例えばクロムなどを主題担体の一部として組み込むことを言及する時に本明細書および添付請求項で用いる如き用語「固定」は、含浸技術で生じさせたか或は当該担体に直接付着させた触媒種の吸着(担体−凝集物の表面に吸着)および/または吸収(担体の内部構造物の中に好適には化学吸着で浸透)を指す。
【0022】
用語「粒子状」は、当該担体材料を用いることが可能な多様な物理的形態を指し、それには、担持を意図する触媒成分および実行を意図する重合条件に応じて粉末、ビード、凝集物、押出し加工品などが含まれる。そのような粒子を得る手段は適切な特性を有する材料をもたらす手段のいずれであってもよい。例えば、粒子を通常の噴霧乾燥で「生じさせる」ことができるか或は当業者に公知の沈澱および粉砕技術で個々の一次粒子として粒子を得ることも可能である。中心部のアルミナ粒子に被覆を個々の一次粒子として受けさせてもよい(即ち、例えば噴霧乾燥などでより大きな粒子にする前に)か或は粒子の凝集物として受けさせてもよい(噴霧乾燥または他の成形後に)。その凝集物に持たせる形状は、当該触媒を用いる工程の最終使用要求によって決まり得る。いくつかの態様では、中心部を生じさせた後にアルミナを凝集させそしてそれをシリカで被覆することで触媒担体を生じさせる。1つの態様では、アルミナ粒子を噴霧乾燥で生じさせた後にそれをシリカで被覆することで触媒担体を生じさせる。
【0023】
用語「アルミナ」は、酸化アルミニウム単独またはそれ自身の混合物および/または少量の他の金属および/または金属酸化物との混合物としての形態のいずれかを指す。
【0024】
用語「被覆材」は、ある基質、例えばアルミナ粒子などの表面を覆っている薄い(例えば分子の厚みの)被膜を指す。その被膜は実質的に連続的である。その被覆材は個々の一次アルミナ粒子に付着しているか或はアルミナ粒子の凝集物に付着していてもよい。
【0025】
用語「中心部」は、本発明に従う被覆を受けさせる前のアルミナ粒子を指す。この中心部は更に他の金属、金属酸化物および非金属酸化物なども含有していてもよい。
【0026】
用語「凝集物」(名詞として用いる場合)は、粒子が組み合わさっていてそれらが様々な物理−化学力によって一緒に保持されている生成物を指す。より具体的には、各凝集物は上述した如き大きさを有する多数の隣接して位置する成分である一次粒子で構成されており、好適には接触点の所で結合および連結している。凝集は当該技術分野で良く知られた方法、特に噴霧乾燥、ペレット化、押出し加工、回転被覆ドラムを用いたビードの成形などの如き方法に従って実施可能である。
【0027】
本明細書で用いる如き用語「細孔容積」または「総細孔容積」または「間隙率」は、窒素脱着または水銀侵入のいずれかの方法で見分けることができる孔の全部の累積体積(cc/g)を意味する。より具体的には、凝集(例えば押出し加工で)させていないアルミナ粒子の場合の孔径分布および細孔容積の計算をS.Brunauer、P.EmmettおよびE.TellerがJournal of American Chemical Society、60の209−319頁(1939)に記述した如きB.E.T.技術を用いて窒素脱着等温線(孔が筒状であると仮定)を参考にして行う。
【0028】
凝集させた、例えば押出し加工品に成形したアルミナ粒子の場合には、孔径分布の計算を式:
孔径(オングストローム)=150/絶対水銀圧力(バール)
を用いかつ1−2000バールの水銀圧力を用いた水銀侵入方法[H.L.RitterおよびL.C.DrakeがIndustrial and Engineering Chemistry、Analytical Edition 17、787(1945)に記述した如き]に従って行う。しかしながら、複合材料の粒子ばかりでなく凝集物が示す表面積に関しては窒素脱着方法を用いて測定を行う。
【0029】
あるサンプルが示す総N細孔容積は、上述した窒素脱着方法で測定された如き窒素細孔容積の合計である。同様に、あるサンプルが示す総水銀細孔容積は、130゜の接触角、485ダイン/cmの表面張力および13.5335gm/ccのHg密度を用いた前記水銀侵入方法で測定された如き水銀細孔容積の合計である。
【0030】
重量を伴う形態学的特性、例えば細孔容積(cc/g)または表面積(m/g)などの全部を米国特許第6,303,531号の実施例20に記述されている式4に従って定義される如きMetals Free Basisに対して正規化すべきである。
【0031】
新鮮な表面の面積は全部が脱ガスを真空下350℃(662F)で2時間受けさせたサンプルに関して測定した面積である。
【0032】
本明細書に記述する粒径および粒径分布測定値は全部がMalvernのMastersizer装置を用いてそれをレーザー光屈折の原理で作動させることで測定した値であり、これは小粒子分析の技術に精通している人全部に公知である。
【0033】
当業者に公知のように、凝集を場合により追加的非晶質もしくは結晶性結合剤の存在下で実施することも可能であり、かつ孔形成剤をその凝集させるべき混合物に添加することも可能である。通常の結合剤には、他の形態のアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、粘
土、ジルコニア、シリカ−ジルコニア、マグネシアおよびシリカ−ボリアが含まれる。特に使用可能な通常の孔形成剤には、木粉、木炭、セルロース、澱粉、ナフタレンおよび一般に焼成で除去可能なあらゆる有機化合物が含まれる。
【0034】
用語「吸着させる」または「吸着」は、物理的力または化学的反応(これはイオン性、共有性または混ざり合った性質であり得る)のいずれかによる吸着(気体、液体または溶解している物質を吸着剤[例えばアルミナ]の表面に保持または集中させる能力)または吸収(気体、液体または溶解している物質を吸着剤[例えばアルミナ]の本体全体に保持または集中させる能力)の現象を指す。
【0035】
用語「硫黄含有物質」は、硫黄、酸化硫黄および他の硫黄原子含有化合物を指す。
【0036】
用語「酸化性ガス」は酸素含有ガス、例えば空気などを指す。
【0037】
本明細書で用いる如き用語「遷移金属」は一般に周期律表(IUPAC)のIIIAからVIII族を指す。適切な遷移金属にはNi、Fe、Ti、Mg、Zr、Cr、HfおよびPdが含まれる。特定の態様における遷移金属はCr、Tiまたはこれらの混合物を含有して成る。更に別の態様における遷移金属はCrである。遷移金属は様々な酸化状態で存在し得る。
【0038】
いくつかの態様では、多様な有機金属錯体または配位化合物、例えばクロモセンまたはビス(トリフェニルシリル)クロム酸塩などを用いてもよい。例えば、有機クロム化合物の形態の遷移金属を不活性な触媒の表面に沈着させてもよい。特定の態様では、本明細書に記述する如き触媒に熱処理を受けさせることで活性化された最終的触媒を生じさせることができる。そのような化合物には、結合価がゼロの化合物、例えばパイ結合したクロム錯体、例えばジクメンクロムおよびジベンゼンクロムなどが含まれる。パイ結合したクロム錯体は米国特許第3,976,632号(これの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている。他の化合物には、二価および三価の有機クロム化合物、例えばクロモセン(ビス(シクロペンタジエニル)クロム(II))およびそれの置換誘導体などが含まれる。有機クロム化合物の他の例を米国特許第4,806,513号、4,690,990号、4,803,253号および5,200,379号(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れら)に見ることができる。
【0039】
本発明で用いる担体は、高い表面積を有するアルミナ粒子で構成されていて、それをシリカが覆っている(本明細書に詳細に記述するように)。そのような担体には、PCT特許出願番号2008/045175(これの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れら)に記述されているそれらが含まれる。
【0040】
そのようなアルミナは意図する個々の用途に望まれる酸化アルミニウム形態のいずれからも選択可能である。アルミナまたは酸化アルミニウムは様々な形態で存在することが良く知られており、より一般的なそれは下記である:
・ ガンマ−アルミナ、即ちデルタ−アルミナに変化する温度である約900℃に及ぶ温度まで安定な形態、
・ デルタアルミナ、即ちシータ−アルミナに変化する温度である約1000℃に及ぶ温度まで安定な形態、
・ シータ−アルミナ、即ちアルファ−アルミナに変化する温度である約1000℃に及ぶ温度まで安定な形態、
・ 一水化アルミニウムまたはベーマイト[これの調製は様々な手段、例えば水酸化アンモニウムを塩化アルミニウムの水溶液に添加することなどで行われる(この物質は最初に
非晶質綿状物として沈澱し、それが迅速に結晶性ベーマイトに変化する。別法として、それの調製は硫酸アルミニウムとアルミン酸ナトリウムを反応させることで行われる)]。・ ベーマイトを塩基性溶液中で熟成させると生じる三水化アルミニウムまたはギブサイト、
・ アルファ−アルミナの三水化物またはバイヤライトはベーマイトがギブサイトになる時の中間的形態である、
・ 他の形態の水化酸化アルミニウム、例えばバイヤライトなど、および
・ 他の形態のアルミナ、例えばイータ−アルミナなど。
【0041】
いくつかの態様では、本触媒の中心部を生じさせる時に用いるアルミナに実質的に非晶質の構造を持たせてもよい。そのような非晶質の性質は水酸化アルミニウムに処理、例えば水酸化アルミニウムに急速な脱水(即ち高温への短時間の暴露)を受けさせる時に用いることができる熱プロファイルによるものであると考えている。そのようなアルミナを時には活性アルミナと呼び、一般に米国特許第6,303,531号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0042】
ある好適な触媒は、当該技術のどこか他の場所に開示されている触媒とは異なり、硫化アルミナが基になったものでなくかつアルミナのフッ化処理で得られたアルミナが基になったものでもない。
【0043】
そのようなアルミナに通常のドーパント、例えば遷移金属および金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(例えばMgおよびCa)、希土類酸化物、シリカなどおよびこれらの混合物を添加してもよい。そのようなドーパントの例には、希土類金属およびこれらの酸化物(例えばランタナ)、マグネシア、カルシアなどが含まれる。ドーパントを用いる場合、それを通常は少量、例えば高い表面積を有するアルミナ粒子である中心部材料の0.1から10、好適には1から5重量パーセントの量で存在させる。そのようなドーパントの添加を本発明に従う被覆を行う前に行ってもよい。当業者に良く知られているように、特定の特性、例えば水熱安定性、摩滅強度、触媒活性助長などを与える目的でそのようなドーパントを通常はアルミナ粒子(例えば溶液から共沈させた)に存在させる。
【0044】
高い表面積を有するアルミナ粒子の形態は、平均粒径が約1から200μm、好適には10から100μmの粉末(いくつかの態様では好適である)または平均粒径が1mmから10mmのビードの形態であってもよい。別法として、アルミナ粒子の形態はペレットまたは押出し加工品(例えば円柱形)であってもよい。その大きさおよび個々の形状は意図する個々の用途によって決まる。
【0045】
アルミナ粒子で構成させる担体の基礎(中心部)は、少なくとも約20m/g、例えば約20から約400m/g、好適には約75から350m/g、より好適には100から300m/gなどの高い(BET)表面積を示すべきである。当該担体の中心部であるアルミナ粒子が示す細孔容積は少なくとも約0.2cc/g、例えば0.2から2cc/g、好適には0.5から1.2cc/gでありかつ平均孔径は50から1000オングストローム、好適には100から300オングストロームの範囲内である。そのように高い表面積を有する粒子は、遷移金属触媒が沈着するに適しかつそれが重合工程中に反応体と接触することができるに適した十二分の表面積を有する。
【0046】
粒子状の水化アルミニウムに焼成を被覆前に受けさせてもよい。しかしながら、いくつかの態様では、焼成を行うのは被覆および乾燥を行った後のみである。別法として、焼成を被覆前および後に行うことも可能である。焼成工程によって残存水を除去することができかつアルミニウムのヒドロキシル基を対応する酸化物に変化させることができる(残存ヒドロキシル基はアルミナ構造の一部として残存、特に粒子の表面に残存するが)。
【0047】
本発明の被覆担体用の中心部として用いるに適したアルミナ粒子は商業的に入手可能である。しかしながら、個々の用途に適した個々の設計判断基準(例えば個々のドーパントの使用、粒子の細孔容積など)によって、アルミナ粒子を公知方法で製造する必要があり得る。
【0048】
アルミナ粒子材料をシリカで被覆すると予想外に高い耐硫黄性を示す(吸着しない)金属触媒用担体がもたらされる。担体製品を達成しようとしてアルミナとシリカを共沈または含浸技術のいずれかで一緒にすることが当該技術分野で以前に提案された。硫黄吸収率が低いことは、いくらか存在する他の利点に加えて、以前の方法でアルミナとシリカを一緒にすることで得られた材料と被覆で得られた材料を区別する診断分析指標としても働き得る。
【0049】
被覆技術の一例として、アルミナ粒子を最初に固体濃度が5から50重量パーセントの範囲内の水性スラリーにする。そのスラリーが示す流動性はこのスラリーと以下に記述する溶液の混合を容易に行うことができるに充分なほどでなければならない。この範囲内で用いる特定の濃度は、そのスラリーをもたらすアルミナの物性(例えば表面積、空隙体積などばかりでなく粒径および形状)に依存するであろう。アルミナ固体の濃度をそのようなスラリーの混合を容易に達成することができるような濃度にすべきである。被覆を受けさせるのがアルミナ粒子の凝集物であるか或は個々の粒子であるかに拘わらず、本明細書に記述する溶液、温度および他の条件を用いることができる。
【0050】
そのスラリーを50℃から100℃、好適には80℃から100℃、最も好適には90℃から95℃の範囲の温度に加熱する。より高い温度を用いることも可能ではあるが、加圧可能な槽を用いる必要がある。温度をこの上に示した温度より高くしようとして装置および取り扱いの費用を高くする必要はない。
【0051】
水溶性のシリカ前駆体化合物が入っている水溶液を用いる。そのようなシリカ前駆体化合物を好適にはアルカリ金属のケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどおよびこれらの混合物から選択するが、ケイ酸ナトリウムが好適である。そのようなシリカ前駆体化合物の濃度をSiOが前駆体溶液に5から30、好適には10から25重量パーセント入っているような濃度にすべきである。その溶液を熱アルミナスラリーに導入する前にそれを前記アルミナスラリーの温度と実質的に同じ温度に加熱しておくのが好適ではあるが、そのような予熱を要求するものではない。
【0052】
アルミナスラリーの量に対する水溶性シリカ前駆体化合物の水溶液の量は、その溶液中の前駆体の濃度および結果としてもたらされる被覆アルミナ生成物の一部になる被覆材であるシリカの所望重量パーセントに依存するであろう。その量を技術者は容易に計算することができるであろう。
【0053】
シリカ前駆体化合物の水溶液を前記アルミナスラリーと混合することでそのような物質の均一な混合物を生じさせる。その温度をシリカ前駆体化合物が溶液中に維持されるに充分な温度にすべきである。そのような温度は一般に50℃から100℃、好適には80℃から100℃、最も好適には90℃から95℃の範囲内である。その混合物をそのような高温に約1から120分、好適には約30から60分、最も好適には約45から60分間維持すると同時に均一な混合物が維持されるに充分な撹拌を維持する。
【0054】
次に、その混合物を必要ならば水溶性酸で処理することで5から8、好適には7から8の範囲内のpHを得る。そのような酸は如何なる無機鉱酸からも選択可能であり、例えば硝酸、硫酸または塩酸またはこれらの混合物などから選択可能である。別法として、水溶
性のC−C(好適にはC−C)有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸などおよびこれらの混合物を用いることも可能であるが、酢酸が好適である。無機酸が好適であり、塩酸および硝酸が最も好適である。
【0055】
そのような酸の水溶液をこの上で生じさせたシリカ前駆体化合物とアルミナの混合物に実質的に均一な速度で5から240分、好適には15から60分、より好適には30から60分の添加時間をかけて導入すべきであり、それによってその混合物のpHが7から8の範囲内の初期pH(いくつかの態様では好適には7.5のpH)にまで均一に下がるようにすべきである。そのような酸の添加を酸が混合物全体に渡って均一に分配されるように絶えず混合しながら均一な遅い速度で実施すべきである。添加速度が速くならないようにすべきである。そのように混合を行いながらゆっくりした均一な添加を少なくともその混合物が8のpH値を達成するまで実施すべきである。その混合物の所望終点であるpH(本明細書の上に記述)になるようにさらなる酸の添加を行ってもよい。更にその上、その添加する溶液に入っている酸の濃度は、この上に示した時間をかけて添加をゆっくりと均一な様式で実施することが可能なような如何なる酸濃度(好適には0.5から3モル規定)であってもよい。その混合物のpH調整を実施する時の温度は如何なる温度であってもよく、例えば周囲温度から100℃などであってもよいが、90から95℃が好適である。
【0056】
次に、そのような処理を受けさせたアルミナ粒子の結果としてもたらされた水性懸濁液を洗浄することで、その処理懸濁液からアルカリ金属物質を除去する。その洗浄は熱水または水溶性アンモニウム塩、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウムなどまたはこれらの混合物の水溶液を用いて実施可能である。硝酸アンモニウム、水酸化アンモニウムおよび炭酸アンモニウムが好適な作用剤である。
【0057】
その洗浄水にアルカリ金属が入っていないことを確かめた時点でその水性懸濁液を濾過し、その結果として得られた固体に噴霧乾燥、静止床を用いた乾燥またはフラッシュ乾燥のいずれかを受けさせることで粉末生成物を生じさせる。次に、その生成物に焼成を400℃から1000℃の高温で受けさせるが、600℃から800℃が好適である。
【0058】
その結果として得た生成物は、被覆材であるシリカが表面領域の実質的に全体を覆っている高い表面積のアルミナ粒子である。通常の含浸技術を用いて作られた従来のシリカ処理アルミナ製品とは異なり、前記の結果としてもたらされた本製品は高い表面積と細孔容積特性を維持している(このように、本被覆製品は結果として孔の閉塞をもたらす孔の橋渡しの原因になる沈着を起こさないことが分かった)。その上、本シリカ被覆アルミナ粒子を赤外スペクトルで分析した結果、未処理のアルミナ粒子に比べてAl−OH結合に関連した吸着ピークが減衰していることも分かり、約5重量パーセントにした時にはAl−OH吸着ピークがもはや存在しない。それと同時にシラノール基(Si−OH)が現れる。このことは、シリカの濃度を最小限の濃度よりいくらか高くするとシリカがアルミナ粒子材料の表面を完全に覆うことを示している。
【0059】
前記アルミナ粒子と接触させる時に用いるケイ酸塩水溶液のケイ酸塩濃度を、結果としてもたらされるシリカ被覆アルミナ生成物のシリカ(SiO)が結果としてもたらされる生成物の総重量を基準にして1から40重量パーセント、好適にはシリカが5から30重量パーセントになるに充分な濃度にすべきである。硫黄吸着度合が非常に低い担体材料がもたらされるように、用いるシリカの量をたやすく少ない量、例えば8から20重量パーセント、8から15重量パーセントなどにすることができる。本発明のシリカ被覆アルミナは、本明細書の以下に記述するように、正規化硫黄吸収率(NSU)が担体材料の約25μg/m以下であるように低い生成物である。本シリカ被覆アルミナが示すNSUが担体材料表面積1m当たり約10または15μgであるのが好適である。SO吸収
試験の結果を被覆材であるシリカの存在を測定するための調査として用いることができる。
【0060】
その結果としてもたらされたシリカ被覆アルミナ粒子の一部を図1(a)に絵で示す。そのシリカはアルミナ表面の実質的に全部(孔の表面を包含)を孔を閉塞する橋渡し無しに覆っている実質的に均一な非常に薄い被膜を形成している。
【0061】
本発明に従って生じさせた結果としてもたらされた生成物は、触媒金属を沈着させる媒体として用いられる如き硫酸塩によって活性化工程中に遊離してくる可能性のある硫黄および硫黄含有化合物(例えばSO)に高い度合の抵抗を示すことを見いだした。その硫黄吸収率は、被覆材であるシリカの連続性がアルミナ中心部に対して示す影響の指標として利用可能である。簡単に述べると、硫黄吸収度が低ければ低いほど、シリカの被膜の連続性がより高いと期待される、と言うのは、硫黄が反応するのはアルミナとのみであり、シリカとは反応しないからである。
【0062】
多孔質基質の被膜が不連続形態であることは、図1(b)に示すアルミナ粒子の一部を示す絵画的図で分かる。それには1)一般的被膜欠陥部(硫黄毒作用を起こさせる)、2)被覆された材料の孔を閉塞する橋渡し(それによって表面積が小さくなりかつ最終的触媒活性が制限される)、3)孔への拡散が制限(その結果として多孔質粒子の内部の被覆度合が劣る)および4)被覆用材料の一様な核形成(これによって被覆用材料の小さな粒子が製品に混入)が含まれる。
【0063】
上述した方法を用いると熱および/または水熱安定性を維持しながら硫黄吸着に抵抗を示す担体生成物が達成されることを見いだした。本シリカ被覆アルミナ担体は、図1(a)に示すように、シリカである被覆材が上述した如き不連続被膜の欠陥無しにアルミナ粒子表面の実質的に全体を覆っていると考えている。
【0064】
現在必要な実質的に均一なシリカ被膜を有するアルミナ粒子は硫黄吸収に対して優れた抵抗を示す。その被膜の均一性および大きさの試験はアルミナが硫黄吸収に対して示す抵抗を用いて実施可能である。あるサンプルが示す硫黄吸収率(SU)の測定は下記の「硫化試験」を用いて実施可能である。この試験の実施では50mgのサンプルを熱重量分析器(TGA)に充填する。そのサンプルに処理を最初にHeガスを107.5cc/分で用いて300℃で1時間受けさせる。この処理の後、サンプル用セルをまだ300℃に維持しながらSOがHeに入っている流れ(SOが1.14%)を5cc/分の流量で導入すると同時にOを12.5cc/分の流量で導入する。その総流量は125cc/分でありそしてSOの濃度は456ppmである。硫黄吸収率を時間の関数として測定する。約120分が経過した時点で硫黄吸収率が平衡状態になり、その時点では吸収がもはや起こり得ない。硫黄吸収率(SU)は120分間の稼働時間後の重量上昇パーセントであると定義する。正規化硫黄吸収率(NSU)の計算を下記の式:
【0065】
【数1】

【0066】
[式中、SUは、120分間の稼働時間後の測定硫黄吸収率(重量パーセント)であり、そしてSAは当該サンプルのBET表面積である]
を用いて行う。
【0067】
本発明のシリカ被覆生成物を未被覆アルミナ生成物または通常の含浸もしくは共沈技術
で生じさせたシリカ重量パーセントが同じシリカ−アルミナ生成物と直接比較することで、本シリカ被覆アルミナ粒子が示す耐硫黄性の方がそのような通常の技術で生じさせたそれよりも優れていることが分かる。PCT特許出願番号WO 2008/045175を参照。
【0068】
遷移金属1種または2種以上の付着を本発明の担体に当業者に良く知られた様式で適切な通常の遷移金属前駆体(酸性、塩基性または中性)を用いるか或は適切な遷移金属前駆体溶液(酸性、塩基性または中性のいずれか)に浸漬することで起こさせることができる。
【0069】
いくつかの態様における触媒製造方法は、(i)(a)アルミナ粒子の中心部および前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成る触媒担体[この触媒担体は20m/g以上の表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有する]を(b)少なくとも1種の遷移金属の塩が入っている溶液と接触させることで不活性な触媒を生じさせ、そして(ii)前記不活性な触媒を熱ガスで処理することで活性化された触媒を生じさせることを含んで成る。好適な態様における前記溶液は、塩が水またはアルコール溶媒に溶媒中0.01から1モル規定の塩濃度で溶解している溶液である。さらなる好適な態様における遷移金属はクロムであり、これは単独またはチタンとの組み合わせであり、この場合、そのクロムを酢酸塩または硝酸塩として導入しそしてチタンを硫酸塩として導入する。ある方法では、活性化/処理段階を約400から約1000℃の温度に加熱しておいたガスを用いて実施する。
【0070】
いくつかの態様では、少なくとも1種の単量体を本明細書に記述する触媒の存在下で重合させる時に本触媒を用いることができる。特定の態様では、従来技術の典型的なアルミナ担持型重合用触媒とは異なり、本触媒は高い活性を達成しようとして硫酸塩で処理する必要はない。米国特許出願番号20050239977を参照。適切な重合用単量体の例には、炭素原子を1分子当たり2から8個含有するモノオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどが含まれる。ポリエチレンホモ重合体およびエチレンと炭素原子を1分子当たり3から8個含有するモノオレフィンの共重合体を製造しようとする時に特にクロムが基になった触媒が適切である。
【0071】
本明細書に記述する触媒は多様な触媒系成分として使用可能であり、そのような成分にはチーグラー・ナッタ、メタロセン、Cr、NiもしくはPdが基になった錯体、触媒、共触媒および活性化剤成分が含まれる。
【0072】
「チーグラー・ナッタ」(「ZN」)触媒は通常は遷移金属(IIIBからVIIIB族)のハロゲン化物、アルキル、アリールもしくはアルコキシ化合物およびこれらの混合物を元素周期律表のIからIII族の元素と組み合わせて含有して成ると理解されている。典型的な例はTiClおよびAlEtである。好適なチーグラー・ナッタ系は、塩化マグネシウム/チタンのハロゲン化物またはアルコキシ化合物とアルミニウムアルキルの錯体が用いられている系であり、それを本発明の新規な担体に付着させる。触媒を生じさせる方法は当該技術分野で公知である。また、本発明のチーグラー・ナッタ触媒系に電子供与体を用いることも可能であり、それにはエステル、エーテル、アミン、シランおよびアルコールおよびこれらの混合物が含まれる。
【0073】
「メタロセン」触媒は通常は遷移金属(希土類金属を包含)を有する有機金属化合物であると理解されており、それは少なくとも1種の5員炭素環、ヘテロ置換5員炭素環または橋状(アンサ)配位子[遷移金属または希土類金属に配位する能力を有する2個の環状
部分であると定義され、かつアンサブリッジBは炭素、ケイ素、燐、硫黄、酸素、窒素、ゲルマニウム、CHCH(エチレン)、MeSi(ジメチルシリル)、PhSi(ジフェニルシリル)、MeC(イソプロピリデン)、PhP(ジフェニルホスホリル)、MeSiSiMe(テトラメチルジシラン)などの如き種であってもよい]の員と配位状態にある。特に好適なメタロセンは、シクロペンタジエン(Cp)の誘導体であり、それにはシクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、ホスホシクロペンタジエン、1−メタロシクロペンタ−2,4−ジエン、ビス(インデニル)エタンおよびこれらの混合物が含まれる。典型的には、メタロセン触媒に活性化を活性金属種を当該技術分野で良く知られているボラン、ボレートまたはアルミノキサン化合物と一緒にすることで受けさせる。
【0074】
そのようなメタロセンの遷移金属成分は周期律表のIIIB族からVIII族およびこれらの混合物、好適にはIIIB、IVB、VB、VIB族および希土類(即ちランタニドおよびアクチニド)金属、最も好適にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、バナジウム、サマリウムおよびネオジムから選択される。これらの中でTi、ZrおよびHfが最も好適である。
【0075】
また、本明細書に記述するアルミナ被覆担体組成物および方法は米国特許第5,880,241号およびこれの分割対応特許、米国特許第5,880,323号、5,866,663号、5,886,224号、5,891,963号、6,184,171号、6,174,976号、6,133,138号およびPCT国際出願番号PCT/US98/00316、PCT/US97/23556、PCT/GB99/00714、PCT/GB99/00715およびPCT/GB99/00716に記述されている如きパラジウムおよびニッケルが基になった錯体[例えばジイミン(シクロペンタジエニルではない窒素含有)配位子に配位しているNi、Pd]である二座および三座触媒系の担持で用いるに適切であるとも考えている。そのような触媒の典型的なバージョンはカチオン性であり、それに活性化をメタロセンと同様な様式でアルミノキサンもしくはボレートである共触媒を用いて受けさせることができる。
【0076】
様々な公知技術を用いてチーグラー・ナッタ、メタロセンおよびNi、Pdが基になった錯体である触媒、共触媒および活性化剤成分を本発明の担体の中および上に染み込ませることができる。従って、本発明の担体に染み込ませようとする触媒成分を典型的には有機溶媒に入れて溶解または懸濁させ、本担体を添加してスラリー状にしそして場合により溶媒を蒸発させてもよい。好ましくは蒸発を円錐形乾燥器の中で起こさせるが、それは中心部の材料に高い応力がかからないようにするものである。このテーマに関しては数多くの変法が可能であり、個々の含浸技術は、当該技術分野で良く知られているように、用いるべき個々の触媒系に依存するであろう。
【0077】
含浸の目的で使用可能でありかつ用いる触媒成分用の希釈剤または溶媒として働き得る適切な炭化水素媒体には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素およびこれらの組み合わせが含まれる。特に適切な炭化水素には、例えばペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエンおよび前記希釈剤2種以上の組み合わせなどが含まれる。また、エーテル、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどを用いることも可能である。
【0078】
含浸で用いる温度は一般に−20℃から120℃、好適には0℃から100℃、最も好適には20℃から70℃である。
【0079】
酸素もしくは水分に敏感な触媒成分の場合には、空気(酸素)および水分をできるだけ
多く排除する目的で、上述した工程段階を不活性な雰囲気下で実施すべきである。適切な不活性ガスには、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが含まれる。
【0080】
上述したアルミナ被覆担体を最も有利にはクロム触媒、より特別には「フィリプス」触媒と通常呼ばれる触媒の分類に入るクロム触媒(これは「フィリプスプロセス」と通常呼ばれる工程で用いられる)の調製で用いる。エチレン重合用のフィリプスプロセスによってフィリプス触媒がもたらされ、それは担体としてのシリカに担持されている酸化クロムで構成されている。この触媒をHoganおよびBanksが開発し、これは米国特許第2,825,721号ばかりでなくA.Clark他、Ind.Eng.Chem.48、1152(1956)に記述されている。この工程が商業化されたことで最初の直鎖ポリアルケンがもたらされ、それが今日生産されている高密度ポリエチレン(HDPE)の中の大きな割合を占めている。
【0081】
より具体的には、本被覆アルミナ担体をクロム化合物、例えば水または有機液状媒体に少なくともある程度溶解する塩などと接触させることでクロム触媒を生じさせることができる。そのクロム塩を本被覆アルミナ担体と接触させる時期は被膜を付着させている間または後であってもよいか或は被覆担体粒子を凝集、例えば噴霧乾燥などで凝集させる前または凝集が完了した後に混合を行う時点であってもよい。本被覆担体が凝集していない形態の場合には、そのようなクロム塩が入っている水溶液または懸濁液を本被覆担体が入っている水性スラリーと接触させるか、或は本担体が凝集した形態の場合には凝集後と接触させるのが好適である。
【0082】
本主題触媒組成物を生じさせる時に用いるに適したクロム化合物は、適宜、本被覆アルミナと塩を混合する時に用いる媒体に関してある程度の溶解性を示す無機もしくは有機酸のクロム塩のいずれからも選択可能である。好適な媒体は水である。適切な無機塩は例えばハロゲン化クロム、例えば二塩化クロム、塩化クロム六水化物、二臭化クロム、臭化クロム六水化物、三臭化クロム、二フッ化クロムばかりでなく硝酸クロム、無水クロム酸、燐酸クロム、硫酸クロム(II)、硫酸クロム十五水化物および十八水化物、オルト燐酸クロムなどおよびこれらの混合物である。
【0083】
本触媒を生じさせる時にクロム原子源として用いるに適した有機クロム化合物には、有機酸の塩、例えば酢酸クロム、酢酸クロム水化物、クロムアセチルアセトネート、プロピオン酸クロム、しゅう酸クロム水化物、しゅう酸クロム六水化物など、アミン錯体、例えばヘキサミン塩化クロムIII、クロロペンタミン塩化クロム、ヘキサ尿素フルオロケイ酸クロムIII、クロモセンなどおよびこれらの混合物が含まれる。
【0084】
本明細書で有用であることを確認した特定のクロム化合物は有機溶媒中でより高い溶解度を示す。そのような化合物には、例えばクロモセン、クロム酸ビス−(トリフェニルシリル)などが含まれる。そのような場合、当該塩と本担体の接触を有機液状溶液を用いて起こさせた後に有機溶媒を真空下周囲温度から約40℃の温度で蒸発させてもよい(例えば噴霧乾燥中に起こるであろうように)。
【0085】
好適なクロム前駆体には、硫酸クロム、硝酸クロム、酢酸クロムおよびクロムアセチルアセトネートが含まれる。最も好適な前駆体であるクロム塩はクロムの酢酸塩および硝酸塩である。
【0086】
そのようなクロム前駆体を上述した担体に下記のようにして固定してもよい:
1)本担体が凝集させていない大きい粒子の態様の場合にはこれをクロム前駆体の水溶液もしくは懸濁液と接触させること、
2)本担体の混合物を凝集、例えば噴霧乾燥などで凝集させる前にその混合物の水溶液を
クロム前駆体と接触させること、または
3)前以て生じさせておいた担体凝集物をクロム前駆体塩の溶液と接触させること。
【0087】
各場合とも、クロム前駆体を水溶液もしくは有機溶液(好適)またはスラリー(ある程度の溶解性を示す塩を混合用媒体に入れることで生じさせた)として導入する。これらの材料の接触を約15から約150分間起こさせてもよく、約15から100分間が好適である。ある場合には、これらの材料の混合を15から60分間行った後、それを混合装置の中に撹拌無しに約180分以内の時間入れたままにしておく。これらの材料を混合する時の温度は一般に周囲温度から約40℃である。
【0088】
次に、その結果として担持されたクロム触媒を乾燥させる。生成物を乾燥用空気から分離した後、その乾燥させた生成物をこれが空気中に浮遊した状態のままにすると、噴霧乾燥段階が完了する。便利な如何なる収集方法も使用可能であり、例えば分離装置を用いて噴霧乾燥器の基部から取り出すことなどを行ってもよい。
【0089】
クロム前駆体を用いた処理を受けさせた生成物である本担体に酸化を受けさせることでクロム原子を酸化クロム(VI)に酸化させる。この酸化を典型的には総揮発物量が約0.1から8重量%にまで低下するに充分な温度で充分な時間実施するが、この場合、当該サンプルに破壊的焼成を1000℃で受けさせた時の重量損失を測定することで総揮発物量を決定する。しかしながら、酸化を典型的には前記クロム前駆体で処理しておいた担体を典型的には約600から約1800度F(157から815℃)、好適には約800から約1500度F(220−435℃)、最も好適には約800から約1100度F(220−312℃)の温度に典型的には約1から約600(例えば50から600)分、好適には約50から約300分間加熱することで実施する。その酸化の雰囲気は空気または他の酸素含有ガスであるべきである。酸化を焼結が起こらないような様式で実施すべきである。
【0090】
その担持型クロム触媒を生じさせた後、それに酸化を受けさせる前に好適には大きさを合わせる。これは、当該技術分野で良く知られているように、ふるい分けまたは空気による分級で便利に達成可能である。その選択する粒径および粒径分布は、当該技術分野で良く知られているであろうように、用いる触媒の種類および重合方法に依存するであろう。
【0091】
本発明の主題担持型クロム触媒はオレフィン単量体の重合で単独の触媒として有用であることを見いだした。別法として、本発明に従って生じさせたクロム材料をメタロセンまたは二座もしくは三座錯体含有触媒、例えば米国特許第6,559,090号および米国特許第6,399,535号(上述した触媒、それらの使用および製造に関する教示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらと組み合わせて用いることも可能である。本明細書の上に記述した主題担持型クロム触媒は更にメタロセン触媒またはメタロセン触媒前駆体化合物用の担体としても使用可能である。本発明の担体をメタロセン用の担体として用いてメタロセンを当該クロム触媒と組み合わせて同じ粒子の上に位置させる場合、本担持型クロム触媒を最初に生じさせた後、その生成物をメタロセン化合物と接触させるべきである。別法として、個別の粒子上に独立して生じさせたおいた担持型メタロセン触媒と本担持型クロム触媒を組み合わせて用いることも可能である。
【0092】
そのようにして調製した担持型触媒は、分離も精製も行うことなく、本明細書の以下に記述する如きオレフィンの重合で使用可能である。別法として、本担持型触媒を炭化水素媒体に入れて貯蔵するか或は炭化水素媒体から単離して乾燥させた後に不活性な条件下で貯蔵することも可能であり、そのようにすると長期間、例えば1から数カ月間貯蔵可能である。
【0093】
本明細書に記述する中心部に担持させる触媒系成分は、溶液重合、スラリー重合または気相重合技術を用いて重合体を生じさせようとする時に用いるに有用である。本明細書で用いる如き用語「重合」には、共重合および三元重合が含まれ、そして用語「オレフィン」および「オレフィン系単量体」には、オレフィン、アルファ−オレフィン、ジオレフィン、スチレン系単量体、アセチレン系不飽和単量体、環式オレフィンおよびこれらの混合物が含まれる。
【0094】
そのような重合反応の実施に適した方法および装置は良く知られている。本発明に従う担持型触媒はオレフィン重合用触媒に公知の同様な量で同様な条件下で使用可能である。スラリー方法では温度を典型的には約0℃から重合体が重合用媒体中で溶解性を示すようになる温度よりほんの少し低い温度にする。気相方法では温度を約0℃から当該重合体の融点よりほんの少し低い温度にする。溶液方法では温度を典型的には重合体が反応媒体に溶解する温度から約275℃以下の温度にする。
【0095】
用いる圧力は比較的幅広い範囲の適切な圧力、例えば大気圧以下から約20,000psiの範囲から選択可能である。適切な圧力は大気圧から約1000psiであり、最も好適な圧力は50から550psiである。スラリーもしくは粒子形態の方法の場合、適切には液状の不活性希釈剤、例えば飽和脂肪族炭化水素などを用いて工程を実施する。そのような炭化水素は典型的にはCからC10の炭化水素、例えばイソブタンなどまたは液状の芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどである。重合体の回収を気相方法の場合には直接行い、或はスラリー方法の場合には濾過または蒸発で行い、或は溶液方法の場合には溶媒を蒸発させることで行う。
【0096】
適切な反応槽には、スラリー反応槽、気相反応槽、溶液反応槽またはこれらの組み合わせが含まれる。スラリー反応槽には垂直のループまたは水平のループが含まれている可能性がある。気相反応槽には流動床反応槽または筒状反応槽が含まれている可能性がある。溶液反応槽には撹拌型タンクまたはオートクレーブ型反応槽が含まれている可能性がある。いくつかの態様では、そのような反応槽を組み合わせて反応槽が複数の装置にしてもよく、それらを並列または直列で稼働させる。本触媒をまた米国特許第3,624,063号、5,565,175号および6,239,235号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている如き粒子形態工程で用いることでエチレン重合体を生じさせることも可能である。反応ゾーンに存在させる触媒の量は、その反応ゾーンの中に入れるあらゆる材料の約0.001から約1重量%の範囲であり得る。
【0097】
1つの態様ではスラリー重合方法を用い、この方法では、本触媒を不活性な有機媒体に入れて懸濁させかつ撹拌することでそれを重合工程全体に渡って懸濁状態に維持する。そのような有機媒体は、例えばパラフィン、シクロパラフィンまたは芳香族などであってもよい。エチレンの重合体を製造しようとする場合には、スラリー重合工程を反応ゾーン内で約100psiaから約700psiaの範囲またはそれ以上の圧力下約50℃から約110℃の温度で実施してもよい。少なくとも1種の単量体を本触媒が中に懸濁しているスラリーの液相に入れることで、その単量体と本触媒の間の接触を起こさせる。本触媒が示す活性および生産性は比較的高い。本明細書で用いる如き活性は、1時間当たりに仕込む固体状触媒1グラム毎に生じる重合体のグラムを指し、そして生産性は、仕込む固体状触媒1グラム当たりに生じる重合体のグラムを指す。この上に示した例の全部に関して、生じる重合体の分子量を低くする必要がある場合には、水素ガスを反応ゾーンに導入してもよい。
【0098】
このような反応のいくつかの態様では、共触媒を本発明の触媒と協力させて用いてもよい。そのような共触媒を本触媒と接触または混合する時期はそれを反応ゾーンに入れる前
または後であってもよい。例えば、本触媒と共触媒の各々を独立して混合用槽の中に送り込むか或は反応槽の前方で供給ラインに送り込んでもよく、その中でそれらを互いに前以て温度が約−20℃から約100℃の範囲の炭化水素溶媒中で約1分から約10時間接触させておく。その接触させた触媒と共触媒を混合および/または保持した後、それらの両方を重合反応槽に送り込んでもよい。各供給材料の流れを独立して測定しかつ制御することができることから、そのように本触媒と共触媒を前以て接触させておくことで、当該触媒の組成を連続的に制御し、それによって生じる重合体の特性を制御する方法がもたらされる。別法として、また、本触媒と共触媒のいくらかまたは全部を反応ゾーンに直接送り込むことも可能であり、それらをその中で互いに当該単量体の存在下で初めて接触させる。
【0099】
有用な共触媒の例には、有機アルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウムなど、有機ホウ素化合物、例えばトリエチルホウ素、トリ−n−ブチルボランおよびトリプロピルボランなどおよびこれらの組み合わせが含まれる。他の適切な有機アルミニウム化合物には、アルミニウムアルキル、例えばRAl、RAlXおよびAlX化合物(ここで、Rは炭素原子数が1から12のヒドロカルビル基でありそしてXはハロゲン、例えば塩素などである)などが含まれる。そのような共触媒は例えば塩化トリエチルアルミニウムまたは塩化ジエチルアルミニウムなどであり得る。他の適切な有機ホウ素化合物には、トリアルキルホウ素化合物、特に炭素原子数が1から12または炭素原子数が2から5のアルキル基を有する化合物、例えばトリエチルボランなど、トリアリールホウ素化合物、例えばトリフェニルボランなど、アルキルホウ素アルコキサイド、例えばB(COCなど、およびハロゲン化アルキルホウ素化合物、例えばClB(Cなどが含まれる。また、リチウム、マグネシウム、亜鉛および他の金属のアルキルおよび有機ヒドロシランを共触媒として用いることも可能である。
【0100】
共触媒を用いる場合、その共触媒を担体に担持させるか或はさせなくてもよい。反応ゾーンに存在させる共触媒の量は、溶媒または希釈剤を用いる系の場合、そのような溶媒または希釈剤の重量を基準にして約0.2から約25または約0.2から約10ppm(重量)の範囲であってもよい。溶媒または希釈剤を用いる場合、本触媒と共触媒を一緒または個別に反応槽に添加してもよい。
【0101】
特定の態様では、本発明の触媒に共触媒を染み込ませてもよい。いくつかの態様では、中心部に共触媒を染み込ませた後に遷移金属を担体に取り込ませる。溶媒も希釈剤も用いない場合、共触媒とクロムの量のモル比を約0.1:1から約100:1、または約0.5:1から約50:1、または約1:1から10:1の範囲内にしてもよい。
【0102】
いくつかの態様では、そのような共触媒は、一組の重合条件を用いて二頂重合体を単一の反応槽内で生じさせようとする時に用いられるチーグラー・ナッタ触媒であってもよい。適切なチーグラー・ナッタ触媒には、米国特許第5,275,992号、5,237,025号、5,244,990号、5,179,178号、4,855,271号、5,179,178号、5,275,992号および4,607,019号に開示されているそれらが含まれる。
【0103】
限られた数の態様を用いて本発明を説明してきたが、そのような具体的態様は他に記述しかつ本明細書で請求する如き本発明の範囲を限定することを意図したものでない。その記述した態様の修飾形および変形が存在する。より具体的には、請求する発明の態様の具体的例示として以下の実施例を示す。しかしながら、本発明を本実施例に示す具体的詳細に限定すると理解されるべきでない。本実施例ばかりでなく本明細書の残りの部分に示す部およびパーセントは全部が特に明記しない限り重量部および重量パーセントである。
【0104】
その上、本明細書または請求項に示す数の範囲、例えば個々の組の特性、測定の単位、条件、物理的状態またはパーセントなどを示す数の範囲はいずれもそのような範囲内に入る如何なる数(そのように示すいずれかの範囲に入る数の如何なるサブセットも包含)も言及または他の様式で文字通り本明細書に明らかに組み入れられることを意図する。例えば、下限RLと上限RUを有する数値範囲を開示する場合にはいつでも、その範囲内に入る如何なる数Rも具体的に開示するものである。特に、その範囲内に入る下記の数Rを具体的に開示するものである:R=RL+k*(RU−RL)[ここで、kは1%の増分を伴う1%から100%の範囲の変数であり、kは例えば1%、2%、3%、4%、5%......50%、51%、52%.....95%、96%、97%、98%、99%または100%などである]。その上、また、この上で計算した如きRのいずれか2つの値で表される如何なる数値範囲も具体的に開示するものである。
【0105】
更にその上、元々出願したままの本請求項は個別またはいずれかの組み合わせとしてそれら自身の支援として働かせることを意図したものである。より具体的には、本明細書は文字通り元々出願した請求項または元々出願した1つ以上の請求項の組み合わせのいずれかが示す1つ以上の制限のいずれかの組み合わせであるとして表した発明のいずれかを言及または他の様式で本明細書に明らかに組み入れることを意図したものである。
【実施例1】
【0106】
名目上30重量パーセントの量のシリカで被覆されているアルミナの調製を下記のようにして実施した。ランタナがドーパントとして添加(4.0重量%)されている商業的ガンマ−アルミナ(Grace Davison Grade MI−386)を80g用いて、これを800gのDI水でスラリーにした。そのスラリーを97℃に加熱して1時間維持した。個別にケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液の調製を150ccのDI水と150ccのケイ酸ナトリウム(SiOが26重量%)を混合することで実施した。ケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液を約213gの量で用いて、これを前記アルミナスラリーに3cc/分の流量でポンプ輸送した。その結果として生じた混合物のpHは10であった。そのスラリーの温度を95℃に維持しながら30分間撹拌した。次に、1MのHCl溶液を6cc/分の流量でpHが7.5に到達するまで加えた。そのスラリーを95℃で1時間熟成させた後、60℃に冷却した。そのスラリーの約1/3を1Lの1%硝酸アンモニウム溶液で洗浄することで残存するNaを除去した。その結果として生じた濾過ケーキをDI水に入れて再びスラリーにした後、100℃で噴霧乾燥させた。その噴霧乾燥粉末に焼成を700℃で2時間受けさせた。
【0107】
その焼成粉末のBET表面積は180m/gであった。50mgのサンプルを熱重量分析器(TGA)に充填することを通して硫化試験を実施した。そのサンプルを最初に107.5cc/分のHeガスに300℃で1時間接触させた。この処理を行った後、Heに入れたSOの流れ(SOが1.14%)を5cc/分で導入すると同時にOを12.5cc/分で導入した。総流量は125cc/分でありそしてSO濃度は456ppmであった。硫黄吸収率測定値を経時的に得た。120分後に吸収が起こらなくなることで示されるように硫黄吸収率が平衡状態になった。このサンプルが示した硫黄吸収率(SU)は0.0%でありそしてNSUはサンプル1m当たり0.0μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例2】
【0108】
名目上5.0%の量のシリカで被覆されているアルミナの調製を572.3部のDI水にドーパントが添加されていない商業的ガンマ−アルミナ(Grace Davison
Grade MI−307アルミナ)を50部の量で入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。ケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液を17.86部用いる以外は実施例1に記述したようにして酸処理、洗浄および乾燥を実施した。
【0109】
そのサンプルの測定表面積(BET)は166m/gであった。硫黄吸収率(SU)の測定を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で実施した。そのサンプルが示したSUは0.17重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり10.2μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例3】
【0110】
使用するアルミナがドーパントが添加されていない商業的デルタ−アルミナ(Grace Davison Grade MI−407)である以外は前記実施例1に記述した様式と同じ様式で7%の量のシリカで被覆されているアルミナの調製および試験を実施した。そのサンプルのBET表面積は123m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.05重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり4.1μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例4】
【0111】
名目上10%の量のシリカが覆っているアルミナ(50gのバッチ)の調製を47部のガンマ−アルミナ(ランタナがドーパントとして4%添加されているアルミナであるGrace Davison Grade MI−386)を540部のDI水に入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。ケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液を17.86部用いることのみを除いて前記実施例1に記述した様式と同じ様式で酸処理、洗浄および乾燥を実施した。そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は168m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.03重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり1.6μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例5】
【0112】
10.7%の量のシリカが覆っているアルミナ(300gのバッチ)の調製を下記のようにして実施した。284.4グラムのガンマ−アルミナ(Grace Davison
Grade MI−307、ドーパント添加無し)を3240gのDI水に入れてスラリーを生じさせた。個別に300mlのDI水を300mlのケイ酸ナトリウム(26%)と混合した。この希釈したケイ酸ナトリウム混合物を214.3グラム用いて、これを温度が95℃の前記アルミナスラリーに添加した。その添加速度を6cc/分にした。ケイ酸塩を全部添加した後の混合物を95℃に維持しながら30分間撹拌した。次に、その溶液に酸性化、洗浄、乾燥および焼成を前記実施例1に記述したようにして受けさせた。
【0113】
そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は147m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.01重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり0.7μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例6】
【0114】
21.6%の量のシリカが覆っているアルミナ(50gのバッチ)の調製を42部のガンマ−アルミナ(Grace Davison Grade MI−386、ランタンがドーパントとして4%添加されているアルミナ)を482部のDI水に入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。ケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液を71.43部用いる以外は前記実施例1に記述した様式と同じ様式で酸処理、洗浄および乾燥を実施した。
【0115】
そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は157m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.0重量%
でありそしてNSUはサンプル1m当たり0.0μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例7】
【0116】
29.6%の量のシリカが覆っているアルミナの調製を40部のガンマ−アルミナ[Grace Davison Grade MI−307(ドーパント添加無しアルミナ)]を450部のDI水に入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。ケイ酸ナトリウムが50体積%入っている溶液を106.5部用いる以外は前記実施例1に記述した様式と同じ様式で酸処理、洗浄および乾燥を実施した。
【0117】
そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は115m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.0重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり0.0μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例8】
【0118】
11.8%の量のシリカが覆っているアルミナの調製を1466.2部のアルミナ[Grace Davison Grade MI−107(ドーパントが添加されていないベーマイトアルミナ)、固体が73.66%]を12,800部のDI水に入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。HClの代わりに1.2Nの硝酸を用いる以外は前記実施例1に記述した様式と同じ様式で酸処理を実施した。洗浄、乾燥を実施例1に記述した様式と同じ様式で実施した。そのサンプルに焼成を750℃で4時間受けさせた。
【0119】
そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示した表面積は314m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.17重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり5.3μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【実施例9】
【0120】
11.3%の量のシリカが覆っているアルミナの調製を779.2部のアルミナ[Grace Davison Grade MI−186(ランタンがドーパントとして4%添加されているベーマイトアルミナ)、固体が69.3%]を6350部のDI水に入れてスラリーを生じさせることを通して実施した。HClの代わりに1.2Nの硝酸を用いる以外は実施例1に記述した様式と同じ様式で酸処理を実施した。洗浄、乾燥を実施例1に記述した様式と同じ様式で実施した。そのサンプルに焼成を750℃で4時間受けさせた。
【0121】
そのサンプルに試験を前記実施例1に記述した様式と同じ様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は321m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.23重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり7.2μgであった。その結果を以下の表1に示す。
【0122】
「比較」の表示を付ける下記の実施例は単に比較の目的で示すものであり、本発明の例示を意味するものでない。
【0123】
(比較実施例1)
ランタンがドーパントとして添加(4重量%)されている商業的ガンマ−アルミナ(Grace Davison Grade MI−386)に硫黄吸収率に関する試験を前記実施例1に記述した標準的硫黄吸収率試験を用いて受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は178m/gであり、細孔容積は0.77cc/gであり、硫黄吸収率
(SU)は1.42重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり79.8μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0124】
(比較実施例2)
商業的ガンマ−アルミナ(ドーパント添加無し)(Grace Davison Grade MI−307)に硫黄吸収率に関する試験を前記比較実施例1に記述した様式で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は172m/gであり、細孔容積は0.77cc/gであり、硫黄吸収率(SU)は1.1重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり64.0μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0125】
(比較実施例3)
商業的デルタ−アルミナ(ドーパント添加無し)(Grace Davison Grade MI−407)に硫黄吸収率に関する試験を受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は123m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.66重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり53.6μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0126】
(比較実施例4)
通常の共沈で製造されたシリカがアルミナに5.5%入っている商品(Grace Davison Grade MI−120)に硫黄吸収率に関する試験を受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は265m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.65重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり24.50μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0127】
(比較実施例5)
シリカがアルミナに名目上10%入っている商品(Condea Grade Siral 10)に硫黄吸収率に関する試験を焼成を700Cで2時間実施した後に受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は225m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.55重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり24.2μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0128】
(比較実施例6)
通常の共沈で製造されたシリカがアルミナに名目上30%入っている商品(Grace
Davison Grade MI−130)に焼成を700℃で受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は350m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.70重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり20.0μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0129】
(比較実施例7)
シリカを名目上30重量%含有するアルミナの調製を下記のようにして実施した。65.3部の商業的ベーマイトアルミナ粉末(Davison Grade MI−107、総固体量=75%)を210部のDI水に入れてスラリーを生じさせた後、徹底的に混合した。そのスラリーに70部の商業的コロイド状シリカ(シリカが30%のLudox Grade AS−30)を染み込ませた後、徹底的に混合した。そのスラリーに噴霧乾燥そして焼成を700℃で2時間受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は250m/gであり、硫黄吸収率(SU)は1.07重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり42.8μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0130】
(比較実施例8)
シリカを32.4%含有するアルミナの調製を下記のようにして実施した。3.68部
のガンマ−アルミナ粉末(Davison Grade MI−386)に3.75部の商業的コロイド状シリカ(シリカが40%のLudox Grade AS−40)を用いた含浸を持続的撹拌を伴わせて受けさせた。そのサンプルに乾燥を100℃の乾燥用オーブン内で受けさせた後に焼成を700Cで2時間受けさせた。そのサンプルが示したBET表面積は150m/gであり、硫黄吸収率(SU)は0.8重量%でありそしてNSUはサンプル1m当たり53.3μgであった。その結果もまた以下の表1に示す。
【0131】
【表1】

【実施例10】
【0132】
この実施例で用いるサンプルの調製を〜100ミクロンのAPS GAP 7104アルミナを用いて実施した。SiOが名目上10%のサンプル(表2に示すあらゆるサンプルの例、ケイ酸塩含有量のみが異なる)では、前記アルミナに焼成を700℃で2時間受けさせた後に50gを水に入れてスラリーにして撹拌しながら95℃に加熱し、14%のケイ酸ナトリウムを36mL、水を+35.7mL加えることを通して、改良担体を調製した。撹拌を30分間行った後、1Nの硝酸を添加してpHを低くして7.4にしそして加熱/撹拌を1時間行うことでシリカを沈着させた。その結果として得た材料を1%のNHNOで3回そして次に熱水で1回洗浄した。固体を濾過で取り出した後、120℃の空気中で2時間乾燥させた。その結果として得た新規な担体はSiOを11.3%有していた(ICPで分析)。SAは255であり、PVは1.12でありそしてAPDは176Aであった。他の担体の調製も同様な方法で実施した。
【0133】
50mgのサンプルを熱重量分析器(TGA)に充填することを通して硫化試験を実施した。そのサンプルを最初に107.5cc/分のHeガスに300℃で1時間接触させた。この処理を行った後、Heに入れたSOの流れ(SOが1.14%)を5cc/
分で導入すると同時にOを12.5cc/分で導入した。総流量は125cc/分でありそしてSO濃度は456ppmであった。硫黄吸収率測定値を経時的に得た。150分後に吸収が起こらなくなることで示されるように硫黄吸収率が平衡状態になった。硫黄吸収率(SU)は150分間の稼働時間後の重量上昇パーセントであると定義する。正規化硫黄吸収率(NSU)の計算を下記の式:
【0134】
【数2】

【0135】
[式中、SUは、150分間の稼働時間後の測定硫黄吸収率(重量パーセント)であり、そしてSAは当該サンプルのBET表面積である]
を用いて行う。結果を表2に報告する。この表の中のPVは、cc/gで報告する窒素細孔容積である。APDは、BET SAとPVから計算した平均孔径(オングストローム)である。名目上のSiO%は担体上に存在するSOの理論的重量パーセントである。実際のSiOは担体上に存在するSiOの測定パーセントである。SO吸収による重量上昇をSiO(重量パーセント)に対してプロットした図を図2に示す。
【0136】
【表2】

【0137】
表3に、焼成を2回受けさせた担体が示したデータを示す。これらの実施例では、表2に示した担体に被覆前と後の両方で焼成を700℃で2時間受けさせた後、試験を受けさせた。
【0138】
【表3】

【実施例11】
【0139】
米国特許第4,154,812号の実施例1に記述されている方法に従ってアルミン酸ナトリウムと硫酸アルミニウムを反応させることで一次アルミナ粒子の水性懸濁液を生じさせる。その結果として生じたアルミナの固体を濾過で取り出した後、水で洗浄することで副生成物である塩、例えば硫酸ナトリウムなどを除去する。次に、その洗浄した一次アルミナ粒子(平均直径が2から10ミクロン)のスラリーに被覆および洗浄を結果としてシリカの充填率が3から15%の範囲になるように実施例10に記述した如く受けさせる。その被覆を受けさせた一次粒子が入っている懸濁液を固体含有量が5から25%の範囲になるように用いて、噴霧乾燥器に送り込み、その噴霧乾燥器を入り口温度が315℃(600度F)から427℃(800度F)の範囲になりかつ出口温度が100℃(212度F)から200℃(392度F)の範囲になるように操作する。その後、その噴霧乾燥を受けさせた材料を流動床反応槽で用いる触媒用の担体として用いる。
【実施例12】
【0140】
Grace ART(Chicago)から入手したGAP 7104アルミナをSiO被覆用基質として用いた。さらなる処理を受けさせる前の前記アルミナは下記の特性を有していた:SA=373 PV 1.27、平均孔径136;(APS)=98μ。
【0141】
前記アルミナに焼成を700℃で2時間受けさせた後に含浸を下記の方法で受けさせることで基礎的参照触媒を作成した:1gの酢酸Crを41ccのMeOHに溶解させることで生じさせた溶液を25gの担体材料と接触させる。次に、その材料に真空乾燥を32℃で受けさせた後、活性化を加熱を1200度Fの空気(上昇流形態)中で4時間行うことで受けさせた。それにポリエチレン重合に関する試験をi−ブタン溶媒および共触媒であるトリイソブチルアルミニウム(TiBAl)を0.1g(0.5ミリモル)に加えてCr/アルミナ担持型触媒を76mg用いて500psigの圧力下80℃で受けさせた結果、648gのPE/1gの触媒/1時間の活性がもたらされた。
【0142】
前記アルミナに焼成を700℃で2時間受けさせた後に50gを水に入れてスラリーにして撹拌しながら95℃に加熱し、14%のケイ酸ナトリウムを36mL、水を+35.7mL加えることを通して、シリカ充填率が名目上10%の改良担体を調製した。撹拌を30分間行った後、1Nの硝酸を添加してpHを低くして7.4にしそして加熱/撹拌を1時間行うことでシリカを沈着させた。その結果として得た材料を1%のNHNOで3回そして次に熱水で1回洗浄した。固体を濾過で取り出した後、120℃の空気中で2時間乾燥させた。その結果として得た新規な担体はSiOを11.3%有していた(ICP化学分析)。SAは255であり、PVは1.12でありそしてAPDは176Aであった。そのSiOが11%の担体をCrが1%の触媒に変換した後、試験をこの上に示したようにして行うことで、1045の活性がもたらされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒であって、
(I)(a)(i)個別の一次粒子または(ii)一次アルミナ粒子の凝集物のいずれかとしてのアルミナ粒子を含有して成る中心部および(b)前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを、被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成っていて、20m/g以上のBET表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有し、かつ正規化硫黄吸収率(NSU)が25μg/m以下である被覆触媒担体、および
(II)前記被覆触媒担体の表面に位置する触媒活性遷移金属を触媒の重量を基準にして0.1から10重量パーセント、
含有して成る触媒。
【請求項2】
前記アルミナ粒子が凝集したアルミナ粒子として被覆されている請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記アルミナ粒子に最初に被覆を一次粒子として受けさせた後に成形を受けさせて凝集した担体にしたものである請求項1記載の触媒。
【請求項4】
前記凝集した担体に成形を受けさせた後に前記凝集した担体に2回目の被覆を受けさせたものである請求項3記載の触媒。
【請求項5】
前記中心部にアルカリ土類金属の酸化物、希土類の酸化物およびシリカから選択した金属または金属の酸化物がドーパントとして被覆触媒担体の重量の0.1から10%の範囲の量で添加されている請求項1記載の触媒。
【請求項6】
前記遷移金属がFe、Cr、Ti、Zr、Hf、Ni、Pd、Mgまたはこれらの混合物である請求項1記載の触媒。
【請求項7】
前記遷移金属がCr、Tiまたはこれらの混合物を含んで成る請求項1記載の触媒。
【請求項8】
前記遷移金属がCrを含んで成る請求項1記載の触媒。
【請求項9】
前記アルミナ粒子の平均粒径が1から500μmである請求項1記載の触媒。
【請求項10】
前記触媒担体のBET表面積が100から350m/gである請求項1記載の触媒。
【請求項11】
前記アルミナ粒子の窒素細孔容積が0.2から2cc/gである請求項1記載の触媒。
【請求項12】
前記遷移金属が0.1から3重量パーセントの量で存在する請求項1記載の触媒。
【請求項13】
前記遷移金属が0.5−1.5重量パーセントの量のCrおよび1−3重量パーセントの量のTiを含んで成る請求項9記載の触媒。
【請求項14】
重合体の製造方法であって、オレフィンを請求項1記載の触媒と接触させることを含んで成る方法。
【請求項15】
前記オレフィンがエチレンを含んで成る請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記触媒活性遷移金属がクロムを含んで成る請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記接触をアルミニウム、ホウ素またはこれらの混合物を含有する共触媒の存在下で起こさせる請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記共触媒をCrに対する共触媒のモル比がアルミニウム含有共触媒の場合には0.1−15になるか或はホウ素含有触媒の場合には1−6になるように存在させる請求項17記載の方法。
【請求項19】
触媒の製造方法であって、
(a)(i)個別の一次粒子または(ii)一次アルミナ粒子の凝集物のいずれかとしてのアルミナ粒子の中心部および前記中心部の表面を覆っている被覆材であるシリカを、被覆触媒担体の重量を基準にして約1から約40重量パーセント含有して成っていて、20m/g以上の表面積および少なくとも約0.2cc/gの間隙率を有し、かつ正規化硫黄吸収率(NSU)が25μg/m以下である触媒担体を(b)少なくとも1種の遷移金属の塩が入っている溶液と接触させることで不活性な触媒を生じさせ、そして
前記不活性な触媒を熱ガスで処理することで活性化された触媒を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項20】
前記溶液が塩が水またはアルコール溶媒に前記溶媒中の前記塩の濃度が0.01から1モル規定になるように溶解している溶液である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記塩が(i)酢酸クロムまたは硝酸クロムおよび(ii)場合により硫酸チタンを含んで成る請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記処理段階を400から1000℃の温度で実施する請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記遷移金属がクロムもしくはチタンまたはこれらの混合物である請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516377(P2012−516377A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547998(P2011−547998)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/020374
【国際公開番号】WO2010/088013
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(399016927)ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット (63)
【Fターム(参考)】