説明

シリコンオイル希釈剤組成物

【課題】シリコンオイル 疎水性物質の分散媒として 有毒有害にして各種法令の制約を 多くうけるものを改良して なお且つシリコンオイルの 物性を充分に担持していけるものを 提供する。
【解決手段】シリコンオイル油性物質の分散媒として テルペン系の炭化水素と共に水性の低級一価アルコール 又はグリコールエーテルを特定範囲で配合した 混合分散媒が シリコンオイル油性物質の 各種機能を観察し乍ら 安全な作業環境を保持し 取扱い分野を 用途市場の開発の為の 拡大と発展を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は シリコンオイルを 有効且つ安全に ソリューションにする分散媒(ソルベント)に関するものであり 食物成分であるカンキツ系の抽出物を主成分とする 混合系の組成物に関する。
シリコンオイルは 極めてすぐれた離型力、撥水性 安全性のある油性物であり且つ ポリマー形成能(バリヤー)も有し 広く産業用はもとより 化粧品 医療 その他 民生用に利用されている。とくに分子量の大きいものは粘度が高く 取扱いが煩しく 適当なソルベントで割って商品化されているが 当該ソルベントの 法令上との制約や 環境 健康への配慮も志向しなければならないことも 大きな意義を有することとなる。
【背景技術】
【0002】
シリコンオイルなどの 強疎水性のソルベントとしては 芳香族のキシレン、トルエン、ベンゼン、アニリン、クロルベンゼン、デカリン など、ハロゲン系の トリクレン、パークレン、メチレンクロライド、クロロホルムトリクロルエチレン など、ケトン系の アセトン、MEK、MIBKなど 石油系炭化水素のミネラルターベン n−ヘキサン、イソパラフィン、ガソリン、ミネラルスピリッツ などが常用されている。この中で いずれの物質もVOC、健康障害、環境上の規制 その他 異臭、有毒、二次汚染、残留性などの問題点が山積している。
【0003】
特に臭気対策は緊急課題であり、快適な環境を維持する上で 不可欠であり加えて シリコンオイルのレベリングを(均一施工)を組成する上での新なる ソリューション体が必要になってくる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は 疎水性シリコンオイルのソルベントとして テルペン系炭化水素を主成分となし これに水溶性の低級アルコール 及び グリコールエーテルを併用して すぐれた分散媒として 有効なることを見い出したものである。
もとより テルペン系炭化水素自体は シリコンオイルの 溶媒として利用することは 特別なものでなく 一般的なものであり 他の各種混合液として汎用されている。とくに疎水性の安全なものとして特開平11−105722 などに公開された コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチルなどの 二塩基酸エステルや 他のエステル化合物である炭酸プロピレン、乳酸メチル 乳酸プロピル なども有用なるも分散媒としての パラメーターが狭く 極めて制限されるし エステル化合物自体は 酸やアルカリに弱く 此れに プラスアルファ効果として低級アルコール及びグリコールエーテル 等の水溶性のソルベントの相性は必ずしもよくない。
【0005】
本発明は 分散媒としての 分散(ソリューション)能の すぐれていることは勿論の事 取扱いが安心で 汎用性があり 業務用だけでなく 民生用として文具、教材具 スポーツ具、ホームケアグッズとして利用できることを目指してしかも 後処理し易いことを考慮して 成就したのもである。即ち 疎水性の本体に 同じ疎水性の分散媒と親水性(アクアソリューブル)を併用したものである。
【問題を解決するための手段】
【0006】
ここで本発明は 分散媒の第一成分として(C)n(n=1の正の整数)からなる テルペン系炭化水素を 第二成分として 低級アルコール(1価)及び グリコールエーテルを それぞれ併用して 半疎水性分散媒を用いて組成することによって強疎水性の シリコンオイルを安全に効率よくソリューションの形で 実現することに至ったものである。
【0007】
具体的には テルペン系炭化水素として D−リモネン、l−リモネン P−ミルセン、α−ピネン テレビン油、ターピネオール、など カンキツ系の果皮抽出物を主成分として これに助媒として 低級一価アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、アルカノールアミン、ジアセトンアルコール、メトキシブタノール、ベンジルアルコール フーゼル油、など及び グリコールエーテルとして エチレングリコール モノエチルエーテル、エチレングリコール モノブチルエーテル、エチレングリコール ジメチルエーテル、プロピレングリコール モノエチルエーテル、プロピレングリコール モノブチルエーテル、ジエチレングリコール モノメチルエーテル、ジエチレングリコール モノブチルエーテル、トリエチレングリコール モノエチルエーテル などの水溶性の化合物などである。
【0008】
当該分散媒組成は 第一成分と(主成分)第二成分(助媒)として分類して第一成分が 60〜90 重量%と 第二成分の10〜30重量%を混合したものである。とくに この中に それぞれの目的において界面活性剤(アルコール系 脂肪酸系 エーテル系、エステル系の非イオン、アニオン、カチオン)を併用したり DOP、TCP、PBP、DOS、などの プラスチサイザー、多価アルコール(PG、PEG、PPG、HG、1.3BG、グリセリン、ソルビトール)及び その他の補助媒としてメチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、モルホリン、テトラヒドロフラン、アセトニルアセトン、などを併用することも出来る。
シリコンオイルは パラフィン、ポリフラン、シェラックロジン、ポリブテンを一部代替して 防水、撥水、光沢、潤滑、粘着、融着、再生、防油、などの目的で加入する バリエーションの広い 特性を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分散媒は 消防法による危険物を除く他は 有害性(毒性の高い)且つ 刺激臭(悪臭)の極めて少ない性質を有し 安心して利用することが出来る。
又 VOC対策にも対応でき 且つ テルペン系炭化水素 単独の場合の特有のカンキツ臭も 緩和させることができる効果もある。
又 好ましい カンキツ系の芳香性を有するので これ自体が 防虫、害虫の忌避、除菌、インキ処理(印刷工程)のインキの定着性の確保など本発明に特有の アロマ効果も期待できる。
更に テルペン系炭化水素のみの場合の 不都合である 臭気の残留性、酸化による 変質化、表面処理したときの レベリングの不均一を解消することができる。
その他に 一般工業品 だけでなく 又、企業、化粧品、食品添加物などの 幅広い用途が臨める訳である。
又 シトラスオイルは 生産は世界の多くの地域で可能であり(カンキツ系の果実は トップクラスの生産量をキープ)ゆとりをもった利用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の最も代表的な ソルベント組成は 単純に(モノミクスチャー)テルペン系炭化水素と 水溶性有機溶媒の 低級アルコール(1価)又は グリコールエーテルの 特定割合のものを 組成体とすることのみであらゆる シリコンオイル(シロキサン誘導体類を含む)に適用できる汎用性を有する。
テルペン系炭化水素としては(C)n(n=1〜正の整数)で示されるもので 代表は D−リモネン、l−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、P−ミルセン、カンファー、樟脳、ターペンテンオイル などカンキツ系のフルーツの果物抽出物を蒸留精製してえられる精油(エッセンシャルオイル)であり 物性としては 非水性で引火点も 大むね50〜70℃(消防法第4−2〜3)、比重(20℃:0.80〜0.90)、沸点130〜160℃のものが中心となる。
【0011】
当該物はこれ自体 勿論 シリコンオイル(主に メチル−シロキサン系)に充分 なじみうる モノソルベントとして機能するが、本発明は 当該物質の負の特性に注目し とくに消臭、残留性、粘着性、レベリング(展性)の悪さを矯正するものとして
1つは 1価の低級アルコール、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メチルメトキシブタノール、
ジアセトンアルコール、フーゼル油
今1つは グリコールエーテルとして
エチレングリコール モノブチルエーテル、
エチレングリコール モノエチルエーテル、
ジエチレングリコール モノエチルエーテル、
ジエチルグリコール モノブチルエーテル、
トリエチレングリコール モノエチルエーテル、
プロピレングリコール モノエチルエーテル、
ジプロピレングリコール モノメチルエーテル、
などの 親水性の有機溶媒を 併用したものである。
両者の配合は テルペン系炭化水素 60〜90W%
水溶性有機溶剤が 10〜30W%
が最も相応しい ことである。
この範囲を逸脱すると 即ち テルペン系炭化水素が多いと臭気 表面の乾き、レベリング(湿布)、低温安定性 などが悪くなり逆に 水溶性有機触媒を多くすると 本体のシリコンオイルが変質、分離、凝固、などの現象を 惹起するおそれがある。
【0012】
本発明組成物や この両方に加えて 臭気や安全性の少ないより安全なオイル組成物として パラフィンオイル、スクワラン、ホホバ油 オリーブ油 アロマ系のエッセンシャルオイル(ヒノキ、ヒバ、ユーカリ、パインオイル、メンソール、カモミール、ジャスミン、ラベンダー、ローズマリーなど)、水性の エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトール、1.3BG、DPG、油性の ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、フタル酸ジメチル、乳酸エチル、アジピン酸メチル、コハク酸メチル、炭酸プロピレン、栄養物として トコフェロール、レチノール、レシチン、アルブミンなどを併用することもできる。
この様にして 本発明の用途は幅広く 本来のシリコンオイルの特性を更に有効ならしめるものとなる。
以下本発明の具体例を 実施例によって説明する。
【実施例1】
【0013】
次の組成からなる シリコンオイル
(メチルシロキサン 平均粘度90〜st(ストークス)の分散媒を用いてその状況をテストした。
【表1】

【0014】
(テスト 1)
シリコンオイル
(比重20℃:0.938 動粘度 15cst 引火点 168℃)
を用いて安定性テスト(−10℃ 1ヶ月 40℃ 1ヶ月)
及び 臭気を観察した。(10% 30% 配合割合)
○外観 評価 ○−変化なし
△−少し透明度なくなる
×−分離する
○臭気 評価 ○−ほのかな カンキツ系のかおりあり
△−少し刺激臭あり
×−著しい強烈な刺激性臭気あり
【表2】

(テスト 2)
シリコンオイル(比重20℃:0.978 動粘度9800cst 引火点220℃)
の粘度低下ソリューション係数を調べた。
濃度は30%と50%を設定した。又 液温は10℃と40℃で 測定した。
【表3】

(考察)
本発明の動粘度変化は 濃度 及び 温度によって 直線的に安定な変化をしているが 比較品は イレギュラーな粘度変化を示した。
(温度と粘度はやや反比例の関係にある)
【実施例2】
【0015】
次の組成物からなる シリコンオイル(メチルポリシロキサン)
比重(20℃)0.941 動粘度100cst 引火点260℃)
の15%濃度のエアゾール(LPG)品を試作品して
その安定性を調べた。(金属ボトルはアルミ缶)
【表4】

(テスト 1)
(1)40℃ 30日 保存して その噴射量をガラス面に3秒スプレーしてその塗射量を調べた。
(2)−10℃ 30日 保存して その噴射量のガラス面に5秒スプレーして(白いセラミクス板)に噴射して その反射率を調べた。
(1)の塗射量(3回テスト)
(単位:g)
(本発明) 5− 7.5 7.2 7.2 (R=0.3)
6− 10.8 12.1 10.9 (R=1.3)
(比較例) g− 5.4 3.8 3.6 (R=1.8)
h− 8.3 8.9 6.3 (R=2.6)
Q− 6.5 3.9 4.1 (R=2.6)
(2)の反射率(%)白度計で 元の白のセラミックの反射率を100としたときに塗射後のレベリング(平均均一塗布度)を調べた。
(本発明) 5− 64 68 62 (R=6)
6− 20 16 15 (R=5)
(比較例) g− 58 47 42 (R=16)
h− 31 19 22 (R=12)
Q− 55 61 47 (R=14)
(考察)本発明品のLPGエアゾールの塗射物は 温度、時間の変化に対して 平均的に 塗射(布)膜を 形成していることが判明した。
(Rは 3回テストしたときの 最大値から最小値を引いた偏差 小さい程 バラツキが少ないことを意味する)
【0016】
(テスト 2)嗅覚テスト
300mlの封栓付のフラスコに 次の悪臭成分を10gの脱脂綿に含ませて10秒後 それぞれの試作品を 3〜5秒スプレーして その臭気を官能テストした。(直後と10秒後)
悪臭成分 a:メチルメルカプタン/アセトン/1PA/炭酸プロピレン(3%)
b:トリエチルアミン/アセトン/1PA/イソパラフィン(3%)
c:硫化アリル/アセトン/ブチルセロソルブ/
ポリオキンエチレン(E07モル)オレイルエーテル(3%)
官能テスト結果: ○:少し臭いが残る (10%位)
△:刺激臭が残る (半分位)
×:刺激臭がかなり残る(70〜80%位)
【表5】

(考察)
本発明品は 従来品と比較して シリコンの 隠蔽作用が 有効に機能し 臭気を旨く マスキングしていることが 判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性シリコンオイルの分散媒として
(1)テルペン系炭化水素
((C)n n=1〜5の正の整数)60〜90w%
(2)C〜Cの低級アルコール、グリコールエーテル が 10〜30w%を必須成分として含有することを特徴とするシリコンオイル 希釈用組成物。

【公開番号】特開2008−303369(P2008−303369A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173387(P2007−173387)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(592027492)株式会社楽 (13)
【Fターム(参考)】