説明

シリコン微粒子の製造方法

【課題】乳化重合法を利点を活かすことで粒径の揃ったシリコン微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】モノマーとしてシクロペンタシランを界面活性剤と共に水中に分散させた後、紫外光を照射することで重合し、粒径の揃ったシリコン微粒子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン微粒子の製造方法に関し、特に液体のシラン化合物をモノマー原料として、ミセルを用いた乳化重合法によるシリコン微粒子の製造方法及びこの方法により製造されたシリコン微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンの微粒子は、物理的な方法、気相中の反応を利用した方法、液相中の反応を利用した方法などで製造されている。
物理的な方法としては、シリコンウェハーを電気化学エッチングすることで得られるポーラスシリコンを破砕する方法(例えば、非特許文献1参照)、アルケンやアルキンなどの反応性媒体中でSiウエハーを高エネルギーボールミルで粉砕する方法(例えば、非特許文献2参照)などが挙げられる。
気相中の反応を利用した方法としては、シランガスやジシランガスを気相中で熱分解する方法(例えば、特許文献1参照)、レーザーやプラズマを用いてシランガスを分解する方法(例えば、特許文献2参照)などが挙げられる。
液相中の反応を利用した方法としては、液中に溶解しているテトラクロロシランやトリクロロシランを金属ナトリウムや金属マグネシウムなどの還元剤で還元する方法(例えば、非特許文献3参照)、マグネシウムシリサイドを臭素で酸化する方法(例えば、非特許文献4参照)などが挙げられる。
【0003】
上述に挙げられた方法において、シリコンからなる微粒子の製造は、基本的にモノマーの重合時間や熱分解時間など、反応時間を制御することで粒径を制御していたため、粒度分布が広くなり、粒径を揃えることが困難であった。
ここで、ポリマー微粒子の製造において粒径を揃えるという観点では、乳化重合という方法がある。この方法は、界面活性剤を用いてミセルを形成することで反応場の体積を限定し、重合に関わる材料の量を制限するものであり、これにより得られるポリマー微粒子の粒径をそろえることが可能となる。この乳化重合を行うための条件として、ミセルを形成する必要があることから、水と油の界面の存在が不可欠であることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−41207号公報
【特許文献2】特開平6−72705号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】G.Belomoin、外8名,「APPLIED PHYSICS LETTERS」,2002年, 第80巻, 第5号,p.841−843
【非特許文献2】A.S.Heintz、外2名,「ADVANCED MATERIALS」,2007年,第19巻, 第22号,p.3984−3988
【非特許文献3】A.Watanabe、外3名,「Japanese Journal of Applied Physics」,1997年, 第36巻, 第9A/B号,p.L1265−L1267
【非特許文献4】C.―S. Yang、外4名,「Journal of the American Chemical Society」,1999年, 第121巻, 第22号,p.5191−5195
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのシリコン微粒子分散液の製造では、気相中の反応の原料となるシラン化合物のモノマーはモノシランガスなどが湿式合成において扱いが困難な気体であることから、乳化重合に用いることができなかった。
また、非特許文献4が示す液相中の反応で使用する還元剤や酸化剤は、水との反応性が非常に高い反応試薬であり、これらを水と油の両方を用いる乳化重合に使用することはできない。
これらの問題点から、シリコン微粒子の製造においては、粒径分布の制御に有効な方法である乳化重合法を用いて製造することが困難であった。
本発明は、光重合性の液体シリコン材料を原料として、乳化重合法を用いた利点を活かすことで粒径の揃ったシリコン微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、分散媒とミセルとを含む液体材料に紫外線を照射し、前記ミセルに含まれるシラン化合物の分子量を増大させ、シリコン粒子を形成する第1工程を有し、前記ミセルが前記シラン化合物と前記シラン化合物の周囲を覆う界面活性剤とを含むことを特徴とするシリコン粒子の製造方法である。
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係るシリコン微粒子の製造方法の一態様は、分散媒とミセルとを含む液体材料に紫外線を照射し、前記ミセルに含まれるシラン化合物の分子量を増大させ、シリコン微粒子を形成する第1工程を有し、前記ミセルが前記シラン化合物と前記シラン化合物の周囲を覆う界面活性剤とを含むものである、ことを特徴とする。
これによれば、原料と反応しやすい還元剤や酸化剤を用いることなく光で重合反応を行なうことができ、乳化重合の特徴を活かした粒径の揃ったシリコン微粒子を生成することが可能となる。
【0009】
上記シリコン微粒子の製造方法において、前記第1工程の前に、前記分散媒に前記界面活性剤を加えた水溶液に不活性ガスを注入しながら前記水溶液を攪拌する第2工程を含む、ことが好ましい。
これによれば、水溶液から酸素を除去することができ、シラン化合物の酸化を防止することができる。
【0010】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記第1工程と前記第2工程との間に、前記水溶液に前記シラン化合物を加える第3工程を含む、ことが好ましい。
これによれば、水溶液から酸素を除去したあとにシラン化合物を加えるため、シラン化合物の酸化防止の効果を高めることができる。
【0011】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記第1工程の前に、前記液体材料を攪拌し前記ミセルの粒径を調整する第4工程を含む、ことが好ましい。
これによれば、ミセルの粒径にバラツキが生じないため、乳化重合の特徴を活かした粒度分布の小さい微粒子を得ることができる。
【0012】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記分散媒が水である、ことが好ましい。
これによれば、ミセル内にシラン化合物が安定に存在することが可能となり、また、光照射時に紫外線の吸収を抑えられるため光重合を効率良く行うことができる。
【0013】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記シラン化合物がシクロペンタシランである、ことが好ましい。
これによれば、水中に液体シラン化合物を分散させた形態を取ることができるため、乳化重合が可能となる。
【0014】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムを含む、ことが好ましい。
これによれば、水相のpHが7以下となり、アルカリ側で生じるシラン化合物の分解を抑制することができる。
【0015】
また、上記シリコン微粒子の製造方法において、前記紫外光の波長が308nmである、ことが好ましい。
これによれば、分散安定化剤の分解が起こらないため、不純物が混入すること無く純度の高いシリコン微粒子を得ることができる。
【0016】
なお、シラン化合物(ミセル)の分散溶液である液体材料に照射する紫外線(UV)は、該液体材料に用いる界面活性剤を分解しない波長のものが好ましく、具体的には、その波長が250nm以上、特に300nm以上であることが好ましい。本発明において、「界面活性剤を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって界面活性剤分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。上記の波長域のUVを用いることにより、界面活性剤に起因する炭素原子などの不純物原子が熱および/又は光処理後のシリコン微粒子に混入する事を防ぐことができ、より純度の高いシリコン微粒子を得ることができるようになる。
【0017】
以上、説明したように、本発明のシリコン微粒子の製造方法によれば、ミセルを用いた乳化重合法によりシリコン微粒子を形成することができるため、粒径の制御されたシリコン微粒子を再現性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)〜(c)は、本発明に係るシリコン微粒子の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。
【図2】UV重合反応を説明するための図(縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るシリコン微粒子の製造方法における実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、層や部材毎に縮尺を異ならしめてある。
液体モノマー原料であるシラン化合物は空気中の酸素と反応し発火するため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で使用する。試薬の取り扱いや反応は全てグローブボックス内で行なうことが好ましい。また、反応に用いる他の試薬類もあらかじめ不活性ガスのバブリングや真空脱気などの酸素を除去する処理を行なった後に使用することが好ましい。
【0020】
従来から乳化重合法という界面活性剤を用いる方法があるが、本発明は脂溶性モノマーを水中に分散する系において、シリコン微粒子の重合に適用されるものである。本発明を例示すると、界面活性剤が溶解する水溶液に、シランモノマー液体あるいはシランモノマーを含む有機溶媒を添加し攪拌することで乳化させ、ミセル形成後、光照射により重合を開始させるものであり、本法によって粒子径のコントロールされたシリコン微粒子が得られる。
【0021】
図1(a)〜(c)は、本実施形態におけるシリコン微粒子の製造方法を示すものである。
図1(a)で示すように、反応容器11を用意し、水(分散媒)12を入れ、界面活性剤13を加えた水溶液を攪拌し分散させる。水(分散媒)12はイオン交換を行なった比抵抗値18MΩ・cm以上の超純水が望ましい。
使用に際しては、界面活性剤13を分散させる前に、窒素やアルゴンなどの不活性ガスによるバブリングや真空脱気などの処理を行うことで水12内の溶存酸素を十分除去しておくことが好ましい。酸素の除去処理は、界面活性剤13を分散させた後に行ってもよい。
【0022】
界面活性剤13としては原料であるシラン化合物と反応しないことが必要である。例えば負に荷電した硫酸基を含む陰イオン界面活性剤であるスルホン酸塩や硫酸エステル塩が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えば1ペンタデカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム、1−オクタデカンスルホン酸 ナトリウム、1−テトラデカンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。硫酸エステル塩としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。また、本実施形態における重合反応は光を用いて行なうため、反応に用いる波長域に強い光吸収を持たない界面活性剤が望ましい。
【0023】
なお、界面活性剤13の濃度は少なくとも臨界ミセル濃度以上であり、濃度が高いほどシラン化合物の可溶化量を増やすことが出来るが、濃度の上昇に伴い濁度も上昇することから光重合反応が不均一となるため、乳化分散液が透明な状態である10〜20wt%程度の濃度が望ましい。
【0024】
次に、図1(b)で示すように、水12と界面活性剤13の入った反応容器11にシラン化合物14を加える。
上記シランモノマー液体となるシラン化合物14としては、水との接触において安定に存在し、UVの照射により重合し得るという光重合性を有する限り特に制限されず、例えば、一般式Sinm(ここで、nは3以上の、またmは4以上のそれぞれ独立な整数を示し、Hは水素原子を示す。)で表されるシラン化合物等が挙げられる。
【0025】
このようなシラン化合物14の一例としては、一般式Sin2n(式中、nは3以上の整数を示し、Hは水素原子を示す。)で表される環状のシラン化合物や、一般式Sin2n-2(式中、nは4以上の整数を示し、Hは水素原子を示す。)で表される環状構造を2個以上有するシラン化合物の他、分子内に少なくとも一つの環状構造を有する水素化珪素等、本発明に係る紫外線照射による光重合プロセスを適用し得る、光重合性を有するシラン化合物の全てが挙げられる。
【0026】
具体的には、1個の環状構造を有するものとして、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等が挙げられ、2個の環状構造を有するものとして、1、1’−ビシクロブタシラン、1、1’−ビシクロペンタシラン、1、1’−ビシクロヘキサシラン、1、1’−ビシクロヘプタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、スピロ[2.2]ペンタシラン、スピロ[3.3]ヘプタタシラン、スピロ[4.4]ノナシラン、スピロ[4.5]デカシラン、スピロ[4.6]ウンデカシラン、スピロ[5.5]ウンデカシラン、スピロ[5.6]ウンデカシラン、スピロ[6.6]トリデカシラン等が挙げられ、その他にこれらの骨格の水素原子を部分的にSiH3基に置換したケイ素化合物を挙げることができる。これらは2種以上を混合して使用することもできる。
【0027】
これら化合物のうち、分子内の最低一箇所に環状構造を有するシラン化合物は光に対する反応性が極度に高く、光重合が効率よく行えるという点から、これを原料として用いるのが好ましい。その中でも、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等の一般式Sin2n(式中、nは3以上の整数を示し、Hは水素原子を示す。)で表されるシラン化合物は、以上の理由に加えて合成、精製が容易である利点を有するため特に好ましい。
【0028】
ここで、図1(b)において溶媒を用いる場合について説明する。シラン化合物14を加える工程は、溶媒に溶解した液状のシラン化合物14を用意し、反応容器11内の水溶液に加える方法をとるものであってもよい。
【0029】
本発明のシリコン微粒子の製造方法は溶媒を使用せずに実施することができるが、粒径を調節するために適宜溶媒と混合することでモノマーの濃度を下げた希釈状態でも実施できる。乳化重合に溶媒を使用する場合は水と混合しない有機溶媒が使用される。
【0030】
また、この有機溶媒としては、シラン組成物の場合は前記シラン化合物を溶解し、かつ該シランモノマー原料と反応しないものであれば特に限定されない。この有機溶媒は、常圧での沸点が、室温以上であり、シランモノマー原料又はシリコン微粒子の分解点である250℃〜300℃よりも低いものを用いることが好ましい。シラン化合物又は高次シランの分解点よりも低い有機溶媒を用いることにより、シリコン微粒子合成後、加熱によってシラン化合物又はシリコン微粒子を分解することなく有機溶媒のみを選択的に除去することができるからである。
【0031】
この有機溶媒の具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの、脂肪族炭化水素系溶媒や炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0032】
次に、図1(b)においてシラン化合物(または溶媒に溶解した液状のシラン化合物)14を反応容器11に加えた後、乳化分散処理を行うことで乳化させる。
乳化分散処理としては、ミキサーなどの高速せん断力を伴う攪拌や超音波処理などが挙げられる。
ここで、超音波発生装置としては、市販の超音波発生装置を使用することができ、発振周波数が一般に20〜100kHz、好ましくは40〜50kHz、照射出力が一般に20〜1500Wの範囲のものを使用することができる。
【0033】
なお、超音波の照射時間や照射時の温度については、分散媒である水12や液体状のシラン化合物14の沸点を越えないよう適宜冷却することが必要である。
【0034】
このようにして乳化された分散液としての液体材料は、水中にミセルが分散した状態となっており、次の工程である重合反応に用いることが出来る。
【0035】
図1(c)では、重合反応は、図1(b)における乳化分散処理によって得られた液体材料としての乳化分散液24に光を照射することで行ない、シリコン化合物14がミセル内で重合することで図1(c)で示されるようなシリコン微粒子15を製造することが出来る。シラン化合物14を含む乳化分散液24に照射する光は、シラン化合物14が吸収を持つ波長領域である紫外線(UV)であり、界面活性剤13や、シラン化合物14を溶解させる有機溶媒が含まれている場合には当該有機溶媒を分解しない波長のものが好ましく、具体的には、その波長が250nm以上、特に300nm以上であることが好ましい。
シラン化合物の多くは250nm以下の波長領域に強い吸収を持つため、250nm以下のUVを用いた場合において、反応系全体に均一に光照射をするには濃度を下げるか光路長を短くするなどの調整が必要となる。また、乳化分散液24に含まれる有機溶媒の多くは250nm以下の波長領域に強い吸収を持つため、シラン化合物14が光重合する際の光の利用効率が落ちる。300nm以上の波長では有機溶媒による光の吸収を抑え、シラン化合物による光の吸収を相対的に増加させるため、効率良く重合反応を進めることが出来る。なお、本実施形態において、「有機溶媒や界面活性剤を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって有機溶媒分子や界面活性剤分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。上記の波長域のUVを用いることにより、有機溶媒に起因する炭素原子などの不純物原子が熱および/又は光処理後のシリコン微粒子15に混入する事を防ぐことができるようになる。
【0036】
UVの照射時間は、所望の分子量分布のシリコン微粒子が得られる点で、0.1秒〜40分、特に1〜10分であることが好ましい。
【0037】
図2は、UVの照射方法の一構成を示すものである。
反応容器11の中には図1(c)で示す工程により得られた乳化分散液24が貯められ、乳化分散液24に先端が封じられたUV透過ガラスパイプ23が挿入されている。UV透過ガラスパイプ23内部にはUV光源21が配置される。UV光源駆動用電源22によりUV光源21から発光したUVは、UV透過ガラスパイプ23の周囲にある乳化分散液24に均一に照射される。
【0038】
また、UVの照射方法としては、所望の分子量分布のシリコン微粒子が得られる点で、乳化分散液24を磁気回転子25などを用いて撹拌しながら乳化分散液24全体に均一にUVの照射を行うことが好ましい。
【実施例】
【0039】
(実施例1〜4)
あらかじめ窒素バブリングにより除酸素した純水20mLを、2gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が入っている50mL反応容器に入れ、窒素フローさせながら攪拌し、濃度10wt%のSDS水溶液を調製する。次に、60μLのシクロペンタシラン(CPS)を前述のSDS水溶液中に入れ、超音波処理(VS−150:周波数50kHz、出力150W)を5分間行うことで分散させた。
【0040】
重合は、窒素をフローさせながら、波長308nmのUV光を所定の時間照射することで行った。反応液の粒径分布はマイクロトラックを用いて測定を行ない、以下の表1のようになった。
【0041】
(比較例)
ドデシル硫酸ナトリウムを無添加とする以外は実施例と同じにした。分散液中に白色の粉末状沈殿物が生じたため、粒径分布の測定は上澄み液を用いた。
【0042】
【表1】

【0043】
さらに反応試薬を添加することにより、微粒子表面の修飾を行なうことが可能であり、様々な材料に展開できる。
【符号の説明】
【0044】
11…反応容器、12…水(分散媒)、13…界面活性剤、14…シラン化合物またはシラン化合物が溶解している液体材料、15…シリコン微粒子、21…UV光源、22…UV光源駆動用電源、23…UV透過ガラスパイプ、24…乳化分散液、25磁気回転子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒とミセルとを含む液体材料に紫外線を照射し、前記ミセルに含まれるシラン化合物の分子量を増大させ、シリコン微粒子を形成する第1工程を有し、
前記ミセルが前記シラン化合物と前記シラン化合物の周囲を覆う界面活性剤とを含むものである、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記第1工程の前に、前記分散媒に前記界面活性剤を加えた水溶液に不活性ガスを注入しながら前記水溶液を攪拌する第2工程を含む、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記第1工程と前記第2工程との間に、前記水溶液に前記シラン化合物を加える第3工程を含む、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記第1工程の前に、前記液体材料を攪拌し前記ミセルの粒径を調整する第4工程を含む、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記分散媒が水である、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記シラン化合物がシクロペンタシランである、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のシリコン微粒子の製造方法において、
前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムを含む、
ことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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